JP2007269869A - 接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性に優れる、水性エマルジョンタイプの接着剤組成物を提供する。
【解決手段】[A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であって、前記A成分100質量部に対して、前記B成分を10〜150質量部、前記C成分を50〜500質量部含有し、前記A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内のものである接着剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】[A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であって、前記A成分100質量部に対して、前記B成分を10〜150質量部、前記C成分を50〜500質量部含有し、前記A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内のものである接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体をベースにした水性エマルジョンタイプの接着剤組成物に関するものである。より具体的には、ビニル床シート、オレフィン床シート、ビニル床タイル等の各種床材の施工に好適に用いることができる接着剤組成物に関するものである。
例えば、ビニル床シート、オレフィン床シート、ビニル床タイル等の各種床材を床面に対して接着施工するために様々な接着剤が用いられている。従来、接着剤としては、接着成分が有機溶剤に溶解された、いわゆる溶剤型の接着剤が主流であり、床材用の接着剤としても溶剤型の接着剤が汎用されていた。
しかしながら、このような溶剤型の接着剤は、高い接着力を示す等の利点を有しているものの、施工時の火災、蒸発する溶媒による身体への悪影響、環境汚染等の問題があった。特に近年、安全性・環境問題に対する関心が高まりつつあり、有機溶剤を含まない非溶剤型の接着剤が望まれている。そこで、溶剤型の接着剤に代わって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等の重合体をベースにした水性エマルジョンタイプの接着剤が用いられるようになってきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
このような水性エマルジョンタイプの接着剤は、溶剤型の接着剤とは異なり溶剤分を含まないため、施工時の火災、蒸発する溶媒による身体への悪影響、環境汚染等の問題を解消することが期待できる。しかしながら、水性エマルジョンタイプの接着剤は、溶剤型の接着剤と比べ、初期接着力や貯蔵安定性に劣る場合があるという問題があった。
また、従来、ビニル床シート、ビニル床タイル等の床材としては、難燃性に優れたハロゲン化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル等)が用いられてきたが、焼却処分の際に塩素化合物等の有害ガスを発生させるという問題があり、例えば、無機系難燃剤(水酸化マグネシウム等)を含むポリオレフィン(ポリエチレン等)系材料への代替が進行しつつある。しかしながら、水性エマルジョンタイプの接着剤は、上記のようなポリオレフィン系材料に対する密着性が十分ではないという問題もあった。
即ち、従来の水性エマルジョンタイプの接着剤は、初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性という課題が残されており、なお改善の余地を残すものであった。従って、初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性に優れた水性エマルジョンタイプの接着剤が切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性に優れる、水性エマルジョンタイプの床材用接着剤組成物を提供するものである。
本発明者らは、上述のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、水性エマルジョンに含まれる(メタ)アクリレート系重合体の組成及びガラス転移温度を所定の範囲内に制御することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の接着剤組成物が提供される。
[1][A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であって、前記A成分100質量部に対して、前記B成分を10〜150質量部、前記C成分を50〜500質量部含有し、前記A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内のものである接着剤組成物。
[2]前記A成分は、前記単量体aに由来する繰り返し単位としてブチルアクリレート単位を含み、前記ブチルアクリレート単位を前記A成分の全質量に対し30〜99.8質量%含有するものである前記[1]に記載の接着剤組成物。
[3]前記A成分は、前記単量体bに由来する繰り返し単位として2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位を含み、前記2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位を前記A成分の全質量に対し0.1〜15質量%含有するものである前記[1]又は[2]に記載の接着剤組成物。
[4]前記A成分は、前記単量体cに由来する繰り返し単位としてアクリル酸単位を含み、前記アクリル酸単位を前記A成分の全質量に対し0.1〜5質量%含有するものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[5]更に、[D成分]凍結防止剤を含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明の接着剤組成物は、安全性に優れ、環境汚染の問題を解決し得る水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であり、初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性に優れるものである。
以下、本発明の接着剤組成物を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」と記すときは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれもが含まれることを意味するものとする。また、本明細書においては、単量体Xに由来する繰り返し単位を「X単位」と記す場合がある。
[1]接着剤組成物:
本発明の接着剤組成物は、[A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であり、A成分100質量部に対して、B成分を10〜150質量部、C成分を50〜500質量部含有し、A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内の接着剤組成物である。
