JP2007271330A - 回転センサ - Google Patents

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久人 小林
Akira Noguchi
晃 野口
Tomotaka Watanabe
知孝 渡邉
Tomoaki Toratani
智明 虎谷
Shinji Hori
伸二 堀
Shinichiro Iizuka
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Abstract

【課題】歯車のバックラッシによる角度誤差を極力抑えつつ、360°を超える角度の検出が可能な回転センサを提供する。
【解決手段】被測定用回転体の回転角度をこれ以外の測定用回転体を用いて測定する回転センサであって、被測定用回転体150と連動してこれとほぼ同一の回転数で回転する第1の測定用回転体110と、第1の測定用回転体と連動して回転し、回転数が第1の測定用回転体より小さい第2の測定用回転体120を備え、第1の測定用回転体及び第2の測定用回転体には径方向磁界を有する永久磁石がそれぞれの中心に配置され、更に各永久磁石が発生する磁界の径方向の変化を検出可能な箇所に所定数のホール素子112,122が各測定用回転体の回転と独立してそれぞれ配置され、磁界検出素子の出力を用いて各測定用回転体の回転角度を検出することで被測定用回転体の回転角度を測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転体に取付けてこの回転体の回転角度を検出するのに使用する回転センサに関する。
例えば、自動車のステアリングシャフトなどの回転シャフトに取付けてこのシャフトと一体になったハンドルの回転角度を検出するのにいわゆる回転センサが使用される。
そして、360°以上回転する対象物の回転角度を、当該対象物以外の2つの回転体を用いて測定する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
かかる回転センサは、歯数の多い主回転体と、この主回転体より歯数が少なくかつ互いの歯数の差が1つである2つの副回転体を備えている。また、回転角度検出のためのセンサが各副回転体に設けられ、2つの副回転体の回転角度をそれぞれ測定するようになっている。そして、センサで検出された各副回転体の回転角度から主回転体の回転角度を求めている。
特表平11−500828号公報(第6−7頁、図1)
特許文献1に記載された回転センサは、対象物の回転角度を当該対象物と歯車で噛合せた2つの回転体の位相差により検出するようになっている。具体的には、各副回転体に備わった角度センサに基づいて第1の副回転体の回転角度と第2の副回転体の回転角度を測定する。そして、角度センサの周期性、第1の副回転体の歯数、第1の副回転体の歯数と一つだけ異なる第2の副回転体の歯数、及びこれらの定数によって所定の係数を求めて、この係数、定数、測定値から主回転体の回転角度を求めるようになっている。このように、第1の回転体の角度検出に協働する2つの測定用回転体の角度をともに主信号として用い、それぞれの信号から第1の回転体の角度を検出しているが、この構造では、回転体は2つの測定用回転体の歯車のバックラッシなどによる角度誤差の影響を受けてしまう。従って、それぞれの歯車の角度誤差を減らすことが、検出精度向上を図る上での課題となる。
本発明の目的は、歯車のバックラッシによる角度誤差を極力抑えつつ、360°を超える角度の検出が可能な検出精度に優れた回転センサを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明にかかる回転センサは、
被測定用回転体の回転角度を当該被測定用回転体以外の測定用回転体を用いて測定する回転センサにおいて、
前記被測定用回転体と連動して当該被測定用回転体とほぼ同一の回転数で回転する第1の測定用回転体と、前記第1の測定用回転体と連動して回転し、回転数が当該第1の測定用回転体より小さい第2の測定用回転体を備え、
前記第1の測定用回転体及び第2の測定用回転体には、径方向磁界を有する永久磁石がそれぞれの中心に配置され、更に各永久磁石が発生する磁界の径方向の変化を検出可能な箇所に所定数の磁界検出素子が前記第1及び第2の測定用回転体の回転と独立してそれぞれ配置され、
前記磁界検出素子の出力を用いて前記第1の測定用回転体の回転角度及び第2の測定用回転体の回転角度を検出することにより被測定用回転体の回転角度を測定することを特徴としている。
このような回転センサを用いることで、従来型の回転センサのように第1の回転体に協働する2つの回転体の角度を共に主信号として用いなくて済み、かつバックラッシによる角度誤差の影響を従来の回転センサほど受けることがなく、検出精度を向上させることができる。
