JP2007263352A - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上下方向の過大な主振動入力を抑えることができる耐久性、耐摩耗性に優れた安価な構造のストッパ機構を備えた防振装置を提供する。
【解決手段】エンジンマウント10は、径方向に延びた突起部13を有する取付金具11と、取付金具11の下端側にて外方に離間して同軸状に配置された本体金具16と、両金具11,16との間を弾性的に連結する本体ゴム弾性体21とを有している。本体金具16の一端側には、係合金具31が同軸状に固定されて取付金具11側に突起部13を越えて延びると共に、その先端側にて軸心側に延びて突起部13を覆っている。本体ゴム弾性体21とは別に形成された弾性体ストッパ部材41が、係合金具31内に圧入されることにより、側壁部42が筒部32に圧着され、変位規制部43が内フランジ部35に圧接し、支持部44が水平壁部34に圧接させられる。
【選択図】図1
【解決手段】エンジンマウント10は、径方向に延びた突起部13を有する取付金具11と、取付金具11の下端側にて外方に離間して同軸状に配置された本体金具16と、両金具11,16との間を弾性的に連結する本体ゴム弾性体21とを有している。本体金具16の一端側には、係合金具31が同軸状に固定されて取付金具11側に突起部13を越えて延びると共に、その先端側にて軸心側に延びて突起部13を覆っている。本体ゴム弾性体21とは別に形成された弾性体ストッパ部材41が、係合金具31内に圧入されることにより、側壁部42が筒部32に圧着され、変位規制部43が内フランジ部35に圧接し、支持部44が水平壁部34に圧接させられる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両のエンジンマウント、ボディマウント等に用いられる防振装置に係り、特に過大な振動入力による制振対象部材側と車体側間の変位を抑えるストッパ部材を備えた防振装置に関する。
従来、この種の防振装置としては、例えば特許文献1に示すように、軸直角方向に延びた突起部を設けた取付金具と、取付金具の下端側にて外方に離間して同軸状に配置された筒状の本体金具と、両金具の間を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、本体金具の一端側に同軸状に固定されて取付金具側に突起部を越えて延び、その先端側にて軸心側に延びて突起部を覆うフランジ部を有する係合金具とを設けたエンジンマウントがある。この防振装置では、突起部には本体ゴム弾性体から一体で延びてその上面を覆ったストッパ用突出部が設けられており、取付金具には別体の外側ストッパ部材が固定されている。この防振装置は、取付金具を上にして軸方向を上下に向けて配置され、取付金具に固定されたエンジン側ブラケットにてエンジン側に固定され、本体金具に固定された取付ブラケットにて車体側に固定される。防振装置は、上下方向の過大な主振動入力に対しては、エンジン側と車体側が離れる方向のリバウンド入力は係合金具のフランジ部とストッパ用突出部上面側との当接により抑えられ、エンジン側と車体側が接近する方向のバウンド入力は外側ストッパ部材とエンジン側ブラケットとの当接により抑えられるようになっている。
特開平2002−310224号公報
ところで、上記本体ゴム弾性体は、振動を適正に減衰させるためのゴム材料が選択されているが、上記ストッパ用突出部は係合金具のフランジ部との衝突に対する耐久性、耐摩耗性が要求されるものであり、本体ゴム弾性体とはゴム材料に要求される特性が異なっているのである。しかるに、上記従来例では、ストッパ用突出部は本体ゴム弾性体と同一のゴム材料であるため、ストッパとして必要な特性が得られるゴム材料では形成されていないという問題がある。
これに対して、例えば特許文献2に示すように、ゴムストッパ部を、係合金具先端側のフランジ部の上下面に加硫成形により一体で設けた防振装置が知られている。このゴムストッパ部は、本体ゴム弾性体とは別個にストッパとして必要な特性のゴム材料で加硫成形されるため、耐久性、耐摩耗性等の必要特性を備えたものになっている。ところで、防振装置では、通常金具の錆を防止するためにカチオン塗装等による防錆処理が施されているが、このような塗装膜は熱により破損しやすい性質がある。上記ゴムストッパ部が係合金具に加硫成形により設けられた防振装置では、成形型にセットされた係合金具に高温が加えられるため塗装膜がはがれやすく、また係合金具を成形型にセットする際にも、金具と成形型の接触により塗装膜がはがれやすいという問題がある。これに対して、防錆処理が施されていない係合金具に加硫成形でゴムストッパ部を形成した後に、スプレート塗装により金具に塗装膜を形成する方法もあるが、スプレー塗装はカチオン塗装に較べて塗装の付着強度が弱く、そのため塗装膜がはがれやすいという防錆上の問題もあった。
