JP2007254220A - 二酸化炭素固定化システム及び炭酸塩の製造方法 - Google Patents

二酸化炭素固定化システム及び炭酸塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる二酸化炭素固定化システム、及び、炭酸塩の製造方法を提供すること。
【解決手段】二酸化炭素固定化システム1は、超臨界二酸化炭素を製造する超臨界二酸化炭素製造装置10と、この超臨界二酸化炭素製造装置10によって製造された超臨界二酸化炭素を含有するガスを酸化カルシウムと接触させることで炭酸カルシウムとして固定化する超臨界二酸化炭素固定化装置20と、を備える。超臨界二酸化炭素製造装置10は、ドライアイスを内部に収容する密閉された筐体111と、この筐体111内で、ドライアイスを超臨界状態となるまで加熱する熱媒体流通管112と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化炭素固定化システム及び炭酸塩の製造方法に関する。
二酸化炭素は地球温暖化の主要な原因物質であるため、従来から、大気中での二酸化炭素存在量を低減する試みが行われている。このような試みの代表例として、二酸化炭素の固定化が着目され、例えば、気体の二酸化炭素を、金属酸化物と接触させることで、炭酸塩として固定化する接触手順を備える二酸化炭素の固定化方法が知られている(特許文献1参照)。
この固定化方法によれば、二酸化炭素を金属酸化物と接触させたので、二酸化炭素が炭酸塩として固定化される。
ところで、二酸化炭素の固定化速度を向上させるためには、金属酸化物に接触させる二酸化炭素として、超臨界状態の二酸化炭素(以下、「超臨界二酸化炭素」と称する)を用いるのが好ましいことが分かってきた。超臨界二酸化炭素は、常温・常圧に比較的近い超臨界状態にあることから、接触した他の物質を変質させないという利点も有する。
従来、超臨界二酸化炭素の製造方法では、二酸化炭素を超臨界状態へと変化させるために昇圧処理や昇温処理を行うというのが、通常であった。しかし、これらの処理には多大なコストがかかるため、経済的ではなかった。
そこで、活性炭に二酸化炭素を吸着させ、この活性炭を加熱することにより活性炭に吸着された二酸化炭素を超臨界二酸化炭素とする構成が知られている(特許文献2参照)。
この製造方法によれば、吸着剤として活性炭を採用したことにより、超高圧コンプレッサ等の超高圧処理を行うことなく、超臨界二酸化炭素を製造できる。
特開平11−192416号公報 特開2001−272130号公報
しかしながら、特許文献2に示される製造方法によれば、活性炭を使用する構成としたので、二酸化炭素のみならず活性炭をも加熱する必要があり、非効率的である。また、活性炭が廃棄物として大量に発生するという問題もある。
このように、従来、超臨界二酸化炭素を効率的に製造できる製造方法がなかったため、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定することができなかった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる二酸化炭素固定化システム、及び、炭酸塩の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、二酸化炭素を密閉した耐圧容器内で加熱すると、二酸化炭素の気化膨張に伴って容器内の圧力が上昇し、超臨界二酸化炭素を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、具体的には、以下のようなものを提供する。
(1) 超臨界二酸化炭素を製造する超臨界二酸化炭素製造装置と、この超臨界二酸化炭素製造装置によって製造された超臨界二酸化炭素を含有するガスを金属酸化物と接触させることで炭酸塩として固定化する超臨界二酸化炭素固定化装置と、を備える二酸化炭素固定化システムであって、
前記超臨界二酸化炭素製造装置は、固体又は液体の二酸化炭素を内部に収容する密閉された耐圧容器と、
前記耐圧容器内で、固体又は液体の二酸化炭素を超臨界状態となるまで加熱する加熱機構と、を有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
(1)の発明によれば、超臨界二酸化炭素製造装置に耐圧容器及び加熱機構を設けたので、耐圧容器内の固体又は液体の二酸化炭素が加熱機構によって加熱され、気化膨張する。この気化膨張に伴って、耐圧容器内の圧力が上昇するから、効率的に、二酸化炭素を超臨界状態へと移行させ、超臨界二酸化炭素を製造できる。
また、耐圧容器内に収容する二酸化炭素を固体又は液体としたので、気体よりも格段に小さい体積で収容されるから、より効率的に超臨界二酸化炭素を製造できる。
従って、この超臨界二酸化炭素を超臨界二酸化炭素固定化装置に適用することによって、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる。
(2) (1)記載の二酸化炭素固定化システムにおいて、
前記超臨界二酸化炭素製造装置は、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで冷却する冷却機構を更に有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
(2)の発明によれば、超臨界二酸化炭素製造装置に冷却機構を更に設けたので、この冷却機構によって気体の二酸化炭素が冷却されるから、固体又は液体の二酸化炭素を準備できる。よって、気体の二酸化炭素を採用しても、効率的に超臨界二酸化炭素を製造できる。
従って、この超臨界二酸化炭素を超臨界二酸化炭素固定化装置に適用することによって、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる。
(3) (2)記載の二酸化炭素固定化システムにおいて、
前記超臨界二酸化炭素製造装置は、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去機構と、
前記所定温度より凝固点の高い物質が除去され且つ固体又は液体の二酸化炭素を含む物質を、前記除去機構から前記耐圧容器内へと供給する供給機構と、
