JP2007265862A - 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法 - Google Patents

酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007265862A
JP2007265862A JP2006090876A JP2006090876A JP2007265862A JP 2007265862 A JP2007265862 A JP 2007265862A JP 2006090876 A JP2006090876 A JP 2006090876A JP 2006090876 A JP2006090876 A JP 2006090876A JP 2007265862 A JP2007265862 A JP 2007265862A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesium oxide
thin film
oxide thin
amorphous phase
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006090876A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumito Kouchi
史人 古内
Yoshizumi Tanaka
吉積 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Material Industries Ltd
Original Assignee
Ube Material Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Material Industries Ltd filed Critical Ube Material Industries Ltd
Priority to JP2006090876A priority Critical patent/JP2007265862A/ja
Publication of JP2007265862A publication Critical patent/JP2007265862A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

【課題】従来の塗布法により製造された酸化マグネシウム薄膜よりも、AC型PDPの放電電圧の低減効果が大きく、かつ工業的に製造が容易な、酸化マグネシウム薄膜を提供する。
【解決手段】酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなり、一方の側の表面領域における非晶質相に対する結晶相の比率が中央領域における非晶質相に対する結晶相の比率よりも高いことを特徴とする酸化マグネシウム薄膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流型プラズマディスプレイパネルの誘電体層の保護膜として有用な酸化マグネシウム薄膜、及びその酸化マグネシウム薄膜の製造方法に関する。
交流型プラズマディスプレイパネル(以下、AC型PDPということがある)は、表示電極(放電電極ともいう)、誘電体層、そして誘電体層を保護するための誘電体層保護膜がこの順で積層されている前面板(フロントカバープレートともいう)と、アドレス電極、隔壁、そして赤、緑、青の紫外線励起蛍光体からなる蛍光体層とが配設された背面板(バックプレートともいう)とを、それぞれ保護膜と蛍光体層とが放電ガスが充填された空間を挟んで互いに向き合うように配置した構成となっている。
誘電体層保護膜には、二次電子放出能が高く、耐スパッタ性の高い酸化マグネシウム薄膜が一般的に利用されている。この誘電体層保護膜用の酸化マグネシウム薄膜の製造には、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)が広く利用されている。
誘電体層保護膜の酸化マグネシウム薄膜は、AC型PDPの放電電圧などの特性に大きな影響を与えることから、酸化マグネシウム薄膜の改良について種々の試みがなされている。
特許文献1には、化学蒸着法(CVD法)を用いて、表面粗さが30nm以上の酸化マグネシウム薄膜を製造することが開示されている。この特許文献1には、酸化マグネシウム薄膜の表面を粗くして、実質上の表面積を大きくすることにより、酸化マグネシウム薄膜の二次電子放出係数が向上し、AC型PDPの放電電圧の低減効果が大きくなると記載されている。
また、酸化マグネシウム薄膜の製造方法として、加熱によって酸化マグネシウムを形成するマグネシウム化合物の溶液、あるいは酸化マグネシウム微粒子の分散液を塗布し、加熱焼成して酸化マグネシウム薄膜を製造する塗布法も検討されている。塗布法は、EB蒸着法と比べて、薄膜製造のための設備が安価で、かつ生産性が高いという利点がある。
特許文献2には、特定のマグネシウム−有機化合物を含む溶液を用いて酸化マグネシウム薄膜を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、酸化マグネシウム粉末と焼成により酸化マグネシウムバインダーを形成するマグネシウム前駆体とを含有する、酸化マグネシウム微粒子分散液を用いて酸化マグネシウム薄膜を製造する方法が開示されている。
