JP2007260776A - 金錫合金ハンダペースト及び該ペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法 - Google Patents

金錫合金ハンダペースト及び該ペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンダ付け終了後の残渣が少なく、それによりハンダ付け後の洗浄を必要としない。濡れ性が良好であって、しかも絶縁信頼性が損なわれない。金錫合金からなり、ハンダ溶融の際、フラックスが揮発した後に露出するハンダを酸化から防止することが可能なペーストを提供する。
【解決手段】フラックスと金錫合金ハンダ粉末を混合させた金錫合金ハンダペーストの改良であり、ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆したことを特徴とする。また、フラックス中に水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤、イソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤及び低粘性溶剤をそれぞれ含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハンダ付け終了後の残渣が少ない金錫合金ハンダペースト及びこのペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法に関する。
従来のリフローハンダ付け工法に用いるハンダペーストは、ハンダ微粒子と、ロジンと、低粘性の溶剤と、活性剤等を配合していた。しかし、従来のハンダペーストを使ったリフローハンダ付け工法では、リフロー後にロジン成分がハンダ付け部にフラックス残渣として大量に残留するため、このフラックス残渣を洗浄液によって洗浄除去する必要があった。洗浄液としては一般的にはアルコール系やグリコール系の溶剤で洗浄していた。
しかし最近では電子部品への実装が高密度になるにつれて、残渣を十分に洗浄除去することが困難になってきており、また実装コスト低下及び環境負荷の問題から溶剤による洗浄工程を省略する動きが活発になっているため、リフロー後に洗浄を行う必要がない、無残渣ハンダペーストが要望され、またその研究開発が進行している。具体的には、少なくとも水酸基官能基を1分子に2個有する有機物質を含み、空気又は窒素ガス雰囲気流量を200ml/min、温度上昇率を10℃/minとしたときのサーマルグラビメトリ法による測定で、その質量%が略0%となる時の温度が略170℃以上で、かつ、ハンダの固相線温度以上であるハンダ付け用フラックスと、ハンダ粉と、少なくとも水酸基官能基を1分子に3個有する有機物質を含み、空気又は窒素ガス雰囲気流量を200ml/min、温度上昇率を10℃/minとした時のサーマルグラビメトリ法による測定で、その質量%が略0%となる時の温度が略235℃以上で、かつ、ハンダの固相線温度以上である溶剤とからなるハンダペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示されるハンダ付け用フラックス並びにハンダペーストを用いることにより、ハンダが溶融し始める温度では、分解もしくは蒸発されないでハンダ部に液体状に存在するため、濡れの状態を実現でき、かつ、ハンダ付け工程終了時には、フラックス全てが蒸発もしくは分解・蒸発することにより残渣が発生しないハンダ付けを行うことができる。従って、後工程の洗浄を必要としない。
また、亜鉛を含むハンダ合金の粉末を有するソルダペーストにおいて、前記ハンダ合金の粉末粒子の表面を、防錆剤又は他の金属でコーティングしたことを特徴とするソルダペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に示されるソルダペースト組成物では、ハンダ合金中のハンダが活性剤などと反応して、ハンダ付き性が低下したり、ソルダペーストの安定性が劣化することがなく、ハンダ付け性や保存安定性に優れたソルダペーストとすることができる。
特開平9−94691号公報(請求項1、請求項10、段落[0009]及び[0100]) 特開平9−1382号公報(請求項1、段落[0016])
しかしながら、上記特許文献1に示されるハンダペーストの連続印刷性を更に向上させるためには、粘稠成分を添加することが考えられるが、活性力のない粘稠成分を添加していくと、濡れ性が劣化していく問題がある。粘稠成分の添加による濡れ性の劣化防止策としては、活性剤を微量添加することで、濡れ性が改善できる。しかし、活性剤としてハロゲン系材料やアミン系材料を添加した場合、絶縁信頼性が劣化してしまう。また、活性剤として蒸発型の材料を選定しても反応生成物が絶縁信頼性を低下させるため、連続印刷性を向上させるためには、適正な活性剤の選定が必要であった。
また、上記特許文献2に示されるソルダペースト組成物では、ハンダ付け性や保存安定性について一定の効果が発揮されているが、亜鉛を含むハンダ合金の粉末以外のその他のハンダ合金については考慮されておらず、また、ハンダ付け後に生じる後工程の洗浄についても検討されていない。
本発明の第1の目的は、従来の一般的なロジン入りハンダペーストと異なり、ハンダ付け終了後の残渣が少なく、それによりハンダ付け後の洗浄を必要としない金錫合金ハンダペースト及びこのペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記文献1と異なり、濡れ性が良好であって、しかも絶縁信頼性が損なわれない金錫合金ハンダペースト及びこのペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記文献2に記載された亜鉛を含まない、金錫合金からなり、ハンダ溶融の際、フラックスが揮発した後に露出するハンダを酸化から防止することが可能な金錫合金ハンダペースト及びこのペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、フラックスと金錫合金ハンダ粉末を混合させた金錫合金ハンダペーストの改良である。その特徴ある構成は、ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆したところにある。
請求項1に係る発明では、ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆することで、ハンダ溶融の際、フラックスが揮発した後に露出するハンダを酸化から防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金錫合金ハンダ粉末粒子表面の金錫合金以外の他の金属による被覆が金錫合金ハンダ粉末粒子表面を金により被覆するか又は金錫合金ハンダ粉末粒子表面をニッケルにより被覆し、この被覆ニッケルを金により被覆する金錫合金ハンダペーストである。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆する防錆剤がイミダゾール系、トリアゾール系又は脂肪酸アミン系である金錫合金ハンダペーストである。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆するキレート剤がエチレンジアミン3酢酸(以下、EDTAという。)及びその誘導体、プロピレンジアミン3酢酸(以下、PDTAという。)及びその誘導体である金錫合金ハンダペーストである。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、ハンダ溶融前に添加フラックス成分の50〜90重量%が揮発する金錫合金ハンダペーストである。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、ハンダ溶融後にその成分の残渣分が添加フラックス重量の1%未満である金錫合金ハンダペーストである。
請求項7に係る発明は、請求項1に係る発明であって、フラックス中に水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤、イソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤及び低粘性溶剤をそれぞれ含有する金錫合金ハンダペーストである。
請求項7に係る発明では、フラックス中にロジンや高分子樹脂材料等の成分を含むハンダペーストに対して一般に用いられる低粘性溶剤に加えて、水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤とイソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤の双方を組合せて使用することにより、ロジンを全く使用せずに、フラックスに最適な粘着特性、濡れ性及びチキソ性を付与することができる。従って、従来添加していたロジンや高分子樹脂材料等の成分を起因とする残渣を生成することなく、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができ、ハンダ付け後の洗浄工程を省くことが可能となる。また絶縁信頼性が損なわれることもない。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明であって、還元性固体活性剤の含有量がフラックス全体量100重量%に対して5〜60重量%である金錫合金ハンダペーストである。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に係る発明であって、還元性固体活性剤に用いる糖類がエリトリトール、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース、ソルビトール、ラクトース、スクロース、キシリトール、ヘキシトール、マルチトール、ラクチトール、リビトール及びマンニトールからなる群より選ばれた1種の化合物又は2種以上の混合物である金錫合金ハンダペーストである。
請求項9に係る発明では、上記列挙した化合物又は混合物は適度な増粘性が得られ、良好な濡れ性を発現する。また、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣の発生を低減することができる。
請求項10に係る発明は、請求項7に係る発明であって、イソボルニル基を有する化合物がイソボルニルシクロヘキサノール又はイソボルニルフェノールのいずれか一方又はその双方である金錫合金ハンダペーストである。
請求項10に係る発明では、上記列挙した化合物は適度な粘着性が得られる。また、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣の発生を低減することができる。
請求項11に係る発明は、請求項7に係る発明であって、低粘性溶剤の含有量がフラックス全体量100重量%に対して20〜70重量%であって、低粘性溶剤がアルカンジオール、アルキレングリコール、炭化水素、テルペン及びエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む金錫合金ハンダペーストである。
請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明であって、低粘性溶剤が2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラデカン、α−テルピネオール、ジベンジルエーテル、p−ドデシルフェノール、2−ノニルフェノール及び2−フェノキシエタノールからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む金錫合金ハンダペーストである。
請求項11及び12に係る発明では、上記列挙した化合物は低粘性溶剤のなかでも本発明のハンダペーストを構成するフラックスの粘度調整として好適である。また、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣の発生を低減することができる。