また、本発明の請求項2に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、前記磁気検出素子は、ホール素子であることを特徴としている。
このような回転センサを用いることで、従来型の回転センサのように第1の回転体に協働する2つの回転体の角度を共に主信号として用いなくて済み、かつバックラッシによる角度誤差の影響を従来の回転センサほど受けることがなく、検出精度を向上させることができる。
また、本発明の請求項3に記載の回転センサは、請求項1に記載の回転センサにおいて、前記磁気検出素子は、例えばMR素子などの磁気抵抗素子であることを特徴としている。
このような回転センサを用いることで、従来型の回転センサのように第1の回転体に協働する2つの回転体の角度を共に主信号として用いなくて済み、かつバックラッシによる角度誤差の影響を従来の回転センサほど受けることがなく、検出精度を向上させることができる。
本発明によると、歯車のバックラッシによる角度誤差を極力抑えつつ、かつ360°を超える角度の検出が可能な検出精度に優れた回転センサを提供することができる。
以下、本発明の第1の実施形態にかかる回転センサを図面に基いて説明する。なお、本説明においては自動車のステアリング装置においてこの回転センサをステアリングシャフトに取付けてハンドルの回転角度を検出する場合について説明する。従って、ステアリングシャフトの回転範囲である−900°〜+900°のうちの絶対回転角度を本実施形態にかかる回転センサで求める。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる回転センサの内部構造を概略的に示した平面図である。また、図2は本実施形態における回転センサの概略ブロック構成を示している。
本発明の第1の実施形態にかかる回転センサ1は、図1及び図2に示すように、回転するシャフトSに取付けられ、周囲に主歯車151が形成された主回転体150と、主回転体150と同一の回転数で回転するように主回転体150に備わった主歯車151の歯数と等しい歯数の第1歯車111が全周に形成され、かつこの第1歯車111と主歯車151の歯車が常に噛み合った第1の測定用回転体110と、第1の測定用回転体110の第1歯車111の歯数よりも多い歯数の第2歯車121が周囲に形成された第2の測定用回転体120と、第1の測定用回転体110と第2の測定用回転体120の中間歯車として連結された中間歯車160と、主回転体150、第1の測定用回転体110、第2の測定用回転体120、及び中間歯車160を収容保持するとともに外部からの磁界の影響を遮断するケース130を備えている。
そして、第1の測定用回転体110と第2の測定用回転体120には、各回転体110,120の径方向に磁界を生じかつ回転体の周方向に磁界の強さが変化するようになった永久磁石115,125がそれぞれの測定用回転体110,120の中心に配置されている。
更に、ケース130にはホール素子配置用基板140が固定され、ケース上の所定位置には、第1の測定用回転体110及び第2の測定用回転体120に配置された永久磁石115,125が発生する磁界の径方向の変化をそれぞれ検出可能なホール素子131〜134,136〜139が備わっている。ホール素子131〜134,136〜139は、各測定用回転体110,120の周方向に4個ずつ隣接するホール素子同士がそれぞれ90°の角度をなすように配置されている。
上述したように、本実施形態の回転センサ1の第1の測定用回転体110は、主回転体150の周囲に形成された歯車151とほぼ1:1の回転比で回転する第1歯車111を有している。この構成による回転伝達誤差は、主に歯車間のバックラッシによって生じるものであるが、特許文献1に記載された回転センサほどの影響は受けない。
また、永久磁石115は、第1の測定用回転体110の第1歯車111の中央に回転体の径方向に磁界を生じさせかつ回転体の周方向に磁界の強さを変化させるようになっており、基板上に配置されている4つのホール素子131〜134のうち、例えば隣り合って互いに90°の角度をなす2組の組み合わせのホール素子の出力信号をマイコン(図示せず)で処理する。なお、ホール素子131〜134のうち隣り合うホール素子の組み合わせにより、各位相シフト量の出力値が90°ずれるようになっている。これによって、第1の測定用回転体110、即ち被測定用回転体150の0゜〜360゜の小角度を分解能0.1゜として検出するようになっている。
このように本発明においては、2つのホール素子だけを備えてこれらの差動信号を利用し、検出精度確保のため、正弦波信号の直流レベル及び温度による変動をできるだけ小さく抑えることで第1の測定用回転体110の小角度を算出することが可能である。
