図1に本発明に係るレンズシートの製造工程10の一例を示す。本実施形態では、好ましい支持体の一例としてポリエステルフィルムの例で説明する。ポリエステルフィルム11に裏面層形成工程12及び裏面形成後処理工程13を行い、裏面形成済ポリエステルフィルム14を得る。その裏面形成済ポリエステルフィルム14は通常、巻取工程15を行いロール状とし、ロール状ポリエステルフィルム16とする。ロール状ポリエステルフィルム16にレンズ賦型工程17を行い、本発明に係るレンズシート18を得る。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
(原料ポリエステル)
本発明に係るレンズシート18の支持体としてはポリエステルを主成分とするものが好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが挙げられる。これら各ポリエステルは一種のみを用いても良いし、ブレンドさせた混合ポリマーを用いても良い。
前記ポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
(フィルム製造工程)
ポリエステルを主成分とするペレットを真空乾燥した後、押出機に供給して260℃〜300℃で溶融して溶融ポリエステルを得る。溶融ポリエステルをT字型ダイよりシート状に押し出して、表面温度10℃〜60℃のキャスト用ドラムにキャストして冷却固化して未延伸ポリエステルフィルムを作製する(溶融製膜法と称される)。
(延伸工程)
未延伸ポリエステルフィルムを二軸延伸する二軸延伸工程を行うことが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、単にポリエステルフィルム11と称する)とは、一般に、未延伸ポリエステルフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸して、その後に熱処理を行い、結晶配向が完了されたものである。延伸された状態は、広角X線回折法で測定することができる。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでも良い。また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
ポリエステルフィルム11の厚さは、特に限定されるものではなく、機械的強度、ハンドリング性などの点から、1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上300μm以下である。なお、ポリエステルフィルム11を幅方向に弛緩させることが好ましい。弛緩範囲は、3%以上12%以下であることが好ましい。そして、ポリエステルフィルム11のレンズ形成面側に易接着層を形成することが好ましい。易接着層はラテックスなどを含有している塗布液をポリエステルフィルム裏面に塗布した後に乾燥させて形成する。
そして、ポリエステルフィルム11のレンズ配列反対面側(以下、裏面と称する)に裏面層を形成する裏面層形成工程12を行う。なお、裏面層としては、導電性層及び滑り層などの例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(導電性層)
導電性層には、金属酸化物粒子を含有させることが好ましい。この金属酸化物粒子は導電性であり、本発明に係るレンズシート18に帯電防止能を付与するものである。このような金属酸化物粒子(以下、導電性金属酸化物粒子とも称する)の材質としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、MgO、BaO及びMoO3及びこれらの複合酸化物、及び該金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al2O3、TiO2、In2O3、及びMgOが好ましく、さらにSnO2、ZnO、In2O3及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In2O3に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01モル%〜30モル%(好ましくは0.1モル%〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%以上である場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができ、30モル%以下とすることにより粒子の黒化度が増すことがなく、導電性層が黒くなることを防止する。従って、本発明に係る導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
導電性金属酸化物粒子は、導電性層中に、後述の結合剤に対して10質量%〜1000質量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100質量%〜800質量%の範囲が好ましい。10質量%以上である場合は、充分な帯電防止性が得られ、1000質量%以下である場合は導電性金属酸化物粒子のポリエステルフィルム裏面からの脱落を防止することができる。
