JP2007253385A - 多層ポリイミドフィルム - Google Patents

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武史 吉田
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Abstract

【課題】耐熱性と表面接着性を具備した、線膨張係数が特定範囲である多層ポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】(a)層にポリアミドイミドと(b)層に少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドとを使用してこれを積層したものであり、(a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである多層ポリイミドフィルムであって、多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が5〜20ppm/℃である多層ポリイミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れたポリイミドフィルムを基材フィルム(b)として使用し、その表面をポリアミドイミド(a)で積層することで基材フィルム(b)の耐熱特性を保持し表面物性をポリアミドイミド(a)保有の接着性に優れた物性とした多層ポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドフィルムは、−269℃〜300℃までの広い温度範囲での物性変化が極めて少ないために、電気および電子分野での応用、用途が拡大している。電気分野では、例えば車両用モーターや産業用モーター等のコイル絶縁、航空機電線および超導電線の絶縁等に使用されている。一方、電子分野では、例えばフレキシブルプリント基板や、半導体実装用フィルムキャリヤーのベースフィルム等に利用されている。このようにポリイミドフィルムは、種々の機能性ポリマーフィルムの中でも極めて信頼性の高いものとして、電気および電子分野で広く利用されている。しかしながら、最近では電気および電子分野等のファイン化にともなって大きな問題が顕在化してきている。例えば、銅を蒸着又はメッキ等によって銅張したポリイミドフィルム基材からなるプリント基板は、経時変化、環境変化によって銅層の密着力が低下し、更には剥離が発生する傾向にあった。
また、情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料として、従来、セラミックが用いられていた。セラミックからなる基材は耐熱性を有し、近年の情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得る。しかし、セラミックはフレキシブルでなく、薄くできないので使用できる分野が限定される。
そのため、有機材料からなるフィルムを電子部品の基材として用いる検討がなされ、ポリイミドからなるフィルム、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムが提案されている。ポリイミドからなるフィルムは耐熱性に優れ、また、強靭であるのでフィルムを薄くできるという長所を備えているが、高周波の信号への適用において、信号強度の低下や信号伝達の遅れなどといった問題が懸念され、引張破断強度、引張弾性率でまだ不十分であり、線膨張係数においても大きすぎるなどの課題を有している。ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムは、高周波にも対応し得るが、引張弾性率が低いのでフィルムを薄くできない点、表面への金属導体や抵抗体などとの接着性が悪いという点、線膨張係数が大きく温度変化による寸法変化が著しくて微細な配線をもつ回路の製造に適さない点等が問題となり、使用できる分野が限定される。このように、耐熱性、高機械的物性、フレキシブル性を具備した基材用として十分な物性のフィルムは未だ得られていない。
引張弾性率を高くしたポリイミドフィルムとして、ベンゾオキサゾール環を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムが提案されている(特許文献1参照)。このポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを誘電層とするプリント配線板も提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。
これらのベンゾオキサゾール環を主鎖に有するポリイミドからなるポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、引張破断強度、引張弾性率で改良され、線膨張係数において満足し得る範囲のものとなっているが、その優れた機械的物性の反面でその表面特性が接着性において不十分であるなどの課題を有していた。
優れた物性のポリイミドの接着性を改良するために種々の提案がなされている、例えば接着性を有しないポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を形成するもの(特許文献4参照)、ポリイミドフィルムとポリアミド系樹脂からなるフィルムとが積層される少なくとも2層フイルム(特許文献5参照)などである。
これらのポリイミドフィルム上に熱可塑性樹脂層を設けたものは、接着性の改良において十分に満足し得るものではなく、これら熱可塑性樹脂の耐熱性の低さは折角のポリイミドフィルムの耐熱性を台無しにする傾向を有していた。
特開平06−56992号公報 特表平11−504369号公報 特表平11−505184号公報 特開平09−169088号公報 特開平07−186350号公報
本発明は、耐熱性に優れたポリイミドフィルムの優れた機械的特性を持ち、かつ接着性などの表面特性が充分に改良されたフィルムを提供することを課題とする。
本発明は、特定ポリイミドの少なくとも片面に特定接着剤層を積層することで前記の課題を解決し、その目的を達成したものである。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.下記(a)層と(b)層とが少なくとも積層されてなる構成の多層ポリイミドフィルム。
(a)層:ポリアミドイミド、
(b)層:少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミド。
2.多層ポリイミドフィルムの構成が(a)/(b)/(a)の三層構造である前記1記載の多層ポリイミドフィルム。
3.(a)層のポリアミドイミドが、固形分換算で1質量%〜30質量%のエポキシ樹脂が配合されてなるポリアミドイミド組成物である前記1又は2記載の多層ポリイミドフィルム。
4.(a)層と(b)層との厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである前記1〜3のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
5.多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が5〜20ppm/℃である前記1〜4いずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
