JP2007262715A - 補強金物 - Google Patents

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Abstract

【課題】布基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心がズレている場合でも、離隔する両部材間を簡便、且つ確実に接合することができ、20年〜30年と長期にわたる使用においても、劣化や内部損傷(断線)等の恐れが無く、しかも簡易に製作ができる補強金物を提供すること。
【解決手段】ソケット棒22の被螺合側端部と取付棒23の被取付側端部とにはそれぞれ径大頭部22b、23bが設けられ、連結管24は前記ソケット棒22および取付棒23の径大頭部22b、23bよりも大きな内径を有し、該連結管24の内周面と前記ソケット棒22および取付棒23の径大頭部22b、23bとの間にはクリアランスが形成されるようになっており、さらに前記連結管24の両端部24a、24bが前記径大頭部22b、23bよりも径小に設けられていて、前記ソケット棒22および取付棒23の径大頭部22b、23bが前記連結管24内から抜け止め状態に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、布基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心がズレた場合でも、離隔する両部材間を接合することができる補強金物に関するものである。
従来より、木造住宅、特には木造3階建て住宅などにおいては、図3に示すように布基礎1に埋設されたアンカーボルトには、布基礎1と土台3とを結ぶアンカーボルト2’と、土台3を通って柱4に接合されるアンカーボルト2とがある。
布基礎1から土台3を通って柱4にアンカーボルト2を接合する場合には、一般に図3に示すホールダウン金物5を用いることが多い。このホールダウン金物5は、地震や台風などにより、建物に水平の力が加わったときに、建物を支える布基礎1から土台2や柱3が引き抜かれないように、土台2と柱3とを強固に緊結する補強金具であり、図3に示すように柱4に取り付けたホールダウン金物5の取付穴6に布基礎1から土台3を通って突出するアンカーボルト2をネジ止めすることで、布基礎1と土台2と柱3とが強固に緊結されることになる。
ところが、現実の建物の施工現場においては図面どおりに施工されないことがあり、布基礎1に埋設されたアンカーボルト2の土台3から突出する位置と、建物の土台3に固定した柱4の位置(柱4に取り付けたホールダウン金物5の取付穴6の位置)がズレていることがある。
このため、両部材間の位置のズレが僅かな場合には、図4に示すように、両部材間の距離のズレを補正するだけの巾を有する受け材7を柱4に取付け、この受け材7にホールダウン金物5を取り付けて、ホールダウン金物5の取付穴6にアンカーボルト2を緊結固定していた。
ところが、両部材間の位置のズレが大きな場合には、受け材の使用によるズレた距離の補正は困難なため、やむなく布基礎1に埋設されたアンカーボルト2は土台3にのみ固定し、柱4に取り付けたホールダウン金物5は土台3に連結固定するという方法が取られていた。
しかしこの場合、地震や台風などによって建物にヨコ揺れが生じると、柱に強い引き抜き力が発生し、これに伴い土台のアンカーボルトで固定した箇所と柱のホールダウン金物5を固定した部分との間には、大きな曲げ応力や剪断力が発生し、土台や柱が折れる可能性があり、建物構造を安定に維持するという点から問題であった。
そこで、基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心が大きくズレた場合でも、離隔する両部材間を接合し得るようにした接合金物が提案されている(特許文献1参照)。
この接合金物10は、図5に示すように布基礎1に埋め込まれたアンカーボルト2への接続部7と柱4に固定されたホールダウン金物5(の取付穴6)への取付部8にワイヤーロープ9の端末を挿入し圧縮止めしたものである。
特許第2952666号掲載公報
ところがこの接合金物にあっては、ワイヤーロープ9を接続手段として用いているため、ワイヤーロープ9に劣化や内部損傷(断線)等に伴う場合もあり、使用年数が20年から30年という長期間にわたる建物の強度を安全に維持できない恐れがある。またこの接合金物にあっては、ワイヤーロープの端末を接続部7と取付部8に圧縮止めしたものであり、その加工には高度の熟練を必要としていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、布基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心がズレている場合でも、離隔する両部材間を簡便、且つ確実に接合することができ、20年〜30年と長期にわたる使用においても、劣化や内部損傷(断線)等の恐れが無く、しかも簡易に製作ができる補強金物を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、布基礎に埋め込まれたアンカーボルトと柱に固定されたホールダウン金物とを接合する補強金物であって、
