JP2007252682A - 視覚再生補助装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 患者の視覚を再生するための視覚再生補助装置1において、患者眼の視神経乳頭部に突き刺して使用するための複数の電極23と、電極から出力される刺激パルス信号の刺激条件によって認知される患者固有のフォスフェンの位置情報を刺激条件に対応させて複数記憶する記憶手段と、体外に置かれた撮像装置12によって得られた画像情報を,画像情報と記憶手段に記憶されたフォスフェンの位置情報とに基づいて刺激条件を設定して視神経を刺激するための刺激パルス信号情報に変換する刺激パルス信号変換手段で構成された画像処理装置100と、刺激パルス信号変換手段によって変換された刺激パルス信号用情報に基づいて各電極から刺激パルス信号を出力するように制御する制御手段22と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、患者の負担を抑制しつつ広い視野を確保することのできる視覚再生補助装置を提供することを技術課題とする。
(1) 患者の視覚を再生するための視覚再生補助装置において、患者眼の視神経乳頭部に突き刺して使用するための複数の電極と、該電極から出力される刺激パルス信号の刺激条件によって認知される患者固有のフォスフェンの位置情報を前記刺激条件に対応させて複数記憶する記憶手段と、体外に置かれた撮像装置によって得られた画像情報を,該画像情報と前記記憶手段に記憶されたフォスフェンの位置情報とに基づいて刺激条件を設定して視神経を刺激するための刺激パルス信号情報に変換する刺激パルス信号変換手段と、該刺激パルス信号変換手段によって変換された前記刺激パルス信号用情報に基づいて前記各電極から刺激パルス信号を出力するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の視覚再生補助装置は、前記刺激条件を変更・設定するため刺激条件設定手段を備えることを特徴とする。
(3) (1)の視覚再生補助装置において、前記刺激条件は、電流値、周波数、パルス幅、から選ばれる少なくとも2つの組合せからなることを特徴とする。
本実施形態の視覚再生補助装置1は、患者が使用する際に装着する体外装置10と、患者自身に予め手術によって埋植しておく体内装置20とから構成されている。体外装置10は、患者が掛けるバイザー11と、バイザー11に取り付けられるCCDカメラ等からなる撮影装置12と、外部デバイス13、一次コイルからなる送信手段14等にて構成されている。バイザー11は眼鏡形状を有しており、図1に示すように、患者の眼前に装着して使用することができるようになっている。また、撮影装置12はバイザー11の前面に取り付けてあり、患者に認知させる被写体を撮影することができる。なお、本実施形態では撮影装置12をバイザー11に取り付けて使用するものとしているが、これに限るものではなく、バイザー11を用いず撮影装置を患者に装着するようにしてもよいし、患者が向いている方向を撮影装置が撮影できる状態であればよい。
眼の網膜を構成する細胞や視神経に電気刺激を与えると、前述したフォスフェン(光覚、閃光)と呼ばれる擬似視覚が得られることが知られている。本発明は、電極を視神経乳頭に突き刺し、電極から所定の電気刺激パルス信号を出力させることにより、被検者にフォスフェンを認知させ、視覚の再生を図ろうとするものであるが、設置(埋植)される電極は視神経乳頭に対して任意の箇所である。このため、どのような刺激条件によって患者の視野内にどのようなフォスフェンが現れるのかを予め設定しておく必要がある。
一方、バッテリー110からの電力は、視神経を刺激するための電気刺激パルス信号用情報とともに重畳的に送信手段14から受信手段21へ電磁誘導によって送られる。なお、電気刺激パルス信号用情報と電力とは時分割的に送るようにしたものであってもよい。
本評価では、被検者として、網膜色素変性症により視覚を失った被験者に対して、視神経乳頭の任意の位置にある程度の間隔をあけて電極を刺しこみ、電気刺激パルス信号(以下、単に刺激信号と記す)を与えることにより、フォスフェンと呼ばれる光刺激によらない光覚(擬似視覚、眼内閃光)をどのように感じるかを記録した。以下で用いるフォスフェンは特に断りのない限り、電気刺激に基づくものとする。
被験者:成人男性(右眼 )、埋植電極(φ50μmの白金線3本を視神経乳頭の任意位置に設置)、不関電極(φ80μmの白金線1本を眼内硝子体中に留置)、なお、設置した3本の電極をそれぞれ電極a、電極b、電極cとする。