従って、第1の測定用回転体110の周囲には、少なくとも2つのホール素子を周方向所定間隔隔てて配置すれば良く、必ずしも図1のように周方向に4つのホール素子を配置する必要はない。
また、中間歯車160は第1の測定用回転体110の第1の歯車と第2の測定用回転体120の中間歯車として連結されている。
また、第2の測定用回転体120の第2歯車121の歯数は第1の測定用回転体110の第1歯車111の歯数よりも多くなっており、中間歯車160を介して第1の測定用回転体110の回転数よりも第2の測定用回転体の回転数が小さくなる(減速される)ようになっている。具体的には、本実施形態の場合、第2の測定用回転体120の第2歯車121備わった歯数は、第1の測定用回転体110に備わった第1歯車111の歯数の5倍となっており、第1の測定用回転体110が5回転するごとに第2の測定用回転体120が1回転するようになっている。
そして、第2の測定用回転体120の第2歯車の中央に回転体の径方向に磁界を生じかつ回転体の周方向に磁界の強さが変化するようになった永久磁石125を備え、基板上に配置されている4つのホール素子136〜139の出力信号のうち、例えば隣り合って同方向に90°の角度をなす2つのホール素子の組み合わせを利用してこの出力をマイコン(図示せず)で処理し、第2の測定用回転体120の回転角度を検出するようになっている。
このように、この第2の測定用回転体120とホール素子136〜139による被測定用回転体150の回転角度検出にあたっても、本実施形態の場合、2つのホール素子を備えてこれらの差動信号を利用し、検出精度確保のため、正弦波信号の直流レベル及び温度による変動をできるだけ小さく抑えることで第1の測定用回転体110の回転角度、即ち被測定用回転体150の回転角度を算出することが可能である。
従って、第2の測定用回転体120の周囲には、少なくとも2つのホール素子を周方向所定間隔隔てて配置すれば良く、必ずしも図1に示すように周方向4つのホール素子を配置する必要はない。
続いて、以上の構成を有する回転センサ1による被測定用回転体150の絶対回転角度の検出方法について説明する。なお、図2は、第1の実施形態にかかる回転センサの概略ブロック図である。また、図3は上述の実施形態における被測定用回転体150の絶対回転角度算出用のフローチャートである。
本実施形態の回転センサは、図1に示すように主歯車151を備えたロータが主回転体150として回転シャフトSに直接嵌め込まれて被測定用回転体を構成しているため、第1歯車111は完全にシャフトSの回転と同期する。
被測定用回転体150である主回転体の絶対回転角度を求めるにあたって、まず、主回転体150と同一の回転数で回転する第1の測定用回転体110に備わった磁石115とホール素子131〜134から、主回転体150の0゜〜+360゜の小角度範囲の回転角度検出を行う。
なお、360゜周期を有し、かつ互いに90゜の位相差を有する4つの正弦波信号から図4に示す360゜の絶対角度信号を算出する方法は既に多く実用化されている。
本実施形態においては、この方法を実施するための一形態であるホール素子131〜134を第1の測定用回転体110の周方向に90°の角度をなして等間隔に基板140に配置しているので、互いに90°の位相差を有する4つの正弦波信号が第1の測定用回転体110の回転によって得られる。
具体的には、ホール素子131〜134のうち、隣り合う2個のホール素子同士から得られる位相シフト量出力信号の位相が90°ずれるようになっているので、上述のような信号処理によって、図4(a)に示すように、一方のホール素子の位相シフト量出力値SAと他方のホール素子の位相シフト量出力値SBのように互いに90°位相のずれた360°周期の位相シフト量の出力値が得られる。
このようにして得られた位相シフト量の出力値からロータ110の回転角度を360°周期で検出する方法は以下の通りである。
図4(a)に示すように、各ホール素子から得られる第1の測定用回転体110の回転角度の出力値(SA,SB)とこれらをそれぞれ反転させた出力値(RSA,RSB)とを重畳させる。そして、各位相シフト量検出値の大小関係から第1の測定用回転体110の回転角度が0°〜22.5°、22.5°〜45°、45°〜67.5°、67.5°〜90°、のいずれの範囲にあるかを判断する。そして、これら4つの位相シフト量検出値の直線部分を用いるとともに、この直線部分同士をジョイント(結合)処理する。次いで、上述した4つの角度範囲の何れの角度範囲にあるかの判断結果に基づき、図4(b)に示す360°ごとの周期で変化する鋸歯状波形の出力信号から第1の測定用回転体110の0°から360°の小角度を図5上段参照に示すように360°周期で求めるようになっている(ステップS1)。