本発明の接着剤組成物は、[A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であり、A成分100質量部に対して、B成分を10〜150質量部、C成分を50〜500質量部含有し、A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内の接着剤組成物である。
[1−1](メタ)アクリレート系重合体[A成分]:
一般に、「(メタ)アクリレート系重合体」とは、(メタ)アクリレート単位を含む重合体をいう。そして、本発明の「(メタ)アクリレート系重合体」は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなる重合体である。
一般に、「(メタ)アクリレート系重合体」とは、(メタ)アクリレート単位を含む重合体をいう。そして、本発明の「(メタ)アクリレート系重合体」は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなる重合体である。
[1−1a]所定のアルキル(メタ)アクリレート[単量体a]:
「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、直鎖状ないし分岐状の脂肪族アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。本発明においては、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」の中でも、アルキル基の炭素数が4〜12のものを用いる必要がある。このような「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」を用いることによって、初期接着力に優れた接着剤組成物を得ることができる。一方、アルキル基の炭素数が3以下であると、得られる接着剤の初期接着力が不十分となるおそれがある。また、アルキル基の炭素数が13以上であると、得られる接着剤の凝集力が弱いため、夏期における床シートの寸法安定性(床シートの収縮に対する追随性)が不十分となる場合がある。
「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、直鎖状ないし分岐状の脂肪族アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。本発明においては、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」の中でも、アルキル基の炭素数が4〜12のものを用いる必要がある。このような「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」を用いることによって、初期接着力に優れた接着剤組成物を得ることができる。一方、アルキル基の炭素数が3以下であると、得られる接着剤の初期接着力が不十分となるおそれがある。また、アルキル基の炭素数が13以上であると、得られる接着剤の凝集力が弱いため、夏期における床シートの寸法安定性(床シートの収縮に対する追随性)が不十分となる場合がある。
「アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル」としては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらの単量体の中では、接着力に優れた接着剤を得られるという理由から、ブチル(メタ)アクリレート又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートを用いることが更に好ましい。
[1−1b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[単量体b]:
「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」とは、前記「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」のアルキル基に水酸基が導入されたものをいう。「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」を用いることによって、貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」とは、前記「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」のアルキル基に水酸基が導入されたものをいう。「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」を用いることによって、貯蔵安定性に優れた接着剤組成物を得ることができる。
「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体の中では、重合安定性に優れる、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることが好ましい。
[1−1c]カルボキシル基含有単量体[単量体c]:
「カルボキシル基含有単量体」とは、文字通り、その構造中にカルボキシル基を含有する重合性の単量体を意味する。「カルボキシル基含有単量体」を用いることによって、接着力に優れた接着剤組成物を得ることができる。
「カルボキシル基含有単量体」とは、文字通り、その構造中にカルボキシル基を含有する重合性の単量体を意味する。「カルボキシル基含有単量体」を用いることによって、接着力に優れた接着剤組成物を得ることができる。
「カルボキシル基含有単量体」としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、クロトン酸をはじめとするα,β−不飽和カルボン酸単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体の中では、重合安定性に優れる、アクリル酸を用いることが好ましい。
[1−1d]その他の重合性単量体[単量体d]:
「その他の重合性単量体」とは、既に説明した単量体a、単量体b、単量体c以外の重合性単量体であって、重合性不飽和結合を有し、単量体a、単量体b、単量体cと共重合可能な単量体を意味する。
「その他の重合性単量体」とは、既に説明した単量体a、単量体b、単量体c以外の重合性単量体であって、重合性不飽和結合を有し、単量体a、単量体b、単量体cと共重合可能な単量体を意味する。
「その他の重合性単量体」としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の酸アミド化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;
N−メチロールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−フェニル−2′−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1イミド等のアミンイミド基含有ビニル系単量体;アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等のピペリジン系モノマー;ジビニルベンゼン等の多官能性単量体;
