JP2007263310A - 内管材の布設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の内管材の布設方法によれば、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材が自重で下方に移動し、前後の内管材を互いに繋ぐ接合部の止水部での止水性能が低下する。
【解決手段】始発竪坑から到達竪坑に貫通するように形成された外管路内に始発竪坑から到達竪坑まで延長する内管路を複数の内管材を前後に繋ぎ合わせて形成する場合に、前側の内管材の後端部と後側の内管材の前端部とを接合部で互いに接合させ、内管材の外周に走行体を設けて内管材を移動させる内管材の布設方法であって、接合部は、内管材の内部と外部とを遮断する止水部と、接合状態において前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備え、走行体として、内管材11が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材11が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体(キャスター50)を用いたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】始発竪坑から到達竪坑に貫通するように形成された外管路内に始発竪坑から到達竪坑まで延長する内管路を複数の内管材を前後に繋ぎ合わせて形成する場合に、前側の内管材の後端部と後側の内管材の前端部とを接合部で互いに接合させ、内管材の外周に走行体を設けて内管材を移動させる内管材の布設方法であって、接合部は、内管材の内部と外部とを遮断する止水部と、接合状態において前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備え、走行体として、内管材11が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材11が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体(キャスター50)を用いたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、外管路内に内管路を形成する際、前の内管材の後端部と後の内管材の前端部とを接合部によって互いに接合した状態で外管路内に入れていく内管材の布設方法において、接合部が、内管材の内部と外部とを遮断する止水部と、接合状態において前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備えている場合に、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合の内管材の自重落下に伴う止水部での止水性能低下対策に関する。
始発竪坑から到達竪坑に貫通するように外管路を形成した後に、外管路内に始発竪坑から到達竪坑まで延長する内管路を形成し、この内管路を配水管や水道管などの水路として使用することが知られている。内管路は、複数の内管材を前後に繋ぎ合わせて形成する。この場合、前側の内管材の後端部と後側の内管材の前端部とを接合部により互いに接合し、内管材が外管路の内面を移動しやすいように内管材の外周に走行体としてのキャスターを設けて内管材を移動させるようにした内管材の布設方法が知られている。上記接合部は、内管材の内部と外部とを遮断するゴムによる止水部と、接合状態で前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備えた構造である。
しかしながら、外管路内に下り勾配斜面があると、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に、接合部の余裕部のために、内管材が自重で下方に移動する可能性があり、これにより前後の内管材を互いに繋ぐ接合部の止水部での止水性能が低下する。
特開平11−22879号公報
特開2003−214089号公報
特開2003−287157号公報
特開昭63−57979号公報
しかしながら、外管路内に下り勾配斜面があると、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に、接合部の余裕部のために、内管材が自重で下方に移動する可能性があり、これにより前後の内管材を互いに繋ぐ接合部の止水部での止水性能が低下する。
発明が解決しようとする課題は、従来の内管材の布設方法によれば、接合部が止水部と余裕部とを備え、内管材の外周には内管材を移動させやすいように走行体を設けているので、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材が自重で下方に移動し、前後の内管材を互いに繋ぐ接合部の止水部での止水性能が低下するという点である。