特開平10−231885号公報
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、長期にわたって安定して上下方向の過大な主振動入力を抑えることができる耐久性、耐摩耗性に優れた安価な構造のストッパ機構を備えた防振装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、軸直角方向に延びた突起部を設けて軸方向一端側にて制振対象部材側に取り付けられる取付金具と、取付金具の他端側にて外方に離間して同軸状に配置され、車体側に取り付けられる筒状の本体金具と、取付金具と本体金具との間を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、本体金具の軸方向一端側に固定されて取付金具側に向けて突起部を越えて延びると共に、径方向内方に延びて突起部を覆う筒状の係合金具と、係合金具内に圧入されて係合金具の内側面に圧着され、突起部に対向する筒状の弾性体ストッパ部材とを設けたことにある。
上記のように構成した発明においては、弾性体ストッパ部材が係合金具内に圧入されてその内側面に圧着された防振装置に、制振対象部材側と車体側が離れる方向の過大なリバウンド入力が加えられると、取付金具の突起部とそれに対向する係合金具に圧着された弾性体ストッパ部材の軸方向一端側部分とが当接することにより、過大なリバウンド入力が抑えられる。また、軸直角方向の過大な振動入力に対しては、突起部外周縁とこれに対向する弾性体ストッパ部材とが当接することにより抑えられる。ここで、弾性体ストッパ部材は、本体ゴム弾性体とは別個に本体ゴム弾性体の特性とは異なるストッパに要求される耐久性や耐磨耗性が得られるゴム材料で加硫成形されているため、突起部の当接に対してストッパとしての機能を長期にわたって安定して発揮することができる。また、弾性体ストッパ部材は、ゴム弾性体単体からなるため加硫成形が容易であり、また係合金具への圧入による取り付けも容易であるため、全体として安価に提供される。さらに、弾性体ストッパ部材は、ゴム弾性体単体により加硫成形されたものであり、係合金具に加硫成形によって固定されるものではないので、係合金具の防錆塗装膜に損傷が生じることもない。
また、本発明において、係合金具が、筒部と、筒部の軸方向一端にて径方向内方に延びる内フランジ部と、筒部の軸方向他端に取付部とを一体で設けており、また弾性体ストッパ部材が、筒状の側壁部と、側壁部の軸方向一端側で径方向内方に延びた変位規制部と、側壁部の軸方向他端側で径方向外方に延びた支持部とを一体で設けており、弾性体ストッパ部材が、側壁部にて係合金具の筒部の内周面に圧入され、変位規制部が内フランジ部に圧接し、支持部が取付部に圧接するようにすることができる。このように、弾性体ストッパ部材が、筒状の側壁部にて係合金具の筒部の内周面に圧入され、変位規制部が内フランジ部に圧接し、支持部が取付部に圧接することにより、係合金具内に確実に取り付けられる。また、筒状の弾性体ストッパ部材を筒状の係合金具内に圧入すればよいので、弾性体ストッパ部材の位置合わせの手間がなく、簡単かつ確実に係合金具内への圧入が行われる。
また、本発明において、弾性体ストッパ部材の支持部が、本体ゴム弾性体に押圧されて、係合金具に圧着されるようにすることができる。このように、弾性体ストッパ部材の支持部が、本体ゴム弾性体に押圧されることにより、弾性体ストッパ部材が安定した状態で確実に係合金具に圧着させられる。
また、本発明において、弾性体ストッパ部材の支持部が、本体金具に押圧されて、係合金具に圧着さるようにすることができる。このように、弾性体ストッパ部材の支持部が、本体金具に押圧されることにより、弾性体ストッパ部材が安定した状態で確実に係合金具に圧着させられる。
また、本発明において、弾性体ストッパ部材が、変位規制部に加えて、変位規制部の内周縁から係合金具の内フランジ部の内周縁を回り込んで内フランジ部の反対面まで延びた外側変位規制部を設けるようにすることができる。このように、弾性体ストッパ部材が、変位規制部に加えて、内フランジ部の反対面まで延びた外側変位規制部を一体で設けたことにより、防振装置へのリバウンド方向の変位に加えて、バウンド方向の変位を外側変位規制部で規制できる。そのため、別途外側変位規制部を設ける必要がないので、部品点数が削減されると共に外側ストッパ部材の取り付けの手間もないので、エンジンマウントの組み立てが簡易に行われる。