被験者に対して、設置した各電極a,b,cから刺激信号を個々に出力させ、フォスフェンの出現位置がどのように変化するかを評価した。なお、刺激信号の条件は、電流値70μA、パルス幅250μs、周波数は40Hz、の固定値とし、2相波の波形にて刺激信号の出力を行った。2相波は非対称型の2相性矩形波とし、陰極の波形条件(電流値70μA、パルス幅250μs、)に対して次の陽極の波形条件では電流値を5分の一、パルス幅5倍としてバランスした刺激信号とした。電極aからは7回、電極b,cは2回の刺激信号の出力を行った。刺激信号の出力毎に被験者から視野内のどの位置にフォスフェンが現れたかを聞き取り、マッピングを行った。その結果を図7に示す。
図7に示すように、電極の設置位置に対してフォスフェンの発生位置が異なる傾向が見られた。
評価1と同じ被験者に対して、電極aだけを用いて刺激条件を変化させて刺激を行い、フォスフェンの出現位置がどのように変化するかを評価した。なお、刺激信号の条件は、周波数40Hzにおいては、電流値50μA−パルス幅350μs(2回)、電流値70μA−パルス幅250μs(7回 評価条件1のもの)、電流値100μA−パルス幅180μs(1回)、電流値150μA−パルス幅120μs(2回)、の4種類の刺激条件とし、周波数20Hzにおいては、電流値30μA−パルス幅580μs(1回)、電流値70μA−パルス幅250μs(1回)、の2種類の刺激条件として、刺激信号の出力(非対称型2相波)を行った。刺激信号の出力毎に被験者から視野内のどの位置にフォスフェンが現れたかを聞き取り、マッピングを行った。その結果を図8に示す。
図8に示すように、同じ電極(電極a)からの刺激信号であっても刺激条件を変えることによりフォスフェンの発生位置が変化する傾向が見られた。
評価1と同じ被験者に対して、電極a,b,cから2個を組み合せて同時刺激を行い、フォスフェンの出現位置がどのように変化するかを評価した。なお、刺激信号の条件は、周波数40Hz、電流値70μA−パルス幅250μsの固定値とし、電極a,bの同時刺激(2回)、電極b,cの同時刺激(3回)にて刺激信号の出力(非対称型2相波)を行った。刺激信号の出力毎に被験者から視野内のどの位置にフォスフェンが現れたかを聞き取り、マッピングを行った。その結果を図9に示す。
図9に示すように、2個の電極からの同時刺激を行う場合に、電極の組み合せを帰ることによりフォスフェンの発生位置が変化する傾向が見られた。
図7〜9に示すように、刺激条件を種々変えることにより、フォスフェンの発生位置が変化することが確認された。このような異なる刺激条件に対するフォスフェンの発生位置の変化は、個々の患者や電極の設置位置(埋植位置)によって異なると考えられる。なお、刺激条件によっては良く限局している(再現性が高い)、広めの範囲にばらつく(同一刺激条件での再現性が低い)ケースがみられたが、刺激条件の選択により、限局性を高めることができる。また、広めの範囲にばらつくような刺激条件の場合には、一定の範囲内(例えば2時〜3時の範囲)に限局してフォスフェンが再現されたとみることもできるし、そのような刺激条件を採用しなくてもよい。
10 体外装置
12 撮影装置
13 外部デバイス
14 送信手段
20 体内装置
21 受信手段
22 情報処理制御部
23 電極
24 信号線
100 画像処理装置
101 制御部
102 パルス信号変換手段
103 刺激条件設定部
104 記憶部
Claims (3)
- 患者の視覚を再生するための視覚再生補助装置において、患者眼の視神経乳頭部に突き刺して使用するための複数の電極と、該電極から出力される刺激パルス信号の刺激条件によって認知される患者固有のフォスフェンの位置情報を前記刺激条件に対応させて複数記憶する記憶手段と、体外に置かれた撮像装置によって得られた画像情報を,該画像情報と前記記憶手段に記憶されたフォスフェンの位置情報とに基づいて刺激条件を設定して視神経を刺激するための刺激パルス信号情報に変換する刺激パルス信号変換手段と、該刺激パルス信号変換手段によって変換された前記刺激パルス信号用情報に基づいて前記各電極から刺激パルス信号を出力するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項1の視覚再生補助装置は、前記刺激条件を変更・設定するため刺激条件設定手段を備えることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項1の視覚再生補助装置において、前記刺激条件は、電流値、周波数、パルス幅、から選ばれる少なくとも2つの組合せからなることを特徴とする視覚再生補助装置。
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