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシラン等の重合性官能基(グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基等)を有するシランカップリング剤;その他ジカプロラクトン等を挙げることができる。これらの単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体の中では、メチルメタクリレート、アクリロニトリルを用いることが好ましい。
[1−1e](メタ)アクリレート系重合体[A成分]の製法:
「(メタ)アクリレート系重合体」は、上記の単量体a〜dを共重合させることにより得ることができる。
「(メタ)アクリレート系重合体」は、上記の単量体a〜dを共重合させることにより得ることができる。
本発明の接着剤組成物のベースエマルジョンとなるA成分の合成(共重合)については通常の乳化重合法が用いられる。乳化剤、水及び重合開始剤の存在下で、単量体a〜dを乳化重合させる方法により、(メタ)アクリレート系重合体[A成分]を含む(メタ)アクリレートエマルジョンが得られ、このエマルジョンを本発明の接着剤組成物の原料として用いることができる。
「乳化剤」としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテル等のノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型等)、スルホン酸型等の両性界面活性剤;以下全て商品名で、ラテムルS−180A(花王社製)、エレミノールJS−2(三洋化成社製)、アクアロンKH−10(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE−10N、アデカリアソープSR−10(旭電化工業社製)、Antox MS−60(日本乳化剤社製)、サーフマーFP−120(東邦化学工業社製)等の反応性乳化剤;等の乳化剤を用いることができる。これらの乳化剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
「乳化剤」の使用量は、単量体a〜dの合計量100質量部に対し、0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.3〜3質量部とすることが更に好ましい。「乳化剤」の使用量を0.1〜5質量部とすることにより、十分な乳化力を発揮させることができ、重合安定性を向上させることが可能となる。また、粒子の微小化によるエマルジョンの粘度上昇を抑制することも可能である。
「重合開始剤」としては、通常、ラジカル重合開始剤が用いられる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、2,2’−アゾビス〔2−N−ベンジルアミジノ〕プロパン塩酸塩等の水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤;過酸化水素等の過酸化物と、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とを併用したレドックス系開始剤;等を好適に用いることができる。
「重合開始剤」の使用量は、単量体a〜dの合計量100質量部に対し、0.1〜4質量部であることが好ましく、0.3〜2質量部であることが更に好ましい。「重合開始剤」の使用量を0.1〜4質量部とすることにより、重合安定性を向上させることができ、凝集物の発生や未反応モノマーの残存を有効に防止することが可能となる。
なお、重合に際しては、例えば、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用してもよい。この場合の使用量としては、単量体a〜dの合計量100質量部に対し0.5質量部以下とすることが好ましい。0.5質量部を超えると、得られる接着剤の接着強度が低下する傾向がある。
「単量体a」の使用量は、単量体a〜dの合計量を100質量%とした場合に、30〜99.8質量%とすることが好ましく、40〜99.8質量%とすることが更に好ましく、80〜99.8質量%とすることが特に好ましい。「単量体a」の使用量が30質量%未満では、得られる接着剤の初期接着力、接着強度、貯蔵安定性が低下する場合がある。
本発明の接着剤組成物においては、「単量体a」としてブチルアクリレートを用いることが好ましい。そして、そのブチルアクリレートは、単量体a〜dの合計量を100質量%とした場合に、30〜99.8質量%含有させることが好ましい。
このような「(メタ)アクリレート系重合体」は、接着剤組成物の初期接着力を向上させることができるという好ましい効果を発揮させることができる。この効果をより確実に発揮させるためには、ブチルアクリレートの使用量を40〜99.8質量%とすることが更に好ましい。一方、ブチルアクリレートの使用量が30質量%未満では、得られる接着剤の接着力が低下する場合がある。
「単量体b」の使用量は、単量体a〜dの合計量を100質量%とした場合に、0.1〜15質量%とすることが好ましく、0.5〜10質量%とすることが更に好ましい。「単量体b」の使用量が0.1質量%未満では、接着剤組成物の貯蔵安定性が不十分となるおそれがある。また、15質量%を超えると、接着剤組成物の初期接着力が不十分となる傾向がある。
本発明の接着剤組成物においては、「単量体b」として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いることが好ましい。
「単量体c」の使用量は、単量体a〜dの合計量を100質量%とした場合に、0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.5〜4質量%とすることが更に好ましい。「単量体c」の使用量が0.1質量%未満では、重合安定性が低下する場合があり、5質量%を超えると、重合時の粘度上昇が著しいという不具合を生ずるおそれがある。本発明の接着剤組成物においては、「単量体c」としてアクリル酸を用いることが好ましい。
「単量体d」の使用量は、単量体a〜dの合計量を100質量%とした場合に、0〜50質量%とすることが好ましく、0.1〜45質量%とすることが更に好ましい。「単量体d」の使用量を0〜50質量%とすることにより、接着剤組成物の接着力、エマルジョンの機械的安定性及び貯蔵安定性等を向上させることができるという好ましい効果を発揮させることができる。
乳化重合の媒体となる水の使用量は、得られる(メタ)アクリレートエマルジョンの固形分濃度が30〜70質量%であることが好ましく、45〜65%であることが更に好ましい。固形分濃度が30質量%未満では、増粘剤の添加量が多くならざるを得ず、得られる接着剤の耐水性が低下するおそれがある。また、固形分濃度が70質量%を超えると、安定なエマルジョンが得られない傾向にある。
[1−1f](メタ)アクリレート系重合体[A成分]のガラス転移温度:
「(メタ)アクリレート系重合体」のガラス転移温度は、−70〜0℃の範囲内であることが必要であり、−65〜−5℃の範囲内であることが好ましく、−60〜−10℃の範囲内であることが更に好ましい。
「(メタ)アクリレート系重合体」のガラス転移温度は、−70〜0℃の範囲内であることが必要であり、−65〜−5℃の範囲内であることが好ましく、−60〜−10℃の範囲内であることが更に好ましい。