本発明の(a)層のポリアミドイミドと(b)層の少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドとを積層したフィルムであって、(a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである多層ポリイミドフィルムは、(b)層のポリイミドフィルムの有する耐熱性と特定範囲の線膨張係数とを保持し、かつその金属などと接する表面が(a)層の接着性に優れたポリアミドイミドの保有する物性となり両者の優れた点を具備するフィルムとなり、金属薄膜積層材の基材フィルム、金属箔との接合積層フィルムの基材フィルムなどに有効であり、例えばフレキシブルプリント基板などとして極めて有用である。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、(a)層と(b)層とが少なくとも積層されてなる構成の多層ポリイミドフィルムであり、(a)層はポリアミドイミド層からなり、(b)層は少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドの層であり、(a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである多層ポリイミドフィルムである。
本発明における(b)層である、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドの層(フィルム)は、例えばビフェニルテトラカルボン酸(無水物、誘導体も含む)などの芳香族テトラカルボン酸とフェニレンジアミンとを溶媒中で反応せしめそのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を得て、該溶液を支持体上に流延し、乾燥してポリイミドの前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を得て、該前駆体フィルムをさらに熱処理してイミド化しポリイミドフィルムを得る方法で製造することができる。
本発明における(b)層である芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン骨格を有するポリイミドについて以下詳述する。
本発明においては、これら芳香族ジアミン類としてフェニレンジアミンが必須ジアミンである。フェニレンジアミンの具体例にはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンが挙げられる。
好ましい態様としてこれらのフェニレンジアミンに加えて他の芳香族ジアミンを適宜選択使用してもよい。
本発明においては、芳香族テトラカルボン酸類としてビフェニルテトラカルボン酸類(ビフェニルテトラカルボン酸およびその二無水物(PMDA)ならびにそれらの低級アルコールエステル)が必須である。その具体例としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
本発明において、フェニレンジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して80〜100モル%、他の芳香族ジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜20モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率、吸水率、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
本発明において、ビフェニルテトラカルボン酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して80〜100モル%、他の芳香族テトラカルボン酸類は全芳香族テトラカルボン酸類に対して0〜20モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率、吸水率、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
本発明の基材としての(b)層のポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドからなり、かつ、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するものである。
上述の「反応」は、まず、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応などに供して芳香族ポリアミド酸溶液を得て、次いで、この芳香族ポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
芳香族ポリアミド酸は、上記芳香族テトラカルボン酸類(酸、無水物、官能性誘導体を総称する、以下芳香族テトラカルボン酸ともいう)と芳香族ジアミン類(以下芳香族ジアミンともいう)との実質的に等モル量を好ましくは90℃以下の重合温度において1分〜数日間不活性有機溶媒中で反応・重合させることにより製造される。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンは混合物としてそのままあるいは溶液として有機溶媒に加えてもよいしあるいは有機溶媒を上記成分に加えてもよい。有機溶媒は重合成分の一部又は全部を溶解してもよくそして好ましくはコポリアミド酸重合物を溶解するものである。
好ましい溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドがある。この種の溶媒のうちで他の有用な化合物はN,N−ジエチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドである。用いることのできる他の溶媒はジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどである。溶媒は単独で、お互いに組み合わせてあるいはベンゼン、ベンゾニトリル、ジオキサンなどのような貧溶媒と組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は芳香族ポリアミド酸溶液の75〜90質量%の範囲にあることが好ましい、この濃度範囲は最適の分子量を与えるからである。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミン成分は絶対的に等モル量で用いる必要はない。分子量を調整するために、芳香族テトラカルボン酸:芳香族ジアミンのモル比は0.90〜1.10の範囲にある。
上述したようにして製造した芳香族ポリアミド酸溶液は5〜40質量%好ましくは5〜20質量%のポリアミド酸重合体を含有する。
前記の芳香族ジアミン類、芳香族テトラカルボン酸類以外に使用できるものは特に限定されないが、例えば以下に示すものである。
5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4、4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などである。
本発明の基材としての(b)層としてのポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、電子基板の基材に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明の基材としてのポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0dl/g以上が好ましく、3.0dl/g以上がさらに好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、(b)層のポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法を挙げることができる。
