JP2007265709A - 超高圧水銀ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、陽極の形状が経時的に変化することを抑制して、放電アークの形成される位置が変動することを回避することにより、長時間に渡って高い照度維持率を確保することが可能な超高圧水銀ランプを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、バルブ内に、陽極と陰極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm3以上の水銀および1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3のハロゲンが封入された超高圧水銀ランプにおいて、前記陽極の先端には突起部が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、バルブ内に、陽極と陰極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm3以上の水銀および1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3のハロゲンが封入された超高圧水銀ランプにおいて、前記陽極の先端には突起部が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
液晶ディスプレイ装置やDMD(デジタルミラーデバイス)を使用したDLP(デジタルライトプロセッサ)などのプロジェクタ装置に使用される放電ランプに関する。特に、バルブ内に0.15mg/mm3以上の水銀が封入され、点灯時における水銀蒸気圧が150気圧以上になる超高圧水銀ランプに関する。
液晶プロジェクタや、DMDを使用したDLP等に代表される投射型プロジェクタ装置においては、矩形状のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求される。このため、光源には、水銀や金属ハロゲン化物を封入させたメタルハライドランプが使用されている。最近では、このようなメタルハライドランプもより一層の小型化、点光源化が進められ、電極間距離の極めて小さいものが実用化されている。
上記のような背景のもと、最近では、メタルハライドランプに代わって、点灯時において、例えば150気圧以上と今までにない高い水銀蒸気圧を有するランプが提案されている。このような超高圧水銀ランプは、石英ガラスからなるバルブの内部に、一対の電極を所定の離間距離で配置し、0.15mg/mm3以上の水銀と、ハロゲンガスが封入されている。ハロゲンガスを封入するのは、ハロゲンサイクルによってバルブの黒化を防止するためである。また、水銀蒸気圧を高くすることにより、アークの広がりを抑える(絞り込む)とともに、より一層の光出力の向上を図ることができる。このような超高圧水銀ランプは、例えば特許文献1若しくは特許文献2に開示されている。
特開平2−148561号
特開平6−52830号
上記のような超高圧水銀ランプによれば、以下のような問題が生じることが判明した。図4は、従来の超高圧水銀ランプにおいて生ずる問題を説明するための概念図である。
図4(a)に示すように、ランプ点灯中に、陽極2先端付近の高温部から蒸発したタングステン(W)は、バルブ中に存在するハロゲンや残留酸素と結合することにより、ハロゲンが臭素である場合には、例えばWO、WO2Br、などのタングステン化合物としてバルブ内に存在している。このようなタングステン化合物は、陽極2先端付近に形成された高温状態の放電アーク中で分解してタングステン原子となる。そして、分解によって生成したタングステン原子は、電極上にランダムに堆積して蒸発した元の箇所に必ずしも戻らないことから、陽極2の形状が経時的に変化して、陽極2において凹部Yおよび凸部Xが形成される。このような陽極2の形状変化は、比較的短時間の点灯で生じていた。
陽極2に凹部Yおよび凸部Xが形成されると、図4(b)に示すように、点灯中に放電アークの起点が凸部Xのそれぞれに移り変わることにより、所謂アークジャンプ現象が発生して放電アークが不安定となり、照度維持率が低下するという問題があった。
図4(a)に示すように、ランプ点灯中に、陽極2先端付近の高温部から蒸発したタングステン(W)は、バルブ中に存在するハロゲンや残留酸素と結合することにより、ハロゲンが臭素である場合には、例えばWO、WO2Br、などのタングステン化合物としてバルブ内に存在している。このようなタングステン化合物は、陽極2先端付近に形成された高温状態の放電アーク中で分解してタングステン原子となる。そして、分解によって生成したタングステン原子は、電極上にランダムに堆積して蒸発した元の箇所に必ずしも戻らないことから、陽極2の形状が経時的に変化して、陽極2において凹部Yおよび凸部Xが形成される。このような陽極2の形状変化は、比較的短時間の点灯で生じていた。
