JP2007251219A - 薄膜太陽電池モジュールの製造方法とその製造装置 - Google Patents

薄膜太陽電池モジュールの製造方法とその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モジュール取り付け部も含め、実質的に1工程でモジュール製造を実現、モジュール補強リブ加工の容易化、モジュールの軽量かつ高強度化、非発電面積の低減などを図った太陽電池モジュールの製造方法とその製造装置を提供する。
【解決手段】受光面側から、少なくとも耐候性表面保護膜401、表面側封止樹脂402、太陽電池素子403、背面側封止樹脂405、構造支持体408を順次配設し、かつ電気出力を外部に取出すための薄板状配線材からなる補助配線および内部配線を太陽電池素子の背面部に配設して電気的接続を行い、封止樹脂を熱硬化させることにより太陽電池モジュールとして一体化してなり、さらに太陽電池モジュールの非発電領域の一部を折り曲げてモジュール外周部の少なくとも相対する2辺に補強リブ410を形成してなる薄膜太陽電池モジュールの製造方法において、あらかじめ、非発電領域の一部の折り曲げを行った後に、前記樹脂の熱硬化を行う。
【選択図】図3

Description

この発明は、薄膜太陽電池モジュールの製造方法とその製造装置に関する。
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。
薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いていたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムおよび金属フィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発がすすめられている。このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能となった。 上記の薄膜太陽電池は、フレキシブルな樹脂フィルム基板上に第1電極(以下、下電極ともいう)、薄膜半導体層からなる光電変換層および第2電極(以下、透明電極ともいう)が積層されてなる光電変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2電極とに必要な電圧を出力させることができる。例えば、インバータにより交流化し商用電力源として交流100Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は100V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直列接続される。
このような光電変換素子とその直列接続は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングおよびそれらの組み合わせ手順により形成される。上記太陽電池の構成および製造方法の一例は、例えば特許文献1や2に記載されている。
前記のような太陽電池を普及させるためには、多くの家の屋根等に太陽電池モジュールを設置する必要がある。屋根等に設置する場合、太陽電池モジュールは軽量であることが望まれる。また当然のことながら、単位面積当たりの有効発電面積が大きい方が良い。
表面にガラス板を使用した従来の太陽電池モジュールの構造とその製造方法は、例えば、特許文献3等に記載されている。さらに、軽量化を目的に背面に金属板を用いた太陽電池モジュールの構造と製造方法が特許文献4等により提案されている。
また、有効発電面積を広げる目的で、プラスチック基板上にa−Si太陽電池を構成した太陽電池素子の背面に薄板状配線材を配置し、太陽電池の表面および背面側にそれぞれ保護膜や封止樹脂などを積層し、樹脂を加圧・加熱硬化して一体化した構成の太陽電池モジュールが開発されている。このモジュールの概略断面構成を図5に示す。詳細は、次の課題の項やこの発明の構成との比較において後述する。
さらに、上記のように保護膜や封止樹脂などを積層し、樹脂を加圧・加熱硬化して一体化するためには、太陽電池モジュールの製造装置として、真空ラミネータ装置が必要である。この種の装置としては、特許文献5等に記載されたものが知られている。
上記真空ラミネータ装置は、太陽電池モジュールを加圧するためのダイアフラムを有する第1の真空槽と、太陽電池モジュールを加熱・成形するための第2の真空槽とを備え、第2の真空槽を真空に保持したままで、第1の真空槽を大気圧に戻すことにより、ダイアフラムを介して太陽電池モジュールの積層体が真空中で圧着できるようにした装置である。