請求項13に係る発明は、請求項1に係る発明であって、フラックスがチキソ剤を更に含み、チキソ剤の添加量がフラックス全体量100重量%に対して25重量%以下であって、チキソ剤が脂肪酸アミドである金錫合金ハンダペーストである。
請求項13に係る発明では、その用途に併せてチキソ剤を上記範囲内で更に含ませてもよい。
請求項14に係る発明は、請求項13に係る発明であって、チキソ剤がステアリン酸アミドである金錫合金ハンダペーストである。
請求項15に係る発明は、請求項1ないし14いずれか1項に係る発明であって、ハンダ溶融温度が350℃以下である金錫合金ハンダペーストである。
請求項16に係る発明は、請求項1ないし15いずれか1項に係る発明であって、フラックス粘度が50〜350Pa・sである金錫合金ハンダペーストである。
請求項16に係る発明では、フラックスの粘度を上記範囲内にすることで様々な用途に適したペーストが得られる。
請求項17に係る発明は、請求項1ないし16いずれか1項に記載の金錫合金ハンダペーストを基板の接合位置に塗布した後、電子部品をハンダペーストを介して基板に搭載し、ハンダペーストを介して電子部品を搭載した基板を予備加熱し、続けて本加熱し、その後冷却することにより、基板に電子部品を接合することを特徴とする電子部品搭載基板の製造方法である。
本発明の金錫合金ハンダペーストは、ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆することで、ハンダ溶融の際、フラックスが揮発した後に露出するハンダを酸化から防止することができる。
また、本発明の金錫合金ハンダペーストは、フラックス中にロジンや高分子樹脂材料等の成分を含むハンダペーストに対して一般に用いられる低粘性溶剤に加えて、水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤とイソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤の双方を組合せて使用することにより、ロジンを全く使用せずに、フラックスに最適な粘着特性及びチキソ性を付与することができる。従って、従来添加していたロジンや高分子樹脂材料等の成分を起因とする残渣を生成することなく、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができ、ハンダ付け後の洗浄工程を省くことが可能となる。また、印刷に適した粘度を得ることができ、実装時にその粘着性ゆえに実装部品を同位置に留めることができる。またフラックス自体が粘稠性を有するため、ロジンや高分子樹脂材料等の粘稠成分を添加する必要がなく、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができる。更に、本発明の電子部品搭載基板の製造方法は、ハンダ付け後の残渣が少ない本発明の金錫合金ハンダペーストを使用しているため、ハンダ付け後の洗浄工程を必要としない。そのため、部品自体の形状が複雑であり、完全に洗浄することが難しい部品や、接合後に洗浄できない封止部品であっても基板に接合することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の金錫合金ハンダペーストは、フラックスと金錫合金ハンダ粉末を混合させたハンダペーストの改良である。金錫合金とは、金及び錫を主成分として含み、残部が不可避不純物で構成された合金をいい、本発明で使用される金錫合金としては、金の含有量が70〜85重量%、錫の含有量が15〜30重量%の割合で配合された合金が好ましい。その特徴ある構成は、ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆したところにある。ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆することで、ハンダ溶融の際、フラックスが揮発した後に露出するハンダを酸化から防止することができる。
金錫合金ハンダ粉末粒子表面の金錫合金以外の他の金属による被覆としては、金錫合金ハンダ粉末粒子表面を金により被覆するか又は金錫合金ハンダ粉末粒子表面をニッケルにより被覆し、この被覆ニッケルを金により被覆することが好ましい。金錫合金以外の他の金属による被覆では、無電解めっき法、触媒を用いた無電解めっき法、置換めっき法、バレルめっき法などの方法により行われる。バレルめっき法とは対象となる粉末を回転容器の中に入れて行う電気めっき法である。金により被覆する場合では、0.1〜1μmの厚さ、好ましくは0.1〜0.5μmの厚さとすることが好適である。また、ニッケルにより被覆し、この被覆ニッケルを金により被覆する場合では、ニッケルによる被覆を0.1〜1μmの厚さとし、金による被覆を0.1〜1μmの厚さ、好ましくは0.1〜0.5μmの厚さとすることが好適である。
金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆する防錆剤としては、イミダゾール系、トリアゾール系又は脂肪酸アミン系が挙げられる。イミダゾール系の防錆剤としては、イミダゾール、メチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなどが挙げられ、トリアゾール系の防錆剤としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。また脂肪酸アミン系としては、天然油脂誘導体のアルキルアミン、アルキルジアミン、アルキルアミドなどが挙げられる。金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆するキレート剤としては、EDTA及びその誘導体、PDTA及びその誘導体が挙げられる。防錆剤、キレート剤により金錫合金ハンダ粉末粒子表面に被覆する方法としては、フラックスに上記防錆剤又はキレート剤を所定量添加混合し、混合物と金錫合金ハンダ粉末を混合することによりハンダ粉末粒子表面に防錆剤又はキレート剤を被覆する方法が好ましい。