なお、この段階では、主回転体150が−900°〜+900°のうち、何回転目にあるかを把握できない。従って、第2の測定用回転体120とホール素子136〜139を用いて第1の測定用回転体110、即ち主回転体150の回転数が何回転目にあるかを検出する(ステップS2)。
なお、図5下段の正弦波信号は第2の測定用回転体120の回転に伴うホール素子の出力信号を示し、4つのホール素子136〜139の正弦波信号のうち、2つのホール素子の正弦波信号を示している。
この正弦波信号を利用して、第2の測定用回転体120とホール素子136〜139とから主回転体150の−900°〜+900°のうちのどの回転数に属するかを検出する。
具体的には、この主回転体150の回転数検出にあたって、本実施形態の場合、第1の測定用回転体110と同じ回転をする第1歯車111に備わった歯車の歯数よりも多くの歯数(本実施形態では5倍の歯数)を有する第2歯車121を備えた第2の測定用回転体120の回転角度を第1の測定用回転体110と同様の方法で4つのホール素子136〜139のうち隣り合う2個のホール素子を用いて測定する。図1においては第1歯車111と第2歯車121を概略的に示しているが、実際には上述したように第1の測定用回転体110の第1歯車111の歯数:第2の測定用回転体120の第2歯車121の歯数=1:5となるような減速比とし、第1の測定用回転体110が5回転するごとに第2の測定用回転体120が1回転するようになっている。
即ち、径方向磁界を有する永久磁石125を回転させ、永久磁石125の周囲に90°間隔に配置した4個のホール素子136〜139のうち隣り合う2個のホール素子の出力によって本実施形態の場合4つの360゜周期を持つ正弦波信号を出力する。
そして、第1の測定用回転体110よりも1/5に減速された第2の測定用回転体120の回転に伴うホール素子136〜139を利用して、−900゜〜+900゜の角度範囲のうち、第1回転から第5回転の何れかに主回転体が属しているか、即ち主回転体150のいずれかの大角度にあるかを5段階で算出したものを副信号とする(ステップS2)。
この場合も図4(a)及び図4(b)に基づいて既に説明した方法によって大角度を求める。具体的には、互いに1800°の位相差を有する4つの正弦波信号のプラスの立ち上がり部分を用いるとともに、各正弦波信号の大小関係を比較して、各正弦波信号の立ち上がり部分をジョイントした図4上段に示す直線状出力に相当する直線状の0°〜+1800°周期の回転角度検出用出力を得たものを副信号とする。
そして、この主回転体150の大角度信号(副信号)と既に算出した主回転体50の0°〜+360°のうちの小角度信号(主信号)の検出結果を組み合わせることで、主回転体150が−900°〜+900°のうち、0°〜360°の何れかの小角度にあるのかを求め、これを主回転体150の回転角度とし、かつ副信号から第1回転から第5回転の回転数にあるかの角度位置検知を行う。これによって、被測定用回転体150の絶対回転角度を算出することができる(ステップS3)。
続いて、本発明の第2の実施形態にかかる回転センサについて説明する。本発明の第2の実施形態にかかる回転センサ2は、図6に示すように、回転するシャフトSに取付けられ、周囲に主歯車251が形成された主回転体250と、主回転体250と同一の回転数で回転するように主回転体250の歯数と等しい歯数の第1歯車211が全周に形成され、かつこの第1歯車211と主回転体250の主歯車251が常に噛み合った第1の測定用回転体210と、第1の測定用回転体210に備わった第1歯車211の歯数よりも多い歯数の第2歯車221が周囲に形成された第2の測定用回転体220と、第1の測定用回転体210と第2の測定用回転体220の中間歯車として連結された中間歯車260と、これらの主回転体250、第1の測定用回転体210、第2の測定用回転体220、及び中間歯車260を収容保持するとともに外部からの磁界の影響を遮断するケース230を備えている。
そして、第1の測定用回転体210と第2の測定用回転体220には、各回転体210,220の径方向に磁界を生じかつ回転体の周方向に磁界の強さが変化するようになった永久磁石215,225がそれぞれの測定用回転体210,220の中心に配置されている。
更に、ケース230にはMR素子配置用基板240が固定され、ケース上の所定位置には、第1の測定用回転体210及び第2の測定用回転体220に配置された永久磁石215,225が発生する磁界の径方向の変化をそれぞれ検出可能なMR素子(磁気抵抗素子)231,232が各測定用回転体210,220の中央部に備わっている。なお、MR素子とは磁気抵抗の効果のために磁界によって変化する抵抗値を出力する磁界検出素子である。
即ち、本実施形態の回転センサ2の第1の測定用回転体210は、主回転体250の周囲に形成された歯車251とほぼ1:1の回転比で回転する第1歯車211を有している。この構成による回転伝達誤差は、主に歯車間のバックラッシによって生じるものであるが、特許文献1に記載された回転センサほどの影響は受けない。