特開平10−233517号公報 特開2000−223727号公報(特願平11−19306号) 特開昭58−116658号公報 特開平7−297440号公報 特開昭61−69179号公報
ところで、上記従来の薄膜太陽電池モジュールとその製造方法および製造装置においては、下記のような問題があった。

まず、表面にガラス板を使用した従来の薄膜太陽電池モジュールにおいては、表面にガラス板を有し、直列接続した太陽電池素子をエチレンー酢酸ビニール共重合樹脂(EVA)樹脂等で封止し、背面材として、両面に一弗化ビニールを貼り付けたアルミ箔を使用し、背面に端子部を構成し、周囲をアルミ製のフレームで4辺を固定している。モジュールは専用架台等を用いて屋根等に固定される。このモジュールの1m2当りの重量は、約10Kg以上であり重量が極めて重い問題がある。また、モジュール周囲に表面のガラスを固定するためのフレームを取り付ける必要がある等構造および製造手順が複雑となる問題がある。
また、背面に金属板を用いたモジュールでは、曲げ強度向上、取り付け性の向上の目的で曲げ加工がなされるが、この場合、曲げ加工時の加圧部分に太陽電池素子を配置できないため、モジュール中の非発電面積が大きくなる問題がある。さらに1m2当りの重量は約5Kgであり、比較的重い点も問題となる。
さらに、上記従来の太陽電池モジュールの製造装置(真空ラミネータ装置)においては、強度向上と有効発電領域の拡大を図る目的で太陽電池モジュールの側面を曲げて補強リブを構成するような周知の構成の太陽電池モジュールを製造する場合、太陽電池モジュールの側面の加圧ができない問題があった。 さらにまた、有効発電面積を広げる目的で、プラスチック基板上にa−Si太陽電池を構成した太陽電池素子の背面に薄板状配線材を配置した図5のようなモジュールの場合、下記のような問題があった。薄板状配線材(2)と接着材および必要により構成される絶縁材の厚み分、モジュール表面およびプラスチック基板上にa−Si太陽電池を構成した太陽電池素子が、図5に示すように、凸状に変形する問題があった。これにより、太陽電池素子の変形が大きい部分では、蒸着された金属にクラック等が発生しやすくなり、信頼性が低下する恐れがあった。また、これらのモジュールの内部配線材料として、通常、ディップ法またはメッキ法により、半田を表面にコートした物が用いられるが、廃棄する場合の鉛が環境汚染上問題となる。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、この発明の課題は、主として、(1)モジュール取り付け部も含め、実質的に1工程でモジュール製造を実現、(2)モジュール補強リブ加工の容易化、(3)モジュールの軽量かつ高強度化、(4) 非発電面積の低減、さらには、薄板状配線材部の太陽電池セルの変形防止などを図った太陽電池モジュールの製造方法とその製造装置を提供することにある。
上記課題は、以下により達成される。即ち、受光面側から、少なくとも耐候性表面保護膜、表面側封止樹脂、太陽電池素子、背面側封止樹脂、構造支持体を順次配設し、かつ電気出力を外部に取出すための薄板状配線材からなる補助配線および内部配線を前記太陽電池素子の背面部に配設して電気的接続を行い、前記封止樹脂を熱硬化させることにより太陽電池モジュールとして一体化してなり、さらに太陽電池モジュールの非発電領域の一部を折り曲げてモジュール外周部の少なくとも相対する2辺に補強リブを形成してなる薄膜太陽電池モジュールの製造方法において、あらかじめ、前記非発電領域の一部の折り曲げを行った後に、前記樹脂の熱硬化を行うことを特徴とする(請求項1)。これによりモジュール取り付け部も含め、実質的に1工程でモジュール製造を実現することができ、モジュール補強リブ加工の容易化が図れる。また、モジュールの軽量かつ高強度化、さらには非発電面積の低減が図れる。
また、上記請求項1記載の製造方法において、前記構造支持体は、ガラス織布に熱硬化性樹脂を含浸したものとし、含浸した樹脂は、前記樹脂を熱硬化させる工程において硬化させることととする(請求項2)。この場合、請求項3のように、前記表面側封止樹脂および背面側封止樹脂は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)とし、太陽電池素子は、樹脂基板を有するa−Si太陽電池素子とすることが望ましく、接着性を有するEVA接着太陽電池素子と重ねあわせて同時に熱硬化させることにより、実質的に1工程で太陽電池モジュールを製造することができる。