塗布法で形成された酸化マグネシウム薄膜は、結晶性が低い等の理由からEB蒸着法で形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて、AC型PDPの放電電圧の低減効果が低くなり易い傾向にある。このため、塗布法により成形された酸化マグネシウム薄膜を改質してAC型PDPの放電電圧の低減効果を向上させることが検討されている。
特許文献4には、塗布法によって形成された酸化マグネシウム薄膜にレーザ光を照射して、酸化マグネシウム薄膜を加熱することにより、非晶質を結晶に改質する方法が開示されている
特開平11−3665号公報 特開2001−31681号公報 特開平9−12940号公報 特開2002−75173号公報
本発明の目的は、従来のEB蒸着法や塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜よりも、AC型PDPの放電電圧の低減効果が大きく、かつ工業的に製造が容易な、酸化マグネシウム薄膜を提供することにある。
本発明は、酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなり、一方の側の表面領域における非晶質相に対する結晶相の比率が中央領域における非晶質相に対する結晶相の比率よりも高いことを特徴とする酸化マグネシウム薄膜にある。
本発明の酸化マグネシウム薄膜の好ましい態様は次の通りである。
(1)酸化マグネシウム結晶相の平均結晶子径が1〜30nmの範囲にある。
(2)上記表面領域の表面積の実測値が投影面積に対して1.3〜2倍の範囲の値を示す。
(3)上記表面領域の表面の二乗平均粗さが12〜20nmの範囲にある。
(4)上記表面領域の表面の中心線平均粗さが10〜50nmの範囲にある。
(5)上記表面領域の表面の最大の高低差が70〜120nmの範囲にある。
(6)交流型プラズマディスプレイパネルの誘電体層の保護膜である。
本発明はまた、基板の上に塗布法により形成された、酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなる酸化マグネシウム薄膜の表面に紫外線レーザ光を照射して、薄膜の表層領域の非晶質相を部分的に気化除去することからなる上記本発明の酸化マグネシウム薄膜の製造方法にもある。
本発明の酸化マグネシウム薄膜を誘電体層保護膜として用いたAC型PDPは、EB蒸着法あるいは塗布法により形成された従来の酸化マグネシウム薄膜を誘電体層保護膜に用いたAC型PDPと比べて、放電開始電圧や放電維持電圧などの放電電圧が低くなる。また、本発明の酸化マグネシウム薄膜の製造方法を利用することによって、AC型PDPの放電電圧の低減効果が大きい酸化マグネシウム薄膜を工業的に有利に製造することが可能となる。
図1は、本発明の酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。図1において、基板11の上に形成されている酸化マグネシウム薄膜12は、酸化マグネシウム結晶相13と非晶質相14とからなる。酸化マグネシウム薄膜12の表面領域における非晶質相14に対する結晶相13の比率(結晶相/非晶質相)は、中央領域(厚み方向に沿って中央となる領域)における非晶質相14に対する結晶相13の比率よりも高くなっており、薄膜12の表面には、多数個の結晶相13が露出している。酸化マグネシウム薄膜12の表面領域における結晶相13の比率が、中央領域における結晶相13の比率よりも高くなっていることは、薄膜断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することによって確認することができる。なお、本発明において酸化マグネシウム薄膜の表面領域とは、膜表面から50nmの深さまでの領域をいう。
本発明の酸化マグネシウム薄膜は、上記表面領域において多数個の結晶相が露出している結果、表面が粗くなる。本発明の酸化マグネシウム薄膜は、薄膜表面の粗さの指標として、薄膜表面の表面積の実測値が投影面積に対して1.3〜2倍の範囲の値を示すことが好ましい。薄膜表面の二乗平均粗さは12〜20nmの範囲にあることが好ましい。薄膜表面の中心線平均粗さは10〜50nmの範囲にあることが好ましい。薄膜表面の最大の高低差は70〜120nmの範囲にあることが好ましい。
本発明の酸化マグネシウム薄膜において、表面に露出している結晶相は平均結晶子径が1〜30nmの範囲にあることが好ましい。
本発明の酸化マグネシウム薄膜は、厚さが、0.1〜20μmの範囲内にあることが好ましく、0.1〜5μmの範囲内にあることが特に好ましい。
図2は、従来の塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。図2において、基板21の上に形成されている酸化マグネシウム薄膜22は、酸化マグネシウム結晶相23と非晶質相24とからなる。従来の塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜22においても、薄膜表面には結晶相23が露出している。但し、酸化マグネシウム薄膜22の表面領域における非晶質相24に対する結晶相23の比率が中央領域における非晶質相24に対する結晶相23の比率と同一であり、表面領域に露出している結晶相の比率は、図1に示した本発明の酸化マグネシウム薄膜12と比べると少ない。本発明の酸化マグネシウム薄膜は、従来の塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて、ACP型PDPの放電の起点となる結晶相が薄膜表面に多数存在するため、放電開始電圧や放電維持電圧などの放電電圧の低減効果が高くなる。また、非晶質相は結晶相よりもプラズマに対する耐久性が低いので、薄膜表面領域での非晶質相の割合が少ない本発明の酸化マグネシウム薄膜は、従来の塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて安定性が向上する効果がある。
