JP2007272077A - 画像露光方法及び露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カラー写真感光材料上の記録された画像を別のカラー写真感光材料上に焼付ける場合に、広い濃度域でカラーバランスの好ましく調整された画像を形成する。
【解決手段】カラー写真感光材料上に記録された画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することで画像を得る工程において、分光的に少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、得られる画像の階調特性を目標の特性に調整する画像形成方法とそれに用いる露光装置。
【選択図】なし

Description

本発明はカラーネガフィルムなどのカラー画像形成写真感光材料から光学的手段により別のカラー写真感光材料上に画像を形成する方法において、原画に対して階調特性を好ましく調整し、広い濃度域で目標の好ましいカラーバランスに調整しうる画像形成方法及び露光装置に関する。
写真感光材料を用いた映画システムにおいて、映写用ポジプリントは、撮影用カラーネガフィルムに記録された画像から、光学的な露光装置を用いて映写用カラーポジ作成用フィルムに露光し、現像を行うことで作成されている。同様に原画のネガ画像から複製作成用カラーネガフィルムを用いて複製を作り、その複製を原画として、映写用ポジプリントを作成する場合もある。
このような露光装置を用いて、ポジプリントのカラーバランスを調整したい場合、3色の露光量を調整することにより行われている。このとき、全濃度域で一律に光量を変えることしかできないため、ある基準の濃度において色調を合わせることができるが、広い各濃度域でのカラーバランス(色調)を好ましく調整することはできなかった。
また、撮影された原画像のネガフィルムは貴重であり、損傷を防ぐ目的で複製ネガが作製され、その複製ネガから映写用ポジ作成フィルムに露光し現像処理により映写用ポジ画像を得ることも行われる。
近年は、撮影シーンと背景の合成や編集がデジタル的な画像処理装置で行われるようになり、撮影された原画像のフィルムは専用の画像入力装置で読み取られ、デジタルデータに変換した後、画像のシーンの合成や編集を行うことが多く行われるようになった。この場合は、シーンの合成や編集が行われたデジタル画像データを専用の光学式露光装置を用いてカラーネガ作成用フィルムに露光し、現像処理によってネガ画像を作成し、そのネガ画像から光学的な露光装置を用いて映写用ポジ作成用フィルムに露光し、現像処理によって映写用ポジ画像を得る方法が用いられている。
何れの場合においても、画像の記録された写真用感光材料から、他の写真用感光材料に光学的に露光する工程が含まれる。
撮影用カラーネガフィルム、光学式画像露光用カラーネガフィルム、複製作成用フィルム、映写用カラーポジ作成用フィルムは特性の異なる多くの製品が市販され、また、同一製品で有っても、撮影環境条件、露光装置の種類、現像処理に起因する変動要因などにより変化を受けることにより、必ずしも一定の好ましい色の映写用ポジ画像を得られるとは限らない。
また、制作者の意図により、標準的な仕上がりの色とは異なる色調に変化させたい場合がある。
ポジ画像の仕上がり品質を評価する場合、広い濃度域のグレイを含むシーンを撮影するか、濃度の異なるグレイのチャートを撮影したシーンからポジ画像を作製し、得られたポジ画像の色を、目的の色に合うように、光学的露光装置の三色の光強度バランスを調節することが行われている。
映写用ポジプリントは広い濃度域にわたって三色の色調を調整できて、目的とする色調に仕上がることが好ましいが、前記の方法では全面に一定の光量を加減することしかできないため、注目した濃度について色調(グレイバランス)を合わせることはできるが、他の濃度では、その調整量に応じて変化してしまい、望ましい結果とはならない場合がある。
撮影用カラーネガフィルム及び映写用カラーポジ作成用フィルムの分光感度及び発色色材の分光特性は、使用される露光システムについて、それぞれ最適化が図られており、意図的に各色の階調を調整することは困難である。カラー感光材料は複数の製造会社から、複数の品種が市販されており、用いるカラーネガフィルムとカラーポジ用フィルムの組み合わせにより、例えばグレイトーンのシーンを撮影した場合、広い濃度範囲にわたって、好ましいグレイバランスに合ったポジプリントに仕上がらない場合がある。