本発明の金錫合金ハンダペーストは、フラックス中に水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤、イソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤及び低粘性溶剤をそれぞれ含有することが好ましい。本発明において、「高粘性溶剤」とは、室温付近における粘度が10Pa・s〜100Pa・sを呈するものをいい、「低粘性溶剤」とは、室温付近における粘度が1mmPa・s〜500mmPa・sを呈するものをいう。なお本発明でいう室温付近とは20〜30℃を表現するものである。フラックス中にロジンや高分子樹脂材料等の成分を含むハンダペーストに対して一般に用いられる低粘性溶剤に加えて、上記還元性固体活性剤と上記高粘性溶剤の双方を組合せて使用することにより、ロジンを全く使用せずに、フラックスに最適な粘着特性、濡れ性及びチキソ性を付与することができる。従って、従来添加していたロジンや高分子樹脂材料等の成分を起因とする残渣を生成することなく、ハンダ付け終了後の残渣を低減することができ、ハンダ付け後の洗浄工程を省くことが可能となる。また絶縁信頼性が損なわれることもない。また、フラックスに含まれる各成分は低沸点の成分を使用しているため、比較的低温でフラックス成分を揮発させることができ、金錫合金ハンダペーストとして使用する際に、ハンダ溶融後に揮発ガス成分が内部に残存し、ハンダ内の空隙となるボイドが少なくなる特徴を有する。更に、ハンダ溶融前のプレヒート時には添加フラックス成分の50〜90重量%が揮発し、ハンダ溶融後にはほぼ100%が揮発し、フラックス起因の残渣分が添加フラックス重量の1%未満となるので、フラックス成分を起因とする残渣をほとんど生じることがなく、ハンダ付け終了後に洗浄を要しない。
水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤は、リフローハンダ付け時にロジンと同じような還元作用を示すので、フラックスの濡れ性を向上させることができる。還元性固体活性剤に含まれる糖類を水酸基を4〜6個有するものとしたのは、水酸基の数が4個未満であると、活性力不足となって、濡れ性が低下し、水酸基の数が6個を越えると、分子量が大きくなり、化合物の沸点が高くなりすぎてしまい、ハンダ付け終了後において、残渣を生じてしまうためである。糖類としては、エリトリトール、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース、ソルビトール、ラクトース、スクロース、キシリトール、ヘキシトール、マルチトール、ラクチトール、リビトール及びマンニトールからなる群より選ばれた1種の化合物又は2種以上の混合物が挙げられる。上記列挙した糖類は適度な増粘性を有するため、フラックスに適度な粘着性及び適度なチキソ性を与える。また、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣を低減することができる。フラックス中の還元性固体活性剤の含有量は全体量100重量%に対して5〜60重量%が好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。還元性固体活性剤の含有量が10重量%未満であると、活性力不足となって、濡れ性が低下し、還元性固体活性剤の含有量が60重量%を越えると、ハンダ粉末とフラックスを混合し、ペースト化してからのペーストが取扱い難くなり、また還元性固体活性剤は高沸点材料であるため、必要以上の含有割合によってハンダ付け終了後において残渣が生じてしまい、洗浄が必要となる。所定の平均粒子径を有する還元性固体活性剤を高粘性溶剤及び低粘性溶剤に分散させることで適度な濡れ性が得られる。還元性固体活性剤の平均粒子径は0.1〜200μmが好ましく、1〜30μmが特に好ましい。下限値未満では高粘性溶剤及び低粘性溶剤中で凝集してしまうため、リフロー後に残渣が発生するおそれがあり、上限値を越えると高粘性溶剤及び低粘性溶剤に還元性固体活性剤が分散せず、フラックス中に沈降してしまう不具合を生じる。
高粘性溶剤に含まれる化合物をイソボルニル基を有するものとしたのは、イソボルニル基が有する複雑な立体構造からフラックス中に適度な粘着性を与えるためである。また、イソボルニル基を有する化合物は、揮発温度がハンダ溶融温度以下であるにも関わらず、高い粘性を有するため、フラックスの高粘度化が実現できるためである。イソボルニル基を有する化合物としては、イソボルニルシクロヘキサノール又はイソボルニルフェノールのいずれか一方又はその双方が挙げられる。上記列挙した化合物は適度な粘着性を有するため、フラックスに適度な粘着性を与える。また、無洗浄用ハンダを使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣を低減することができる。フラックス中の高粘性溶剤の含有量は全体量100重量%に対して10〜60重量%が好ましく、20〜40重量%が特に好ましい。高粘性溶剤の含有量が10重量%未満であると、フラックスが適度な粘度及び粘着性を有することができなくなり、高粘性溶剤の含有量が60重量%を越えると、フラックスが強粘着性を呈してしまうために、ペースト塗布時に印刷用スキージでの掻き取り性が悪くなり、版上に残留して材料ロス量が多くなる。