MR素子231,232は、その検出出力がsin曲線状の検出出力とcos曲線状の検出出力として得られ、これらの検出出力をtan関数の検出出力に換算して、図7に示すような第1の測定用回転体210に対応する第1のMR素子231が90°ごとの周期で変化する。鋸歯状波形の出力信号として第2の測定用回転体220に対応する第2のMR素子232が191.25°ごとの周期で変化する鋸歯状波形の出力信号として出力するようになっている。なお、この信号処理方法は、例えば特開2004−53444号公報において記載されているように公知である。第2のMR素子232の検出出力の周期がこのように191.25°となっている理由は、本実施形態の場合、第1の測定用回転体210に備わった第1歯車211の歯数が80、第2歯車221の歯数が85であるため、これらの歯数の関係から、第2歯車221の回転に応じて検出される第2のMR素子232の検出信号の周期が180°×85/80=191.25°となっているためである。
このように、本実施形態にかかる回転センサ2は、第1の測定用回転体210に備わった永久磁石215とこれに対応する第1のMR素子231から協働して得られる第1の検出信号が第1の測定用回転体210、即ち主回転体250の回転に対応して90°の周期で出力され、かつ第2の測定用回転体220に備わった永久磁石225とこれに対応する第2のMR素子232が協働して得られる第2の検出信号が第2の測定用回転体220の回転に対応して191.25°の周期で出力されるようになるが、本発明にかかる回転センサ2においては、これらの検出信号の周期間で以下の各関係を満たすことが必要とされている。
まず、各検出信号の周期が満たすべき第1の関係として、第1のMR素子(第1の検出手段)231の検出信号の周期をTc、第2のMR素子(第2の検出手段)232の検出信号の周期をTmとした場合、
(Tm−Tc×i)×n=Tm(i及びnは正の整数)の関係を満たすようになっている。このような関係を満たすことで、主回転体250、即ち測定すべきシャフトSの絶対回転角度検出の分解能を向上させるとともに耐ノイズ性を向上させるようになっている。なお、本実施形態にかかる回転センサ2の場合、Tc=90°、Tm=191.25°として、i=2、n=17とすると、
(191.25−90×2)×17=191.25となり、上述の関係式を満たしている。
また、この周期Tm及び周期Tcに互いに異なる正の整数をかけたそれぞれの倍数において、共通で最小のものをTxとすると、Tx≧1440°の関係を満たすようになっている。このような関係を満たすことで、測定範囲の±720°の範囲内で、第1の検出手段をなす第1のMR素子231と第2の検出手段をなす第2のMR素子232によって得られる2つの出力値の組み合わせに対応する主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度の解が複数発生してしまうのを回避し、第1のMR素子231の出力値と第2のMR素子232の出力値とから確実かつ一義的に主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度を求めることができるようになる。
なお、本実施形態にかかる回転センサ2の場合、Tc=90°、Tm=191.25°として、Tx=90×17=191.25×8=1530°、となり、上述の関係式を満たしている。
また、Tx=Tc×nの関係を満たしている。その結果、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせによって規定される検量線の隣接する検量線同士の間隔が広くなる。これによって、TmとTcの組み合わせの範囲をより狭くし、絶対角度に対応する第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせにおいて検出性能が向上されない組み合わせを減らして有効な組み合わせ範囲に絞ることができるようにしている。
なお、本実施形態にかかる回転センサ2の場合、Tc=90°、Tx=1530°、であるので、1530=90×17、よってn=17となり、上述の関係式を満たしている。
なお、主回転体250、即ちシャフトSは360°で1周するため、必然的にTcは360°以下となり、Tc=360°/k(kは、正の整数)の関係を満たすようになる。
本実施形態の場合、上述のような関係式を満たす周期のうちで、既に説明したように主回転体250である第1の測定用回転体210の検出信号の周期Tcを90°、副回転体である第2の測定用回転体220の検出信号の周期Tmを191.25°としている。この周期の組み合わせによると、第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせを主回転体250の絶対回転角度に最適に対応させている。
