JP2007252370A - Il−4初期発現系トランスジェニック非ヒト動物およびその利用 - Google Patents

Il−4初期発現系トランスジェニック非ヒト動物およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】サイトカインの系列特異的発現の解明に役立つモデル動物およびその利用を提供する。
【解決手段】IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物、前記発現ベクター、前記非ヒト動物を同種の他の遺伝子改変動物と交配して得られるモデル動物、前記ヒト動物またはモデル動物から得られる組織または細胞、前記非ヒト動物または前記モデル動物を用いることを特徴とするTh2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、IL−4初期発現系トランスジェニック非ヒト動物およびその利用に関する。詳しくは、Th2サイトカイン産生の解明に役立つモデル動物および生体内においてIL−4を産生する細胞の可視化に関する。
ナイーブCD4T細胞は、重複しないサイトカイン発現パターンに基づいて少なくとも2つの異なるサブセットに分けられるエフェクターT細胞へとコミットする。Tヘルパー1型(Th1)細胞は、細胞内病原体およびウイルスに対する細胞免疫応答でIL−2、IFN−γおよびTNF−αを分泌する。これに対し、Tヘルパー2型(Th2)細胞は、主として細胞外病原体に対する液性免疫応答でIL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13を産生する。
IL−4およびIL−5は、アトピーやアレルギー症状に密接に関係する肥満細胞および好酸球によるIgEが介在する免疫応答を調節することが知られている。このようなTh1およびTh2細胞間の重複しないサイトカインの発現は、分化の過程においてこれらの遺伝子の転写活性化および転写抑制の遺伝的状態により制御されている。il13/il4遺伝子座でのプログラムされたクロマチン構造の修飾は、Th2サイトカイン遺伝子の系列特異的転写能と強固に関連している。クロマチンの修飾は、アクチベータおよびリプレッサーにとって不連続の転写可能部位を賦与する。この部位は、DNA分解酵素Iに対する感受性がハイパーセンシティブ(HS)として特徴付けられている(非特許文献1)。
il13/il4遺伝子座は、マウスでは第11染色体、ヒトでは第5染色体上に、よく保存された遺伝子配置で位置しており、両遺伝子は同じ方向に転写される。HS部位のクラスターは、系列特異性および活性化依存性に基づいて、il13/il4遺伝子座で特徴付けられている。HSS1、HSS2、HS0、HS−1、HS−2、HS−3およびHS5は、Th2特異的な恒常的HS部位であり、HS−5aはTh2特異的かつ活性化依存的部位である(非特許文献1および2)。HSS3およびHS−4は、ナイーブ細胞、Th1およびTh2細胞に共通して観察される恒常的HS部位である。ゲノム配列の比較交差種分析により、非コード化配列の相当量の保存が示されている。il13/il4遺伝子座でのHS部位は、保存された部位と相関していることが多い。保存された非コード化配列(CNS)−1および2は、それぞれHSS1/2およびHS−5に相当する(非特許文献3)。CNS−1またはCNS−2(HS−5aおよびCNS−2)のいずれかを欠失しているマウスは、Th2サイトカインを分泌する能力を著しく低下させている。しかしながら、両方を欠損したマウスはTh2サイトカインの産生をシャットダウンすることはできず(非特許文献4および5)、このことから、どちらか一方のエレメント単独ではTh2サイトカイン遺伝子の系列特異的転写能力を制御することは不十分であることが示唆される。したがって、HS部位の概要および遺伝子欠損実験は系列特異的遺伝子発現におけるこれらのエレメントの機能的役割を解釈するのに不十分である。
il13/il4遺伝子座の異なる遺伝子断片により制御されるIL−4プロモーター−ルシフェラーゼレポーター構築物を用いたトランスジェニックアプローチにより、系列特異的Th2サイトカイン発現には複数の制御エレメントの協調関係が必要であることが示唆される。個々のエレメント(HSS1/2、HS−2、HS−4またはHS−5a/5)は、正常なIL−4発現を回復させるのに不十分である(非特許文献6)。Leeらは、HS−2は肥満細胞特異的エンハンサーとして最初にキャラクタライズされたけれども、この領域が系列特異的エンハンサーであることを記載している(非特許文献7および8)。il13/il4遺伝子座の強力な制御エレメントはコピー数依存的発現を伝えないので、いずれも遺伝子座制御領域(LCR)の基準を満足しない。最近の研究では、Rad50遺伝子の3’末端のHS部位であるRHS7がLCRエレメントとして役割を果たしていることが報告されている(非特許文献9)。RHS7の遺伝子破壊は、CNS−1欠損マウスで観察された性質と同様に、il13/il4遺伝子座でサイトカインの産生を減少させるが除くことはできなかった(非特許文献10)。これらの結果は、RHS7もまた系列特異的制御エレメントであり、他のエレメントとの協調関係を必要とするように思われることを示唆する。しかしながら、これらの制御エレメントの役割は、未だ不明のままである。これらの以前の知見は、さらなる疑問を生じさせる。すなわち、系列特異的発現は多数の制御エレメントの協調関係により制御されたのか、あるいは各エレメントが別々の細胞かつ異なる系列で異なる役割を有するのかである。
肥満細胞は、骨髄由来造血前駆細胞から派生し、全ての血管新生した組織に移動し、そこでその成熟を完了する(非特許文献11、12)。結合織型肥満細胞は通常、上皮、血管、神経、気道および消化管、ならびに粘液産生性の腺の近くに存在しているが、他の血管新生した組織中に再循環しない(非特許文献13)。このタイプの肥満細胞は、未成熟骨髄由来肥満細胞と形態学的に区別できる(非特許文献14、15)。好塩基球は肥満細胞といくつかの特性を共有しているが、これらの2系列はセロトニン、ヘパリン、エラスターゼ、アラキドン酸代謝物(PGE2およびPGD2)および血小板活性化因子(PAF)などを含む介在物質に基づき区別される。セロトニン、PGおよびPAFは、肥満細胞のみから分泌される(非特許文献11)。肥満細胞は通常長寿命であり、一方好塩基球は骨髄でそれらの成熟を完了し、通常血中を短い寿命で循環する(非特許文献11)。IL−4およびIL−13は、両系列により産生されるサイトカインであるが(非特許文献16)、これらのサイトカインの産生に対して共通の転写活性化メカニズムを共有しているというはっきりとした証拠はない。
Agarwal, S., et al., Immunity 9, pp.765-775, 1998 Agarwal, S., et al., Immunity 12, pp.643-652, 2000 Loots, G. G., et al., Science 288, pp.136-140, 2000 Solymar, D. C., et al., Immunity 17, pp.41-50, 2002 Mohrs, M., et al., Immunity 15, pp.303-311, 2001 Lee, G. R., et al., Immunity 14, pp.447-459, 2001 Henkel, G., et al., Pro. Natl. Aca. Sci. 91, pp.7737-7741, 1994 Hural, J. A. et al., J. Immunol. 165, pp.3239-3249, 2000 Lee, G. R., et al., Immunity 19, pp.145-153, 2003 Lee, G. R., et al., Nat. Immunol. 5, pp.42-48, 2005 Galli, S. J., et al., Annu.Rev.Immunol. 23, 749-786, 2005 Galli, S. J., Curr. Opin. Hematol. 7, 32-39, 2000 Wasserman, S. I., J. Allergy Clin. Immunol. 86, 590-593, 1990 Otsu, K., et al., J. Exp. Med. 165, 615-627, 1987 Nakano, T., et al., J. Immunol. 138, 544-549, 1987 Voehringer, D., et al., J. Biol. Chem. 279, 54117-54123, 2004
本発明の目的は、サイトカインの系列特異的発現の解明に役立つモデル動物およびその利用を提供することにある。
本発明者らは、トランスジェニックアプローチを用いて、il4遺伝子座で高度に保存された非コード化配列のcis作用活性を調べた。Th2特異的HS部位であるHS−Vに相当するCNS−2は、CD62LloCD44hiメモリー表現型(MP)CD4T細胞およびNKT細胞で初期のIL−4産生を調節した。CNS−2で調節されたT細胞の枯渇は、二次刺激においてTh2サイトカイン産生の明確な減少に至った。したがって、CNS−2領域は、Notchシグナル伝達の厳密なモジュレーターであるRBP−Jκに関する複数の推定結合部位を含む。Notchは、種々の組織において細胞の運命決定を調節する進化上保存された受容体である。Notchに対するリガンド結合により、一連のプロテアーゼ分解過程に繋がる(Maillard, I., et al., Immunity 19, pp.781-791 2003)。Notchの切り離された細胞内ドメインは、核に移行し、DNA結合タンパク質RBP−Jκとの会合を介して、転写活性化因子として作用する。哺乳動物Notchファミリーは4つのメンバーからなり、そのすべてのメンバーは、転写メディエーターとしてRBP−Jκを利用する(Honjo, T., Gene Cells 1, pp.1-9)。本発明者らおよび他の研究者は、RBP−JκのT細胞特異的欠損がAPCsにより誘導されるTh2への分化の損失につながるとすでに報告している(Amsen, D., et al., Cell 117, pp.515-526, 2004)。本発明において、RBP−Jκ欠損マウスは、MP CD4T細胞およびNKT細胞からの初期のIL−4産生を排除し、このことが次いで、Th2の発生の損失を導くことを示した。さらに、MP CD4T細胞およびNKT細胞におけるNotch活性化は、il4遺伝子座でRBP−JκのCNS−2領域への結合を介して初期のIL−4産生を調節することを解明し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本願発明は、以下に示す通りである。
〔1〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
〔2〕前記遠位3’エンハンサーが保存された非コード化配列2中に存在するDNA分解酵素I高感受性部位5を必須要素とするものである前記〔1〕に記載の非ヒト動物。
〔3〕前記DNA分解酵素I高感受性部位5が配列番号1に記載の11541〜12954位の塩基配列からなるものである、前記〔2〕に記載の非ヒト動物。
〔4〕前記遠位3’エンハンサーがNKT細胞、CD44hiメモリー表現型CD4T細胞、肥満細胞および好塩基球で恒常的に活性型である前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔5〕ナイーブT細胞のTh2細胞への分化への生体内単一細胞モデルとして使用される前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔6〕Th2サイトカインが関与する疾患のモデルとして使用される前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔7〕肥満細胞または好塩基球における動態のモニターとして使用される前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔8〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
〔9〕結合織型肥満細胞における動態のモニターとして使用される前記〔8〕に記載の非ヒト動物。
〔10〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
〔11〕好塩基球における動態のモニターとして使用される前記〔10〕に記載の非ヒト動物。
〔12〕前記レポーター遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子である前記〔1〕〜〔11〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔13〕前記動物が実験動物または家畜である前記〔1〕〜〔12〕いずれかに記載の非ヒト動物。
〔14〕前記実験動物がマウスである前記〔13〕に記載の非ヒト動物。
〔15〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記遠位3’エンハンサーがNKT細胞およびCD44hiメモリー表現型CD4T細胞で恒常的に活性型である発現ベクター。
〔16〕前記遠位3’エンハンサーが保存された非コード化配列2中に存在するDNA分解酵素I高感受性部位5を必須要素とするものである前記〔15〕に記載の発現ベクター。
〔17〕前記DNA分解酵素I高感受性部位5が配列番号1に記載の11541〜12954位の塩基配列からなるものである、前記〔16〕に記載の発現ベクター。
〔18〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記イントロン様エンハンサーが結合織型肥満細胞で恒常的に活性型である発現ベクター。
〔19〕前記イントロン様エンハンサーが配列番号1に記載の7171〜10394位の塩基配列からなるものである、前記〔18〕に記載の発現ベクター。
〔20〕IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記近位3’エンハンサーが好塩基球で恒常的に活性型である発現ベクター。
〔21〕前記近位3’エンハンサーが配列番号1に記載の13091〜17538位の塩基配列からなるものである、前記〔20〕に記載の発現ベクター。
〔22〕前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物を同種の他の遺伝子改変動物と交配して得られるモデル動物。
〔23〕前記モデルが免疫疾患モデルである前記〔22〕に記載のモデル動物。
〔24〕前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物または前記〔22〕もしくは〔23〕に記載のモデル動物から得られる組織または細胞。
〔25〕前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物または前記〔22〕もしくは〔23〕に記載のモデル動物を用いることを特徴とするTh2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法。
