JP2007254798A - めっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

めっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る。
【解決手段】高強度鋼板に対してめっき前焼鈍を行う前に、表面に微粒子を投射する。この時、例えば、微粒子の平均粒径は10〜300μm、素材を金属とするのが好ましい。また、30〜300m/sの投射速度で、カバレージが200%以上となるように、鋼板表面に微粒子を投射することが好ましい。鋼板表面に微粒子を投射することで、鋼板の表層に加工変質層が十分な深さまで導入される。そして、この加工変質層は焼鈍後も残存し、例えば、合金化処理時の合金化反応の活性サイトになって合金化反応が改善される。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度冷延鋼板を下地鋼板とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき濡れ性と合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
電気めっき法に比べて厚めっき化が容易な溶融めっき法によって製造される溶融亜鉛めっき鋼板ならびに合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板よりも安いコストで優れた耐食性を達成出来ることから、自動車、家電製品、建材などの広範な用途に供されている。特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、車体寿命を考える上で重要な耐食性に優れている上に、スポット溶接性などの点でも優れているため、その多くが国内の自動車用素材として使用されている。その一方で、国内の自動車メーカーでは、合金化溶融亜鉛めっき鋼板よりも世界的に素材調達しやすい溶融亜鉛めっき鋼板を使用する動きも出始めている。なお、ここで、本発明においては、溶融亜鉛めっき鋼板とは、溶融亜鉛めっき処理後にめっき皮膜の合金化処理が行わないものを、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは、溶融亜鉛めっき処理後に合金化処理を行い、めっき皮膜をFe-Zn合金化したものを称すこととする。
近年、地球温暖化防止の観点から自動車の燃費向上に資する車体の軽量化と安全性の両立が課題になっており、自動車用素材である溶融亜鉛めっき鋼板ならびに合金化溶融亜鉛めっき鋼板にも高強度化と薄物化の要望が強まっている。鋼板の高強度化はSi、Mn、Pなどの固溶強化元素の添加によって行われるのが一般的であるが、これらの添加元素はめっき処理性や合金化処理性を著しく阻害する性質があるため、従来技術では製品を安定的に製造するのが困難とされて来た。
例えば、SiやMnを含有する鋼板をめっき原板に使用すると、これらの元素がめっき前焼鈍時に選択酸化されて鋼板表面を覆うため、溶融亜鉛の濡れ性が損なわれて不めっきが生じやすい。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造の際には、Siの濃度差に起因して合金化反応が不均一に生じるため、これに起因した外観異常が生じやすい。Pを含有する高強度鋼板では、主にめっき前焼鈍でPが表面偏析して合金化反応を阻害するため、通常の鋼板に比べて合金化制御が格段に難しくなる。
上記課題の解決策として、例えば、特許文献1には、めっき前焼鈍に先立って酸化雰囲気下で鉄酸化物を生成させて固溶強化元素の選択酸化を抑制した後、めっき前焼鈍で還元する方法が記載されている。
特許文献2には、めっき前焼鈍に先立って下地鋼板にNi系もしくはFe系の電気めっきを行う方法が記載されている。
特許文献3には、めっき原板表層部の不純物を研削等で除去し、次いで、非酸化性雰囲気で熱処理した後、溶融亜鉛めっき処理、合金化処理を行う方法が記載されている。
特許文献4には、熱延鋼板の酸洗脱スケールの際、ショットブラスト処理した熱延鋼板に連続溶融めっきラインで溶融亜鉛めっきを施した後、これを加熱して合金化処理する方法が記載されている。
特許文献5には、熱延時に生成した酸化スケールに熱衝撃やショットブラスト等によってクラックを形成した後、還元炉などでスケールの表層だけを還元する方法が記載されている。
特許文献6には、軟化焼鈍後の鋼板表面に亜鉛浴通過完了以前の段階で機械加工を施して新生面を付与することで、Al濃度が0.14%以上の高Al浴を用いても低Al濃度浴の場合と同等の合金化速度にできる合金化処理鋼板の製造方法が記載されている。
特開昭55‐122865号公報 特開平2‐194156号公報 特開平3‐207845号公報 特開平6‐158254号公報 特開平11‐1755号公報 特公昭63−58225号公報
しかしながら、上記特許文献には以下に述べる問題がある。