本発明は広い濃度範囲において好ましい色調に調整することを目的に、階調特性を調整するフィルタにより画質を向上させる方法及び露光装置に関するものである。類似した発明としては、カラーネガフィルムからカラー印画紙上に露光してポジプリントを得る露光装置において、露光時に、ネガ画像とポジ画像プリント用カラーペーパーの間にバンドストップ型の光学フィルタを挿入して露光し、現像することで、ポジプリントの色彩度を向上できることが知られている(特許文献1)。特許文献2にはガラス基板上に無機塩を蒸着した干渉フィルタの製作方法および、そのフィルタを用いることにより、プリントの色彩度を向上できたことが記載されている。また、特許文献2にはカラーリバーサルのポジ画像から、ポジ発色方式の反転カラーペーパーに露光し、色彩度を向上できたことが知られている。
これらの従来技術は、発色化合物の分光特性と、プリント作成用感光材料の分光感度特性とに注目し、二つの感光層の分光感度のオーバーラップ部分による混色成分に起因する彩度の低下を低減することによって、色の彩度の改善を目的としたものである。
そのためこの従来技術では、カラープリントの階調特性を任意に調整し、画質を改善することはできなかった。
特開昭53−64037号公報 特開平2−71202号公報
本発明は、カラー写真感光材料上の記録された画像を別のカラー写真感光材料上に焼付ける場合、例えば、映画撮影用カラーネガフィルムに記録されたネガ画像から光学的な露光装置を用いて映写用カラーポジ作成用フィルム上にポジ画像を作成する場合において、カラー感光材料上に記録された画像を形成している発色色素の分光特性と、露光されるカラー感光材料の分光感度特性から好ましい分光特性変更フィルタを選択して用いることにより、広い濃度域でカラーバランスの好ましく調整されたポジ画像を得ることを目的としている。
さらに本発明の目的は、写真特性の異なる、撮影用カラーネガもしくは、光学式画像露光装置用カラーネガフィルムを原画として露光して、一定の、好ましい色、または所望の色調のポジないしはネガ画像を得ることができる露光方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は上記の露光方法に使用するのに好適な露光装置を提供することを目的とする。
本発明の上記の目的は、以下の手段により解決された。
(1)カラー写真感光材料上に記録された画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することで画像を得る工程において、分光的に少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、得られる画像の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする画像形成方法。
ここで、「分光感度の重心波長」とは、光源の分光エネルギー強度と感光材料の分光感度(真数)の積を求めた場合の平均値となる波長をいう(以下、重心波長という)。
(2)カラー写真感光材料上に記録されたネガ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでポジ画像を得る工程において、少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、前記ポジ画像の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする映写用ポジ画像の画像形成方法。
(3)カラー写真感光材料上に記録されたネガ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでポジ画像を得、更にそのポジ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでネガ画像の複製を得る工程において、分光的に少なくとも一つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、ネガ画像の複製の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする画像形成方法。
(4)カラー写真感光材料上に記録された画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することで画像を得る露光装置において、分光的に少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを、露光用光の分光前又は分光した光の合成後の光路に挿入し、得られる画像の階調特性を目標の特性に調整できることを特徴とする露光装置。