しかしながら、第1の検出手段である第1のMR素子231から得られた主回転体250の回転検出信号の周期と第2の検出手段である第2のMR素子232から得られた第2歯車221の回転検出信号の周期との関係は、本実施形態のように90°と191.25°に限定されず、各周期が上述した関係式を満たすようであれば、他の周期であってもかまわない。
これらの関係を満たすことにより、後述するように、永久磁石215及び第1のMR素子231の組み合わせから得られる第1の検出信号と永久磁石225と第2のMR素子232から得られる第2の検出信号との組み合わせから主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度を求めるための検量線が、図80に示すように広範囲の絶対回転角度にわたって均等に分散するようになる。即ち、検量線の分布する領域をできるだけ広くし、かつ検量線がこの広くなった領域において等間隔で分布するようになる。これによって、第1のMR素子231からの回転検出信号と第2のMR素子232からの回転検出信号の組み合わせに対応する主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度の対応関係を明確化できるようになる。
なお、例えば他の一例として、第1のMR素子からの回転検出信号の周期が120°、第2のMR素子からの回転検出信号の周期が130°となっていても、第1の検出信号と第2の検出信号との周期が上述した関係式を満たすことができ、主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度を精度良く検出することができる。即ち、この場合であっても、測定すべき主回転体250、即ちシャフトSの幅広い絶対回転角度の範囲内で図8に示す各検量線が全体的に分散して規定されるようになる。
続いて、上述した回転センサ2を用いたシャフトSの絶対回転角度の測定方法について説明する。本実施形態にかかる回転センサ2は、上述したように第1のMR素子231の検出信号の周期と第2のMR素子232の検出信号の周期が特別の関係を満たすので、主回転体250の回転に対応する第1のMR素子231の出力信号の周期と第2歯車221に備わった第2のMR素子232の出力信号の周期との対応関係は図8の検量線に限定された関係になる。これに伴って、図7に示すように永久磁石215と第1のMR素子231による主回転体250の回転信号検出値が−750°から+750°にわたって90°ごとに鋸歯状の波形で交互に連続的に出力されるとともに、永久磁石225と第2のMR素子232による第2歯車221の回転角度検出出力の周期が191.25°ごとに鋸歯状の波形で交互に連続的に出力される。
従って、永久磁石215と第1のMR素子231から検出された周期と永久磁石225と第2のMR素子232から検出された周期を比較することによって、以下に示すように主回転体250と一体となって回転するシャフトSの絶対回転角度を精度良く求めることができる。
図9は、主回転体250の回転角度を90°の範囲ごとに検出した小舵角(小回転角)の検出出力値と、第2歯車221の回転角度を191.25°の範囲ごとに検出した大舵角(大回転角)の検出出力値と、これらの検出出力値に基づき回転角度が求められる測定すべき回転体(被測定用回転体)である主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度との対応関係の一例を示した一覧表である。ここで、本実施形態にかかる回転センサ2は、これらに対応する絶対回転角の関係を全て一対一対応でメモリに記憶させておいても良いが、本実施形態においては、小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値とからマイコンの計算によりこの絶対回転角度を一義的に求めるようにしている。
以下に、小舵角の検出出力値と、大舵角の検出出力値とから絶対回転角度を決定する方法をより詳細に説明する。なお、本実施形態においては、大舵角を検出する第2のMR素子232によって検出される角度は−95.625°〜+95.625°(合計191.25°)となっている。また、小舵角を検出する第1のMR素子231によって決定される角度は0°〜+90°となっている。また、原点では第1のMR素子231、及び第2のMR素子232の双方とも0°になるものとしている。
ここで、センシングのレンジとしては、第1のMR素子231の検出周期Tcが90°、第2のMR素子232の検出周期Tmが191.25°なので、最小公倍数を考えると、
90×17=191.25×8=1530°、となる。
