JP2007271825A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アモルファスシリコン系の電荷注入阻止層を有する電子写真感光体において、電荷注入阻止層に膜割れが生じることを抑制し、画像に黒スジなどが発生して画像特性が悪化することを抑制する。
【解決手段】グロー放電分解装置を用いてアモルファスシリコン系の電荷注入阻止層11を有する電子写真感光体1を製造する方法であって、電荷注入阻止層11および表面保護層13を成膜するときの基体10の温度の差Δ、および電荷注入阻止層11を成膜するときのモノシランガスの流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)を、(1)Δ≦25、W/cc≧0.75、(2)Δ≦50、W/cc≧1.00、(3)Δ≦75、W/cc≧1.50または(4)Δ≦100、W/cc≧1.75に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基体の外表面に、アモルファスシリコン系材料により構成された電荷注入阻止層、光導電層および表面保護層を、グロー放電分解装置を用いて形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置においては、基体の外周面に、感光層を含む成膜層が形成された電子写真感光体が採用されている(たとえば特許文献1参照)。
このような電子写真感光体は、アルミニウム製などの円筒状基体をヒーターにより目的温度に加熱する一方で、RF電力により原料ガスを分解して、分解成分を円筒状基板に堆積させることにより形成される。成膜層としては、電荷注入阻止層、光導電層および表面保護層を積層した構成のものが採用されており、それらの層は、たとえば珪素系化合物を原料ガスとして形成される。
特公昭60−35059号公報
しかしながら、アモルファスシリコン系の成膜層を採用した電子写真感光体では、これを画像形成装置に組み込んで使用した場合に、画像に黒スジが入ることがしばしば発生していた。このような画像に黒スジが入る電子写真感光体では、多くの場合、電荷注入阻止層に膜割れが生じている。このような電荷注入阻止層における膜割れが生じる原因の1つとして、成膜層を形成するときに電荷注入阻止層に作用する応力が挙げられる。すなわち、表面保護層は、一般に電荷注入阻止層よりも基体温度を高くして成膜されるため、表面保護層の成膜時には電荷注入阻止層に対して比較的に大きな応力が作用し、その応力によって電荷注入阻止層に膜割れが生じることがある。
本発明は、上述した事情のもとに鑑みてなされたものであり、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層を有する電子写真感光体において、電荷注入阻止層に膜割れが生じることを抑制し、画像に黒スジなどが発生して画像特性が悪化するのを抑制することを課題としている。
本発明おいては、基体の外表面に、アモルファスシリコン系材料により構成された電荷注入阻止層、光導電層および表面保護層を、グロー放電分解装置を用いて形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法であって、モノシランガスを用いて前記電荷注入阻止層を成膜する方法において、前記電荷注入阻止層を成膜するときの前記基体の温度と、前記表面保護層を成膜するときの前記基板の温度との温度差Δ、および前記電荷注入阻止層を成膜するときのモノシランガスの流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)を、下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように設定することを特徴とする、電子写真感光体の製造方法が提供される。
(1) Δ≦25、W/cc≧0.75
(2) Δ≦50、W/cc≧1.00
(3) Δ≦75、W/cc≧1.50
(4) Δ≦100、W/cc≧1.75
好ましくは、温度差Δおよび比率(W/cc)は、下記(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように設定される。
(5) Δ≦25、0.75≦W/cc≦2.00
(6) Δ≦50、1.00≦W/cc≦1.75
(7) Δ=75、W/cc=1.50
さらに好ましくは、温度差Δが25〜50℃かつ比率(W/cc)が1.50〜1.75の範囲に設定され、あるいは温度差Δが50℃かつ比率(W/cc)が1.25に設定される。