低粘性溶剤は、従来の一般的なロジン入りハンダペーストにも使用されており、適正な流動特性が得られるように粘度調整する目的で含有される。低粘性溶剤の含有量は全体量100重量%に対して20〜70重量%が好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。本発明の金錫合金ハンダペーストを構成するフラックス成分として低粘性溶剤に使用されるものとしてはアルカンジオール、アルキレングリコール、炭化水素、テルペン及びエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上が好適である。上記種類の中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラデカン、α−テルピネオール、ジベンジルエーテル、p−ドデシルフェノール、2−ノニルフェノール及び2−フェノキシエタノールが特に好ましい。上記列挙した化合物は低粘性溶剤のなかでも本発明のハンダペーストを構成するフラックスの粘度調整として好適である。また、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとして適当な沸点を示すため、ハンダ付け終了後において、残渣の発生を低減することができる。
また高粘性溶剤及び低粘性溶剤として、還元性固体活性剤よりも低温で揮発可能な物質を使用することで、このフラックスを用いたハンダペーストを溶融した際には高粘性溶剤及び低粘性溶剤は還元性固体活性剤よりも先に揮発し、濡れ性を発現する還元性固体活性剤のみが残るので、ハンダ溶融時のガス発生量を抑えられ、ボイドの原因となる揮発ガスの低減が可能となる。
本発明の金錫合金ハンダペーストでは、その用途に併せてフラックスにチキソ剤を更に含んでもよい。その際のチキソ剤の添加量はフラックス全体量100重量%に対して25重量%以下が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。添加するチキソ剤としては脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸アミドの具体例としてはステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。ステアリン酸アミドが安定性が高く、無洗浄用ハンダに使用するフラックスとしてより適当な沸点を示すため好ましい。
次に、本発明の金錫合金ハンダペーストの製造方法を説明する。
金錫合金ハンダ粉末粒子表面を金錫合金以外の他の金属を被覆する場合、フラックスの作製前に、金錫合金ハンダ粉末にめっき法などにより金錫合金以外の他の金属を被覆しておく。続いて他の金属で被覆した金錫合金粉末とフラックスとを混合することにより、ハンダ粉末粒子表面を金錫合金以外の他の金属により被覆した本発明の金錫合金ハンダペーストが得られる。また、金錫合金ハンダ粉末粒子表面を防錆剤又はキレート剤により被覆する場合には、別途作製したフラックスに防錆剤又はキレート剤を所定の割合で添加混合しておく。続いて、金錫合金粉末と防錆剤又はキレート剤を所定の割合で添加混合したフラックスとを混合することにより、ハンダ粉末粒子表面を防錆剤又はキレート剤により被覆した本発明の金錫合金ハンダペーストが得られる。フラックスの作製方法は従来より一般的に知られている方法でよい。フラックスと金錫合金粉末の混合は攪拌機又は混練により行うことが好ましい。
なお、ハンダ粉末粒子表面にキレート剤を被覆したハンダ粉末を用いたハンダペーストを製造する際に、使用するキレート剤の種類によってフラックス成分の溶剤に対する溶解性が低い場合には、先ず、溶剤にキレート剤を添加して、キレート剤分散液を調製した後に、このキレート剤分散液を用いてフラックスを作製すればよい。
本発明の金錫合金ハンダペーストは、フラックスの粘度が50〜350Pa・sの範囲内とすることが好ましく、30〜250Pa・sが特に好ましい。フラックスの粘度を上記範囲内にすることで様々な用途に適したペーストが得られる。フラックスの粘度が下限値未満ではペーストが分離する不具合を生じ、上限値を越えると、流動性に劣るため、塗布性が悪くなる不具合を生じる。本発明の金錫合金ハンダペーストでは、フラックスが上記範囲内であれば含有成分割合を調整することで容易に粘度の調整を行うことが可能であるため、印刷法やディスペンス法など工法にあわせて使用することができる。具体的にはディスペンス法では10〜100Pa・sが特に好ましく、印刷法では50〜250Pa・sが特に好ましい。
また、ハンダ溶融温度は350℃以下であることが好ましく、200℃〜350℃がより好ましく、280℃〜330℃が特に好ましい。本発明のハンダペーストの粘度は40〜350Pa・sの範囲内にすることで様々な用途に適したペーストが得られるため好適である。本発明のハンダペーストはCu、コバール、42アロイ、セラミックス等の基板にNiやAu等のメッキが施されたものの接合に特に好適に用いられる。
上記金錫合金ハンダペーストを用いた電子部品搭載基板の製造方法を説明する。
先ず、上記本発明の金錫合金ハンダペーストを基板の接合位置に塗布した後、電子部品をハンダペーストを介して基板に搭載する。ハンダ付けを行う基板や電子部品は、特に限定されるものではないが、中でも、Cu、コバール、42アロイ、セラミックスなどにNiめっきやAuめっきが施されているものが好適である。また電子部品として、高耐食性が好まれるようなICチップや部品自体の形状が複雑で完全には洗浄することが難しい部品、洗浄工程が導入できない封止用部品などでも使用することができる。例えば、RFモジュール、光ピックアップなどをはじめとしたチップであったり、リッドと呼ばれる封止用部品蓋等が例示される。
次いで、ハンダペーストを介して電子部品を搭載した基板を予備加熱する。この予備加熱によりハンダペーストに含まれるフラックスの活性力が高められる。予備加熱条件としては、100〜250℃の温度で15〜60秒間の保持が好適である。中でも、150〜180℃の温度で60秒間の保持が特に好ましい。次に、予備加熱を終えた基板を続いて本加熱する。この本加熱により、合金粉末が溶融し、かつフラックスが残渣として残留しないように完全に揮発される。本加熱条件としては、320〜330℃の温度で30〜90秒間の保持が好適である。中でも、320〜330℃の温度で60秒間の保持が特に好ましい。予備加熱及び本加熱は、例えば5L/分の窒素フローの下で、酸素濃度が100ppm以下に制御された雰囲気で行うことが好適である。次に、本加熱を終えた基板を冷却する。冷却条件は、室温〜150℃である。以上の工程を経ることにより、基板に電子部品を接合した電子部品搭載基板を製造することができる。本発明の電子部品搭載基板の製造方法では、ハンダ付け後の残渣が少ないハンダペーストを使用しているため、洗浄工程を必要としない。そのため、部品自体の形状が複雑であり、完全に洗浄することが難しい部品や、接合後に洗浄できない封止部品であっても基板に接合することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