〔26〕前記疾患が喘息、アトピー、アレルギー性結膜炎またはアレルギー性鼻炎である前記〔25〕に記載のスクリーニング方法。
〔27〕下記工程:
(a)前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物または前記〔22〕もしくは〔23〕に記載のモデル動物に被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物におけるレポーターの発現量を調べ、被験物質を投与しない動物における発現量と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインの産生を低下させうる被験物質を選択する工程を含む、Th2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法。
〔28〕下記工程:
(a)前記〔24〕に記載の組織または細胞と被験物質とを接触させる工程、
(b)前記被験物質を接触させた組織または細胞におけるレポーターの発現量を調べ、被験物質を接触させない組織または細胞における発現量と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインの産生を調節する被験物質を選択する工程を含む、ナイーブT細胞がTh2細胞へと分化することを調節する物質のスクリーニング方法。
〔29〕下記工程:
(a)前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物または前記〔22〕もしくは〔23〕に記載のモデル動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞におけるNKT細胞またはメモリーT細胞の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程を含む、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法。
〔30〕下記工程:
(a)前記〔1〕〜〔14〕いずれかに記載の非ヒト動物または前記〔22〕もしくは〔23〕に記載のモデル動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞における肥満細胞または好塩基球の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、肥満細胞または好塩基球の抗原刺激による炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程を含む、肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物の解析により、CNS−2領域がNKT細胞、メモリー表現型T細胞、肥満細胞および好塩基球でも機能的であり、これらの細胞における初期のIL−4産生において重要であることが初めて解明された。よって、本発明のトランスジェニック非ヒト動物およびモデル動物によると、単一細胞レベルでIL−4のcis作用活性の役割を解析することが可能であり、il4遺伝子座でRBP−JκのCNS−2領域への結合を介して初期のIL−4産生がもたらすナイーブT細胞のTh2細胞への分化を含むT細胞系列の解明が可能であり、さらには、肥満細胞または好塩基球における動態のモニターとして使用することができる。
また、本発明のトランスジェニック非ヒト動物の解析により、イントロン様エンハンサーが腹腔内由来肥満細胞における特異的エンハンサーであることが解明されたので、イントロン様エンハンサーがレポーター遺伝子とともに導入された本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、腹腔内由来肥満細胞における動態のモニターとして有用である。
また、本発明のトランスジェニック非ヒト動物の解析により、近位3’エンハンサー、特にHS4エレメントが好塩基球における特異的エンハンサーであることが解明されたので、近位3’エンハンサー(HS4エレメント)がレポーター遺伝子とともに導入された本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、好塩基球における動態のモニターとして有用である。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物において、レポーター遺伝子としてGFP遺伝子等の蛍光物質をコードする遺伝子を用いている場合、GFPを指標として、それぞれ対象となる細胞の動態を生体レベルで追跡することが可能となることから、薬効の評価などに使用可能である。
さらに、前記初期のIL−4産生は、Th2免疫応答のプライミングにおいて重要であることが示されたので、遠位3’エンハンサーにより駆動するレポーター遺伝子の発現を下げる化合物を選択することで、Th2免疫応答を初期の段階で抑制することができる。前記動物またはその派生物である組織もしくは細胞を用いる本発明のスクリーニング方法によると、Th2サイトカインが関与する疾患を改善する薬剤であって、作用機序の明確な薬剤の開発に貢献することができる。また、本発明の組織もしくは細胞を用いるスクリーニング方法によると、ナイーブT細胞のTh2細胞への分化を調節する物質、NKT細胞もしくはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する物質または肥満細胞(腹腔内由来肥満細胞)もしくは好塩基球の炎症部位への浸潤を制御する物質をインビトロで容易にスクリーニングすることができる。
本発明は、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物を提供する。
また、本発明は、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物を提供する。当該非ヒト動物は、結合織型肥満細胞における動態のモニターとして好適に使用されるものである。以下、当該非ヒト動物のみに限定して言及する場合、「結合織型肥満細胞用トランスジェニック動物」と称する。ここで、結合織型肥満細胞とは、腹腔内または皮内に散在する成熟型の肥満細胞をいう。
また、本発明は、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物を提供する。当該非ヒト動物は、好塩基球における動態のモニターとして好適に使用されるものである。以下、当該非ヒト動物のみに限定して言及する場合、「好塩基球用トランスジェニック動物」と称する。
本発明において、「トランスジェニック」とは、外因性のIL−4遺伝子のプロモーター領域の下流に結合させたレポーター遺伝子を染色体遺伝子に導入することをいう。また、このような改変がなされた動物およびその子孫をトランスジェニック動物と称する。
本発明において導入する発現ベクターは、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含むものである。本発現ベクターは、市販のクローニングまたは形質転換用ベクターを基本として作製されたものであってもよい。本発現ベクターは、本発明の目的を達成しうる限り、前記遺伝子以外にベクターに由来する任意の塩基配列またはクローニングの過程で付加される制限酵素切断部位から生じる任意の塩基配列などを含んでもよい。
本発明において、結合織型肥満細胞用トランスジェニック動物作製のために導入する発現ベクターは、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含むものである。本発現ベクターは、市販のクローニングまたは形質転換用ベクターを基本として作製されたものであってもよい。本発現ベクターは、本発明の目的を達成しうる限り、前記遺伝子以外にベクターに由来する任意の塩基配列またはクローニングの過程で付加される制限酵素切断部位から生じる任意の塩基配列などを含んでもよい。
本発明において、好塩基球用トランスジェニック動物作製のために導入する発現ベクターは、IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含むものである。本発現ベクターは、市販のクローニングまたは形質転換用ベクターを基本として作製されたものであってもよい。本発現ベクターは、本発明の目的を達成しうる限り、前記遺伝子以外にベクターに由来する任意の塩基配列またはクローニングの過程で付加される制限酵素切断部位から生じる任意の塩基配列などを含んでもよい。
前記IL−4遺伝子は、導入対象と同種の動物由来の塩基配列を有する遺伝子であってもよく、他の動物由来の塩基配列を有する遺伝子であってもよい。IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターならびに、遠位3’エンハンサー、イントロン様エンハンサーおよび近位3’エンハンサーから選ばれる特異的エンハンサー(これら3つの領域をまとめてIL−4遺伝子の「プロモーター領域」と称する場合もある)は、5’エンハンサー、プロモーターおよび特異的エンハンサー(遠位3’エンハンサー、イントロン様エンハンサーまたは近位3’エンハンサー)がこの順に5’から3’に連結されていることが好ましい。前記2種のエンハンサーとプロモーターとの間には、本発明の目的を達成しうる限り、スペーサー配列が介在していてもよい。スペーサー配列としては、前記したように、本発明の発現ベクターに含まれる任意の塩基配列があげられる。
前記5’エンハンサーとは、il4遺伝子座で前記プロモーターの5’側に位置し、当該
プロモーターからの転写を促進する領域をいい、具体的には、DNA分解酵素I高感受性部位1(HS1)を含む領域である。
前記プロモーターとは、il4遺伝子座でIL−4をコードする遺伝子の転写開始部位を決定し、その頻度を直接的に調節する領域をいう。
前記遠位3’エンハンサーとは、il4遺伝子座でIL−4をコードする遺伝子の3’側に位置し、前記プロモーターからの転写を促進する領域であって、IL−4をコードする遺伝子から見て遠位の位置に存在するものをいい、具体的には、保存された非コード化配列2(CNS−2)を構成要素として含むことが好ましい。
前記イントロン様エンハンサーとは、il4遺伝子座でIL−4の第2イントロン内に位置し、本発明により初めて見出された腹腔内肥満細胞特異的に前記プロモーターからの転写を促進する領域であり、具体的には、DNA分解酵素I高感受性部位2(HS2)を構成要素として含むことが好ましい。
前記近位3’エンハンサーとは、il4遺伝子座でIL−4をコードする遺伝子の3’側に位置し、本発明により初めて見出された好塩基球特異的に前記プロモーターからの転写を促進する領域であって、IL−4をコードする遺伝子から見て近位の位置に存在するものをいい、具体的には、DNA分解酵素I高感受性部位4(HS4)を構成要素として含むことが好ましい。
前記プロモーター領域は、由来する動物のil4遺伝子座においてそれらの位置が決定されており、当該領域の塩基配列に基づいてそれらの塩基配列も適宜決定することができる。また、il4遺伝子座は、種間でよく保存された遺伝子配置で位置していることが知られているので、ゲノム解析が進んでいるヒト、マウス等のゲノム情報に基づいて、他の動物のil4遺伝子座でのプロモーター領域を決定することもできる。
配列番号1は、マウスil4遺伝子座を含む染色体DNAの塩基配列の一実施態様を示す。配列番号1はC57BL/6マウス由来の塩基配列であり、第6862位のアデニン(A)が、IL-4タンパク質の第1番目のメチオニンをコードする開始コドン(ATG)中のアデニンに相当する。以下、本明細書中、第6862位のアデニンの位置を「+1」、第6861位のグアニンの位置を「−1」として記載する場合がある。ヒトや他の系統のマウスにおける対応領域の塩基配列も公知のゲノム情報を用いて得ることができる。
マウスIL−4のプロモーター領域の配列については、International Immunology, vol.6, No.2, pp.179-188, 1994、The Journal of Biological Chemistry, vol.269, No.30, pp.19441-19446, 1994等に開示されている。一実施態様において、マウスIL−4遺伝子の場合、配列番号1に記載の塩基配列において、
5’エンハンサーとしては1414〜5999位(第6861位のグアニンの位置を「−1」として、−5448〜−863)からなる塩基配列を、
プロモーターとしては6035〜6798位(第6861位のグアニンの位置を「−1」として、−827〜−64)からなる塩基配列を、
遠位3’エンハンサーとしては、18158〜22495位(第6862位のアデニンの位置を「+1」として+11297〜+15634)からなる塩基配列を、
イントロン様エンハンサーとしては、7171〜10394位(第6862位のアデニンの位置を「+1」として+310〜+3533)からなる塩基配列を、
近位3’エンハンサーとしては、13091〜17538位(第6862位のアデニンの位置を「+1」として+6230〜+10677)からなる塩基配列を、
例示することができる。
前記プロモーター領域の各塩基配列は、前記特定された位置の配列に限定されるものではなく、本発明の目的を達成しうる限りにおいて、前記特定の配列から5’側または3’側およびその両側に位置する1〜数塩基(例えば1〜1000塩基、好ましくは1〜500塩基、より好ましくは1〜100塩基、更に好ましくは1〜30塩基、より一層好ましくは1〜10塩基)ずれた配列をさらに含んでいてもよく、前記特定の配列において1〜数塩基(例えば1〜1000塩基、好ましくは1〜500塩基、より好ましくは1〜100塩基、更に好ましくは1〜30塩基、より一層好ましくは1〜10塩基)の置換、欠失、挿入等の変異が導入された配列であってもよい。
ここで、本発明において、遠位3’エンハンサーは、CNS−2(例えば、配列番号1に記載の塩基配列において11541〜12954位)を含むことが好ましく、特にCNS−2中のDNA分解酵素I高感受性部位5(HS5)(例えば、配列番号1に記載の塩基配列において11541〜12954位)は必須である。一方、遠位3’エンハンサーにおいて、HS5の5’側に位置するDNA分解酵素I高感受性部位5a(HS5a)(例えば、配列番号1に記載の塩基配列において11297〜11540位)は必須ではない。したがって、本発明において、置換、欠失、挿入等の変異が導入された遠位3’エンハンサーを使用する場合は、HS5が保存されるように遠位3’エンハンサーへ変異が導入されることが好ましい。例えば、後述の実施例において示されるように、配列番号1に記載の塩基配列中の18158〜22495位からなる遠位3’エンハンサーにおいては、その5’側の少なくとも244塩基を欠損させても本発明の目的を達成することが可能であるが、5’側の1657塩基を欠損させると本発明の目的を達成することができない。
前記プロモーター領域には、前記プロモーターの下流かつ前記遠位3’エンハンサーの上流にレポーター遺伝子が連結されている。ここで、レポーター遺伝子とは、プロモーターまたはエンハンサーの転写活性を調べるために組み込まれる目印用の遺伝子をいい、公知のあらゆるレポーター遺伝子を制限なく用いることができる。検出が簡単で定量化も可能であるという観点から、レポーター遺伝子は発光タンパク質遺伝子または蛍光タンパク質遺伝子が好ましく、より好ましくは蛍光タンパク質遺伝子である。