本発明においては、用いられる光学的な露光装置と、原稿となるカラー写真感光材料種類と、露光されるカラー写真感光材料の種類の組み合わせごとに、階調変化係数を予め算出して提供する。本発明によれば、当該作業者が、フィルタによる色の変化量を予測でき、簡便に階調調整を行えることによって、望ましい色バランス(例えば広い濃度域においてグレイを好ましいバランスに近づけるよう)に調整し、画質を向上できる。
より具体的には本発明は次のような優れた効果を奏する。
1)映画用ポジプリント作成、複製ネガ作成、複製ネガからのポジプリント作成において、3色の階調バランスを調整できることにより、広い濃度域で色バランス(グレイバランス)の合った好ましいプリントを作成できる。
2)本発明の露光装置において所望の分光特性変更フィルタの選択は、階調変化係数という簡便な指標を用いることにより決定でき、選択が容易に行える。
3)映画システム用に各種のデジタル露光装置が使われる例が多くなったが、例えば、レーザーを用いた露光装置の場合、走査露光を行うため、露光に時間がかかり生産性が劣る。これに対し本発明で用いる、光学的な露光装置では露光時間を短くできるため、生産性が高い。
4)簡便な方法で、生産性が高く、高画質のプリントを作成できる。
本発明においては、カラー感光材料に用いられる、発色色素の分光特性が、各波長で異なることに注目し、光学的な露光装置の露光用の光路に、露光されるカラー写真材料の分光感度の重心波長を変化させるような分光フィルタを挿入し、得られる画像のコントラストを調整する。
この目的に用いられるフィルタは、露光される写真感光材料の分光感度域を矩形に制御できることが重要であり、特開平2−71202号公報に示すような、透明なガラス基板の表面に無機塩を蒸着した干渉フィルタを用いることが好ましい。
露光装置で原稿とされる写真感光材料の発色後の分光特性は、製品により異なる場合があること、露光される側の写真感光材料の分光感度特性も、製品により異なる場合が多いことから、同一のフィルタを用いても、得られる画像の階調特性にどのように影響するのか予測が難しい。しかし、原稿となる発色済みフィルムの種類と露光される写真感光材料の組み合わせが判れば、上記のフィルタごとに階調変化に及ぼす量を係数(以降、階調変化係数と呼ぶ)として算出することができる。本発明者はこの知見に基づき種々検討を重ね、本発明を開発することに至った。
本発明の画像形成方法に用いられる露光装置の好ましい1例を模式図として図1に示す。
図中1は露光装置の光源であり、この光源の光は、本発明の分光特性変更フィルタ6(以下、単に「フィルタ6」ということがある)を透過したのち、三色に分光され、三色のそれぞれの露光量を調整されたのち、合成されて、露光装置の後段において矢印の方向に送られるネガフィルム2に照射され、ネガフィルムと対向、並行して送り出された未露光フィルム(例えばポジフィルム)3に画像を焼き付ける焼付部4の、露光焼き付けに用いられる。5は露光済フィルムである。
本発明の分光特性変更フィルタ6はフィルタ21の位置に挿入することでも同じ効果が得られる。フィルタ6またはフィルタ21のどちらか一方に挿入して用いる。
上記の露光装置でカラー感光材料に露光する場合、原画のフィルム濃度と露光される側の感光材料の感度はそのつど異なり、また目的とする濃度値も意図により異なることから、三色の光路中にそれぞれ、露光量を調整できる機構が設けられている。
露光量調整機構は、ダイクロイックミラーDM1〜DM4を有している。
図1において光源よりの光7はレンズ8、フィルタ6を透過したのち分光されたのち露光量調整機構で調整され、そののち合成される。ダイクロイックミラー(DM1〜DM4)は上記の光源の光の分離と後段の合成の作用をする。
例えば、DM1 9は青色光(B光)を反射し、緑色光(G光)と赤色光(R光)を透過する。DM2 10はG光を透過し、赤色光(R光)を反射とすると図示の分光光路の左側がB光量調整系、中央がG光量調整系、右側がR光量調整系となる。
DM3 11はG光を透過し下面はR光を反射する。DM4 12は下面がB光を反射し上方から入射するG、R光を透過するダイクロイックミラーを示す。
DM1 9によって反射されたB光は、ミラー13、14(M1、M2)によって反射後前記DM4 12に入射する。15は、B光の光量調節器である。
DM1 9の透過光について、DM2 10はR光を反射し、G光を透過するので中央のラインがG光調整系となる。光量調節器16、DM3 11を通ったG光は、他の分光光(B光、R光)と合成され、レンズ17に集光されて、焼付部4に照射される。
DM2 10で反射されたR光はミラー(M3)18で反射され、光量調節器19を通り、ミラー(M4)20とDM3 11で反射方向調節されたのち、DM4を透過して、B光、G光と合成されて、前述のように焼付露光光となる。B光系、G光系、R光系それぞれの分光系で光量調節を行うことの作用(効果)として、目標とする濃度値の色調を所望の色調に合わせることができる作用を有し本発明におけるフィルタ6の機能を向上させる。