本発明の内管材の布設方法は、始発竪坑から到達竪坑に貫通するように形成された外管路内に始発竪坑から到達竪坑まで延長する内管路を複数の内管材を前後に繋ぎ合わせて形成する場合に、前側の内管材の後端部と後側の内管材の前端部とを接合部で互いに接合させ、内管材の外周に走行体を設けて内管材を移動させる内管材の布設方法であって、接合部は、内管材の内部と外部とを遮断する止水部と、接合状態において前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備え、走行体として、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体を用いたことを特徴とする。
走行体は、車輪と、車輪が回転可能に取付けられた車軸と、車軸が取付けられた支持材とを備え、車輪の直径、車軸の直径、車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗、車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗が、以下の式(1)を満足する値に選定されたことも特徴とする。
F=Pr
F=W×sinα
Pr=W×cosα/R×(μ×d/2+f)
W×sinα=W×cosα/R×(μ×d/2+f)・・・(1)
ただし、
F:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用するすべり力
Pr:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用する走行抵抗
W:内管材の質量
α:下り勾配斜面の勾配角度
R:車輪の半径
d:車軸の直径
μ:車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗
f:車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗
車輪の直径と車軸の直径との比を2:1にしたことも特徴とする。
車輪の直径を車軸の直径の2倍よりも大きくしたことも特徴とする。
走行体は、車輪と、車輪が回転可能に取付けられた車軸と、車軸が取付けられた支持材とを備え、車輪の直径、車軸の直径、車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗、車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗が、以下の式(1)を満足する値に選定されたことも特徴とする。
F=Pr
F=W×sinα
Pr=W×cosα/R×(μ×d/2+f)
W×sinα=W×cosα/R×(μ×d/2+f)・・・(1)
ただし、
F:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用するすべり力
Pr:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用する走行抵抗
W:内管材の質量
α:下り勾配斜面の勾配角度
R:車輪の半径
d:車軸の直径
μ:車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗
f:車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗
車輪の直径と車軸の直径との比を2:1にしたことも特徴とする。
車輪の直径を車軸の直径の2倍よりも大きくしたことも特徴とする。
本発明によれば、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体を用いたので、内管材が外管路内の下り勾配斜面において自重で下方に移動するのを防止でき、接合部の止水部での止水性能の低下を防止できる。
式(1)を満足するように、走行体の車輪の直径、車軸の直径、車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗、車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗を選定することによって、内管材が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体を形成できる。
車輪の直径と車軸の直径との比を2:1としたことで、車輪と車軸とを鋼材により形成できる。また、小さい径の車輪ですべり摩擦抵抗の大きい走行体を形成できるため、内管材と外管材との間に粘性の小さいモルタルを充填するための充填管を設置する空間を内管材の上部と外管材の上部との間に広く設けることができるようになる。
車輪の直径を車軸の直径の2倍よりも大きくしたことで、車軸の直径を小さくでき車輪の直径も小さくできるため、内管材と外管材との間に粘性の小さいモルタルを充填するための充填管を設置する空間を内管材の上部と外管材の上部との間に広く設けることができるようになる。