電荷注入阻止層を成膜するときの基体の温度は、たとえば200〜300℃に設定され、表面保護層を成膜するときの基板の温度は、たとえば200〜400℃に設定される。好ましくは、電荷注入阻止層および表面保護層を成膜するときの基板の温度は、それぞれ250〜300℃および300〜350℃に設定され、さらに好ましくはそれぞれ270〜280℃および275〜325℃に設定される。
本発明によれば、電荷注入阻止層成膜時の基体温度と表面保護層成膜時の基体温度との温度差Δ、およびモノシランガス流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)を適正化することにより、電荷注入阻止層の膜質を適正化することができる。すなわち、上記の条件(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層および表面保護層を成膜することにより、電荷注入阻止層の結晶構造における秩序性が改善されて原子間の結合力が大きくされるとともに、電荷注入阻止層の圧縮応力が改善される。このような電荷注入阻止層では、その上部に表面保護層などの膜を成膜する場合に、表面保護層などからの応力に十分に耐えることができる。そのため、本発明の製造では、電荷注入阻止層に膜割れが生じることが適切に抑制された電子写真感光体を提供できるため、当該電子写真感光体を採用した画像形成装置では、画像に黒スジが生じることを適切に抑制することが可能となる。
本発明において、温度差Δおよび比率(W/cc)を上記条件(5)〜(7)のいすれかの条件を満たすように設定すれば、電荷注入阻止層などを成膜するときに、異常成長などにより膜欠陥が生じることを抑制することができる。そのため、本発明により製造され電子写真感光体では、電荷注入阻止層の膜質を良好なものとされるため、当該電子写真感光体を採用した画像形成装置では、画像に黒点が生じることを適切に抑制することが可能となる。
本発明において、温度差Δが25〜50℃かつ比率(W/cc)が1.50〜1.75の範囲に設定され、あるいは温度差Δが50℃かつ比率(W/cc)が1.25に設定すれば、残存電位の少ないE−V特性に優れた電子写真感光体を提供することができる。そのため、本発明により製造され電子写真感光体を採用した画像形成装置では、残存電位による画像の劣化を抑制することができる。
本発明において、電荷注入阻止層を成膜するときの基体の温度を200〜300℃とし、表面保護層を成膜するときの基板の温度を200〜400℃とすれば、基体に対する電荷注入阻止層の密着性を適切に確保することができるとともに、表面保護層における膜質の劣化を抑制できる。そのため、本発明により製造され電子写真感光体では、基体からの電荷注入阻止層の膜剥がれを抑制できるとともに、残存電位の少ないE−V特性に優れたものとなるため、当該電子写真感光体を採用した画像形成装置は画像特性を良好なものとなる。
以下においては、本発明に係る電子写真感光体の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
図1に一例を示したように、本発明の製造方法により製造される電子写真感光体1は、円筒状基体10の外周面に、アモルファスシリコン系化合物により構成された電荷注入阻止層11、光導電層12および表面保護層13が順次積層形成されたものである。
一方、図2に示したプラズマグロー放電分解装置2は、本発明の製造方法を実現可能なものである。このプラズマグロー放電分解装置2は、円筒状電極20および一対のプレート21,22により真空室23を規定したものであり、基体支持体24および加熱体25をさらに備えている。
円筒状電極20は、全体が金属などの導体により中空に形成されたものであり、絶縁シール26を介して一対のプレート21,22に接合されている。この円筒状電極20には、ガス導入口27および複数のガス吹き出し孔28が設けられているとともに、インピーダンス整合回路30を介して高周波電源31が接続されている。
ガス導入口27は、真空室23に供給すべき原料ガスを導入するためのものであり、原料ガスタンク40,41,42,43に配管40A,41A,42A,43A,44を介して接続されている。原料ガスタンク40,41,42,43は、それぞれがB2H6、H2(またはHe)、CH4あるいはSiH4が充填されたものである。配管40A,41A,42A,43Aの途中には、バルブ40B,41B,42B,43B,40C,41C,42C,43Cおよび流量調整器40D,41D,42D,43Dが設けられており、真空室23に導入する各原料ガス成分の流量、ガス圧および組成を調整することが可能とされている。
