JP2007266244A - 超電導コイルの状態監視装置、超電導コイルの監視基準作成方法及び超電導エネルギー貯蔵装置 - Google Patents

超電導コイルの状態監視装置、超電導コイルの監視基準作成方法及び超電導エネルギー貯蔵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱暴走等の異常発熱に対する超電導コイルの状態を簡単な構成で容易に監視することができる超電導コイルの監視技術を提供する。
【解決手段】超電導コイル10は、酸化物超電導体により形成された超電導線を巻回して構成されている。超電導コイル10は、伝熱板12、フランジ13を介してGM冷凍機14の冷却部15に接続されている。超電導エネルギー貯蔵装置1の運転時には、超電導コイル10の発熱量と温度の組を同時に検出し、検出した発熱量と温度の組を監視基準と比較し、比較結果に基づいて超電導コイル10の発熱状態を監視する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導部材、例えば、超電導エネルギー貯蔵装置等に使用される超電導コイルの状態を監視する技術に関する。
超電導コイルのエネルギー貯蔵能力を利用した超電導エネルギー貯蔵装置(SMES:Superconducting Magnetic Energy Storage System)が開発されている。超電導エネルギー貯蔵装置は、超電導体により形成された超電導線を巻回して構成された超電導コイルと、超電導コイルを冷却する冷却装置と、超電導コイルにエネルギーを貯蔵する動作または超電導コイルに貯蔵されているエネルギーを放出する動作を制御するスイッチ手段等を有している。超電導体としては、一般的には、金属系超電導体や酸化物超電導体が知られている。
ここで、金属系超電導体は臨界温度(超電導状態を維持することができる温度)が低い(例えば、NbTiの場合9K)ため、金属系超電導体により形成された超電導コイルを用いる場合には、液体ヘリウム等の冷媒を用いた高価な冷却装置が必要である。
一方、酸化物超電導体は、金属系超電導体に比べて臨界温度が高い(例えば、ビスマス系の場合90K)。また、近年、安価で冷却能力が高い伝導式冷却装置が開発されている。伝導式冷却装置は、冷凍機の冷却部を、伝熱体を介して被冷却体(例えば、超電導コイル)に接続することによって被冷却体を冷却する。そこで、酸化物超電導体により形成された超電導コイルを用いるとともに、超電導コイルを冷却する冷却装置として伝導式冷却装置を用いた超電導エネルギー貯蔵装置が開発されている。(特許文献1参照)
なお、超電導コイルの温度が上昇してクエンチ(超電導状態から常電導状態への転移)が発生すると、超電導コイルの溶断等が発生する可能性がある。このため、超電導コイルにクエンチが発生したことを監視する技術が提案されている。例えば、超電導コイルの両端の発生電圧と設定電圧とを比較することによって、超電導コイルにクエンチが発生したことを監視する技術が知られている。(特許文献2参照)
特開2005−129609号公報 特開平11−102808号公報
特許文献2に示されている技術を用いることにより、超電導コイルにクエンチが発生したか否かを監視することができる。しかしながら、クエンチが発生していない場合には、超電導コイルが現在どのような状態にあるのかを監視することができない。例えば、超電導コイルが、クエンチが発生する直前の状態にあるのか、あるいは、クエンチが発生するまで余裕がある状態にあるのかを監視することができない。特に、超電導コイルが超電導状態から常電導状態に移行し(クエンチが発生し)、超電導コイルに熱暴走(超電導コイルの温度が急激に上昇する現象)が発生すると、その影響が大きい。このため、超電導コイルに熱暴走が発生する直前の状態にあるのか、あるいは、熱暴走が発生するまで余裕がある状態にあるのか等を監視することができる技術の開発が要望されている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、クエンチ、特に、熱暴走等の異常発熱に対する超電導コイルの状態を簡単な構成で容易に監視することができる超電導コイルの監視技術を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおり超電導コイルの状態監視装置である。
本発明は、クエンチ、特に、クエンチによる熱暴走等の超電導コイルの発熱状態を検出する際に好適に用いることができる。
本発明は、超電導コイルの発熱量をP、温度をTとした場合、P−T空間上では、超電導コイルの負荷状態(電流)に依存しない共通の監視基準を設定することができるという新規な着想に基づいて、超電導コイルの状態を監視する。
本発明は、超電導コイルの発熱量P、温度Tを検出するための発熱量検出手段、温度検出手段と、発熱量検出手段により検出された発熱量と温度検出手段により検出された温度に基づいて超電導コイルの状態を監視する状態監視手段を備えている。