前記アンカーボルトに螺合するソケット棒と、
前記ホールダウン金物に取り付けられる取付棒と、
前記ソケット棒と取付棒とを連結する連結管と、からなり、
前記ソケット棒の被螺合側端部と前記取付棒の被取付側端部とが前記連結管内に抜け止め状態に遊嵌結合されていることを特徴とする補強金物をその要旨とした。
請求項2記載の発明は、ソケット棒の被螺合側端部と取付棒の被取付側端部とにはそれぞれ径大頭部が設けられ、連結管は前記ソケット棒および取付棒の径大頭部よりも大きな内径を有し、該連結管内周面と前記ソケット棒および取付棒の径大頭部との間にはクリアランスが形成されるようになっており、
さらに前記連結管両端部が前記径大頭部よりも径小に設けられていて、前記ソケット棒および取付棒の径大頭部が前記連結管内から抜け止め状態に設けられていることを特徴とする請求項1記載の補強金物をその要旨とした。
請求項3記載の発明は、ソケット棒がアンカーボルトに螺合するナット端部を有し、取付棒がホールダウン金物の取付穴に挿入固定されるネジ部を有していることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の補強金物をその要旨とした。
本発明の補強金物にあっては、アンカーボルトに螺合するソケット棒の被螺合側端部とホールダウン金物に取り付けられる取付棒の被取付側端部とが連結管内をスライド可能であり、かつ可動可能となるように、抜け止め状態に遊嵌結合されていることから、布基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心がズレた場合でも、離隔する両部材間を簡便、且つ確実に接合することができる。またこの補強金物にあっては、20年〜30年と長期にわたる使用においても、劣化や内部損傷(断線)等の恐れが無く、しかも簡易に製作ができる。
以下、本発明の補強金物について図面に示した一実施の形態に基づいてさらに詳しく説明する。図1および図2に示すように、本発明の補強金物21は、布基礎11から土台13を通って柱14にアンカーボルト12を接合する場合であって、布基礎11に埋め込まれたアンカーボルト12の軸心と柱14に取り付けたホールダウン金物15の取付穴16の軸心がズレた場合に、離隔する両部材、すなわちアンカーボルト12とホールダウン金物15(の取付穴16)との間を接合する金物であり、ソケット棒22と取付棒23と前記ソケット棒22と取付棒23とを連結する連結管24とからなる。
本発明の補強金物21におけるソケット棒22はナット端部22aを有しており、このナット端部22aが布基礎11から土台13を通って突出するアンカーボルト12に螺合するようになっている。またこのソケット棒22の他端側、すなわち被螺合側端部には径大頭部22bが設けられている。
一方、本発明の補強金物21における取付棒23はネジ部23aを有しており、ホールダウン金物15の取付穴16に挿入しナット26によって締め付け固定されるようになっている。また取付棒23の他端側、すなわち被取付側端部には径大頭部23bが設けられている。
連結管24は、上記ソケット棒22と取付棒23とを繋ぐ管部材であり、その内径は、前記ソケット棒22の被螺合側端部の径大頭部22bおよび前記取付棒23の被取付側端部の径大頭部23bとを該連結管24内に収めたとき、前記ソケット棒22および取付棒23の径大頭部22b、23bとの間にクリアランスが形成されるように、前記径大頭部22b、23bの外径よりもわずかに大きく設けられている。
また連結管24の両端部24a、24bは、前記ソケット棒22の径大頭部22bおよび前記取付棒23の径大頭部23bが管内から抜け出ないように、径大頭部22b、23bよりも径小に設けられていて、地震や台風によって柱に大きな引き抜き力が発生しても、その力に十分に対抗し、該径大頭部22b、23bが該連結管24内から抜け出ないようになっている。図示の例では、ソケット棒22の径大頭部22bおよび前記取付棒23の径大頭部23bを該連結管24内に挿入した後、連結管24の両端部24a、24bを六角形状に圧縮成形することにより、該両端部24a、24bの内径を前記径大頭部22b、23bの外径よりも径小に設けている。