ハンダ粉末として、錫及び金を主成分とし、錫含有量が20重量%の金錫合金粉末を用意した。この金錫合金粉末は平均粒子径が15〜50μmである。この金錫合金粉末には事前に前処理洗浄を施した。また次の表1に示す配合1のフラックスを用意した。用意した配合1のフラックスを粘度計により25℃における粘度を測定したところ、15Pa・sであった。
この金錫合金粉末に対し、無電解Niめっき法により金錫合金粉末に0.1〜1μmの厚さでNiを被覆した。続いて、触媒を用いた無電解Auめっき法によりNi被覆した金錫合金粉末に0.1〜1μmの厚さでAuを被覆した。被覆後は金錫合金粉末を水洗し、回収した後に乾燥させてコーティング粉末とした。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金コーティング粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例2>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合1のフラックスをそれぞれ用意した。次いでこの金錫合金粉末に対し、無電解Niめっき法により金錫合金粉末に0.1〜1μmの厚さでNiを被覆した。続いてバレルめっき法によりNi被覆の金錫合金粉末に0.1〜1μmの厚さでAuを被覆した。被覆後は金錫合金粉末を水洗し、回収した後に乾燥させてコーティング粉末とした。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金コーティング粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例3>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合1のフラックスをそれぞれ用意した。次いでこの配合1のフラックスに、防錆剤としてアゾール系化合物であるウンデシルイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製;C11Z)を混合した。混合割合はフラックス100重量%に対して防錆剤0.1重量%の割合とした。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させた防錆剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例4>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合1のフラックスをそれぞれ用意した。次いでこの配合1のフラックスに、防錆剤として脂肪酸アミン系化合物であるN−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパン(ライオンアクゾ株式会社製;デュオミンCD)を混合した。混合割合はフラックス100重量%に対して防錆剤0.1重量%の割合とした。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させた防錆剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例5>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合1のフラックスをそれぞれ用意した。次いでこの配合1のフラックスに、キレート剤としてEDTAの誘導体(キレスト株式会社製;MZ−4A)を混合した。混合割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合とした。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例6>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末を用意した。次いで低粘性溶剤である2−エチル−1,3−ヘキサンジオールにキレート剤としてPDTAの誘導体であるN−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス株式会社製;テークランDO)を分散させて分散液を調製した。添加割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合となるように調整した。次に、この分散液を低粘性溶剤として表1に示す配合1の割合となるようにフラックスを調製した。次に、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例7>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合2のフラックスをそれぞれ用意した。用意した配合2のフラックスを粘度計により25℃における粘度を測定したところ、25Pa・sであった。次いでこの配合2のフラックスに、キレート剤としてEDTAの誘導体(キレスト株式会社製;MZ−4A)を混合した。混合割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合とした。次に、配合2のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例8>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末を用意した。