陽極2に凹部Yおよび凸部Xが形成されると、図4(b)に示すように、点灯中に放電アークの起点が凸部Xのそれぞれに移り変わることにより、所謂アークジャンプ現象が発生して放電アークが不安定となり、照度維持率が低下するという問題があった。
以上から、本発明は、陽極の形状が経時的に変化することを抑制して、放電アークの形成される位置が変動することを回避することにより、長時間に渡って高い照度維持率を確保することが可能な超高圧水銀ランプを提供することを目的とする。
本発明は、バルブ内に、陽極と陰極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm3以上の水銀および1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3のハロゲンが封入された超高圧水銀ランプにおいて、
前記陽極の先端に突起部を設けることにより、上記の課題を解決する。
前記陽極の先端に突起部を設けることにより、上記の課題を解決する。
陽極の先端に設けられた突起部は、陽極の他の箇所と比較して熱容量の小さい箇所である。そのため、超高圧水銀ランプの点灯時において、突起部が陽極の他の箇所と比較して高温状態となり、突起部から選択的にタングステンが蒸発する。そして、蒸発したタングステンは、上記したように、タングステン化合物になった後に、放電アーク中で分解してタングステン原子となり、放電アークの近傍に位置する突起部に選択的に戻る。
従って、タングステンが陽極の突起部以外の箇所から蒸発したり、陽極の突起部以外の箇所に戻ることがなくなり、電極の形状が経時的に変化せずに一定となるため、上記したような問題を解決できると考えられる。
従って、タングステンが陽極の突起部以外の箇所から蒸発したり、陽極の突起部以外の箇所に戻ることがなくなり、電極の形状が経時的に変化せずに一定となるため、上記したような問題を解決できると考えられる。
さらに、本発明は、(1)陽極の最大外径とランプ電流との関係、(2)陽極の最大外径と突起部の最大外径との関係、を最適に規定することを特徴とする。これによる技術的意義は以下のとおりである。
本発明者らが突起部が設けられた陽極を備えた超高圧水銀ランプを複数個作製して、それぞれ実際に点灯させたところ、短時間で照度維持率が所定の値よりも低下するランプが幾つかあった。短時間で照度維持率が低下したランプを調べたところ、突起部が消滅する、または、突起部が変形していることが判明した。本発明者らは、この原因について以下のように推測している。
突起部を陽極の先端に設ける趣旨は、前述したように、陽極上に熱容量が低い部分を意図的に作り出し、この部分から選択的にタングステンを蒸発させ、また、蒸発したタングステンをこの部分に選択的に戻すことにある。しかし、(イ)陽極の最大外径が小さすぎたり、陽極に投入される電流(定格電流ともいう)が大きすぎる場合、(ロ)陽極の最大外径と比較して突起部の径が小さすぎる場合には、突起部が極めて高温となることによって、タングステンが過剰に蒸発して突起部が消滅する結果、短時間で照度維持率が低下すると考えられる。
一方、(ハ)陽極の最大外径が大きすぎたり、陽極に投入される電流(定格電流ともいう)が小さすぎる場合、(ニ)陽極の最大外径と比較して突起部の径が大きすぎる場合には、突起部からタングステンが蒸発するが、このタングステンは突起部に選択的に戻らないことになるため、突起部の全長が経時的に短くなっていき、所定の電極間距離を確保できなくなる結果、照度維持率が低下すると考えられる。
以上の推測に基づいて、本発明者らは、(1)陽極の最大外径と定格電流との関係、(2)陽極の最大外径と突起部の外径との関係、を最適に規定することにより、点灯時に突起部の温度が最適となるため、突起部の消滅または変形を生じないことを見出したのである。
突起部を陽極の先端に設ける趣旨は、前述したように、陽極上に熱容量が低い部分を意図的に作り出し、この部分から選択的にタングステンを蒸発させ、また、蒸発したタングステンをこの部分に選択的に戻すことにある。しかし、(イ)陽極の最大外径が小さすぎたり、陽極に投入される電流(定格電流ともいう)が大きすぎる場合、(ロ)陽極の最大外径と比較して突起部の径が小さすぎる場合には、突起部が極めて高温となることによって、タングステンが過剰に蒸発して突起部が消滅する結果、短時間で照度維持率が低下すると考えられる。