図3は、従来のEB蒸着法により形成された酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。図3において、基板31の上に形成されている酸化マグネシウム薄膜32は、柱状の酸化マグネシウム結晶相33からなる。従来のEB蒸着法により形成された酸化マグネシウム薄膜32は、薄膜全体が結晶相33で形成されている。但し、酸化マグネシウム薄膜32は、図1に示した本発明の酸化マグネシウム薄膜12と比べると、表面が平坦である。本発明の酸化マグネシウム薄膜は、従来のEB蒸着法により形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて、膜表面の実効面積が広いため、放電開始電圧や放電維持電圧などの放電電圧の低減効果が高くなる。また、非晶質相は結晶相よりも紫外光の吸収性が高いため、非晶質相を有する本発明の酸化マグネシウム薄膜は、従来のEB蒸着法により形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて紫外線を吸収して、外部に放出しにくくする効果がある。
本発明の酸化マグネシウム薄膜からなるAC型PDPの誘電体層保護膜は、誘電体層が形成された基板の上に塗布法により、酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなる酸化マグネシウム薄膜を形成し、次いでその酸化マグネシウム薄膜の表面に紫外線レーザ光を照射して、薄膜の表層領域の非晶質相を部分的に気化除去することからなる方法により工業的に有利に製造することができる。
AC型PDPの誘電体層を構成する材料の例としては、酸化亜鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(ZnO−B23−SiO2)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、三酸化二ホウ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの混合物(PbO−B23−SiO2−Al23)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、酸化亜鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−ZnO−B23−SiO2)を主成分とするガラス組成物が挙げられる。
酸化マグネシウム薄膜は、基板の上に酸化マグネシウム源を含む塗布液を塗布して、塗布膜を形成し、次いでこの塗布膜を加熱焼成することによって形成することができる。塗布液の基板へ塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、メニスカスコート法、バーコート法、流延法等の手法が適用できる。塗布膜を酸化マグネシウム薄膜とする際の加熱焼成温度は、一般に450〜600℃の範囲にある。
酸化マグネシウム薄膜の形成用の塗布液には、加熱によって酸化マグネシウムを形成するマグネシウム化合物の溶液及び酸化マグネシウム微粒子の分散液からなる塗布液を用いることができる。塗布液は、マグネシウム化合物の溶液であることが好ましい。
加熱によって酸化マグネシウムを形成するマグネシウム化合物の例としては、マグネシウムの硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、炭酸塩、シュウ酸塩、アセチルアセトネート化合物、及びメトキシド、エトキシド、ブトキシド等のアルコキシド化合物が挙げられる。特に好ましいのは、マグネシウムの硝酸塩である。塗布液中のマグネシウム化合物の濃度は、塗布液の全組成物の質量を基準として1〜25質量%の範囲にあることが好ましい。
塗布液の溶媒には、多価アルコールと有機酸との混合液、ゲル化剤との接触によりゲル化する有機物溶液又は感光性樹脂溶液を用いることが好ましい。
多価アルコールと多塩基有機酸との混合液において、多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール及びグリセリンが挙げられる。有機酸は、カルボキシ基を二つ以上有するものが好ましい。有機酸の例としては、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びイタコン酸が挙げられる。多価アルコールと有機酸との配合割合は、多価アルコール100質量部に対して有機酸が70〜300質量部の範囲となる量であることが好ましい。混合物溶媒中の有機酸の濃度は、混合物溶媒全量に対して10〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
溶媒が多価アルコールと有機酸との混合液からなる塗布液を用いる場合は、加熱焼成により塗布膜を酸化マグネシウム薄膜とする前に、塗布膜を加熱して多価アルコールと有機酸とをエステル縮合させて、塗布膜を固化させることが好ましい。塗布膜を加熱焼成する前に塗布膜を固化させることによって、加熱焼成時の塗布膜の熱収縮が低減し、生成する酸化マグネシウム薄膜に亀裂が生じたり、基板から剥離したりしにくくなる。塗布膜を固化させる際の加熱温度は、60〜350℃の範囲にあることが好ましく、250〜350℃の範囲にあることが特に好ましい。