式(1)を満足するように、走行体の車輪の直径、車軸の直径、車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗、車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗を選定することによって、内管材が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体を形成できる。
車輪の直径と車軸の直径との比を2:1としたことで、車輪と車軸とを鋼材により形成できる。また、小さい径の車輪ですべり摩擦抵抗の大きい走行体を形成できるため、内管材と外管材との間に粘性の小さいモルタルを充填するための充填管を設置する空間を内管材の上部と外管材の上部との間に広く設けることができるようになる。
車輪の直径を車軸の直径の2倍よりも大きくしたことで、車軸の直径を小さくでき車輪の直径も小さくできるため、内管材と外管材との間に粘性の小さいモルタルを充填するための充填管を設置する空間を内管材の上部と外管材の上部との間に広く設けることができるようになる。
図1乃至図6は最良の形態を示す。図1は内管材の周囲に設けたキャスター装置を断面で示す。図2は外管路内の下り勾配斜面において内管材に作用する力を示す。図3は内管材の布設方法の施工手順を示す。図4は前後の内管材の接合部を断面で示す。図5は内管材の外周に設けられたキャスター装置を後方から見て示す。図6は内管材の外周に設けられたキャスター装置を横から見て示す。
図3を参照し、地中に水路を形成するための内管材の布設方法を説明する。
まず、地盤1を掘削して始発竪坑2と到達竪坑3とを形成する。始発竪坑2から到達竪坑3まで貫通する外管路4を形成し、外管路4内に始発竪坑2から到達竪坑3まで延長する内管路5を形成する。そして、外管路4と内管路5との間に粘性の小さいモルタルのような図外の充填材を詰め込み、内管路5を配水路や上水道路などの水路として使用する。
まず、地盤1を掘削して始発竪坑2と到達竪坑3とを形成する。始発竪坑2から到達竪坑3まで貫通する外管路4を形成し、外管路4内に始発竪坑2から到達竪坑3まで延長する内管路5を形成する。そして、外管路4と内管路5との間に粘性の小さいモルタルのような図外の充填材を詰め込み、内管路5を配水路や上水道路などの水路として使用する。
外管路4を形成する外管材6の布設方法を説明する。始発竪坑2内に図外の切削機及び先頭の外管材6を降ろし、切削機の後方に先頭の外管材6を連結して外管材6の後端を始発竪坑2に設置された図外のジャッキのピストンで押しながら切削機を駆動させることによって、切削機が地盤1を削りながら先頭の外管材6を到達竪坑3の方向に一定距離だけ推進させる。その後、先頭の外管材6の後端に後続の二番目の外管材6を接続して、この二番目の外管材6の後端をジャッキのピストンで押しながら切削機を駆動させることによって、切削機が地盤1を削りながら先頭及び二番目の外管材6を一定距離推進させる。以後同様に、前の外管材6の後端に後続の外管材6を順次連結して後続の外管材6の後端をジャッキのピストンで押しながら切削機を駆動することによって外管材6を推進させる。この作業を切削機が到達竪坑3に到達するまで行うことによって、始発竪坑2と到達竪坑3との間に始発竪坑2から到達竪坑3まで貫通する鞘(さや)管としての外管路4が形成される。
内管路5を形成する内管材11の布設方法を説明する。先頭の内管材11を始発竪坑2内に降ろして滑走台12上に設置した後に、この先頭の内管材11の後端をジャッキ13のピストン14で押し、先頭の内管材11を外管路4の入口15aから外管路4内に挿入する。先頭の内管材11を先頭の内管材11の後に二番目の後続の内管材を繋げることの可能な位置まで先頭の内管材11をジャッキ13のピストン14で押した後に、ジャッキ13のピストン14を戻して先頭の内管材11の後端に後続の二番目の内管材11を繋げ、その後、当該二番目の内管材の後端にさらに後続の三番目の内管材を繋げることの可能な位置まで二番目の内管材11をジャッキ13のピストン14で押す。以後同様に、前の内管材11の後端に後続の内管材11を順次繋げていって後続の内管材11の後端をジャッキ13のピストン14で押す作業を繰り返すことによって、始発竪坑2から到達竪坑3まで連続する内管路5を形成する。
外管材6としては、例えば、内径1100mmのヒューム管と呼ばれるコンクリート製の円筒管材を用いる。内管材11としては、例えば、内径591.6mm、外径609.6mmのダクタイル管と呼ばれるマグネシウムを添加した鋳鉄製の円筒管材を用いる。内管材11の内面にはモルタルライニング15を備える(図4参照)。
