JP2007254370A - 反応方法および反応装置 - Google Patents

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剛 井上
Osamu Moriya
修 守谷
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Abstract

【課題】簡易な構成により、気液接触反応での液相の液面レベルを制御することのできる、反応方法、および、その反応方法を実施するための反応装置を提供すること。
【解決手段】原料液(ニトロベンゼン)と、過剰の原料ガス(水素ガス)とを、液相反応槽2に供給して、液相反応槽2の液相中で気液接触させて、発熱反応により反応生成物(アニリンおよび水)を生成させ、生成した反応生成物を、未反応の原料ガスとともに蒸気として液相反応槽2から排出する反応方法において、液相反応槽2における液相の液面レベルを、原料ガスの供給量を調整することにより管理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料液と原料ガスとを液相中で気液接触させて反応生成物を生成させるための反応方法、および、その反応方法を実施するための反応装置に関する。
従来より、反応生成物であるアニリンを溶媒として、その溶媒が仕込まれている反応槽に、原料液であるニトロベンゼンと、原料ガスである水素ガスとを、連続的に供給して、液相中で気液接触させることにより、アニリンを製造することが知られている。
このようなアニリンの製造として、例えば、第1工程において、アニリンを溶媒として、ニトロベンゼンを水素還元し、連続的にアニリンおよび反応生成水を蒸気として過剰の水素に同伴させて発生させ、第2工程において、第1工程から発生してくる蒸気を固定床反応器に導き、アニリン中に同伴されているニトロべンゼンを完全に水素還元してアニリンに転化させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記のような第1工程において、反応系(反応槽)中の液量(液面レベル)を、ニトロベンゼンのチャージ量、すなわち、アニリンへの転化量に見合うアニリンの量を反応系から蒸気として取り出すか、留去されたアニリンを水と分離後一部反応系へ戻して調節することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、上記のような、気液接触反応における液面レベルの調節に関しては、例えば、反応筒の上方にガス分離槽を設けて、そのガス分離槽に液体抜出し管を接続し、その液体抜出し管から、液体をオーバーフローさせることにより、液面レベルを一定に保つ方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平2−279657号公報 特公平1−36459号公報 特開平8−84920号公報
しかるに、上記のような、気液接触反応における液面レベルの制御として、特許文献2に記載されるように、原料液(ニトロベンゼン)の供給や反応生成物(アニリン)の還流により、直接的に液面レベルを調整すれば、反応液の供給により液面レベルを調整する場合には、液量を直接調整できる点、制御が容易であるが、その一方で、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれがある。
また、反応生成物の還流により液面レベルを調整する場合にも、液量を直接調整できる点、制御が容易であるが、その一方で、一旦蒸発させた反応生成物を凝縮して還流する必要があり、多大なエネルギーが必要となる。
また、特許文献3に記載されるように、液体をオーバーフローさせることにより、液面レベルを一定に保てば、液面レベルの制御は容易であるが、液滞留量が一定であるため、滞留時間や負荷変更などの反応条件に柔軟性がなく、さらには、気液分離手段が必要となるため、設備が複雑となる。
本発明の目的は、簡易な構成により、気液接触反応での液相の液面レベルを制御することのできる、反応方法、および、その反応方法を実施するための反応装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の反応方法は、原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとを、反応槽に供給して、前記反応槽の液相中で気液接触させて、発熱反応により反応生成物を生成させ、生成した反応生成物を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する反応方法において、前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガスの供給量を調整することにより調整することを特徴としている。