図1の変更態様としてフィルタは6の代わりに後段にフィルタ同様のフィルタ21を設けてもよい。本発明の露光装置においてフィルタは光源側(フィルタ6)又は後段側(フィルタ21)のいずれに設けてもよい。
本発明においては、露光する光を、好ましくは青色、緑色、赤色の三色に分光する。
次に、上記露光装置を用いる画像形成方法について説明する。
カラー感光材料上に記録されたネガ画像の分光特性と、露光されるカラーポジ用フィルムの分光感度特性、露光光源の分光特性と、光路中に挿入する分光特性変更フィルタの特性と階調変化の関係は下記の式により算出される。したがって分光特性変更フィルタ(フィルタ6)と階調変化量を予測できる特性値(階調変化係数)をユーザー提供することにより、ポジプリントの各濃度での濃度バランスを改善するためのフィルタの選択が容易となり、プリントの色調変化を経験的に予測することができる。
上記の露光装置において、露光されるフィルム上での露光濃度(以下PDと記す)は下記式で計算される。
B、G、Rの三色の感光層のPD値は、それぞれをPDb0、PDg0、PDr0とすると、次のように表される。
Figure 2007272077
ここで、T(λ)は図1のネガフィルム2の分光透過率、Sb(λ)、Sg(λ)、Sr(λ)はポジフィルム(図1の未露光フィルム3)の青色感光層、緑色感光層、赤色感光層の各感光層の分光感度、P(λ)は露光装置の光源の分光強度を表す。
この露光装置の光路に分光特性変更フィルタF(λ)(図1の6)を挿入した場合のPD値は同様に下記式で表すことができる。
Figure 2007272077
次に、ネガフィルム上2に記録された画像の分光特性から、光階調光特性変更フィルタ6を用いない場合について算出したPD値(PDb0,PDg0,PDr0)を横軸に、階調特性変更フィルタ6を挿入した場合のPD値(PDb1,PDg1,PDr1)を縦軸に作図する。
両者はほぼ直線関係となり、下記の直線の一次近似式で表される。
Figure 2007272077
係数aが1.0より大きい場合には、得られたポジ画像が硬調になることを示し、1.0より小さい値の場合には軟調になることを示している。
同様に、ユーザーの使用するネガ感光材料とポジ感光材料種類、露光装置の組み合わせについて、予め階調変化係数を算出し、階調特性変更フィルタと対応した階調変化係数との関係をユーザーに提供すれば、この数値を元に、目的の階調バランスを与えるフィルタ6を選んで装着し三色の階調バランスを調整し、広い濃度域でグレイバランスの取れたプリントを作成することができる。
同様に緑色感光層の階調を変更する場合には、ネガ画像の緑色感光層の色素の分光特性として、発色色素の分光濃度の重心波長より短波側、または長波側を使う場合が可能である。いずれを使うかはポジプリント用フィルムの分光感度特性を考慮して選ぶことができ、その特性は任意に変えることができる。
同様に、青色感光層用にも階調特性変更フィルタを選択するができ、その諧調変化係数を算出することができる。
各濃度域の色調(グレイバランス)を合わせる場合、どの感光層の階調特性を変化させることが目的とする所望の色を得るのに好ましいかは、補正したい量を加味し、予想される難易度を考慮して決めることができ、それは任意に行うことができる。本発明において、三原色のうち1色のみを補正することでもよい。
次に本発明の画像形成方法の好ましい実施態様を説明する。
第一の実施態様について説明する。
[第1の実施態様]
図1に示した露光装置を用いた。
特開平5−341416号公報の実施例に記載の試料306に示す写真感光材料の製造方法により、映画撮影用カラーネガフィルムを作製した。そのカラーネガフィルム上に、写真用感光計を用いて3200ケルビンの光源で銀ステップを密着させ露光し、指定の現像処理を行い、カラーネガ画像を得た。そのネガ画像の発色色素の分光透過率を測定した。分光透過率の測定結果を図2に示す。
3色が発色した前記カラーネガフィルムを光学的な露光装置を用いて、特開2005−121744号公報の実施例2に記載された試料201に準じて作製したポジプリント用フィルム上に露光しポジ像を得た。映写用カラーポジフィルムの分光感度を測定した結果を図3に示す。
ここで用いた光学的な露光装置の光源の分光特性を図4に示す。
次いで、露光されるフィルム上での分光露光濃度(B、G、Rの三色の感光層のPD値、PDb0、PDg0、PDr0)を前記[数1]の式(1)〜(3)によって算出した。
さらに、この露光装置の光路に分光特性変更フィルタF(λ)を挿入した場合のPDb1、PDg1、PDr1を前記[数2]の式(4)、(5)、(6)に従って算出した。