複数のガス吹き出し孔28は、円筒状電極20の内部に導入された原料ガスを円筒状基体10に向けて吹き出すためのものであり、図の上下方向等間隔で配置されているとともに、周方向にも等間隔で配置されている。複数の複数のガス吹き出し孔28は、同一形状の円形に形成されており、その孔径Dは、たとえば0.5〜2.0mm程度とされている。
一対のプレート21,22は、円筒状電極20の開口20A,20Bを閉鎖するためのものであり、たとえば金属などの導体により、円筒状電極20の外径に対応した径を有する円形に形成されている。
プレート21には、その中心に回転手段5が設けられている。この回転手段5は、基体支持体24を回転させるためのものである。回転手段5とプレート21との接点には、真空室23の真空を維持できるように回転機構(図示略)が設けられている。このような回転機構としては、回転軸を二重もしくは三重構造としてオイルシールやメカニカルシール等の真空シール手段を用いることができる。また、円筒状基体10の温度制御のために円筒状基体10の温度を検出するように構成する場合には、回転軸を中空に形成するとともに、回転軸の内部に温度検出手段やその配線などを設けることもできる。
このような回転手段5により基体支持体24を回転させて成膜を行なった場合には、基体支持体24とともに円筒状基体10が回転させられるために、円筒状基体10の外周に対して均等に原料ガスの分解成分を堆積させることが可能となる。
一方、プレート22には、ガス排出口22Aおよび圧力計60が設けられている。
ガス排出口22Aは、真空室23のガスを外部に排出するためのものであり、メカニカルブースタポンプ61およびロータリーポンプ62に接続されている。これらのポンプ61,62によりガス排気口22Aを介して真空室23からガスを排出させることにより、真空室23は略真空に維持される。真空室23の圧力は、たとえば1.0〜100Pa程度とされる。
圧力計60は、真空室23の圧力をモニタリングするためのものである。圧力計60でのモニタリング結果は、メカニカルブースタポンプ61およびロータリーポンプ62にフィードバックされ、真空室23の圧力が所望値に維持される。圧力計60としては、公知の種々のものを使用することができる。
基体支持体24は、円筒状基体10を支持するためのものであり、中空に形成されている。この基体支持体24は、電極としても機能するものであり、全体が金属などの導体により形成されている。
加熱体25は、円筒状基体10を加熱するためのものであり、基体支持体24の内部に収容されている。加熱体25としては、たとえばニクロム線やカートリッジヒーターを使用することができる。
このようなプラズマグロー放電分解装置2を用いて円筒状基体10にa−Si膜を形成する場合には、まず基体支持体24に円筒状基体10を支持させる。
ここで、円筒状基体10としては、導電性または絶縁性のもの、あるいは絶縁性基体の表面に導電層を形成したものが採用される。
導電性基体としては、たとえばアルミニウム(Al)、ステンレススチール(SUS)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、およびチタン(Ti)などの金属またはこれらの合金により形成されたものを挙げることができる。
絶縁性基体としては、たとえばガラス(ホウ珪酸ガラスやソーダガラスなど)、セラミックス、石英、およびサファイヤなどの無機絶縁物、あるいはフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ビニロン、エポキシ、およびマイラーなどの合成樹脂絶縁物を挙げることができる。
絶縁性基体に形成される導電層としては、たとえば絶縁性基体の表面にITO(インジウム・スズ・酸化物)、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、およびヨウ化銅などの導電層の他、Al、Ni、および金(Au)などの金属層を採用することができる。また、導電層は、たとえば真空蒸着法、活性反応蒸着法、イオンプレーティング法、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、熱CVD法、プラズマCVD法、スプレー法、塗布法、あるいは浸漬法などにより形成することができる。
基体支持体24に円筒状基体10を支持させた後は、加熱体25により円筒状基体10を加熱するとともに、真空室23を減圧する。
加熱体25による円筒状基体10の加熱は、たとえば加熱体25に対して外部から電力を供給して加熱体25を発熱させることにより行なわれる。このような加熱体25の発熱により、円筒状基体3が目的とする温度に昇温される。円筒状基体10の温度は、その表面に形成すべき膜の種類によって選択されるが、たとえばa−Si膜を形成する場合には250〜300℃の範囲に設定される。