この反応方法では、反応槽における液相の液面レベルを、過剰に供給する原料ガスの供給量を調整することにより調整する。そのため、原料液の供給により液面レベルを調整する場合のように、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれも少なく、原料液と原料ガスとの反応率を一定に保持することができる。また、反応生成物の還流により液面レベルを調整する場合のように、反応生成物を凝縮して還流する必要がなく、エネルギーコストを削減することができる。さらに、原料ガスの供給量を調整すれば、液面レベルの設定(液滞留量)を、反応条件に応じて変更することができる。
また、本発明の反応方法は、原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとを、反応槽に供給して、前記反応槽の液相中で気液接触させて、発熱反応により反応生成物を生成させ、生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する第1工程と、前記第1工程において蒸気として排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、気相反応により、反応させる第2工程とを備え、前記第1工程において、前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガスの供給量を調整することにより調整することを特徴としている。
この反応方法では、第1工程において、原料液と過剰の原料ガスとを反応槽の液相中で気液接触させ、生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として反応槽から排出し、その後、第2工程において、蒸気として排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを気相反応により反応させる。そのため、例えば、原料液と反応生成物との沸点差が少なく、蒸留などによる分離が困難な場合であっても、第2工程において、未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、ほぼ完全に反応させることにより、蒸留などの後処理工程を簡略化することができる。
また、この反応方法では、第2工程において未反応の原料液と未反応の原料ガスとを気相反応させるために、第1工程では、反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として排出しているので、反応液(液相)の抜出量によって、反応槽における液相の液面レベルを調整できる範囲は限られており、また、原料液の供給量によって、反応槽における液相の液面レベルを調整しようとすると、上記したように、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれがある。そのため、この反応方法において、反応槽における液相の液面レベルを、過剰に供給する原料ガスの供給量を調整することにより調整すれば、上記した効果が、特に有効に発揮される。
また、本発明の反応方法では、前記反応槽から排出された未反応の原料ガスを、再度昇圧し、前記反応槽に供給することが好適である。
反応槽から排出された未反応の原料ガスを、再度昇圧して、反応槽に供給すれば、原料ガスを循環利用することができ、効率的な反応を達成することができる。
また、本発明の反応装置は、原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとが供給される反応槽と、前記反応槽の液相中で、原料液と原料ガスとの発熱反応により生成した反応生成物を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する排出ラインと、前記反応槽に供給される原料ガスの供給量を調整するための原料ガス供給調整手段と、前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガス供給調整手段を制御することにより調整する制御手段とを備えていることを特徴としている。
この反応装置では、制御手段によって原料ガス供給調整手段が制御されることにより、過剰に供給する原料ガスの供給量が調整され、これによって、反応槽における液相の液面レベルが調整される。そのため、原料液の供給により液面レベルを調整する場合のように、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれも少なく、原料液と原料ガスとの反応率を一定に保持することができる。また、反応生成物の還流により液面レベルを調整する場合のように、反応生成物を凝縮して還流する必要がなく、エネルギーコストを削減することができる。さらに、原料ガス供給調整手段の制御により、原料ガスの供給量を調整すれば、液面レベルの設定(液滞留量)を、反応条件に応じて変更することができる。