本発明によれば、弾性体ストッパ部材は、本体ゴム弾性体とは別個に形成されたものであり、本体ゴム弾性体の特性とは異なるストッパに要求される耐久性や耐磨耗性が得られるゴム材料で加硫成形されているため、突起部の当接に対してストッパとして機能を長期にわたって安定して発揮することができる。また、弾性体ストッパ部材は、ゴム弾性体単体であるため加硫成形が容易であり、また係合金具への圧入による取り付けも容易であるため、全体として安価に提供され、さらに、係合金具に対して加硫成形されるものではないので、係合金具の防錆塗装膜に損傷が生じることもなく、防錆塗装膜の防錆機能が確保される。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、実施例1である自動車のエンジン支持用の防振装置である液体封入式エンジンマウント(以下、エンジンマウントと記す)を断面図により示し、図2は係合金具内に圧着される弾性体ストッパ部材を断面図により示したものである。
エンジンマウント10は、軸方向中間位置にて径方向に延びた突起部13を有する丸棒状の取付金具11と、取付金具11の下端側にて外方に離間して同軸状に配置されると共に軸方向下方に延設された本体金具16と、両金具11,16との間を弾性的に連結すると共に本体金具16の軸方向一端側を閉塞する本体ゴム弾性体21とを有している。また、本体金具16の一端側には、係合金具31が同軸状に固定されて取付金具11側に突起部13を越えて延びると共に、その先端側にて軸心側に延びて突起部13を覆っている。係合金具31の内側面には、弾性体ストッパ部材41が圧着され、取付金具11には外ストッパ部材45が嵌着されている。エンジンマウント10は、軸方向を上下に向けて上側の取付金具11をエンジン側ブラケット(図示しない)に固定することによりエンジン側に取り付けられ、下側の係合金具31に取り付けられた取付ブラケット38により車体側に固定され、両金具11,16間に加えられる主振動入力等を減衰させるものである。以下、エンジンマウント10についてさらに詳しく説明する。なお、以下の説明において、エンジンマウント10の各部の上下関係については、図1の上下に合わせることとする。
取付金具11は、大径の丸棒形状の軸部12と、軸部12の軸方向中央位置にて径方向外方に突出した円環状の厚板である突起部13とを一体で有している。軸部12は、突起部13を挟んだ上側全体が大径の円筒部12aになっており、突起部13の下側が略逆円錐形状に傾斜して延びて下端が凸曲面状になった円錐部12bになっている。軸部12の軸心位置には、上端面から円錐部12bの上下方向中間位置まで延びた取付孔14が設けられており、取付孔14にはねじ溝が形成されている。
本体金具16は、板材にプレス成形(絞り加工)を施すことによって形成された薄肉の筒状の金具であり、上端から軸方向の略中間位置に至る円筒形の上筒部17と、上筒部17から下端に至る円筒形の上筒部17より小径の下筒部18とからなり、両者の境界が径方向に延びた段部19になっている。下筒部18については、下端側が縮径された縮径部18aになっており、さらに最下端部が軸心方向にわずかに傾斜して折り曲げられた内側曲げ部18bに形成されている。縮径部18a及び内側曲げ部18bについては、後述するオリフィス部材26及びダイヤフラム部材28が下筒部18内に挿着された後に、それらの抜け止めのために絞り加工により形成される。
本体ゴム弾性体21は、本体金具16の上筒部17内周面の全周に沿って接着されており、上筒部17の上端側開口を閉鎖している。また、本体ゴム弾性体21は、本体金具16の上端から軸方向外方に略円錐状に膨出して、上記取付金具11の突起部13より下側部分の表面に接着されている。これにより、取付金具11は、突起部13より下側部分が本体ゴム弾性体21に同軸状に埋設された状態となっている。本体ゴム弾性体21は、本体金具16の内部の上記段部19の下側位置で軸直角方向内方にわずかに広がる環状の底面部22になっており、さらに底面部22の内周縁にて軸心を中心として曲面状に上方に凹んだ凹部23を設けている。また、本体金具16内周面の下筒部18内周面には、薄肉のゴム弾性体製の被覆部24が設けられており、本体ゴム弾性体21の下端につながっている。これら本体ゴム弾性体21及び被覆部24は、NR,EPDM等の通常のゴム材料を用いて、加硫成形により一体で形成されている。