ガラス転移温度を−70〜0℃の範囲内とすることにより、十分な初期接着力を得ることができる。一方、ガラス転移温度が−70℃未満であると、初期接着力が不十分となる場合がある。また、ガラス転移温度が0℃を超えると、十分な初期接着力、接着強度を得ることが困難となる場合がある。なお、本明細書において「ガラス転移温度」というときは、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に記載の方法に準拠して測定されたガラス転移温度を意味するものとする。
ガラス転移温度は、(メタ)アクリレート系重合体を構成する繰り返し単位の種類及び比率を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。単量体M1,M2,・・・Mnに由来する繰り返し単位から構成される重合体Pのガラス転移温度(理論値)は、フォックスの式(下記式(1))から算出することができるので、この式を参考に繰り返し単位の種類及び比率を調節すればよい。
1/TgP=r1/TgM1+r2/TgM2・・・ +rn/TgMn :(1)
(但し、TgP:重合体Pのガラス転移温度(K)、TgM1:単量体M1の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM2:単量体M2の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM3:単量体Mnの単独重合体のガラス転移温度(K)、r1:重合体Pにおける単量体M1単位の質量分率、r2:重合体Pにおける単量体M2単位の質量分率、rn:重合体Pにおける単量体Mn単位の質量分率)
1/TgP=r1/TgM1+r2/TgM2・・・ +rn/TgMn :(1)
(但し、TgP:重合体Pのガラス転移温度(K)、TgM1:単量体M1の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM2:単量体M2の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM3:単量体Mnの単独重合体のガラス転移温度(K)、r1:重合体Pにおける単量体M1単位の質量分率、r2:重合体Pにおける単量体M2単位の質量分率、rn:重合体Pにおける単量体Mn単位の質量分率)
[1−2]粘着付与剤[B成分]:
「粘着付与剤」としては、従来公知の粘着付与剤を用いることができる。例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル類、重合ロジンエステル類、不均化ロジンエステル類、水素化ロジンエステル類、ロジン変性フェノール類等のロジン系粘着付与剤;その他、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、クマロン樹脂、スチレン系樹脂等を挙げることができる。
「粘着付与剤」としては、従来公知の粘着付与剤を用いることができる。例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル類、重合ロジンエステル類、不均化ロジンエステル類、水素化ロジンエステル類、ロジン変性フェノール類等のロジン系粘着付与剤;その他、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、クマロン樹脂、スチレン系樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、重合ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル類、ロジンフェノール類を用いることが好ましく、重合ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの不均化物、或いはこれらのエステル体を用いることが更に好ましい。ロジンエステル類は、ロジンないしロジン誘導体を、水添、不均化、重合等の変性手段で安定化した後、グリセリンやペンタエリスリトール等の各種ポリアルコールでエステル化して得られるものであり、本発明の接着剤組成物に好適に用いることができる。これらの粘着付与剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
粘着付与剤の軟化点は、50〜150℃であることが好ましく、60〜140℃であることが更に好ましい。軟化点を50〜150℃とすることによって、優れた凝集力を発揮させることができ、十分な接着強度を得ることが可能となる。軟化点が50℃未満であると、凝集力が弱くなり、接着強度が低下する傾向にある。一方、軟化点が150℃を超えると、凝集力が強くなりすぎ、冬季(低温)での初期接着力、接着強度が低下する傾向にある。なお、ここにいう「軟化点」とは、JIS K2207に記載の環球法に準拠して測定された軟化点を意味するものとする。
「粘着付与剤」の配合量は、A成分100質量部に対して、10〜150質量部とする必要があり、15〜140質量部とすることが好ましく、20〜130質量部とすることが更に好ましい。「粘着付与剤」の配合量を10〜150質量部とすることにより、接着剤組成物の接着強度、初期接着力を向上させることができる。一方、「粘着付与剤」の配合量が10質量部未満であると、粘着付与剤の添加効果が発揮されず、接着剤組成物の接着強度、初期接着力が不十分となるおそれがある。また、150質量部を超えると、接着強度や初期接着力が不十分となり易く、また、貯蔵安定性も低下するおそれがある。
[1−3]充填剤[C成分]:
「充填剤」としては、従来公知の充填剤を用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪砂、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、マイカ、ケイソウ土、ガラス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、各種ウィスカー等を挙げることができる。これらの充填剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
「充填剤」としては、従来公知の充填剤を用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪砂、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、マイカ、ケイソウ土、ガラス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、各種ウィスカー等を挙げることができる。これらの充填剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
充填剤の平均粒子径は、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径を1〜50μmの範囲内とすることによって、粘度の増加や接着剤組成物のゲル化を防止しつつ、接着剤組成物の接着強度を向上させることが可能となる。一方、充填剤の平均粒子径が1μm未満であると、接着剤組成物の粘度が増加したり、或いはゲル化したりする場合がある。また、50μmを超えると、接着強度が低下する傾向にある。
