JP2007273011A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】第2記録層において十分な反射率や低いジッター値を実現できる光記録媒体を提供する。
【解決手段】光入射側から順に、第1記録層20、スペーサ層40、及び、有機色素及び又は金属錯体色素を含む第2記録層50がこの順に積層され、スペーサ層40の内の少なくとも第2記録層50と接する面はC=O結合とO−C=O結合とのいずれか一方または両方を有するモノマーを含む樹脂の硬化物により形成され、スペーサ層40の内の第2記録層50と接する面についての20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°であり、スペーサ層の内の前記第2記録層と接する面のESCA測定において、((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
【選択図】図1
【解決手段】光入射側から順に、第1記録層20、スペーサ層40、及び、有機色素及び又は金属錯体色素を含む第2記録層50がこの順に積層され、スペーサ層40の内の少なくとも第2記録層50と接する面はC=O結合とO−C=O結合とのいずれか一方または両方を有するモノマーを含む樹脂の硬化物により形成され、スペーサ層40の内の第2記録層50と接する面についての20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°であり、スペーサ層の内の前記第2記録層と接する面のESCA測定において、((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
【選択図】図1
Description
本発明は、光の照射による情報の記録及び情報の読出しが可能な光記録媒体に関するものである。
CD−R、DVD−R等の色素を含む記録層を有する光記録媒体は、大容量の情報を記録できると共にランダムアクセスが可能である。したがって、コンピュータのような情報処理装置における外部記録装置として広く認知され、普及している。
近年では、取り扱う情報量の増大により、光記録媒体の記録容量をより一層増大することが求められている。そこで、色素を含む記録層を基板上に2層設け、片面側からの2層の記録層への情報の記録、及び、2層の記録層に記録された情報を片面側から読出すことが可能な、いわゆる片面2層の光記憶媒体が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
このような光記録媒体の製造方法として、いわゆる2P法が知られている。2P法とは、まず、光入射側となる熱可塑性透明樹脂基板のグルーブ上に第1記録層を形成し、さらに、半透明反射層を形成する。続いて、グルーブに対応する凹凸面を有するスタンパを、半透明反射層上と対向させ、スタンパと半透明反射層との間に紫外線硬化樹脂等の硬化性樹脂をはさみ、紫外線の照射等によりこの硬化性樹脂を硬化させてスペーサ層を形成し、スタンパを剥離し、スペーサ層のグルーブ上に第2記録層、反射層を形成する。
なお、本明細書では、各記録層を、光入射面側から順に第1記録層、第2記録層とする。
特開平2−78033号公報
特開平2−78034号公報
特開平2−118930号公報
特開平4−321947号公報
特開2000−159841号公報
特開2000−345073号公報
特開2001−288206号公報
このような光記録媒体において、第1記録層は熱可塑性樹脂上に形成されることとなるが、第2記録層はスペーサ層すなわち、紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂の硬化物上に形成されることとなる。そして、記録層の形成は、有機色素及び/又は金属錯体色素を溶媒に溶かした溶液を基材に塗布することにより行われる。ところが、本発明者が検討したところ、このような塗布法により熱可塑性樹脂上に十分な反射率や低いジッター値を有する第1記録層を形成することは比較的容易であるが、スペーサ層上に十分な反射率や低いジッター値を有する第2記録層を形成することが難しいことが判明した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、第2記録層において十分な反射率や低いジッター値を実現できる光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、スペーサ層の内の少なくとも第2記録層と接する面がC=O結合及びO−C=O結合のいずれか一方または両方を有するモノマーを含む樹脂の硬化物により形成され、かつ、この面の接触角及びこの面のESCA測定における((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が所定範囲であると、塗布法による第2記録層の形成が好適に行えることを見出して本発明に想到した。
本発明に係る光記録媒体は、光入射側から順に、第1記録層、スペーサ層、及び、第2記録層がこの順に積層されている。第2記録層は有機色素及び/又は金属錯体色素を含む。スペーサ層の内の少なくとも第2記録層と接する面はC=O結合及びO−C=O結合のいずれか一方または両方を有するモノマーを含む樹脂の硬化物により形成され、スペーサ層の内の第2記録層と接する面についての20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°であり、スペーサ層の内の第2記録層と接する面のESCA測定において、
((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
本発明によれば、スペーサ層上に、塗布法によって有機色素及び/又は金属錯体色素を含む第2記録層を好適に形成することができ、第2記録層の反射率が向上すると共にジッター値が低下する。このような効果が得られる理由は明らかでないが、例えば、水の接触角が75〜90°であることにより、スペーサ層の表面が比較的疎水的になるため、色素の塗布性が向上するようになり、また、スペーサ層の内の第2記録層と接する面のESCA測定において、(C=O結合のピーク面積+O−C=O結合のピーク面積)/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30であることにより、スペーサ層の表面の酸素量が比較的低くなることで色素とスペーサ層表面との間のぬれ性が向上することが原因として考えられる。
ここで、効率のよい製造を可能とすべく、硬化物は紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。
また、第2記録層は有機色素を含むことが好ましく、有機色素としては、シアニン色素が挙げられる。
本発明によれば、第2記録層の反射率を高めかつジッターを低減することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る光記録媒体の構造について説明する。図1は本発明の光記録媒体100の好適な一実施形態を示す部分断面図である。図1に示した光
記録媒体100は、基板10上に、第1記録層20、半透明反射層30、スペーサ層40、第2記録層50、反射層60、接着層70、ダミー基板80がこの順で密着して設けられた積層構造を有する。光記録媒体100は、追記型光記録ディスクであり、630〜685nmの短波長の光による記録・読出しが可能なものである。また、記録及び読出し用の光は、基板10側、すなわち、図1の下から光記録媒体100に照射される。