前記蛍光タンパク質としては、GFP、YFP、CFP、BFP、Venusなどのオワンクラゲ由来蛍光タンパク質およびそれらの類似体、ウミシイタケ由来蛍光タンパク質およびその類似体、DsRed、HcRed、AsRed、ZsGreen、ZsYellow、AmCyan、AcGFP、Kaedeなどのサンゴ由来蛍光タンパク質およびそれらの類似体などがあげられる。これら蛍光タンパク質およびそれらの類似体ならびに当該タンパク質をコードする核酸は、公知である。
前記レポーター遺伝子は、公知の塩基配列に基づいて、常法により調製することができる。
本発明におけるレポーターカセットは、前記プロモーター領域およびレポーター遺伝子から構成されるものであり、構成要素である5’エンハンサー、プロモーター、レポーター遺伝子および特異的エンハンサー(遠位3’エンハンサー、イントロン様エンハンサーまたは近位3’エンハンサー)は、直接結合していてもよく、本発明の目的を達成しうる限りにおいて、任意の塩基配列が挿入されていてもよい。かかる挿入配列としては、例えば、クローニングの過程で付加される制限酵素切断部位から生じる塩基配列などがあげられ、通常、1〜5000塩基程度の長さを有するものである。
本発明の遺伝子導入用発現ベクターの基本骨格となるベクターは特に限定されず、形質転換を行う細胞(例えば、大腸菌)中で自己複製可能なものであればよい。例えば、市販のpBR322、pBluescript等が使用可能である。
本発明の発現ベクターは、前記プロモーター領域および前記レポーター遺伝子を自体公知の方法により前記基本骨格となるベクターにクローニングすることにより得られる。このようにして得られた発現ベクターは、シークエンス等により所望の位置に所望の方向でクローニングされていることを確認することができる。
前記発現ベクターの導入は、トランスジェニック動物を作出するために通常用いられる方法が限定なく用いられ、例えば、発現ベクターを動物の受精卵に注入する方法が一例としてあげられる。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物には、前記プロモーター領域およびレポーター遺伝子が対立遺伝子の両方に導入されたホモ接合動物、対立遺伝子の片方に導入されたヘテロ接合動物およびそれらの出生前の胎仔も含まれる。前記ホモ接合動物は、前記ヘテロ接合動物を交配することにより得られるものである。
用いられる非ヒト動物(本発明においては、単に動物と略す場合がある。)としては、ヒト以外の動物であれば特に限定されるものではないが、ヒトに類似した免疫機構を有する動物が好ましい。好適な動物としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、サル等の実験動物ならびにウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の家畜があげられるが、遺伝子工学的に利用が容易であるところから、マウスがより好ましい。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、自体公知の方法により製造することができる。次に、本発明のトランスジェニック非ヒト動物の作出方法について説明する。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、例えば下記の工程(a)〜(c)を含む方法により製造することができる。
(a)前記発現ベクターを調製する工程;
(b)前記発現ベクターを受精卵に導入し、遺伝子導入受精卵を仮親動物に移植する工程;
(c)前記動物から出生した子孫からトランスジェニック動物を選別する工程;および
(d)前記選別した動物(ファウンダー)から系統を樹立する工程。
前記工程(a)は、本発明の発現ベクターにおいて記載した通りである。得られた発現ベクターは、制限酵素等により線状化して工程(b)に供することが好ましい。
前記工程(b)において、前記発現ベクターを受精卵に導入する方法は、例えば、交配後の雌の卵管を洗浄して受精卵を採取し、精子または卵子由来の前核にマイクロインジェクション法により前記発現ベクターを直接注入する方法があげられる。この受精卵を偽妊娠させた仮親の輸卵管に移植し、子宮内で発生を続けさせる。
前記工程(c)において、工程(b)で移植した動物が出生した子孫からトランスジェニック動物を選別する方法としては、例えば、注入した発現ベクターが染色体DNAに組み込まれているか否かについて、産仔の尾部より分離抽出した染色体DNAをサザンブロット法またはPCR法によりレポーター遺伝子の組み込みを確認する方法があげられる。レポーター遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合、レポーター遺伝子が発現している生体の部位に紫外線等を照射して蛍光を調べることにより確認することができる。
前記工程(d)において、工程(c)で選別した動物(ファウンダー)から遺伝的背景の均一な系統を樹立する方法としては、発現ベクターが組み込まれた動物とC57BL/6、FVB、BALB/cなどの近交系の野生型動物とを戻し交配をする方法があげられる。
このようにして得られた本発明のトランスジェニック非ヒト動物をさらに交配して得られる子孫動物、後述する同種の他の遺伝子改変動物と交配して得られるモデル動物、これら動物に由来する組織または細胞も本発明に含まれる。前記組織としては、すべての組織があげられ、リンパ節、胸腺、脾臓、脳、神経、骨髄、筋肉、心臓、腎臓、肝臓、血球およびその前駆体、幹細胞などが好ましい。また、前記細胞としては、前記組織中に含まれる細胞、組織中から単離された細胞、これら細胞から樹立した細胞株があげられ、具体的にはリンパ球、造血幹細胞、骨髄細胞、末梢血単核細胞、T細胞(ナイーブT細胞、メモリー表現型T細胞、NKT細胞、制御性T細胞、Th1細胞、Th2細胞)、肥満細胞、好塩基球などが好ましい。
一実施態様において、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、IL−4遺伝子プロモーター領域、特に遠位3’エンハンサーによってレポータータンパク質の発現が調節されている。本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、恒常的にNKT細胞およびメモリー表現型(MP)CD4T細胞でIL−4を発現している状態で、様々な用途に利用することができる。好ましくは、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、ナイーブT細胞のTh2細胞への分化への生体内単一細胞モデル、Th2サイトカインが関与する疾患のモデル、または肥満細胞もしくは好塩基球における動態のモニターとして使用される。
Th2サイトカインが関与する疾患のモデルとして使用する場合、本発明のトランスジェニック動物を同種の他の遺伝子改変動物と交配して得られるモデル動物を作出して用いることもできる。本発明は、かかるモデル動物を提供する。
このようにして得られるモデル動物としては、免疫疾患モデル、アレルギーモデルが好ましい。
別の実施態様において、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、IL−4遺伝子プロモーター領域、特にイントロン様エンハンサーによってレポータータンパク質の発現が調節されている。本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、恒常的に腹腔内由来肥満細胞でレポータータンパク質を発現している状態で、様々な用途に利用することができる。好ましくは、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、腹腔内由来肥満細胞における動態のモニターとして使用される。
別の実施態様において、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、IL−4遺伝子プロモーター領域、特に近位3’エンハンサーによってレポータータンパク質の発現が調節されている。本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、恒常的に好塩基球でレポータータンパク質を発現している状態で、様々な用途に利用することができる。好ましくは、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、好塩基球における動態のモニターとして使用される。
本発明は、前記トランスジェニック非ヒト動物または前記モデル動物を用いることを特徴とするTh2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法(スクリーニング方法I)を提供する。前記疾患は、喘息、アトピー、アレルギー性結膜炎またはアレルギー性鼻炎であることが好ましい。
[スクリーニング方法I]
本発明のスクリーニング方法Iは、具体的には、下記工程を含む:
(a)トランスジェニック非ヒト動物またはモデル動物に被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物におけるレポーター遺伝子の発現量を調べ、被験物質を投与しない動物における発現量と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインが関与する疾患の症状を軽減させる被験物質を選択する工程。
前記(a)において、被験物質とは、いかなる公知物質および新規物質であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、蛋白質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分などがあげられる。また、これらの化合物の2種以上の混合物を試料として供することもできる。
前記被験物質を本発明の動物に投与する方法は特に限定されるものではないが、経口的または非経口的に投与され得る。非経口的投与経路としては、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内等の全身投与、または気道内、標的細胞付近への局所投与等があげられる。
前記被験物質の投与量は、有効成分の種類、分子の大きさ、投与経路、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって適宜設定することができる。
前記工程(b)において、被験物質を投与した動物におけるレポーター遺伝子の発現量を調べる方法としては、各レポーター遺伝子に応じて自体公知の方法により行うことができる、例えば、蛍光タンパク質の場合、各蛍光タンパク質に応じた励起波長の光を照射して検出される蛍光を測定することにより行う方法などがあげられる。
前記工程(b)において、被験物質を投与しない動物におけるレポーター遺伝子の発現量も同時にまたは別途調べ、投与動物の結果と非投与動物の結果とを比較する。
前記工程(c)において、工程(b)で得られた比較結果に基づき、Th2サイトカインが関与する疾患の症状を軽減させる被験物質を選択する。選択する基準は、レポーター遺伝子の発現が低下していることを指標にすればよいが、公知の免疫抑制剤における結果と同等以上であることを指標にすることが好ましい。
このようにして選択された被験物質は、IL−4プロモーターまたはエンハンサーを制御する転写因子に特異的に作用して、作用機序の明確な治療薬の候補薬となりうる。
[スクリーニング方法II]
また、本発明は、下記工程を含むナイーブT細胞のTh2細胞への分化を調節する物質のスクリーニング方法(スクリーニング方法II)を提供する。
(a)本発明の組織または細胞と被験物質とを接触させる工程、
(b)前記被験物質を接触させた組織または細胞におけるレポーターの発現量を調べ、被験物質を接触させない組織または細胞における発現量と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインの産生を調節する被験物質を選択する工程。
工程(a)において、被験物質は、スクリーニング方法Iと同様のものがあげられる。
工程(a)において、本発明の組織または細胞と被験物質との接触方法は、大別して、本発明の動物の体内で接触させる(in vivo)方法と当該動物の体外で接触させる(in vitro)方法とがある。in vivo法は、スクリーニング方法Iの工程(a)と同様である。
in vitro法は、本発明の動物から採取した組織または細胞を用いることができる。用いる細胞または組織の種類は、好ましくは、NKT細胞、メモリー表現型T細胞、分化させたTh2細胞、肥満細胞、好塩基球または当該細胞を含む組織などである。被験物質との接触方法としては、例えば、前記組織または細胞を適当な培地中に入れ、約25〜40℃のインキュベーター中で生存または培養させ、次に、前記培地中に被験物質を添加し、インキュベートを続けることで接触がなされうる。
前記被験物質の添加量は、有効成分の種類、培地に対する溶解性、組織または細胞の感受性等によって適宜設定することができる。
工程(b)において、前記被験物質を接触させた組織または細胞におけるレポーターの発現量は、自体公知の方法により調べることができ、具体的には前記スクリーニング方法Iに記載した通りである。in vivo法の場合は、動物から組織または細胞を取り出して、上記と同様にして調べることができる。なお、被験物質を接触させない対照組織または細胞におけるレポーターの発現量も同時にまたは別途調べ、被験物質を接触させた組織または細胞におけるレポーターの発現量と比較する。
工程(c)において、工程(b)で得られた比較結果に基づき、Th2サイトカイン(好ましくはIL−4)の産生を調節する被験物質を選択する。選択する基準は、レポーターの発現が上昇または低下していることを指標にすればよい。レポーターの発現が上昇している場合、被験物質は、Th2サイトカイン(好ましくはIL−4)の産生を促進させる作用を有する。レポーターの発現が低下している場合、被験物質は、Th2サイトカイン(好ましくはIL−4)の産生を低下させる作用を有する。
このようにして選択された被験物質は、初期のIL−4の産生を調節し、ナイーブT細胞のTh2細胞への分化を調節しうる物質であり、IL−4が関与する疾患の治療薬の候補および研究用試薬となりうる。
[スクリーニング方法III]
また、本発明は、下記工程を含むNKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法(スクリーニング方法III)を提供する。
(a)本発明の動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞におけるNKT細胞またはメモリーT細胞の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程。
工程(a)において、抗原刺激の方法としては、オブアルブミン等の抗原を動物に吸飲させたり、点眼する方法があげられる。
工程(a)において、被験物質は、スクリーニング方法Iと同様のものがあげられる。