ゲル化剤との接触によりゲル化する有機物溶液の例としては、アルギン酸塩の水溶液が挙げられる。アルギン酸塩の例としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。アルギン酸塩水溶液中のアルギン酸濃度は、水溶液全量に対して5〜20質量%の範囲にあることが好ましい。
溶媒がゲル化剤との接触によりゲル化する有機物溶液からなる塗布液を用いて酸化マグネシウム薄膜を形成する場合は、加熱焼成により塗布膜を酸化マグネシウム薄膜とする前に、塗布膜をゲル化剤に接触させて、塗布膜を固化させることが好ましい。
感光性樹脂溶液は、波長200〜480nmの光にて固化するネガ型であることが好ましい。ネガ型感光性樹脂溶液の例としては、ポリビニルアルコールやビニルモノマー等にけい皮酸基を反応させたポリけい皮酸類に光増感剤としてN−アセチル4−ニトロ1−ナフチルアミンや2,4,6−トリニトロアニリンなどを添加した水溶液、あるいはフェノール系樹脂に光増感剤としてビスアジドを添加したアルコール溶液が挙げられる。
溶媒が感光性樹脂溶液からなる塗布液を用いて酸化マグネシウム薄膜を形成する場合は、加熱焼成により塗布膜を酸化マグネシウム薄膜とする前に、塗布膜に光を照射して、塗布膜を固化させることが好ましい。
本発明では、上記のようにして形成された酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなる酸化マグネシウム薄膜の表面に紫外線レーザ光を照射して、薄膜の表層領域の非晶質相を部分的に気化除去する。紫外線レーザの光源の例としては、F2(波長157nm)、ArF(193nm)、KrCl(波長222nm)、KrF(248nm)、XeCl(波長308nm)及びXeF(波長351nm)などのエキシマレーザが挙げられる。
[評価パネル]
酸化マグネシウム薄膜の評価は、図4及び図5に示す構成の評価パネルを用いて行った。
図4は、評価パネルの平面図であり、図5は、図4の主要部拡大図である。評価パネルは、ガラス基板41、ガラス基板41の上に形成された二本の電極線42a、42bからなる十組の放電電極43と、放電電極43の電極線42a、42bを外部に接続するための取り付け用電極44a、44b、そして放電電極43を覆うように形成された誘電体層45からなる。ガラス基板41のサイズは、縦50mm×横50mmであり、二本の電極線42a、42b(幅はいずれも0.3mm)のギャップは0.1mmであり、各放電電極43のギャップは0.2mmである。電極線42a、42bと、取り付け用電極44a、44bとの接点部分の幅は0.5mmである。誘電体層は、酸化鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2)からなり、縦20mm×横20mm×厚さ200μmである。評価対象の酸化マグネシウム薄膜は、誘電体層を覆うように形成する。
[酸化マグネシウム薄膜の結晶相のサイズの測定方法]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した酸化マグネシウム薄膜表面の拡大写真から、任意の20個の結晶相の直径を測定して、その平均を算出する。
[酸化マグネシウム薄膜表面の中心線平均粗さ(Ra)、二乗平均粗さ(Rms)、最大高低差(Rmax)、表面積増加比の測定方法]
原子間力顕微鏡を用いて測定する。測定範囲は1μm×1μmとして、酸化マグネシウム薄膜表面の中心線平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rmax)、表面積増加比(実測面積/投影面積(1μm2))を測定する。
[放電特性の評価方法]
評価パネルの取り付け用電極に、高電圧パルス発生装置を取り付ける。評価用パネルを上部に観察窓が設けられている密閉容器に、評価用パネルの放電電極が観察窓が見える位置に配置する。密閉容器の内圧を0.13Pa(1×10-3Torr)以下まで減圧する。続いて、密閉容器にHe:95体積%、Xe:5体積%からなる混合ガスが大気圧となるまで充填する。この操作を3回繰り返した後、密閉容器の内圧を、混合ガスにて6.67×104Pa(500Torr)に調製する。その後、高圧パルス発生装置により、評価パネルの取り付け電極に方形波形の電圧を加えて、放電状態を観察する。具体的には、電圧を徐々に増加させて行き、放電が開始した電圧を放電開始電圧とし、次に電圧を徐々に減少させて行き、放電電極の放電が、十組中で一組でも途切れた電圧を放電維持電圧とする。
[実施例1]
エチレングリコール46質量部に、硝酸マグネシウム六水和物19質量部を加えて撹拌して溶解させた。この溶液にクエン酸35質量部を添加し、次いで130℃の温度に加熱して、エチレングリコールとクエン酸とを部分的に縮重合させて、酸化マグネシウム薄膜形成用塗布液を調製した。
上記の酸化マグネシウム薄膜形成用塗布液を、前記評価用パネルにスピンコート法により塗布して、厚さ0.2μmの塗布膜を形成した。この塗布膜付き評価パネルを大気中で250℃の温度で30分間加熱処理して塗布膜を固化させた後、さらに大気中で550℃の温度で1時間焼成して、酸化マグネシウム薄膜を形成した。得られた酸化マグネシウム薄膜の表面を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、酸化マグネシウム結晶相が非晶質相に分散された状態で存在していることが確認された。