下筒部18内の被覆部24内側空間内には、軸方向上側から順にオリフィス部材26とダイヤフラム部材28が同軸的に圧入により挿着されている。オリフィス部材26は、中央の円板部26aと、その外周縁部全周に沿って延びた断面が略コ字状の上下2段のオリフィス通路26bを設けており、円板部26aの上側のオリフィス通路26bに囲まれた凹部26cにはゴム製の弾性体厚板27が収容されており、さらに上面には凹部26cを覆う上板27aが重ね合わされている。オリフィス通路26bは、その一端側が軸方向上方(上液室K1)に開口した上開口部(図示しない)になっており、他端側が軸方向下方(下液室K2)に開口した下開口部(図示しない)になっている。このオリフィス部材26で仕切られた上記本体ゴム弾性体21の凹部23内が、上液室K1に形成されている。ダイヤフラム部材28は、リング状の金具28aの内側に軸方向の一方に膨らんだゴム製の薄膜28bを設けたものであり、薄膜28bはオリフィス部材26方向に膨らんだ状態で配置される。ダイヤフラム部材28とオリフィス部材26とに囲まれた間に下液室K2が形成される。
係合金具31は、板材にプレス成形(絞り加工)を施すことによって形成された厚肉の筒状の金具であり、上端から軸方向の略中間位置に至る円筒形の筒部32と、筒部32下端から下端に至る円筒形の筒部32より大径の取付部33を設けており、筒部32と取付部33との境界が径方向に水平に延びた環状の水平壁部34になっている。筒部32の上端には、全周にわたって軸心方向に延びた円環形の内フランジ部35が一体で設けられている。内フランジ部35内周の開口部36は内径が突起部13の外径よりわずかに小さくなっており、突起部13外周縁側を上方から覆っている。筒部32内周面と突起部13外周縁の間は、大きく離間している。取付部33の内径は、本体金具16の上筒部17外径とほぼ同等である。取付部33の外周面には最終的に車体側へ取り付けるための取付ブラケット38が溶接等により固定されるようになっている。
弾性体ストッパ部材41は、係合金具31の筒部32、水平壁部34及び内フランジ部35を合わせた形状と略同一の容器形状であり、円筒状の側壁部42と、側壁部42の軸方向一端側で軸心方向に延びた円環形の変位規制部43と、側壁部42の軸方向他端側で径方向外方にわずかに延びた円環形の支持部44とを一体で設けている。変位規制部43の内周縁は開口部36と略同一径の開口43aになっている。側壁部42の外径は、筒部32の内径よりわずかに大きくなっており、弾性体ストッパ部材41は、側壁部42にて係合金具31の筒部32内周面に圧着状態になっている。また、支持部44の外周縁は、水平壁部34の内外周縁の中間位置に配置される。弾性体ストッパ部材41は、係合金具31の取付部33開口から圧入することにより、側壁部42が筒部32に圧着され、変位規制部43が内フランジ部35に圧接し、支持部44が水平壁部34に圧接させられる。
弾性体ストッパ部材41は、本体ゴム弾性体21及び被覆部24のゴム材料とは異なり、耐久性と耐磨耗性を備えたゴム材料で形成される。このゴム材料としては、例えば摩擦係数が低いゴム材料である自己潤滑ゴムが用いられる。自己潤滑ゴムとしては、ゴムに合成ワックスを配合したもの、熱硬化型ポリウレタンエラストマにシリコーンオイルを配合したもの、ゴム弾性体に不飽和脂肪酸アミドを含有したもの等がある。また、取付金具11の円筒部12aには円環状の厚板である外側ストッパ部材46が、その中心穴46aにて圧入により挿嵌されている。外側ストッパ部材46のゴム材料も、弾性体ストッパ部材41と同様である。
上記エンジンマウント10の形成については、まず取付金具11と本体金具16を、所定の成形金型(図示しない)に装着し、マウントのばね特性に合わせたゴム弾性体材料を注入して加硫成形を行うことにより、本体ゴム弾性体21及び被覆部24が一体で形成される。この加硫成形品に対して弾性体ストッパ部材41が圧着された係合金具31が、取付金具11側から挿入され、取付部33が本体金具16の上筒部17の外周面に圧入される。これにより、弾性体ストッパ部材41の支持部44が、本体ゴム弾性体21の上面及び本体金具16の上筒部17に押圧されて係合金具31の水平壁部34に押し付けられ強固に圧着させられる。その後、係合金具31の取付部33に絞り加工を施すことにより、係合金具31が本体金具16に外れることの無いように一層強固に固定される。
係合金具31が本体金具16に強固に固定された状態で液体中に浸漬し、下筒部18内に順次オリフィス部材26とダイヤフラム部材28を挿着して上下液室K1,K2内に液体を封入した後、本体金具16の下筒部18に絞り加工を施すことにより、オリフィス部材26とダイヤフラム部材28は、下筒部18内に強固に保持されさらに内側曲げ部18bによって係止されることにより、本体金具16からの脱落が防止される。なお、上下液室K1,K2内に封入される液体として、非圧縮性液体が封入されており、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が何れも採用可能である。さらに、係合金具31の取付部33外周側に、取付ブラケット38が溶接により固定され、エンジンマウント10が得られる。