「充填剤」の配合量は、A成分100質量部に対して、50〜500質量部とする必要があり、75〜450質量部とすることが好ましく、100〜400質量部とすることが更に好ましい。「充填剤」の配合量を50〜500質量部とすることにより、接着剤組成物の接着強度、初期接着力、凝集力、塗布作業性を向上させることができる。一方、「充填剤」の配合量が50質量部未満であると、接着強度、凝集力、塗布作業性が低下するおそれがある。また、500質量部を超えると、接着剤組成物の接着強度、初期接着力、貯蔵安定性、塗布作業性が低下する傾向にある。
[1−4]凍結防止剤[D成分]:
本発明の接着剤組成物は、必須構成成分であるA成分、B成分、C成分に加えて、[D成分]凍結防止剤を更に含有するものであってもよい。「凍結防止剤」を含有させることによって、接着剤組成物を冬季に屋外保管した場合等でもその凍結を防止し、乳化重合物の粒子が破壊されたり、離水したりして、接着剤組成物が使用不能となる事態を効果的に防止することができる。
本発明の接着剤組成物は、必須構成成分であるA成分、B成分、C成分に加えて、[D成分]凍結防止剤を更に含有するものであってもよい。「凍結防止剤」を含有させることによって、接着剤組成物を冬季に屋外保管した場合等でもその凍結を防止し、乳化重合物の粒子が破壊されたり、離水したりして、接着剤組成物が使用不能となる事態を効果的に防止することができる。
「凍結防止剤」としては、従来公知の凍結防止剤を用いることができる。例えば、下記一般式(2)で示される化合物、具体的には、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。これらの化合物は、接着剤組成物の凍結防止性を向上させることに加え、初期接着力を向上させるため、床材の初期の収まり性を向上させる点において好ましい。
R1−O−(CHR2−CH2−O)n−H :(2)
(但し、一般式(1)において、nは2以上の整数であり、nが2の場合、R1は炭素数3〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。nが3以上の場合、R1は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
R1−O−(CHR2−CH2−O)n−H :(2)
(但し、一般式(1)において、nは2以上の整数であり、nが2の場合、R1は炭素数3〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。nが3以上の場合、R1は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
これらの中でも、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることが更に好ましい。これらの凍結防止剤は、凍結防止性を持つと同時に、接着剤組成物の初期接着力を向上させる効果があるため好適に用いることができる。これらの凍結防止剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
「凍結防止剤」の配合量は、A成分100質量部に対して、2〜30質量部とすることが好ましく、10〜25質量部とすることが更に好ましい。「凍結防止剤」の配合量を2〜30質量部とすることにより、接着剤組成物の凍結防止性、接着強度、初期接着力を向上させることができる。一方、「凍結防止剤」の配合量が2質量部未満であると、凍結防止性、接着強度、初期接着力が低下するおそれがある。また、30質量部を超えると、接着剤組成物が軟らかくなり過ぎて、その接着強度、初期接着力が低下する傾向にある。
[1−5]その他の添加剤:
本発明の接着剤組成物は、上記成分の他、目的に応じて、安定剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤等、接着剤組成物に使用されることがある各種添加剤を配合させたものであってもよい。
本発明の接着剤組成物は、上記成分の他、目的に応じて、安定剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤等、接着剤組成物に使用されることがある各種添加剤を配合させたものであってもよい。
「安定剤」としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。「分散剤」としては、例えば、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩等の無機系分散剤;ポリカルボン酸塩等の高分子分散剤;等を挙げることができる。
「消泡剤」としては、例えば、鉱物油系ノニオン系界面活性剤;ポリジメチルシロキサンオイル、エチレンオキサイド変性ないしはプロピレンオキサイド変性のジメチルシリコーンやジメチルシリコーンエマルジョン等のシリコーン系消泡剤;鉱物油;アセチレンアルコール等のアルコール系消泡剤;等を挙げることができる。「防腐剤」としては、例えば、環状窒素系化合物、環状窒素硫黄系化合物等を挙げることができる。「増粘剤」としては、例えば、ポリアクリル酸塩、水溶性ウレタン樹脂等を挙げることができる。
「その他の添加剤」の配合量は、A成分100質量部に対して、0〜10質量部とすることが好ましく、0〜7質量部とすることが更に好ましい。「その他の添加剤」の配合量が10質量部を超えると、接着剤組成物が軟らかくなり過ぎて、その接着強度、初期接着力が低下する傾向にある。
[1−6]接着剤組成物の製造方法:
本発明の接着剤組成物は、例えば、以下に示す製造方法により製造することができる。
本発明の接着剤組成物は、例えば、以下に示す製造方法により製造することができる。
まず、乳化剤、水及び重合開始剤の存在下で、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体を乳化重合させることにより、[A成分](メタ)アクリレート系重合体を含む(メタ)アクリレートエマルジョンを得る。
この(メタ)アクリレートエマルジョンに、[B成分]粘着付与剤、[C成分]充填剤、目的に応じて[D成分]凍結防止剤、その他の添加剤を添加した後、これらの成分が充分に混合されるように撹拌し、本発明の接着剤組成物を得る。
[1−7]接着剤組成物の物性:
本発明の接着剤組成物は、その総固形分濃度を50〜80質量%とすることが好ましく、60〜80質量%とすることが更に好ましい。総固形分濃度が50質量%未満であると、接着剤組成物の粘度が低くなり過ぎるため、増粘剤の量を増量せざるを得ず、接着剤組成物の耐水性が低下するおそれがある。また、80質量%を超えると、接着剤組成物の粘度が高くなり過ぎるため、塗布作業性が低下する傾向にある。
本発明の接着剤組成物は、その総固形分濃度を50〜80質量%とすることが好ましく、60〜80質量%とすることが更に好ましい。総固形分濃度が50質量%未満であると、接着剤組成物の粘度が低くなり過ぎるため、増粘剤の量を増量せざるを得ず、接着剤組成物の耐水性が低下するおそれがある。また、80質量%を超えると、接着剤組成物の粘度が高くなり過ぎるため、塗布作業性が低下する傾向にある。
また、本発明の接着剤組成物は、その粘度を40,000〜70,000mPa・sとすることが好ましい。粘度が40,000mPa・s未満の場合、或いは、70,000mPa・sを超えた場合には、いずれも塗布作業性が低下するおそれがある。