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。本発明に係るレンズシートに形成される導電性層中の金属酸化物粒子の平均粒径は0.03μm以上0.15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.04μm以上0.08μm以下である。ここでいう、平均粒径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。上記粒子の平均粒径が、0.02μm以上であれば導電性層の動摩擦係数調整の点で良くなり、0.20μm以下であれば、ポリエステルフィルム裏面からの脱落防止の点で良くなり、共に好適である。
上記金属酸化物微粒子の導電性層形成用塗布液への添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤(バインダー)を含む)に分散させた分散液を添加することが好ましい。
本発明において、導電性層に上記した金属酸化物粒子を含有させることにより、レンズシート裏面側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を、1×107Ω以上1×1012Ω以下、好ましくは1×109Ω以上1×1011Ω以下に調整することができる。また高温高湿下における表面電気抵抗値も所定の値に調整することができる。レンズシート裏面側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を1×107Ω以上とすることは、多量の導電性金属酸化物粒子が不要のため、この粒子が脱落し難くなり、脱落した粒子が塗布膜のハジキの核となるというような二次故障を引き起こすことがない。また、1×1012Ω以下であれば、高温高湿下においても所望の帯電防止性能を有し、高温高湿下におけるレンズシートの製造時の塗布欠陥を防止し、また、レンズシートへのゴミ等の付着による記録書き込み時にレーザー光の焦点のずれを防止できる。
なお、導電性層の厚さは特に限定されるものではないが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
(滑り層)
滑り層は、マット剤又は滑り剤(以下、併せて粒子(=第1粒子)とも称する)の少なくとも何れかを含む塗布液(以下、滑り層形成用塗布液と称する)をポリエステルフィルム裏面側に塗布した後に乾燥させて形成する。また、滑り層形成用塗布液には粒子以外に滑り剤,界面活性剤,帯電防止剤などの添加剤(以下、粒子以外の添加剤(=第2粒子)と称する)を含めることが好ましい。なお、滑り層の平均厚さH(μm)は特に限定されるものではないが、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
粒子の平均粒径は0.3μm以上20μm以下であるものを用いることができるが、この範囲に限定されるものではない。粒子の好ましい平均粒径は、滑り層の平均厚さH(μm)の2倍以上が好ましく、より好ましくは10倍以上であり、最も好ましくは20倍以上である。
本発明において、粒子をレンズシート裏面から露出させたり、裏面近傍に配置させてレンズシート裏面を隆起させたりすることで、レンズシート裏面に凸部又は凹部の少なくとも何れかを形成する。
粒子の平均粒径を小さくすると、形成される滑り層中に粒子が埋もれやすくなる。そのため、滑り層露出面から粒子の露出量の減少が生じたり、滑り層露出面近傍に粒子の配置数が減少して滑り層露出面を隆起させたりする効果が減ずる。この場合に粒子の露出量や表面近傍配置量を増加させるには、滑り層形成用塗布液中の粒子以外の添加剤の含有量を減少させる。例えば、粒子に平均粒径が3μm以上5μm以下のものを用いる場合には、滑り層形成用塗布液中に含まれる粒子と粒子以外の添加剤との質量比を1:3〜10:1とすることが好ましい。
また、この場合の露出量や表面近傍配置量の調整は、塗布量の増減によって行うこともできる。前記粒子を用いる場合には、塗布量を0.5g/m2以上10g/m2以下とすることが好ましい。
粒子の平均粒径を大きくすると、滑り層露出面から粒子が露出することが容易となる。また、滑り層露出面近傍に粒子の配置数が増加して滑り層露出面を隆起させる効果が大となる。この場合に粒子の露出量や表面近傍配置量の調整は、塗布量の増減によって行う。例えば、粒子に平均粒径が5μm以上20μm以下のものを用いる場合には、塗布量を0.2g/m2以上3g/m2以下とすることが好ましい。
また、粒子の露出量や表面近傍配置量を減少させるには、滑り層形成用塗布液中の粒子以外の添加剤の含有量を増加させる。例えば、滑り層形成用塗布液中に含まれる粒子と粒子以外の添加剤との質量比を1:5〜5:1とすることが好ましい。
(マット剤)
滑り層に含有される粒子は、特に限定されないが、マット剤であることが好ましい。マット剤としては、特に限定されないが、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が好ましいものとして挙げられる。特にこれらの重合体あるいは共重合体の架橋粒子がより好ましい。
これらのマット剤を所定量含有させることによって、滑り層の表面(=滑り層露出面)のベック平滑度(秒)を50秒〜500秒、好ましくは60秒〜450秒、より好ましくは200秒〜400秒とすることができる。ここで、滑り層側の表面のベック平滑度(秒)は、JIS−P8119−1998ならびにJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載された方法で測定された値を意味する。滑り層の表面のベック平滑度(秒)を50秒以上にすることにより、滑り層の表面の凹凸が大きすぎずマット剤が滑り層から脱落し難くなり、ポリエステルフィルムの搬送性が経時的に低下しない。一方、滑り層の表面のベック平滑度(秒)が500秒以下であると、滑り層の表面の平滑度が高過ぎずポリエステルフィルムの搬送性が低下せず、搬送不良に伴う種々の弊害が生じない。