発熱量検出手段は、超電導コイルの電圧Vを検出する電圧検出手段と、超電導コイルの電流Iを検出する電流検出手段と、電圧検出手段で検出した電圧Vと電流検出手段で検出した電流Iを乗算処理して超電導コイルの発熱量P(=V×I)を算出する発熱量算出手段により構成することができる。電圧検出手段や電流検出手段としては公知の種々の電圧検出手段や電流検出手段を用いることができる。また、発熱量算出手段としては、公知の種々の演算手段や処理手段(CPU)を用いることができる。また、この場合、発熱量算出手段の処理と状態監視手段の処理を、共通の処理手段(CPU)で実行するように構成することもできる。
なお、発熱量検出手段及び温度検出手段は、超電導体の同じ箇所の発熱量と温度を検出するように配置あるいは構成するのが好ましい。例えば、温度と電流により発熱量を検出する発熱量検出手段を用いる場合には、同じ箇所の電圧と温度を検出するように電圧検出手段と温度検出手段を配置あるいは構成するのが好ましい。さらに、負荷電流が流れた時に最も温度上昇が大きい箇所の発熱量と温度を検出するように構成するのが好ましい。
状態監視手段は、同じ時点で検出された発熱量と温度の組み合わせを、P−T空間上で監視基準と比較し、比較結果に基づいて超電導コイルの状態、特に、発熱状態を監視する。監視基準は、実際の超電導コイルに負荷電流を流すことによって、あるいは、実際の超電導コイルを模擬した試験装置に負荷電流を流すことによって、あるいは、実際の超電導コイルと冷却装置を模擬した解析モデルを用いて熱伝導解析を行うことによって得た発熱量Pと温度Tに基づいて作成される。監視基準は、典型的には、P−T空間上において、熱暴走に至る発熱量Pと温度Tの組み合わせが存在する領域と、熱暴走に至らない発熱量Pと温度Tの組み合わせが存在する領域の境界線として作成される。勿論、監視基準は、熱暴走に至る発熱量Pと温度Tの組み合わせが存在する領域や熱暴走に至らない発熱量Pと温度Tの組み合わせが存在する領域として作成されてもよい。
なお、「同じ時点」は、厳密に同じ時点でなくてもよい。また、「同じ箇所」は、厳密に同じ箇所でなくてもよい。
本発明は、超電導コイルを用いた超電導エネルギー貯蔵装置、特に、高温超電導体であるビスマス系やイットリウム系の酸化物超電導体により形成された超電導線を巻回して構成された超電導コイルと、伝導式冷却装置を備える超電導エネルギー貯蔵装置に好適に用いることができる。
本発明では、超電導コイルの発熱状態を簡単な構成で容易に監視することができる。
発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおり超電導コイルの監視基準作成方法である。
本発明は、超電導コイルの発熱量をP(=電圧V×電流I)、温度をTとした場合、P−T空間上では、超電導コイルの負荷状態(電流)に依存しない監視基準を設定することができるという新規な着想に基づいている。
本発明では、監視対象である超電導コイルに通電し、同じ時点での超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせを複数の時点で検出する。超電導コイルの発熱量と温度は、超電導コイルの各箇所で異なる場合には、同じ箇所の発熱量と温度を検出する。例えば、発熱量Pを電圧Vと電流Iの積によって検出する場合、電流は共通であるが、電圧は各箇所によって異なる。また、温度も各箇所によって異なる。したがって、この場合には、同じ箇所の電圧Vと温度Tを検出する。
なお、「同じ時点」は厳密に同じ時点でなくてもよく、また、「同じ箇所」は厳密に同じ箇所でなくてもよい。
ここで、監視対象である超電導コイルは、実際の超電導コイルの形状や冷却装置の構造等を模擬した試験装置を用いて検出する方法や、実際の超電導コイルの形状や冷却装置の構造等を模擬した計算モデルを用いて熱伝導解析を行うことによって検出する方法を用いることができる。
次に、検出した同じ時点の発熱量と温度の組み合わせに基づいて、超電導コイルの熱暴走検出点を判別する。熱暴走検出点は、温度が急激に上昇した点を用いる。超電導コイルへの通電パターンに複数のパルス状の通電パターンが含まれている場合には、温度を検出した箇所の電圧の、各パルス状の通電パターンで通電した時のピーク値の包絡線が下に凸の曲線となった時点を熱暴走検出点として用いることができる。
そして、超電導コイルへの通電、同じ時点での発熱量と温度の組み合わせの検出、熱暴走検出点の判別を、複数の通電パターンについて行う。複数の通電パターンは、例えば、振幅値、時間変化率、周期等のパラメータが異なる通電パターンを用いられる。
次に、判別した熱暴走検出点に基づいて超電導コイルの監視基準を作成する。監視基準を作成する方法としては、典型的には、発熱量P−温度T空間平面上に発熱量と温度の組み合わせで表される熱暴走検出点をプロットし、熱暴走に至った領域と熱暴走に至らなかった領域との境界線、あるいは熱暴走に至った領域や熱暴走に至らなかった領域を監視基準として作成する方法が用いられる。
計算装置(シミュレーション装置)により、計算モデルの熱伝導解析を行うことによって超電導コイルの発熱量や温度を算出する方法を用いる場合には、超電導コイルの発熱量や温度を容易に得ることができる。さらに、計算装置(シミュレーション装置)により、熱暴走検出点を検出する方法を用いる場合には、監視基準を容易に作成することができる。