特許文献1では、鉄より酸化されやすいSiやMnなどの固溶強化元素の表面濃化を完全に抑制できず、また、めっき前焼鈍の際、酸化の有無に関わらず生じるPなどの固溶強化元素の表面偏析を避けられないために、十分な改善効果が得られない。
特許文献2では、めっき前焼鈍の過程で表面に被覆した金属が鋼板中に拡散するため、めっき濡れ性ならびに合金化制御性の十分な改善効果を得るにはその付着量を多くする必要があり、製造コスト的に見合わない。また、合金化処理することは考慮されていない。
特許文献3では、実際の焼鈍工程で酸化性雰囲気になる部分を排除しえないため、特許文献1と同様の理由で十分な改善効果が得られない。
特許文献4は、熱延鋼板を溶融亜鉛めっきの下地鋼板とする場合には効果が期待される。ところが、冷延鋼板を下地鋼板とする場合には、熱延スケール除去後に冷間圧延とその後工程のめっき前焼鈍が必要になるため、同様の方法では、めっき前焼鈍時に固溶強化元素の表面偏析は避けられず、改善効果が得られない。
特許文献5では、スケールが還元された下地鋼板の表層部分から拡散できるFeの量に限りがあるために合金化の制御が困難で、また、めっき層の下部に熱延スケールが不可避的に残留するため、めっき密着性等への悪影響が懸念される。
特許文献6では、被めっき鋼板としてSPCC冷延鋼板を使用した場合について、浴中Al濃度が高い場合にも合金化速度が向上したことが示されている。しかし、SiやMnなどで固溶強化された高強度冷延鋼板を下地鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板でのめっき濡れ性や、それを更に合金化処理して合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする場合の合金化制御性については一切触れられていない。また、新生面を付与する機械加工法の一つとしてショットブラストも挙げられているが、投射粒子の素材とサイズ、投射速度、投射密度などのブラスト処理条件の詳細は示されていない。
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、めっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を各々製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
焼鈍を行う前に、下地鋼板表面に微粒子を投射することで、下地鋼板の表層に加工変質層が十分な深さまで導入される。そして、この加工変質層は焼鈍後も残存し、酸化層や偏析層を効果的に除去することで表面が活性化される。その結果、めっき濡れ性が向上する。また、この加工変質層が合金化処理時の合金化反応の活性サイトになって合金化反応性が改善される。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]高強度冷延鋼板を下地鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、下地鋼板に対して焼鈍を行う前に、該下地鋼板表面に微粒子を投射することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記[1]において、前記下地鋼板は、Pを0.02質量%以上含有することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記下地鋼板は、Siを0.2質量%以上、またはさらにMnを0.2質量%以上含有することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記微粒子の平均粒径は10〜300μmであることを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかにおいて、前記微粒子は素材を金属とすることを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかにおいて、前記下地鋼板表面に30〜300m/sの投射速度で微粒子を投射することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかにおいて、カバレージが200%以上となるように、下地鋼板表面に微粒子を投射することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかにより製造される溶融亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施すことを特徴とするめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
なお、本発明において、カバレージとは、加工の程度を示す指標であり、「日本金属学会誌」2003年発行、第67巻、第12号、691項に記載の方法によって求めることができる。また、本発明において、鋼の成分を示す%、めっき浴の成分を示す%、およびめっき皮膜の成分を示す%は、全て、質量%である。