(滑り剤)
本発明に係る滑り層には、滑り剤を含有させても良い。滑り剤としては、界面活性剤やワックス等が挙げられる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸と高級一価アルコール類又は二価アルコール類とのエステルである所謂ワックスの他に、下記の適度な融点、及びワックスと同様の機能を有する有機化合物を含むものの総称として定義されるものが挙げられる。その中でもワックス類の融点としては、80℃以下であることが好ましく、25℃〜75℃の範囲がより好ましく、35℃〜75℃の範囲が特に好ましい。
脂肪酸エステルとして具体的には、ウンデシル酸メチル、ウンデシル酸エチル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸エチル、ラウリル酸ビニル、ラウリル酸−n−ブチル、ラウリル酸−i−ブチル、ラウリル酸−n−アミル、ラウリル酸−n−ベンジル、ラウリル酸−2−ナフチル、ラウリル酸コレステロール、トリデシル酸メチル、トリデシル酸エチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ビニル、ミリスチン酸−i−プロピル、ミリスチン酸−n−ブチル、ミリスチン酸−i−ブチル、ミリスチン酸ヘプチル、ミリスチン酸−2−ナフチル、ミリスチン酸コレステロール、ペンタデシル酸メチル、ペンタデシル酸エチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ビニル、パルミチン酸−i−プロピル、パルミチン酸−n−ブチル、パルミチン酸−i−ブチル、パルミチン酸ヘプチル、パルミチン酸ドデシル、パルミチン酸−n−ヘキサデシル、ヘプタデシル酸メチル、ヘプタデシル酸エチル、ヘプタデシル酸コレステロール、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸−i−プロピル、ステアリン酸−n−ブチル、ステアリン酸フェニル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ドデシル、ステアリン酸コレステロール、アラキン酸メチル、ベヘン酸メチル、セロチン酸メチル、メリシン酸メチル、ベヘン酸エチル、リグノセリン酸エチル、モンタン酸エチル、ラクセル酸エチル、アセチルリシノール酸メチル、アラキン酸フェニル、パルチミン酸フェニル、ミリスチン酸グリコール、パルチミン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、ラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸グリセロール、パルチミン酸グリセロール、ステアリン酸グリセロール、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸−n−ブチル、オレイン酸−i−ブチル、オレイン酸−i−アミル、オレイン酸ヘプチル、オレイン酸オレイル、エライジン酸メチル、エルカ酸メチル、エルカ酸エチル、ブラシジン酸エチル等が挙げられる。
また、ワックス類としては上記の他に、例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリオレフィンワックス(低重合のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)等の石油ワックス、カルナウバロウ、モンタンロウ、微晶ロウ、蜜ロウ、松脂等の天然ロウ状物質が挙げられる。さらに、下記に例示する有機化合物も、好適に使用することができる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、酢酸アミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、ナンド酸アミド、カプリン酸アミド、カプリル酸アミド、ウンデシル酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、カプリン酸メチルアミド、ラウリン酸メチルアミド、ミリスチン酸メチルアミド、パルミチン酸メチルアミド、ステアリン酸メチルアミド、ラウリン酸ドデシルアミド、ミリスチン酸ドデシルアミド、パルチミン酸ドデシルアミド、ステアリン酸ドデシルアミド、メチレン−ビスステアリルアミド、エチレン−ビスカプリルアミド、エチレン−ビスカプリルアミド、エチレン−ビスオレイルアミド、ヘキサメチレン−ビスオレイルアミド、N,N’−ジオレイルアジポイルアミド、N,N’−ジオレイルセバコイルアミド、m−キシレン−ビスステアロイルアミド、N,N’−ジステアリルイソフタリルアミド等が挙げられる。
脂肪酸アニリドとしては、例えば、吉草酸アニリド、力フロン酸アニリド、力フリル酸アニリド、ペラルゴン酸アニリド、力プリン酸アニリド、ウンデシル酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルチミン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘン酸アニリド等が挙げられる。
脂肪族アルコール類としては、例えば、1−ドコサノール、ステアリルアルコール、アラキジンアルコール、ベヘニルアルコール、カルナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等が挙げられる。