即ち、主回転体250をどちらか一方向に1530°回転させると、第1のMR素子231から得られる小舵角の検出出力と第2のMR素子232から得られる大舵角の検出出力が完全に同じ関係になるので、本実施形態の場合、センシングのレンジ仕様を1530°(−765°〜+765°)の範囲に設定して主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度を測定することになる。
なお、例えば、第2のMR素子232の周期が192°の場合を考えると、第1のMR素子231の周期Tc=90°、第2のMR素子232の周期Tm=192°となるので、
90×32=192×15=2880°、
となり、−1440°〜+1440°がセンシング範囲となる。
続いて、特定の小舵角に対して大舵角がどのように対応するかについて説明する。本実施形態の場合、191.25−(90×2)=11.25°刻みで小舵角に対して大舵角の角度が変化していく。但し、第2のMR素子232の周期が2倍あるので、小舵角からみて大舵角は2系列(44°と−46°が基点)になっている。
図9の表では、小舵角が44°の時の大舵角と絶対角を示している。この場合、絶対回転角度が−766°と764°において小舵角と大舵角が同じ関係になっている。また、他の場合であっても絶対角度で1530°の隔たりがあるところでは同じ関係になっている。
また、Tx=Tc×nの関係を満たしている。これによって、第1の検出手段と第2の検出手段の2つの出力値の組み合わせによって規定される検量線の隣接する検量線同士の間隔が広くなる。これによって、TmとTcの組み合わせの範囲をより狭くし、絶対角度に対応する第1の検出手段と第2の検出手段との2つの出力値の組み合わせにおいて検出性能が向上されない組み合わせを減らして有効な組み合わせ範囲に絞っている。
なお、主回転体250、即ちシャフトSは360°で1周するため、必然的にTcは360°以下となり、c=360°/k(kは、正の整数)の関係を満たしている。
続いて、検出された大舵角と小舵角から測定すべき主回転体250、即ちシャフトSの絶対回転角度を決定する方法について説明する。この場合、絶対回転角度の範囲が−750°〜+750°としている。小舵角を第1のMR素子231の検出値から44.00°と検出したとする。この場合、大舵角を第2のMR素子232の検出値から決定する。第2のMR素子232の検出値が図9に示すように約−12.25°であったとする。この場合、大舵角の符号(マイナス)が小舵角の符号(プラス)と+/−が反転しているので、
44−90=−46°、を基点に−12.2°に向かって11.25°ずつ加算する。この場合、
−46/−34.75/−23.5/−12.25
と3回、11.25°を加算すると第2のMR素子232が検出された大舵角に近い値になるので、小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値に対応するメモリテーブルを有さなくても、マイコンの計算により小舵角と大舵角の検出出力値から、
−46−180×3=−586°、として図9の一覧表に示す絶対回転角度(−586°)を求めることができる。
図10は、この求められた小舵角の検出出力値と大舵角の検出出力値とから絶対回転角度を一義的に求める方法の他の一例について説明した図である。この場合、小舵角44°、大舵角−46°の場合、絶対回転角度は−46°として規定されている。図10に示すように例えばコイルコア50の出力から小舵角が44°で第2のMR素子232の出力から大舵角が−68.5°と検出されたときに絶対回転角度を算出する場合について説明する。この場合、大舵角の−46°から11.25°を減算して−68.5°に対する減算回数を算出する。11.25°を小舵角の−46°から2回減算すると大舵角の−68.5°に達するので、絶対回転角度は−46°+(180×(減算回数=2))=314°として一義的に求めることができる。
以上説明したように、本発明にかかる回転センサ2は、小舵角として永久磁石215と第1のMR素子231の組み合わせを介してロータ10の回転角度を90°ごとの周期を検出するとともに、大舵角として永久磁石225と第2のMR素子232の組み合わせを介して第2歯車221の回転を191.25°ごとの周期で検出している。即ち、上述した主回転体250、即ちシャフトSから得られた第1の検出信号の周期と副回転体である第2歯車221から得られた第2の検出信号の周期とが上述した周期の関係式を満たすような回転センサとしている。これによって、例えば周期が上述のように規定された場合、図10に示すような小舵角の検出出力と大舵角の検出出力とを得るだけで絶対回転角度を精度良く一義的に算出できるようになり、精度が高くかつ耐ノイズ性に優れた絶対回転角度検出を行うことが可能となる。