また、本発明の反応装置は、原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとが供給される反応槽と、前記反応槽の液相中で、原料液と原料ガスとの発熱反応により生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する排出ラインと、前記排出ラインに設けられ、蒸気として排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、気相反応により、反応させる気相反応槽と、前記反応槽に供給される原料ガスの供給量を調整するための原料ガス供給調整手段と、前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガス供給調整手段を制御することにより調整する制御手段とを備えていることを特徴としている。
この反応装置では、反応槽において、原料液と過剰の原料ガスとを液相中で気液接触させ、生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として排出ラインへ排出し、その後、気相反応槽において、蒸気として排出ラインへ排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを気相反応により反応させる。そのため、例えば、原料液と反応生成物との沸点差が少なく、蒸留などによる分離が困難な場合であっても、気相反応槽において、未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、ほぼ完全に反応させることにより、蒸留などの後処理工程を簡略化することができる。
また、この反応装置では、気相反応槽において未反応の原料液と未反応の原料ガスとを気相反応させるために、反応槽では、反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として、排出ラインへ排出しているので、反応液(液相)の抜出量によって、反応槽における液相の液面レベルを調整できる範囲は限られており、また、原料液の供給量によって、反応槽における液相の液面レベルを調整しようとすると、上記したように、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれがある。そのため、この反応装置において、反応槽における液相の液面レベルを、過剰に供給する原料ガスの供給量を調整することにより調整すれば、上記した効果が、特に有効に発揮される。
また、本発明の反応装置では、前記反応槽から排出された未反応の原料ガスを、再度昇圧するための昇圧手段および前記反応槽に供給するためのガス回収ラインを備えていることが好適である。
反応槽から排出された未反応の原料ガスを、昇圧手段により再度昇圧して、ガス回収ラインから反応槽に供給すれば、原料ガスを循環利用することができ、効率的な反応を達成することができる。
本発明の反応方法および反応装置によれば、原料液と原料ガスとの反応率を一定に保持することができる。また、エネルギーコストを削減することができる。さらに、液面レベルの設定(液滞留量)を、反応条件に応じて変更することができる。
図1は、本発明の反応装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、この反応装置1は、例えば、原料ガスとして水素ガスなどが用いられる各種水素添加反応などに、有効に適用することのできる反応装置であって、反応槽としての液相反応槽2、原料ガス供給ライン3、原料液供給ライン4、排出ライン5、気相反応槽6、接続ライン7、気液分離槽8、取出ライン9およびガス回収ライン10を備えている。
液相反応槽2は、液相において気液接触により発熱反応させることができる反応槽であれば、特に限定されず、例えば、図示のように、攪拌翼11を備える耐圧性の通気攪拌槽などから構成される。また、この液相反応槽2には、液相の液面レベルを検知するための制御手段としてのレベルセンサ12が設けられている。
このレベルセンサ12は、液相反応槽2内の液相の液面レベルを検知するセンサと、センサにより検知された液面レベルに基づいて、後述する制御弁15の開閉または開度を制御する制御部(CPU)とを備えている。
原料ガス供給ライン3は、その下流側端部が、攪拌翼11の下方であって、液相反応槽2の底部内に配置されている。また、原料ガス供給ライン3の下流側端部には、複数のノズル(もしくは、スパージャ)13が設けられている。また、この原料ガス供給ライン3の上流側端部には、水素ガスなどの原料ガス源が接続されている。
原料液供給ライン4は、その下流側端部が、液相反応槽2内に配置されている。また、原料液供給ライン4の上流側端部には、ニトロベンゼンなどの原料液源が接続されている。
排出ライン5は、その上流側端部が、液相反応槽2の頂部に接続されている。また、排出ライン5の下流側端部は、気相反応槽6の頂部(上流側)に接続されている。
気相反応槽6は、蒸気となった未反応の原料液(気体状態)と原料ガスとを、気相反応させることができれば、特に制限されず、例えば、固定床反応器などから構成される。
接続ライン7は、その上流側端部が、気相反応槽6の底部(下流側)に接続されている。また、接続ライン7の下流側端部は、気液分離槽8の側部に接続されている。