チオエーテル系化合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジセチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジブチレート、ジトリデシルチオジブチレート、ジミリスチルチオジブチレート、ジセチルチオジブチレート、ジステアリルチオジブチレート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジブチレート、ペンタエリスリトール−β−ラウリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)、ビス(4−t−アミルフェニル)スルフィド、ジステアリルジスルフィド、チオエチレングリコール−ビス(β−アミノクロトネート)及びポリ1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−チオジプロピオネート等が挙げられる。
フタル酸エステルとしては、例えば、ジエチルフタル酸、ジブチルフタル酸、ジオクチルフタル酸、ジトリデシルフタル酸、ジシクロヘキシルフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジフェニルフタル酸、テトラヒドロフタル酸ジオクチル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
これらのワックス類の中でも、溶剤溶解性などを作製した場合の耐キズ性改良効果、表面被覆性、画像形成性への影響の小ささ等の観点から、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有しかつエステル結合を1つ以上有する化合物が好ましく、エステル結合を1又は2個有するものが特に好ましい。
エステル結合を1つ有する好ましい化合物の例としては、パルミチン酸ドデシル、ステアリン酸ドデシル、ミリスチン酸ヘプチル等の脂肪酸エステルが挙げられ、エステル結合を2つ有する好ましい化合物の例としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系化合物が挙げられる。
これらのワックス類は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。使用される種類は2種以上であってもよいが、組成物の調製を煩雑にしないという観点からは、2〜4種程度を組み合わせて使用することが好ましい。
また、どのようなワックス類を併用するかについても、適宜選択することができる。例えば、同一又は類似の構造を有しアルキル鎖長が異なるもの同士、或いは融点の異なるもの同士、比較的高分子のものと低分子のものとの組み合わせ等が考えられるが、相溶性の観点からは構造が類似のものが好ましい。なお、ワックス類の選択は、ポリエステルフィルムに形成される裏面層中の他の成分との相関も考慮して行うことが好ましい。
ワックス類の添加量としては、その合計が全裏面層固形分中、0.02質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以上10質量%以下ある。これらの化合物の添加量が0.02質量%以上であると外傷に対する現像安定性が充分となり、また、10質量%で効果が飽和するためこれ以上加える必要がない。
ワックス類を2種類以上組み合わせる場合の混合比は、最も少ない混合比となるものの割合が全ワックス成分中の5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。
また、以下に挙げられる化合物等を前記ワックス類と併用することもできる。併用可能な化合物等としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、低重合の高分子、その他の化合物等が挙げられる。以下に具体例を示すが、これらに限られるものではない。
脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、イソペラルゴン酸、カプリン酸、カプロレイン酸、ウンデカン酸、2−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、10−ウンデシン酸、ラウリン酸、リンデル酸、トリデカン酸、2−トリデセン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、パルミトレイン酸、ヒラゴン酸、ヒドノカーピン酸、マーガリン酸、ω−ヘプタデセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、モロクチン酸、エレオステアリン酸、タリリン酸、バクセン酸、リミノレイン酸、ベルノリン酸、ステルクリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、ガドレン酸、アラキドン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、エルシン酸、ブラシジン酸、セトレン酸、クルパノドン酸、トリコサン酸、22−トリコセン酸、リグノセリン酸、セラコレン酸、ニシン酸、ペンタコサン酸、へプタコサン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等が挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、ベヘン酸銀、カプロン酸鉛、エナンド酸鉛、カプリル酸鉛、ペラルゴン酸鉛、カプリン酸鉛、ラウリン酸鉛、ミリスチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルチミン酸鉛、ステアリン酸鉛、トリデシル酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
