JP2007271945A - 色覚障害者を考慮した物品および彩色方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】色覚障害がある人にもない人にも認識しやすい物品を提供する。
【解決手段】本発明では、物品1の一部の領域12が、正面から見た場合と斜め方向から見た場合とで色相(反射波長)がシフトするようにする。これにより、色覚障害のある人が正面から見た場合に認識しにくい色相であっても、斜め方向からみることにより、認識しやすい色相に変化するため、色覚障害がある人にもない人にも認識しやすい物品を提供することができる。
【選択図】図4
【解決手段】本発明では、物品1の一部の領域12が、正面から見た場合と斜め方向から見た場合とで色相(反射波長)がシフトするようにする。これにより、色覚障害のある人が正面から見た場合に認識しにくい色相であっても、斜め方向からみることにより、認識しやすい色相に変化するため、色覚障害がある人にもない人にも認識しやすい物品を提供することができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、彩色された物品に関し、特に、色覚障害者に認識しやすい彩色がなされた物品に関する。
色盲、色弱といわれる色覚障害をもつ人の割合は、先天性色覚障害の場合、黄色人種で男性の5%、女性の0.2%程度、白色人種で男性の8%、女性の0.5%程度であり、極ありふれた障害である。そのほとんどは、赤色〜緑色波長域で色の差を識別しにくい赤緑色覚障害である。しかし、色覚障害があっても実際にはかなりの色を見分けられることや、過去に社会的な差別や偏見があったという経緯から、色覚障害があることを表明しにくい状況にあった。そのため、他の障害と比較して、色覚障害がある人への配慮はあまりなされていなかった。
近年では、特許文献1に記載されているように、画像表示装置の赤色表示色や緑色表示色を、映像信号の変換によって他の表示色に代替させることにより、赤緑色覚障害者に判別しやすい画像を表示するシステムが提案されている。
特開平11−175050号公報
箸や、歯ブラシ、ボードゲームの駒など、日常的に使用される物品の多くは彩色が施され、その彩色によって他の箸や歯ブラシ、他の駒と見分けられている。これらの物品の色相は、一旦着色されると、特許文献1に記載の表示システムのように色覚障害者に認識しやすい色相には容易に変更することはできない。また、パソコン等の表示装置は、その表示装置と対峙している一人のユーザが色覚障害者であれば、それに対応して表示色を変換することが可能であるが、日常的に使用される物品は、色覚障害のある人もない人も使用するため、色覚障害のある人にとってもない人にとっても見分けやすい色彩であることが望まれる。しかも、デザイン上美観に優れたものが要求される。
このような物品を製造するには、物品を製造する人が、色覚障害者に認識しにくい色および色の組み合わせ、および、認識しやすい色および色の組み合わせに対する知識を持ち合わせなければならないが、現実には、色覚障害に対する社会的な理解が不足しているため、そのような知識を持っている人は少ない。結果的に色覚障害者に配慮した彩色の物品が少ないという問題があった。
本発明の目的は、色覚障害がある人にもない人にも認識しやすい物品を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、物品の一部の領域が、正面から見た場合と斜め方向から見た場合とで色相(反射波長)がシフトするようにする。これにより、色覚障害のある人が正面から見た場合に認識しにくい色相であっても、斜め方向から見ることにより、認識しやすい色相に変化するため、色覚障害がある人にもない人にも認識しやすい物品を提供することができる。
具体的には、本発明の第1の態様により提供される物品は、表面の一部に、垂直入射光に対しては、所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されている。
本発明の第2の態様により提供される物品は、表面の少なくとも一部に、所定の波長光を反射する領域を備え、表面の別の領域には、垂直入射光に対しては、所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されている。
上記第1および第2の態様の物品は、正面から見て色覚障害のある人に色を判別しにくい色相であっても、反射膜の部分を斜め方向から見ることにより、波長がシフトするため正面の色が理解できる物品となる。すなわち、色覚障害のある人が、反射膜の部分を斜めから見ると反射光の波長が短波長または長波長にシフトするということを予め認識している場合には、シフト前の色を理解することが可能である。
上記第1および第2の態様において、所定の波長光は、赤、緑、黄または、青色帯域の波長光に設定することができる。