次いで低粘性溶剤である2−エチル−1,3−ヘキサンジオールにキレート剤としてPDTAの誘導体であるN−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス株式会社製;テークランDO)を分散させて分散液を調製した。添加割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合となるように調整した。次に、この分散液を低粘性溶剤として表1に示す配合2の割合となるようにフラックスを調製した。次に、配合2のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例9>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末を用意した。次いで低粘性溶剤である2−エチル−1,3−ヘキサンジオールにキレート剤としてPDTAの誘導体であるN−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス株式会社製;テークランDO)を分散させて分散液を調製した。添加割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合となるように調整した。次に、この分散液を低粘性溶剤として表1に示す配合3の割合となるようにフラックスを調製した。調製した配合3のフラックスを粘度計により25℃における粘度を測定したところ、30Pa・sであった。次に、配合3のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<実施例10>
先ず、実施例1で使用した金錫合金粉末を用意した。次いで低粘性溶剤である2−エチル−1,3−ヘキサンジオールにキレート剤としてPDTAの誘導体であるN−アルケニルプロピレンジアミン3酢酸(ナガセケムテックス株式会社製;テークランDO)を分散させて分散液を調製した。添加割合はフラックス100重量%に対してキレート剤0.1重量%の割合となるように調整した。次に、この分散液を低粘性溶剤として表1に示す配合4の割合となるようにフラックスを調製した。調製した配合4のフラックスを粘度計により25℃における粘度を測定したところ、50Pa・sであった。次に、配合4のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合することにより、金錫合金粉末にフラックス中に混合させたキレート剤を被覆して金錫合金ハンダペーストを得た。
<比較例1>
実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合1のフラックスをそれぞれ用意し、配合1のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。即ち、ペースト中の金錫合金粉末には被覆処理は施されていない。
<比較例2>
実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合2のフラックスをそれぞれ用意し、配合2のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。即ち、ペースト中の金錫合金粉末には被覆処理は施されていない。
<比較例3>
実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合3のフラックスをそれぞれ用意し、配合3のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。即ち、ペースト中の金錫合金粉末には被覆処理は施されていない。
<比較例4>
実施例1で使用した金錫合金粉末と次の表1に示す配合4のフラックスをそれぞれ用意し、配合4のフラックスをフラックスの含有割合がペースト全体量100重量%に対して10重量%となるように金錫合金粉末と混合して金錫合金ハンダペーストを得た。即ち、ペースト中の金錫合金粉末には被覆処理は施されていない。
<比較試験1>
実施例1〜10及び比較例1〜4で得られた金錫合金ハンダペーストを用いて以下に示すように評価試験を行った。先ず、内部を約5L/分の割合で窒素をフローさせ、内部雰囲気の酸素濃度を100ppm以下に制御したグローブボックス中に2台のホットプレートを設置した。この2台のホットプレートは、一方がフラックスの活性力を高めるために使用する予備加熱用であり、他方が合金粉末を溶融することと、フラックスの成分が残渣として残留しないように完全に揮発させるために使用する本加熱用である。次に、表面にAuめっきが施されたCu基板を用意し、この基板を厚さ0.2mm、200μmφから2mmφまで段階的に大きさが異なる複数の連通孔を有するメタルマスクで覆い、メタルマスク上にハンダペーストを所定量のせた後、メタルマスク上でスキージをスライドさせてハンダペーストを複数の連通孔内に埋めた後、基板上からメタルマスクを取除くことで、基板にスクリーン印刷を施した。
次に、150℃〜152℃に加熱した予備加熱用ホットプレート上にペーストを印刷した基板を載置して30〜60秒間予備加熱を施し、続いて基板を320℃〜322℃に加熱した本加熱用ホットプレート上に載置して30〜90秒間本加熱を施した。基板上に塗布したハンダの溶融状態を目視により確認した後、基板を本加熱用ホットプレートから下ろして室温にまで冷却した。冷却後の基板表面を実体顕微鏡及び低倍率のカメラを用いて基板表面における濡れ性及び残渣性の状態を目視により観察した。
濡れ性は、目視による溶け残りの有無の確認及びハンダ溶融前後のサイズの変化により観察した。具体的には、塗布当初の面積を100%としたときの、溶融後の面積をパーセンテージで表し、溶融後の面積が150%以上であるとき「優」の評価とし、溶融後の面積が120%以上150%未満であるとき「良」の評価とし、溶融後の面積が100%以上120%未満であるとき「可」の評価とした。
