JP2007260693A - 連続鋳造機におけるモールド内湯面レベル制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バルジング発生箇所が変化する場合でも、バルジング周波数を、リアルタイムに、正確に検出し、時々刻々と変化するバルジング性湯面変動をも低減する。
【解決手段】湯面レベルの目標値と検出値との偏差に基づいて、モールド(10)内に流入する溶融金属(4)の流量調節をするPI制御(20)と、バルジング性湯面変動の周波数に基づいて外乱補償器(22)の設定周波数を決定し前記変動に対する外乱補償する制御と、を行う連続鋳造機モールド内湯面制御方法において、前記モールド10から凝固しつつある溶融金属(4)を引き抜くピンチロール12の制御電流を複数箇所で測定し(S2、30)、該電流の変動が最も大きいピンチロール12の箇所をバルジング発生箇所として検出し(S3)、前記バルジング発生箇所のピンチロール12の間隔とピンチロールの速度との比からバルジング性湯面変動の周波数を算出し(S4、32)、前記外乱補償器(22)の設定周波数を決定する(S5)ことを特徴とする連続鋳造機モールド内湯面制御方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、湯面レベルの目標値と検出値との偏差に基づいて、モールド内に流入する溶融金属の流量調節をするPI制御と、バルジング性湯面変動の周波数に基づいて外乱補償器の設定周波数を決定し前記変動に対する外乱補償する制御と、を行う連続鋳造機モールド内湯面制御方法に関する。
従来、図1に示す如く、連続鋳造機におけるモールド10内の溶融金属(以下、溶鋼4と称する)の湯面レベルの制御は、湯面レベル計8で検出したモールド内の湯面レベルの検出値と、湯面レベルの目標値との偏差を基に、タンディッシュ2に設けられたスライディングノズル6などの流量調節装置の開度を調節し、モールド10内に流入する溶鋼の流入量を調節している。
図2に示される如く、湯面レベルの制御系は、湯面レベルの検出値とその目標値との偏差がゼロとするようにPI(比例+積分)制御系20と併せて湯面レベルとその目標値との偏差位置から特定周期のバルジング性湯面変動(後述)の周波数を抽出し、抽出された周波数に基づいて外乱補償器の設定周波数を決定し前記変動に対する外乱補償する外乱補償器22により制御を行っている。
ここで、バルジングとは、鋳片16がモールド10を通過後内部の未凝固の溶鋼の静鉄圧(溶湯圧)により、鋳片16の表面に形成された凝固シェルが鋳片16を支持するピンチロールの間で厚み方向に膨らむ現象である。
このバルジング部分が、ある間隔で配置された、ピンチロール12を通過していく過程で、凝固シェルひいては内部の溶鋼が厚み方向に膨らんだり押し込まれたり繰り返し、主にピンチロール間隔を周期とする湯面変動、いわゆるバルジング性湯面変動が発生する。このバルジング性湯面変動が、湯面レベルの大きな変動の原因となっている。
このバルジング性湯面変動を防止するための技術として、特許文献1の第3の実施の形態に、湯面レベル信号の高速フーリエ変換し(FFT)によりバルジング周波数を算出し、外乱補償器22の設定周波数を連続的に変更し、外乱補償器22によりその位相特性を進ませて、バルジング周波数に対する外乱補償をする制御装置が記載されている。
又、同じく特許文献1の第4の実施の形態には、ピンチロールの速度(鋳込み速度)と、該ピンチロールの間隔(ロールピッチ)との比からバルジング周波数を算出し、外乱補償器22の設定周波数を決定することで、鋳込速度に応じて外乱補償する制御装置が記載されている。
特許3271242号公報
しかしながら、FFTによりバルジング周波数を算出する方法は、ある程度以上の精度でバルジング周波数を算出するためには、およそ10周期分程度のデータサンプリングが必要で、制御の遅れが生じてしまう。具体的には、一般にバルジング周波数は0.1[HZ]程度であるので、10周期分をデータサンプリングするためには100秒程度必要となる。湯面変動の周波数は鋳込み速度により主に変化するため、鋳込み速度を変更してから100秒程度経過した後に、鋳込み速度変更後の周波数が抽出され、制御に抽出された結果を反映させていたのでは、リアルタイムにバルジング性湯面変動に追従させることは不可能である。このような場合、鋳込速度変更後しばらくの間、制御精度が悪化することになる。
又、鋳込み速度とロールピッチとの比からバルジング周波数を算出する方法は、バルジング発生箇所が連続鋳造機の各セグメント18に対して、一定のセグメント位置で原因となっている場合は良いが、バルジング発生箇所が固定されていない場合(後述)、即ち、連続鋳造機の特性上、バルジング発生箇所が各セグメントに分散して、リアルタイムに発生箇所が変化する場合、バルジング周波数を正確に検出することはできなかった。なお、セグメント(鋳片支持域)18は、複数のピンチロール12によって構成されている。