図4を参照し、前の内管材11の後端部21と後の内管材11の前端部22とを互いに繋ぐ接合部25の構造を説明する。接合部25は、前の内管材11の後端部21に形成された受口26と、後の内管材11の前端部22に形成された挿口27と、ゴム輪28と、ロックリング29と、セットボルト30とにより形成される。受口26の円管内径は挿口27の円管内径よりも大きい。受口26は、後端側が小内径部31に形成され、小内径部31よりも前方側が大内径部32に形成される。小内径部31の内周面33には、内周面33の径より大径のロックリング29を収納可能なように内周面33の円周に沿って形成されたロックリング挿入溝34が形成される。ロックリング29は、リングの周部の一部を切除したC字形状に形成され、C字の両端を互いに近づける方向に撓ませて径を小さくした状態でロックリング挿入溝34に挿入される。ロックリング挿入溝34の底面35と小内径部31の外周面36とを貫通するねじ孔37が形成される。このねじ孔37は、小内径部31の周面において所定角度間隔で複数個形成される。小内径部31と大内径部32との境界である段差部38より前方側に位置する大内径部32の内周面39より内管材11の軸中心の方向に突出する環状係合突起40を備える。ゴム輪28の外周面41には環状係合突起40に係合する円周に沿って形成された円状溝からなる係合溝42が形成される。ゴム輪28は、係合溝42を環状係合突起40に係合させて段差部38から大内径部32の内周面39にかけて延長するような状態に受口26の内周面に取付けられる。挿口27の外周面45には円周に沿って形成された円状溝からなるロックリング係合溝46が形成される。このロックリング係合溝46は、内管材の軸に沿った方向の長さaが、ロックリング29の軸に沿った方向の長さbよりも長い。ねじ孔37にはロックリング29をロックリング係合溝46の溝底面47に押し付けるためのセットボルト30がねじ嵌合される。
前の内管材11の後端部21と後の内管材11の前端部22とを接合部25によって繋ぐ方法を説明する。受口26の後端開口49から受口26の内側に挿口27を挿入することによってゴム輪28が受口26の大内径部32の内周面39と挿口27の外周面45とに密着した状態の止水部100が形成される。即ち、内管材11の内部と外部とを遮断する止水部100が形成される。この止水部100により内管材11の内側と外部とが水密に遮断された状態において、セットボルト30の六角溝孔に六角レンチを挿入してセットボルト30を締め付けてロックリング29をロックリング係合溝46の溝底面47に押し付けることによって、前の内管材11の後端部21と後の内管材11とが接合部25により接合される。
ロックリング係合溝46における管の軸方向に沿った方向の長さをaとし、ロックリングの軸方向に沿った方向の長さをbとした場合に、長さc=a−bは、抜け出し余裕量と呼ばれる。この抜け出し余裕量cは、受口26と挿口27との相互の前後方向の移動を許容して前の内管材11と後の内管材11とが若干の角度αで曲がった状態に接合可能とするために設けられた余裕である。なお、上記角度αの限界値は、tan−1(抜け出し余裕量c/管外径d1)により求まる。角度αの許容値は4°程度である。即ち、上記ロックリング係合溝46の軸方向の長さはロックリング29の軸方向の長さよりも長く、受口26と挿口27との相互の前後方向の移動を許容する抜け出し余裕量cを持つ余裕部110を備える。即ち、接合部25は、接合状態において前後の内管材11をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部110を備える。余裕部110があるため、外管路4内がカーブしている場合、前の内管材11の筒軸と後の内管材11の筒軸とが角度をなす状態となってカーブに追従できる一方で、内管材11が外管路4内の下り勾配斜面上に位置された場合には内管材11が自重で下方に移動して接合部24の止水部100での止水性能が低下する可能性がある。
そこで、図5、図6に示すように、内管材11の外周面には、内管材11が外管路4内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材11が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体としてのキャスター50を備えたキャスター装置51が取付けられる。キャスター装置51は、内管材11の後端部側において受口26の外周より少し前側の外周に設けられる。ただし、先頭の内管材11は、前部側の外周にもキャスター装置51が取付けられる(図3参照)。キャスター装置51は、2つの半円弧帯材52、4つのキャスター50を備える。半円弧帯材52は、内管材11の外周径に合わせた半円弧径に形成され、両端にフランジ53を備える。半円弧帯材52の円弧外周面54において、円弧外周面54の中央部55から両方の端部側に45°ずれた位置にはそれぞれキャスター50が溶接等の接着手段にて取付けられる。即ち、円弧外周面54において互いに90°ずれた位置に1つずつキャスター50を備えた半円弧帯材52を2つ用い、2つの半円弧帯材52が内管材11の外周を取り巻くように設置された状態でフランジ53同士をボルト56及びナット57で連結することで、内管材11の円弧外周面54の円周上において90°間隔で配置された4つのキャスター50を設けることができる。尚、半円弧帯材52は、内側が内管材11の外周面との密着性を良くするためにゴム帯材58により形成され、外側が金属帯材59により形成される(図1参照)。