なお、図7から図10までを用いて説明した第2の実施形態の回転センサ2の回転角度検出の流れは、第2の実施形態の回転センサ2にのみ適用されるものではなく、第1の実施形態の回転センサ1において回転角度を検出する際にも適用することができることはいうまでもない。
以上説明したように、従来技術にかかる回転センサは、主回転体の角度検出に協働する2つの測定用回転体の角度をともに主信号として用い、それぞれの信号から主回転体の角度を検出している。しかしながら、この構造では、主回転体の回転角度は2つ測定用回転体の歯車のバックラッシなどによる角度誤差の影響を受けてしまい、検出精度を高めることに問題があった。一方、本実施形態にかかる回転センサを用いることで、主回転体と協働する2つの測定用回転体において、主回転体と同一の回転数で回転するように主回転体と同数の歯数をもつ一方の測定用回転体が検出する信号を主信号とし、更に第1の測定用回転体より減速するような歯数をもつ他方の測定用回転体が検出する信号を副信号とする。主回転体の回転角度は第1の測定用回転体の主信号から検出し、第2の測定用回転体の副信号は、第1の測定用回転体の回転角度が360°を越える角度を検出するために、第1の測定用回転体の回転位置検出の役割を果たしている。これにより、角度誤差は第1の測定用回転体の検出した回転角度に依存し、第2の測定用回転体の角度誤差の許容範囲が大幅に増えることでバックラッシの影響を最小限に抑えることができ、検出精度を向上させることができる。
本発明にかかる回転センサは、振動の影響をかなり受け易い車両用ステアリング装置の回転角度検出に特に適している。しかしながら、本発明にかかる回転センサは、例えば、ロボットアームのように振動しながら回転する回転軸間の相対回転角度や回転トルクを求めるものであれば、どのようなものにも適用可能である。
本発明の第1の実施形態にかかる回転センサの内部構造を概略的に示した平面図である。 第1の実施形態にかかる回転センサの概略ブロック図である。 第1の実施形態における絶対回転角度算出用のフローチャートである。 図1に示した回転センサの主回転体の絶対回転角度の検出方法を説明する図である。 図4に関連して小角度検出用の出力信号と大角度検出用の出力信号を上下に並べて示した図である。 本発明の第2の実施形態にかかる周期センサの内部構造を概略的に示した平面図である。 測定すべき回転体の絶対回転角度と第1のMR素子検出出力の周期に対する割合及びMR素子検出出力の周期に対する割合を示した図である。 第2の実施形態における周期センサの第1のMR素子検出出力の周期に対する割合と第2のMR素子検出出力の周期に対する割合との絶対回転角度に対応する組み合わせを示した検量線である。 小舵角、大舵角、絶対回転角度の関係を小舵角44°から46°の範囲で絶対回転角度順に示した一覧表である。 小舵角と大舵角の検出出力からメモリテーブルを用いずに計算により絶対回転角度を算出する方法を示す説明図である。
符号の説明
1,2 回転センサ
110 第1の測定用回転体
111 第1歯車
115 永久磁石
120 第2の測定用回転体
121 第2歯車
125 永久磁石
130 ケース
131〜134,136〜139 ホール素子
140 ホール素子配置用基板
150 主回転体
151 主歯車
160 中間歯車
210 第1の測定用回転体
211 第1歯車
215 永久磁石
220 第2の測定用回転体
221 第2歯車
225 永久磁石
230 ケース
231 第1のMR素子
232 第2のMR素子
240 MR素子配置用基板
250 主回転体
251 主歯車

Claims (3)

  1. 被測定用回転体の回転角度を当該被測定用回転体以外の測定用回転体を用いて測定する回転センサにおいて、
    前記被測定用回転体と連動して当該被測定用回転体とほぼ同一の回転数で回転する第1の測定用回転体と、前記第1の測定用回転体と連動して回転し、回転数が当該第1の測定用回転体より小さい第2の測定用回転体を備え、
    前記第1の測定用回転体及び第2の測定用回転体には、径方向磁界を有する永久磁石がそれぞれの中心に配置され、更に各永久磁石が発生する磁界の径方向の変化を検出可能な箇所に所定数の2個の磁界検出素子が前記第1及び第2の測定用回転体の回転と独立してそれぞれ配置され、
    前記磁界検出素子の出力を用いて前記第1の測定用回転体の回転角度及び第2の測定用回転体の回転角度を検出することにより被測定用回転体の回転角度を測定することを特徴とする回転センサ。
  2. 前記磁気検出素子は、ホール素子であることを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
  3. 前記磁気検出素子は、磁気抵抗素子であることを特徴とする、請求項1に記載の回転センサ。
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