本発明の第3の態様によれば、2以上の構成物品を含む組物の物品であって、第1の構成物品は、表面の少なくとも一部に、第1波長光を反射する領域を備え、第2の構成物品は、表面の少なくとも一部に、第2波長光を反射する領域を備える物品が提供される。第1の構成物品の別の領域には、垂直入射光に対しては第1の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されている。これにより、第1および第2の構成物品の第1および第2波長光で決定される色相が相互に見分けにくい場合であっても、斜め方向から見ることにより第1の構成物品の反射膜の部分の反射波長が変化するため、第1および第2の構成物品を見分けやすくなる。
この場合、第2の構成物品にも、垂直入射光に対しては第2の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜を配置することも可能である。
第3の態様において、第1および第2波長光の組み合わせは、色覚障害者が見分けにくい色の組み合わせに設定することができる。例えば、赤と緑、黄と緑または赤、紫と青、緑と茶色、赤と茶色、水色とピンク、青と緑、青と黒のいずれかに設定することが可能である。なお、ここでいう黒には、近赤外線を反射して黒に見えているものも含まれる。赤と緑、黄と緑または赤、紫と青、緑と茶色、赤と茶色、水色とピンクは、第1および第2色盲の人等赤緑色覚障害者が見分けにくい色の組み合わせであるが、第3の態様によれば、斜めから見ることにより見分けやすくなる。青と緑、青と黒は、第3色盲の人が見分けにくい色の組み合わせであるが、斜めから見ることにより見分けやすくなる。また、青と黒の組み合わせのうち、黒として垂直入射光に対し近赤外線を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長が可視光にシフトする性質を有する反射膜を用いることにより、斜めから見ることにより見分けやすくなる。
第1〜第3の実施の形態において、反射膜は、多層干渉反射膜を用いることができる。また、反射膜の下には、反射膜を透過した可視光を反射する部材、例えば白色部材や、反射膜を透過した可視光を吸収する性質を有する部材、例えば黒色部材を配置することが可能である。
また、本発明の第4の態様によれば、複数の物品を色相によって見分けるための彩色方法が提供される。まず、複数の物品にそれぞれ異なる色相を付し、複数の物品のうち少なくとも一つについて、表面の一部領域に、垂直入射光に対しては、所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜を配置する。
本発明の物品は、色覚障害がある人も、視認する方向を変えることによって、物品の色相を見分けやすくなるため、色覚についてのバリアフリーを実現できる。しかも、色覚障害のある人の認識しやすい色の組み合わせ等の知識がなくても、反射波長がシフトする反射膜を用いることにより、容易に本発明の物品を製造できる。また、反射波長がシフトする反射膜は美観に優れているため、美観に優れた物品を提供できる。
本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
まず、図1を用いて、本実施の形態の物品1の構成を説明する。図1のように、この物品1は、基材10と、その上の所定の一部領域に配置された緑色反射膜11と、他の一部の領域に配置された緑色多層干渉反射膜12とを有する。例えば、物品1が箸で有る場合の例を図2に示す。箸の一部の領域12に、緑色多層干渉反射膜が配置され、他の領域11は、緑色反射膜が配置されている。なお、緑色反射膜11と緑色多層干渉反射膜12が配置された領域以外に、他の色相を示す膜等が配置される領域を設けることも可能である。
まず、図1を用いて、本実施の形態の物品1の構成を説明する。図1のように、この物品1は、基材10と、その上の所定の一部領域に配置された緑色反射膜11と、他の一部の領域に配置された緑色多層干渉反射膜12とを有する。例えば、物品1が箸で有る場合の例を図2に示す。箸の一部の領域12に、緑色多層干渉反射膜が配置され、他の領域11は、緑色反射膜が配置されている。なお、緑色反射膜11と緑色多層干渉反射膜12が配置された領域以外に、他の色相を示す膜等が配置される領域を設けることも可能である。
緑色多層干渉反射膜12は、垂直方向から入射する緑色光を反射し、他の可視波長光を透過する性質を有する。緑色多層干渉反射膜12は、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層とを交互に多層に積層した樹脂製のものを用いることができる。高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の膜厚および屈折率を所定の値に設計することにより、入射した所定の波長の緑色光を高効率で反射するように構成されている。設計時には、光の入射角はゼロ(垂直方向からの入射)を想定して、緑色多層干渉反射膜12を構成する各層の膜厚および屈折率を決定している。
緑色多層干渉反射膜12は、垂直入射する光に対して緑色を反射するように設計されているが、斜め方向から入射する光は、多層干渉反射膜における光路差が垂直入射した光より小さくなり、反射する波長が短波長側にシフトする性質を有する。