低重合の高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリビニルブチラール、ポリアミド、低分子量ポリエチレン等の低重合物が挙げられる。
その他の例としては、例えば、ジ安息香酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールベンゾエート、エポキシアマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エチレンフタリルブチルグリコレート、ポリエステル系可塑剤、ニトリル系合成ゴム、直鎖二塩基酸エステル、オリゴマー等が挙げられる。
前記任意成分の添加量としては、全ワックス類に対して、3質量%以上50質量%以下の範囲が好ましい。3質量%以上であると添加の効果が生じ、また、50質量%以下であると膜性が低下しない。
またその他の滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
更に、本発明に係るレンズシート18の裏面層を形成する滑り層の主成分にはポリオレフィン系化合物を用いることもできる。
1. モノオレフィンもしくはジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブチレン、ポリ-1- ブテン、ポリイソプレンおよびポリブタジエン、ならびにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー;ならびに場合によっては架橋されていてもよいポリエチレン;例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW) 、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE) または低密度分枝状ポリエチレン(VLDPE) 。
2. 上記のポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE 、PP/LDPE)、および様々な等級のポリエチレンの混合物、例えばLDPE/HDPE 。
3. モノ- またはジオレフィン相互のコポリマー、またはモノ- またはジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン- プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE) 、およびこれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン-1- ブテンコポリマー、プロピレン- イソブチレンコポリマー、エチレン-1- ブテンコポリマーなど;ならびにエチレン- アルキルアクリレートコポリマー、エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、およびこれらと一酸化炭素とのコポリマー、およびエチレン- アクリル酸コポリマー、およびこれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレンおよびジエン(例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネン)とのターポリマー;およびこの種のコポリマー相互の混合物、またはこの種のコポリマーと他のポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン- プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、LDPE/エチレン- アクリル酸コポリマー、LLDPE /エチレン- 酢酸ビニルコポリマー、LLDPE /エチレン- アクリル酸コポリマー、および交互配列またはランダム配列構造のポリアルキレン- 一酸化炭素コポリマー、およびこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
4. ポリスチレン、ポリ(p- メチルスチレン) 、ポリ( α- メチルスチレン) 。
5. スチレンまたはα- メチルスチレンとジエンまたはアクリル類とのコポリマー、例えばスチレン- ブタジエン、スチレン- アクリロニトリル、スチレン- アルキルメタクリレート、スチレン- ブタジエン- アルキルアクリレート、スチレン- ブタジエン- アルキルメタクリレート、スチレン- 無水マレイン酸、スチレン- アクリロニトリル- メタクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン- プロピレン- ジエンターポリマーから作製される耐衝撃性混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン、スチレン- エチレン/ブチレン- スチレンまたはスチレン- エチレン/プロピレン- スチレン。