前記耐圧容器から二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する排出機構と、を更に有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
(3)の発明によれば、除去機構を更に設けたので、所定温度を適宜設定することにより、二酸化炭素より凝固点の高い物質が除去されるから、二酸化炭素の純度を向上できる。
更に、供給機構及び排出機構を設けたので、高純度の二酸化炭素が耐圧容器へと供給された後、二酸化炭素以外の物質が分離され、排出される。このため、二酸化炭素より凝固点の低い物質も除去されるから、二酸化炭素の純度を更に向上できる。
従って、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定でき、高純度の炭酸塩を製造できる。
(4) (1)記載の二酸化炭素固定化システムを用いた炭酸塩の製造方法であって、
固体又は液体の二酸化炭素を、前記耐圧容器内で、超臨界状態となるまで前記加熱機構によって加熱する加熱手順を有する超臨界二酸化炭素製造手順と、
前記超臨界二酸化炭素製造手順において製造された超臨界二酸化炭素を含有するガスを、金属酸化物と接触させることで、炭酸塩として固定化する接触手順を有する超臨界二酸化炭素固定化手順と、を備えることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
(4)の発明によれば、(1)の発明と同様の効果が得られる。
(5) (4)記載の炭酸塩の製造方法において、
前記超臨界二酸化炭素製造装置は、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで冷却する冷却機構を更に有し、
前記超臨界二酸化炭素製造手順は、前記加熱手順の前に、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで前記冷却機構によって冷却する冷却手順を更に有することを特徴とする炭酸塩の製造方法。
(5)の発明によれば、(2)の発明と同様の効果が得られる。
(6) (5)記載の炭酸塩の製造方法において、
前記超臨界二酸化炭素製造装置は、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去機構と、
前記所定温度より凝固点の高い物質が除去され且つ固体又は液体の二酸化炭素を含む物質を、前記除去機構から前記耐圧容器内へと供給する供給機構と、
前記耐圧容器から二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する排出機構と、を更に有し、
前記超臨界二酸化炭素製造手順は、前記冷却手順の前に、前記除去機構によって、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去手順を更に有し、
前記冷却手順の後に、前記排出機構によって、二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する分離手順を更に有することを特徴とする炭酸塩の製造方法。
(6)の発明によれば、(3)の発明と同様の効果が得られる。
(7) (6)記載の炭酸塩の製造方法において、
前記除去手順における二酸化炭素を含む流体を、発電所からの排出ガスとすることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
発電所からの排出ガスは、大量に放出され環境に与える負荷が大きい。
ここで、(7)の発明によれば、流体として発電所からの排出ガスを採用したので、発電所由来の排出ガスから二酸化炭素を除去されるから、環境に与える負荷を大幅に軽減できる。
(8) (4)から(7)いずれか記載の炭酸塩の製造方法において、
前記金属酸化物を、燃焼灰又は廃棄物の少なくとも一方に含まれる金属酸化物とすることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
(8)の発明によれば、燃焼灰又は廃棄物の少なくとも一方に含まれる金属酸化物を採用したので、燃焼灰又は廃棄物が有効利用されることにより、環境に与える負荷を更に軽減できる。
本発明によれば、超臨界二酸化炭素製造装置に耐圧容器及び加熱機構を設けたので、耐圧容器内の固体又は液体の二酸化炭素が加熱機構によって加熱され、気化膨張する。この気化膨張に伴って、耐圧容器内の圧力が上昇するから、効率的に、二酸化炭素を超臨界状態へと移行させ、超臨界二酸化炭素を製造できる。
また、耐圧容器内に収容する二酸化炭素を固体又は液体としたので、気体よりも格段に小さい体積で収容されるから、より効率的に超臨界二酸化炭素を製造できる。
従って、この超臨界二酸化炭素を超臨界二酸化炭素固定化装置に適用することによって、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各実施形態の説明において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素固定化システム1の概略図である。図2は、図1の二酸化炭素固定化システム1の一定時間経過後の状態を示す概略図である。
二酸化炭素固定化システム1は、超臨界二酸化炭素製造装置10と、超臨界二酸化炭素固定化装置20と、を備える。
超臨界二酸化炭素製造装置10は、超臨界化装置11と、この超臨界化装置11にドライアイス供給路13を介して接続された固化装置12と、超臨界化装置11に超臨界二酸化炭素供給路15を介して接続された貯蔵装置14と、を有する。
超臨界化装置11は、耐圧性を有する材質で構成された耐圧容器としての筐体111と、この筐体111の内部に挿通された熱媒体流通管112と、を有する。
固化装置12は、耐圧性を有する材質で構成された耐圧容器としての固化本体部121と、この固化本体部121の内部に挿通された冷却媒体流通管122と、固化本体部121に接続された二酸化炭素ガス供給管128と、を有する。
ドライアイス供給路13は、ドライアイス供給管131と、このドライアイス供給管131の途中に設けられたドライアイス導入弁132と、を有する。ドライアイス供給管131は、一端が固化本体部121の底部において固化本体部121に接続され、他端が筐体111に接続されている。