本発明では、超電導コイルを監視する監視基準を容易に作成することができる。
発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおり超電導コイルの監視基準作成方法である。
本発明では、超電導コイルの通電パターンとして、超電導コイルの充電と放電を繰り返す通電パターンを用いる。超電導コイルの充電と放電を繰り返す通電パターンとしては、典型的には、パルス状の通電パターンが用いられる。この方法を用いる場合には、前記した、各パルス状の通電パターンで通電した場合の電圧のピーク値の包絡線を用いて熱暴走検出点を判別することができる。
本発明は、超電導コイルを用いた超電導エネルギー貯蔵装置、特に、高温超電導体であるビスマス系やイットリウム系の酸化物超電導体により形成された超電導線を巻回して構成された超電導コイルと、伝導式冷却装置を備える超電導エネルギー貯蔵装置に好適に用いることができる。
発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおり超電導エネルギー貯蔵装置である。
本発明は、超電導エネルギー貯蔵装置に設けられている超電導コイルの状態を監視する。
本発明は、超電導コイルと、超電導コイルを冷却する冷却装置と、超電導コイルへのエネルギーの貯蔵と、超電導コイルに貯蔵されているエネルギーの放出を制御する制御手段を備えている。制御手段としては、例えば、超電導コイルへ電力を供給する電力路に設けられたスイッチ手段と、超電導コイルに並列に設けられるスイッチ手段等により構成される。スイッチ手段は、超電導エネルギー貯蔵装置が接続される電源線の電圧や電力を制御する制御装置によって制御される。
また、本発明は、超電導コイルの発熱量を検出する発熱量検出手段と、超電導コイルの温度を検出する温度検出手段と、超電導コイルの状態を監視する監視手段を備えている。
発熱量検出手段は、例えば、超電導コイルの発熱量を直接検出してもよいが、一般的には、電圧検出手段により検出された超電導コイルの電圧と電流検出手段により検出された超電導コイルの電流を乗算して発熱量を算出するものが用いられる。この場合、電圧検出手段は、温度検出手段で検出する箇所と同じ箇所の電圧を検出するように設けられる。
監視手段は、同じ時点で発熱量検出手段で検出された(同じ時点で検出された電圧と電流を用いて算出された発熱量)と温度検出手段で検出された温度の組を、超電導コイルの監視基準と比較し、比較結果に基づいて超電導コイルの状態を監視する。監視手段は、典型的には、発熱量P−温度T空間上で、検出された発熱量と温度の組み合わせを監視基準と比較する。
本発明では、超電導エネルギー貯蔵装置に設けられている超電導コイルの状態、特に発熱状態を簡単な構成で容易に監視することができる。
発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおり超電導エネルギー貯蔵装置である。
本発明では、ビスマス系の酸化物超電導体により形成された超電導コイルと、伝導式冷却装置を備えている。
本発明では、伝導式冷却装置を用いているため、装置全体を小型で安価に構成することができる。また、超電導コイルの状態を確実に監視することができるため、伝導式冷却装置を用いた超電導エネルギー貯蔵装置の信頼性を高めることができる。
請求項1に記載の超電導コイルの状態監視装置、請求項2及び3に記載の超電導コイルの監視基準作成方法、請求項4及び5に記載の超電導エネルギー貯蔵装置では、超電導コイルの負荷に依存しない共通の監視基準を用いている。これにより、超電導コイルの状態、特に発熱状態を、簡単な構成で容易に監視することができる。したがって、超電導コイルの状態に応じて適切な制御を行うことができ信頼性を高めることができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
超電導エネルギー貯蔵装置は、超電導コイルと、冷却装置と、超電導コイルへのエネルギーの貯蔵動作と超電導コイルに貯蔵されているエネルギーの放出動作を制御するためのスイッチ手段(制御手段)等を有している。スイッチ手段は、例えば、通常時には、超電導コイルに電気エネルギーが供給されるように動作した後、超電導コイルを短絡させて、電気エネルギーが磁気エネルギーとして貯蔵されるように動作する。
超電導エネルギー貯蔵装置は、負荷変動を補償する電力を供給する電力供給装置として用いることが想定されている。例えば、超電導エネルギー貯蔵装置が接続される電力線の電圧が短期間低下する場合や、電源線に短期間負荷が投入される場合等に、超電導コイルに貯蔵されている磁気エネルギーが電気エネルギーとして放出されるようにスイッチ手段が動作する。
この場合、超電導エネルギー貯蔵装置に設けられている超電導コイルにエネルギーを貯蔵する充電動作と、超電導コイルに貯蔵されているエネルギーを放出する放電動作が繰り返し行われる。すなわち、超電導コイルには、充電電流と放電電流が繰り返し流れる。