更に、本発明の接着剤組成物は、貯蔵安定性を向上させる観点からそのpHを6〜9とすることが好ましい。
[1−8]接着剤組成物の用途、使用方法その他:
本発明の接着剤組成物は、床材を床面に対して接着施工するための床材用接着剤として好適に用いることができる。対象となる床材について特に制限はなく、例えば、ビニル床タイル、オレフィン床シート、ビニル床シート等のプラスチック材、スレート板等の石材、木材、コンクリート、リノリュウム、ゴム、セラミック、カーペット等を挙げることができる。
本発明の接着剤組成物は、床材を床面に対して接着施工するための床材用接着剤として好適に用いることができる。対象となる床材について特に制限はなく、例えば、ビニル床タイル、オレフィン床シート、ビニル床シート等のプラスチック材、スレート板等の石材、木材、コンクリート、リノリュウム、ゴム、セラミック、カーペット等を挙げることができる。
本発明の接着剤組成物を床材に塗布する際には、下地表面に、クシゴテ等のコテ、刷毛、ロール等の従来公知の塗布手段を用いて塗布すればよい。本発明の接着剤組成物の塗布量についても特に制限はないが、塗布量を10〜600g/m2とすることが好ましく、30〜500g/m2とすることが更に好ましく、50〜400g/m2とすることが特に好ましい。塗布量を10〜600g/m2とすることにより、施工効率を低下させることなく、十分な接着強度をえることができる。一方、塗布量が10g/m2未満であると、十分な接着強度が得られないおそれがある。また、塗布量が600g/m2を超えると、乾燥させるのに時間を要し、初期接着力が低下するおそれがある。
本発明の接着剤組成物の貼り付け可能時間は、室温(20℃)条件下で20〜60分程度である。なお、「貼り付け可能時間」とは、接着剤組成物を床面に塗布した後、その塗布面に床材を貼り付けることが可能な時間であり、接着剤組成物を塗布した後、その塗布された接着剤組成物の接着力が維持される時間を意味するものである。
以下、本発明の接着剤組成物について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。従って、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。
[1]使用原料:
合成例、実施例、比較例においては、原料として以下のものを用いた。
(1)単量体a:
ブチルアクリレート(商品名:出光石油化学社製)又は2−エチルヘキシルアクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)、
(2)単量体b:
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)、
(3)単量体c:
アクリル酸(商品名:出光石油化学社製、80質量%アクリル酸水溶液)、
(4)単量体d:
メチルメタクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)
合成例、実施例、比較例においては、原料として以下のものを用いた。
(1)単量体a:
ブチルアクリレート(商品名:出光石油化学社製)又は2−エチルヘキシルアクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)、
(2)単量体b:
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)、
(3)単量体c:
アクリル酸(商品名:出光石油化学社製、80質量%アクリル酸水溶液)、
(4)単量体d:
メチルメタクリレート(商品名:三菱レイヨン社製)
(5)乳化剤:
反応性乳化剤(商品名:アデカリアソープSR−10、旭電化工業社製)、
(6)重合開始剤(ラジカル重合開始剤):
過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)、
(7)粘着付与剤[B成分]:
ロジンエステル(商品名:スーパーエステルE−720、荒川化学工業社製、軟化点100℃)、
(8)充填剤[C成分]:
炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1000、備北粉化工業社製、平均粒子径2.2μm)又は炭酸カルシウム(商品名:LW4000、清水工業社製、平均粒子径15μm)
反応性乳化剤(商品名:アデカリアソープSR−10、旭電化工業社製)、
(6)重合開始剤(ラジカル重合開始剤):
過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)、
(7)粘着付与剤[B成分]:
ロジンエステル(商品名:スーパーエステルE−720、荒川化学工業社製、軟化点100℃)、
(8)充填剤[C成分]:
炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1000、備北粉化工業社製、平均粒子径2.2μm)又は炭酸カルシウム(商品名:LW4000、清水工業社製、平均粒子径15μm)
[2](メタ)アクリレートエマルジョンの合成:
以下、(メタ)アクリレート系重合体[A成分]を含む(メタ)アクリレートエマルジョンの合成例を示す。
以下、(メタ)アクリレート系重合体[A成分]を含む(メタ)アクリレートエマルジョンの合成例を示す。
(合成例1)
まず、単量体a:ブチルアクリレート75質量部、単量体b:2−ヒドロキシエチルメタクリレート3質量部、単量体c:アクリル酸(80質量%アクリル酸水溶液)3質量部(アクリル酸実量換算)、単量体d:メチルメタクリレート20質量部、乳化剤:反応性乳化剤(商品名:アデカリアソープSR−10、旭電化工業社製)1質量部及び脱イオン水30質量部を仕込み、10分間撹拌することによりエマルジョン化した。
まず、単量体a:ブチルアクリレート75質量部、単量体b:2−ヒドロキシエチルメタクリレート3質量部、単量体c:アクリル酸(80質量%アクリル酸水溶液)3質量部(アクリル酸実量換算)、単量体d:メチルメタクリレート20質量部、乳化剤:反応性乳化剤(商品名:アデカリアソープSR−10、旭電化工業社製)1質量部及び脱イオン水30質量部を仕込み、10分間撹拌することによりエマルジョン化した。
また、これとは別に、単量体a〜dの総量100質量部に対して、脱イオン水30質量部及び乳化剤:反応性乳化剤(商品名:アデカリアソープSR−10、旭電化工業社製)0.3質量部を投入して、撹拌しながら、窒素置換した後、75℃に昇温した。その後、単量体a〜dの総量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤:過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)1質量部を添加した。この混合物に、上記の単量体a〜dのエマルジョンを4時間掛けて連続的に滴下し、重合温度を80℃とした。滴下終了後2時間熟成反応を行い、(メタ)アクリレート系重合体[A成分]を含む(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。このエマルジョンに含まれる(メタ)アクリレート系重合体[A成分]のガラス転移温度は−30℃であった。合成例1の重合組成及びガラス転移温度を表1に示す。
(合成例2〜4)