気液分離槽8は、気相反応後の反応生成物を凝縮して、原料ガスと気液分離することができれば、特に制限されず、例えば、凝縮器(冷却器)などから構成される。
取出ライン9は、その上流側端部が、気液分離槽8の底部に接続されている。
ガス回収ライン10は、その上流側端部が、気液分離槽8の頂部に接続されている。また、ガス回収ライン10の下流側端部は、原料ガス供給ライン3の途中に接続されている。
また、ガス回収ライン10の途中には、昇圧手段としての圧縮機14と、圧縮機14の下流側に原料ガス供給調整手段としての制御弁15とが介装されている。制御弁15は、レベルセンサ12に接続され、そのレベルセンサ12の制御部によって制御される。
次に、図1に示す反応装置1により、原料ガスと原料液とを、液相において気液接触により発熱反応させる本発明の反応方法の一実施形態について説明する。
この方法では、まず、液相反応槽2に予め溶媒および触媒が仕込まれており、原料ガス供給ライン3のノズル13から、液相反応槽2内へ原料ガスを供給するとともに、原料液供給ライン4から、液相反応槽2内へ原料液を供給する。
より具体的には、例えば、アニリン製造においては、溶媒として、例えば、反応生成物であるアニリンが用いられ、触媒として、例えば、パラジウムまたはパラジウム−白金担持触媒が用いられる。また、原料ガスとして、例えば、水素ガスが用いられ、原料液として、例えば、ニトロベンゼンが用いられる。
溶媒の供給量は、管理する液面レベルによって適宜決定され、また、触媒の供給量は、液相(つまり、溶媒と原料液との合計)に対して、例えば、0.01〜2.0重量%である。
また、原料液と原料ガスとの供給比は、原料液に対して原料ガスが過剰となる割合であり、例えば、原料液1モルに対して、化学量論的に1.5〜5モル倍の原料ガスが供給される。この場合には、原料ガスが化学量論的に0.5〜4モル倍過剰となる。
また、液相反応槽2での反応条件は、例えば、反応温度150〜250℃、反応圧力0.3〜1.5MPa−Gである。
そして、液相反応槽2では、攪拌翼11の攪拌により、原料液(ニトロベンゼン)と、過剰の原料ガス(水素ガス)とが、液相中で完全混合されることにより気液接触して、発熱反応により反応生成物(アニリンおよび水)が生成される。生成した反応生成物および未反応の原料液の一部は、未反応の原料ガスに同伴されて、蒸気として、排出ライン5へ排出される(第1工程)。
なお、液相反応槽2における反応において、反応液の反応生成物への転化率が100%に近づくと、逐次反応による不純物の生成が促進されるため、この液相反応槽2における反応では、反応液の反応生成物への転化率が、80〜99.9%に抑制される。
排出ライン5へ排出された反応生成物(気体状態)および未反応の原料ガスは、排出ライン5から気相反応槽6内へ導入される。
気相反応槽6には、予め、例えば、銅−クロム系触媒などの触媒が充填されており、また、反応温度が、例えば、100〜245℃に保持されている。
気相反応槽6内へ導入された未反応の原料液の一部(気体状態)および未反応の原料ガスは、気相反応して、反応生成物(気体状態)が生成される(第2工程)。これによって、気相中において、反応液の反応生成物への転化率が、実質的に100%となる。
そして、反応生成物および原料ガスは、接続ライン7を介して、気液分離槽8へ導入される。気液分離槽8では、反応生成物が冷却により凝縮され、液体状態となり、原料ガスと分離される。
次いで、分離された反応生成物は、取出ライン9から取り出される一方、分離された原料ガスは、ガス回収ライン10へ排出される。
ガス回収ライン10へ排出された原料ガスは、圧縮機14によって昇圧された後、原料ガス供給ライン3へ合流され、その原料ガス供給ライン3から、再度、液相反応槽6内へ供給される。
このような方法により、原料液と原料ガスとを反応させれば、例えば、ニトロベンゼンとアニリンとのように、原料液と反応生成物との沸点差が少なく、蒸留などによる分離が困難な場合であっても、気相反応槽6において、未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、ほぼ完全に反応させることができる。そのため、未反応の原料液と未反応の原料ガスとを蒸留などにより分離する必要がなく、後処理工程を簡略化することができる。
また、この方法では、圧縮機14により昇圧してガス回収ライン10から、未反応の原料ガスを、再度、液相反応槽2へ供給するので、原料ガスを循環利用することができ、効率的な反応を達成することができる。
そして、この方法では、液相反応槽2における液相の液面レベルを、レベルセンサ12で管理しており、レベルセンサ12は、液面レベルが反応条件に応じた所定の液面レベルとなるように、制御弁15の開閉または開度を制御している。
すなわち、液相反応槽2から排出ライン5へ排出される反応生成物(同伴される未反応の原料液を含む。)の排出量は、上記した反応温度および反応圧力における反応生成物の分圧と、過剰の原料ガスの排出量に比例する。