一方、(ハ)陽極の最大外径が大きすぎたり、陽極に投入される電流(定格電流ともいう)が小さすぎる場合、(ニ)陽極の最大外径と比較して突起部の径が大きすぎる場合には、突起部からタングステンが蒸発するが、このタングステンは突起部に選択的に戻らないことになるため、突起部の全長が経時的に短くなっていき、所定の電極間距離を確保できなくなる結果、照度維持率が低下すると考えられる。
以上の推測に基づいて、本発明者らは、(1)陽極の最大外径と定格電流との関係、(2)陽極の最大外径と突起部の外径との関係、を最適に規定することにより、点灯時に突起部の温度が最適となるため、突起部の消滅または変形を生じないことを見出したのである。
さらに、本発明は、前記突起部は、その先端部分に凹所が形成されている
ことを特徴とする。これによる技術的意義は以下のとおりである。
ことを特徴とする。これによる技術的意義は以下のとおりである。
突起部に凹所を形成すると、凹所の周辺に環状のエッジ部分が形成される。この環状のエッジ部分を起点として高温の放電アークが形成されることから、突起部に凹所を形成しない場合と比較すると、突起部において放電アークとの接触面積が増加する。そのため、本発明の構造にすれば、タングステンの蒸発する面積および蒸発したタングステンの戻る面積が増加することから、より選択的に突起部からタングステンを蒸発させるとともに、突起部にタングステンを戻すことができ、突起部の形状を一定とすることができる。従って、突起部に凹所を形成しない場合と比較して、放電アークの形成される位置の変動が少なく、長時間にわたって所定の照度維持率を確保することができる。
本発明の超高圧水銀ランプによれば、陽極の形状が経時的に変化することが抑制され、放電アークの形成される位置が変動することを回避できることから、長時間に渡って高い照度維持率を確保することができる。
図1は、本発明の超高圧水銀ランプの概略構成を示す長手方向の断面図である。
超高圧水銀ランプ1は、例えば石英ガラス等の可視光を透過させる材料からなるバルブ10を備えている。バルブ10は、略球状に形成された発光部11と、発光部11の両端に連続する封止部12a,12bを備えている。タングステンからなる陽極2および陰極3は、発光部11内の内部空間Sに、先端が対向して配置されている。内部空間Sには、発光物質として0.15mg/mm3以上の水銀と、0.013MPaのアルゴンガス等の希ガスと、1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3の臭素等のハロゲンガスが封入されている。ハロゲンガスを封入する目的は、ハロゲンサイクルにより発光部11の内壁に黒化が生じることを防止するためである。封止部12a,12bには、給電用の金属箔4a,4bが埋設されている。金属箔4a,4bの内部空間S側の端部には、電極2,3が電気的に接続され、金属箔4a、4bの外方側の端部には、外部リード棒5a,5bが接続されている。このような超高圧水銀ランプは、直流点灯方式であって、外部リード5a,5bに不図示の直流点灯電源が接続され、所定の点灯電力が供給されて点灯する。
超高圧水銀ランプ1は、例えば石英ガラス等の可視光を透過させる材料からなるバルブ10を備えている。バルブ10は、略球状に形成された発光部11と、発光部11の両端に連続する封止部12a,12bを備えている。タングステンからなる陽極2および陰極3は、発光部11内の内部空間Sに、先端が対向して配置されている。内部空間Sには、発光物質として0.15mg/mm3以上の水銀と、0.013MPaのアルゴンガス等の希ガスと、1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3の臭素等のハロゲンガスが封入されている。ハロゲンガスを封入する目的は、ハロゲンサイクルにより発光部11の内壁に黒化が生じることを防止するためである。封止部12a,12bには、給電用の金属箔4a,4bが埋設されている。金属箔4a,4bの内部空間S側の端部には、電極2,3が電気的に接続され、金属箔4a、4bの外方側の端部には、外部リード棒5a,5bが接続されている。このような超高圧水銀ランプは、直流点灯方式であって、外部リード5a,5bに不図示の直流点灯電源が接続され、所定の点灯電力が供給されて点灯する。
陽極2は、円柱状の胴部23と、胴部23の前方側に連続し前方側に向けて漸次縮経する縮径部22と、縮径部22に連続する円柱状の突起部21とから構成されている。胴部23の後端には、金属箔4aに接続される軸部26が形成されている。陽極2に突起部21が設けられているのは、点灯時に突起部21を陽極2の他の箇所よりも高温状態とすることにより、突起部21から選択的にタングステンを蒸発させ、さらに、蒸発したタングステンを選択的に戻すためである。突起部21は、予め陽極2となる棒材に対して切削加工を施すことによって作製される。