一方、真空室23の減圧は、メカニカルブースタポンプ61およびロータリーポンプ62によってガス排出口22Aを介して真空室23からガスを排出させることにより行なわれる。真空室23の減圧の程度は、たとえば1.0〜100Pa程度とされる。
次いで、円筒状基体10の温度が所望温度となり、真空室23の圧力が所望圧力となった場合には、配管40A,41A,42A,43A,44を介して原料ガスタンク40,41,42,43の原料ガスを、所望の組成、流量およびガス圧で、ガス導入口27を介して円筒状電極20の内部に導入する。円筒状電極20の内部に導入された原料ガスは、複数のガス吹き出し孔28を介して円筒状基体10に向けて吹き出される。
一方、円筒状電極20と基体支持体24との間には、インピーダンス整合回路30を介して高周波電源31により高周波を印加する。これにより、円筒状電極20と基体支持体24との間にグロー放電が起こり、原料ガス成分が分解されてプラズマ化される。原料ガスの分解成分は、円筒状基体10の表面に堆積される。そして、バルブ40B,41B,42B,43B,40C,41C,42C,43Cおよび流量調整器40D,41D,42D,43Dによって原料ガスの組成を適宜切り替えることにより、円筒状基体10の表面には、電荷注入阻止層11、光導電層12および表面保護層13が順次積層形成される。
ここで、電荷注入阻止層11を成膜するときの円筒状基体10の温度と、表面保護層13を成膜するときの円筒状基板10の温度との温度差Δ、および電荷注入阻止層11を成膜するときのSiH4の流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)は、下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように設定される。
(1) Δ≦25、W/cc≧0.75
(2) Δ≦50、W/cc≧1.00
(3) Δ≦75、W/cc≧1.50
(4) Δ≦100、W/cc≧1.75
好ましくは、温度差Δおよび比率(W/cc)は、下記(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように設定される。
(5) Δ≦25、0.75≦W/cc≦2.00
(6) Δ≦50、1.00≦W/cc≦1.75
(7) Δ=75、W/cc=1.50
さらに好ましくは、温度差Δが25〜50℃かつ比率(W/cc)が1.50〜1.75の範囲に設定され、あるいは温度差Δが50℃かつ比率(W/cc)が1.25に設定される。
また、電荷注入阻止層を成膜するときの基体の温度は、たとえば200〜300℃に設定され、表面保護層を成膜するときの基板の温度は、たとえば200〜400℃に設定される。好ましくは、電荷注入阻止層および表面保護層を成膜するときの基板の温度は、それぞれ250〜300℃および300〜350℃に設定され、さらに好ましくはそれぞれ270〜280℃および275〜325℃に設定される。
そして、円筒状基体10に対する膜形成が終了した場合には、基体支持体24から円筒状基体10を抜き取ることにより、図1に示した電子写真感光体1を得ることができる。
本発明によれば、電荷注入阻止層11を成膜するときの円筒状基体10の温度と表面保護層成膜13を形成するときの円筒状基体10の温度との温度差Δ、およびモノシランガス流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)を適正化することにより、電荷注入阻止層の膜質を適正化することができる。すなわち、上記の条件(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層11および表面保護層13を成膜することにより、電荷注入阻止層13の結晶構造における秩序性が改善されて原子間の結合力が大きくされるとともに、電荷注入阻止層13の圧縮応力が改善される。このような電荷注入阻止層11では、その上部に表面保護層13などの膜を成膜する場合であっても、表面保護層13などからの応力に十分に耐えることができる。その結果、電子写真感光体1では、電荷注入阻止層11に膜割れが生じることを適切に抑制され、電子写真感光体1を採用した画像形成装置では、画像に黒スジが生じることを適切に抑制することが可能となる。