ここでは、R感光層の分光感度の短波長側をカットするように作製したフィルタ特性を図5(a)に、R感光層の長波長側をカットするように作製されたフィルタ特性を図5(b)に示した。なお、図5(a)の各フィルタの吸収曲線において、長波長側から短波長側へ移行したとき、透過度が急激に減少し、底部に達するまでの部分以外の部分では、波長630nm〜700nmの各曲線はいずれも図上区別できない程重なっている。図5(b)の各フィルタの吸収曲線において、短波長側から長波長側に移行したとき、透過度が急激に減少し、底部に達するまでの部分以外の部分では、波長650nm以上、660nm以上、670nm以上又は680nm以上をカットした各曲線はいずれも図上区別できない程重なっている。
ネガフィルム上に記録された画像の分光特性から、階調特性変更フィルタを用いない場合について算出したPD値(PDb0,PDg0,PDr0)を横軸に、階調特性変更フィルタを挿入した場合のPD値(PDb1,PDg1,PDr1)を縦軸に作図した結果を図6(a)及び図6(b)に、それぞれ示した。
両者はほぼ直線関係となり、前記[数3]の近似式が得られた。
図2に示す分光濃度特性を持つネガフィルムの発色部について計算した結果の例について説明する。発色濃度はPD値が三色とも約1.0と約2.0となる値の分光濃度値を選び、計算に用いた。この分光濃度特性を持つ画像を、図4に示す分光強度分布を持つ光源を備えた光学的な露光装置を用いて、図3の分光感度特性を持つ感光材料に露光した場合について露光濃度(PD値)を算出した結果を表1の1段目に示す。
次に、本発明のフィルタを光路入れた場合のPD値は同様に算出され、それぞれのフィルタを入れた場合についての算出結果を表1の2段目以降に示す。
Figure 2007272077
図6(a)は表1のPDr値を横軸に、それぞれのバンドストップ型フィルタを挿入した場合のPDr値を縦軸に示したものである。この図より、階調変化係数を算出した結果を表1の右欄に示す。
表1右欄の階調変化係数をフィターの関係を表2(a)に示す。
同様に、R感光層の分光感度の長波側をカットした場合についても算出することができ、表2(b)にフィルタの種類と階調変化係数を示す。
したがって、分光特性変更フィルタの分光特性の変更(フィルタの選択による)によって、階調特性を変えるという本発明の目的を達成することができ、この変更をネガフィルム上に記録された画像の分光特性、ポジの分光感度特性を参考に任意に選択することができる。
赤色感光層の露光濃度の階調を変更する場合について、図5(a)及び5(b)のような一連のフィルタを作製して露光濃度を求め、階調特性変更フィルタ無しの場合の露光濃度を基準とした階調変化係数を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2007272077
前記のように、表2においても、係数aが1.0より大きい場合には、得られたポジ画像が硬調になることを示し、1.0より小さい値の場合には軟調になることを示している。
同様に、ユーザーが使用するネガ感光材料とポジ感光材料種類、露光装置の組み合わせについて、予め階調変化係数を算出し、表2(a)、(b)に示すようにして階調特性変更フィルタと対応した階調変化係数との関係をユーザーに提供すれば、この数値を元に、三色の階調バランスを調整し、広い濃度域でグレイバランスの取れたプリントを作成することができる。
同様に緑色感光層の階調を変更する場合には、ネガ画像の緑色感光層の色素の分光濃度の重心波長より短波側、または長波側を使う場合が可能であり、ポジプリント用フィルムの分光感度特性を考慮して選ぶことができ、その特性を任意に定めることができる。
同様に、青色感光層用にも階調特性変更フィルタを選択するができ、その諧調変化係数を算出することができる。
各濃度域の色調(グレイバランス)を合わせる場合、どの感光層の階調特性を変化させることが目的とする所望の色を得るのに好ましいかは、補正したい量を加味し、予想される難易度を考慮して決めることができるが、その選択には任意性がある。
[第2の実施態様]
階調特性変更フィルタを用いないで、原稿のネガ画像からポジプリントを作製した結果から、階調変更特性変更フィルタを選ぶ方法である。
ポジ画像中のグレイチャート部を、人間の視覚特性に近い分光感度特性を持った濃度計として推奨されるステイタスA濃度で測定する。
グレイチャート部の露光量が既知であれば、写真業界で一般に使われる特性曲線として、横軸に露光量の対数の相対値、縦軸に濃度をスケールとして表示できる。
しかし通常は、露光量を知ることは難しいため、図7のように、Gフィルタ濃度を横軸に、Rフィルタ濃度とBフィルタ濃度を縦軸に作図することができる。