次いで、得られた酸化マグネシウム薄膜の表面に、ArFエキシマレーザ(ラムダフィジック(株)製、COMPex201、波長193nm)を300mJ/cm2に集光して10パルス照射した。レーザ照射後の酸化マグネシウム薄膜の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、表面から約50nmの領域における非晶質相に対する結晶相の比率が、膜の中央領域における非晶質相に対する結晶相の比率よりも高くなっていることが確認された。酸化マグネシウム薄膜の平均結晶子径は、25nmであり、平均粗さ(Ra)は11.9nm、二乗平均粗さ(Rms)は15.3nm、最大高低差(Rmax)は113nm、表面積増加比は1.47であった。また、放電開始電圧は408V、放電維持電圧は329Vであった。
[比較例1]
酸化マグネシウム薄膜の表面にArFエキシマレーザを照射しなかった以外は、実施例1と同様にして酸化マグネシウム薄膜を形成した。得られた酸化マグネシウム薄膜の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、非晶質相に対する結晶相の比率は膜全体でほぼ均一であることが確認された。酸化マグネシウム薄膜の平均結晶子径は、20nmであり、平均粗さ(Ra)は1.79nm、二乗平均粗さ(Rms)は2.56nm、最大高低差(Rmax)は27.3nm、表面積増加率は1.04であった。また、放電開始電圧は424V、放電維持電圧は382Vであった。
[比較例2]
酸化マグネシウム薄膜を、EB蒸着法を用いて評価パネルの誘電体膜の上に形成した。得られた酸化マグネシウム薄膜の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、酸化マグネシウム薄膜は直径50〜100nmの柱状結晶から形成されていることが確認された。酸化マグネシウム薄膜の平均粗さ(Ra)は10.6nm、二乗平均粗さ(Rms)は11.5nm、最大高低差(Rmax)は70.0nm、表面積増加率は1.28であった。また、放電開始電圧は425V、放電維持電圧は392Vであった。
実施例1、比較例1及び比較例2で得られた酸化マグネシウム薄膜の平均粗さ(Ra)、二乗平均粗さ(Rms)、最大高低差(Rmax)、表面積増加比、並びに酸化マグネシウム薄膜付き評価パネルの放電開始電圧、放電維持電圧を下記の表1にまとめて示す。
表1
────────────────────────────────────────
Ra Rms Rmax 表面積増 放電開始 放電維持
(nm) (nm) (nm) 加比(−) 電圧(V) 電圧(V)
────────────────────────────────────────
実施例1 11.9 15.3 113 1.47 408 329
────────────────────────────────────────
比較例1 1.79 2.56 27.3 1.04 424 382
比較例2 10.6 11.5 70.0 1.28 425 392
────────────────────────────────────────
表1の結果から、本発明に従う酸化マグネシウム薄膜は、従来のEB蒸着法や塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜と比べて、AC型PDPの放電電圧の低減効果が大きくなることが分かる。
本発明の酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。 従来の塗布法により形成された酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。 従来のEB蒸着法により形成された酸化マグネシウム薄膜の構成を概念的に表した断面図である。 本実施例で使用した評価パネルの平面図である。 図4の主要部拡大図である。
符号の説明
11 基板
12 酸化マグネシウム薄膜
13 酸化マグネシウム結晶相
14 非晶質相
21 基板
22 酸化マグネシウム薄膜
23 酸化マグネシウム結晶相
24 非晶質相
31 基板
32 酸化マグネシウム薄膜
33 酸化マグネシウム結晶相
41 ガラス基板
42a、42b 電極線
43 放電電極
44a、44b 取り付け用電極
45 誘電体層

Claims (8)

  1. 酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなり、一方の側の表面領域における非晶質相に対する結晶相の比率が中央領域における非晶質相に対する結晶相の比率よりも高いことを特徴とする酸化マグネシウム薄膜。
  2. 酸化マグネシウム結晶相の平均結晶子径が1〜30nmの範囲にある請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  3. 上記表面領域の表面積の実測値が投影面積に対して1.3〜2倍の範囲の値を示す請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  4. 上記表面領域の表面の二乗平均粗さが12〜20nmの範囲にある請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  5. 上記表面領域の表面の中心線平均粗さが10〜50nmの範囲にある請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  6. 上記表面領域の表面の最大の高低差が70〜120nmの範囲にある請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  7. 交流型プラズマディスプレイパネルの誘電体層の保護膜である請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜。