6. スチレンまたはα- メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、スチレンがポリブタジエンにグラフトした、スチレンがポリブタジエン- スチレンコポリマーまたはポリブタジエン- アクリロニトリルコポリマーにグラフトした、スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)がポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレートがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよび無水マレイン酸がポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸もしくはマレイン酸イミドがポリブタジエンにグラフトした、スチレンおよびマレイミドがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートがポリブタジエンにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがエチレン- プロピレン- ジエンターポリマーにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにグラフトしたコポリマー;スチレンおよびアクリロニトリルがアクリレート- ブタジエンコポリマーにグラフトしたコポリマー、ならびにこれらと他のポリマー、例えばABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマーまたはAESポリマーとの混合物。
本発明に係るレンズシートの裏面層は、上記成分をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を、結合剤及び適当な添加剤を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)してバック層形成用塗布液を調製し、これを塗布乾燥することによって得られる。
本発明に係るレンズシートの裏面層は、上記裏面層形成用塗布液をポリエステルフィルムの裏面(レンズが形成されない面)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により塗布することができる。
本発明に係るレンズシートの裏面層の厚さは、0.01μm以上1μm以下の範囲が好ましく、さらに0.1μm以上0.5μm以下の範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難くなる。また1μm以下であることにより帯電防止性能や耐傷性が劣下しない。また、本発明の裏面層は、必要に応じて2層以上の層構成としても良い。裏面層を2層以上の層構成とする場合、広義には、この2層以上の全ての層を総称して裏面層と称したり、狭義には、下側の層をバック層、その上の層オーバーコート層とも称したり、下側の層からバック第1層、バック第2層等と称することもある。
(裏面形成後処理工程)
裏面層を形成した後には裏面形成後処理工程13を行うことが好ましい。裏面層が形成されているポリエステルフィルムを長手方向に弛緩させることが好ましい。弛緩範囲は、3%以上12%以下であることが好ましい。次に、前記ポリエステルフィルムを熱処理させることが好ましい。熱処理温度は80℃以上200℃以下であることが好ましい。この場合には、ポリエステルフィルムを搬送しながら行うことが好ましい。搬送する際に、ポリエステルフィルムの長手方向に0.04kg/cm2以上6kg/cm2以下の張力を付与することが好ましい。これにより裏面形成済ポリエステルフィルム14が得られる。
(巻取工程)
裏面形成済ポリエステルフィルム14を巻き取りロール状にする巻取工程15を行う際に、裏面形成済ポリエステルフィルム14の長手方向に張力を付与することが好ましい。張力は、0.1kg/cm2以上20kg/cm2以下であること好ましい。これにより、ロール状ポリエステルフィルム16が得られる。
[レンズシートの製造方法]
(前処理工程)
レンズを形成する前にロール状ポリエステルフィルム16を加熱することが好ましい。加熱温度は、80℃以上200℃以下であることが好ましい。次に、ロール状ポリエステルフィルム16を除冷することが好ましい。冷却速度は、−0.1℃/時間以上−10℃/時間以下であることが好ましい。
(レンズ賦型工程)
ロール状ポリエステルフィルム16を用いてレンズ賦型工程17を行い、本発明に係るレンズシート18を製造する。レンズ賦型工程17に用いられるレンズシート製造装置(以下、製造装置と称する)30の概略を図2に示す。この製造装置は、裏面形成済ポリエステルフィルム14を供給するフィルム供給装置31と、裏面形成済ポリエステルフィルム14上に放射性硬化樹脂液(以下、樹脂液と称する)を塗布する塗布装置32と、凹凸ローラであるエンボスローラ33とニップローラ34と樹脂硬化装置35と剥離ローラ36と巻取機37とを備えている。これら構成により裏面形成済ポリエステルフィルム14からレンズシート18が得られる。また、レンズシート18を保護する保護フィルム40を送り出す保護フィルム供給装置41も備えられていることが好ましい。なお、本実施形態では硬化樹脂液を用いてレンズシート18を製造する例で説明するが、一般的な熱可塑性樹脂を用いて製造することも可能である。
フィルム供給装置31は、ロール状ポリエステルフィルム16を送り出すもので、裏面形成済ポリエステルフィルム14が巻き回された送り出しロールなどにより構成される。