貯蔵装置14は、耐圧性を有する材質で構成された貯蔵タンク141と、この貯蔵タンク141の内部に挿通された熱媒体流通管142と、を有する。この熱媒体流通管142を通じて、熱媒体(例えば、50℃)が、貯蔵タンク141の内部へと導入される。
超臨界二酸化炭素供給路15は、超臨界二酸化炭素供給管151と、この超臨界二酸化炭素供給管151の途中に設けられた超臨界二酸化炭素導入弁152と、吸引ポンプ153と、逆止弁154と、を有する。超臨界二酸化炭素導入弁152、吸引ポンプ153、逆止弁154は、超臨界化装置11側から、この順番に配置される。
図3は、前記実施形態における二酸化炭素固定化システム1を構成する固化装置12の一部破断斜視図である。
固化装置12は、略直方体状の上部及び略四角錘状の下部からなる中空の固化本体部121と、この固化本体部121の内部に挿通された管路としての冷却媒体流通管122と、固化本体部121に接続された二酸化炭素ガス供給管128と、を有する。
冷却媒体流通管122は、一端が液体窒素供給管123及び窒素ガス供給管124に連結され、固化本体部121の外部において二本に分岐されている。また、冷却媒体流通管122の他端は、固化本体部121の外部において一本の窒素ガス排出管125へと連結される。
液体窒素供給管123及び窒素ガス供給管124の途中には、各々、液体窒素導入弁1231及び窒素ガス導入弁1241が設けられ、これら液体窒素導入弁1231及び窒素ガス導入弁1241の開閉によって、冷却媒体流通管122へと導入される流体が選択される。ここで、液体窒素供給管123及び液体窒素導入弁1231は、冷媒供給機構を構成する。また、液体窒素供給管123、液体窒素導入弁1231、冷却媒体流通管122、窒素ガス排出管125は、冷却機構を構成する。
二酸化炭素ガス供給管128の途中には、二酸化炭素ガス導入弁1281が設けられ、この二酸化炭素ガス導入弁1281の開閉によって、固化本体部121内への二酸化炭素の供給量が調節される。
固化本体部121内で製造されたドライアイスは、固化本体部121の底部に接続されたドライアイス供給路13を介して、超臨界化装置11へと搬送される。
図4は、前記実施形態における二酸化炭素固定化システム1を構成する超臨界化装置11の一部破断斜視図である。
超臨界化装置11は、略円柱状で中空の筐体111と、この筐体111の内壁に沿って螺旋状に配置された熱媒体流通管112と、筐体111の上部に設けられた圧縮部119と、を有する。
熱媒体流通管112は、熱媒体供給路113及び熱媒体排出路114に連結される。熱媒体供給路113の途中には、熱媒体導入弁117が設けられている。熱媒体流通管112、熱媒体供給路113、熱媒体排出路114、熱媒体導入弁117は、加熱機構を構成する。
圧縮部119は、油圧シリンダ115と、この油圧シリンダ115に摺動自在に取り付けられたシャフト116と、このシャフト116の端部に固定された円板状の圧縮板118と、を有する。
また、筐体111には、筐体111の内壁に沿い且つ熱媒体流通管112に隣接して配置された二酸化炭素ガス流通管127と、この二酸化炭素ガス流通管127に連結された、二酸化炭素ガスの導出源(図示せず)から延びる二酸化炭素ガス導入管126と、固化本体部121へと延びる二酸化炭素ガス供給管128と、を有する。
筐体111の側壁には、固化装置12から延びるドライアイス供給管131と、貯蔵装置14へと延びる超臨界二酸化炭素供給管151と、が接続されている。
図5は、超臨界二酸化炭素製造装置10の動作手順を示すフローチャートである。
上述したような超臨界二酸化炭素製造装置10は、以下のように動作する。
まず、超臨界二酸化炭素製造装置10に設けられた全ての弁である、熱媒体導入弁117、二酸化炭素ガス導入弁1281、ドライアイス導入弁132、超臨界二酸化炭素導入弁152、液体窒素導入弁1231、窒素ガス導入弁1241を閉じる(ST1)。次に、液体窒素導入弁1231を開き、冷却媒体としての液体窒素を冷却媒体流通管122へと導入する(ST2)。冷却媒体流通管122の表面が充分に冷却された(例えば、−196℃)後、二酸化炭素ガス導入弁1281を開き、二酸化炭素ガスを固化本体部121内部へと供給する(ST3)。固化本体部121内部へと供給された二酸化炭素ガスは、冷却されて固化し、冷却媒体流通管122の表面にドライアイスとなって析出する。
次に、ドライアイスの析出量が所定の量に達したか否かを判別する(ST4)。この判別方法としては、特に限定されないが、例えば、二酸化炭素ガスの供給量又は供給時間とドライアイス析出量との関係を統計的に調査しておき、この調査結果に基づいて判別してもよいし、固化本体部121の一部に監視窓を設け、この監視窓を通じてドライアイスの析出量を観察し判別してもよい。
ST4における判別が“NO”であった場合は、ST3へと戻り、更に二酸化炭素ガスを固化本体部121内部へと供給し続けるか、二酸化炭素ガス導入弁1281を閉じて二酸化炭素ガスの供給を停止して放置することにより、ドライアイスを更に析出させる。
ST4における判別が“YES”であった場合は、二酸化炭素ガス導入弁1281を閉じて二酸化炭素ガスの供給を停止するとともに、液体窒素導入弁1231を閉じて液体窒素の供給を停止し(ST5)、ST6へと移る。このようなST2〜ST5は、冷却手順の一例である。
ST6では、窒素ガス導入弁1241を開き、所定の温度(例えば、50℃)の窒素ガスを冷却媒体流通管122へと導入する。導入された窒素ガスによって冷却媒体流通管122が温められ、冷却媒体流通管122の表面に析出したドライアイスの一部が液化する。一部が液化したドライアイスは、冷却媒体流通管122の表面から固化本体部121の底部へと落下し、冷却媒体流通管122の底部に蓄積される(例えば、−80℃)。
次に、ドライアイス導入弁132を開き、冷却媒体流通管122の底部に蓄積されたドライアイスを筐体111内部へと搬送する(ST7)。本実施形態では、ドライアイスは、固化本体部121の下方に配置された筐体111へと、ドライアイス供給管131の内部を転動しながら移動する。