  8. 基板の上に塗布法により形成された、酸化マグネシウム結晶相と非晶質相とからなる酸化マグネシウム薄膜の表面に紫外線レーザ光を照射して、薄膜の表層領域の非晶質相を部分的に気化除去することからなる請求項1に記載の酸化マグネシウム薄膜の製造方法。
JP2006090876A 2006-03-29 2006-03-29 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法 Withdrawn JP2007265862A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090876A JP2007265862A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090876A JP2007265862A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007265862A true JP2007265862A (ja) 2007-10-11

Family

ID=38638649

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006090876A Withdrawn JP2007265862A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007265862A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009289717A (ja) * 2008-06-02 2009-12-10 Panasonic Corp プラズマディスプレイパネルの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009289717A (ja) * 2008-06-02 2009-12-10 Panasonic Corp プラズマディスプレイパネルの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4505474B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4516457B2 (ja) 酸化マグネシウム薄膜の改質方法
JP4703355B2 (ja) 交流型プラズマディスプレイパネルの誘電体層保護膜の製造方法
WO2007139183A1 (ja) プラズマディスプレイパネルとその製造方法
JP4927046B2 (ja) 電子放出促進物質を有するMgO保護膜、その製造方法及び該保護膜を備えたプラズマディスプレイパネル
KR100366097B1 (ko) 연속박막 형태의 보호층이 코팅된 pdp용 형광체 및 그제조방법
US20110165818A1 (en) Method for producing plasma display panel
JP2918524B2 (ja) プラズマディスプレイパネル保護層およびその形成方法
JP2007265862A (ja) 酸化マグネシウム薄膜及びその製造方法
JP5336492B2 (ja) 気相合成法を利用したフッ素含有酸化マグネシウム粉末及びその製造方法
JPH09208851A (ja) 誘電体保護膜形成用ペースト
JP4813234B2 (ja) 交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム薄膜製造用の液体組成物
KR100651421B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널 및 그의 제조 방법
Roh et al. Morphological control of Zn2SiO4: Mn phosphor particles by adding citric acid in spray pyrolysis process
JP2001011437A (ja) 蛍光体の製造方法及びプラズマディスプレイパネル
JP3851367B2 (ja) ゾル溶液及び膜形成方法
JP2012185994A (ja) プラズマディスプレイパネル用の前面板
JPH0912976A (ja) 誘電体保護膜形成用ペースト
JPS5827831B2 (ja) ガスホウデンパネルヨウケイコウタイノセイゾウホウホウ
JP4258075B2 (ja) ディスプレイ用蛍光体ペースト、ディスプレイ用部材およびディスプレイ
JPWO2011118165A1 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP3522867B2 (ja) 交流型プラズマディスプレイ及びその製造方法
JP2004152672A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2007179782A (ja) 交流型プラズマディスプレイパネル用前面板
KR100502334B1 (ko) 유색 산화물이 도핑된 pdp용 블루 형광체 및 그의제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20090602