したがって、液面レベルが、管理している所定の液面レベルよりも高くなると、レベルセンサ12は、それを検知して、原料ガスの供給量が増加するように、制御弁15を制御する。すると、液面レベルが降下して、管理している所定の液面レベルが維持される。
一方、液面レベルが、管理している所定の液面レベルよりも低くなると、レベルセンサ12は、それを検知して、原料ガスの供給量が減少するように、制御弁15を制御する。すると、液面レベルが上昇して、管理している所定の液面レベルが維持される。
このようにして、液面レベルを管理(調整)すれば、過剰の原料ガスの供給量が変化するものの、既に反応に必要な理論量の原料ガスが供給されているので、実際の反応に及ぼす影響を抑制することができる。そのため、原料液の供給量により液面レベルを管理する場合のように、発熱量や滞留時間の変化によって、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれも少なく、原料液と原料ガスとの反応率を一定に保持することができる。その結果、一定の温度および圧力のもと、転化率や選択率などの最適化を、安定して図ることができる。
さらに、反応生成物の還流により液面レベルを管理する場合のように、反応生成物を凝縮して還流する必要がなく、エネルギーコストを削減することができる。さらに、原料ガスの供給量を管理すれば、液面レベルの設定(液滞留量)を、反応条件に応じて変更することができる。
また、上記の反応では、気相反応槽6において、未反応の原料液と未反応の原料ガスとを気相反応させるために、液相反応槽2では、反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として排出しているので、反応液(液相)の抜出量によって、液相反応槽2における液相の液面レベルを管理できる範囲は限られており、また、原料液の供給量によって、液相反応槽2における液相の液面レベルを管理しようとすると、上記したように、原料液と原料ガスとの反応率が変動するおそれがある。そのため、この反応において、液相反応槽2における液相の液面レベルを、過剰に供給する原料ガスの供給量を調整することにより管理すれば、上記した効果が、特に有効に発揮される。
なお、上記の説明では、気相反応槽6において、未反応の原料液の一部(気体状態)および未反応の原料ガスを気相反応させた後、気液分離槽8において、反応生成物と原料ガスとを分離して、ガス回収ライン10を介して原料ガスを還流したが、例えば、図1の点線16で示すように、気相反応槽6における気相反応終了後、反応生成物と原料ガスとを分離することなく、そのまま取り出すこともできる。
さらには、図1の点線17で示すように、気相反応槽6において気相反応させることなく、液相反応槽2における気液接触反応終了後、排出ライン5からそのまま取り出すこともできる。
また、上記の説明では、この反応を、アニリンの製造を例示して説明したが、このような反応装置1および反応方法は、例えば、ベンゼンの水素添加反応によるシクロヘキサンの製造などにも適用することができ、要するに、気液接触による液相反応において、反応生成物を過剰の原料ガスとともに蒸気として排出するプロセスであれば、いずれのものにでも適用することができる。
以下に、本発明の反応方法を、実施例を例示してさらに詳しく説明するが、本発明は何ら実施例に制限されない。なお、以下の実施例においては、特に言及がない限り、重量基準として説明している。
実施例1
1Lオートクレーブ(液相反応槽)に攪拌機、ガス導入管、触媒投入口、反応液抜出口、ニトロべンゼン導入口、アニリン導入口、蒸気発生口、コンデンサーを取り付けた。
1Lオートクレーブにアニリン350gと、活性炭にパラジウムを5%担持させた触媒70mgと仕込んだ。1Lオートクレーブを200℃まで昇温後、ニトロべンゼンを175g/Hで、水素を系内の全圧を0.5MPa−Gに保ちつつ、5L/minの速さで導入し、反応を開始した。
この後、触媒の5%Pd/活性炭を3.5mg/Hで追加し、液相の内容液を17.5g/Hで抜き出した。温度および圧力を一定に保ち、発生する蒸気を過剰の水素とともに蒸発し、コンデンサーで凝縮して受器に抜き出した。
内容物の液面を一定に保つために必要に応じて水素流量を4−6L/minで変化させた。反応圧力および反応温度を一定に保持したまま水素流量を変化させることで液面を一定に維持することができ、また、反応を一定に保持することができた。1Lオートクレーブ中のニトロべンゼン濃度を0.3〜2%に保ちながら、56時間反応を続けた。
受器に捕集された粗アニリンは、やや黄色を帯びた透明液で、ニトロベンゼンが0.4%、シクロへキシルアミンが80ppm、シクロヘキサノンが500ppm、N−シクロへキシルアニリンが350ppmであった。この結果処理されたニトロべンゼンに対して、アニリンの収量は、7370g、収率は、99.4%であった。
実施例2