超電導コイルは、温度が上昇して超電導状態から常電導状態に転移すると(クエンチが発生すると)、超電導コイルの温度が急激に上昇する。なお、本明細書では、超電導コイルが超電導状態から常電導状態に転移して、超電導コイルの温度が急激に上昇することを「熱暴走」と表現する。超電導コイルの熱暴走が発生すると、超電導コイルの溶断等が発生する可能性がある。このため、超電導コイルの熱暴走が発生した状態は勿論であるが、超電導コイルの熱暴走の発生に至る可能性がある状態にあることを監視することが重要である。
超電導コイルの熱暴走に至る状態にあること、すなわち、超電導コイルの発熱状態を簡単な構成で容易に監視するには超電導コイルの負荷変動に依存しない監視基準が必要である。
先ず、負荷変動の補償に使用することが想定されている超電導エネルギー貯蔵装置を模擬した試験装置を用い、負荷変動補償を想定した通電パターン(負荷変動補償時に超電導コイルに流れる電流のパターンと同様のパターン)で通電した場合の超電導コイルの熱暴走特性について検討する。
図1に、高温超電導体であるビスマス系の酸化物超電導体Bi2212/Agにより形成された超電導線を巻回して構成された超電導コイルと伝導式冷却装置を用いた超電導エネルギー貯蔵装置を模擬した試験装置1を示す。
図1に示す試験装置1では、実機の超電導コイルと同様に、ビスマス系の酸化物超電導体Bi2212/Agにより形成された超電導線を巻回して構成された試験コイル10を用いている。試験コイル10は、1層あたり40巻きした4層ソレノイド構造を有している。試験コイル10には、図1に示す箇所の電圧(V1〜V5)と温度(T1〜T5)を測定するための電圧タップと熱電対(温度検出器)が設けられている。この場合、電圧V1〜V5によって各層の電圧が分かる、例えば、電圧[V1−V2]によって最も内側の層の電圧が表され、電圧[V4−V5]によって最も外側の層の電圧が表される。なお、試験コイル10の4.8Kにおける臨界電流は、178Aである。
試験コイル10は、エポキシ樹脂で含浸された後、外周に伝導冷却用の高純度アルミニウムの伝熱板12が取り付けられている。そして、伝熱板12は、厚さ8mmの高純度アルミニウムのフランジ13上に熱的に接触するように配置される。また、GM冷凍機14が、GM冷凍機14の冷却部(コールドヘッド)15がフランジ13に熱的に接触するように配置される。これにより、GM冷凍機14、冷却部15、フランジ13、伝熱板12によって伝熱式冷却装置が構成され、試験コイル10は、外周に設けられている伝熱板12を介して冷却される。
試験装置1は、ステンレス製の真空容器内に収容される。この真空容器内の圧力を1×10−6Pa以下に設定することよって、常温部と熱的に絶縁している。
試験コイル10の両端部は、リード線16を介して電源(定電流源)18に接続されている。なお、リード線16を介して常温部から熱が侵入するのを抑制するために、リード線16の一部にHTS(高温超電導)リード線が用いられている。
そして、試験コイル10に、超電導エネルギー貯蔵装置の負荷変動補償動作時の通電パターンを模擬した通電パターン(負荷変動補償パターン)で通電し、試験コイル10内の電圧・温度分布の時間変化を測定する。
通電パターンとしては、図2に示すように、電流振幅が90A、周期が18sの三角波(パルス)を5個有する通電パターンを用いた。そして、三角波(パルス)を通電する前の初期電流I(10A〜90A)及び初期温度(三角波を通電する前の試験コイル10内の平均温度)Tをパラメータし、種々の通電パターンを設定した。
なお、試験コイル10内の電圧が急上昇した場合には、その時点で通電を停止した。
試験結果の1例として、初期電流I=65A、初期温度T=17.3Kに設定した時の試験コイル10内の各層の電圧及び温度の時間変化を図3、図4に示す。
図3に示されているように、三角波(パルス)の通電パターンによって電流が増加する時、電流値がピークに達する近傍で、試験コイル10内の各層の電圧が急激に上昇している。この時の電圧値は、試験コイル10の内側の層に近づくほど大きくなっている。これは、最も内側の層の磁界が最も大きいこと、そして、伝熱板12が外周に取り付けられていることによるものである。
各三角波(パルス)の通電パターンで通電した時における最も内側の層の電圧[V1−V2]のピーク値は、時間の経過とともに上昇している。特に、三角波(パルス)の通電パターンでの通電を開始してから80秒後に急激に上昇している。すなわち、最も内側の層で熱暴走が発生している。
ここで、図3に示されているように、各三角波(パルス)の通電パターンでの通電時における、最も内側の層の電圧[V1−V2]のピーク値の包絡線が下に凸である曲線になっている。したがって、各三角波(パルス)の通電パターンでの通電時におけるピーク値の包絡線が下に凸である曲線となっていることによって、熱暴走の発生に至ることあるいは熱暴走の発生に至ったことを判別することができる。
なお、図3に示されているように、試験コイル10の各箇所で発熱状態が異なるため、各三角波の通電パターンでの通電時のピーク値の包絡線に基づいて熱暴走の発生を判別する場合には、試験コイル10の各箇所の電圧のうち、各三角波(パルス)の通電パターンでの通電時におけるピーク値が最も大きい箇所の電圧のピーク値の包絡線を用いるのが好ましい。