図7から、G濃度に対して、Rフィルタ濃度が低く再現していることが判る。このときのRフィルタ濃度はGフィルタ濃度に対して
Y=1.045x−0.0455
となっている。
Rフィルタの目標濃度がGフィルタ濃度と同じ(1.0)とするならば、階調を表す係数は、1.045を1.0に変換するための係数、すなわち1.0/1.045=0.957が変更したい階調変化量となる。
表2(a)より、700nm以下をカットする階調特性変更フィルタを用いるか、表2bに示す670nm以上をカットする階調特性変更フィルタを用いることにより、ほぼ全濃度域のグレイを望ましいグレイに補正できることを示している。
もし、階調特性変更フィルタにより露光量が不足となり、露光装置で露光できない場合には、その最も近い露光可能な数値を選ぶこともできる。その場合は階調補正が不十分な結果となるが、その程度を階調補正係数より定量的に予測できることになる。
三色の感光層について、全色が軟調化するような階調特性調整フィルタを組み合わせて用いることにより、色調(グレイバランス)を保ったまま、画像のコントラストを軟調化させることも可能である。
それとは反対に、三色が硬調となるようなフィルタの組み合わせを選ぶことにより、コントラストを硬調にすることも可能である。
[別の実施態様]
映画システムでは、撮影したネガそのものは貴重であり、損傷を防ぐため、ネガ型感光材料を用いて、実施例1と同じ装置または同様の装置を用いて、ネガの複製(デュープネガ)を作成し、それを原画像としポジプリントを作成することが行われる。
前記カラーネガフィルムを用いて複製ネガ(デュープネガ)を作製し、その複製ネガ画像からポジ画像を作製する場合の作業手順を図8に示す。
図8を説明すると、撮影用カラーネガフィルムを用いて撮影し、現像処理をされた後に得られたネガ画像を用い、光学的手段による露光装置を用いて、複製作成用ネガフィルムに露光し、現像処理をすることでポジ画像が得られる。
得られたポジ画像を、同一の露光装置を用いて、前記と同じ複製作成用ネガフィルムに露光され、現像処理をすることで原画の複製ネガ画像が得られる。複製ネガ画像からは、撮影されたのち現像処理で得られた原画と同様に、前記と同じ機能を持つ光学的手段による露光装置を用いて、映写用ポジフィルムへ露光され、現像処理を行うことで、映写用ポジ画像が得られる。
この例では3回の露光工程が含まれるが、それぞれの段階で、露光装置の露光量調整部を調整して画像の仕上がり濃度を調整が行われる。
原画の複製ネガから映写用ポジフィルムを作製する場合の多くは、タイトル入れやシーンの入れ替えなどの編集が行われた後の映像の原画が用いられる。
最近は、電子的手段によるデジタル画像編集作業が多く行われるようになってきた。デジタル画像編集作業を行う場合、撮影し現像処理後に得られる原画は、専用の画像入力装置(スキャナ)を用いて電子化された映像データに変換され保存される。この電子化された映像データに対して、背景画像との合成、シーン切り張りなどの編集作業が行われる。編集作業を施された映像データが、光学的手段による露光装置を用いて、ネガ形感光材料焼き付けが行われ、現像処理によってネガ画像が得られる。
得られたネガ画像からは、前記撮影用ネガフィルムに記録されたネガ画像から複製ネガを作成し、そののち、映写用ポジ画像を作成したのと同じ工程が適用され、映写用ポジ画像が得られる。
また、近年は画像合成と編集作業が電子化されてきており、撮影された原画はカラースキャナを用いて入力し、その画像データを、コンピュータを用いて他の画像との合成や編集が行われる。画像合成や編集作業を施された画像データは、光学的な露光装置を用いてネガ型写真感光材料に露光され、現像処理によりネガ画像が得られる。得られたネガ画像を原稿として、その複製ネガを作成することも行われる。この場合の作業の流れを図8中の上部右側の工程に示す。
本発明の階調特性変更フィルタを用いて階調バランス(または各濃度におけるグレイバランス)を調整する場合、原画が記録されたネガ画像から複製作製用カラーネガフィルム(インターミディエイトフィルム)上にポジ画像(マスターポジと呼ぶ)を形成する工程、ここで得られたポジ画像からカラーネガフィルム上にネガ画像(複製ネガ:デュープネガ)を形成する工程、更に複製ネガからカラーポジフィルム上にポジ画像を形成する工程の何れの工程でも本発明の手法を実施できる。
原画像を記録したカラーネガフィルムと同じフィルムを用いて、マスターポジを作製する工程に適用した場合について、実施例1と同じ階調特性変更フィルタを用いたときの階調変化係数を表3に示す。
Figure 2007272077