重合組成を表1に記載の組成に変更したことを除いては合成例1と同様にして、合成例2〜4の(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。これらの合成例の重合組成及びガラス転移温度を表1に示す。
重合組成を表1に記載の組成に変更したことを除いては合成例1と同様にして、合成例2〜4の(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。これらの合成例の重合組成及びガラス転移温度を表1に示す。
[3]接着剤組成物の調製:
以下、接着剤組成物の調製例を示す。
以下、接着剤組成物の調製例を示す。
(実施例1)
合成例1の(メタ)アクリレートエマルジョン100質量部([A成分](メタ)アクリレート系重合体換算)に対し、[B成分]粘着付与剤(ロジンエステル、商品名:スーパーエステルE−720、荒川化学工業社製、軟化点100℃)50質量部、[C成分]充填剤(炭酸カルシウム、商品名:ソフトン1000、備北粉化工業社製、平均粒子径2.2μm)200質量部を添加した後、これらの成分が充分に混合されるように撹拌し、実施例1の接着剤組成物を得た。実施例1の配合組成及び特性を表2に示す。
合成例1の(メタ)アクリレートエマルジョン100質量部([A成分](メタ)アクリレート系重合体換算)に対し、[B成分]粘着付与剤(ロジンエステル、商品名:スーパーエステルE−720、荒川化学工業社製、軟化点100℃)50質量部、[C成分]充填剤(炭酸カルシウム、商品名:ソフトン1000、備北粉化工業社製、平均粒子径2.2μm)200質量部を添加した後、これらの成分が充分に混合されるように撹拌し、実施例1の接着剤組成物を得た。実施例1の配合組成及び特性を表2に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
配合組成を表2に記載の組成に変更したことを除いては実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜3の接着剤組成物を得た。これらの実施例、比較例の配合組成及び特性を表2に示す。
配合組成を表2に記載の組成に変更したことを除いては実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜3の接着剤組成物を得た。これらの実施例、比較例の配合組成及び特性を表2に示す。
[4]接着剤組成物の評価方法:
以下、接着剤組成物の評価方法を示す。
以下、接着剤組成物の評価方法を示す。
(接着強度:90°剥離)
オレフィン床シートを幅25mm、長さ150mmに裁断して試験片とした。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、オレフィン床シートを貼り付けた後、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で7日間養生を行った後、剥離速度200mm/minで90°剥離強度を測定した。なお、「オレフィン床シート」としては、商品名:ポリオレフィン系クッションフロア AIIタイプ(シンコール社製)を用いた。90℃剥離強度が20N/25mm以上の場合「◎/極めて良好」、10N/25mm以上、20N/25mm未満の場合「○/良好」、10N/25mm未満の場合「×/不良」として評価した。
オレフィン床シートを幅25mm、長さ150mmに裁断して試験片とした。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、オレフィン床シートを貼り付けた後、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で7日間養生を行った後、剥離速度200mm/minで90°剥離強度を測定した。なお、「オレフィン床シート」としては、商品名:ポリオレフィン系クッションフロア AIIタイプ(シンコール社製)を用いた。90℃剥離強度が20N/25mm以上の場合「◎/極めて良好」、10N/25mm以上、20N/25mm未満の場合「○/良好」、10N/25mm未満の場合「×/不良」として評価した。
(接着強度:剪断接着力)
オレフィン床シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試験片とした。温度20℃、湿度60%の雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、前記オレフィン床シートの先端(幅25mm、長さ25mmの面積)を貼り合わせた後、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で7日間養生を行った後、引張り速度3mm/minで剪断接着力を測定した。剪断接着力が0.35N/mm2以上の場合「◎/極めて良好」、0.20N/mm2以上、0.35N/mm2未満の場合「○/良好」、0.20N/mm2未満の場合「×/不良」として評価した。なお、「オレフィン床シート」は、90°剥離の評価に使用したのと同じものを用いた。
オレフィン床シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試験片とした。温度20℃、湿度60%の雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、前記オレフィン床シートの先端(幅25mm、長さ25mmの面積)を貼り合わせた後、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた。温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で7日間養生を行った後、引張り速度3mm/minで剪断接着力を測定した。剪断接着力が0.35N/mm2以上の場合「◎/極めて良好」、0.20N/mm2以上、0.35N/mm2未満の場合「○/良好」、0.20N/mm2未満の場合「×/不良」として評価した。なお、「オレフィン床シート」は、90°剥離の評価に使用したのと同じものを用いた。
(初期接着力:床材の初期の収まり性)
温度20℃、湿度60%の雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、オレフィン床シートを貼り付け、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた直後にオレフィン床シートを水平方向にずらして収まり性を確認した。なお、「オレフィン床シート」は、90°剥離の評価に使用したのと同じものを用いた。全くズレがなかった場合「◎/極めて良好」、ずれが1mm以下の場合「○/良好」、1mmを超える場合「△/やや不良」、接着しなかった場合「×/不良」として評価した。
温度20℃、湿度60%の雰囲気下で、床材用接着剤組成物を、クシゴテを用いてスレート板に塗布し、オープンタイムを20分とり、オレフィン床シートを貼り付け、5kgのハンドローラーを一往復させて、オレフィン床シートをスレート板に圧着させた直後にオレフィン床シートを水平方向にずらして収まり性を確認した。なお、「オレフィン床シート」は、90°剥離の評価に使用したのと同じものを用いた。全くズレがなかった場合「◎/極めて良好」、ずれが1mm以下の場合「○/良好」、1mmを超える場合「△/やや不良」、接着しなかった場合「×/不良」として評価した。