試験コイル10の各部の温度T1〜T5に関しても、図4に示すように、負荷変動補償を模擬した通電パターンで通電した場合、各三角波(パルス)の通電パターンで通電する毎に徐々に上昇している。最も内側の層の温度T1は、10K程度上昇しているが、その変化は、最も内側の層の電圧[V1−V2]の変化に比べて緩やかである。
したがって、負荷変動補償パターンで通電することによって試験コイルの熱暴走の発生に至ることあるいは熱暴走の発生に至ったことを判別するには、試験コイルの各部の温度に基づいて判別するより、試験コイルを各三角波の通電パターンで通電した時の試験コイルの各部の電圧のピーク値の包絡線、特に、試験コイルを各三角波の通電パターンで通電した時のピーク値が最も大きい箇所の電圧のピーク値の包絡線に基づいて判別するのが好ましい。試験コイルの熱暴走の発生に至ることあるいは熱暴走の発生に至ったことを試験コイルの各部の電圧のピーク値の包絡線に基づいて判別する方法としては、前述した、電圧のピーク値の包絡線が下に凸である曲線となっているか否かに基づいて判別する方法を用いることができる。
次に、試験コイル10の形状及び冷却構造を模擬した解析モデルを用いて2次元熱伝導解析を行った結果を以下に説明する。
この解析では、試験コイル10の外周に取り付けた伝熱板12の温度分布を[式1]の1次元熱伝導方程式で与えた。
Figure 2007266244
[式1]
また、試験コイル10における2次元温度分布に関しては、図5の熱伝導解析モデルで示すように、超電導線が巻かれている部分を2次元の微小領域に分割し、各領域における発熱Qを考えた。さらに、領域間における熱の移動は、エポキシ樹脂を介した半径方向(図5の左右方向)および高さ方向(図5の上下方向)の熱伝導と、超電導線に沿った熱伝導の両方を考慮し、各領域の温度上昇を[式2]で与えた。
Figure 2007266244
[式2]
ここで、[式1]及び[式2]において、CAl、TAl、kは、それぞれアルミニウム伝熱板12の比熱、温度、熱伝導率である。xは、アルミニウムフランジからの距離である。qcondは、超電導線から伝熱板12へ伝達する熱流束であり、超電導線とアルミニウムの温度差およびエポキシ樹脂の熱伝導率から計算される。CSC、TSCは、それぞれ超電導線の比熱、熱伝導率である。qは、隣接する超電導線の領域や伝熱板12への熱流束を表す。CAl、k、CSC等の熱的パラメータは、すべて温度依存性を考慮して計算した。
各超電導線領域における発熱Qに関しては、[式3]に示すように、超電導線のジュール熱Qとリード線16からの侵入熱Qの二つを考慮し、Qは[式4]、Qは[式5]で与えた。
Q=Q+Q [式3]
Figure 2007266244
[式4]
=RIin [式5]
ここで、[式3]〜[式5]において、Eは、各領域の電圧、Iinは、通電電流である。IC0は、LHe(液体ヘリウム)及びGHe(ガスヘリウム)中などの充分な冷却効果が期待できる臨界電流である。なお、Eは、1μV/cmの評価基準で決定される超電導線の電圧である。
以上の解析モデルにより、図2に示す負荷変動補償パターンで通電した場合の、試験コイル10の各部の電圧・温度上昇及びその伝搬過程を計算した結果を図6、図7に示す。
図6及び図7に示されているように、熱伝導解析においても、各三角波(パルス)の通電パターンで通電した場合の、最も内側の層の電圧[V1−V2]のピーク値は、時間の経過にしたがって徐々に大きくなっている。そして、電圧[V1−V2]のピーク値の包絡線が下に凸の曲線になって、熱暴走に至っている。
試験コイル10の温度に関しても、上昇過程が図4に示す実験結果とおおむね一致している。
したがって、図3及び図4に示す、試験コイル10の各部の電圧・温度の上昇特性の実験結果をシミュレーションによってほぼ再現することができる。
熱伝導解析によって判別した、各初期温度Tにおいて試験コイル10に負荷変動補償パターンを通電した場合の熱暴走発生の限界電流を図8に示す。
この解析では、リード線16の発熱等による外部からの熱の侵入を無視した理想的な冷却状態を想定した。そして、試験コイル10に、図2に示す負荷変動補償パターンで通電した時の試験コイル10の最も内側の層の電圧[V1−V2]のピーク値の包絡線が下に凸の曲線になった時点を熱暴走の発生時点とみなした。
なお、図8では、初期通電条件(I,T)(I:初期電流、T:初期温度)に対し、試験コイル10に、図2に示す負荷変動補償パターンで通電した時に熱暴走に至らなかった場合を「○」、熱暴走に至った場合を「×」で表している。
図8から、試験コイル10における熱暴走発生の限界電流は、初期温度Tの低下にしたがって上昇し、[T<10K]において飽和傾向にあることが分かる。
これは、ビスマス系の酸化物超電導体Bi2212及びアルミニウム伝熱板の比熱が極低温領域において著しく低下すること、また、銀及びアルミニウムの熱伝導率が20〜30Kで極大値を有することから、超電導コイルの発熱によって温度が上昇し易くなるためであると考えられる。