記録媒体100は、基板10上に、第1記録層20、半透明反射層30、スペーサ層40、第2記録層50、反射層60、接着層70、ダミー基板80がこの順で密着して設けられた積層構造を有する。光記録媒体100は、追記型光記録ディスクであり、630〜685nmの短波長の光による記録・読出しが可能なものである。また、記録及び読出し用の光は、基板10側、すなわち、図1の下から光記録媒体100に照射される。
(基板10)
基板10は、例えば、直径が64〜200mm程度、厚さが各0.6mm程度のディスク状のものである。基板10から入射した光により第1記録層20及び第2記録層50への記録及びこれらの記録層からのデータの読出しが行われる。そのため、少なくとも基板10は記録光及び読出し光に対して実質的に透明であることが好ましく、より具体的には、基板10の記録光及び読出し光に対する透過率が88%以上であることが好ましい。かかる基板10の材料としては、透過率に関する上記条件を満たす樹脂又はガラスが好ましく、中でも、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリエチレン、TPX、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂が特に好ましい。
基板10は、例えば、直径が64〜200mm程度、厚さが各0.6mm程度のディスク状のものである。基板10から入射した光により第1記録層20及び第2記録層50への記録及びこれらの記録層からのデータの読出しが行われる。そのため、少なくとも基板10は記録光及び読出し光に対して実質的に透明であることが好ましく、より具体的には、基板10の記録光及び読出し光に対する透過率が88%以上であることが好ましい。かかる基板10の材料としては、透過率に関する上記条件を満たす樹脂又はガラスが好ましく、中でも、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリエチレン、TPX、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂が特に好ましい。
また、基板10の第1記録層20の形成面すなわち内面側には、トラッキング用のグルーブ12が凹部として形成されている。グルーブ12は、スパイラル状の連続型グルーブであることが好ましく、その深さは0.1〜0.25μm、幅は0.20〜0.50μm、グルーブピッチは0.6〜1.0μmであることが好ましい。グルーブをこのような構成とすることにより、グルーブの反射レベルを低下させることなく良好なトラッキング信号を得ることができる。グルーブ12は、上記樹脂を用いて射出成形等により基板10を成形する際に同時に形成可能である。
(第1記録層20)
第1記録層20は、有機色素及び/又は金属錯体色素を含む光記録層である。金属錯体色素同士を混合してもよく、有機色素同士を混合してもよく、金属錯体色素と有機色素とを混合しても良い。
第1記録層20は、有機色素及び/又は金属錯体色素を含む光記録層である。金属錯体色素同士を混合してもよく、有機色素同士を混合してもよく、金属錯体色素と有機色素とを混合しても良い。
(金属錯体色素)
まず金属錯体色素について説明する。金属錯体色素としては、アゾ金属錯体色素、インドアニリン金属錯体色素、エチレンジアミン金属錯体色素、アゾメチン金属錯体色素、フェニルヒドロキシアミン金属錯体色素、フェナントロリン金属錯体色素、ニトロソアミノフェノール金属錯体色素、ピリジルトリアジン金属錯体色素、アセチルアセトナート金属錯体色素、メタロセン金属錯体色素、ポルフィリン金属錯体色素等の種々の金属錯体色素を採用可能である。特に、金属錯体色素として、これらの中でもアゾ金属錯体色素、すなわち、アゾ化合物と金属との錯化合物が好ましい。なお、複数の金属錯体色素の混合物を採用してもよい。
まず金属錯体色素について説明する。金属錯体色素としては、アゾ金属錯体色素、インドアニリン金属錯体色素、エチレンジアミン金属錯体色素、アゾメチン金属錯体色素、フェニルヒドロキシアミン金属錯体色素、フェナントロリン金属錯体色素、ニトロソアミノフェノール金属錯体色素、ピリジルトリアジン金属錯体色素、アセチルアセトナート金属錯体色素、メタロセン金属錯体色素、ポルフィリン金属錯体色素等の種々の金属錯体色素を採用可能である。特に、金属錯体色素として、これらの中でもアゾ金属錯体色素、すなわち、アゾ化合物と金属との錯化合物が好ましい。なお、複数の金属錯体色素の混合物を採用してもよい。
アゾ金属錯体色素は、−N=N−で表される官能基(アゾ基)を有するアゾ化合物と金属との錯化合物であれば特に限定されない。例えば、アゾ金属錯体色素として、上述のアゾ基の2つの窒素原子にそれぞれ芳香族環が結合されたアゾ化合物と金属との錯化合物が挙げられ、更に具体的には下記一般式(1)で表されるアゾ化合物と金属との錯化合物を例示できる。
式(1)中、Q1は窒素原子及び該窒素原子に結合する炭素原子のそれぞれに結合して複素環又は該複素環を含む縮合環を形成する2価の残基を示す。Q2は互いに結合する2つの炭素原子のそれぞれに結合して縮合環を形成する2価の残基を示す。
式(1)中、Q1は窒素原子及び該窒素原子に結合する炭素原子のそれぞれに結合して複素環又は該複素環を含む縮合環を形成する2価の残基を示す。Q2は互いに結合する2つの炭素原子のそれぞれに結合して縮合環を形成する2価の残基を示す。
X1は、1個以上の活性水素を有する官能基であり、例えば、水酸基(−OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、カルボキシ基(−COOH)、アミド基(−CONH2)、スルホンアミド基(−SO2NH2)、スルホ基(−SO3H)、−NSO2CF3などが挙げられる。
このようなアゾ化合物としては、例えば、下記一般式(4)〜(7)で表される化合物が挙げられる。
ここで、式(4)中、R7及びR8は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9及びR10は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立にニトリル基又はカルボン酸エステル基を示し、X1は上述のものと同義である。なお、上記カルボン酸エステル基としては、−COOCH3、−COOC2H5又は−COOC3H5が好ましい。
ここで、式(5)中、R11は、水素原子又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、R12、R7及びR8は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、X1は上述のものと同義である。
ここで、式(6)中のR11、R12、R7、R8及びX1はそれぞれ、式(5)中のR11、R12、R7、R8及びX1と同義である。
ここで、式(7)中のR11、R12、R7、R8及びX1はそれぞれ、式(5)中のR11、R12、R7、R8及びX1と同義である。
ここで、式(4)中、R7及びR8は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9及びR10は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立にニトリル基又はカルボン酸エステル基を示し、X1は上述のものと同義である。なお、上記カルボン酸エステル基としては、−COOCH3、−COOC2H5又は−COOC3H5が好ましい。
ここで、式(5)中、R11は、水素原子又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、R12、R7及びR8は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、X1は上述のものと同義である。