残渣性は、基板表面を実体顕微鏡及び低倍率のカメラを用いて目視により観察した。具体的には、フラックスの残渣が皆無か、或いはほとんど見られないとき「優」の評価とし、無色又は淡黄色の少量のフラックス残渣が見られるとき「良」の評価とし、金属光沢を損なう灰色の残渣が少量見られるとき「可」の評価とし、灰色又は黒色の残渣が大量に見られるとき「不可」の評価とした。
また、ペーストの保管安定性を評価するため、実施例1〜10及び比較例1〜4で得られた金錫合金ハンダペーストをそれぞれ1ヶ月間保管した。この保管したペーストについて上記と同様にして基板にスクリーン印刷して、予備加熱及び本加熱を施し、基板表面における濡れ性の状態を目視により観察した。この結果を濡れ性経時後の評価とした。表2に実施例1〜実施例10及び比較例1〜4のハンダペーストの評価試験結果をそれぞれ示す。
表2より明らかなように、ハンダ粉末粒子表面に対して何も被覆処理を施していない比較例1〜4に比べて、本発明の被覆処理を施した実施例1〜10では、優れた濡れ性を有し、かつ残渣性の評価も高く、洗浄を施す必要がないレベルであった。また、濡れ性経時後の評価についても、作製直後のペーストを用いた濡れ性と遜色ない結果となっており、本発明のハンダペーストは保管安定性にも優れていることが判った。

Claims (17)

  1. フラックスと金錫合金ハンダ粉末を混合させた金錫合金ハンダペーストにおいて、
    前記ハンダ粉末粒子表面を、金錫合金以外の他の金属、防錆剤又はキレート剤により被覆したことを特徴とする金錫合金ハンダペースト。
  2. 金錫合金ハンダ粉末粒子表面の金錫合金以外の他の金属による被覆が金錫合金ハンダ粉末粒子表面を金により被覆するか又は金錫合金ハンダ粉末粒子表面をニッケルにより被覆し、この被覆ニッケルを金により被覆する請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  3. 金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆する防錆剤がイミダゾール系、トリアゾール系又は脂肪酸アミン系である請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  4. 金錫合金ハンダ粉末粒子表面を被覆するキレート剤がエチレンジアミン3酢酸及びその誘導体、プロピレンジアミン3酢酸及びその誘導体である請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  5. ハンダ溶融前に添加フラックス成分の50〜90重量%が揮発する請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  6. ハンダ溶融後にその成分の残渣分が添加フラックス重量の1%未満である請求項1ないし4いずれか1項に記載の金錫合金ハンダペースト。
  7. フラックス中に水酸基を4〜6個有する糖類を含む還元性固体活性剤、イソボルニル基を有する化合物を含む高粘性溶剤及び低粘性溶剤をそれぞれ含有する請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  8. 還元性固体活性剤の含有量がフラックス全体量100重量%に対して5〜60重量%である請求項7記載の金錫合金ハンダペースト。
  9. 還元性固体活性剤に用いる糖類がエリトリトール、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース、ソルビトール、ラクトース、スクロース、キシリトール、ヘキシトール、マルチトール、ラクチトール、リビトール及びマンニトールからなる群より選ばれた1種の化合物又は2種以上の混合物である請求項7又は8記載の金錫合金ハンダペースト。
  10. イソボルニル基を有する化合物がイソボルニルシクロヘキサノール又はイソボルニルフェノールのいずれか一方又はその双方である請求項7記載の金錫合金ハンダペースト。
  11. 低粘性溶剤の含有量がフラックス全体量100重量%に対して20〜70重量%であって、前記低粘性溶剤がアルカンジオール、アルキレングリコール、炭化水素、テルペン及びエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む請求項7記載の金錫合金ハンダペースト。
  12. 低粘性溶剤が2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラデカン、α−テルピネオール、ジベンジルエーテル、p−ドデシルフェノール、2−ノニルフェノール及び2−フェノキシエタノールからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む請求項11記載の金錫合金ハンダペースト。
  13. フラックスがチキソ剤を更に含み、前記チキソ剤の添加量がフラックス全体量100重量%に対して25重量%以下であって、前記チキソ剤が脂肪酸アミドである請求項1記載の金錫合金ハンダペースト。
  14. チキソ剤がステアリン酸アミドである請求項13記載の金錫合金ハンダペースト。
  15. ハンダ溶融温度が350℃以下である請求項1ないし14いずれか1項に記載の金錫合金ハンダペースト。
  16. フラックス粘度が50〜350Pa・sである請求項1ないし15いずれか1項に記載の金錫合金ハンダペースト。
  17. 請求項1ないし16いずれか1項に記載の金錫合金ハンダペーストを基板の接合位置に塗布した後、電子部品を前記ハンダペーストを介して前記基板に搭載し、前記ハンダペーストを介して電子部品を搭載した基板を予備加熱し、続けて本加熱し、その後冷却することにより、前記基板に前記電子部品を接合することを特徴とする電子部品搭載基板の製造方法。
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