以上のことから、伝導冷却装置を用いて超電導コイルを冷却する場合、超電導コイルの熱暴走特性は、伝熱板や超電導体の比熱や熱伝導率などの熱的パラメータの温度依存性に強く影響を受けることがわかる。特に、[T<10K]の極低温領域では、伝熱板や超電導体の比熱と熱伝導率が温度の低下にしたがって著しく低下するため、超電導コイルの温度が上昇し易い傾向にあり、超電導コイルの発熱と伝導冷却との熱的バランスは崩れ易くなる。このため、負荷変動補償パターンの通電時において、熱暴走発生の限界電流は温度の低下とともに上昇せず、飽和する傾向にある。
また、負荷変動補償パターンの通電時における超電導コイルの各部の電圧・温度の上昇特性から、熱暴走に至る場合、超電導コイルの温度に比べて各層の電圧(×電流=発熱量)の方が急峻に上昇する。したがって、超電導コイルに発生する熱的な不安定状態を発熱の瞬時値(発熱量)に基づいて判別するのが、熱暴走の検出に有効である。
また、熱暴走発生の限界電流は温度に依存するため、検出すべき発熱レベルは、超電導コイルの温度に依存する。
したがって、超電導コイルの発熱量(発熱の瞬時値)P(W)と温度T(K)を同時に検出し、その熱的な安定性をP−T空間上で監視することが可能である。
次に、P−T空間上で超電導コイルの熱的な安定性を監視するための、監視基準の作成方法について説明する。
初期温度T=5.6K、初期電流I=65Aの場合について、試験コイル10の最も内側の層の発熱量P(W)と温度T(K)の軌跡を図9、図10、図11に示す。なお、図中、熱暴走検出点を白三角(△)で示している。
熱暴走検出点は、前述したように、超電導コイルを各三角波の通電パターンで通電した時の超電導コイルの各部の電圧のピーク値(例えば、最内層の電圧[V1−V2]のピーク値)の包絡線が下に凸である曲線となった時点を用いている。電圧のピーク値の包絡線が下に凸である曲線となった時点は、例えば、隣接するピーク波形のピーク値を結ぶ直線が次のピーク波形の立ち上がり部と交差している時点を用いることができる。例えば、図6に実線で示している、最内層の電圧[V1−V2]の変動状態では、第3番目の通電パターンで通電した時の電圧[V1−V2]のピーク波形v3のピーク値は、第1番目の三角波の通電パターンで通電した時の電圧[V1−V2]のピーク波形v1のピーク値と第2番目の通電パターンで通電した時の電圧[V1−V2]のピーク波形v2のピーク値を結ぶ直線上に存在する。一方、第4番目の通電パターンで通電した時の電圧[V1−V2]のピーク波形v4の立ち上がり部は、第1番目〜第3番面の三角波の通電パターンで通電した時の電圧[V1−V2]のピーク波形v1〜v3のピーク値を結ぶ直線と交差する。この交点は、電圧[V1−V2]のピーク値の包絡線が下に凸になった時点を示しており、熱暴走検出点として用いることができる。この熱暴走検出点におけるP[W]と温度[K]が図9〜図11に白三角(△)で示されている。
図9〜図11では負荷変動補償パターンに含まれている三角波(パルス)(図2参照)の周期t=18s、電流振幅I=90Aに固定し、電流上昇率dI/dtをパラメータとした場合の発熱量P(W)と温度T(K)の軌跡を示している。すなわち、図9はdI/dt=15.5A/s、図10はdI/dt=16.5A/s、図11はdI/dt=16.8A/sに設定されている場合のものである。
図9〜図11に示す例では、負荷変動補償パターンに含まれている5個の三角波(パルス)の通電期間中に熱暴走に至っている。
図12には、初期温度T=5.6K、初期電流I=65A及び110Aの場合について、負荷変動補償パターンに含まれている三角波の周期t、電流上昇率dI/dt、電流振幅Iをそれぞれ図13に示すように変化させた場合の熱暴走検出点をプロットしたものである。なお、周期t、電流上昇率dI/dt、電流振幅Iのうち、1つのパラメータを基準パターン(周期t=18s、電流上昇率dI/dt=10A/s、電流振幅I=90A)に固定し、他の2つのパラメータを変化させたものである。また、負荷変動補償パターンに含まれる三角波(パルス)の数は5個に固定した。
図12から、P−T空間上にプロットされた熱暴走検出点から決定される、熱暴走に至ったケースと熱暴走に至らなかったケースの境界線(図12の実線)は、初期電流I、周期t、電流上昇率dI/dt、電流振幅Iが図13に示す範囲内で異なる種々の負荷変動補償パターンに依存しないことが分かる。
したがって、このような境界線を監視基準として用いることにより、種々の負荷変動に対する超電導コイルの状態(特に、超電導コイルが熱暴走に至ったか、熱暴走に至るか、熱暴走に対して余裕があるか)を共通の監視基準を用いて監視することができる。例えば、図12では、境界線(監視基準)より右方(下方)の領域(左下がりの斜線で示す領域)が熱暴走に至るあるいは熱暴走に至っている領域であり、境界線より左方(上方)の領域が熱暴走に至らない領域である。また、熱暴走に至らない領域内であっても、境界線に接近した位置に存在する場合には、熱暴走に至るまで余裕がないことが示され、境界線より離れた位置に存在する場合には、熱暴走に至るまで余裕あることが示されている。
超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせと比較する監視基準としては、熱暴走に至った発熱量と温度の組み合わせが含まれる領域と、熱暴走に至らなかった発熱量と温度の組み合わせが含まれる領域の境界線を用いてもよいし、熱暴走に至った発熱量と温度の組み合わせが含まれる領域や熱暴走に至らなかった発熱量と温度の組み合わせが含まれる領域を用いてもよい。