さらに、請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法において、前記薄板状配線材は、防食性金属でメッキされた銅箔とし(請求項4)、さらにまた、前記防食性金属は錫とし、そのメッキ厚さは、0.5〜15μmとする(請求項5)ことにより、銅箔単独に比較し腐食性が少なく、かつ鉛量を低減した太陽電池モジュールを提供できる。
上記方法を実施するための装置としては、太陽電池モジュールを加圧するためのダイアフラムを有する第1の真空槽と、太陽電池モジュールを加熱・成形するための第2の真空槽とを備え、第2の真空槽は、太陽電池モジュールを載置する部分と前記非発電領域の一部折り曲げ用の受圧面部とを有するモジュール構造支持体設置板と、前記折り曲げ部を加圧するための加圧装置と、前記モジュール加熱用のヒータとを備えたものとするのが好適である(請求項6)。
この発明によれば、モジュール取り付け部も含め、実質的に1工程でモジュール製造を実現することができ、モジュール補強リブ加工の容易化が図れる。また、モジュールの軽量かつ高強度化、さらには非発電面積の低減を図ることができる。
図面に基づき、本発明の実施の形態について以下に述べる。薄膜太陽電池モジュールの製造方法の実施形態については、図2〜図4に基づいて後述するが、共通的な事項として、まず、補強リブのない薄膜太陽電池モジュール(以下、リブ無モジュールという。)の形態について、図1を参照して以下に述べる。図1(a)は本発明の実施の形態に関わるリブ無モジュールの平面図で太陽電池素子と薄板状配線材(1)および(2)のみを概念的に示す。図1(b)および図1(c)は、それぞれ図1(a)のA−AおよびB−Bに沿う断面図である。
このリブ無モジュールは、受光面側より表面保護膜101、表面側封止樹脂102、補強材109、太陽電池素子103、太陽電池素子から電気を取出すための薄板状配線材(1)104、補強材109、背面側封止樹脂105、背面保護膜106、薄板状配線材(2)107、構造支持体108とが配設されている。
この発明に用いられる表面保護膜101としては、高耐候性フィルムで、片面もしくは、両面にコロナ放電処理等の方法で表面処理した、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)、ヘキサフルオロプロピレン・テトラフルオロエチレン共重合体(以下、FEPと記す。)等のフッ素系フィルムを用いることができる。さらにこれらのフィルムにSiOx等の無機防湿膜を蒸着したものを用いることができる。

封止樹脂102、105としては、シート上で供給されるエチレン−酢酸ビニール共重合樹脂(以下、EVAと記す。)、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体等を用いることができる。
この発明の表面側および背面側封止樹脂102、105には、補強材としてガラス不織布が含むことができる。ガラス不織布のバインダーとしては、アクリル樹脂系の材料が好ましい。ガラス不織布を含有させることにより封止樹脂の加熱収縮が小さくなり、接着面に働く応力を小さくできる。
太陽電池素子103としては、プラスチック基板上に構成されたa−Si太陽電池が好ましいが、特に限定されるわけではない。太陽電池素子103は、通常、その表面側にあらかじめEVAが貼付されており、図1においては、このEVAの部番表示を省略している。図1以降の図においても同様である。
背面側保護膜107の必要特性は、(1)背面材である熱硬化性樹脂の低分子量成分のEVA中への熱拡散を防止する。(2)封止樹脂、及び熱硬化性樹脂の両方に対して接着性が良好である。(3)製造工程中での熱収縮が小さい。(4)十分な耐候性を有するなどであり、これらの要求特性を満足する材料として、ETFE、FEP等のフッ素系フィルムの両面をコロナ処理したものが好ましい。
背面の構造支持体108としては、ガラス織布含有熱硬化樹脂が用いられる。用いられる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を用いることができるが、耐候性が高い酸無水物硬化エポキシ樹脂が好適である。
リブ無モジュールの製造工程は以下のとおりである。移動可能な平板上に、あらかじめ薄板状配線材(2)107を加熱ロールで埋設したガラス織布含浸熱硬化性樹脂シート108、背面保護膜106、補強材109としてのガラス不織布、シート状の背面側封止樹脂、あらかじめ薄板状配線材(1)104を導電性粘着テープ110等で電気的に接続した太陽電池素子103を置いた後、薄板状配線材(1)104と薄板状配線材(2)107とを半田付け等により電気的に接続する。なお、電気的接続を行なう部分の薄板状配線材(2)上のガラス不織布、シート状EVAはあらかじめ切り取っておく。