塗布装置32は、裏面形成済ポリエステルフィルムの表面に樹脂液を塗布する装置であり、樹脂液を供給する樹脂液タンク45と、樹脂液を供給する送液ポンプ46と、塗布ヘッド47と、塗布の際に裏面形成済ポリエステルフィルム14を巻き掛けて支持する支持ローラ48と、各種の配管などにより構成される。なお、塗布ヘッド47としては、ダイコータ(エクストルージョン方式のコータ)を用いることが好ましい。更に塗布装置32の下流側には樹脂液を乾燥させる乾燥装置49を設けることが好ましい。例えば、図示されているようなトンネル状の乾燥装置49のように裏面形成済ポリエステルフィルム14に塗布された樹脂液を均一に乾燥させることができるものであれば、公知の各種方式のものが使用できる。例えば、ヒータによる輻射加熱方式のもの、熱風循環方式のもの、遠赤外線方式のもの、真空方式のものなどが挙げられる。
エンボスローラ33としては、裏面形成済ポリエステルフィルム14の表面にローラ表面の凹凸を転写形成できる、凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度などを有することが求められる。このようなエンボスローラ33としては、金属製のローラが好ましい。エンボスローラ33の外周面には、規則的な微細凹凸パターンが形成されている。このような規則的な微細凹凸パターンは、製品としてのレンズシート18の表面の微細凹凸パターンを反転した形状であることが好ましい。
製品としてのレンズシート18としては、微細凹凸パターンが二次元配列されたレンチキュラーレンズなどや、微細凹凸パターンが三次元配列されたフライアイレンズ、円錐、角錐などの微細な錐体をXY方向に敷き詰めた平板レンズなどが対象となる。用いるエンボスローラの外周面の規則的な微細凹凸パターンは、これに対応させる。
エンボスローラ33の外周面の規則的な微細凹凸パターンの形成方法としては、エンボスローラ33の表面をダイヤモンドバイト(シングルポイント)で切削加工する方法、エンボスローラ33の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工などで直接凹凸を形成する方法が挙げられる。また、薄い金属製の板状態の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法などで凹凸を形成し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラとする方法も採用できる。
その他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法など凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳などにより形成して薄い金属製の板状体を作製し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラ33とする方法も採用できる。特に反転型を電鋳などにより形成する場合には、1つの原盤(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られる利点がある。
エンボスローラ33の表面には、離型処理を施すことが好ましい。このように、エンボスローラ33の表面に離型処理を施すことにより、微細凹凸パターンの形状が良好に維持できる。離型処理としては、公知の各種方法、例えば、フッ素樹脂によるコーティング処理などが挙げられる。なお、エンボスローラ33には図示しない駆動装置が設けられていることが好ましい。これにより、エンボスローラ33は、図2に示されているように反時計方向(CCW)に回転する。
ニップローラ34は、エンボスローラ33と対になって裏面形成済ポリエステルフィルム14を押圧しながらローラ成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度などを有することが求められる。ニップローラ34の表面の縦弾性係数(ヤング率)は、裏面形成済ポリエステルフィルム14の材質や物性に応じて適宜好ましい値のものを用いることが好ましい。なお、ニップローラ34にも図示しない駆動装置が設けられていることが好ましい。この場合にニップローラ34は、図2に示されているように時計方向(CW)に回転する。
エンボスローラ33とニップローラ34との間に所定の押圧力を付与するために、エンボスローラ33、ニップローラ34の少なくとも何れか一方に加圧装置を設けることが好ましい。また、エンボスローラ33とニップローラ34との隙間(クリアランス)を正確に制御できるような微調整手段を、エンボスローラ33、ニップローラ34の少なくとも何れか一方に設けることが好ましい。
樹脂硬化装置35の一例としては、ニップローラ34の下流側においてエンボスローラ33に対向して設けられる光照射手段などが挙げられる。この光照射手段は、光照射により裏面形成済ポリエステルフィルム14を透過して樹脂液を硬化させて樹脂層を形成する。樹脂の硬化特性に応じた波長の光(放射線)を照射でき、裏面形成済ポリエステルフィルム14の搬送速度に応じた量の放射線を照射できることが好ましい。樹脂硬化装置35としては、例えば裏面形成済ポリエステルフィルム14の幅と略同一長さの円柱状照射ランプを用いることができる。また、この円柱状照射ランプを複数本平行に設けることもでき、円柱状照射ランプの背面に反射板を設けることがより好ましい。これにより、裏面形成済ポリエステルフィルム14にレンズが形成されてレンズシート18となる。