このエンジンマウント10は、軸方向を上下に向けて、取付金具11の上端面にてエンジン側ブラケットに取り付けられ、本体金具16側が係合金具31に固定された取付ブラケット38により車体側に取り付けられる。エンジンマウント10は、エンジンの荷重を受けて取付金具11が下方に押され、その結果、取付金具11の突起部13上面と弾性体ストッパ部材41の変位規制部43間の距離が所定寸法に保たれる。
上記のように構成した実施例1においては、エンジン側と車体側の間に上下に向いて組み付けられたエンジンマウント10に、上下方向の主振動入力が加えられると、係合金具31の内フランジ部35の下面に圧接した弾性体ストッパ部材41の変位規制部43が突起部13に当接しない範囲では、マウント本来の振動減衰作用が発揮され、エンジン側から車体側への振動伝達が抑えられる。シェイク振動等の低周波数の振動に対しては、オリフィス通路26bを介して上下液室K1,K2間を還流する液体の共振作用により振動が減衰させられる。また、シェイク振動等より高いアイドル振動等の高周波数の振動に対しては、上下液室K1,K2の液圧変動を弾性体厚板27の弾性変形によって吸収することにより、振動が減衰させられる。
ここで、車体側から過大な振動入力が加えられたり、車両の発進時や急加減速時にエンジンの動きが大きくなると、エンジン側と車体側が接近するバウンド方向の過大な変位に対しては、エンジン側のブラケットが外側ストッパ部材46に当接することによって変位が抑えられる。また、エンジン側と車体側が離れるリバウンド方向の過大な変位に対しては、突起部13が弾性体ストッパ部材41の変位規制部43に当接することによって変位が抑えられる。一方、エンジンマウント10への車両の水平方向の過大な振動入力に対しては、取付金具11の突起部13と、係合金具31の内周面に設けた弾性体ストッパ部材41の側壁部42とが当接することにより過大な水平変位が抑えられる。
実施例1においては、弾性体ストッパ部材41は、本体ゴム弾性体21とは別個に形成されており、本体ゴム弾性体21の特性とは異なる耐久性や耐磨耗性を得るためのゴム材料で形成されたものであるため、突起部13の衝突に対してもストッパとしての機能を長期にわたって安定して発揮することができる。また、弾性体ストッパ部材41は、ゴム弾性体単体であるため加硫成形が容易であり、また筒状の弾性体ストッパ部材41を筒状の係合金具31内に圧入すればよいので、弾性体ストッパ部材41の位置合わせの手間がなく簡単かつ確実に係合金具31内への圧入が行われるため、全体として安価に提供される。さらに、弾性体ストッパ部材41は、ゴム弾性体単体により加硫成形されたものであり、係合金具31に加硫成形によって接着されるものではないので、係合金具31の防錆塗装膜に損傷が生じることもなく、その防錆機能が確保される。
つぎに、実施例2について説明する。実施例2では、弾性体ストッパ部材51を、図4に示すように変更したものである。弾性体ストッパ部材51は、弾性体ストッパ部材41と同様に、円筒状の側壁部52と、側壁部52の軸方向一端側で軸心方向に延びた円環形の変位規制部53と、側壁部52の軸方向他端側で径方向外方に延びた円環形の支持部54とを一体で設けている。さらに、弾性体ストッパ部材51は、変位規制部53の中央開口53aの全周から軸方向外方にわずかに延びた突出部55と、突出部55の先端で曲げられて径方向外方に延びた環状の外側変位規制部56とを設けたものである。弾性体ストッパ部材51は、図3に示すように、実施例1と同様に、係合金具31内に圧入されるが、内フランジ部35の開口部36において外側変位規制部56を軸心方向に折り返して開口部36を挿通させ、開口部36外側で元に戻すことにより、外側変位規制部56が内フランジ部35の外側面に重ね合わされる。その他の構成については、実施例1と同様である。
実施例2においては、エンジンマウント10Aへのリバウンド方向の過大な変位については、実施例1と同様、変位規制部53で規制することができ、バウンド方向の過大な変位に対しては、外側変位規制部56にエンジン側のブラケット(図示しない)が当接することにより規制できる。そのため、実施例1のように、弾性体ストッパ部材41とは別個に外側ストッパ部材を設ける必要がないので、部品点数が削減されると共に外側ストッパ部材の取り付けの手間もないので、エンジンマウント10Aの組み立てが簡易に行われる。