接続終了後、太陽電池素子103に貼付されたEVAの上に補強材109としてガラス不織布、表面側封止樹脂102、表面保護膜101を順に重ね合せる。なお、薄板状配線材(2)の表面には、背面保護膜との接着のために、ガラス織布含浸熱硬化性樹脂シート108に使用される樹脂を塗布しておく。
薄板配線材(2)の厚さとしては、50μm〜100μmの範囲が良い。幅は、5〜50mmの範囲が良い。薄板配線材の厚さが100μmを超えると、加熱ロールで埋設した時、凹凸ができる問題がある。また、薄すぎると、強度が弱くヒートサイクル等の応力で破断する恐れがある。
重ね合せが終了後、平坦なモジュールは公知のモジュール製造装置中に入れ、150℃の温度条件で真空ラミネートされ加熱硬化される。端部が曲げ加工されるモジュールの場合には、後述するモジュールの側面を加圧できる装置を備えたモジュール製造装置で製造される。
リブ無モジュールのセル端部からモジュール端部までの長さ(図1aア部)は、20mm程度が好ましい。20mm以上では、モジュール発電効率が低下する問題がある。最少5mmまでは、経験的に可能である。これ以下の寸法では端部からEVAを介しての水分進入がある。
上記により得られたモジュールの表面は、薄板配線材(1)を設置した部分を除き平坦である。薄板配線材(1)設置部は、太陽電池素子の変形が僅かにおこるため、太陽電池素子の非発電域に設けることが好ましい。
[実施例1(リブ無モジュールの実施例)]
前述のように、図1は、リブ無モジュールの具体例に関わる薄膜太陽電池モジュールの構成を示す。この太陽電池モジュールは、表面側より表面保護膜101として接着面をコロナ処理したETFE、封止樹脂102としてシート状EVA、太陽電池素子103としてアラミド基板a−Si太陽電池素子、太陽電池素子から電気を取出すための薄板状配線材(1)104として幅3mm、厚さ50μmの錫メッキ銅箔、背面側封止樹脂105としてシート状EVA、背面保護膜106として両面をコロナ処理した25μm厚さのETFE、薄板状配線材(2)107として幅10mm、厚さ100μm、メッキ厚さ1〜2μmの錫メッキ銅箔、ガラス織布含有熱硬化性樹脂製の構造支持体108として、厚さ1.5mmの織布にエポキシ樹脂を含浸した物により構成した。この実施例に係る各部について以下に詳述する。
1.構造支持体
エポキシ樹脂含浸ガラス織布としては、プリント配線基板用に作られるプリプレグを用いた。これらのプリプレグは、両面に剥離シートを貼り付けたシート状でコアーに巻かれた状態で供給される。片面の剥離シートを剥し、ロールで所定の位置に薄板状配線材(2)を埋設し、同時に背面保護膜106を一体化し、ついで一定寸法に切断する。
2.太陽電池素子
プラスチック基板a−Si太陽電池素子は、従来技術の項に記載した公知の方法で作成される。用いた太陽電池素子は、発電面の反対面側に正極、および負極が構成されている。
3.薄板配線材(1)
図1(c)に示すように薄板配線材(1)104は、導電粘着材付テープ110で太陽電池に固定する。薄板配線材(1)と薄板配線材(2)との電気的接続は、図1(b)に示すように、EVAシート、背面保護膜の一部を切取り太陽電池素子の近傍で半田付けされる。
4.封止樹脂
封止樹脂シートには、あらかじめ補強材109として、ガラス不織布がラミネートされている。
5.モジュール製造装置
従来技術の項に記載した公知の真空ラミネータ装置を用いることができる。
6.モジュールの端部形状、および端子ボックス。
この実施例のモジュールは、曲げ加工せず平坦なモジュールである。本実施例の場合、図示しない公知の端子ボックスがモジュールの発電面側に取り付けられる。
[比較例1(リブ無モジュールの比較例)]
前述した図5に、比較例1の構成を示す。あらかじめ0.3mm厚さの接着用EVAシート610と絶縁フィルム609とを一体化した薄板状配線材(2)607をそのまま背面封止樹脂605と太陽電池素子603の間に挟みこんだ以外は実施例2と同様に作成した。各部番の説明は省略する。
[実施例2(リブ付モジュールの実施例)]
図3は、実施例2に関わる薄膜太陽電池モジュールの構成断面図を示し、強度向上と有効発電領域の拡大を図る目的で太陽電池モジュールの側面を曲げて補強リブを構成した例を示す。このモジュールは、後述する図2に示すモジュール製造装置を用い、構造支持体408として、厚さ1.0mmのガラス織布にエポキシ樹脂を含浸したプリプレグを用い、端部を90°に曲げ加工した以外は、実施例1と同様に作成した。