工程(a)において、被験物質の投与方法は、特に限定されるものではないが、経口的または非経口的に動物に投与することにより達成される。非経口的投与経路としては、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内等の全身投与、または気道内、標的細胞(例、結膜等)付近への局所投与等があげられる。
前記被験物質の投与量は、有効成分の種類、分子の大きさ、投与経路、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって適宜設定することができる。
前記工程(b)において、本発明の動物に抗原を吸飲させた場合は、肺胞中へ浸潤した細胞におけるレポーターの発現を見ることにより、NKT細胞やT細胞マーカーを持った細胞の浸潤をFACSも用いて単細胞レベルで解析する。本発明の動物に点眼した場合は、結膜へのT細胞の浸潤を免疫病理組織学的解析からレポーターの発現を見ることにより明らかにしていく。また、抗原を暴露した近縁部に存在するリンパ節への浸潤に関しても同様の処方により解析することができる。
前記工程(b)において、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を調べる方法としては、各レポーター遺伝子に応じて自体公知の方法により行うことができる。例えば、レポーターが蛍光タンパク質の場合、各蛍光タンパク質に応じた励起波長を照射して検出される蛍光を測定することにより行う方法などがあげられる。生体における蛍光タンパク質の発現をモニターできるようなシステムを用いることにより、NKT細胞やメモリーT細胞などの細胞の動態を、動物が生きた状態で蛍光タンパク質を指標に解析することができる。
前記工程(b)において、被験物質を投与しない動物におけるNKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤も同時にまたは別途調べ、投与動物の結果と非投与動物の結果とを比較する。
前記工程(c)において、工程(b)で得られた比較結果に基づき、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を促進させる被験物質を選択する。選択する基準は、非投与動物と比べて、炎症部位におけるレポーター遺伝子の検出が有意に高いことを指標にすればよい。
このようにして選択された被験物質は、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する物質として、作用機序の明確な抗炎症剤の候補薬となりうる。
[スクリーニング方法IV]
また、本発明は、下記工程を含む肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法(スクリーニング方法IV)を提供する。
(a)本発明の動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞における肥満細胞または好塩基球の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
(c)前記比較結果に基づいて、肥満細胞または好塩基球の抗原刺激による炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程を含む。
工程(a)において、抗原刺激の方法としては、オブアルブミン等の抗原を動物に吸飲させたり、点眼する方法があげられる。
工程(a)において、被験物質は、スクリーニング方法Iと同様のものがあげられる。
工程(a)において、被験物質の投与方法は、特に限定されるものではないが、経口的または非経口的に動物に投与することにより達成される。非経口的投与経路としては、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内等の全身投与、または気道内、標的細胞(例、結膜等)付近への局所投与等があげられる。
前記被験物質の投与量は、有効成分の種類、分子の大きさ、投与経路、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって適宜設定することができる。
前記工程(b)において、本発明の動物に抗原を吸飲させた場合は、肺胞中へ浸潤した細胞におけるレポーターの発現を見ることにより、肥満細胞や好塩基球マーカーを持った細胞の浸潤をFACSも用いて単細胞レベルで解析する。本発明の動物に点眼した場合は、結膜への肥満細胞や好塩基球の浸潤を免疫病理組織学的解析からレポーターの発現を見ることにより明らかにしていく。また、抗原を暴露した近縁部に存在するリンパ節への浸潤に関しても同様の処方により解析することができる。
前記工程(b)において、肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を調べる方法としては、各レポーター遺伝子に応じて自体公知の方法により行うことができる。例えば、レポーターが蛍光タンパク質の場合、各蛍光タンパク質に応じた励起波長を照射して検出される蛍光を測定することにより行う方法などがあげられる。生体における蛍光タンパク質の発現をモニターできるようなシステムを用いることにより、肥満細胞または好塩基球などの細胞の動態を、動物が生きた状態で蛍光タンパク質を指標に解析することができる。
前記工程(b)において、被験物質を投与しない動物における肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤も同時にまたは別途調べ、投与動物の結果と非投与動物の結果とを比較する。
前記工程(c)において、工程(b)で得られた比較結果に基づき、肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を促進させる被験物質を選択する。選択する基準は、非投与動物と比べて、炎症部位におけるレポーター遺伝子の検出が有意に高いことを指標にすればよい。
このようにして選択された被験物質は、肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を制御する物質として、作用機序の明確な抗炎症剤の候補薬となりうる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
トランスジェニックマウスの作出
配列番号1で表される、C57BL/6マウスil4遺伝子座を含む染色体DNAの塩基配列に基づき、以下のコンストラクトを作成した。以下の実施例中、各塩基の位置は、配列番号1で表される塩基配列の第6862位のアデニンの位置を「+1」、第6861位のグアニンの位置を「−1」として記載する。
遺伝子導入の基礎となるpIL-4コンストラクトは、GFP下流に5’系列非特異的エンハンサー(-863から-5448)とIL-4プロモーター(-64から-827)を挿入することで作製した。IL-2P/GFP/ヒトCD2 遺伝子座制御領域(hCD2LCR)レポーターコンストラクト中のIL-2プロモーターをpIL-4と置換し、pIL-4-hCD2LCRを作製した。イントロン様エンハンサーIE(+310〜+3533)と近位3’(+6230〜+10677)および遠位3’(+11297〜+15634)断片は、それぞれhigh-fidelity PCRを利用して、クローン化したマウスYACクローン(CAT#95022 Research Genetics)からそれぞれ単離した。欠失変異体コンストラクトであるpBS-Δ(5a/CNS-2)およびpBS-Δ5aは、遠位3’断片から初めの1657bpおよび244bpを欠失させ、GFP下流に挿入することで作製した。
各コンストラクションをSal IとSac IIで切り出し、GFPをレポーターとしたトランスジェニックマウスを確立するためにDBF1受精卵に導入した。それぞれのコンストラクトについて4系統以上を得、各系統についてBALB/cマウス系統と6世代以上交配させた。GFPに対するプライマーセット(センス:5’-gacgtaaacggccacaagtt-3’(配列番号2)、アンチセンス:5’-ggggtgttctgctggtagtg-3’(配列番号3))でゲノムのPCRスクリーニングを行った。コピー数を決定するために、EcoRI消化した10μgのゲノムをIL-4プロモーターのプローブを用いてサザンブロッティングにより分析した。各系統のコピー数は、コピー数が決定したpBS-pIL-4プラスミドDNAを用いてトランスジェニックIL-4プロモーターの強度をもって計算した。遠位3’Tgマウスは、さらに、BALB/cをバックグラウンドとしたSTAT6 KOマウスおよびDO11.10 Tgマウスと交配させた。RBP-J f/fマウスはChris Willson博士(UW, Washington, USA)から拝受したCD4Cre Tgマウスと交配した。
[実施例2]
免疫染色
ELISAおよび細胞内サイトカイン染色(ICS)に必要な試薬、抗IFN-γ抗体(R4-6A2、XMG1.2 biotin)、抗IL-4抗体(BVD4-1D11、BVD6-24G2 biotin)、抗IFN-γ抗体(XMG1.2)FITC、抗IL-4抗体(1B11)PEはBD PharMingen (San Diego, CA)から購入した。抗CD28モノクローナル抗体(PV-1)は、既報に従って作製した。マウス組換えIL-4およびIL-12はPeproTech (London, U.K.)から購入した。ELISAおよびICSの手順は、既報に従った。細胞表面の表現型は抗CD4、CD8、CD44、CD62L、CD25、NK1.1(BD PharMingen)、CD1d Ig (DimerXI)モノクローナル抗体にて分析した。
[実施例3]
レポータータンパク質の発現分析
CD4T細胞はMagnetic Beads system(MACS, Milliteny)を利用して脾細胞から単離した。GFP発現分析と細胞選別はそれぞれFACS CaliburおよびFACS VantageのCellQuest software (BD, San Jose, CA)で行った。脾臓由来CD4T細胞はプレートに固相化した抗TCRモノクローナル抗体と可溶化した抗CD28モノクローナル抗体で48時間刺激し、30 U/mlのIL-2を含む培地中で一週間培養した。Th1およびTh2の極性化を誘導するために、細胞をマウ
スIL-4(100U/ml)/抗IL-12抗体(C15.6およびC17.8)およびマウスIL-12(5 ng/ml)/抗IL-4抗体(11B11)でそれぞれ刺激した。樹状細胞存在下におけるヘルパーT細胞の極性化を分析するために、MACSで選別された脾臓由来CD4T細胞を、BALB/cマウスの脾臓から精製して放射線照射したCD11c+樹状細胞存在下、可溶型抗TCRモノクローナル抗体と抗CD28モノクローナル抗体で刺激した。一週間後、極性のプロフィールを固相化した抗TCRモノクローナル抗体刺激によって分析した。
[実施例4]
RT−PCR
全RNAをTRIzol (Invitrogen)を用いて単離した。First strand cDNAはsuperscript Pre-amplification system (Invitrogen)を利用して調製した。リアルタイム定量PCRは7500 real-time PCR system (Applied Biosystems)により行った。Il4遺伝子のエクソン2および3(ex2-3)に対するプライマーは、
センス;5’-tgcacggagatggatgtg-3’(配列番号4)、および
アンチセンス;5’-gccctacagacgagctcact-3’(配列番号5)であり、エクソン1および4(ex1-4)に対するプライマーは、
センス;5’-agatcatcggcattttgaacg-3’(配列番号6)、および
アンチセンス;5’-tgatgtggacttggactcattc-3’(配列番号7)である。共通のプローブであるFAM-5’-acagcaacgaagaacaccacagag-3’-Tamra(配列番号8)を使用した。エクソン1および2(ex1-2)に対するプライマーおよびプローブは、既報に従って作製した。
同じプライマーセットを通常のRT-PCRに適用した。エクソン3および4(ex3-4)に対するセンスプライマーは5’-gactctttcgggcttttcg-3’(配列番号9)であり、アンチセンスプライマーはex1-4のアンチセンスプライマーと同じである。
[実施例5]
GATA3遺伝子をレトロウィルスベクターpMX IRES ratCD2に挿入した。コントロールベクターpMX IRES rat CD2およびpMX GATA3 IRES rat CD2プラスミドDNAは、FuGENE6 (Roche)を用いてパッケージング細胞株PLAT-Eに導入し、24時間インキュベートした後、ウィルスストックとして培養上清を回収した。d3’Tgマウス脾臓から単離したGFP+CD4T細胞はIL-4もしくはIL-12存在下、24時間、抗TCRおよび抗CD28モノクローナル抗体にて刺激した。ウィルスストックを10μg/ml DOTAP (Roche)存在下、活性化したT細胞に加えて24時間反応させ、当該細胞をさらに5日間培養した。培養した細胞は抗TCRモノクローナル抗体にて6時間再刺激を行った。再刺激した細胞を抗ラットCD2モノクローナル抗体(Cedarlane)で染色し、GFPの発現をラットCD2発現細胞にて分析した。
[実施例6]
イムノブロット分析
イムノブロット分析は既報に従って行った。詳細には、まずコントロール細胞溶解物をTh1(23-1-8)クローンおよびTh2(MS-SB)クローンから得た。d3’Tgマウスの選別されたCD44loおよびGFPCD4T細胞由来の細胞抽出液をSDS-PAGEに供し、ついでポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に電気的にブロットした。次いで抗GATA3抗体(HG3-31)(Santa Cruze Biotechnoloby, Inc, Santa Cruz, CA)、抗STAT6抗体(R&D systems)にて前記ブロットを可視化した。
[実施例7]
気道応答性
Tgマウスを1日目と14日目の20μg OVA (Grade V, Sigma)と2.25 mg水酸化アルミニウム(Pierce, Rockford, Illinois)の腹腔内注射により感作し、次いで26日目から28日目にかけて生食または1%OVAを含むエアゾルを1日に20分間マウスに噴霧した。30日目に、気管支肺胞の洗浄液から細胞を回収し、GFPCD4T細胞の分析を行った。
[実施例8]
肥満細胞および好塩基球におけるGFPの発現
(1)腹腔内肥満細胞
トランスジェニックマウス(d3’およびΔ5a)および同腹子のトランスジーン陰性のマウスの腹腔内を、2%ウシ胎児血清(fetal Bovine Serum、以下FBSと略す。HyClone)を含むPBSにて洗浄した。得られた細胞を2% FBSを含むPBSに再度懸濁し、これを腹腔内細胞とした。フローサイトメーター(BD)を用いて、腹腔内細胞からFcεRおよびc-kit共陽性細胞を分離精製し、腹腔内肥満細胞とした。次に、これらの細胞におけるGFP発現を観察した(図9)。
(2)分化誘導した骨髄細胞由来肥満細胞