ポリアミド酸溶液を塗布する(共押し出しの場合においても同様)支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
本発明における(a)層であるポリアミドイミドは、従来公知の直接法(酸無水物とアミンの反応)、酸クロライド法およびイソシアネート法等で製造することができる。
使用することのできる単量体の例を、酸成分およびアミン成分の形で下記に示すが、アミン成分としてこれらのイソシアネート、酸成分としてこれらの酸無水物および酸塩化物も用いることができる。
アミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、イソホロン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、ダイマー酸、スチルベンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明における(a)層であるポリアミドイミドは、固形分換算で1質量%〜30質量%のエポキシ樹脂を含有せしめることが好ましい態様である。本発明に用いるエポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン等のアミン変性エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレートエポキシ樹脂、又はこれらの水素化物やハロゲン化物等をエポキシ当量にかかわらず用いることができる。特に、積層、硬化後の耐熱性と積層時の熱融着性とのバランスから、エピコート154(油化シェル(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、配合量は1質量%から30質量%が好ましい。1質量%より少ないと積層時の熱融着性の改良効果が少なく、また、30質量%を超えると積層、硬化後の耐熱性が低下する。また、本発明で用いるエポキシ樹脂は、2種以上の混合物で用いることもできる。
本発明の多層ポリイミドフィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなくて、かつ他の層例えば接着剤層などを介することなく密着するものであればよく、例えば、共押し出しによる方法、一方の層であるポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を流延してこれをイミド化する方法、(b)層上に(a)のポリアミド酸溶液をスプレーコートなどで塗布してイミド化する方法などが挙げられる。
多層の構成は、少なくとも(a)層、(b)層が積層されておれば良いが、(b)層上に(a)層が積層されたもの、(a)/(b)/(a)の構成である(b)層の両面に(a)層が積層されたものが好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は、本発明の主旨からして(a)/(b)の厚さの比(三層構成の場合においても(a)は単層での計算である)は0.001〜0.5が好ましく、より好ましくは0.005〜0.20である。(a)/(b)の厚さの比が0.5を超えると機械的強度が不足したり、線膨張係数が大きくなりすぎる場合がある。一方0.001未満の場合、表面特性の改良効果が不足する場合がある。機械的強度を主に担う(b)層の厚さが3〜50μmであることが好ましい。
これらの構成によって耐熱性を保持して、かつ面方向での線膨張係数が5〜20ppm/℃である多層ポリイミドフィルムとなる。
本発明における面方向での線膨張係数(CTE)の測定は下記による。
<多層ポリイミドフィルムの線膨張係数測定>
測定対象の多層ポリイミドフィルムについて、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90℃〜100℃、100℃〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。MD方向、TD方向の意味は、流れ方向(MD方向;長尺フィルムの長さ方向)および幅方向(TD方向;長尺フィルムの幅方向)を示すものである。面方向での線膨張係数はMD方向、TD方向の値の平均値である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける(a)層、(b)層には、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどして層(フィルム)表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性などを改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明においては得られた多層ポリイミドフィルムの表面(特に(a)の表面)を、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ放電処理することは、更なる接着力を高めるために好ましい実施態様である。
大気圧プラズマ処理は好ましくは不活性ガスプラズマであり、不活性ガスとしては窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xeが用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎるとフィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎるとフィルム表面の平滑性が低下するおそれがある。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例などでの評価、測定は前記したもの以外は下記による。また適宜実施例などの記述において記載する。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.溶液粘度の測定
ポリマー溶液の溶液粘度は(東機産業社製、R115型粘度計)を用い20℃、1rpm、オプションロータ3°R14を使用して測定した。
3.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1254D)を用いて測定した。
4.剥離強度
測定対象の金属化フィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を以って剥離強度とした。測定は、JIS C6481に準じて引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ機種名AG−5000A)を用いて行った。
〔ポリアミド酸溶液(1)の調製〕
<3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物構造を有するポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、パラフェニレンジアミン500質量部を仕込んだ。次いで、N−メチル−2−ピロリドン5000質量部を加えて完全に溶解させた後,3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物構造485質量部を加え,25℃の反応温度で48時間攪拌すると、淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(1)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは3.2dl/gであった。溶液粘度は82Pa・sであった。