図3のモジュール側面には、表面保護膜401、表面側封止樹脂402、背面保護膜406、補強材409が構成されている。そのため、太陽電池素子をモジュール端部近くまで配置しても、水分の進入の影響が少ない。本モジュールのモジュール端部から太陽電池素子までの長さは、約5mmであり、モジュール周縁部の長さの短縮により非発電面積の低減が図れる。
次に、前記図3のモジュールに関わる製造装置(真空ラミネーター装置)について述べる。この装置は、図2に示すように、太陽電池モジュールを加圧するためのゴムシートからなるダイアフラム302を有する第1の真空槽301と、太陽電池モジュールを加熱・成形するための第2の真空槽303とを備え、第2の真空槽303は、太陽電池モジュール400を載置する部分と非発電領域の一部折り曲げ用の受圧面部とを有するモジュール構造支持体設置板305と、前記折り曲げ部を加圧するための加圧装置304a(ばね式)または304b(空気圧式)と、モジュール加熱用のヒータ306とを備える。
各真空槽は、それぞれ真空排気用配管307を備える。図2においては、第1の真空槽301と第2の真空槽303とが、離れた状態を示すが、製造時においては、第1の真空槽301を下降させて、第2の真空槽303と隣接させ、真空保持用パッキン308を押圧して、第2の真空槽303のシールを構成する。
次に、図3のモジュールの製造工程について以下に述べる。
モジュールは、あらかじめ剥離用のガラス織布含有PTFEシート上309にガラス織布含有熱硬化性樹脂製の構造支持体408として、厚さ0.8mmの織布にエポキシ樹脂を含浸したシート状プリプレグ、背面保護膜406として両面をコロナ処理した25μm厚さのETFE、背面側封止樹脂405としてシート状EVAと、薄板状配線材(2)407として幅10mm、厚さ0.1mm、メッキ厚さ1〜2μmの錫メッキ銅箔をロールにより一体化したシート、太陽電池素子403としてアラミド基板a−Si太陽電池素子と太陽電池素子から電気を取出すための薄板状配線材(1)404として幅3mmの錫メッキ銅箔が一体化された物を重ね合わせる。この段階で薄板状配線材(1)と薄板状配線材(2)とが半田付け等により、電気的に接続される。さらに表面側封止樹脂402としてシート状EVA、表面保護膜101として接着面をコロナ処理したETFEを順に重ね合わせ、加熱ロールで一体化した後、図2に示すモジュール製造装置中の構造支持体設置板305の上にセットされる。
構造支持体設置板305は、あらかじめヒータにより120℃に加熱されており、セット後ただちに図示しない開閉機構により、第1の真空槽301と第2の真空槽303とを一体化し、両真空槽を同時に真空にし、5分間保持し、モジュール中の空気を除去後、第1の真空槽301を常圧にする。同時に側面の加圧装置304a(この場合、両側面に設置された304a)を動作させ、モジュール側面を加圧する。その後、構造支持体設置板を150℃に上昇させ20分間保持し、EVA、および熱硬化性樹脂を硬化する。ついで、空冷等により加熱板を120℃に冷却後、剥離用のガラス織布含有PTFEシート309と共にモジュールが取出される。
[実施例3(実施例2とは異なるリブ付モジュールの実施例)]
図4は、実施例2とは異なる補強リブ510を備えたモジュールを示す。端部を円形に曲げ加工し、アルミパイプ511と一体化した以外は、実施例1と同様に作成した。この場合、従来の真空ラミネータ装置を用いた。
[比較例2(比較例1とは異なるリブ無モジュールの比較例)]
図6に比較例2のモジュールの平面図を示す。実施例1(図1)の構造支持体108に相当するものとして、0.4mmの塗装亜鉛鋼板を用い、薄板状配線材(2)を太陽電池素子の外側に配置し、図1のように背面側封止樹脂105と表面側封止樹脂102の間に挟んだ以外は実施例1と同様に作成した。図6のモジュールのア部、イ部で90°に端部を曲げ加工した。
表1に、前記各実施例および比較例について、モジュールの重量,太陽電池素子との面積比,表面凹凸,信頼性試験結果などを比較した結果を示す。
Figure 2007251219
上記モジュールは、一辺が1mの正方形とし、薄板状配線材設置部の表面の凹凸の測定は、薄板配線材(2)が設置されたモジュールの中央部で測定した。測定は、0.01mmまで測定可能な、ダイヤルゲージを用い、薄板配線材(2)の設置部中央部の厚さと、薄板配線材(2)設置部以外の部分の厚さの差を凹凸とした。