なお、上記実施例においては、本発明のストッパ部材を液体封入式のエンジンマウントに適用した例について示したが、これに限らず、本体ゴム弾性体のみで振動を減衰させるソリッドタイプのエンジンマウントに対しても、本発明の弾性体ストッパ部材を適用することが可能である。また、エンジンマウントの各部材の具体的外形等については、上記実施例に示したものに限るものではなく、例えば、取付金具、本体金具、本体ゴム弾性体、係合金具、弾性体ストッパ部材等の形状について適宜変更可能である。また、本発明をエンジンマウント以外のボディマウント等の他の防振装置に対しても適用することができる。その他、上記各実施例に示したものは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々変更して実施することが可能である。
本発明は、弾性体ストッパ部材が、本体ゴム弾性体とは別個に形成され、本体ゴム弾性体の特性とは異なる耐久性や耐磨耗性が得られるゴム材料で形成することができるため、ストッパとして機能を長期にわたって安定して発揮することができ、また弾性体ストッパ部材がゴム弾性体単体であるため加硫成形が容易であり、また係合金具への圧入による取付も容易であるため、全体として安価に提供され、さらに、係合金具の防錆塗装膜に損傷が生じることもないので、有用である。
10,10A…液体封入式エンジンマウント、11…取付金具、13…突起部、16…本体金具、17…上筒部、18…下筒部、21…本体ゴム弾性体、24…ゴム被覆部、31…係合金具、32…筒部、33…取付部、35…内フランジ部、41…弾性体ストッパ部材、42…側壁部、43…変位規制部、44…支持部、51…弾性体ストッパ部材、56…外側変位規制部。
Claims (5)
- 軸直角方向に延びた突起部を設けて軸方向一端側にて制振対象部材側に取り付けられる取付金具と、該取付金具の他端側にて外方に離間して同軸状に配置され、車体側に取り付けられる筒状の本体金具と、前記取付金具と本体金具との間を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、前記本体金具の軸方向一端側に固定されて前記取付金具側に向けて前記突起部を越えて延びると共に、径方向内方に延びて前記突起部を覆う筒状の係合金具と、前記係合金具内に圧入されて該係合金具の内側面に圧着され、前記突起部に対向する筒状の弾性体ストッパ部材とを設けたことを特徴とする防振装置。
- 前記係合金具が、筒部と、該筒部の軸方向一端にて径方向内方に延びる内フランジ部と、該筒部の軸方向他端に取付部とを一体で設けており、また前記弾性体ストッパ部材が、筒状の側壁部と、該側壁部の軸方向一端側で径方向内方に延びた変位規制部と、該側壁部の軸方向他端側で径方向外方に延びた支持部とを一体で設けており、前記弾性体ストッパ部材が、前記側壁部にて前記係合金具の筒部の内周面に圧入され、前記変位規制部が前記内フランジ部に圧接し、前記支持部が前記取付部に圧接することを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
- 前記弾性体ストッパ部材の支持部が、前記本体ゴム弾性体に押圧されて、前記係合金具に圧着させられることを特徴とする請求項1又は2に記載の防振装置。
- 前記弾性体ストッパ部材の支持部が、前記本体金具に押圧されて、前記係合金具に圧着させられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置。
- 前記弾性体ストッパ部材が、前記変位規制部に加えて、該変位規制部の内周縁から前記係合金具の内フランジ部の内周縁を回り込んで該内フランジ部の反対面まで延びた外側変位規制部を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の防振装置。
Priority Applications (1)
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JP2006093289A JP2007263352A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | 防振装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102900803A (zh) * | 2012-10-22 | 2013-01-30 | 广西柳工机械股份有限公司 | 液体阻尼减震器 |
KR101324533B1 (ko) | 2012-09-10 | 2013-11-08 | 기아자동차주식회사 | 하이드로 엔진마운트 |
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2006
- 2006-03-30 JP JP2006093289A patent/JP2007263352A/ja active Pending
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