〔ポリアミドイミド溶液(2)の調製〕
温度計、攪拌装置、還流コンデンサおよび窒素導入管を備えた4つ口セパラブルフラスコに、無水トリメリット酸19.28g(0.10モル)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)3.50g(0.02モル)、ビトリレンジイソシアネート(TODI)21.10g(0.08モル)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)150gに加え、攪拌しながら160℃まで1時間で昇温し、さらに160℃で5時間反応させポリアミドイミド溶液(2)を得た。得られたポリマーのNMP中での還元粘度は1.81dl/gであった。溶液粘度は25Pa・sであった。
〔ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(3)の調整〕
上記のポリアミドイミド溶液(2)に、市販のエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート154(商品名))を10質量%配合し、NMPを加えて15質量%溶液とすることで、ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(3)を調整した。溶液粘度は14Pa・sであった。
〔ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(4)の調整〕
上記のポリアミドイミド溶液(2)に、市販のエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート154(商品名))を3質量%配合し、NMPを加えて15質量%溶液とすることで、ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(4)を調整した。溶液粘度は13Pa・sであった。
〔ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(5)の調整〕
上記のポリアミドイミド溶液(2)に、市販のエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート154(商品名))を50質量%配合し、NMPを加えて15質量%溶液とすることで、ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(5)を調整した。溶液粘度は20Pa・sであった。
(実施例1)
上記のポリアミド酸溶液(1)とポリアミドイミド溶液(2)をステンレスベルトに3層共押し出しT型ダイを用いてコーティングした。(1)をコア層、(2)をスキン層として用いた。ダイのリップギャップはスキン層100μm、コア層500μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ60μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ30μmの褐色の多層ポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムを500mm幅にスリットして多層ポリイミドフィルムを得た。この多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)/(a)の厚さの比は、0.25/1/0.25である。
得られた多層フィルムをエポキシ樹脂の包埋し、フィルム断面が観察できるようにミクロトームで切断し走査型電子顕微鏡にて断面を観察した。断面の電子顕微鏡画像においては組成の異なる層の境目が縞状に観察でき、その厚み比率は塗布厚から求めた厚み比率と一致していた。
上記フィルムを連続式スパッタ装置に装着し、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム含有量10%)合金のターゲット用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ50Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、100Å/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.3μmの銅薄膜を形成させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出し、プラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ5μmの厚付け銅メッキ層を上記銅薄膜上に形成して、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。
結果を表1に示す。(なお、表中においては、剥離強度以外は多層ポリイミドフィルムの測定結果を示すものである。以下同様である。)
(実施例2)
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは500μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ45μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
上記グリーンフィルム上にポリアミドイミド溶液(2)をT型ダイを用いて再度コーティングした。ダイのリップギャップは50μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつ厚さ50μmの多層ポリイミド前駆体フィルムを得た。この多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は、0.1/1である。
以下実施例1と同様の方法で金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは500μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ40μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ20μmの褐色のポリイミドフィルムを500mm幅にスリットしてポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルム上にポリアミドイミド樹脂NMP溶液(2)をT型ダイを用いて再度コーティングした。ダイのリップギャップは100μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつ厚さ30μmの多層ポリアミド酸前駆体フィルムを得た。
得られた多層グリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ25μmの褐色のフィルムを500mm幅にスリットして多層ポリイミドフィルムを得た。この多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は、0.25/1である。