本発明によれば、めっき濡れ性に優れた高強度な溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。その結果、めっき濡れ性に優れることで、めっき外観が良好でめっき密着性にも優れることになる。
また、本発明によれば、めっき濡れ性および合金化制御性に優れた高強度な合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。その結果、合金化制御性が優れることで、合金化ムラがなく、耐パウダリング性にも優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られることになる。
さらに、本発明は、高強度鋼板を対象としているため、上記特性に加え、強度にも優れることになり、地球温暖化防止の観点からも産業上有益な発明といえる。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明において、めっき処理に施される下地鋼板について説明する。本発明の下地鋼板の成分組成は以下の通りである。なお、本発明は以下に示す成分組成に必ずしも限定されないが、高強度溶融亜鉛めっき鋼板および高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は以下に示す成分組成とすることが好ましい。
高強度鋼板を得るために、P、Si、Mnの濃度を各々0.02%以上、0.2%以上、0.2%以上含有することが好ましい。一方、Pは、0.1%を超えると二次加工脆化が問題になる。また、Siは、2.0%を超えると、本発明でも均一な合金化処理を行えない場合がある。また、Mnは、2.5%を超えると製造コスト的に見合わない場合がある。以上より、含有する場合は、Pは0.02質量%以上、Siは0.2質量%以上、Mnは0.2質量%以上とし、好ましくは、Pは0.1%以下、Siは2.0%以下、Mnは2.5%以下とする。
次に溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について、説明する。
上記した組成を有する溶鋼を溶製し、通常の公知の方法で鋳造し、通常の公知の方法で熱間圧延、スケール除去、あるいはさらに冷間圧延して、鋼板とする。次いで、必要に応じて、酸洗を行った後、鋼板表面に微粒子を投射する。次いで、焼鈍、めっき処理、必要に応じて合金化処理を行う。このように、本発明においては、焼鈍を行う前に、鋼板表面に微粒子を投射することとする。これは本発明において、最も重要な要件であり、このように焼鈍を行う前の鋼板表面に微粒子を投射することにより、鋼板の表面が活性化され、めっき処理時の濡れ性が向上する。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板においては、合金化制御性に優れることになる。
まず、この微粒子の投射について詳細に説明する。下地鋼板表面に微粒子を投射するにあたって、本発明では条件等について特に限定しない。しかし、めっき濡れ性向上および合金化制御性向上の観点から以下に記載する形態において実施することが好ましい。
微粒子の平均粒径は10〜300μmとするのが好ましい。平均粒径が300μmを超える粒子では、多重投射しても粒径が高々数10μmしかない下地鋼板の各結晶粒を均一に投射することが困難となる場合がある。一方、平均粒径が10μm未満の場合には、投射粒子の速度が空気中で減衰しやすいため、酸化層や偏析層を効果的に除去するためには、投射速度を極端に大きくしなければならなくなる。また、平均粒径が10μm未満になると粒子の価格が高くなるため経済的にも不利である。
微粒子の素材は金属とするのが好ましい。金属粒子の場合、密度が大きく粒子自身の質量が大きいため、密度が小さい非金属系粒子に比べて低い投射速度でも高い衝撃力、即ち、酸化層や偏析層に対して高い除去効果が得られるからである。また、金属粒子は破砕しにくいため、回収・再使用しやすい点で経済的にも有利である。例えば、投射粒子の素材としては、炭素鋼、ステンレス、ハイスなどが好適である。
微粒子の形状は球形でも角張ったグリッド形状でも構わない。球形粒子は総じて下地鋼板表面に欠陥を導入する作用に優れており、グリッド形粒子は、総じてめっき前焼鈍時に下地鋼板表面を覆う酸化層や偏析層を研削する作用に優れている。
微粒子を下地鋼板表面に投射する際の投射速度は30〜300m/sが好ましい。投射速度が30m/sを下回ると、平均粒径が小さい投射粒子を用いる場合に、下地鋼板表層に加工変質層を導入するだけの衝撃力を得られない場合がある。一方、投射速度が300m/sを超えると、下地鋼板に過大な歪みが蓄積されて鋼板形状がゆがんでしまい、外観品質、通板性、成形性などに支障を来たす場合がある。
また、微粒子を下地鋼板表面に投射するにあたっては、カバレージが200%以上となるように投射するのが好ましい。カバレージが200%を下回ると、焼鈍過程で加工変質層が回復・再結晶するため、めっき性向上効果が得られなくなる場合がある。