具体的には、緑色多層干渉反射膜12は、入射角が大きくなるにつれて反射波長が、緑色(550nm付近)から青緑色(500nm付近)、さらには青色(450nm付近)にシフトする。入射角とシフト量との関係は、多層干渉反射膜12を構成する膜の屈折率および、低屈折率樹脂層と高屈折率樹脂層、それぞれ膜厚によって異なる。
緑色反射膜11は、一般的な物品の彩色に用いられる膜であればどのような方法で形成されたものでもよい。例えば、緑色顔料を含有する樹脂を塗布することにより形成することができる。また、基材10そのものを緑色にすることにより、緑色反射膜11を基材10と一体に形成することもできる。
基材10は、少なくとも緑色多層干渉反射膜12の下部においては、黒色の物を用いることが望ましい。これにより、干渉反射膜12を透過した可視光を吸収する作用をするため、不要な可視光が緑色多層干渉反射膜12の下部で反射されることを防止できる。例えば、基材10としてプラスチック基材に黒色顔料を分散させたものを用いることが可能である。また、黒色以外の基材の表面に黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼付したものや、黒色の塗料を塗布したものを基材10として用いることも可能である。この場合、黒色フィルムや黒色塗料を干渉反射膜12の下部にのみ貼付または塗布することが可能である。
このような構成の物品1を図3のようにほぼ正面から視認した場合には、視認者は、ほぼ垂直に反射した光を視認するため、緑色多層干渉反射膜12が緑色光を反射し、緑色反射膜11も緑色光を反射する。なお、緑色多層干渉反射膜12を透過した可視波長光は、黒色基材10により吸収される。
よって、色覚障害のない人は、正面から視認した場合、物品全体が緑色に見える。赤緑色覚障害のある人(例えば第1色盲または第2色盲の人、ならびに、第1色弱または第2色弱の人)は、下記文献によれば、緑色を黄色に認識するので、物品全体が黄色に認識される。図3のようにこの物品1を、赤または黄色の別の物品13と見分ける場合、赤緑色覚障害がある人には、下記文献によれば、赤色も黄色に認識されるので、物品13が赤であっても黄色であっても、物品1と同じような黄色に認識される。よって、正面から見た場合は、赤緑色覚障害がある人には、物品1と物品13とを見分けにくい。
文献:細胞工学 Vol.21 No.7〜9 2002 「色覚多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション(全3回)」
なお、以下の説明においても、色覚障害のある人の色の認識(見え方)については、上記文献を参照して記載している。
文献:細胞工学 Vol.21 No.7〜9 2002 「色覚多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション(全3回)」
なお、以下の説明においても、色覚障害のある人の色の認識(見え方)については、上記文献を参照して記載している。
しかしながら、本実施の形態の物品1は、図4のように、斜め方向から視認した場合には、緑色多層干渉反射膜12の反射波長が青緑色(500nm付近)、から青色(450nm付近)にシフトする。赤緑色覚障害のある人は、青色と赤(黄)は、見分けやすいため、物品1の緑色多層干渉反射膜12の青色と、物品13の赤または黄色とが異なることを容易に見分けることができ、物品1と物品13とを色相によって見分けることができる。
以上のように、本実施の形態の物品1は、入射角によって反射波長が異なる多層干渉反射膜12を用いているため、赤緑色覚障害のある人が、正面の緑の色相では他の物品の色相と見分けにくくても、頭の位置を少しずらすか、または物品を傾けて斜め方向から視認することにより、見分けやすくなる。また、色覚障害がない人は、正面でも斜め方向でも見分けやすい。よって、赤緑色覚障害のある人もない人も、同時に同じ物品を見て、内容を認識することができるため、多数の人が使用する日用品の構造としても適している。
また、本実施の形態の物品は、物品を製造する人が、色覚障害がある人の見分けにくい色相の組み合わせや見分けやすい色相の組み合わせを知らなくても、多層干渉反射膜12を用い、正面から見た場合に、製造者が美観のあると感じる物品を製造するだけで、色覚障害がある人にとっても認識しやすいできる表示を製造できる。よって、本実施の形態の物品を用いることにより、色覚障害がある人に配慮した物品を容易に製造することができ、色覚に関するバリアフリーを進めることができる。
また、本実施の形態では、緑色多層干渉反射膜12と反射膜11とが基材10上に並べて配置された構造を示したが、これに限られるものではなく、膜12と膜11の一部が重なり合っていてもよい。また、基材10の上に配置された一方の膜の上の一部領域に、他方の膜を積層した構成にすることも可能である。
また、多層干渉反射膜12と反射膜11が、垂直入射光に対して緑色の例について説明したが、色覚障害のある人が認識しにくい、赤色、黄色、青色等の他の色にすることが可能である。
また、上記実施の形態では、多層干渉反射膜12と反射膜11とが、いずれも垂直入射光に対して緑色を反射する場合の例について説明したが、垂直入射光に対する色相が膜12と膜11とで異なっていてもよい。