トランスジェニックマウス(d3’およびΔ5a)および同腹子のトランスジーン陰性のマウスの大腿骨から、骨髄細胞を採取した。得られた細胞を10% FBSを含むRPMI-1640 MEDIUM(Sigma)に懸濁し、1×10cells/10mL/dish(FALCON)になるように調整した。これら細胞をIL-3存在下で3週間以上培養したものを骨髄細胞由来肥満細胞として使用した。腹腔内肥満細胞と同様の方法を用いて、上記(2)の骨髄細胞由来肥満細胞のうち、FcεR陽性およびc-kit陽性の細胞におけるGFP発現を観察した(図9)。
(3)好塩基球
トランスジェニックマウス(d3’およびΔ5a)および同腹子のトランスジーン陰性のマウスの脾臓を採取し、FcεR陽性およびCD45R陰性である細胞集団を好塩基球とした。次に、この細胞集団におけるGFP発現を観察した(図9)。
[実施例9]
各種トランスジェニックマウスにおける各種細胞のGFPの発現
本実施例で作出した各種トランスジェニックマウス(図11A)におけるT細胞、肥満細胞および好塩基球におけるGFPの発現を調べた。結果を図11Bに示す。但し、図1AにおけるProximal、Distal、Δ5a/5は、それぞれ、図11AにおけるHS4、5a/CNS−2、Δ5a/CNS−2に対応する。
CNS−2欠損マウスの作出
基礎となるpIL-4コンストラクトは、実施例1に記載の方法により構築した。CNS−2ターゲティングベクターを、Il4遺伝子座から得た短腕(+10359〜+11304)および長腕(+12965〜+19025)配列を用いて2つのLoxP部位に挟まれたPGK-neoカセットとHSV-tk遺伝子内に構築した。5.4 kb野生型アレルにおける欠失により、新しい3.8Kbp Hind III/Hind III断片が生じ、この断片はサザンブロッティングにより検出された(図6A)。PGK-neo遺伝子を欠失させるために、キメラマウスをCAG-Cre Tgマウスと交配させた(Sakai, K. & Miyazaki, J. (1997) Biochem.Biophys.Res.Commun. 237, 318-324)。CNS−2欠損マウスを、B6系統と少なくとも4世代戻し交配した。
サイトカイン測定および抗体
サイトカイン産生を、Bioplex サイトカインアッセイシステムの23-Plex パネル(Bio-Rad Laboratories, CA, USA)およびELISAアッセイシステム(BD PharMingen,San Diego, CA)で測定した。細胞表面の表現型の分析のために、抗CD4(L3T4)、NK1.1(PK136)、c-Kit(2B8)、FcεR1(MAR-1)、B220(RA3-6B2)、CD49b(DX-5)を、BD PharMingenから購入した。
GFP発現の単一細胞分析および細胞調製
Th2細胞の調製は、以前に報告されている(Brown, M. A. & Hural, J. (1997) Crit.Rev.Immunol. 17, 1-32)。BMMCsは、IL-3(Pepro Tech INC. London, UK)および/または幹細胞因子(SCF, 50ng/ml, WAKO, Osaka, Japan)の存在下で4週間培養したBM細胞由来であった。脾臓およびBM由来の好塩基球の濃縮のため、ビオチンコンジュゲート抗CD3(145-2C11)、B220、CD19(MB19-1)Abs(BD)およびストレプトアビジンビーズ(BD)を用いたネガティブソーティングの後に、DX-5ビーズ(Milteny Biotec, Bergisch-Gladbach, Germany)を用いたポジティブソーティングを行った。
クロマチン免疫沈降(ChIP)および制限酵素到達性(REA)分析
せん断したクロマチンのアリコートから回収したDNAを、「インプット」サンプルとして用いた。クロマチンをプロテインAおよびGアガロース (Amersham, Piscataway, NJ)を用いて前もってきれいにし、抗アセチル化H3 ab(#06-599,Upstate, Charlottesville, VA)または抗トリメチル化K4 ab(ab8580,Abcam Cambridge, UK)で免疫沈降させた。インプットDNAおよび免疫沈降したDNAを、Pico Green fluorescence(Molecular Probes, Eugene, OR)により定量した。等量のサンプルとインプットを、リアルタイムPCRにより比較した。データを、サンプル対インプット値の比として表す。
(RAE)分析のために、BMMCの核画分を、緩衝液F(100mM NaCl, 50mM Tris(pH 8.0), 5mM MgCl2, 1mM EGTA,および1 mM 2-ME)に再懸濁した(Seki, N., et al. (2004) J.Immunol. 172, 6158-6166)。核画分を制限酵素で処理し(100U; Toyobo, Osaka, Japan)、サンプルをエタノールで沈殿させた。TE緩衝液に再懸濁した後、消化したDNA(5 μg)を、適切なジゴキシゲニン標識プローブを用いてサザンブロット解析で分析した。
本発明のトランスジェニックマウス(Tg)の解析により得られた結果を下記表1および2に示す。
-:発現なし、+:発現あり、++:強発現
-:発現なし、+:発現あり、++:強発現、+++:最強発現
結果
CNS-2シス作用エレメントはTh2特異的なIL-4発現に関与する
脊椎動物種間の遺伝子配列は保存されていることから、Th2サイトカイン遺伝子座における転写調節エレメントの位置は首尾よく予想された。本発明者らは、CNSがIL-4の発現を制御する能力を検証するために、トランスジェニックアプローチを利用した。基本コンストラクトは、系列非特異的なエンハンサー活性が報告されている4kbの上流5’フラグメント(5’エンハンサー)を、766bpのIL-4プロモーター/GFPレポーターコンストラクト(pIL-4 GFP)の上流に挿入することで作製した。ポジティブコントロールとして、T細胞特異的な遺伝子発現を操作するヒトCD2 LCR(locus control region)をpIL-4 GFP下流に挿入した(hCD2LCR Tg)。所定のCNSの能力を試験するために、イントロン様エンハンサー(IE)ならびに近位および遠位エレメントを基本コンストラクト下流に配置した。それぞれのエレメントは図1aに示すように、保存された配列と過去に特徴付けられたHS部位を含んでいる。GFP発現をFACS解析によって単一細胞レベルで分析した。
pIL−4マウス由来の非刺激CD4T細胞や発生期Th1およびTh2細胞においてはGFPの発現が認められなかったが、hCD2LCR Tgマウス由来のTh1およびTh2細胞からは明らかなGFP発現が誘導された(図2b)。TCR刺激によりIL-4プロモーター活性を活性化するNF-ATの核移行が誘導されることが知られている。IL-4プロモーター活性の検出により、CD2LCRは、ある特定のパターンにおいてIL-4プロモーターを操作可能であることが分かった。このことは、目的の制御エレメント活性に対して我々のレポーターコンストラクトが有用であることを示す。従って、我々はhCD2LCRをIEならびに近位および遠位の3’エレメントと置換した。全てのIEおよび近位3’Tg系統(それぞれ3および5系統)はT系列細胞においてGFP発現が認められなかった(図2b)。
Th2特異的なGFP発現は遠位3’Tgにのみ認められた。約10%のTh2プライムされたCD4T細胞が4つの独立したTg系統において検出可能なレベルのGFPの発現を示した(図2c)。予期しないことに、遠位3’Tgが非刺激のCD4T細胞においてTh2プライムされたCD4T細胞より強いGFP発現を示した(図2b)。GFPを発現しているT細胞の割合は、4つの独立したTg系統で非刺激細胞とTh2プライムされた細胞との間で同等であった(データ記載なし)。
遠位3’断片は、HS部位であるHS5aおよびHS5を含んでいる。HS5aは再刺激したTh2細胞で誘導可能であり、HS5はCNS-2に相当する。GFP発現を操作する領域を限定するために、我々は2つのミュータントトランスジェニックマウスを作出した。すなわち、HS5aまたはHS5およびHS5aを遠位3’断片から欠失させた(Δ5aとΔ5/5a)Tgマウスである(図1a)。Δ5aと遠位3’TgのGFP発現細胞の割合は同等であったが、コピー数の少ない系統(系統1と3)ではGFP発現が認められなかった(図1d)。HS5部位をさらに欠失することは非刺激CD4T細胞におけるGFP発現を完全に破壊した。このことは、HS5/CNS-2領域は休止期の非刺激CD4T細胞や発生期Th2細胞におけるGFP発現を操作する責を負っていることを示唆する。
CNS-2シス作用活性は発生期Th2細胞において維持されている
典型的に、CD4T細胞がTh2プライム条件下で培養された際、30〜40%のT細胞が抗TCRモノクローナル抗体による再刺激によってIL-4を産生する。しかしながら、遠位3’Tgにおいて、GFPが発現している細胞の集団はCD4T細胞の10%程度にしかならない。非刺激CD4T細胞とTh2プライムされたGFPCD4T細胞におけるGFP発現細胞の割合は一貫して同程度であることから、Th2プライムされたGFP細胞が非刺激GFP細胞から派生した可能性について検討した。そこで、次に、遠位3’TgマウスのGFPTh2細胞が非刺激CD4T細胞集団の中でGFPを発現するCD4T細胞から派生するか、またはGFPを発現しないCD4T細胞から派生するか否かについて実験を行った。ソーティングされたGFP陽性または陰性CD4T細胞を、Th1またはTh2プライムで培養し、再刺激の後にGFP発現およびサイトカイン産生の分析を行った。GFP発現の大部分は休止期GFPCD4T細胞由来の発生期Th2細胞において認められたことから(図2a)、休止期GFPT細胞はTh1またはTh2発生に向かうことができ、CNS-2活性はTh1プライミングで維持されるのではなくTh2プライミングで維持されることがわかる。しかしながら、IL-4を発現するTh2プライムされた細胞の大部分は休止期CD4T細胞のGFPサブセットから生じた(図2a)。このように、これらのGFPT細胞はCNS-2の影響なしにTh2細胞に分化する。
次に、CNS-2活性がTh2分化の間維持されているか否かについて調べた。遠位3’Tg由来GFPCD4T細胞が活性化された際、Th1およびTh2プライム条件下共にGFP発現は一過性に増大し、6日以内に消滅した。しかしながら、再刺激するとTh1ではなくTh2プライムされた細胞で再度のGFP発現が認められた(図2b)。それゆえCNS-2活性は初期のTCR活性化によってダウンレギュレーションし、Th2プライミングで回復する。
遠位3’TgマウスのNKT細胞およびメモリー表現型CD4T細胞は恒常的にGFPを発現している
次に、GFPを発現している遠位3’TgおよびΔ5aTgマウス由来のCD4T細胞の細胞表面表現型を調べた。GFPを発現している遠位3’TgおよびΔ5aTgマウス脾臓由来T細胞は、CD4CD44hiCD62LloCD25であった。IL-4GFPノックインマウスであるG4、4getの二つの系統において、非刺激CD4T細胞でGFPを発現することが報告されている。またこれらの系統における大多数のGFP細胞はNKT細胞として同定されている。以上より、遠位3’およびΔ5a TgマウスにおけるGFPを発現するCD44hi CD4細胞はNKT細胞を含んでいる可能性がある。しかしながら、GFP脾臓由来CD4T細胞のうち半分しかNK1.1を発現しておらず、またスフィンゴ糖脂質(α-galcer)負荷CD1に結合していただけであった。このことから、GFPCD4T細胞はNKT細胞およびそれとは別のメモリー表現型CD4Tサブセットを含むことが示された。
さらに、GFPCD4T細胞の分布および局在について調べた。GFPを発現しているT細胞は胸腺、リンパ節、末梢血に存在していた(図2d、2e)。胸腺では、GFPはシングル陽性(SP)CD4細胞で優勢に発現していたが、ダブル陽性(DP)細胞およびCD8SP胸腺細胞には発現が認められない(図2d)。リンパ節や末梢血由来のCD4T細胞においては、その割合(0.1%以下)が脾臓や胸腺のレベルと比較してかなり低いにも関わらずGFPとCD44の発現に相関関係があることが分かる(図2e)。
CNS-2はGFPNKT細胞やMP CD4 T細胞において初期のIL-4産生を調節している
次に、どのようにしてCNS-2活性が初期の活性化の際にIL-4分泌能に関連しているのかについて調べた。遠位3’Tg由来CD4T細胞をCD44およびGFP発現に基づく3つのフラクションに選別し、選別されたCD4T細胞を抗TCR抗体、抗CD28抗体にて48時間刺激し、各サイトカインの産生をELISAにて調べた。その結果、CD44loナイーブCD4T細胞は高レベルのIL-2産生を示したが、IL-4およびIFN-γを産生しなかった。CD44hiGFPCD4T細胞はIL-2およびIFN-γを発現したがIL-4は発現しなかった(図4a)。CD44hiGFPCD4T細胞はエフェクターTh2細胞が産生するIL-4レベルに匹敵する高いレベルのIL-4を分泌した。GFPCD4T細胞はIL-5、IL-10やIL-13を含むTh2サイトカインだけでなく、同時に複数のTh1サイトカイン(IL-2やIFN-γ)をも分泌した(図4a)。
GFPCD4T細胞はNKT細胞とMP CD4T細胞双方を含むため、次に、これらの細胞が従来型のTh2プライミング初期のIL-4供給源となり得るか否かについて検討した。NKT細胞を枯渇させたGFPCD4T細胞におけるIL-4産生を分析したところ、NKT細胞を枯渇させた細胞集団ではIL-4の産生量が枯渇させない場合の半分となっていた(図4b)。このことから、NKT細胞もMP CD4T細胞も共に初期のIL-4供給源としての役割を果たすことが示された。CNS-2はNKT細胞およびMP CD4T細胞の初期のIL-4産生における重要な調節エレメントであるといえる。
NKT細胞とMPGFPCD4T細胞における恒常的IL-4mRNA発現
GFPの発現に基づくと、CNS-2は休止期NKT細胞およびMP CD4T細胞においてさえも恒常的に活性であると思われる。しかしながら、IL-4蛋白質は抗TCRモノクローナル抗体による刺激の際に検出されるのみである。CNS-2の恒常的活性の機能的重要性を調べるために、GFPCD4T細胞におけるIL-4 mRNA発現がTCR活性化の有無により変化するか否かを調べた。IL-4 mRNAの恒常的な発現は、3つの異なるプライマーの組合せの何れによっても非刺激のGFPCD4T細胞で確認された(図5b、5d)。細胞に刺激を与えると、IL-4 mRNAの発現が30倍に増大した(図5c)。このT細胞受容体を介したIL-4 mRNAの誘導は、GFPCD4T細胞においてのみ確認され、ナイーブおよびGFPMP CD4T細胞では確認されなかった。一方、IFN-γ mRNAの誘導はGFPポジティブ、ネガティブ双方のCD44hiCD4T細胞において検出された(図5c)。従って、CNS-2は相対的に高レベルのIL-4分泌能を有するNKTおよびMP CD4T細胞におけるIL-4 mRNAの基礎レベルの発現に寄与していると思われる。
GFP MP CD4T細胞はTh2免疫応答のプライミングにおいて初期のIL-4供給源としての役割を有する