陰極3は、金属箔4bに接続され、前方側の端部が尖頭形状である軸部31と、軸部31の前方側の端部近傍に溶接により取付けられた始動補助用のコイル32とから構成されている。
陰極3は、金属箔4bに接続され、前方側の端部が尖頭形状である軸部31と、軸部31の前方側の端部近傍に溶接により取付けられた始動補助用のコイル32とから構成されている。
陽極2、陰極3の仕様は、一例を挙げると以下のとおりである。無論、以下の数値には限定されない。
胴部23は、図1に示す最大外径D1が0.7mm〜4.5mmの範囲であって例えば3mmであり、長手方向の全長が2mm〜10mmの範囲であって例えば7mmである。
縮径部22は、最大外径が胴部23に一致し、最小外径が突起部21に一致しており、全長が0mm〜3mmの範囲であって例えば1mmである。
突起部21は、図1に示す最大外径D2が0.15mm〜0.5mmの範囲であって例えば0.3mmであり、長手方向の全長が0.1mm〜1mmの範囲であって例えば0.5mmである。
軸部26は、最大外径が0.4mm〜2.4mmの範囲であって例えば1mm、長手方向の全長が7mmである。
陰極3の軸部31は、最大外径が1.5mm、長手方向の全長が12mmである。コイル32の長手方向の全長が1mmである。
突起部21の前方側の端部と軸部31の前方側の端部の離間距離で示される電極間距離は、0.7mm〜2.0mmの範囲であって例えば1.3mmである。
なお、本発明の超高圧水銀ランプのその他の仕様は、例えば以下のとおりである。
バルブ10は、全長が70mm、発光部11の最大外径が12mm、封止部12a,12bの最大外径が6.5mmである。
定格ランプ電力が100W〜450Wであって例えば300Wであり、ランプ電流Iが2A〜4.5Aの範囲であって例えば4.2Aである。なお、ランプ電流Iは、点灯時における実測値を意味するが、これには定格電流値も含まれる。
胴部23は、図1に示す最大外径D1が0.7mm〜4.5mmの範囲であって例えば3mmであり、長手方向の全長が2mm〜10mmの範囲であって例えば7mmである。
縮径部22は、最大外径が胴部23に一致し、最小外径が突起部21に一致しており、全長が0mm〜3mmの範囲であって例えば1mmである。
突起部21は、図1に示す最大外径D2が0.15mm〜0.5mmの範囲であって例えば0.3mmであり、長手方向の全長が0.1mm〜1mmの範囲であって例えば0.5mmである。
軸部26は、最大外径が0.4mm〜2.4mmの範囲であって例えば1mm、長手方向の全長が7mmである。
陰極3の軸部31は、最大外径が1.5mm、長手方向の全長が12mmである。コイル32の長手方向の全長が1mmである。
突起部21の前方側の端部と軸部31の前方側の端部の離間距離で示される電極間距離は、0.7mm〜2.0mmの範囲であって例えば1.3mmである。
なお、本発明の超高圧水銀ランプのその他の仕様は、例えば以下のとおりである。
バルブ10は、全長が70mm、発光部11の最大外径が12mm、封止部12a,12bの最大外径が6.5mmである。
定格ランプ電力が100W〜450Wであって例えば300Wであり、ランプ電流Iが2A〜4.5Aの範囲であって例えば4.2Aである。なお、ランプ電流Iは、点灯時における実測値を意味するが、これには定格電流値も含まれる。
以上のような本発明の超高圧水銀ランプによれば、陽極2上において他の箇所に比較して熱容量が低い部分である突起部21を設けることにより、突起部21から選択的にタングステンを蒸発させ、蒸発したタングステンがハロゲンサイクルによって突起部21に選択的に戻ることから、陽極の形状がランプ点灯に伴って経時的に変化することなく常に一定の形状に保たれ、放電アークの形成される位置が変動することがないため、長時間に渡って照度維持率を確保することができる。特に、発光部11の内部に0.15mg/mm3以上の水銀が封入され、プロジェクタ装置の光源として用いられる超高圧水銀ランプにおいては、長時間に渡って高い照度維持率が要求されることから陽極2に形成される突起部21は必須である。
また、本発明の超高圧水銀ランプのように直流点灯方式のものは、前述の数値例に示されるように、陽極2が陰極3に比して遥かに大きいことが特徴である。そのため、陰極3が変形することは殆ど問題にならず、専ら陽極2が変形することのみが問題となるため、突起部21は陽極2にのみ形成すれば良い。
また、本発明の超高圧水銀ランプのように直流点灯方式のものは、前述の数値例に示されるように、陽極2が陰極3に比して遥かに大きいことが特徴である。そのため、陰極3が変形することは殆ど問題にならず、専ら陽極2が変形することのみが問題となるため、突起部21は陽極2にのみ形成すれば良い。