また、温度差Δおよび比率(W/cc)を上記の条件(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように設定すれば、電荷注入阻止層11などを成膜するときに、異常成長などにより膜欠陥が生じることを抑制することができる。そのため、電子写真感光体1では、電荷注入阻止層11の膜質を良好なものとされるため、電子写真感光体1を採用した画像形成装置では、画像に黒点が生じることを適切に抑制することが可能となる。
さらに、温度差Δが25〜50℃かつ比率(W/cc)が1.50〜1.75の範囲に設定され、あるいは温度差Δが50℃かつ比率(W/cc)が1.25に設定すれば、残存電位の少ないE−V特性に優れた電子写真感光体1を提供することができる。そのため、電子写真感光体1を採用した画像形成装置では、残存電位による画像の劣化を抑制することができる。
また、電荷注入阻止層11を成膜するときの円筒状基体の温度を200〜300℃とし、表面保護層13を成膜するときの円筒状基板10の温度を200〜400℃とすれば、円筒状基体10に対する電荷注入阻止層11の密着性を適切に確保することができるとともに、表面保護層13における膜質の劣化を抑制できる。そのため、電子写真感光体1は、円筒状基体10からの電荷注入阻止層11の膜剥がれを抑制できるとともに、残存電位の少ないE−V特性に優れたものとなるため、電子写真感光体1を採用した画像形成装置では、画像特性が良好なものとなる。
次に、本発明の効果について、実施例として検証する。
本実施例では、電子写真感光体を製造する際における電荷注入阻止層の成膜温度(円筒状基体の温度)と表面保護層の成膜温度(円筒状基板の温度)と温度差Δ、および電荷注入阻止層を成膜するときのSiH4の流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)が、画像特性に与える影響について評価した。
(電子写真感光の作製)
本実施例で用いる電子写真感光体は、筒状基体としてアルミニウム合金から成る外径30mm、長さ254mmの引き抜き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、これをグロー放電分解成膜装置にセットして、下記表1,2に示す成膜条件により電荷注入阻止層、光導電層および表面保護層を順次積層することで作製した。下記表1,2から分かるように、電子写真感光の作製に当たっては、温度差Δおよび比率(W/cc)について種々の条件を設定した。
Figure 2007271825
Figure 2007271825
(画像特性評価)
画像特性は、先に作成した電子写真感光体を「マルチファンクションプリンタ(MFP)」(型番:KM−2550、京セラミタ株式会社製)に搭載して印字を行い、グレー画像における画像スジの発生の有無、および白画像における画像黒点の発生の有無を確認することにより行なった。画像スジの評価結果については表3に、黒点の評価結果については表4に画像スジの評価結果とともに示した。表4においてはさらに、所定強度で電子写真感光体を露光したときの表面電位(E−V特性)の評価結果を同時に示した。
Figure 2007271825
Figure 2007271825
表3かわ分かるように、表面保護層成膜時の基体温度と電荷注入阻止層成膜時の基体温度との温度差Δ、および電荷注入阻止層を成膜するときのSiH4の流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)が、下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層および表面保護層を形成した電子写真感光体については、画像スジが発生しなかった。
(1) Δ≦25、W/cc≧0.75
(2) Δ≦50、W/cc≧1.00
(3) Δ≦75、W/cc≧1.50
(4) Δ≦100、W/cc≧1.75
表4かわ分かるように、温度差Δおよび比率(W/cc)が下記(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層および表面保護層を形成した電子写真感光体については、画像黒点が発生しなかった。
表4からはさらに、温度差Δを25〜50℃とするとともに、比率(W/cc)を1.25〜1.75として電荷注入阻止層および表面保護層を形成した電子写真感光体については、残存電位が小さく、E−V特性において良好であることが分かる。
したがって、画像スジの発生を抑制する観点からは、温度差Δおよび比率(W/cc)が上記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層および表面保護層を形成し、画像スジに加えて黒点の発生を抑制する観点からは、上記(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように電荷注入阻止層および表面保護層を形成するのが好ましい。