図1に示すように、キャスター50は、車輪60、車軸61、支持材62を備える。支持材62は半円弧帯材52の円弧外周面54に取付けられる。支持材62は、互いに対向する支持板63を備え、支持板63の先端部には車軸61を貫通させて支持する軸受部64が形成され、互いに対向する支持板63と支持板63との間に車輪60が配置される。車輪60の中央には車軸61を貫通させる中心孔65が形成される。車軸61は、車輪60の中心孔65の内側に位置されて車輪60を回転可能に支持する中央部66と、支持板63の軸受部64に嵌め込まれて溶接69などで支持板63に回転しないように取付けられた両端部67とを備える。つまり、車輪60は、車軸61に回転可能に設けられ、車軸61は、両端部67が支持板63に固定されることによって支持材62に回転不能に取付けられる。キャスター50は、車軸61の両端部67を相対向する一対の支持板63の軸受部64に挿入した状態で、一対の支持板63と支持板63との間に連結板68を挟んで連結板68と支持板63とを溶接などで互いに連結することで形成され、その後、支持板63の基端部を半円弧帯材52の円弧外周面54に溶接などで取付ける。
接合部25により前の内管材11に接続され、かつ、外周にキャスター装置51を備えた後の内管材11をジャッキ13のピストン14で押して外管路4内に挿入していく。この際、内管材11の下方両側の2つのキャスター50が外管路4内の内面を滑走する。内管材11が外管路4内でのカーブ部分に来て傾いた場合などには、内管材11の上方のキャスター50が外管路4内の内面に接触して滑走する。
図2に示すように、内管材11が外管路4内の下り勾配斜面70に位置した場合に内管材11に作用するすべり力Fは、F=W×sinαで求められる。ここで1本の内管材11の質量が657kgf、外管路4内の下り勾配斜面70の下り勾配が−5.95%(α=3.405°)であるとすれば、下り勾配斜面70において1本の内管材11に作用するすべり力Fは、すべり力F=657×sin3.405°=39kgfである。従って、接合部25にすべり力Fを作用させないためには、内管材11にすべり力Fと反対方向に作用する走行抵抗Prを39kgf以上とする必要がある。内管材11の外周囲にキャスター50を設ける場合において、走行抵抗Prは以下の式で表される。
Pr=W×cosα/R×(μ×d/2+f)
=657×cos3.405°/R×(μ×d/2+f)
ただし、
F:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用するすべり力
Pr:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用する走行抵抗
W:内管材の質量
α:下り勾配斜面の勾配角度
R:車輪の半径
d:車軸の直径
μ:車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗
f:車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗
例えば、上記式にR=5cm、μ=0.1、f=0.05を代入して、すべり力Fと抗力Prとをつり合わせるための車軸の直径dを求めると、
Pr=657×cos3.405/5×(0.1×d/2+0.05)
すべり力Fと抗力Prとがつりあうためには、
F=Pr
W×sinα=W×cosα/R×(μ×d/2+f)・・・(1)
39.0=657×cos3.405/5×(0.1×d/2+0.05)
d=4.95cmとなる。
即ち、外管路4内の下り勾配斜面の下り勾配が最大で−5.95%(α=3.405°)である場合、キャスター50の車軸61の直径を4.95cm以上とすれば、走行抵抗がすべり力Fより大きくなって内管材11が外管路4内の下り勾配斜面に位置された場合においても内管材11は自重で下方に移動しないので、止水部100の止水性能の低下を防止できる。
Pr=W×cosα/R×(μ×d/2+f)
=657×cos3.405°/R×(μ×d/2+f)
ただし、
F:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用するすべり力
Pr:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用する走行抵抗
W:内管材の質量
α:下り勾配斜面の勾配角度
R:車輪の半径
d:車軸の直径
μ:車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗
f:車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗
例えば、上記式にR=5cm、μ=0.1、f=0.05を代入して、すべり力Fと抗力Prとをつり合わせるための車軸の直径dを求めると、
Pr=657×cos3.405/5×(0.1×d/2+0.05)
すべり力Fと抗力Prとがつりあうためには、
F=Pr
W×sinα=W×cosα/R×(μ×d/2+f)・・・(1)
39.0=657×cos3.405/5×(0.1×d/2+0.05)
d=4.95cmとなる。
即ち、外管路4内の下り勾配斜面の下り勾配が最大で−5.95%(α=3.405°)である場合、キャスター50の車軸61の直径を4.95cm以上とすれば、走行抵抗がすべり力Fより大きくなって内管材11が外管路4内の下り勾配斜面に位置された場合においても内管材11は自重で下方に移動しないので、止水部100の止水性能の低下を防止できる。
最良の形態では、キャスター50の支持材62及び車軸61を鋼材(SS400)により形成し、車輪60を鋼材(S45C)により形成し、車輪60の半径Rを50mm(即ち、直径100mm)、車軸61の中央部66の直径を50mm、車輪60の中心孔65の孔径を50.1mm、車軸61の両端部67の直径を20mm、支持板63の軸受部64の孔径を25mm、車軸61の中央部66及び車輪60の横幅を50mmとし、すべり摩擦抵抗μを0.1、ころがり摩擦抵抗fを0.05とすることによって、内管材11が外管路4内の下り勾配斜面上に位置された場合に当該内管材11が自重で落下しないように抵抗するキャスター50を形成した。即ち、車輪60の直径と車軸61の中央部66の直径との比を2:1にして、式(1)を満足するすべり摩擦抵抗μ、ころがり摩擦抵抗fが得られる車輪60及び車軸61の材質を選定した。最良の形態では、車輪60の直径と車軸61の直径との比を2:1としたことで、車輪60と車軸61とを鋼材により形成できた。
最良の形態によれば、上記キャスター50を用いたことで、始発竪坑2側から到達竪坑3側に向けて外管路4内に下り勾配がある場合においても、内管材11が自重で到達竪坑3側に移動してしまうのを防止でき、ゴム輪28による止水部100での止水性能を良好に維持できる。
また、キャスター50は、中央部66の径より径の小さい両端部67を有した車軸61を用いたことで、両端部67を支持する支持板63を小さくできる。また、両端部67の径より径の大きい中央部66を備えた車軸61を用い、車輪60の直径と車軸61の中央部66の直径との比を2:1にしたことで、小さい径の車輪60ですべり摩擦抵抗μの大きいキャスター50を形成することができるため、内管材11と外管材6との間に粘性の小さいモルタルを充填するための図外の充填管を設置する空間を内管材11の上部と外管材6の上部との間に広く設けることができるようになる。
また、キャスター50は、中央部66の径より径の小さい両端部67を有した車軸61を用いたことで、両端部67を支持する支持板63を小さくできる。また、両端部67の径より径の大きい中央部66を備えた車軸61を用い、車輪60の直径と車軸61の中央部66の直径との比を2:1にしたことで、小さい径の車輪60ですべり摩擦抵抗μの大きいキャスター50を形成することができるため、内管材11と外管材6との間に粘性の小さいモルタルを充填するための図外の充填管を設置する空間を内管材11の上部と外管材6の上部との間に広く設けることができるようになる。
他の形態1
車輪60の直径を車軸61の直径の2倍より大きくして、式(1)を満足するμ、fを実現する材料で車輪60及び車軸61を形成してもよい。例えば、半径50mm(即ち、直径100mm)の車輪60と、同直径に形成された直径12mmの車軸61とを用い、車輪60の中心孔65の孔径を12.1mm、支持板63の軸受部64の孔径を17mmとし、上記式(1)を満足する大きなμ、fを実現できる材料で車輪60及び車軸61を形成してもよい。この場合、車軸61の直径を小さくでき車輪60の直径も小さくできるため、小さい径の車輪60でキャスター50を形成することができるので、充填管を設置する空間を内管材11の上部と外管材6の上部との間に広く設けることができるようになる。また、車軸61を同直径の丸棒状に形成できるので、車軸61を容易に形成できる。
車輪60の直径を車軸61の直径の2倍より大きくして、式(1)を満足するμ、fを実現する材料で車輪60及び車軸61を形成してもよい。例えば、半径50mm(即ち、直径100mm)の車輪60と、同直径に形成された直径12mmの車軸61とを用い、車輪60の中心孔65の孔径を12.1mm、支持板63の軸受部64の孔径を17mmとし、上記式(1)を満足する大きなμ、fを実現できる材料で車輪60及び車軸61を形成してもよい。この場合、車軸61の直径を小さくでき車輪60の直径も小さくできるため、小さい径の車輪60でキャスター50を形成することができるので、充填管を設置する空間を内管材11の上部と外管材6の上部との間に広く設けることができるようになる。また、車軸61を同直径の丸棒状に形成できるので、車軸61を容易に形成できる。