微粒子を投射する加速機としては、機械式と空気式の加速装置のどちらも用いることが出来る。ローターによって粒子に遠心力を与えて投射する機械式の加速装置は、比較的大きい粒子を投射するのに適している。特に、大量の固体粒子を広い面積に渡って投射できるので、高速ラインで下地鋼板の表面を処理するのに適している。一方、圧縮空気等を使用してノズルから空気を噴出させる際に粒子に生じる抗力を利用してこれを加速させる空気式の加速装置は、粒径が200μm以下の微粒子を投射するのに適しており、圧縮空気の圧力を調整することによって微粒子の投射速度を変更することができる。但し、単一のノズルで投射できる範囲が比較的狭く、単位時間当たりの投射量も制限されるため、これを広幅材の高速ラインで使用する場合には、複数の投射ノズルを配置する必要がある。
微粒子の投射方法としては、以上の機械式および空気式の投射法の特徴を踏まえた上で、対象材の板幅、ライン速度、投射粒子の密度や粒径などに応じて、いずれかあるいは両方を組み合せて使用することができる。尚、この2種類以外の投射方式のものでも、微粒子を一定の速度に加速して下地鋼板表面に投射できるものであれば使用することができる。
以上のように、焼鈍の前に、下地鋼板表面に微粒子を投射することで、下地鋼板のめっき濡れ性と合金化制御性が大幅に改善される。このように本発明によってめっき濡れ性および合金化制御性が改善するのは以下の理由によると考える。まず、めっき濡れ性については、微粒子投射によって下地鋼板表層に形成される加工変質層が選択酸化物の生成を抑制するためと推測される。また、合金化制御性については、微粒子投射によって下地鋼板表面の結晶粒内に導入された欠陥が、合金化反応の活性サイトになるためと考えられる。なお、本発明におけるめっき濡れ性の改善とは、不めっきの防止とめっき皮膜の密着性の改善を指し、合金化制御性の改善とは、合金化速度の促進と合金化ムラの防止ならびに耐パウダリング性の改善を指す。
また、本発明においては、微粒子を下地鋼板表面に投射する方法を採用したが、微粒子を下地鋼板表面に投射する方法に限らず、何らかの方法で下地鋼板表面に加工変質層を1μm程度導入できれば、同様の効果を得ることが出来ると考える。ここで言う、加工変質層とは、下地鋼板表面を機械的に加工することで鋼板表面に形成される、鋼板内部とは異なる組織を有する層のことである。この加工変質層は、鋼板断面のSIM(Scanning Ion Microscope)像やSEM像で容易に観察できる。また、「日本金属学会誌」2003年発行、第67巻、第12号、690〜696項を参照することで、加工変質層について詳細に調べることができる。
下地鋼板に微粒子を投射した後、焼鈍(めっき前焼鈍)を行う。焼鈍条件は特に限定しない。箱型焼鈍炉や連続溶融亜鉛めっきラインの連続焼鈍炉を用いて行うことができる。
次いで、溶融亜鉛めっきを施す。焼鈍後の鋼板を440〜500℃に浴温調整された、0.03〜0.30%のAlを含む溶融亜鉛めっき浴に浸漬する。そして、めっき浴から鋼板を引き上げる際にガスワイピングなどを利用して、片面あたりのめっき付着量を2.5〜120g/m2の範囲に調整した後、めっき層の冷却工程を経て溶融亜鉛めっき鋼板を得る。
なお、不めっき等のめっき濡れ性の不具合が生じる場合には、微粒子の投射条件が適正化されていない可能性が考えられるため、投射粒子の粒径、投射速度、投射密度等の条件の組み合わせを本発明で規定する範囲内で適宜調整する。
次いで、合金化溶融亜鉛めっきを製造する場合、上記により得られた溶融亜鉛めっき鋼板に更に合金化処理を行う。合金化処理のための加熱炉は、オーブン方式でも構わないが、誘導加熱方式の方が制御性の点で好ましい。通常、高強度鋼を下地鋼板とする場合、Ti添加IF鋼などを下地鋼板とする場合よりも合金化処理に時間を要するため、オンラインの合金化度計を使用してもライン速度や合金化温度の調整が難しい。しかし、本発明では、高強度鋼を下地鋼板とする場合でも、Ti添加IF鋼の場合と大差無い条件で、均一で、耐パウダリング性に優れた合金化処理を行う事が出来る。
なお、めっき処理後あるいは合金化処理後の鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整のための調質圧延を加えてもよい。また、樹脂あるいは油脂コーティング、各種塗装等の処理を施しても何ら不都合はない。
(本発明例)表1に示す8種類(A〜H)の冷延鋼板を下地鋼板として、この下地鋼板に対して、空気式の加速装置を用いて、平均粒径55μmのハイス粒子を、投射速度120m/s、カバレッジ400〜500%の条件で照射した。次いで、溶融亜鉛めっきシミュレータを用いて、これらの鋼板を一枚ずつ10vol.%H2-N2雰囲気下で毎秒20℃の昇温速度で850℃まで加熱し、この温度で60秒間保持した。次いで、放冷して板温が465℃に到達した時点で、Alを0.12%含む460℃の亜鉛めっき浴に3秒間浸漬し、引き上げ時にN2ガスワイピングして片面あたりのめっき付着量が約60g/m2となるように溶融亜鉛めっき鋼板を作成した。