続いて、熱媒体供給路113を起動し、筐体111に供給され、筐体111の底部に蓄積されたドライアイスを下方へ圧縮する(ST8)。より具体的には、油圧シリンダ115を駆動して、シャフト116を下方へと摺動させることにより、このシャフト116に固定された圧縮板118が下方へと移動してドライアイスを圧縮する。
次に、筐体111内におけるドライアイスの蓄積量が所定の量に達したか否かを判別する(ST9)。ここで、所定の量は適宜設定してよい量であるが、例えば、筐体111の収容可能容量の最大値、筐体111の底部から熱媒体流通管112が配置されている最大高さまで蓄積されたときの量に設定すればよい。
ST9の判別が“NO”であった場合、ST3へと戻り、ドライアイスの蓄積量が所定の量となるまでST3〜ST8を繰り返す。ここで、筐体111内部には既にドライアイスが蓄積されているため、筐体111内部に挿通される二酸化炭素ガス流通管127を通過した二酸化炭素ガスは冷却される。このため、固化本体部121に供給される二酸化炭素ガスは、供給時において既に低温化されている(例えば、−60℃)ため、効率的にドライアイスへと固化できる。
一方、ST9の判別が“YES”であった場合、ドライアイス導入弁132及び超臨界二酸化炭素導入弁152を閉じて、筐体111の内部空間を密閉する(ST10)。続いて、熱媒体導入弁117を開き、熱媒体を熱媒体流通管112へと導入する(ST11)。導入された熱媒体によって熱媒体流通管112が温められ、加熱されたドライアイスは超臨界状態となる(例えば、31℃以上、7.38MPa以上)。ここで、超臨界化の速度を向上できる点で、熱媒体の温度を高く設定することが好ましい。このようなST11は、加熱手順の一例である。
続いて、筐体111内に蓄積されたドライアイスが完全に超臨界化したか否かを判別する(ST12)。この判別方法としては、特に限定されないが、例えば、熱媒体の供給時間又は供給される熱媒体の温度と、完全な超臨界化にかかる時間との関係を統計的に調査しておき、この調査結果に基づいて判別してもよいし、筐体111の一部に監視窓を設け、この監視窓を通じてドライアイスの残存を観察し判別してもよい。
ST12における判別が“YES”であった場合、超臨界二酸化炭素導入弁152を開くとともに吸引ポンプ153を起動させ、超臨界二酸化炭素を超臨界化装置11から貯蔵装置14へと搬送する(ST13)。一方、判別が“NO”であった場合、ST11へと戻り、筐体111内に蓄積されたドライアイスの加熱を続ける。
ST13を経た後、再びST2へと戻ってST2〜ST11を繰り返すことにより、超臨界二酸化炭素を連続的に製造できる。
図1及び図2に戻って、超臨界二酸化炭素固定化装置20は、撹拌装置21と、この撹拌装置21に炭酸塩供給路22を介して接続された析出装置23と、を有する。
撹拌装置21は、耐圧性を有する材質で構成された撹拌槽211と、この撹拌槽211の内部に配置された撹拌部212と、撹拌槽211の内部へ燃焼灰又は廃棄物としての燃焼灰や廃セメント等を供給する廃棄物供給路213と、撹拌槽211の内部へ水を供給する水供給路214と、撹拌槽211の内部に挿通され熱媒体が流通する熱媒体供給部215と、を有する。この熱媒体供給部215には、図示しない熱媒体供給弁が設けられている。
また、撹拌装置21には、貯蔵装置14から延びる超臨界二酸化炭素放出路16が接続されている。この超臨界二酸化炭素放出路16は、超臨界二酸化炭素放出管161と、この超臨界二酸化炭素放出管161の途中に設けられた超臨界二酸化炭素放出弁162と、を有する。
炭酸塩供給路22の途中には、図示しない固液分離膜と、炭酸塩導入弁と、が配置されている。
析出装置23は、上部が開放された析出槽231を有する。
このような超臨界二酸化炭素固定化装置20は、以下のように動作する。
まず、廃棄物供給路213及び水供給路214を通じて、燃焼灰や廃セメント等及び水がそれぞれ撹拌槽211の内部に供給される。次に、撹拌部212が回転することで、撹拌槽211内部に供給された燃焼灰や廃セメント等及び水が撹拌される。また、熱媒体供給弁を開くと、熱媒体(例えば、50℃)が熱媒体供給部215へと導入され、燃焼灰や廃セメント等及び水が加熱される。このような撹拌を所定の時間行うと、燃焼灰や廃セメント等はスラリー化し、燃焼灰や廃セメント等に含有されるカルシウム成分が酸化カルシウム(金属酸化物の一例)として水中に抽出される。
続いて、超臨界二酸化炭素放出弁162を開くと、超臨界二酸化炭素が貯蔵装置14から超臨界二酸化炭素放出管161を通じて撹拌槽211へと放出される。放出された超臨界二酸化炭素はスラリー化した燃焼灰や廃セメント等と混合され、抽出された酸化カルシウムと反応して、炭酸塩としての炭酸カルシウムを生じる。
次に、炭酸塩導入弁を開くことにより、スラリー化した燃焼灰や廃セメント等が炭酸塩供給路22へと導入され、固液分離膜を通過する。この際、炭酸塩を含有する液相と、残存した燃焼灰や廃セメント等を含有する固相と、が分離される。炭酸塩を含有する液相は、析出槽231へと放出される。この析出槽231は開放されているため、二酸化炭素分圧が低下して液相のpHが上昇することにより、炭酸カルシウムが析出し、単離できる。以上の手順は、超臨界二酸化炭素固定化手順の一例である。
本実施形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
(A)超臨界二酸化炭素製造装置10に、筐体111、及び、熱媒体流通管112、熱媒体供給路113、熱媒体排出路114、熱媒体導入弁117を設けたので、筐体111内のドライアイスが熱媒体流通管112によって加熱され、気化膨張する。この気化膨張に伴って、筐体111内の圧力が上昇するから、効率的に、二酸化炭素を超臨界状態へと移行させ、超臨界二酸化炭素を製造できる。
また、筐体111内に収容する二酸化炭素をドライアイスとしたので、気体よりも格段に小さい体積で収容されるから、より効率的に超臨界二酸化炭素を製造できる。
従って、この超臨界二酸化炭素を超臨界二酸化炭素固定化装置20に適用することによって、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる。