また、複数の物品から構成される組物にそれぞれ異なる色相を付す場合、少なくとも1つの物品に図1の構成を適用することができる。例えば、一膳が赤い箸で別の一膳が緑の箸という二膳の箸の組物を製造する場合や、ボードゲームの付属品の同型の4種類の駒のうち1種が赤で別の1種が緑のものを製造する場合が挙げられる。この場合、図5に示したように、少なくとも1つの物品(箸や駒)を図1の構造とすることができる。
図5の例では物品1および物品2の両方を図1の構造として、多層干渉反射膜12、22の部分を設けている。多層干渉反射膜12は、正面から視認した場合、周囲の反射膜11と同じ緑色、多層干渉反射膜22は、正面から視認した場合、周囲の反射膜21と同じ赤色である。このため、赤緑色覚障害のある人は、物品1と物品2とがいずれも黄色に見え、見分けにくい。
しかし、図6のように斜め方向から視認することにより、物品1の多層干渉反射膜12の反射波長が青にシフトし、赤緑色覚障害のある人には、反射膜11の部分が黄色、多層干渉反射膜12の部分が青色の色分け模様のある物品に見える。一方、物品2は、多層干渉反射膜22の反射波長が緑にシフトし、赤緑色覚障害のある人には、反射膜11の部分および多層干渉反射膜12の部分の両方が黄色に見え、物品2全体が黄色に見える。よって、斜めから視認することにより、赤緑色覚障害のある人は、色分け模様の有無で物品1と物品2とを見分けることができる。
一方、色覚障害のない人は、正面から視認した場合、物品1は全体が緑色に、物品2は全体が赤色に見え、見分けることができる。図6のように、斜めから視認した場合、物品1は、緑と青の色分け模様のある物品に見え、物品2は赤と緑の色分け模様のある物品に見える。よって、正面から視認した場合も斜めから視認した場合も、色覚障害のない人は物品1と物品2とを見分けることができる。
なお、物品1と物品2の色の組み合わせは、正面から見た場合、赤と緑の他に、黄と緑または赤、紫と青、緑と茶色、赤と茶色、水色とピンク、青と緑、青と黒のいずれかに設定することが可能である。赤と緑、黄と緑または赤、紫と青、緑と茶色、赤と茶色、水色とピンクは、赤緑色覚障害者が見分けにくい色の組み合わせであるが、図5の構造を用い、一部分を垂直入射光の場合にこれらの色の多層干渉反射膜を用いることにより、斜めから見ることにより見分けやすくなる。青と緑、青と黒は、第3色盲の人が見分けにくい色の組み合わせであるが、同様に図5の構造を用い、斜めから見ることにより見分けやすくなる。
上述の実施の形態では、干渉反射膜12,22として、低屈折率樹脂層と高屈折率樹脂層を交互に積層した多層干渉反射膜を用いたが、無機物の低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した無機物の多層干渉反射膜を用いることも可能である。なお、樹脂製の多層干渉反射膜の方が、無機物の多層干渉反射膜よりも可撓性の点では優れている。また、層構造を有する薄片状の顔料を透明媒体に分散させることにより形成した干渉反射膜を用いることも可能である。顔料としては例えばメルク株式会社製のパール顔料(登録商標イリオジン)を用いることができる。透明媒体中で顔料を配向させることにより、干渉反射膜を構成することができる。ただし、多層干渉反射膜の方が、顔料を用いた干渉反射膜と比較して、広い面積で干渉を制御しやすいため、製造が容易であり、発色性に優れているというメリットがあるので、用途やコストを考慮して、多層干渉反射膜または顔料を用いる干渉反射膜を選択して用いることが望ましい。
本発明の実施例として、上述の図1の構成の物品1を作製した。基材10としては、黒色フィルム(ルミラーX30 100μm:東レ社)が周囲に貼付された樹脂を用いた。
緑色多層干渉反射膜12は、図7に示すように、入射角が大きくなるにつれて反射スペクトルのピーク波長がシフトするものを用いた。具体的には、緑色多層干渉反射膜12は、入射角5°、30°、60°の入射光に対して、反射スペクトルのピーク波長がそれぞれ564nm、502nm、445nmにシフトする。よって、緑色多層干渉反射膜12は、垂直入射光に対しては、緑色光を反射するが、入射角30°では波長502nmの青緑色光、入射角60°の光に対して波長445nmの青色光を反射する性質を有する。
一方、反射膜11としては、図8に示したような反射スペクトルを示し、ピーク波長が514nmである膜を用いた。
本実施例の物品1は、色覚障害がない人が正面から視認した場合には、反射膜11が緑色光を、緑色多層干渉反射膜12が緑色光を反射し、全体が緑色の物品である。一方、30°斜め方向から視認した場合には、緑色多層干渉反射膜12が青緑色光を反射し、緑色と青緑色光の色分けされた物品に見える。60°斜め方向から視認した場合には、反射膜11が緑色光を、緑色多層干渉反射膜12が青色光を反射し、緑色と青色光の色分けされた物品に見える。
赤緑色覚障害がある人(第1色盲または第2色盲の人)が物品1を正面から視認した場合には、全体が黄色に見える。30°斜め方向から視認した場合には、緑色反射膜11の部分が黄色に、緑色多層干渉反射膜12の部分が黒褐色に認識され、黄色と黒褐色の色分け模様のある物品に見える。また、60°斜め方向から視認した場合には、緑色反射膜11の部分が黄色に、緑色多層干渉反射膜12の部分が青色に認識され、黄色と青色の色分け模様のある物品に見える。