以下実施例1と同様の方法で金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは500μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ40μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ20μmの褐色のポリイミドフィルムを500mm幅にスリットしてポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルム上にポリアミドイミド溶液(2)をT型ダイを用いて再度コーティングした。ダイのリップギャップは100μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつ厚さ30μmの多層ポリイミドフィルムを得た。この多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は、0.25/1である。
多層ポリイミドフィルムの(a)層側に、厚さ35μmの銅箔(BHY−22B−T、株式会社日鉱マテリアルズ製)をラミネーターで積層した。その後、150℃にて2時間処理することで接着剤層である(a)層を硬化させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出すことで、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリアミドイミド溶液(2)の代わりにポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(3)を用いて、実施例4と同様な方法で、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリアミドイミド溶液(2)の代わりにポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(4)を用いて、実施例4と同様な方法で、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは520μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ46μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ22μmの褐色のポリイミドフィルムを500mm幅にスリットしてポリイミドフィルムを得た。
ポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(3)をDMAcで10倍に希釈した溶液を作製し、得られたポリイミドフィルム上にバーコーターを用いてコーティングした。次いで、90℃にて10分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつ厚さ23μmの多層フィルムを得た。この多層ポリイミドフィルムにおける(a)/(b)の厚さの比は、0.05/1である。上記多層フィルムに対して、厚さ35μmの銅箔(BHY−22B−T、株式会社日鉱マテリアルズ製)をラミネーターで積層した。その後、150℃にて2時間処理することで(a)層を硬化させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出すことで、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは500μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ40μmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ20μmの褐色のポリイミドフィルムを500mm幅にスリットした。
その後実施例1と同様の方法で金属化ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
NMP溶液(2)の代わりにポリアミドイミドエポキシ混合樹脂溶液(5)を用いて、実施例4と同様な方法で、金属化多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた金属化多層ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2007253385
以上述べてきたように、本発明の多層ポリイミドフィルムは、(a)層のポリアミドイミドと(b)層の少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミドとが積層されたものであり、多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が5〜20ppm/℃である多層ポリイミドフィルムであり、(a)層と(b)層の厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである多層ポリイミドフィルムは、線膨張係数が特定範囲にあり、耐熱性に優れた特定のポリイミドフィルムを基材フィルム(b)として使用して、その表面をポリアミドイミド(a)で積層することで基材フィルム(b)の保有する特性を保持し、表面物性をポリアミドイミド(a)保有の物性としたことで、耐熱特性に優れ、線膨張係数が特定範囲である多層ポリイミドフィルムとなり、このフィルムを基材フィルムとして用いた場合に、高温での金属薄膜や金属箔との接合に優れ、かつ高温時における変形・反り・歪みなどのないフレキシブルな金属積層板たとえばフレキシブルプリント回路板として極めて有用である。

Claims (6)

  1. 下記(a)層と(b)層とが少なくとも積層されてなる構成の多層ポリイミドフィルム。
    (a)層:ポリアミドイミド、
    (b)層:少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、および芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有するポリイミド。
  2. 多層ポリイミドフィルムの構成が(a)/(b)/(a)の三層構造である請求項1記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. (a)層のポリアミドイミドが、固形分換算で1質量%〜30質量%のエポキシ樹脂が配合されてなるポリアミドイミド組成物である請求項1又は2記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. (a)層と(b)層との厚さの比(a)/(b)が0.001〜0.5であり、(b)層の厚さが3〜50μmである請求項1〜3のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
  5. 多層ポリイミドフィルムの面方向での線膨張係数が5〜20ppm/℃である請求項1〜4いずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
  6. 溶液粘度が10Pa・s〜500Pa・sであるポリイミド前駆体溶液と溶液粘度が1Pa・s〜500Pa・sであるポリアミドイミド溶液を共キャストする工程を含む請求項1〜5の多層ポリイミドフィルム製法。
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