ここで、式(6)中のR11、R12、R7、R8及びX1はそれぞれ、式(5)中のR11、R12、R7、R8及びX1と同義である。
ここで、式(7)中のR11、R12、R7、R8及びX1はそれぞれ、式(5)中のR11、R12、R7、R8及びX1と同義である。
また上述の錯化合物を構成する金属(中心金属)としては、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)などが挙げられる。あるいは、金属として、V、Mo、Wを、それぞれその酸化物イオンである、VO2+、VO3+、MoO2+、MoO3+、WO3+等として有していてもよい。
一般式(1)のアゾ化合物と金属との錯化合物としては、例えば、下記一般式(8)、(9)、(10)で表される錯化合物、下記表1〜6に表される錯化合物(No.A1〜A49)などが挙げられる。これらの錯化合物は単独または複数組み合わせて用いられる。なお、No.A1〜A49に示す錯化合物においては、中心金属の元素1個に対してアゾ化合物2個が配位している。なお、アゾ化合物及び中心金属をそれぞれ2種示したものは、それらを1:1のモル比で含有することを示し、中心金属を「V=O」で示したものは、アゾ化合物をアセチルアセトンバナジウムに配位させたものを示す。
一般式(8)、(9)、(10)中、MはNi2+、Co2+、又はCu2+を示し、mはMの価数を示す。
これらのなかでは、A13〜A31で表される錯化合物が好ましい。また、化合物A49で表される分子からニトロ基及びジエチルアミノ基を除いた構造を有するものであってもよい。
一般式(8)、(9)、(10)中、MはNi2+、Co2+、又はCu2+を示し、mはMの価数を示す。
これらのなかでは、A13〜A31で表される錯化合物が好ましい。また、化合物A49で表される分子からニトロ基及びジエチルアミノ基を除いた構造を有するものであってもよい。
なお、X1の種類によっては、そのX1が有する活性水素が解離した状態で錯化合物が形成されてもよい。
上述の錯化合物には、上記錯化合物がアニオンとして存在する場合のカウンターカチオン(対カチオン)、又は上記錯化合物がカチオンとして存在する場合のカウンターアニオン(対アニオン)が含有されていてもよい。カウンターカチオンとしては、Na+、Li+、K+等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどが好ましく用いられる。また、後述するシアニン色素をカウンターカチオンとして塩形成を行ってもよい。カウンターアニオンとしては、PF6 −、I−、BF4 −、下記式(11)で表されるアニオンなどが好ましく用いられる。
かかる錯化合物は、公知の方法に準じて合成することができる(例えば、古川、Anal. Chem. Acta., 140, 289(1982)を参照。)。
かかる錯化合物は、公知の方法に準じて合成することができる(例えば、古川、Anal. Chem. Acta., 140, 289(1982)を参照。)。
(有機色素)
有機色素としては、公知のものや、公知の方法により又は公知の方法に準じて合成可能なものであれば特に限定されない。このような有機色素としては、例えば、シアニン色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、キサンテン色素、メロシアニン色素、トリアリールアミン色素、アントラキノン色素、アゾメチン色素、オキソノ−ル色素、分子間型CT色素等が挙げられる。
有機色素としては、公知のものや、公知の方法により又は公知の方法に準じて合成可能なものであれば特に限定されない。このような有機色素としては、例えば、シアニン色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、キサンテン色素、メロシアニン色素、トリアリールアミン色素、アントラキノン色素、アゾメチン色素、オキソノ−ル色素、分子間型CT色素等が挙げられる。
これらのなかでもシアニン色素が好ましく、下記記一般式(2)又は(3)で表される基を有するシアニン色素であると一層好ましい。
ここで、式(2)及び(3)中、Q3は置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を構成する原子群を示し、R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、前記R1、R2及びR3が示す基は置換基を有していてもよい。
ここで、式(2)及び(3)中、Q3は置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を構成する原子群を示し、R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、前記R1、R2及びR3が示す基は置換基を有していてもよい。
かかるシアニン色素としては、下記一般式(12)で表されるシアニン色素などが挙げられる。
ここで、式中、Lは下記一般式(13a)で表される2価の連結基を示し、R21及びR22はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R23及びR24はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基を示し、Q11及びQ12はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を構成する原子群を示す。ただし、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個はメチル基でない基を示し、下記一般式(13a)で表される2価の連結基は置換基を有していてもよい。
シアニン色素として、より具体的には、例えば下記表7〜12に表される化合物(No.T1〜T67)などが挙げられる。
また、オキソノール色素も好適に利用できる。オキソノール色素としては、例えば、表13に記載のオキソノール色素No.1、No.2等が例示できる。
ここで、式中、Lは下記一般式(13a)で表される2価の連結基を示し、R21及びR22はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R23及びR24はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有していてもよいベンジル基、又は互いに連結して3〜6員環を形成する基を示し、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基を示し、Q11及びQ12はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を構成する原子群を示す。ただし、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個はメチル基でない基を示し、下記一般式(13a)で表される2価の連結基は置換基を有していてもよい。
シアニン色素として、より具体的には、例えば下記表7〜12に表される化合物(No.T1〜T67)などが挙げられる。
また、オキソノール色素も好適に利用できる。オキソノール色素としては、例えば、表13に記載のオキソノール色素No.1、No.2等が例示できる。