次に、GFPNKT細胞およびMP CD4T細胞から分泌される初期のIL-4がヘルパーT細胞の分化方向を決定することができるのか否かを調べた。もし、GFPCD4T細胞がTh2分化のための初期のIL-4供給源であるならば、二次応答におけるTh2サイトカイン産生はGFPT細胞の枯渇によって抑制されるであろう。この可能性を検証するために、全CD4T細胞集団からGFP細胞を枯渇させ、抗TCRモノクローナル抗体によって刺激した。図6aに示すように、GFPCD4T細胞の枯渇によりIL-4、IL-5、IL-13、IL-10といった全てのTh2サイトカイン産生が抑制された。この機能阻害は外来のIL-4添加により完全に回復した。したがって、これらの結果はGFPCD4T細胞がTh2分化を決定付ける初期のIL-4供給源としての役割を果たし得ることを明確に示している。
図4に示すように、初期のIL-4はNKT細胞およびMP CD4T細胞の両方から分泌される。このことにより、NKT細胞とMP CD4T細胞両方が、特定のペプチド抗原に対する初期の免疫応答においてIL-4を発現しているのか否かが問題となる。そこで、OVAに誘導される、遠位3’GFP×DO11.10ダブルトランスジェニックマウス由来のCD4T細胞からの、GFP細胞枯渇の有無におけるTh2分化を調べた。トランスジーンを導入したKJ-1+T細胞には検出可能な数のGFP+細胞が存在し(図6b左)、GFPCD4T細胞の枯渇により再刺激してもIL-4の産生が減少した(図6b右)。このことは、MP CD4T細胞からの初期のIL-4の産生は可溶性ペプチド抗原に応答したTh2運命への分化に決定的な影響を与えていることを示している。
さらに、GFPCD4T細胞がOVAでの免疫化に応答して炎症箇所に移動して集積するか否かを検証した。このことを調べるために、OVA処理による気管支喘息モデル系を利用した。気管支肺胞洗浄液(BAL)に浸潤したGFPCD4T細胞につき、PBSまたはOVAの吸入後の評価を行った。図6cに示すように、OVAでマウスが最初にプライムされた場合のみ、著しい数のGFPCD4T細胞が気管支肺胞洗浄液に移動していた。
NKTおよびMP CD4T細胞におけるIL-4産生を仲介するCNS-2エレメントはGATA-3およびIL-4-STAT6を介するシグナル伝達経路非依存的である
多数の先行研究より、GATA-3はTh2分化の主要調節因子であることが知られている。その発現は、系列委託過程においてIL-4-STAT6を介するシグナル伝達によって強く制御されている。本発明者らは、NKTおよびMP CD4T細胞における、初期IL-4産生に対するIL-4-STAT6を介するシグナル伝達の必要性を検討した。遠位3’TgマウスにおけるCNS-2が調節するGFP発現をSTAT6の非存在下において調べた。GFP活性は、STAT6欠損マウスにおいても影響が認められなかった(図7a)。これらの結果は、NKTやMP CD4T細胞における恒常的なCNS-2活性には、IL-4-STAT6を介するシグナル伝達は必要でないことを示している。
IL-4を産生するCD4T細胞の存在はSTAT6欠損マウスでも報告されており、これらの細胞には恒常的に高いレベルのGATA3の発現が認められる。それゆえに、NKTおよびMP CD4T細胞におけるGFP発現はGATA3の恒常的発現によるものである可能性がある。このことを検証するために、遠位3’TgマウスからGFPを発現しているCD4T細胞および発現していないCD4T細胞を単離し、GATA3蛋白質の発現を調べた。GFP+細胞とナイーブCD4T細胞においてGATA-3の発現は認められなかった(図7b)。したがって、GATA-3およびIL-4-STAT6を介するシグナル伝達はNKT細胞やMP CD4T細胞のCNS-2活性には必要でないことが分かった。
一方、Th2発生において観察されるGFP活性は、NKTおよびMPCD4T細胞におけるGFP活性から明らかに調節されていると思われる。Th2特異的なGFP活性はSTAT6欠損マウスでは完全に消滅している(図7a)。発生期Th1細胞における異所性GATA-3発現がIL-4産生能を誘導するとの報告がある。活性化T細胞特異的なGata3遺伝子の欠失は、Th2発生を減少させる。そこで、Th2特異的GFP活性におけるGATA-3の役割について検討した。遠位3’Tgマウス由来の、Th1条件下で培養したCD4T細胞において異所的にGATA-3を発現させたところ、GFP活性が回復した(図7c)。これらの結果は、Th2が誘導するGFP活性が、GATA-3依存的であり、またGATA-3が順にIL-4を介したSTAT6活性化によって調節されていることを示している。
NKTおよびMP CD4T細胞におけるCNS-2を介するIL-4発現は、Notch/RBP-Jシグナル伝達により調節されている
さらにCNS-2を調節する転写因子を明らかにするために、因子結合配列を検索した。その結果、Notchシグナル伝達経路における下流の転写因子であるRBP-Jの結合部位である可能性を有する3つの配列を発見した。本発明者らは、以前RBP-J欠損マウスから得られたT細胞はTh2分化能を損なっていることを報告した。これを立証するために、コントロール(+/+, CD4-Cre Tg)およびヘテロ接合性(f/+, CD4-Cre Tg)ならびにRBP-J欠損(f/f, CD4-Cre Tg)CD4T細胞のTh2分化を、同型のAPC(抗原提示細胞)存在下で調べた。野生型マウス由来CD4T細胞はTh2分化を示す一方、IL-4産生細胞はヘテロ接合性マウスでは著しく減少しまたホモ接合性マウスではさらに減少した。このことは、Th2分化がRBP-J発現レベルに強く依存していることを示している(図8a)。
NKT細胞およびMP CD4T細胞からの初期IL-4産生の減少により、Th2分化が損なわれたと考えられる。そこで、CD44hiCD4T細胞におけるNotch/RBPシグナル伝達がIL-4産生を調節している可能性について検討した。CD44hiとCD44loT細胞は野生型、ヘテロ接合性RBP-J欠損それぞれのマウスから選別し、B6抗原提示細胞存在下、抗TCRモノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体にて刺激した。初期のT細胞活性化において、IL-4は、野生型マウス由来CD44hi細胞からは分泌されたが野生型マウス由来CD44loCD4T細胞からは分泌されなかった。IL-4産生は特にヘテロ接合性マウスにおいて減少した。RBP-J欠損マウス由来CD44hiCD4T細胞は能動的にIL-4を産生できなかった(図8b)。したがって、Notch/RBP-Jシグナル伝達はNKT細胞およびMP CD4T細胞からの初期のIL-4産生に必要であると考えられる。
次に、CD44hiCD4T細胞において、Notch依存的IL-4産生がどのようにTh2分化に関連するかについて検討した。この問題に答えるために、野生型マウス由来CD44loナイーブT細胞を野生型またはRBP-J欠損マウスから得られたCD44hiCD4T細胞と共培養した。野生型CD44hi細胞と共培養した場合明確なTh2分化を示したが、一方RBP-J欠損マウスのCD44hi細胞との共培養ではTh2細胞を産生することは出来なかった(図8c)。これらの結果は、Notch/RBP-Jシグナル伝達がCD44hiNKTおよびMP CD4T細胞からのIL-4の初期誘導に重要な役割を果たしていることを示している。従って、Notch/RBP-J欠損T細胞におけるTh2分化機能障害はCD44hiNKTおよびMP CD4T細胞からの初期IL-4産生の減少によるものであると考えられる。Notch/RBP−Jκが介在する初期のIL−4産生は、ナイーブCD4 T細胞をTh2細胞へ分化するように指令することにおいて重要な役割を果たしていると考えられる。
肥満細胞におけるIl13/Il4遺伝子座のエピジェネティックな調節
CD4 T細胞によるIL-4産生能の獲得は、Th2分化の間にエピジェネティックに制御される(Takemoto, N., et al. (1998) Int.Immunol. 10, 1981-1985; Agarwal, S. & Rao, A. (1998) Immunity 9, 765-775)。骨髄細胞によるIL-4産生が同様のエピジェネティックな制御下にあるどうかを検証するため、BMMCをIL-3とともに長期培養することにより調製し、il13/il4遺伝子座を横断するヒストンH3の修飾を評価するためにクロマチン免疫沈降(ChIP)解析により分析した。ヒストンH3に対して、転写到達性に関する転写後修飾は、リジン9/14アセチル化(AcK9/14)およびリジン4ジメチル化(3MeK4)により規定され得る。したがって、我々の解析は、肥満細胞におけるこれらの転写許容な修飾に焦点を合わせた。BMMCsは、IL-13プロモーターからHS2およびHS5部位の下流へと伸展する領域における高レベルのAcK9/14を示し、そしてAcK9/14増加の全般的なパターンはTh2細胞において見られるのと同様であった(図10A)。3MeK4増加のパターンはまた、以前の研究では非刺激Th2細胞のIL-4プロモーターにおける許容的な修飾はないと報告されているIL-4プロモーター近辺の領域を除いてTh2細胞のパターンと類似していた(Baguet, A. & Bix, M. (2004) Proc.Natl.Acad.Sci. U S A 101, 11410-11415)。
本発明者らは、次に、制限酵素到達性(RAE)分析によりBMMCsにおけるHS部位上のクロマチン構造の修飾を詳しく調べた。HSS1および2、IL-4プロモーター(IL-4P)、HS2、ならびにHS5(CNS-2)は、Th2特異的な恒常的HS部位であり、HS-5aはTh2特異的、活性化依存性部位である。HS-4は、Th1とTh2細胞の両方に共通に観察される恒常的HS部位である。クロマチンリモデリングは全てのHS部位ではっきりと見られ、全体的に見てBMMCにおけるパターンは、構成的に接近可能なHS5a部位を除いてTh2細胞において見られるパターンと全く似ていた(図10B)。これらの結果は、肥満細胞におけるIl13/Il4遺伝子座を横断するクロマチン構造の修飾は、Th2細胞のものと非常に似ているということを示した。
好塩基球および肥満細胞におけるIL-4エンハンサーの調節
脊椎動物種間で高度に保存されているIl13/Il4遺伝子座の領域の活性を定義するために、一連のトランスジェニック系統を樹立した(図11A)。T系列では、HS5a/CNS-2 GFPトランスジェニックマウス(HS5a/CNS-2 Tg)由来のNKTおよびMP CD4 T細胞において、GFPは非刺激細胞においてのみ発現しており、そしてTh2特異的GFP発現は恒常的GFP発現細胞が再刺激された時のみ見られた。さらに肥満細胞および好塩基球におけるこれらのエンハンサーエレメントの機能を詳しく調べた。BMMCsをIL-3培養により調製し(>95% c-kit+、FcεR+)、そして腹腔内肥満細胞(PMC)をc-kit+、FcεR+細胞として腹腔内細胞から選別した。好塩基球を、ソーティングによりB220-、c-kit-、DX-5+、FcεR+細胞として脾臓および骨髄から精製した。NKT細胞を、C57BL/6バックグラウンドの肝臓のCD4 T細胞からNK1.1+細胞として選別した。
IL-4P Tgは、本研究において検証したいかなる系列においてもGFP発現を一貫して示さなかった。逆に、HS5a/CNS-2エンハンサーはNKT、BMMC、PMCおよび好塩基球において活性であったが、休止Th2細胞においてはそうではなかった(図11B)。この結果は、HS5a/CNS-2エンハンサーはTh2細胞において不活性であるという前記結果と一致する。GFP発現を駆動する領域を絞り込むために、さらにHS5aまたはHS5aとCNS-2領域の両方が欠失した2つのTg系統(Δ5aおよびΔ5a /5 Tg)を検証した。Δ5aおよびHS5a/CNS-2 TgにおけるGFP発現細胞の割合は同程度であったが、CNS-2領域の欠失は全ての細胞系列におけるGFP発現を消滅させた(図11B)。このことはCNS-2はNKTおよびMP CD4 T細胞におけるIL-4産生を調節するだけでなく、肥満細胞および好塩基球におけるエンハンサー活性も有することを示している。
IEは、元々肥満細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられた。しかし、IE Tgにおいて、GFP発現は、結合織型肥満細胞と考えられているPMCsにおいてのみ観察された(図11B)。一方、HS4は好塩基球においてポジティブ制御エレメントとして振舞った(図11B)。HS4領域はいかなるT系列においてもGFP発現を示さなかった。その理由はこの領域がサイレンサーを含み、Th1特異的サイレンシングを調節し得るHS4部位を含むからである(Ansel, K. M., et al. (2004) Nat.Immunol. 5,1251-1259)。これらの結果は、IEおよびHS4エレメントは、それぞれ結合織型肥満細胞および好塩基球に対して系列特異的エンハンサーとしての役割を果たすことを示す。
CNS−2エンハンサーは肥満細胞からの生来のIL-4産生を調節する
次に、本発明者らは、HS5a/CNS-2 TgおよびΔ5a Tgマウスにおける、BM前駆細胞からのIL-3誘導肥満細胞分化の間のCNS-2エンハンサーの時間的活性を検証した。IL-3とのBM細胞の長期間培養は、c-kit+、FcεRI+肥満細胞の発生を徐々に誘導し、そして4週間までに95%を超えるBM細胞がc-kitとFcεRIの両方を発現した。GFP+細胞もまた、c-kit+、FcεRI+肥満細胞の数の増加と並行して徐々に増加した。IL-3培養BM細胞のREAでは、CNS-2における構造的クロマチン修飾は1週間以内に検出可能であり、培養物における肥満細胞の出現が伴うことを示した(図12A)。これらの結果は、CNS-2エンハンサー活性の出現は肥満細胞の分化と相関することを実証する。
IL-4プロモーターは、カルシウムイオノフォアであるイオノマイシンがカルシニュリン-NFAT経路を介してTh2細胞におけるIL-4プロモーターの十分な活性化およびIL-4発現を惹起したので、Ca2+動員における上昇によってのみ制御されると報告されている(Kubo, M., et al. (1994) J Biol Chem 269, 19441-6; Kubo, M., et al. (1994) Int.Immunol. 6, 179-188; Luo, C., et al. (1996) Mol.Cell.Biol. 16, 3955-3966)。従って、イオノマイシン(Iono)かPMAとIonoの組合せ(PMA+Iono)のどちらかで刺激した細胞におけるCNS-2エンハンサー活性の活性化とIL-4産生の間の関連について検証した。Iono刺激は、HS5a/CNS-2 Tg由来のBMMCsにおいて、IL-4のエンハンサー活性の明確な活性化および誘導を惹起したが、IL-6ではそうではなかった。PMAとIonoの組合せはIL-6産生の十分な誘導に必須であった(図12B)。これらの結果は、CNS-2エンハンサー活性は肥満細胞がIL-4を分泌する能力を調節し得るということを示唆する。
IEは腹腔内由来肥満細胞に対する特異的エンハンサーである