さらに、図1に示す陽極2において、(1)胴部23の最大外径D1とランプ電流Iの関係が0.51<I2/D12<9.88を満たし、かつ、(2)胴部23の最大外径D1と突起部21の最大外径D2の関係が0.03<D2/D1<0.29を満たすように規定されている場合には、前述したような短時間の点灯で超高圧水銀ランプの照度維持率が低下する、というような不具合の発生が確実に防止できる。その理由を以下に説明する。
突起部が設けられた陽極を備えた超高圧水銀ランプを複数個作製して、それぞれ実際に点灯させたところ、短時間で照度維持率が所定の値よりも低下するランプが幾つかあった。短時間で照度維持率が低下したランプを調べたところ、突起部が消滅する、または、突起部が変形していることが判明した。
すなわち、(イ)陽極2の最大外径D1が小さすぎたり、陽極2に投入されるランプ電流Iが大きすぎる場合、(ロ)陽極2の最大外径D1と比較して突起部21の最大外径D2が小さすぎる場合には、突起部21が極めて高温となることによって、タングステンが過剰に蒸発して突起部21が消滅する結果、短時間で照度維持率が低下すると考えられる。
一方、(ハ)陽極2の最大外径D1が大きすぎたり、陽極2に投入される電流(定格電流ともいう)が小さすぎる場合、(ニ)陽極2の最大外径D1と比較して突起部21の最大外径D2が大きすぎる場合には、突起部21からタングステンが蒸発することになり、このタングステンは突起部21に選択的に戻らないことになるため、突起部21の全長が経時的に短くなっていき、所定の電極間距離を確保できなくなる結果、照度維持率が低下すると考えられる。
これに対し、上記(1)、(2)の関係を共に満たす場合には、点灯時における陽極2の突起部21の温度が突起部21の形状を維持するという観点において最適となるため、点灯時に突起部21が消滅または変形することがない。この点は、以下の実験により確認されている。
突起部が設けられた陽極を備えた超高圧水銀ランプを複数個作製して、それぞれ実際に点灯させたところ、短時間で照度維持率が所定の値よりも低下するランプが幾つかあった。短時間で照度維持率が低下したランプを調べたところ、突起部が消滅する、または、突起部が変形していることが判明した。
すなわち、(イ)陽極2の最大外径D1が小さすぎたり、陽極2に投入されるランプ電流Iが大きすぎる場合、(ロ)陽極2の最大外径D1と比較して突起部21の最大外径D2が小さすぎる場合には、突起部21が極めて高温となることによって、タングステンが過剰に蒸発して突起部21が消滅する結果、短時間で照度維持率が低下すると考えられる。
一方、(ハ)陽極2の最大外径D1が大きすぎたり、陽極2に投入される電流(定格電流ともいう)が小さすぎる場合、(ニ)陽極2の最大外径D1と比較して突起部21の最大外径D2が大きすぎる場合には、突起部21からタングステンが蒸発することになり、このタングステンは突起部21に選択的に戻らないことになるため、突起部21の全長が経時的に短くなっていき、所定の電極間距離を確保できなくなる結果、照度維持率が低下すると考えられる。
これに対し、上記(1)、(2)の関係を共に満たす場合には、点灯時における陽極2の突起部21の温度が突起部21の形状を維持するという観点において最適となるため、点灯時に突起部21が消滅または変形することがない。この点は、以下の実験により確認されている。
以下に、本発明の効果を確認するために行なった実験について説明する。
上記の仕様に基づいて図1に示す超高圧水銀ランプのサンプルを21個作製した。21個のランプをそれぞれ500時間連続点灯させた後、超高圧水銀ランプの照度維持率を確認した。さらに、ランプを消灯して突起部21の全長の増減を確認した。その結果を表1に示す。
表1において、「○」、「△」、「×」は以下の意味を有する。「○」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長の2/3以内であったことを意味する。「△」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長の2/3〜1の範囲内であったことを意味する。「×」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長よりも大きかったことを意味し、突起部21の全長が点灯前の2倍を超えていた場合および突起部21が消滅した場合の2通りが含まれる。
なお、表1において、ランプ電流Iは、超高圧水銀ランプの点灯時の実測値である。点灯時の実測値のとり得る範囲は、定格電流値の範囲を包含する。従って、表1のランプ電流Iの値を実測値に代えて定格電流値とした場合であっても、表1に示す結果に変わりはない。