内管材の外周面に90°間隔で4つのキャスターを設けたが、1つ以上のキャスター50で外管路4内を走行させるようにすればよい。外管材6として金属管を用いてもよい。また、本発明は、古くなった既存の外管路内に内管路を形成する場合にも適用できる。
2 始発竪坑、3 到達竪坑、4 外管路、5 内管路、6 外管材、
11 内管材、25 接合部、50 キャスター(走行体)、
51 キャスター装置、60 車輪、61 車軸、62 支持材、
100 止水部、110 余裕部。
11 内管材、25 接合部、50 キャスター(走行体)、
51 キャスター装置、60 車輪、61 車軸、62 支持材、
100 止水部、110 余裕部。
Claims (4)
- 始発竪坑から到達竪坑に貫通するように形成された外管路内に始発竪坑から到達竪坑まで延長する内管路を複数の内管材を前後に繋ぎ合わせて形成する場合に、前側の内管材の後端部と後側の内管材の前端部とを接合部で互いに接合させ、内管材の外周に走行体を設けて内管材を移動させる内管材の布設方法であって、接合部は、内管材の内部と外部とを遮断する止水部と、接合状態において前後の内管材をそれぞれ前後方向に移動可能とする余裕部とを備え、走行体として、内管材が外管路内の下り勾配斜面上に位置された場合に内管材が自重で下方に移動しないように抵抗する走行体を用いたことを特徴とする内管材の布設方法。
- 走行体は、車輪と、車輪が回転可能に取付けられた車軸と、車軸が取付けられた支持材とを備え、車輪の直径、車軸の直径、車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗、車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗が、以下の式(1)を満足する値に選定されたことを特徴とする請求項1に記載の内管材の布設方法。
F=Pr
F=W×sinα
Pr=W×cosα/R×(μ×d/2+f)
W×sinα=W×cosα/R×(μ×d/2+f)・・・(1)
ただし、
F:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用するすべり力
Pr:下り勾配斜面で内管材1本当たりに作用する走行抵抗
W:内管材の質量
α:下り勾配斜面の勾配角度
R:車輪の半径
d:車軸の直径
μ:車軸と車輪との間のすべり摩擦抵抗
f:車輪と下り勾配斜面との間のころがり摩擦抵抗 - 車輪の直径と車軸の直径との比を2:1にしたことを特徴とする請求項2に記載の内管材の布設方法。
- 車輪の直径を車軸の直径の2倍よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の内管材の布設方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006091660A JP2007263310A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | 内管材の布設方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006091660A JP2007263310A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | 内管材の布設方法 |
Publications (1)
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JP2007263310A true JP2007263310A (ja) | 2007-10-11 |
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ID=38636494
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JP2006091660A Withdrawn JP2007263310A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | 内管材の布設方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007263310A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016164420A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | 株式会社栗本鐵工所 | さや管推進工法 |
-
2006
- 2006-03-29 JP JP2006091660A patent/JP2007263310A/ja not_active Withdrawn
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