(B)超臨界二酸化炭素製造装置10に、冷却媒体流通管122、及び、液体窒素供給管123及び液体窒素導入弁1231を設けたので、二酸化炭素の凝固点より低い温度の流体が冷却媒体流通管122から冷却媒体流通管122へと供給される。このため、この流体が冷却媒体流通管122を通過することにより、固化本体部121内の二酸化炭素ガスが冷却されるから、ドライアイスを準備できる。よって、二酸化炭素ガスを採用しても、効率的に超臨界二酸化炭素を製造できる。
従って、この超臨界二酸化炭素を超臨界二酸化炭素固定化装置20に適用することによって、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定できる。
(C)燃焼灰や廃セメント等に含まれる金属酸化物を採用したので、燃焼灰や廃セメント等が有効利用されることにより、環境に与える負荷を更に軽減できる。
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素固定化システム1Aの概略図である。
本実施形態では、超臨界二酸化炭素製造装置10Aの構造が第1実施形態と異なる。
即ち、超臨界二酸化炭素製造装置10Aは、発電所排ガスを予冷する予冷器17と、この予冷器17の下流に配置された除去機構としての除湿装置18と、を更に有する。一方で、超臨界二酸化炭素製造装置10Aは、第1実施形態で設けられていた貯蔵装置14を有しない。
予冷器17には、二酸化炭素ガス流通管127が接続され、この二酸化炭素ガス流通管127を通じて発電所排ガス(例えば、90℃)が導入される。また、予冷器17には、予冷器17と筐体111との間を循環する循環管171が挿通され、この循環管171の内部を熱媒体が巡回する。
除湿装置18には、固化本体部121から延びる脱二酸化炭素排ガス排出管181が挿通されている。この脱二酸化炭素排ガス排出管181の途中には、脱二酸化炭素ガス排出弁182が設けられている。このように、脱二酸化炭素排ガス排出管181及び脱二酸化炭素ガス排出弁182は、排出機構を構成する。
また、除湿装置18には、予冷器17から搬送された低温(例えば、5℃)の発電所排ガスが導入されるとともに、固化本体部121へと発電所排ガスを供給する二酸化炭素ガス供給管128が接続される。
このような超臨界二酸化炭素製造装置10Aは、以下のように動作する。
まず、二酸化炭素ガス流通管127を通じて発電所排ガス(例えば、90℃)を予冷器17へと導入する。導入された発電所排ガスは、循環管171内を筐体111から巡回する低温の熱媒体によって冷却される(例えば、5℃)。ここで、熱媒体は発電所排ガスによって温められた後、再び筐体111へと巡回し、筐体111内に蓄積されたドライアイスによって冷却される。
冷却された発電所排ガスは、予冷器17から除湿装置18へと搬送され、除湿装置18の内部に放出される。脱二酸化炭素ガス排出弁182を開くと、脱二酸化炭素排ガス(例えば、−135℃)が固化本体部121から脱二酸化炭素排ガス排出管181へと導入され、除湿装置18の内部を通過する。この際、放出された発電所排ガスが脱二酸化炭素排ガス排出管181内を移動する脱二酸化炭素排ガスによって冷却されることにより、発電所排ガスに含有され且つ導入された脱二酸化炭素排ガスの温度(ここでは、−135℃)よりも凝固点が高い物質(例えば、水、窒素化合物)が固化し、二酸化炭素ガス等と分離される(除去手順の一例)。
続いて、二酸化炭素ガス導入弁1281を開くと、水や窒素化合物等が除去された発電所排ガスが二酸化炭素ガス供給管128を通じて、固化本体部121の内部へと供給される。このように、二酸化炭素ガス供給管128及び二酸化炭素ガス導入弁1281は、供給機構を構成する。
その後、前述した第1実施形態におけるST6とST7との間に、脱二酸化炭素ガス排出弁182を開いて二酸化炭素が除去された脱二酸化炭素排ガスを脱二酸化炭素排ガス排出管181へと放出する工程(分離手順の一例)が加わることを除き、ST1〜ST13と同様の動作が行われる。
本実施形態によれば、前述した第1実施形態による作用効果に加えて、以下のような作用効果が得られる。
(D)除湿装置18を更に設けたので、所定温度を適宜設定することにより、二酸化炭素より凝固点の高い物質が除去されるから、二酸化炭素の純度を向上できる。また、二酸化炭素ガス供給管128及び二酸化炭素ガス導入弁1281を設けたので、高純度の二酸化炭素が固化本体部121へと供給される。
更に、脱二酸化炭素排ガス排出管181及び脱二酸化炭素ガス排出弁182を設けたので、二酸化炭素以外の物質が分離され、排出される。このため、二酸化炭素より凝固点の低い物質も除去されるから、二酸化炭素の純度を更に向上できる。
従って、効率的且つ迅速に二酸化炭素を固定でき、高純度の炭酸塩を製造できる。
(E)流体として発電所排ガスを採用したので、発電所由来の排出ガスから二酸化炭素を除去されるから、環境に与える負荷を大幅に軽減できる。
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る二酸化炭素固定化システム1Bの概略図である。
本実施形態では、超臨界二酸化炭素製造装置10Bの構造が第2実施形態と異なる。
即ち、超臨界二酸化炭素製造装置10Bは、一対の固化装置12Ba及び12Bbからなる固化装置12Bを有する。これら固化装置12Ba及び12Bbには、二酸化炭素ガス供給管128a及び128b、冷却媒体供給管129a及び129b、がそれぞれ接続されている。二酸化炭素ガス供給管128a及び冷却媒体供給管129aは連結されて冷却媒体流通管122aに連通し、二酸化炭素ガス供給管128b及び冷却媒体供給管129bは連結されて冷却媒体流通管122bに連通する。冷却媒体流通管122aは窒素ガス排出管125a及び排ガス連通管183bに分岐し、この排ガス連通管183bは固化本体部121bに接続され、途中に排ガス連通弁184bが設けられている。
一方、冷却媒体流通管122bは窒素ガス排出管125b及び排ガス連通管183aに分岐し、この183aは固化本体部121aに接続され、途中に排ガス連通弁184aが設けられている。また、125a及び125bの途中には、窒素ガス排出弁1251a及び窒素ガス排出弁1251bが、それぞれ設けられている。