よって、本実施例の物品1は、赤または黄色の別の物品13と並べて配置すると、色覚障害のない人の場合、正面および斜め方向から両者を見分けることできる。色覚障害のある人の場合、正面からはいずれも黄色に見え、見分けにくいが、斜め方向から見ることにより、物品1は、緑色多層干渉反射膜12の部分が青色に見えるため、物品13と見分けることができる。よって、色覚障害のある人もない人も、容易に物品1を他の物品13から見分けることができ、色覚に関してバリアフリーの物品1を実現できた。
なお、図7に赤色および青色の多層干渉反射膜の一例について、入射角による反射波長のシフトを併せて示した。図7の赤色多層干渉反射膜は、入射角5°では650nm付近の反射波長が、入射角60°では、550nmの緑色までシフトしていることがわかる。また、青色多層干渉反射膜は、入射角5°では450nm付近の反射波長が、入射角60°では、390nmの紫色までシフトしていることがわかる。このように、他の多層干渉反射膜についても、物品の多層干渉反射膜12として用いることにより、波長シフトする性質を利用して、色覚障害のある人もない人にも見やすい物品を製造することができる。
1…物品、2…物品、10…基材、11…緑色反射膜、12…緑色多層干渉反射膜、13…物品、20…基材、21…赤色反射膜、22…赤色多層干渉反射膜。
Claims (10)
- 表面の一部に、垂直入射光に対しては、所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されていることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 表面の少なくとも一部に、所定の波長光を反射する領域を備え、
表面の別の領域には、垂直入射光に対しては、前記所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されていることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。 - 請求項1または2に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記所定の波長光は、赤、緑、黄または、青色帯域の波長光であることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 2以上の構成物品を含む組物の物品であって、
前記2以上の構成物品のうち第1の構成物品は、表面の少なくとも一部に、第1波長光を反射する領域を備え、第2の構成物品は、表面の少なくとも一部に、第2波長光を反射する領域を備え、
前記第1の構成物品の別の領域には、垂直入射光に対しては前記第1波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されていることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。 - 請求項4に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記第2の構成物品の別の領域には、垂直入射光に対しては前記第2波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜が配置されていることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 請求項4または5に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記第1波長光および第2波長光の組み合わせは、色覚障害者が見分けにくい色の組み合わせであることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 請求項6に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記第1波長光および第2波長光の組み合わせは、赤と緑、黄と緑または赤、紫と青、緑と茶色、赤と茶色、水色とピンク、青と緑、青と黒のいずれかであることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記反射膜は、多層干渉反射膜であることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の色覚障害者を考慮した物品において、前記反射膜の下には、該反射膜を透過した可視光を吸収する性質を有する部材が配置されていることを特徴とする色覚障害者を考慮した物品。
- 複数の物品を色相によって見分けるための彩色方法であって、
前記複数の物品にそれぞれ異なる色相を付し、
前記複数の物品のうち少なくとも一つについて、表面の一部領域に、垂直入射光に対しては、所定の波長光を反射し、入射光の入射角が大きくなるにつれて反射波長がシフトする性質を有する反射膜を配置することを特徴とする彩色方法。
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