更に、同じカラーフィルムを用いて、マスターポジから複製ネガを作製する工程では、形成されているカラー画像の発色色素の分光特性と、露光されるネガフィルムの分光感度は、前の工程と同じであるので表2の階調変化係数を適用することができる。
複製ネガに記録された画像からポジプリントを作製する工程については、第1の実施態様と同じであるので表1の階調変化係数を適用することができる。
マスターポジを作製し、それを原稿として複製ネガを作製する場合は第1の実施態様よりも、2工程多く調整作業を行えるので、階調変化の幅を大きく変化させることができる。
以上のように、本発明の方法を用いて、階調補正を行うことにより、広い濃度範囲にわたって、好ましい色調(グレイバランス)に修正されたポジ画像を得ることができることができた。
本発明の好ましい態様をまとめると次のとおりである。
(1)映画用撮影ネガまたは複製ネガから、ポジプリント用感光材料に露光する態様
(2)映画用撮影ネガからインターミディエイトフィルムに露光してマスターポジを作成する態様
(3)マスターポジからインターミディエイトフィルムに露光して複製ネガを作成する態様
(4)汎用カラーネガフィルムからカラーペーパーに焼く付けを行う光学露光装置の実施態様
本発明の露光装置とそれを用いた画像形成方法は、1)映画システムにおける、ネガからポジプリント作成、2)映画システムにおける、複製ネガ作成、複製ネガからのポジプリント、3)汎用ネガ/ポジプリントシステムにおける濃度バランス補正などにも有用である。
本発明の露光装置の1例を示す模式図である。 第1の実施態様に用いたカラーネガフィルムの分光濃度を示すグラフである。 映写用カラーポジフィルムの分光感度の測定結果を示すグラフである。 光学的な露光装置に用いた光源の分光特性を示すグラフである。 赤感光層用階調調整フィルタの分光特性を示すグラフである。(a)は短波長側カット用、(b)は長波長側カット用である。 フィルタを用いない場合のPD値と階調特性変更フィルタを挿入した場合のPD値との関係を示すグラフである。(a)は短波長側カットの例、(b)は長波長側カットの例である。 Gフィルタ濃度とR及びBフィルタ濃度との関係を示すグラフである。 カラーネガフィルムから複製ネガを作製し、これからポジ画像を作製する場合の作業手順図である。
符号の説明
1 光源
2 ネガフィルム
3 未露光フィルム
4 焼付部
5 露光済フィルム
6,21 フィルタ
7 光
8,17 レンズ
9〜12 ダイクロイックミラー
15,16,19 光量調節器

Claims (4)

  1. カラー写真感光材料上に記録された画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することで画像を得る工程において、分光的に少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、得られる画像の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする画像形成方法。
  2. カラー写真感光材料上に記録されたネガ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでポジ画像を得る工程において、少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、前記ポジ画像の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする映写用ポジ画像の画像形成方法。
  3. カラー写真感光材料上に記録されたネガ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでポジ画像を得、更にそのポジ画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することでネガ画像の複製を得る工程において、分光的に少なくとも一つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを露光装置の光路中に挿入することにより、ネガ画像の複製の階調特性を目標の特性に調整することを特徴とする画像形成方法。
  4. カラー写真感光材料上に記録された画像を光学的手段により、別のカラー写真感光材料上に露光し現像することで画像を得る露光装置において、分光的に少なくとも1つの分光感度の重心波長を変化させるフィルタを、露光用光の分光前又は分光した光の合成後の光路に挿入し、得られる画像の階調特性を目標の特性に調整できることを特徴とする露光装置。
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