図14に、図12に示した熱暴走検出点を、図12に示した縦軸(温度)と横軸(発熱量)を逆にして示す。また、図14には、冷却装置の冷却能力曲線を示している。
図14から、冷却装置の冷却能力と超電導コイルの発熱量Pを比較すると、過渡的な負荷変動に対しては冷却能力よりもかなり高い発熱量でも超電導コイルが熱暴走に至らないことが分かる。両者の差分(右下がりの斜線で示す領域)は、過渡的な負荷変動に対して超電導コイルが熱暴走に至るまでのマージンであると考えられる。
以上のように、本実施の形態の技術を用いることにより、熱暴走に関する超電導コイルの状態(熱暴走に至った状態、熱暴走に至る前の常態)を簡単な構成で容易に監視することができる。
すなわち、超電導エネルギー貯蔵装置の定格運転温度を初期温度(T)とし、定格運転電流を初期電流(I)とし、超電導コイルの形状及びその発熱・冷却構造を考慮した熱伝導解析により、P−T空間上における、超電導コイルの発熱状態(特に、熱暴走に関する状態)を監視するための監視基準を作成する。この場合、監視基準は、負荷変動に依存しない共通の監視基準が得られる。また、超電導エネルギー貯蔵装置の運転中に、超電導コイルの発熱量Pと温度Tの組み合わせを同時に検出する。そして、P−T空間上において、同時に検出した発熱量Pと温度Tの組み合わせと監視基準を比較することによって、超電導コイルの発熱状態(熱暴走に至った状態、熱暴走に至る状態、熱暴走に至るまでには余裕がある状態)を監視することができる。
したがって、超電導コイルの発熱状態に応じて適切な制御を行うことができる。例えば、熱暴走に至る可能性がある場合には、超電導エネルギー貯蔵装置の運転を停止する等の保護制御を行うことができる。これにより、超電導エネルギー貯蔵装置の信頼性を高めることができる。
本発明は、「超電導コイルの発熱量と温度を検出し、同じ時点で検出した前記超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせを前記超電導コイルの監視基準と比較し、比較結果に基づいて前記超電導コイルの状態を監視する超電導コイルの状態監視方法。」として構成することができる。
あるいは、「超電導コイルの発熱量を検出する発熱量検出手段と、超電導コイルの温度を検出する温度検出手段と、同じ時点で発熱量検出手段と温度検出手段で検出された発熱量と温度の組み合わせと監視基準との比較結果に基づいて超電導コイルの状態を監視する状態監視手段を備える超電導コイルの状態検出装置。」として構成することができる。
発熱量検出手段は、例えば、超電導コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、超電導コイルの電流を検出する電流検出手段と、同じ時点で電圧検出手段により検出された電圧と電流検出手段により検出された電流に基づいて発熱量を算出する発熱量算出手段により構成することができる。電圧検出手段、電流検出手段、温度検出手段としては、公知の種々の構成の電圧検出手段、電流検出手段、温度検出手段を用いることができる。発熱量算出手段としては、公知の演算手段や処理手段(CPU)を用いることができる。状態監視手段は、前述した方法を用いて超電導コイルの状態、特に、発熱状態を監視する。
また、本発明は、「超電導コイルに通電し、同じ時点での前記超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせを複数の時点で検出し、前記同じ時点で検出した発熱量と温度の組み合わせに基づいて、前記超電導コイルの熱暴走検出点を判別し、超電導コイルへの通電、同じ時点での発熱量と温度の組み合わせの検出、熱暴走検出点の判別を、複数の通電パターンについて行い、前記判別した熱暴走検出点に基づいて前記超電導コイルの監視基準を作成することを特徴とする超電導コイルの監視基準作成方法。」として構成することができる。
あるいは、「超電導コイルに通電する通電手段と、前記超電導コイルの発熱量を検出する発熱量検出手段と、前記超電導コイルの温度を検出する温度検出手段と、監視基準作成手段を備え、前記通電手段は、複数の通電パターンで前記超電導コイルに通電し、前記監視基準作成手段は、前記超電導コイルが各通電パターンで通電される毎に、複数の時点で前記発熱量検出手段と前記温度検出手段で検出された発熱量と温度の組み合わせに基づいて前記超電導コイルの熱暴走検出点を判別し、前記判別した前記超電導コイルの熱暴走検出点に基づいて前記超電導コイルの監視基準を作成することを特徴とする超電導コイルの監視基準作成装置。」として構成することができる。
発熱量検出手段は、例えば、超電導コイルの電圧を検出する電圧検出手段と、超電導コイルの電流を検出する電流検出手段と、同じ時点で電圧検出手段により検出された電圧と電流検出手段により検出された電流に基づいて発熱量を算出する発熱量算出手段により構成することができる。この場合、発熱量算出手段の発熱量算出処理と監視基準作成手段の監視基準作成処理を共通の処理手段(CPU)により実行するように構成することができる。超電導コイルの熱暴走検出点を検出する方法や、超電導コイルの熱暴走検出点に基づいて超電導コイルの監視基準を作成する方法としては、前述した方法を用いることができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加が可能である。