(貯蔵安定性:50℃の液vis安定性)
床材用接着剤組成物100mlを容器に入れ、50℃で1ヶ月保管し、1ヶ月後にゲル化していないか目視確認した。また、保管前の粘度(当初粘度)に対して1ヶ月後の粘度がどの程度上昇したかを、下記式(3)で示す粘度上昇率(%)を基準に評価した。全くゲル化が認められず、粘度上昇率が200%以下の場合「○/良好」、ゲル化は認められないが、粘度上昇率が200%を超える場合「△/やや不良」、ゲル化が認められる場合「×/不良」として評価した。なお、粘度は、25℃の条件下、BH型粘度計(No.6ローター)を用い、回転数10回転にて測定した。
粘度上昇率(%):(1ヶ月後の粘度/当初粘度)×100 :(3)
床材用接着剤組成物100mlを容器に入れ、50℃で1ヶ月保管し、1ヶ月後にゲル化していないか目視確認した。また、保管前の粘度(当初粘度)に対して1ヶ月後の粘度がどの程度上昇したかを、下記式(3)で示す粘度上昇率(%)を基準に評価した。全くゲル化が認められず、粘度上昇率が200%以下の場合「○/良好」、ゲル化は認められないが、粘度上昇率が200%を超える場合「△/やや不良」、ゲル化が認められる場合「×/不良」として評価した。なお、粘度は、25℃の条件下、BH型粘度計(No.6ローター)を用い、回転数10回転にて測定した。
粘度上昇率(%):(1ヶ月後の粘度/当初粘度)×100 :(3)
[5]接着剤組成物の評価結果:
表2のデータから明らかなように、[A成分](メタ)アクリレート系重合体の重合組成及びガラス転移温度に加えて、接着剤組成物の配合組成が本発明の範囲内である実施例1〜5の接着剤組成物は、オレフィン基材を用いた場合でも、接着強度(90°剥離、剪断接着力)、初期接着力(収まり性)、貯蔵安定性(50℃の液vis安定性)等、全ての評価項目において良好な結果を示した。中でも、A成分を構成する繰り返し単位としてブチルアクリレート単位を含み、かつ、そのブチルアクリレート単位の含有量を80〜99.8質量%の範囲内に制御した実施例3及び4の接着剤組成物は、初期接着力(収まり性)が極めて良好であった。
表2のデータから明らかなように、[A成分](メタ)アクリレート系重合体の重合組成及びガラス転移温度に加えて、接着剤組成物の配合組成が本発明の範囲内である実施例1〜5の接着剤組成物は、オレフィン基材を用いた場合でも、接着強度(90°剥離、剪断接着力)、初期接着力(収まり性)、貯蔵安定性(50℃の液vis安定性)等、全ての評価項目において良好な結果を示した。中でも、A成分を構成する繰り返し単位としてブチルアクリレート単位を含み、かつ、そのブチルアクリレート単位の含有量を80〜99.8質量%の範囲内に制御した実施例3及び4の接着剤組成物は、初期接着力(収まり性)が極めて良好であった。
一方、比較例1の接着剤組成物は[B成分]粘着付与剤の量が不足していることに起因して、初期接着力(収まり性)がやや不良であり、接着強度、剪断接着力が不良であった。また、比較例2の接着剤組成物は[B成分]粘着付与剤の量が多すぎることに起因して、初期接着力(収まり性)がやや不良であり、接着強度、剪断接着力、貯蔵安定性が不良であった。更に、比較例3の接着剤組成物は[C成分]充填剤の量が多すぎることに起因して、全ての項目が不良であった。
更にまた、比較例4の接着剤組成物は[A成分](メタ)アクリレート系重合体のガラス転移点が本発明の範囲から外れていることに起因して、初期接着力(収まり性)、接着強度、剪断接着力が不良であった。また、比較例5の接着剤組成物は[A成分](メタ)アクリレート系重合体が[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を含んでいないことに起因して、初期接着力(収まり性)、接着強度、剪断接着力が不良であり、貯蔵安定性がやや不良であった。
本発明の接着剤組成物は、初期接着力、貯蔵安定性及びオレフィン基材に対する密着性に優れるので、ビニル床タイル、ビニル床シート等のプラスチック材、スレート板等の石材、木材、コンクリート、リノリュウム、ゴム、セラミック、カーペット等の各種床材を床面に対して接着施工するための床材用接着剤として好適に用いることができる。
Claims (5)
- [A成分](メタ)アクリレート系重合体、[B成分]粘着付与剤及び[C成分]充填剤、を含有する水性エマルジョンタイプの接着剤組成物であって、
前記A成分100質量部に対して、前記B成分を10〜150質量部、前記C成分を50〜500質量部含有し、
前記A成分は、[単量体a]アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、[単量体b]ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、[単量体c]カルボキシル基含有単量体及び[単量体d]その他の重合性単量体、に由来する繰り返し単位からなるとともに、そのガラス転移温度が−70〜0℃の範囲内のものである接着剤組成物。 - 前記A成分は、前記単量体aに由来する繰り返し単位としてブチルアクリレート単位を含み、前記ブチルアクリレート単位を前記A成分の全質量に対し30〜99.8質量%含有するものである請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記A成分は、前記単量体bに由来する繰り返し単位として2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位を含み、前記2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位を前記A成分の全質量に対し0.1〜15質量%含有するものである請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
- 前記A成分は、前記単量体cに由来する繰り返し単位としてアクリル酸単位を含み、前記アクリル酸単位を前記A成分の全質量に対し0.1〜5質量%含有するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
- 更に、[D成分]凍結防止剤、を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
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JP2012077207A (ja) * | 2010-10-01 | 2012-04-19 | Toli Corp | 床材用アクリル樹脂系接着剤 |
US8193278B2 (en) | 2009-08-07 | 2012-06-05 | Rohm And Haas Company | Plasticizer free caulks and sealants having improved aged wet adhesion |
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2006
- 2006-03-30 JP JP2006094318A patent/JP2007269869A/ja active Pending
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