上記の仕様に基づいて図1に示す超高圧水銀ランプのサンプルを21個作製した。21個のランプをそれぞれ500時間連続点灯させた後、超高圧水銀ランプの照度維持率を確認した。さらに、ランプを消灯して突起部21の全長の増減を確認した。その結果を表1に示す。
表1において、「○」、「△」、「×」は以下の意味を有する。「○」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長の2/3以内であったことを意味する。「△」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長の2/3〜1の範囲内であったことを意味する。「×」は、突起部21の全長の増減が、点灯前の突起部21の全長よりも大きかったことを意味し、突起部21の全長が点灯前の2倍を超えていた場合および突起部21が消滅した場合の2通りが含まれる。
なお、表1において、ランプ電流Iは、超高圧水銀ランプの点灯時の実測値である。点灯時の実測値のとり得る範囲は、定格電流値の範囲を包含する。従って、表1のランプ電流Iの値を実測値に代えて定格電流値とした場合であっても、表1に示す結果に変わりはない。
表1によれば、以下の事実が確認された。
I2/D12が0.51〜9.88の範囲内で、かつ、D2/D1が0.03〜0.29の範囲内にある場合には、突起部21の全長の増減が少なく、500時間の連続点灯後も照度維持率の低下が少なかった。
一方、I2/D12が0.51〜9.88の範囲外、または、D2/D1が0.03〜0.29の範囲外である場合には、突起部21の全長の増減が大きく、500時間の連続点灯後に照度維持率の低下が大きかった。
すなわち、(1)陽極2の胴部23の最大外径D1とランプ電流Iの関係が0.51<I2/D12<9.88を満たし、かつ、(2)陽極2の最大外径D1と突起部21の最大外径D2の関係が0.03<D2/D1<0.29を満たすことにより、超高圧水銀ランプの照度維持率を長時間に渡って確保できることが確認された。
I2/D12が0.51〜9.88の範囲内で、かつ、D2/D1が0.03〜0.29の範囲内にある場合には、突起部21の全長の増減が少なく、500時間の連続点灯後も照度維持率の低下が少なかった。
一方、I2/D12が0.51〜9.88の範囲外、または、D2/D1が0.03〜0.29の範囲外である場合には、突起部21の全長の増減が大きく、500時間の連続点灯後に照度維持率の低下が大きかった。
すなわち、(1)陽極2の胴部23の最大外径D1とランプ電流Iの関係が0.51<I2/D12<9.88を満たし、かつ、(2)陽極2の最大外径D1と突起部21の最大外径D2の関係が0.03<D2/D1<0.29を満たすことにより、超高圧水銀ランプの照度維持率を長時間に渡って確保できることが確認された。
次に、図2を用いて本発明の超高圧水銀ランプに係る陽極の他の実施例を示す。図2は、陽極の一部分の拡大図であり、図2(a)が側断面図を示し、図2(b)が正面図を示す。図3は、図2に示す陽極の作用を説明するための概念図である。
図2に示す陽極2は、突起部21の前方側の端部に凹所24が形成されている点が特徴である。突起部21に凹所24を設けることの技術的意義は以下のとおりである。図3(a)の正面図においてハッチングを付した部分である、突起部21における環状のエッジ部25の全周を起点として放電アークが形成される。一方、図3(b)に示すように、突起部21に凹所が形成されていない場合には、突起部21においてハッチングを付して示す点状の狭小な領域のみを起点として放電アークが形成されるに過ぎない。従って、図3(a)に示す陽極によれば、突起部21に凹所24を設けた陽極の方が放電アークと接触する面積が大きくなり、放電アークと接触する部分、すなわち高温部分の面積が大きくなることに伴い、突起部21においてタングステンが選択的に蒸発するとともに蒸発したタングステンが選択的に戻る面積が大きくなることから、突起部21の経時的変化を抑制することができる。
図2に示す陽極2は、突起部21の前方側の端部に凹所24が形成されている点が特徴である。突起部21に凹所24を設けることの技術的意義は以下のとおりである。図3(a)の正面図においてハッチングを付した部分である、突起部21における環状のエッジ部25の全周を起点として放電アークが形成される。一方、図3(b)に示すように、突起部21に凹所が形成されていない場合には、突起部21においてハッチングを付して示す点状の狭小な領域のみを起点として放電アークが形成されるに過ぎない。従って、図3(a)に示す陽極によれば、突起部21に凹所24を設けた陽極の方が放電アークと接触する面積が大きくなり、放電アークと接触する部分、すなわち高温部分の面積が大きくなることに伴い、突起部21においてタングステンが選択的に蒸発するとともに蒸発したタングステンが選択的に戻る面積が大きくなることから、突起部21の経時的変化を抑制することができる。