(比較例)上記において、微粒子の投射処理を行わず、それ以外の処理を本発明例と同様の条件にて行った。
尚、評価と合金化処理に複数の試料が必要なため、本発明例、比較例ともに、各下地鋼板毎に上記の条件で10枚の試料を作成した。
Figure 2007254798
ここで、まず、以上により得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して、以下に示す方法および評価基準により、不めっき発生状況、初期合金相形態の観察、0T曲げ試験によるめっき密着性の評価を行った。
更に、上記により得られた溶融亜鉛めっき鋼板を一枚ずつ高周波誘導加熱装置にセットし、450、475、500、525、550、575、600℃で30秒の合金化処理を行った。この時、表層まで合金化できた時の温度の下限により合金化速度を比較した。また、30秒間の合金化処理で、皮膜中の鉄含有率が10%±0.5%となるように合金化温度を調整したサンプルで、合金化ムラの発生状況を観察するとともに、90度曲げ試験を行って耐パウダリング性を評価した。以上の評価結果を表2に示す。
1.不めっき発生状況(めっき濡れ性)
○:良好(不めっきなし)、 ×:不めっきあり
2.初期合金相(SEM観察)
○:微細なζ相が均一に生成、 ×:ζ相がまばらに生成、 B:アウトバースト状組織
3.めっき密着性
○:良好、 △:めっき皮膜にクラック発生、 ×:めっき剥離発生
4.合金化速度(30秒の処理で表層まで合金化できる温度)
●:非常に速い(450℃)、 ○:良好(475、500、525℃)、 △:やや遅い(550℃)、
×:非常に遅い(550℃でも表層まで合金化しない)
5.合金化ムラ(目視判定)
○:良好、 ×:スジムラ(筋状の模様)あり
6.耐パウダリング性(90度曲げ)
○:良好、 ×:不合格
Figure 2007254798
表2より、本発明例では全ての評価事項について良好な結果が得られた。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は高強度であり、かつ、めっき外観が良好でめっき密着性に優れている。また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は高強度であり、かつ、合金化ムラがなく、耐パウダリング性に優れている。よって、いずれの鋼板も自動車用素材を中心に自動車、家電製品、建材などの広範な用途での使用が見込まれる。

Claims (8)

  1. 高強度冷延鋼板を下地鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、
    下地鋼板に対して焼鈍を行う前に、該下地鋼板表面に微粒子を投射することを特徴とするめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記下地鋼板は、Pを0.02質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記下地鋼板は、Siを0.2質量%以上、またはさらにMnを0.2質量%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記微粒子の平均粒径は10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記微粒子は素材を金属とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 前記下地鋼板表面に30〜300m/sの投射速度で微粒子を投射することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  7. カバレージが200%以上となるように、下地鋼板表面に微粒子を投射することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のめっき濡れ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかにより製造される溶融亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施すことを特徴とするめっき濡れ性および合金化制御性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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JP2020020026A (ja) * 2018-08-03 2020-02-06 Jfeスチール株式会社 溶融めっき熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき熱延鋼板、並びに溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき処理用熱延鋼板

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