また、二酸化炭素ガス供給管128a、128b、冷却媒体供給管129a、129bの途中には、それぞれ二酸化炭素ガス導入弁1281a、1281b、冷却媒体供給弁1291a、1291bが設けられている。二酸化炭素ガス導入弁1281a及び1281bの開閉によって、発電所排ガスが導入される経路が切り替わり、冷却媒体供給弁1291a及び1291bの開閉によって、液体窒素が導入される経路が切り替わる。
また、固化装置12Ba及び12Bbは、固化本体部121a、121bの底部にドライアイス供給管131a、131bがそれぞれ接続されている。これらドライアイス供給管131a、131bの途中には、ドライアイス導入弁132a、132bが設けられている。
このような超臨界二酸化炭素製造装置10Bは、以下のように動作する。
まず、熱媒体導入弁117、超臨界二酸化炭素導入弁152、脱二酸化炭素ガス排出弁182a及び182b、排ガス連通弁184a及び184b、二酸化炭素ガス導入弁1281a及び1281bを全て閉じる。続いて、前述した第2実施形態と同様に、発電所排ガス(例えば、90℃)を予冷器17、除湿装置18へと搬送する。
次に、冷却媒体供給弁1291b及び窒素ガス排出弁1251bを開くと液体窒素が冷却媒体供給管129bを通じて冷却媒体流通管122bへと導入され、冷却媒体流通管122bが冷却される。
次に、二酸化炭素ガス導入弁1281aを開くと発電所排ガスが二酸化炭素ガス供給管128aを通じて冷却媒体流通管122aに導入され、更に排ガス連通弁184bを開くことによって、排ガス連通管183bを通じて固化本体部121bの内部へと供給される。供給された発電所排ガスは冷却媒体流通管122bによって冷却され、発電所排ガスに含有される二酸化炭素が固化して、ドライアイスが冷却媒体流通管122bの表面に析出する。
一方、脱二酸化炭素ガス排出弁182bを開くことによって、脱二酸化炭素排ガス(例えば、−135℃)が、脱二酸化炭素排ガス排出管181bへと導入される。脱二酸化炭素排ガス排出管181bへと導入された脱二酸化炭素排ガスは、除湿装置18Bの内部を通過して、発電所排ガスによって温められた後、煙突から外部へと排出される。
続いて、冷却媒体流通管122b表面におけるドライアイスの析出量が所定の量に達したか否かを判別する。この判別が“NO”であった場合、ドライアイスの析出量が所定の量となるまで、上記の工程を繰り返す。一方、この判別が“YES”であった場合、二酸化炭素ガス導入弁1281a及び排ガス連通弁184bを閉じて冷却媒体流通管122b内部への発電所排ガスの供給を停止するとともに、冷却媒体供給弁1291b及び窒素ガス排出弁1251bを閉じて冷却媒体流通管122bへの液体窒素の導入を停止する。
次に、冷却媒体供給弁1291a及び窒素ガス排出弁1251aを開くと、液体窒素が冷却媒体供給管129aを通じて冷却媒体流通管122aへと導入され、冷却媒体流通管122aが冷却される。
続いて、二酸化炭素ガス導入弁1281bを開くと、発電所排ガスが二酸化炭素ガス供給管128bを通じて冷却媒体流通管122bに導入され、冷却媒体流通管122bが温められる。これにより、冷却媒体流通管122bの表面に析出したドライアイスの一部が液化し、固化本体部121bの底部へと落下する。ここで、ドライアイス導入弁132bを開くと、ドライアイスがドライアイス供給管131bを通じて、筐体111へと搬送される。
排ガス連通弁184aを開くことによって、発電所排ガスが排ガス連通管183aを通じて固化本体部121aの内部へと供給される。供給された発電所排ガスは冷却媒体流通管122aによって冷却され、発電所排ガスに含有される二酸化炭素が固化して、ドライアイスが冷却媒体流通管122aの表面に析出する。
次に、冷却媒体流通管122a表面におけるドライアイスの析出量が所定の量に達したか否かを判別する。この判別が“NO”であった場合、ドライアイスの析出量が所定の量となるまで、上記の工程を繰り返す。一方、この判別が“YES”であった場合、二酸化炭素ガス導入弁1281b及び排ガス連通弁184aを閉じて冷却媒体流通管122a内部への発電所排ガスの供給を停止するとともに、冷却媒体供給弁1291a及び窒素ガス排出弁1251aを閉じて冷却媒体流通管122aへの液体窒素の導入を停止する。
続いて、上述した手順と同様の手順によって、冷却媒体供給弁1291b及び窒素ガス排出弁1251bを開いて冷却媒体流通管122bを冷却し、二酸化炭素ガス導入弁1281aを開いて発電所排ガスを冷却媒体流通管122aに導入することにより、冷却媒体流通管122aの表面に析出したドライアイスの一部が液化して、固化本体部121aの底部へと落下する。ここで、ドライアイス導入弁132aを開くことによって、ドライアイスがドライアイス供給管131aを通じて、筐体111へと搬送される。
以上のような動作が連続的に行われるとともに、前述した第1実施形態におけるST8〜ST13と同様の動作が行われる。
本実施形態によれば、前述した第2実施形態による作用効果に加えて、以下のような作用効果が得られる。
(F)固化装置12Bを一対の固化装置12Ba及び12Bbからなる構成としたので、二酸化炭素ガス導入弁1281a、1281b、冷却媒体供給弁1291a、1291bの開閉によって、液体窒素及び発電所排ガスの流通経路が切り換わって、固化装置12Ba及び12Bbに順次供給される。このため、ドライアイスを連続的に生成できるから、このドライアイスを使用して炭酸塩を連続的に製造できる。
<第4実施形態>
図9及び図10は、本発明の第4実施形態に係る二酸化炭素固定化システム1Cの概略図である。
本実施形態では、超臨界二酸化炭素製造装置10Cの構造が第3実施形態と異なる。
即ち、超臨界二酸化炭素製造装置10Cは、一対の超臨界化装置11Ca、11Cbからなる超臨界化装置11Cを有する。これら超臨界化装置11Ca、11Cbには、二酸化炭素ガス供給管128a及び128b、冷却媒体供給管129a及び129b、熱媒体流通管112a及び112b、循環管171a及び171bが、それぞれ挿通されている。
二酸化炭素ガス供給管128a及び冷却媒体供給管129aは連結されて冷却媒体流通管122aに連通し、二酸化炭素ガス供給管128b及び冷却媒体供給管129bは連結されて冷却媒体流通管122bに連通する。冷却媒体流通管122aは窒素ガス排出管125a及び排ガス連通管183bに分岐し、この183bは固化本体部121bに接続され、途中に排ガス連通弁184bが設けられている。一方、冷却媒体流通管122bは窒素ガス排出管125b及び排ガス連通管183aに分岐し、この183aは固化本体部121aに接続され、途中に排ガス連通弁184aが設けられている。