ここで、バルジング現象は、発生時期(鋳込みの前半か中頃か後半か)や、発生場所(モールドに近いところか、中頃か、下流か)やバルジングの振幅などが、時々刻々と変わり、これらの態様も、鋳込みサイズ、鋳込み速度、鋼種等の操業条件によって大きく異なる。
本発明は前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、バルジング発生箇所が変化する場合でも、バルジング周波数を、リアルタイムに正確に検出する検出し、時々刻々と変化するバルジング性湯面変動をも低減することを課題とする。
本発明は、湯面レベルの目標値と検出値との偏差に基づいて、モールド内に流入する溶融金属の流量調節をするPI制御と、バルジング性湯面変動の周波数に基づいて外乱補償器の設定周波数を決定し前記変動に対する外乱補償する制御と、を行う連続鋳造機モールド内湯面制御方法において、前記モールドから凝固しつつある溶融金属を引き抜くピンチロールの制御電流を複数箇所で測定し、該電流の変動が最も大きいピンチロールの箇所をバルジング発生箇所として検出し、前記バルジング発生箇所のピンチロールの間隔とピンチロールの速度との比からバルジング性湯面変動の周波数を算出し、前記外乱補償器の設定周波数を決定することとして前記課題を解決したものである。
モールドから凝固しつつある溶融金属を引き抜くピンチロールの制御電流を複数箇所で測定し、該電流の変動が最も大きいピンチロールの箇所をバルジング発生箇所として検出し、バルジング発生箇所のピンチロールの間隔とピンチロールの速度との比からバルジング性湯面変動の周波数を算出し、外乱補償器の設定周波数を決定することで、バルジング発生箇所が変化する場合でも、バルジング周波数を、リアルタイムに、正確に検出でき、時々刻々と変化するバルジング性湯面変動をも低減することができる。
以下、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施の形態における連続鋳造機および制御系の基本構成は、従来のものと同じであるが、電流測定器30と、その測定結果に基づいてバルジング周波数を算出し、外乱補償器22の設定周波数を決定する周波数算出器32とが異なる。ここで、図1及び図2における従来のものと同一部分には同一符号を用いて説明を省略するが、同一部分でも、本実施形態と関連が深く、まだ詳述していない部分については詳述をする。
図3に示される如く、本実施形態は、モールド10から鋳片16の引き抜きを行うピンチロール12の制御電流を測定する電流測定器30と周波数算出器32とが連続鋳造機に設置され構成されている。
電流測定器30は、ピンチロール12の駆動ロール13を駆動させるドライブ装置でもあり、各駆動ロール13に結線されている。
なお、図3に示される如く、ピンチロール12は、駆動モータ付ピンチロール12Aと、駆動なしピンチロール12Bとがある。駆動モータ付ピンチロール12Aは、鋳片16の片側又は両側に、ピンチ(押し付け)してモータ駆動力により鋳片16を引き抜く駆動ロール13(図中に黒丸印で示す)を有して構成されている。なお、図3においては、駆動ロール13が片側のみのものが例示されている。駆動なしピンチロール12Bは、駆動力のない自由に回る非駆動ロール(フリーロール)14(図中に白丸印で示す)のみにより構成されている。
周波数算出器32は、電流測定器30から出力と、湯面レベル計8からの出力と、図示しないがピンチロール12に設置されている鋳込み速度検出器らの出力とが集められる結線を有している。
電流測定器30は、ドライブ装置として各駆動モータ付ピンチロール12Aを一定の速度で鋳込みを行うように制御している。即ち、鋳片16を引き抜く際、負荷がかかると鋳込み速度を維持するために制御電流(ピンチロール電流)を増やしてトルクが出るように制御し、逆に負荷が減ると、ピンチロール電流を減じて、一定の速度で鋳込みができるように駆動ロール13を制御している。バルジングの発生状況等により、駆動に必要なピンチロール電流が異なるため、各々の駆動モータ付ピンチロール12Aは、個別にピンチロール電流が制御されている。
次に、周波数算出器32での処理について図4に基づいて詳説する。
i)湯面変動振幅が基準値より大きいか否かの判定(ステップS1)
湯面レベル計8の測定による湯面レベルのデータが周波数算出器32に入力され、湯面変動の振幅が基準値より大きいどうか判定をする。大きい場合には、外乱補償器22の設定周波数を以下のステップにより決定し、外乱補償器22による制御を行う。小さい場合は、外乱補償器22による処理は行わず、PI制御系20のみで制御を行う。