(5) Δ≦25、0.75≦W/cc≦2.00
(6) Δ≦50、1.00≦W/cc≦1.75
(7) Δ=75、W/cc=1.50
さらに、画像スジおよび黒点の発生を抑制しつつ、残存電位を小さくする観点からは、温度差Δを25〜50℃かつ比率(W/cc)を1.50〜1.75の範囲に設定し、あるいは温度差Δを50℃かつ比率(W/cc)を1.25に設定として電荷注入阻止層および表面保護層を形成するのが好ましい。
本実施例では、電子写真感光体を製造する際における温度差Δおよび比率(W/cc)が、E−V特性に与える影響について評価した。
本実施例で使用する電子写真感光体は、実施例1と同様にして作製した。ただし、温度差Δおよび比率(W/cc)については、下記表5に示したように設定した。E−V特性の評価結果については、下記表5および図3に示した。
Figure 2007271825
表5および図3から分かるように、比較品、本案1および本案2ともに、残存電位は小さく、E−V特性に優れたものであり、実用上の使用について問題はないという結果が得られた。とくに、比率W/ccを比較的に大きくする一方で温度差Δを比較的に小さく設定した本案2では、残存電位が極めて小さくなった。本案2の電子写真感光体の成膜条件は、実施例1において、画像スジおよび黒点の発生が好適に抑制された成膜条件と一致している。そのため、E−V特性を含めた実用上での画像特性を改善するためには、温度差Δを50℃とするとともに、比率(W/cc)を1.5とし、もしくはこの条件に近い範囲、たとえば温度差Δを25〜50℃、比率(W/cc)を1.25〜1.75として電荷注入阻止層および表面保護層を形成するのが好ましいのが分かる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真感光体の一例を示す縦断面図およびその要部を拡大して示した断面図である。 実施例2におけるE−V特性の評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 電子写真感光体
10 円筒状基体
11 (感光層の)電荷注入阻止層
12 (感光層の)光導電層
13 (成膜層の)表面保護層

Claims (4)

  1. 基体の外表面に、アモルファスシリコン系材料により構成された電荷注入阻止層、光導電層および表面保護層を、グロー放電分解装置を用いて形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法であって、モノシランガスを用いて前記電荷注入阻止層を成膜する方法において、
    前記電荷注入阻止層を成膜するときの前記基体の温度と、前記表面保護層を成膜するときの前記基板の温度との温度差Δ、および前記電荷注入阻止層を成膜するときのモノシランガスの流量に対するRF投入電力の比率(W/cc)を、下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすように設定することを特徴とする、電子写真感光体の製造方法。
    (1) Δ≦25、W/cc≧0.75
    (2) Δ≦50、W/cc≧1.00
    (3) Δ≦75、W/cc≧1.50
    (4) Δ≦100、W/cc≧1.75
  2. 温度差Δおよび比率(W/cc)を、下記(5)〜(7)のいずれかの条件を満たすように設定することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    (5) Δ≦25、0.75≦W/cc≦2.00
    (6) Δ≦50、1.00≦W/cc≦1.75
    (7) Δ=75、W/cc=1.50
  3. 温度差Δが25〜50℃かつ比率(W/cc)が1.50〜1.75の範囲に設定され、あるいは温度差Δが50℃かつ比率(W/cc)が1.25に設定されることを特徴とする、請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷注入阻止層を成膜するときの前記基体の温度は、200〜300℃に設定され、
    前記表面保護層を成膜するときの前記基板の温度は、200〜400℃に設定されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
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