なお、有機色素には、上述のシアニン色素(T1〜T67)のような陽イオン(カチオン)色素、陰イオン(アニオン)色素、及び、非イオン(中性)色素の形態がある。有機色素が陽イオン色素である場合のカウンターアニオン(対アニオン)としては、具体的にはハロゲン化物イオン(Cl−、Br−、I−等)、ClO4 −、BF4 −、PF6 −、VO3 −、VO4 3−、WO4 2−、CH3SO3 −、CF3COO−、CH3COO−、HSO4 −、CF3SO3 −、パラトルエンスルホン酸イオン(PTS−)、p−三フッ化メチルフェニルスルホン酸イオン(PFS−)等が挙げられる。これらの中でも、ClO4 −、BF4 −、PF6 −、SbF6 −等が好ましい。また、有機色素が陰イオン色素である場合のカウンターカチオン(対カチオン)としては、Na+、Li+、K+等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどが好ましく用いられる。なお、金属錯体色素の項で述べたカウンターイオンや金属錯体色素自体もカウンターイオンとして好ましく用いられる。
(第1記録層の製造方法)
このような第1記録層の作成方法としては、有機色素及び/又は金属錯体色素を有機溶媒等の溶媒に溶解又は分散させて混合液を得、この混合液を基板10上に塗布し、塗膜から溶媒を除去する等して形成させることができる。混合液の溶媒としては、アルコール系溶媒(ケトアルコール系、エチレングリコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系を含む。)、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒等が挙げられ、これらの中でもアルコール系溶媒及び脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
このような第1記録層の作成方法としては、有機色素及び/又は金属錯体色素を有機溶媒等の溶媒に溶解又は分散させて混合液を得、この混合液を基板10上に塗布し、塗膜から溶媒を除去する等して形成させることができる。混合液の溶媒としては、アルコール系溶媒(ケトアルコール系、エチレングリコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系を含む。)、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒等が挙げられ、これらの中でもアルコール系溶媒及び脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、アルコキシアルコール系、ケトアルコール系などが好ましい。アルコキシアルコール系溶媒は、アルコキシ部分の炭素原子数が1〜4であることが好ましく、かつアルコール部分の炭素原子数が1〜5、さらには2〜5であることが好ましく、総炭素原子数が3〜7であることが好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)やエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ、エトキシエタノールともいう)やブチルセロソルブ、2−イソプロポキシ−1−エタノール等のエチレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ)系や1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。ケトアルコール系としてはジアセトンアルコール等が挙げられる。さらには2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素化アルコールも好適に用いることができる。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサンなどが好ましく、なかでもエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどが好ましい。
また、ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどが挙げられる。
本実施形態では、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素化アルコールが特に好ましい。また、エチレングリコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系が好ましく、中でもエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール等が好ましい。溶媒は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上の混合溶媒であってもよい。例えばエチレングリコールモノエチルエーテルと1−メトキシ−2−ブタノールとの混合溶媒が好適に使用される。
また、混合液は、上記成分の他にも、適宜、バインダー、分散剤、安定剤などを含有してもよい。
混合液の塗布方法としては、スピンコーティング法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などが挙げられ、これらの中でもスピンコート法が好ましい。
このようにして形成される第1記録層20の厚さは、50〜300nmとすることが好ましい。この範囲外では、反射率が低下して、DVD規格に対応した再生を行うことが困難となる。また、グルーブ12の上部に位置する第1記録層20の膜厚を100nm以上、特に130〜300nm以上とすると、変調度が極めて大きくなる。
第1記録層20の記録光及び再生光に対する消衰係数(複素屈折率の虚部k)は、0〜0.20であることが好ましい。消衰係数が0.20を超えると十分な反射率が得られない傾向にある。また、第1記録層20の屈折率(複素屈折率の実部n)は1.8以上であることが好ましい。屈折率が1.8未満の場合、信号の変調度が小さくなる傾向にある。なお、屈折率の上限は特に制限されないが、有機色素の合成上の都合から、通常2.6程度である。
第1記録層20の消衰係数及び屈折率は以下の手順に従い求めることができる。先ず、所定の透明基板上に記録層を40〜100nm程度に設けて測定用サンプルを作製し、次いで、この測定用サンプルの基板を通しての反射率あるいは記録層側からの反射率を測定することによって求められる。この場合、反射率は、記録・再生光の波長を用いて鏡面反射(5°程度)にて測定する。さらに、サンプルの透過率を測定する。そして、これらの測定値から、例えば共立全書「光学」、石黒浩三、第168〜178ページに記載の方法に準じ、消衰係数及び屈折率を算出することができる。
(半透明反射層30)
半透明反射層30は、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率がある層である。また、半透明反射層30は、光の吸収が小さく、また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、半透明反射層30は、スペーサ層40の浸み出しにより第1記録層20が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
半透明反射層30は、光透過率が40%以上あり、かつ適度な光反射率がある層である。また、半透明反射層30は、光の吸収が小さく、また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、半透明反射層30は、スペーサ層40の浸み出しにより第1記録層20が影響されないよう遮断性を持つことが望ましい。
具体的には、半透明反射層30として、例えば、反射率の高い金属または合金の薄膜を採用できる。
半透明反射層30の材料としては、再生光の波長で反射率が適度に高いもの、例えば、
Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く半透明反射層30の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。
Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く半透明反射層30の材料として適している。これらを主成分とする以外に他成分を含んでいても良い。
なかでもAgを50%以上含有する合金、例えば、Ag−Bi合金等が好ましい。Agの濃度は、98〜99.5原子%程度とすることが好ましい。
高透過率を確保するために、半透明反射層30の厚さは通常、50nm以下が好適である。より好適には30nm以下である。更に好ましくは20nm以下である。但し、第1記録層20がスペーサ層40により影響されないために、ある程度の厚さが必要であり、通常3nm以上とする。より好ましくは5nm以上とする。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
半透明反射層30を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、半透明反射層30と第1記録層20との間や半透明反射層30とスペーサ層40との間に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
(スペーサ層40)
スペーサ層40は、半透明反射層30と第2記録層50とを離隔する透明な層である。このスペーサ層40は、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等の光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を架橋させて硬化することにより形成された硬化物である。さらに、このスペーサ層40の第2記録層50と接触する表面についての、20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°である。さらに、このスペーサ層40の第2記録層50と接触する表面のESCA測定におけるピーク面積比R=((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
スペーサ層40は、半透明反射層30と第2記録層50とを離隔する透明な層である。このスペーサ層40は、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等の光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を架橋させて硬化することにより形成された硬化物である。さらに、このスペーサ層40の第2記録層50と接触する表面についての、20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°である。さらに、このスペーサ層40の第2記録層50と接触する表面のESCA測定におけるピーク面積比R=((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。
なお、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)測定とは、表面に対してX線を照射し、表面から放出される光電子の運動エネルギーに基づいて、結合エネルギーの強度スペクトルを測定するものである。このスペクトルチャートにおいて、C−C結合は285eV付近に強度ピークが発現し、C=O結合は287eV付近にエネルギー強度ピークが発現し、O−C=O結合は289eV付近に強度ピークが発現する。
具体的には、例えば、ESCAによるC1sのスペクトルをとると、例えば、図2のようなスペクトルカーブAが得られる。このスペクトルカーブAをガウス関数に分解すると、(a),(b),(c),(d)の4つのピークが得られる。ここで、(a)のピークは289eV付近(例えば289.07eV)のO−C=O結合、(b)のピークは287eV(例えば287.08eV)のC=O結合、(c)のピークは286eV(例えば286.35eV)のC−O結合、(d)のピークは285eV(例えば284.96eV)のC−C結合をそれぞれ意味する。C=O結合のピーク面積とは287eV付近のピーク面積を意味し、O−C=O結合のピーク面積とは289eV付近のピーク面積を意味し、C−C結合のピーク面積とは285eV付近のピーク面積を意味する。
具体的には、例えば、ESCAによるC1sのスペクトルをとると、例えば、図2のようなスペクトルカーブAが得られる。このスペクトルカーブAをガウス関数に分解すると、(a),(b),(c),(d)の4つのピークが得られる。ここで、(a)のピークは289eV付近(例えば289.07eV)のO−C=O結合、(b)のピークは287eV(例えば287.08eV)のC=O結合、(c)のピークは286eV(例えば286.35eV)のC−O結合、(d)のピークは285eV(例えば284.96eV)のC−C結合をそれぞれ意味する。C=O結合のピーク面積とは287eV付近のピーク面積を意味し、O−C=O結合のピーク面積とは289eV付近のピーク面積を意味し、C−C結合のピーク面積とは285eV付近のピーク面積を意味する。
本実施形態において硬化させる硬化性樹脂は、C=O結合及びO−C=O結合のいずれか一方または両方を有するモノマーを含む。ここで、C=O結合におけるCの他の結合相手は、O以外のたとえばCやH等の元素である。
このようなモノマーとして、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル,カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル,ジシクロペンタニル,ジシクロペンテニル,ジシクロペンテニロキシエチル等の如き基を有する(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。また、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アクリレート以外にN−ビニル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等のモノマーが挙げられる。また、硬化性樹脂はC=O結合又はO−C=O結合を有さないモノマーを含んでも良い。そして、上述のようなC=O結合及びO−C=O結合の少なくとも一方または両方を有するモノマーを単独又は複数含み、必要に応じて、さらにC=O結合又はO−C=O結合を有さないモノマーを混合した硬化性樹脂を硬化させることにより、接触角が上述の範囲となり、かつ、ESCAのピーク面積比Rが上述の範囲となる硬化性樹脂の硬化物を容易に得ることができる。
なお、この硬化性樹脂は、光の照射や加熱による硬化性を高めるため、光重合開始剤や熱重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤や熱重合開始剤としては、一般に光重合開始剤や熱重合開始剤として用いられているものから、その反応性等を考慮して適宜選択して用いることができる。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、ベンゾインオキシムケトン、ベンジルジアルキルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア(IRG)184)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア819)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)、[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)、およびこれらの混合物、例えば、イルガキュア184とベンゾフェノンの混合物(イルガキュア500)、ダロキュア1173とイルガキュア184の混合物(イルガキュア1000)などが挙げられる。なお、上記の「イルガキュア」及び「ダロキュア」は登録商標である。また、熱重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、パラフェニレンジアミンなどが挙げられる。