比較例1において、0.35mmの凹凸が発生した。その理由としては、薄板配線材(2)の厚さが0.1mm、絶縁フィルムの厚さが0.05mm、接着剤の厚さが0.3mmで、前記合計0.45mmが、周囲の樹脂の流動がほとんどないために凹凸に反映して、0.35mmの凹凸を生じたものと推定される。
また比較例1の信頼性試験結果において、*印を付した意味は、ヒートサイクル試験において、試験したモジュール5中の1モジュールに3.5%の特性低下が認められたことを示す。目視外観上、異常は認められず低下原因は不明である。その他モジュールでは、明確な特性低下は発生していない。
なお、信頼性試験は下記にのとおり行った。JISC8938に記載の信頼性試験のうち、高温高湿放置試験(85℃,85%RH,1000h)、ヒートサイクル試験(−20℃,90℃,200サイクル)、温湿度サイクル試験(−40℃,85℃85%RH、20サイクル)、塩水噴霧試験、ウエザロ試験を実施し、特性変化、外観変化を調査した。判定は、特性変動が5%以内であり、腐食等の外観異常を無い物を合格とした。
本発明の実施の形態に関わるリブ無モジュールの要部構成を示す上面図 図3の実施例に関わる薄膜太陽電池モジュール製造装置の概略構成を示す図 この発明の実施例に関わる補強リブ付薄膜太陽電池モジュールの部分断面図 図3とは異なる補強リブ付薄膜太陽電池モジュールの部分断面図 比較例1の薄膜太陽電池モジュールの断面図 比較例2の薄膜太陽電池モジュールの平面模式図
符号の説明
101,201,401,501:表面保護膜、102,202,402,502:表面側封止樹脂、103,203,403,503:太陽電池素子、104,204,404,504:薄板配線材(1)、105,205,405,505:背面側封止樹脂、106,206,406,506:背面保護膜、107,207,407,507:薄板配線材(2)、108,208,408,508:構造支持体、109,209,409,509:補強材、301:第1の真空槽、302:モジュール加圧用ダイアフラム、303:第2の真空槽、304a,304b:加圧装置、305:構造支持体設置板、306:ヒータ、410,510:補強リブ。

Claims (6)

  1. 受光面側から、少なくとも耐候性表面保護膜、表面側封止樹脂、太陽電池素子、背面側封止樹脂、構造支持体を順次配設し、かつ電気出力を外部に取出すための薄板状配線材からなる補助配線および内部配線を前記太陽電池素子の背面部に配設して電気的接続を行い、前記封止樹脂を熱硬化させることにより太陽電池モジュールとして一体化してなり、さらに太陽電池モジュールの非発電領域の一部を折り曲げてモジュール外周部の少なくとも相対する2辺に補強リブを形成してなる薄膜太陽電池モジュールの製造方法において、あらかじめ、前記非発電領域の一部の折り曲げを行った後に、前記樹脂の熱硬化を行うことを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記構造支持体は、ガラス織布に熱硬化性樹脂を含浸したものとし、含浸した樹脂は、前記樹脂を熱硬化させる工程において硬化させることを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法において、前記表面側封止樹脂および背面側封止樹脂は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)とし、太陽電池素子は、樹脂基板を有するa−Si太陽電池素子としたことを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記薄板状配線材は、防食性金属でメッキされた銅箔としたことを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法において、前記防食性金属は錫とし、そのメッキ厚さは、0.5〜15μmとしたことを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  6. 請求項1記載の製造方法を実施するための薄膜太陽電池モジュールの製造装置であって、太陽電池モジュールを加圧するためのダイアフラムを有する第1の真空槽と、太陽電池モジュールを加熱・成形するための第2の真空槽とを備え、第2の真空槽は、太陽電池モジュールを載置する部分と前記非発電領域の一部折り曲げ用の受圧面部とを有するモジュール構造支持体設置板と、前記折り曲げ部を加圧するための加圧装置と、前記モジュール加熱用のヒータとを備えたことを特徴とする薄膜太陽電池モジュールの製造装置。
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