反応器液面制御の有効性を確認するためにダイナミックシミュレーションによるニトロベンゼン水素添加反応器の解析を実施した。シミュレーションに用いるモデルとして、図1における「液相反応槽2」にフラッシュ計算可能な完全混合型反応器モデルを、「気相反応槽6」に気液混相の押出流れ反応器モデルを、「気液分離槽8」にフラッシュモデルを採用した。
全容積100mの反応器に45mの反応液が保持されており、原料ニトロベンゼンを20,000kg/hrでフィードした際のバランスをシミュレーションにより計算した結果、反応温度216℃のもと、反応器圧力を0.7MPa−G一定に保つための水素フィード流量は990kg/Hrであり、反応器液面を安定に保つためのガス循環量は2,440kg/HRであった。
反応器液面はガス循環量で制御され、その操作上限を4,400kg/Hrとした場合の制御性をダイナミックシミュレーションにより確認した結果、設定値変更±5%に対して、良好な応答性を確認することができた。
本発明の反応装置の一実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1 反応装置
2 液相反応槽
5 排出ライン
6 気相反応槽
10 ガス回収ライン
12 レベルセンサ
14 圧縮機
15 制御弁

Claims (6)

  1. 原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとを、反応槽に供給して、前記反応槽の液相中で気液接触させて、発熱反応により反応生成物を生成させ、生成した反応生成物を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する反応方法において、
    前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガスの供給量を調整することにより調整することを特徴とする、反応方法。
  2. 原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとを、反応槽に供給して、前記反応槽の液相中で気液接触させて、発熱反応により反応生成物を生成させ、生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する第1工程と、
    前記第1工程において蒸気として排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、気相反応により、反応させる第2工程とを備え、
    前記第1工程において、前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガスの供給量を調整することにより調整することを特徴とする、反応方法。
  3. 前記反応槽から排出された未反応の原料ガスを、再度昇圧し、前記反応槽に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の反応方法。
  4. 原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとが供給される反応槽と、
    前記反応槽の液相中で、原料液と原料ガスとの発熱反応により生成した反応生成物を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する排出ラインと、
    前記反応槽に供給される原料ガスの供給量を調整するための原料ガス供給調整手段と、
    前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガス供給調整手段を制御することにより調整する制御手段と
    を備えていることを特徴とする、反応装置。
  5. 原料液と、前記原料液に対して過剰の原料ガスとが供給される反応槽と、
    前記反応槽の液相中で、原料液と原料ガスとの発熱反応により生成した反応生成物および未反応の原料液の一部を、未反応の原料ガスとともに蒸気として前記反応槽から排出する排出ラインと、
    前記排出ラインに設けられ、蒸気として排出された未反応の原料液と未反応の原料ガスとを、気相反応により、反応させる気相反応槽と、
    前記反応槽に供給される原料ガスの供給量を調整するための原料ガス供給調整手段と、
    前記反応槽における液相の液面レベルを、前記原料ガス供給調整手段を制御することにより調整する制御手段と
    を備えていることを特徴とする、反応装置。
  6. 前記反応槽から排出された未反応の原料ガスを、再度昇圧するための昇圧手段および前記反応槽に供給するためのガス回収ラインを備えていることを特徴とする、請求項4または5に記載の反応装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108704596A (zh) * 2018-08-15 2018-10-26 赵乾康 五硫化二磷环保节能加工工艺及设备

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