次に、IEが肥満細胞の特定のサブセットにおいて活性であるか否かを検証した。したがって、IE Tgマウスの胸腺、脾臓、BMおよび腹腔内細胞由来のc-kit+細胞におけるエンハンサー活性を分析した。c-kit+細胞は、腹腔内細胞で明確なGFP発現を示したが、脾臓およびBM細胞では示さなかった(図13A)。腹腔内GFP+細胞の細胞表面の表現型(c-kit+、FcεRI+、およびB220-)は、それらが腹腔内由来肥満細胞(PMC)であることを同定した。5つの独立したトランスジェニックマウス系統は全て、腹腔内c-kit+、FcεRI+細胞において検出可能なGFP発現を示し、その発現レベルはコピー数依存的に制御されていた(図13B)。図11Bに示すように、HS5a/CNS-2 TgおよびΔ5a Tg由来の長期IL-3培養BMMCはGFPを発現したが、IE Tgマウス由来のIL-3培養BMMCはエンハンサー活性を惹起し損ねた(図13C)。しかし、IL-3とSCFの両方との培養は、BMMCによるGFP発現を惹起し、c-kitおよびFcεRI発現、そしてヘパリン結合色素硫酸ベルベリンでの染色により特徴付けられた結合織様肥満細胞の付随的な上昇を惹起した(図13C)。さらに、IL-3 BMMCにおけるサイトカイン産生パターンは、IL3/SCF BMMCとは全く異なっていた。未成熟型IL-3 BMMCは、IL3/SCF BMMCおよびPMCなどの結合織型肥満細胞よりもかなり高い量のIL-4およびIL-6を分泌した(約200〜1000倍)(図13Dおよび15C)。これらの結果は、結合織型肥満細胞はIL-4産生に関してBMMCとは異なる可能性を有し、IEはこの限定されたサブセットの肥満細胞において組織特異的エンハンサーとして振舞うということを示唆する。
HS4エレメントは好塩基球に対する特異的エンハンサーである
好塩基球は、IL-3およびFceRI架橋に応答するIL-4の生来の供給源であると考えられており(Paul, W. E. (1991) Skin Pharmacol. 4 Suppl 1, 8-14)、4getマウスおよびd3’Tgは、好塩基球が一部はCNS-2により調節される恒常的なIL-4転写を獲得することを実証した(Khodoun, M. V., et al. (2004) J.Exp.Med. 200, 857-70)。しかし、HS4 Tg の脾臓およびBM細胞由来のB220-、c-kit-、DX-5+、FcεRI+好塩基球もまた、恒常的なGFP発現を示した(図14Aおよび14B)が、そのレベルはHS5a/CNS-2 TgおよびΔ5a Tgにおけるものと比べて非常に低かった(図14C)。好塩基球はIL-3かイオノマイシンのいずれかに応答してIL-4を分泌し、これらの刺激はBM由来好塩基球におけるHS4およびCNS-2エンハンサー活性の活性化を誘導した(図14C)。このことはHS4エレメントはil4遺伝子の活性化と同様に好塩基球特異的発現を説明しうることを示している。興味深いことに、HS4は、T細胞系統においてil4遺伝子サイレンシングを制御する制御エレメントであり、その一方で同じ領域は好塩基球においてil4遺伝子を活性化する。
il4遺伝子座からのCNS−2の欠失は肥満細胞におけるIL-4発現を減弱するが、好塩基球におけるIL-4発現は減弱しない
本発明者らの結果は、特有のエンハンサーエレメントが肥満細胞および好塩基球におけるIL-4産生を協調的に調節する可能性につながる。CNS-2は、肥満細胞および好塩基球だけでなく、全てのIL-4産生骨髄系列細胞にとって共通のエンハンサーであり得、一方IEおよびHS4エレメントは系列特異的エンハンサーであると思われる。したがって、本発明者らは次にCNS-2が骨髄系列細胞によるIL-4産生に対する重要な制御エレメントかどうかを問うた。この質問に答えるべく、本発明者らは、内在Il13/Il4遺伝子座からのCNS-2部位のターゲット欠失によりCNS-2欠損マウスを作出した(図15A)。
BMMCsおよびPMCsを、それぞれ野生型同腹仔およびCNS-2欠損マウスから調製した。イオノマイシンに応答したBMMCsおよびPMCsによるサイトカイン産生を測定した。CNS-2欠損BMMCは、IL-4およびIL-13産生において著しい減少を示したが、IL-3およびIL-6産生は減少しなかった(図15B)。PMCによるIL-4およびIL-13産生は、CNS-2欠損マウスの場合と同様の減少を示したが、PMCはBMMCと比較して約200倍少ないIL-4を産生した。(図15C)。これらのデータに基づき、本発明者らは、CNS-2エンハンサーは肥満細胞の結合織型と未成熟型の両方においてIL-4およびIL-13産生を調節すると結論する。
次に、野生型同腹仔およびCNS-2欠損マウスのBMから濃縮好塩基球を調製し、IL-3に応答したサイトカイン産生を測定した。肥満細胞と異なり、CNS-2欠損マウス由来の好塩基球はIL-4または他のサイトカイン産生における有意な減少を示さない(図15D)。これらの結果は、CNS-2エンハンサーは肥満細胞によるIL-4産生には必須であるが、好塩基球によるIL-4産生には必須ではないということを示している。従って、CNS-2エンハンサーは重要な好塩基球エンハンサーではなく、HS4エレメントなどの別のエンハンサーが、これらの細胞においてil4遺伝子発現を調節し得るようである。
図1Aは、IL−4遺伝子座およびトランスジェニックマウス作出用のコンストラクト図を示す。図中、矢印はDNA分解酵素I高感受性部位(HS)を示す。CNS−2領域は白抜きボックスにて示す。水平線はトランスジェニックレポーターコンストラクトに使用した断片を示す。本発明で使用するGFPレポーターコンストラクトの全てを示す。 図1Bは、非刺激T細胞ならびに再刺激した発生期Th1およびTh2細胞におけるGFP発現をフローサイトメーターによって測定した図である。非刺激の脾臓由来T細胞をそれぞれのトランスジェニックマウスから新たに単離した。これらのCD4T細胞をTh1またはTh2の(培養)条件下、プレートに固相化した抗TCRモノクローナル抗体(30μg/ml)またはCD28モノクローナル抗体にて48時間刺激し、さらにIL−2(30U/ml)と共に1週間培養した。上に述べたように、Th1細胞およびTh2細胞が得られた。 図1Cは、近位3’トランスジェニックマウス(Tg)5系統および遠位3’トランスジェニックマウス(Tg)4系統から得た脾臓由来CD4 T細胞を、Th1またはTh2条件下にて培養し、一週間後再刺激したCD4 T細胞中のGFP発現細胞の割合を示すグラフである。コピー数非依存的なGFP発現が遠位3’トランスジェニックマウスにおいて示された。 図1Dは、それぞれ5系統のトランスジェニックマウスVa/CNS−2(Δ5a/5Tg)およびVa(Δ5aTg)から新たに単離した脾臓由来T細胞のGFP発現をフローサイトメーターで分析した図である。5系統のVa/CNS−2およびVaトランスジェニックマウスから新たに単離した全CD4T細胞のうち、GFP陽性細胞の割合を下に示す。 図2Aは、図1Cと同様にTh1およびTh2条件下、1〜7日間培養したCD4 T細胞のうち、GFPの細胞をフローサイトメーターで検出した結果を示すグラフである。 図2Bは、GFP陽性または陰性のCD4 T細胞を全脾臓由来CD4T細胞からFACSVantageで選別し、それぞれTh1またはTh2条件下で培養し、これら分化中の細胞を抗TCRモノクローナル抗体にて再刺激することによるGFP発現を測定したグラフ(左)である。同時に、細胞培養上清中のIL−4やIFN−γをELISAにて測定した結果も示す(右)。 図3Aは、BALB/cマウス背景の遠位3’Tg由来の脾臓T細胞をCD4およびCD8抗体で染色し、ならびに脾臓由来CD4T細胞をCD44、CD62LおよびCD25抗体で染色した結果を示す図である。 図3Bは、B6マウス背景の遠位3’Tg由来の脾臓CD4T細胞をNK1.1およびCD1dIgで染色し、ならびにCD1d−CD4T細胞をCD44抗体で染色した結果を示す図である。 図3Cは、遠位3’Tgの胸腺におけるCD8 SP細胞、CD4 SP細胞およびDP細胞のGFP発現をフローサイトメーターで分析した図である。 図3Dは、リンパ節および末梢血のリンパ球をCD4およびCD44で染色し、GFP発現をフローサイトメーターで分析した図である。CD4またはCD44hiリンパ球においてGFP発現が検出された。 図4Aは、CD44およびGFP発現に基づき、CD44lo、CD44hiGFP、GFPCD4T細胞を遠位3’Tgの脾臓から新たに単離した全CD4T細胞から選別し、これら3つの母集団を抗TCRモノクローナル抗体または抗CD28モノクローナル抗体により48時間刺激し、IL−2、4、5、10、13およびIFN−γの炎症性サイトカインを、刺激した3つの母集団の細胞培養上清で評価した結果を示すグラフである。 図4Bは、全GFPCD4T細胞からCD1dIg−フラクションを除いた細胞集団、および全GFPCD4T細胞を図4Aに述べた方法で刺激し、培養上清中のIL−4およびIFN−γをELISAにより検出した結果を示すグラフである。 図5Aは、TaqMan PCRにおける3組のプローブおよびプライマーセットの位置と、RT−PCRにおける1組のプライマーセットの位置を示す図である。これらはIL−4 mRNAを検出するための全てのプライマーである。 図5Bは、CD44およびGFP発現に基づき、CD44lo/CD44hi GFP、GFPCD4T細胞を全CD4T細胞から図4Aに言及したように選別し、RT−PCRによりIL−4 mRNAを検出した結果を示す。 図5Cは、選別されたCD44loCD44hiGFPおよびGFPCD4T細胞を図4Aに示す方法で刺激し、刺激した細胞由来のRNAを逆転写用に用意し、RT−PCRによりIL−4およびIFN−γmRNAを検出した結果を示す。 図5Dは、全RNAを新たに単離した脾臓由来GFPCD4T細胞から調製し、図5Aで述べたプライマーを使用して、RT−PCRを行った結果を示す。 図6Aは、GFPCD4T細胞を、遠位3’Tgマウスの脾臓から単離した全CD4T細胞からセルソーターを用いて枯渇させた。全CD4T細胞およびGFPCD4T細胞は抗TCRモノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体により極性化しない条件下にて刺激し、IL-2を含む培地で培養した。1週間後、再刺激したCD4T細胞の培養上清中の炎症性サイトカインをELISAにて測定した。また、GFPCD4T細胞を外来性IL-4存在下(100U/ml)にて刺激し、一週間培養した。炎症性サイトカインの発現を同じ方法で測定した。 図6Bは、DO11.10×遠位3’ダブルトランスジェニックマウス脾臓由来の全CD4T細胞とGFPCD4T細胞を、極性化しない条件下、0.1M Loh15および放射線照射した抗原提示細胞にて刺激し、IL-2を含む培地で培養した。1週間後、固相化した抗TCRモノクローナル抗体で再刺激したCD4T細胞の培養上清中におけるIL-4およびIFN-γをELISAにて評価した。同時にこれら2つのサイトカインの細胞内サイトカイン染色を行った。 図6Cは、BALへのGFPCD4T細胞の浸潤を示す図である。 図7Aは、STAT6欠損遠位3’Tgマウスから得た、脾臓由来CD4T細胞および発生期Th1およびTh2細胞のGFP発現を示す図である。この実験に使用した全ての方法は図2の方法と同様である。 図7Bは、遠位3’Tgマウスから新たに単離した脾臓由来CD44loおよびGFP+CD4T細胞におけるGATA3蛋白質をウエスタンブロッティングにより検出した電気泳動図である。休止期のTh1クローン(23-1-8)およびTh2クローン(MS-SB)はGATA3のネガティブコントロールおよびポジティブコントロールとして使用した。STAT6を内部標準として検出した。 図7Cは、Th1またはTh2条件下、GFP+CD4T細胞を抗TCR(プレート結合)モノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体にて刺激した結果を示す。1日目および2日目において、これらの細胞にコントロールレトロウィルスベクター(pMX-IRES-rCD2)またはGATA3発現レトロウィルスベクター(pMX-GATA3-IRES-rCD2)を含むウィルス培養上清を用い感染させた。5日後、抗TCR抗体(プレート結合)で再刺激したrCD2ポジティブ細胞(感染細胞)のGFP発現を評価した。 図8Aは、再刺激したCD4T細胞において抗TCRモノクローナル抗体を用い、IL-4およびIFN-γの細胞内サイトカインの染色を行った結果を示す。CD4Cre×RBP-J+/+マウス、CD4Cre×RBP-Jf/+マウスおよびCD4Cre×RBP-Jf/fマウスから得た脾臓由来CD4T細胞をそれぞれ単離した。放射線照射した同系の抗原提示細胞およびIL-2を含む培地の存在下、単離した細胞を抗TCRおよび可溶性の抗CD28モノクローナル抗体にて刺激した。1週間後、再刺激したCD4T細胞において抗TCRモノクローナル抗体を用い、IL-4およびIFN-γの細胞内サイトカインの染色を行った。 図8Bは、脾臓由来CD44loおよびCD44hiCD4T細胞からのIL-4産生をELISAにて測定した結果を示す。CD4Cre×RBP-J+/+およびCD4Cre×RBP-Jf/fマウスの全CD4T細胞から、脾臓由来CD44loおよびCD44hiCD4T細胞を選別した。放射線照射した抗原提示細胞または固相化した抗TCRおよび抗CD28モノクローナル抗体の存在下、選別した細胞を抗TCRおよび抗CD28可溶性モノクローナル抗体で刺激した。24時間後、細胞培養上清に存在するIL-4をELISAにて評価した。 図8Cは、IL-4およびIFN-γの細胞内サイトカインの染色を行った結果を示す。Th2分化におけるCD44hi細胞でのRBP-Jκノックアウトの影響を評価するために、4パターンの共培養系を実施した。すなわち野生型CD44loCD4T細胞と野生型CD44hiCD4T細胞の共培養、野生型CD44loCD4T細胞とRBP-Jκ欠損CD44hiCD4T細胞の共培養、RBP-Jκ欠損CD44loCD4T細胞と野生型CD44hiCD4T細胞の共培養、およびRBP-Jκ欠損CD44loCD4T細胞とRBP-Jκ欠損CD44hiCD4T細胞の共培養である。これらの細胞を図8Aに述べたように刺激し、IL-2を含む培地で培養した。1週間後、図8Aで述べたように細胞内サイトカイン染色を行った。 図9は、肥満細胞および好塩基球におけるGFPの発現を示すグラフである。図中、網かけのピークはトランスジーン陰性のマウス由来の細胞を示し、白抜きのピークは、トランスジェニックマウス由来の細胞を示す。 図10Aは、肥満細胞におけるアセチル化およびメチル化のH3修飾パターンを示す。AcH3 K9/14および3Me H3K4に対するChip分析を、BALB/cマウス由来の発育中のTh2細胞(△)、BMMCs(○)およびBM細胞(●)で行った。Th2細胞をIL-4および抗IL-12の存在下でプレート結合抗TCRおよび抗CD28 mAbsにより調製した。BMMCsは、IL-3の存在下で4週間培養したBM細胞由来であった。下パネルはIl13/Il4遺伝子座および高感受性部位(HS)の構造を示した。データは、3つの独立した実験の代表である。 図10Bは、BMMCにおけるREAパターンを示す。核をBMMCおよびTh2細胞(5×106細胞)から調製し、様々な濃度の、XhoI(HSS1に対して)、PstI(IL-4PおよびIEに対して)、BtsI(HS4に対して)、SwaI(HS5aに対して)またはHgaI(HS5に対して)で消化した。