また、熱媒体流通管112a及び112bは、それぞれ熱媒体供給路113a及び113b、熱媒体排出路114a及び114bに連結されている。これにより、加熱媒体(例えば、50℃)は、熱媒体供給路113a及び113bから、それぞれ、熱媒体流通管112a及び112bに導入され、熱媒体排出路114a及び114bへと放出される。また、熱媒体供給路113a及び113bの途中には、図示しない加熱媒体導入弁が設けられている。
図11は、図9及び図10における超臨界化装置11Cの一部破断斜視図である。
筐体111a及び111bには、それぞれ、予冷器17Cから延びる循環管172a及び172bが挿通され、これら循環管172a及び172bに、予冷器17Cへと延びる循環管171a及び171bが連結されている。これにより、予冷器17Cで温められた熱媒体は、循環管172a及び172bを通じて筐体111a及び111bに導入され、筐体111a及び111bの内部を通過して冷却された後、循環管171a及び171bを経て予冷器17Cへと巡回する。循環管171a、171b、循環管172a、172bの途中には、熱媒体巡回弁173a、173b、熱媒体巡回弁174a、174bがそれぞれ設けられている。
このような超臨界二酸化炭素製造装置10Cは、以下のように動作する。
まず、超臨界二酸化炭素導入弁152a及び152b、熱媒体巡回弁173a及び173b、熱媒体巡回弁174a及び174b、脱二酸化炭素ガス排出弁182a及び182b、排ガス連通弁184a及び184b、窒素ガス排出弁1251a及び1251b、二酸化炭素ガス導入弁1281a及び1281b、冷却媒体供給弁1291a及び1291bを全て閉じる。続いて、前述した第2実施形態と同様に、発電所排ガスを予冷器17C、除湿装置18Cへと搬送する。
次に、冷却媒体供給弁1291b及び窒素ガス排出弁1251bを開くと、液体窒素が冷却媒体供給管129bを通じて冷却媒体流通管122bへと導入され、冷却媒体流通管122bが冷却される。
冷却媒体流通管122bが充分に冷却された後、二酸化炭素ガス導入弁1281aを開くと発電所排ガスが二酸化炭素ガス供給管128aを通じて冷却媒体流通管122aに導入され、更に排ガス連通弁184bを開くことによって、排ガス連通管183bを通じて固化本体部121bの内部へと供給される。供給された発電所排ガスは冷却媒体流通管122bによって冷却され、発電所排ガスに含有される二酸化炭素が固化して、ドライアイスが冷却媒体流通管122bの表面に析出する。一方、脱二酸化炭素ガス排出弁182bを開くことによって、脱二酸化炭素排ガス(例えば、−135℃)が、脱二酸化炭素排ガス排出管181bへと導入される。脱二酸化炭素排ガス排出管181bへと導入された脱二酸化炭素排ガスは、除湿装置18Cの内部を通過して、発電所排ガスによって温められた後、煙突から外部へと排出される。
続いて、冷却媒体流通管122b表面におけるドライアイスの析出量が所定の量に達したか否かを判別する。この判別が“NO”であった場合、ドライアイスの析出量が所定の量となるまで、上記の工程を繰り返す。一方、この判別が“YES”であった場合、二酸化炭素ガス導入弁1281a及び排ガス連通弁184bを閉じて冷却媒体流通管122b内部への発電所排ガスの供給を停止するとともに、冷却媒体供給弁1291b及び窒素ガス排出弁1251bを閉じて冷却媒体流通管122bへの液体窒素の導入を停止する。
次に、冷却媒体供給弁1291a及び窒素ガス排出弁1251aを開くと、液体窒素が冷却媒体供給管129aを通じて冷却媒体流通管122aへと導入され、冷却媒体流通管122aが冷却される。
続いて、二酸化炭素ガス導入弁1281bを開くと、発電所排ガスが二酸化炭素ガス供給管128bを通じて冷却媒体流通管122bに導入され、冷却媒体流通管122bが温められる。これにより、冷却媒体流通管122bの表面に析出したドライアイスの一部が液化し、筐体111bの底部へと落下し、蓄積される。
次に、筐体111bに蓄積されたドライアイスの量が所定の量を超えたか否かを判別する。この判別が“NO”であった場合、ドライアイスの蓄積量が所定の量を超えるまで、上記の工程を繰り返す。一方、この判別が“YES”であった場合、熱媒体巡回弁174bを開いて熱媒体に筐体111b内部を通過させ、熱媒体供給路113bを開いて加熱媒体に筐体111b内部を通過させる。これにより、筐体111bに蓄積されたドライアイスは加熱されて、超臨界状態となる。
続いて、筐体111b内に蓄積されたドライアイスが完全に超臨界化したか否かを判別する。この判別が“NO”であった場合、ドライアイスが完全に超臨界化するまで加熱を続ける。一方、判別が“YES”であった場合、超臨界二酸化炭素導入弁152bを開き、吸引ポンプ153を起動することにより、超臨界化二酸化炭素を超臨界二酸化炭素供給管151bを通じて撹拌槽211へと搬送する。
このような動作と同様の動作が、超臨界化装置11Caについても行われ、これらの動作が連続的に行われる。
本実施形態によれば、前述した第3実施形態と同様の作用効果が得られる。
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、圧縮・液化した二酸化炭素を細孔から噴出して気化させ、その気化熱により冷えて固化した粉末を加圧成形してドライアイスを製造する一般的なドライアイス製造装置と、超臨界化装置11とを連結し、ドライアイス製造装置で製造されたドライアイスを筐体111へ連続的に供給してもよい。
また、前述した各実施形態では、ドライアイスの加熱や超臨界化工程における加熱媒体として窒素ガスを用いたが、二酸化炭素より凝固点が低い任意の流体を採用できる。このような流体は、元素、化合物、混合物のいずれであってもよい。
また、前述した各実施形態では、冷却媒体として液体窒素を用いたが、二酸化炭素より凝固点(融点)の低い任意の液体、例えば、パラフィン系炭化水素を採用できる。具体的には、天然ガス(メタン、エタン等)、LPガス(プロパン、イソブタン、ノルマルブタン等)、NGL(イソペンタン、ノルマルペンタン等)が挙げられる。