また、硬化性樹脂は、表面改質のための添加剤を含んでも良い。表面改質のための添加剤としては、反応性シリコーン系化合物、非反応性シリコーン系化合物等が挙げられる。反応性シリコーン系化合物としては、ポリシロキサンの側鎖または末端をアミノ変成、カルボキシル変成、カルビノール変成、メタクリル変成、アクリル変成、メルカプト変成、フェノール変成、エポキシ変成したもの等が挙げられる。非反応性シリコーン系化合物としては、非変成シリコーン系化合物または、ポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル変成、メチルスチリル変成、アルキル変成、高級脂肪酸エステル変成、高級アルコキシ変成、フッ素変成したもの等が挙げられる。そして、ベースとなる硬化性樹脂との相溶性、粘度、反応性などを勘案しながら所望の表面性が得られるよう添加剤を適宜選択すればよい。
上述の如き硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光等の光を照射し又は加熱して硬化させることにより、スペーサ層40としての硬化物を形成することができる。
塗布液の塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。また、粘度の高い樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。硬化性樹脂は、20〜40℃において液状であるものを用いると、溶媒を用いることなく塗布でき好ましい。また、粘度は20〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
スペーサ層40の膜厚は、通常5μm以上が好ましい。第1記録層20と第2記録層50とに別々にフォーカスサーボをかけるためには両記録層の間にある程度の距離が必要である。フォーカスサーボ機構にもよるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上の距離が必要である。
但し、スペーサ層40があまり厚いと2層の記録層にフォーカスサーボを合わせるのに時間を要し、また対物レンズの移動距離も長くなり、さらに、硬化に時間を要し生産性が低下するなどの問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。
スペーサ層40上には、基板10と同様に、第2記録層50用のグルーブ42が形成されている。グルーブ42は、2P法、すなわち、凹凸を持つ樹脂スタンパ等から光硬化性樹脂などの硬化性樹脂に転写、硬化させて製造することができる。
なお、スペーサ層40は、図1に示すように1層でもよいが、図3のように上層40a、及び、下層層40bを含む2層でもよく、さらに、3層以上でも良い。いずれの場合でも、第2記録層50と接触する上層40aは硬化性樹脂を硬化した硬化物により形成され、上層40aの表面の接触角及びESCAによるピーク面積比Rは上述の条件を満たす。
なお、上層40a以外の層の材料は透明であれば特に限定されず、種々の硬化性樹脂の硬化物等が利用できる。
(第2記録層50)
第2記録層50は、有機色素及び/又は金属錯体色素を含むものである。
第2記録層50は、有機色素及び/又は金属錯体色素を含むものである。
なお、色素の例示や第2記録層の形成方法は、第1記録層20と同様であるのでここでは記載を省略する。第2記録層50中の色素は第1記録層20中の色素と同一でも異なってもよい。
(反射層60)
反射層60は、光を反射する層であり、例えば、光反射率の金属または合金の薄膜を採用できる。金属及び合金としては、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、AgCuなどが挙げられる。反射層60の厚さは10〜300nmであることが好ましい。このような反射層60は、蒸着、スパッタ等により容易に形成可能である。
反射層60は、光を反射する層であり、例えば、光反射率の金属または合金の薄膜を採用できる。金属及び合金としては、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、AgCuなどが挙げられる。反射層60の厚さは10〜300nmであることが好ましい。このような反射層60は、蒸着、スパッタ等により容易に形成可能である。
(接着層70)
接着層70は、ダミー基板80と反射層60とを接着する層である。接着層70は、透明である必要はないが、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと光記録媒体の形状安定性が高くなり好ましい。
接着層70は、ダミー基板80と反射層60とを接着する層である。接着層70は、透明である必要はないが、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと光記録媒体の形状安定性が高くなり好ましい。
また、反射層60に悪影響を与えることを抑制すべく、接着層70と反射層60との間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。
接着層70の膜厚は、十分な接着力を得つつ、十分な生産性をうるべく通常2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。但し光記録媒体をできるだけ薄くするために、また硬化時間を低減して生産性を向上させるべく、通常、100μm以下が好ましい。
接着層70の材料は、ホットメルト接着剤、紫外線硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、
粘着型接着剤、感圧式両面テープ等が用いられ、それぞれにあった方法、例えば、ロールコーター法や、スクリーン印刷法、スピンコート法などが挙げられる。DVD±Rの場合、作業性や生産性、ディスク特性などから総合的に判断して紫外線硬化接着剤を用い、スクリーン印刷法やスピンコート法が用いられる。
粘着型接着剤、感圧式両面テープ等が用いられ、それぞれにあった方法、例えば、ロールコーター法や、スクリーン印刷法、スピンコート法などが挙げられる。DVD±Rの場合、作業性や生産性、ディスク特性などから総合的に判断して紫外線硬化接着剤を用い、スクリーン印刷法やスピンコート法が用いられる。
(ダミー基板80)
ダミー基板80は、基板10と同様の基板である。なお、ダミー基板は透明である必要はない。
なお、上記光記録媒体100において、スペーサ層40と第2記録層50との間以外であれば、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。
ダミー基板80は、基板10と同様の基板である。なお、ダミー基板は透明である必要はない。
なお、上記光記録媒体100において、スペーサ層40と第2記録層50との間以外であれば、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。