ii)ピンチロール電流を検出(ステップS2)
各々の駆動モータ付ピンチロール12Aのピンチロール電流を電流測定器30の出力から検出する。具体的には、電流測定器30からの出力を周波数算出器32に入力する。
iii)最も振幅の大きいロールを選択(ステップS3)
ピンチロール電流が最も大きく変動する駆動モータ付ピンチロール12Aを選択し、バルジング発生箇所のセグメント18を決定する。この電流が最も大きく変動する駆動モータ付ピンチロール12Aが、バルジング発生箇所に対応する。
ここで、駆動モータ付ピンチロール12Aは、一定の速度で鋳込みを行うように制御されているため、バルジングが発生すると、これを引き抜くために大きな電流が必要となり、鋼片16のバルジング部分が駆動モータ付ピンチロール12Aを通過することと、ピンチロール電流とは相関を有する。
iv)周波数の算出(ステップS4)
前記選択されたピンチロール12からロールピッチを求め、検出された鋳込み速度を、該ロールピッチで割ることで決定したセグメント18についてバルジング周波数を算出する。なお、鋳片16は、垂直方向から水平方向に曲げられるため、各セグメント18に対してロールピッチが同一であるとは限らない。
v)外乱補償器の周波数を決定(ステップS5)
ステップS4で算出されたバルジング周波数をもって、特許文献1に記載された同様の方法により外乱補償器22の設定周波数を決定する。
以上、決定された周波数より外乱補償器22の設定周波数を連続的に変更し、外乱補償器22によりその位相特性を進ませて、バルジング周波数に対する外乱補償をする。
本発明は、バルジング発生時には、湯面変動と同時に、ピンチロールの制御電流に大きな変動が現れることを見出し、バルジング性湯面変動を抑える制御に利用したものである。
このため、ピンチロールの制御電流を複数個所測定し、電流の変動が最も大きいピンチロールを見つけることによってリアルタイムでバルジング発生箇所のピンチロールを検出できる。
このようにリアルタイムで検出されたバルジング発生箇所より、バルジング発生箇所のピンチロールの間隔が求まり、鋳込み速度と、該ピンチロールの間隔の比から、バルジング性湯面変動の周波数をリアルタイムに正確に算出することができる。外乱補償器22で進ませる位相のための周波数が決定できることで、バルジング性湯面変動に起因する外乱による変動をリアルタイムに制御できるため、時々刻々と変化するバルジング現象に対しても、高品質の鋳片が生産できる。又、急変動したバルジング現象に対してもリアルタイムに対応できるため、溶鋼の凝固遅れをモールドへの焼付きなどによる凝固シェルが破れるブレークアウトという設備被害の誘発を防ぐことができる。
なお、セグメントの単位は、本実施形態に限られたものではない。又、ピンチロール電流を測定するピンチロールは、バルジングが発生しやすい付近のピンチロールのピンチロール電流を測定し測定の効率化を図るなど、本実施形態に限られたものではない。
連続鋳造機の基本構成を示す断面図 従来のモールド内湯面レベル制御系を示すブロック線図 本発明の実施の形態に係る電流測定器及び周波数検出器の構成を示す模式図 バルジング周波数を決定する手順を示すフローチャート
符号の説明
4…溶鋼
10…モールド
12…ピンチロール
20…PI制御系
22…外乱補償器
30…電流測定器
32…周波数決定器

Claims (1)

  1. 湯面レベルの目標値と検出値との偏差に基づいて、モールド内に流入する溶融金属の流量調節をするPI制御と、バルジング性湯面変動の周波数に基づいて外乱補償器の設定周波数を決定し前記変動に対する外乱補償する制御と、を行う連続鋳造機モールド内湯面制御方法において、
    前記モールドから凝固しつつある溶融金属を引き抜くピンチロールの制御電流を複数箇所で測定し、
    該電流の変動が最も大きいピンチロールの箇所をバルジング発生箇所として検出し、
    前記バルジング発生箇所のピンチロールの間隔とピンチロールの速度との比からバルジング性湯面変動の周波数を算出し、
    前記外乱補償器の設定周波数を決定することを特徴とする連続鋳造機モールド内湯面制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011143414A (ja) * 2010-01-12 2011-07-28 Nippon Steel Corp 連続鋳造機のモールド湯面レベル制御装置および制御方法
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