次に、以上のようにソケット棒の被螺合側端部と前記取付棒23の被取付側端部とが前記連結管内に抜け止め状態に遊嵌結合された補強金物21を用い、布基礎に埋め込まれたアンカーボルトの軸心と柱に取り付けられたホールダウン金物の取付穴の軸心がズレた場合について、アンカーボルトとホールダウン金物とを接合する作業について説明する。
まず、図1に示すように、布基礎11から土台13を通って突出するアンカーボルト12にソケット棒22のナット端部22aを螺合させる。
次いで、ソケット棒22および前記取付棒23は、ソケット棒22および前記取付棒23の径大頭部22b、23bと連結管24の内周面との間に形成されるクリアランスの分だけ、図2中矢印C、Dで示すように連結管24に対して回動可能となっていることから、ナット端部22aの螺合によりアンカーボルト12の軸方向に向くソケット棒22に繋がる連結管24を柱14に固定されたホールダウン金物15の取付穴16の位置に向けて傾斜させる。
次いで、ソケット棒22および前記取付棒23の径大頭部22b、23bを、図2中矢印A、Bで示すように連結管24内をスライドさせて、柱14に固定されたホールダウン金物15の取付穴16の位置に取付棒23のネジ部23aが位置するように該補強金物21の長さ調節を行う。
次いで、取付棒23を図2中矢印Dで示すように連結管24に対して回動させて、取付棒23の角度を取付穴16に挿入方向に合わせ、この後、取付棒23のネジ部23aをホールダウン金物15の取付穴16に挿入しナット26によって締め付け固定する。この際、取付穴16とナット26との間に傾斜面を有するワッシャー25を介在させて傾斜角度を調整することもでき、これにより、よりスムーズ、且つ確実なナット26の締め付けが可能となる。
本発明の補強金物を構成するソケット棒、取付棒および連結管の素材としては、地震や台風などによって建物にヨコ揺れが生じたときに柱に加わる応力にも十分に耐え得るものであるならば特に限定されず、鉄、鋼、アルミなどの金属類や、ABSなどの硬質プラスチックといった素材を用いることができる。また、本発明の補強金物を構成するソケット棒、取付棒および連結管の構造についても、地震や台風などによって建物にヨコ揺れが生じたときに柱に加わる応力に十分に耐え得るものであるならば特に限定されない。
尚、本発明の補強金物にあっては、上に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で自由に変更して実施することができる。
本発明による補強金物を建造物に適用した例を示す斜視図。 本発明の補強金物を示す拡大断面図。 従来の建造物において軸心のズレがない場合のアンカーボルトと柱のホールダウン金物との接合形態を示す斜視図。 従来の建造物において僅かな軸心のズレがある場合のアンカーボルトと柱のホールダウン金物との接合形態を示す斜視図。 従来の建造物において大きな軸心のズレがある場合のアンカーボルトと柱のホールダウン金物との接合形態を示す斜視図。
符号の説明
11 ・・・布基礎
12 ・・・アンカーボルト
13 ・・・土台
14 ・・・柱
15 ・・・ホールダウン金物
16 ・・・取付穴
22 ・・・ソケット棒
22a・・・ナット端部
22b・・・径大頭部
23 ・・・取付棒
23a・・・ネジ部
23b・・・径大頭部
24 ・・・連結管
24a、24b・・・端部
25 ・・・ワッシャー
26 ・・・ナット

Claims (3)

  1. 布基礎に埋め込まれたアンカーボルトと柱に固定されたホールダウン金物とを接合する補強金物であって、
    前記アンカーボルトに螺合するソケット棒と、
    前記ホールダウン金物に取り付けられる取付棒と、
    前記ソケット棒と取付棒とを連結する連結管と、からなり、
    前記ソケット棒の被螺合側端部と前記取付棒の被取付側端部とが前記連結管内に抜け止め状態に遊嵌結合されていることを特徴とする補強金物。
  2. ソケット棒の被螺合側端部と取付棒の被取付側端部とにはそれぞれ径大頭部が設けられ、連結管は前記ソケット棒および取付棒の径大頭部よりも大きな内径を有し、該連結管内周面と前記ソケット棒および取付棒の径大頭部との間にはクリアランスが形成されるようになっており、
    さらに前記連結管両端部が前記径大頭部よりも径小に設けられていて、前記ソケット棒および取付棒の径大頭部が前記連結管内から抜け止め状態に設けられていることを特徴とする請求項1記載の補強金物。
  3. ソケット棒がアンカーボルトに螺合するナット端部を有し、取付棒がホールダウン金物の取付穴に挿入固定されるネジ部を有していることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の補強金物。
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