上記構成を有する光記録媒体100に記録又は追記を行う際には、所定波長の記録光を、光記録媒体100の基板10の面、すなわち、図1に示すように、光記録媒体100の下面からパルス状に照射する。すなわち、本光記録媒体では、基板10の外表面が光入射面10aとなる。このとき、適切なフォーカシングを行うことにより、第1記録層20又は第2記録層50の内の所望の部分に光のエネルギーを選択的に吸収させ、その部分の記録層の光反射率を変化させる。
また、読み出しをする場合には、記録時よりは弱い読出し光を同様にして第1記録層20又は第2記録層50の所望の部分にフォーカシングし、反射率の違いを測定すればよい。
そして、本実施形態に係る光記録媒体100では、スペーサ層40の内の第2記録層と接する面、すなわち、スペーサ層40や上層40aが硬化性樹脂を硬化した硬化物により形成され、この面の接触角は75〜90°、さらに、ESCA測定においてピーク面積比R=((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である。これにより、スペーサ層40への色素含有溶液の塗布性が良好となるので第2記録層50を好適に形成することができ、したがって記録性能が従来に比して良好な値を示す。
ここで、スペーサ層40の内の第2記録層と接する面が硬化性樹脂を硬化した硬化物であっても、接触角が75〜90°以外では十分な記録特性が得られず、また、スペーサ層40の内の第2記録層と接する面のピーク面積比が0.05〜0.30以外であっても十分な記録特性が得られない。
なお、上記実施形態では、記録層として2層の記録層を備える光記録ディスクについて説明したが、記録層を3層以上設けてもよい。この場合でも、上述のスペーサ上に上述の記録層が形成されていれば良好な特性が得られる。
(光記録媒体の製造方法)
続いて、この光記録媒体の製造方法について図4及び図5等を参照して説明する。まず、図4の(a)及び図5の(b)を参照してスペーサ層40が1層である場合について説明する。
続いて、この光記録媒体の製造方法について図4及び図5等を参照して説明する。まず、図4の(a)及び図5の(b)を参照してスペーサ層40が1層である場合について説明する。
最初に、図4の(a)に示すように、一面側にプリグルーブ12を有する基板10に対して前述した第1記録層用塗布液を塗布し乾燥させて第1記録層20を形成する。次いで、第1記録層20上に、半透明反射層30を形成する。
続いて、第2記録層のグルーブに対応する突起部42aを有するスタンパSを用意し、このスタンパSの突起部42aを半透明反射層30に対して対向配置させ、スタンパSと半透明反射層30間に前述のスペーサ用硬化性樹脂を挟み込み、スタンパと基板とを高速回転させて余分な硬化性樹脂を除去した後、スタンパ越しに紫外線を照射する又は加熱することにより硬化性樹脂を硬化させる(図5の(a)参照)。そして、図5の(a)に示すように、スタンパSを剥離することにより、トラッキング溝としてのグルーブを42有するスペーサ層40を半透明反射層30上に形成する。その後、前述のようにしてスペーサ層40上に第2記録層50、反射層60、ダミー基板80及び接着層70を形成して、図1に示すような光記録媒体100が得られる。
続いて、スペーサ層40が2層である場合について説明する。ここでは、図4の(b)に示すように、予めスタンパS上に前述のスペーサ用硬化性樹脂を塗布し、その後紫外線の照射や加熱により硬化させて硬化物からなる上層40aをスタンパS上に形成する。
続いて、スタンパSを半透明反射層30と対向配置し、スタンパSと半透明反射層30との間に別の下層40bを、例えば、別の光硬化性樹脂等を充填して硬化させる等により形成し、その後、図5の(b)に示すようにスタンパSを剥離すれば、図3に示すような光記録媒体が完成する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5)
各実施例においては、一部グルーブの無い部分を設けた、接触角及びESCA測定用の光記録媒体と、グルーブを通常どおり設けた、色素塗布性及び記録特性試験用の光記録媒体とを作成した。
各実施例においては、一部グルーブの無い部分を設けた、接触角及びESCA測定用の光記録媒体と、グルーブを通常どおり設けた、色素塗布性及び記録特性試験用の光記録媒体とを作成した。
(スペーサ用硬化性樹脂)
図6の実施例1〜5に示すような硬化性樹脂を用意した。
図6の実施例1〜5に示すような硬化性樹脂を用意した。
(色素塗布性及び記録特性試験用の光記録媒体の製造)
一面側にらせん状のプリグルーブを有する直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板を準備した。次に、アゾ金属錯体色素A16及びシアニン色素T53を、60:40の重量比率となるように、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに0.8重量%加えて第1記録層用塗布液を調製した。得られた第1記録層用塗布液を上記ポリカーボネート樹脂基板のプリグルーブが形成された面上に2000rpmのスピンコート法により塗布し、80℃で1時間乾燥させて第1記録層(厚さ110nm)を形成した。次いで、この第1記録層上に、スパッタ法によりAg−Bi合金により半透明反射層(厚さ12nm)を形成した。
一面側にらせん状のプリグルーブを有する直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板を準備した。次に、アゾ金属錯体色素A16及びシアニン色素T53を、60:40の重量比率となるように、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに0.8重量%加えて第1記録層用塗布液を調製した。得られた第1記録層用塗布液を上記ポリカーボネート樹脂基板のプリグルーブが形成された面上に2000rpmのスピンコート法により塗布し、80℃で1時間乾燥させて第1記録層(厚さ110nm)を形成した。次いで、この第1記録層上に、スパッタ法によりAg−Bi合金により半透明反射層(厚さ12nm)を形成した。
続いて、第2記録層の渦巻き形状のグルーブに対応する突起部を有するポリオレフィンスタンパを用意し、このポリオレフィン製スタンパの突起部を半透明反射層に対して対向配置させ、スタンパと半透明反射層間に上述の実施例1〜5のスペーサ用硬化性樹脂を挟み、スタンパと基板とを高速回転させて余分な硬化性樹脂を除去した後、ポリオレフィンスタンパ越しに紫外線を照射する又は加熱することにより硬化性樹脂を硬化させた。そして、ポリオレフィンスタンパを剥離することにより、トラッキング溝としてのグルーブを有するスペーサ層(膜厚55μm)を半透明反射層上に形成した。
次に、アゾ金属錯体色素A3及びシアニン色素T49を、35:65の重量比率となるように、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに1.0重量%加えて第2記録層用塗布液を調製した。得られた第2記録層用塗布液を上記スペーサ層上に2000rpmのスピンコート法により塗布し、80℃で1時間乾燥させて第2記録層(厚さ130nm)を形成した。このとき、スペーサ層上に第2記録層用塗布液が塗布欠けやハジキ等無くきれいに塗布できたかどうか(色素塗布性の良否)を確認した。次いで、この第2記録層上に、スパッタ法によりAgにより反射層(厚さ120nm)を形成した。