例えば、超電導エネルギー貯蔵装置に用いられる超電導コイルの状態を監視する場合について説明したが、本発明は、超電導エネルギー貯蔵装置以外の種々の用途に使用する超電導コイルの状態を監視する場合に適用することができる。その場合には、超電導コイル動作時に流れる電流のパターンに応じた通電パターンを用いて監視基準が作成される。
また、超電導コイルの状態を監視する場合について説明したが、本発明の技術は、超電導コイル以外の超電導部材の状態を監視する場合に適用することができる。
超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせを用いて超電導コイルの状態を監視したが、超電導コイルの電圧と温度の組み合わせを用いて超電導コイルの状態を監視するように構成することもできる。この場合には、電圧と温度の組み合わせに対する監視基準が用いられる。
超電導エネルギー貯蔵装置を模擬した試験装置の構成を示す図である。 負荷変動の補償動作を行う場合の典型的な超電導エネルギー貯蔵装置の通電パターン(負荷変動補償パターン)を示す図である。 試験装置の超電導コイルに負荷変動補償パターンで通電して測定した超電導コイルの電圧変動を示す図である。 試験装置の超電導コイルに負荷変動補償パターンで通電して測定した超電導コイルの温度変動を示す図である。 超電導エネルギー貯蔵装置の熱伝導解析モデルを示す図である。 熱伝導解析モデルを用いて算出した超電導コイルの電圧変動を示す図である。 熱伝導解析モデルを用いて算出した超電導コイルの温度変動を示す図である。 初期電流I及び初期温度Tに対応する熱暴走発生の限界電流を示す図である。 負荷変動補償パターンに対する超電導コイルの発熱量と温度の軌跡を示す図である。 負荷変動補償パターンに対する超電導コイルの発熱量と温度の軌跡を示す図である。 負荷変動補償パターンに対する超電導コイルの発熱量と温度の軌跡を示す図である。 負荷変動補償パターンに対する熱暴走検出点をP−T空間上にプロットした図である。 負荷変動補償パターンを説明する図である。 図12の縦軸と横軸を逆にした図である。
符号の説明
1 試験装置
10 試験コイル
12 伝熱板
13 フランジ
14 GM冷凍機
15 冷却部
16 リード線
17 HTS(高温超電導)リード線
18 電源(定電流源)

Claims (5)

  1. 超電導コイルの状態監視装置であって、
    前記超電導コイルの発熱量を検出する発熱量検出手段と、
    前記超電導コイルの温度を検出する温度検出手段と、
    前記超電導コイルの状態を監視する状態監視手段を備え、
    前記状態監視手段は、同じ時点で前記発熱量検出手段により検出された前記超電導コイルの発熱量と前記温度検出手段により検出された前記超電導コイルの温度の組み合わせを前記超電導コイルの監視基準と比較し、比較結果に基づいて前記超電導コイルの状態を監視することを特徴とする超電導コイルの状態監視装置。
  2. 超電導コイルの状態を監視する際に用いられる前記超電導コイルの監視基準を作成する超電導コイルの監視基準作成方法であって、
    前記超電導コイルに通電し、同じ時点での前記超電導コイルの発熱量と温度の組み合わせを複数の時点で検出し、前記同じ時点で検出した発熱量と温度の組み合わせに基づいて、前記超電導コイルの熱暴走検出点を判別し、
    前記超電導コイルへの通電、同じ時点での発熱量と温度の組み合わせの検出、熱暴走検出点の判別を、複数の通電パターンについて行い、
    前記判別した熱暴走検出点に基づいて前記超電導コイルの監視基準を作成する、
    ことを特徴とする超電導コイルの監視基準作成方法。
  3. 請求項2に記載の超電導コイルの監視基準作成方法であって、前記通電パターンとして、前記超電導コイルの充電と放電を繰り返す通電パターンを用いることを特徴とする超電導コイルの監視基準作成方法。
  4. 超電導コイルと、前記超電導コイルを冷却する冷却装置と、前記超電導コイルへのエネルギーの貯蔵と、前記超電導コイルに貯蔵されているエネルギーの放出を制御する制御手段を備える超電導エネルギー貯蔵装置であって、
    前記超電導コイルの発熱量を検出する発熱量検出手段と、前記超電導コイルの温度を検出する温度検出手段と、前記超電導コイルの状態を監視する監視手段を備え、前記監視手段は、同じ時点で前記発熱量検出手段と前記温度検出手段で検出した発熱量と温度の組を、前記超電導コイルの監視基準と比較し、比較結果に基づいて前記超電導コイルの状態を監視することを特徴とする超電導エネルギー貯蔵装置。
  5. 請求項4に記載の超電導エネルギー貯蔵装置であって、前記超電導コイルは、酸化物超電導体により形成され、前記冷却装置として、伝導式冷却装置が用いられていることを特徴とする超電エネルギー貯蔵装置。
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