上部グレーの矢印は制限酵素の漸次的変化を示す。DNAを精製し、EcoRI(CNS-1に対して)、HindIII(IL-4P、HS2、HS5aおよびHS5に対して)、またはPstI(HS4に対して)のいずれかで消化し、適切なプローブを用いたサザンブロッティングにより分析した。白抜き矢はEco RI、Hind III、PstI部位を示し、黒塗り矢はXhoI、PstI、BtsIおよびHgaI部位を示す。 図11Aは、Il4遺伝子座およびトランスジェニックマウスのコンストラクトの図を示す。グレーの丸はHS部位を示し、二方向の矢はトランスジェニックレポーターコンストラクトに用いた断片を示す。本研究で用いた全GFPレポーターコンストラクトを示す。 図11Bは、Th2細胞、NKT細胞、PMCs、BMMCsおよび好塩基球におけるGFP発現を示す図である。刺激しないTh2細胞を、各Tg系統の脾臓のCD4 T細胞から調製し、NKT細胞におけるGFP発現をNK1.1+ CD4+細胞として各Tg系統の肝細胞から新たに単離し、ならびにPMCsおよび好塩基球を、それぞれ、FceRI+c-kit+細胞およびFceRI+ B220-細胞として腹腔内および脾臓細胞から新たに単離した。BMMCsは、IL-3の存在下で4週間培養したBM細胞由来であった。データは、3つの実験の代表である。 図12Aは、CNS-2エンハンサーが介在するGFP発現の出現は肥満細胞の分化と相関することを示す図である。HS5a/CNS-2 Tg由来のBM細胞をIL-3と培養し、GFP(中央パネル)およびc-kit/FcεR(上パネル)発現を1〜4週間で分析した。下パネルはIL-3培養BM細胞におけるREAパターンを表した。核をIL-3培養BM細胞(5×106細胞)から調製し、HgaIで消化した。DNAを精製し、HindIIIで消化し、HS5に対するプローブを用いてサザンブロッティングで解析した。データは、2つの独立した実験の代表である。 図12Bは、CNS-2エンハンサー活性はBMMCにおけるIL-4産生と相関していることを示す図である。HS5a/CNS-2 Tg由来のBMMCを、PMA、IonoまたはPMA+Ionoのいずれかで刺激した。IL-6(左)およびIL-4(中央)のタンパク質発現をELISAで測定し、右パネルはGFP発現を示す。データは、3つの実験の代表である。 図13Aは、胸腺、脾臓、BMおよび腹腔内細胞由来のc-kit+細胞におけるIEエンハンサー活性を示す図である。GFP発現を、野生型(WT)およびIE Tgマウスの胸腺、脾臓、およびBM由来のc-kit+細胞で評価した(左パネル)。IE介在GFP発現を、c-kit+、FceRI+、またはB220-腹腔内細胞において解析した(右パネル)。 図13Bは、IEエンハンサー活性はコピー数依存的であることを示す図である。GFP発現を、5つの独立したIE Tg系統由来のBMMCにおいて評価した。各系統のコピー数をカラムに示す。 図13Cは、IEはIL-3/SCF誘導BMMCに対する特異的エンハンサーであることを示す図である。BM細胞を、SCFの不在下(a, c, e, g, i)または存在下(b, d, f, h, j)でIL-3と培養し、細胞をH&E(HE)ならびにベルベリンで染色した;可視光(aおよびb)、ベルベリン(cおよびd)、HE(eおよびf)。ベルベリン陽性細胞の割合を、IL-3またはIL-3/SCF培養BM細胞において評価した(k)。データは平均およびSDを示す。**p<0.01。GFP発現をIL-3(g, i)またはIL-3/SCF(h, j)培養BM細胞由来のc-kit+、FceRI+集団において評価した。IEエンハンサー介在GFP発現の出現を評価するために、IE Tg由来のBM細胞をSCFの存在下でIL-3と培養し、GFP発現を6、12および21日目に評価した(l)。 図13Dは、IL-3またはIL-3/SCF誘導BMMC細胞におけるサイトカイン産生パターンを示す図である。IL-3またはIL-3/SCF誘導BMMC細胞をPMA+Ionoで24時間刺激し、サイトカイン産生をBio-Plex assay systemの23 plex panelにより評価した。データは、3つの実験の平均およびSDを示す。**p<0.01。*p<0.05。 図14Aは、脾臓およびBMにおけるHS4エンハンサー活性を示す図である。GFP発現を、野生型(WT)およびHS4 Tgマウスの脾臓およびBM由来B220-細胞において評価した(上パネル)。HS4介在GFP発現を、3つのHS4 Tg系統(系統1から3)のB220-脾臓細胞由来のFceRI+、DX-5+、またはc-kit-細胞において評価した(下パネル)。 図14Bは、HS4エンハンサー活性がコピー数依存性であることを示す図である。GFP発現を、3つの独立したTg系統(系統1、2、および3)から単離したFceRI+、DX-5+、B220-脾臓細胞において評価した。各系統のコピー数をカラムに示す。 図14Cは、CNS-2およびHS4エンハンサー活性は好塩基球においてIL-4産生と相関することを示す図である。DX-5+、B220-細胞を野生型(WT)マウスならびにHS4 TgマウスおよびΔHS5a TgマウスのBMから単離し、GFP発現(右パネル)およびIL-4産生(左パネル)をIL-3刺激有り(下部輝度ヒストグラムの赤線)または無し(右上および下部輝度ヒストグラムの緑線)で評価した。 図15Aは、CNS-2欠損マウスの作出ならびにIl4遺伝子座における野生型(WT)アレルおよび変異アレルおよびターゲットコンストラクトの概略図を示す。CNS-2エンハンサーエレメントを、白抜きボックスで示す。ネオマイシン耐性遺伝子(NEO)、HSVプロモーターにより駆動するチミジンキナーゼをコードする遺伝子(HSV-TK)、およびloxP(P)を、白ボックスで示す。HindIII消化ゲノムDNA断片を、プローブにより検出した。制限部位:H、HindIII;B、BclI;E、EcoRI;S、SwaI。HindIII消化DNAを用いた代表的なサザンブロット解析。プローブの位置を左パネルのWTアレル上に示す。 図15Bは、BMMC細胞におけるサイトカイン産生パターンを示す図である。正常な同腹仔(+/+)およびCNS-2欠損(-/-)マウス由来のIL-3誘導BMMC細胞をPMA+Ionoで24時間刺激し、サイトカイン産生を評価した。データは、3つの実験の平均およびSDを示す。**p<0.01。*p<0.05。 図15Cは、PMC細胞におけるサイトカイン産生パターンを示す図である。正常な同腹仔(+/+)およびCNS-2欠損(-/-)マウス由来のc-kit+腹腔内細胞をPMA+Ionoで24時間刺激し、サイトカイン産生を図15Bに記載されるように評価した。 図15Dは、好塩基球を正常な同腹仔(+/+)およびCNS-2欠損(-/-)マウスのBMからDX-5+、B220-細胞として濃縮し、細胞をIL-3で24時間刺激した結果を示す図である。
配列番号2:GFPのセンスプライマー
配列番号3:GFPのセンスプライマー
配列番号4:エクソン2−3のセンスプライマー
配列番号5:エクソン2−3のアンチセンスプライマー
配列番号6:エクソン1−4のセンスプライマー
配列番号7:エクソン1−4のアンチセンスプライマー
配列番号8:プローブ
配列番号9:エクソン3−4のセンスプライマー

Claims (30)

  1. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
  2. 前記遠位3’エンハンサーが保存された非コード化配列2中に存在するDNA分解酵素I高感受性部位5を必須要素とするものである請求項1に記載の非ヒト動物。
  3. 前記DNA分解酵素I高感受性部位5が配列番号1に記載の11541〜12954位の塩基配列からなるものである、請求項2に記載の非ヒト動物。
  4. 前記遠位3’エンハンサーがNKT細胞、CD44hiメモリー表現型CD4T細胞、肥満細胞および好塩基球で恒常的に活性型である請求項1〜3いずれかに記載の非ヒト動物。
  5. ナイーブT細胞のTh2細胞への分化への生体内単一細胞モデルとして使用される請求項1〜4いずれかに記載の非ヒト動物。
  6. Th2サイトカインが関与する疾患のモデルとして使用される請求項1〜4いずれかに記載の非ヒト動物。
  7. 肥満細胞または好塩基球における動態のモニターとして使用される請求項1〜4いずれかに記載の非ヒト動物。
  8. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
  9. 結合織型肥満細胞における動態のモニターとして使用される請求項8に記載の非ヒト動物。
  10. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。
  11. 好塩基球における動態のモニターとして使用される請求項10に記載の非ヒト動物。
  12. 前記レポーター遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子である請求項1〜11いずれかに記載の非ヒト動物。
  13. 前記動物が実験動物または家畜である請求項1〜12いずれかに記載の非ヒト動物。
  14. 前記実験動物がマウスである請求項13に記載の非ヒト動物。
  15. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび遠位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該遠位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記遠位3’エンハンサーがNKT細胞およびCD44hiメモリー表現型CD4T細胞で恒常的に活性型である発現ベクター。
  16. 前記遠位3’エンハンサーが保存された非コード化配列2中に存在するDNA分解酵素I高感受性部位5を必須要素とするものである請求項15に記載の発現ベクター。
  17. 前記DNA分解酵素I高感受性部位5が配列番号1に記載の11541〜12954位の塩基配列からなるものである、請求項16に記載の発現ベクター。
  18. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよびイントロン様エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該イントロン様エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記イントロン様エンハンサーが結合織型肥満細胞で恒常的に活性型である発現ベクター。
  19. 前記イントロン様エンハンサーが配列番号1に記載の7171〜10394位の塩基配列からなるものである、請求項18に記載の発現ベクター。
  20. IL−4遺伝子の5’エンハンサー、プロモーターおよび近位3’エンハンサー、ならびに当該プロモーターの下流かつ当該近位3’エンハンサーの上流に位置するレポーター遺伝子から構成されるレポーターカセットを含む発現ベクターであって、非ヒト動物に導入された場合に前記近位3’エンハンサーが好塩基球で恒常的に活性型である発現ベクター。
  21. 前記近位3’エンハンサーが配列番号1に記載の13091〜17538位の塩基配列からなるものである、請求項20に記載の発現ベクター。
  22. 請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物を同種の他の遺伝子改変動物と交配して得られるモデル動物。
  23. 前記モデルが免疫疾患モデルである請求項22に記載のモデル動物。
  24. 請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物または請求項22もしくは23に記載のモデル動物から得られる組織または細胞。
  25. 請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物または請求項22もしくは23に記載のモデル動物を用いることを特徴とするTh2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法。
  26. 前記疾患が喘息、アトピー、アレルギー性結膜炎またはアレルギー性鼻炎である請求項25に記載のスクリーニング方法。
  27. 下記工程:
    (a)請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物または請求項22もしくは23に記載のモデル動物に被験物質を投与する工程、
    (b)前記被験物質を投与した動物におけるレポーターの発現量を調べ、被験物質を投与しない動物における発現量と比較する工程、および
    (c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインの産生を低下させうる被験物質を選択する工程を含む、Th2サイトカインが関与する疾患を改善する物質のスクリーニング方法。
  28. 下記工程:
    (a)請求項24に記載の組織または細胞と被験物質とを接触させる工程、
    (b)前記被験物質を接触させた組織または細胞におけるレポーターの発現量を調べ、被験物質を接触させない組織または細胞における発現量と比較する工程、および
    (c)前記比較結果に基づいて、Th2サイトカインの産生を調節する被験物質を選択する工程を含む、ナイーブT細胞がTh2細胞へと分化することを調節する物質のスクリーニング方法。
  29. 下記工程:
    (a)請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物または請求項22もしくは23に記載のモデル動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
    (b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞におけるNKT細胞またはメモリーT細胞の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
    (c)前記比較結果に基づいて、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程を含む、NKT細胞またはメモリーT細胞の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法。
  30. 下記工程:
    (a)請求項1〜14いずれかに記載の非ヒト動物または請求項22もしくは23に記載のモデル動物を抗原刺激し、次いで被験物質を投与する工程、
    (b)前記被験物質を投与した動物の組織または細胞における肥満細胞または好塩基球の浸潤を調べ、被験物質を投与しない動物の組織または細胞における浸潤と比較する工程、および
    (c)前記比較結果に基づいて、肥満細胞または好塩基球の抗原刺激による炎症部位への浸潤を制御する被験物質を選択する工程を含む、肥満細胞または好塩基球の炎症部位への浸潤を制御する物質のスクリーニング方法。
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