さらに、直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板を準備し、反射層と対向配置し、反射層とポリカーボネート基板との間に紫外線硬化樹脂を挟み込み、下側の基板と上側の基板とを高速回転させて余分な紫外線硬化樹脂を除去し、上側の透明な基板越しに紫外線硬化樹脂に紫外線を照射してこの紫外線硬化樹脂を硬化させて接着層を形成し、光記録媒体を完成させた。
そして、この様にして得られた光記録媒体の第2記録層の記録パワーを、波長650nmのレーザ及びNA=0.65の光ヘッドを搭載したパルステック工業製光ディスク評価装置(0DU−1000)を用いて測定した。ここでは、線速7.68m/sとし、アイの中心が14T信号の波形の中心に位置するアイパターンが得られる値として記録パワーを求めた。続いて、この記録パワーにより、記録を行い、第2記録層について、トラッキング特性、反射率(14T信号のブランクに相当する部分の反射レベルをいう)、ジッター値(再生信号のクロック信号に対する時間軸上の変動値、すなわち、時間変動の標準偏差をいう)について測定した。なお、トラッキング特性はODU−1000のトラッキングサーボの調整範囲内において、トラッキングが可能かどうかにより判断した。
(接触角及びESCA測定用の光記録媒体)
直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板と、第2記録層の渦巻き形状のグルーブに対応する突起部を有するポリオレフィンスタンパを用意し、このポリオレフィン製スタンパの突起部をポリカーボネート基板に対して対向配置させ、スタンパとポリカーボネート基板との間に前述のスペーサ用硬化性樹脂を挟み、スタンパとポリカーボネート基盤とを高速回転させて余分な硬化性樹脂を除去した後、ポリオレフィンスタンパ越しに紫外線を照射又は加熱により硬化性樹脂を硬化させた。その後、ポリオレフィンスタンパを剥離することにより、トラッキング溝としてのグルーブを有するスペーサ層(厚み55μm)をポリカーボネート基板上に形成した。ここで、予めスタンパの半径24mm以下の部分にはグルーブ層を設けないミラー部分を設けておき、スペーサ層の半径24mmの部分はグルーブの無いミラー状の表面となっている。そして、このスペーサ層のミラー部分で、純水により接触角の測定を行った。具体的には、協和界面化学(株)製CA−Dを接触角測定装置として用いて、20℃、相対湿度RH60%の環境下で測定を行った。続いて、このスペーサ層のミラー状の表面についてESCA測定を行った。測定には、サーモエレクトロン社製のESCALABを用い、X線源として印加電圧12kV,ビーム電流10mA,真空度7×10−7Paで行った。ここで、C−C結合(285eV付近)の強度のピーク面積と、C=O結合(287eV付近)及びO−C=O結合(289eV付近)の強度の合計ピーク面積とを取得し、面積比を求めた。
直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板と、第2記録層の渦巻き形状のグルーブに対応する突起部を有するポリオレフィンスタンパを用意し、このポリオレフィン製スタンパの突起部をポリカーボネート基板に対して対向配置させ、スタンパとポリカーボネート基板との間に前述のスペーサ用硬化性樹脂を挟み、スタンパとポリカーボネート基盤とを高速回転させて余分な硬化性樹脂を除去した後、ポリオレフィンスタンパ越しに紫外線を照射又は加熱により硬化性樹脂を硬化させた。その後、ポリオレフィンスタンパを剥離することにより、トラッキング溝としてのグルーブを有するスペーサ層(厚み55μm)をポリカーボネート基板上に形成した。ここで、予めスタンパの半径24mm以下の部分にはグルーブ層を設けないミラー部分を設けておき、スペーサ層の半径24mmの部分はグルーブの無いミラー状の表面となっている。そして、このスペーサ層のミラー部分で、純水により接触角の測定を行った。具体的には、協和界面化学(株)製CA−Dを接触角測定装置として用いて、20℃、相対湿度RH60%の環境下で測定を行った。続いて、このスペーサ層のミラー状の表面についてESCA測定を行った。測定には、サーモエレクトロン社製のESCALABを用い、X線源として印加電圧12kV,ビーム電流10mA,真空度7×10−7Paで行った。ここで、C−C結合(285eV付近)の強度のピーク面積と、C=O結合(287eV付近)及びO−C=O結合(289eV付近)の強度の合計ピーク面積とを取得し、面積比を求めた。
続いて、スペーサ層上に、上述の信頼性測定用の光記録媒体と同様にして、第2記録層、反射層、接着層、ポリカーボネートダミー基板、を形成して光記録媒体を完成させた。
その後、スペーサ層上に第2記録層、反射層、接着層、ポリカーボネート基板を形成した後も、スペーサ層の第2記録層側表面の接触角及びESCAのピーク面積比Rが所望通りに維持されているかどうかを確認する為、光記録媒体を破壊して接触角及びESCAのピーク面積比Rを再測定した。
具体的には、ディスク端面にカッターナイフの刃を押し当て、接着層を破壊しながら貼り合わされている2枚のポリカーボネート基板を剥離した。その結果、第2記録層と反射層との界面で剥離した。2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールを用いて第2記録層に用いられている色素を洗い流し、スペーサ層表面を露出させ、前述と同様にしてスペーサの表面の接触角及びESCAのピーク面積比Rを求めた。
(比較例1〜7)
スペーサ用硬化性樹脂を図6の比較例1〜7のようにする以外は実施例1と同様にした。
スペーサ用硬化性樹脂を図6の比較例1〜7のようにする以外は実施例1と同様にした。
スペーサ層表面の接触角及びESCA測定の結果を図6に示す。また、第2記録層の色素塗布性および記録特性について図7に示す。なお、第2記録層において、反射率としては16%超であることが望まれ、ジッター値は8%未満であることが望まれる。
まず、スペーサ層表面の接触角やESCAのピーク面積比Rは、第2記録層の積層前後で殆ど変わらなかった。
また、実施例1〜5のように、スペーサ層における第2記録層と接触する面の接触角が75〜90°であり、ESCA測定におけるピーク面積比Rが0.05〜0.30であると、第2記録層の色素塗布性がよく、さらに、トラッキング特性、反射率、ジッター値も良好なものとなった。
一方、接触角、及び、ESCAのピーク面積比Rの内の少なくとも一方でも上述の範囲を超えると、十分な反射率と十分に低いジッター値を得ることはできなかった。なお、比較例5〜7では、反射率やジッター値の測定が不可能であった。
10…基板、20…第1記録層、30…半透明反射層、40…スペーサ層、50…第2記録層、60…反射層、70…接着層、80…ダミー基板、12、42…グルーブ、100…光記録録媒体。
Claims (4)
- 光入射側から順に、第1記録層、スペーサ層、及び、第2記録層がこの順に積層され、
前記スペーサ層の内の少なくとも前記第2記録層と接する面はC=O結合及びO−C=O結合のいずれか一方または両方を有するモノマーを含む樹脂の硬化物により形成され、
前記第2記録層は、有機色素及び/又は金属錯体色素を含み、
前記スペーサ層の内の前記第2記録層と接する面についての20℃かつ相対湿度60%の環境下における水の接触角が75〜90°であり、
前記スペーサ層の内の前記第2記録層と接する面のESCA測定において、
((C=O結合のピーク面積)+(O−C=O結合のピーク面積))/(C−C結合のピーク面積)が0.05〜0.30である光記録媒体。 - 前記第2記録層は、有機色素を含む請求項1に記載の光記録媒体。
- 前記有機色素はシアニン色素である請求項1又は2に記載の光記録媒体。
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