1 超高圧水銀ランプ
10 バルブ
11 発光部
12 封止部
2 陽極
21 突起部
22 縮径部
23 胴部
24 凹所
25 エッジ部
26 軸部
3 陰極
31 軸部
32 コイル
4 金属箔
5 外部リード棒
S 内部空間
D1 陽極最大外径
D2 突起部最大外径
10 バルブ
11 発光部
12 封止部
2 陽極
21 突起部
22 縮径部
23 胴部
24 凹所
25 エッジ部
26 軸部
3 陰極
31 軸部
32 コイル
4 金属箔
5 外部リード棒
S 内部空間
D1 陽極最大外径
D2 突起部最大外径
Claims (3)
- バルブ内に、陽極と陰極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm3以上の水銀および1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3のハロゲンが封入された超高圧水銀ランプにおいて、
前記陽極の先端には突起部が設けられている
ことを特徴とする超高圧水銀ランプ。 - 前記突起部が形成された陽極の最大外径をD1とし、突起部の最大外径をD2とし、ランプ電流をIとしたとき、
0.51<I2/D12<9.88、かつ、0.03<D2/D1<0.29の関係を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の超高圧水銀ランプ。 - 前記突起部は、その先端部分に凹所が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超高圧水銀ランプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006086975A JP2007265709A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 超高圧水銀ランプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006086975A JP2007265709A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 超高圧水銀ランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007265709A true JP2007265709A (ja) | 2007-10-11 |
Family
ID=38638503
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006086975A Withdrawn JP2007265709A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 超高圧水銀ランプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007265709A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009048088A1 (ja) | 2007-10-11 | 2009-04-16 | Nec Corporation | 無線通信システム及び方法 |
EP4310887A1 (en) * | 2022-07-19 | 2024-01-24 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Xenon lamp for projector |
-
2006
- 2006-03-28 JP JP2006086975A patent/JP2007265709A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP4310887A1 (en) * | 2022-07-19 | 2024-01-24 | Ushio Denki Kabushiki Kaisha | Xenon lamp for projector |
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Legal Events
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