本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素固定化システムの概略図である。 図1の二酸化炭素固定化システムの一定時間経過後の状態を示す概略図である。 前記実施形態における二酸化炭素固定化システムを構成する固化装置の一部破断斜視図である。 前記実施形態における二酸化炭素固定化システムを構成する超臨界化装置の一部破断斜視図である。 超臨界二酸化炭素製造装置の動作手順を示すフローチャートである。 二酸化炭素ガスが、超臨界状態となるまでの状態変化を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素固定化システムの概略図である。 本発明の第3実施形態に係る二酸化炭素固定化システムの概略図である。 本発明の第4実施形態に係る二酸化炭素固定化システムの概略図である。 本発明の第4実施形態に係る二酸化炭素固定化システムの概略図である。 図9及び図10における超臨界化装置の一部破断斜視図である。
符号の説明
1 二酸化炭素固定化システム
10 超臨界二酸化炭素製造装置
18 除湿装置(除去機構)
20 超臨界二酸化炭素固定化装置
111 筐体(耐圧容器)
112 熱媒体流通管(加熱機構)
113 熱媒体供給路(加熱機構)
114 熱媒体排出路(加熱機構)
117 熱媒体導入弁(加熱機構)
121 固化本体部(耐圧容器)
122 冷却媒体流通管(冷却機構)
123 液体窒素供給管(冷却機構)
125 窒素ガス排出管(冷却機構)
128 二酸化炭素ガス供給管(供給機構)
181 脱二酸化炭素排ガス排出管(排出機構)
182 脱二酸化炭素ガス排出弁(排出機構)
1281 二酸化炭素ガス導入弁(供給機構)
1231 液体窒素導入弁(冷却機構)

Claims (8)

  1. 超臨界二酸化炭素を製造する超臨界二酸化炭素製造装置と、この超臨界二酸化炭素製造装置によって製造された超臨界二酸化炭素を含有するガスを金属酸化物と接触させることで炭酸塩として固定化する超臨界二酸化炭素固定化装置と、を備える二酸化炭素固定化システムであって、
    前記超臨界二酸化炭素製造装置は、固体又は液体の二酸化炭素を内部に収容する密閉された耐圧容器と、
    前記耐圧容器内で、固体又は液体の二酸化炭素を超臨界状態となるまで加熱する加熱機構と、を有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
  2. 請求項1記載の二酸化炭素固定化システムにおいて、
    前記超臨界二酸化炭素製造装置は、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで冷却する冷却機構を更に有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
  3. 請求項2記載の二酸化炭素固定化システムにおいて、
    前記超臨界二酸化炭素製造装置は、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去機構と、
    前記所定温度より凝固点の高い物質が除去され且つ固体又は液体の二酸化炭素を含む物質を、前記除去機構から前記耐圧容器内へと供給する供給機構と、
    前記耐圧容器から二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する排出機構と、を更に有することを特徴とする二酸化炭素固定化システム。
  4. 請求項1記載の二酸化炭素固定化システムを用いた炭酸塩の製造方法であって、
    固体又は液体の二酸化炭素を、前記耐圧容器内で、超臨界状態となるまで前記加熱機構によって加熱する加熱手順を有する超臨界二酸化炭素製造手順と、
    前記超臨界二酸化炭素製造手順において製造された超臨界二酸化炭素を含有するガスを、金属酸化物と接触させることで、炭酸塩として固定化する接触手順を有する超臨界二酸化炭素固定化手順と、を備えることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
  5. 請求項4記載の炭酸塩の製造方法において、
    前記超臨界二酸化炭素製造装置は、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで冷却する冷却機構を更に有し、
    前記超臨界二酸化炭素製造手順は、前記加熱手順の前に、前記耐圧容器内で、気体の二酸化炭素を凝固するまで前記冷却機構によって冷却する冷却手順を更に有することを特徴とする炭酸塩の製造方法。
  6. 請求項5記載の炭酸塩の製造方法において、
    前記超臨界二酸化炭素製造装置は、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去機構と、
    前記所定温度より凝固点の高い物質が除去され且つ固体又は液体の二酸化炭素を含む物質を、前記除去機構から前記耐圧容器内へと供給する供給機構と、
    前記耐圧容器から二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する排出機構と、を更に有し、
    前記超臨界二酸化炭素製造手順は、前記冷却手順の前に、前記除去機構によって、二酸化炭素を含む流体を予め二酸化炭素の凝固点より高い所定温度に冷却し、この所定温度より凝固点の高い物質を固化させて除去する除去手順を更に有し、
    前記冷却手順の後に、前記排出機構によって、二酸化炭素より低い凝固点の物質を排出する分離手順を更に有することを特徴とする炭酸塩の製造方法。
  7. 請求項6記載の炭酸塩の製造方法において、
    前記除去手順における二酸化炭素を含む流体を、発電所からの排出ガスとすることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
  8. 請求項4から7いずれか記載の炭酸塩の製造方法において、
    前記金属酸化物を、燃焼灰又は廃棄物の少なくとも一方に含まれる金属酸化物とすることを特徴とする炭酸塩の製造方法。
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