剥離ローラ36は、エンボスローラ33と対になってエンボスローラ33からレンズシート18を剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度などを有することが求められる。剥離箇所において、エンボスローラ33の周面上に巻き掛けられたレンズシート18を回転するエンボスローラ33と剥離ローラ36とで挟みながら、レンズシート18をエンボスローラ33から剥離させて剥離ローラ36に巻き掛ける。これら動作を確実に行えるように、剥離ローラ36にも図示しない駆動装置が設けられていることが好ましい。この場合に剥離ローラ36は、図2に示されているように時計方向(CW)に回転する。なお、硬化により樹脂液などの温度が上昇するような場合には、レンズシート18をエンボスローラ33から剥離する際にレンズシート18を冷却させて剥離を確実にするために、剥離ローラ36の内部に冷水を通すなどの冷却手段を設けることも本発明では適用できる。
なお、図2では省略したが、エンボスローラ33の押圧箇所(時計方向で9時の位置)33aから剥離箇所(時計方向で3時の位置)33bまでの間にバックアップローラ(図示しない)を対向して設け、バックアップローラとエンボスローラ33とで裏面形成済ポリエステルフィルム14を押圧しながら硬化処理を行う方法も本発明では適用できる。なお、バックアップローラは複数個用いても良い。
巻取機37は、剥離されたレンズシート18を収納するもので、レンズシート18を巻き取る巻取ロール(図示しない)などより構成されている。なお、巻取機37に隣接して設けられている保護フィルム供給装置41から保護フィルム40をレンズシート18の表面上に供給して、両フィルム18,40が重なった状態で巻取機37で巻き取ることがレンズシート18のレンズを保護することができるためにより好ましい態様である。なお、得られるレンズシート18は、プリズムシートに好ましく用いられる。
製造装置10において、塗布装置32とエンボスローラ33との間、剥離ローラ36と巻取機37との間などに、裏面形成済ポリエステルフィルム14又はレンズシート18の搬送路を形成するガイドローラなどを設けても良く、その他、必要に応じて裏面形成済ポリエステルフィルム14又はレンズシート18の搬送中の弛みを吸収するようにテンションローラなどを設けることもできる。
裏面形成済ポリエステルフィルム14の幅は0. 1m〜3mが、長さは、1000m〜100000mが、厚さは、1μm〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
裏面形成済ポリエステルフィルム14は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。裏面形成済ポリエステルフィルム14の算術平均粗さ(Ra)はカットオフ値0.25mmにおいて3nm〜10nmが好ましい。
また、裏面形成済ポリエステルフィルム14として1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、裏面形成済ポリエステルフィルム14は、光が透過できるような透明体、半透明体であることが好ましい。
本発明に用いられるレンズを形成する樹脂は(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの放射線照射にて前記反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。
この(メタ)アクロイル基含有化合物としては(メタ)アクロイル基が1個あるいは2個以上含有した化合物を用いることができる。また、上記のアクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)は必要に応じて、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、たとえば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマーとしてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
更に芳香環を有する単官能モノマーとして、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような、芳香を有する環単官能モノマーの市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどのアルキルジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのポリアルキレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマーとしては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような構造を有する不飽和モノマーの市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマーとしては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレート、たとえばトリメチロールプロパンリト(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、市販品としては、アロニックスM305、M309、M310、M315、M320、M350、M360、M408(以上、東亞合成(株)製、ビスコート#295、#300、#360、GPT、3PA、#400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT(以上、新中村化学(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製、KAYARAD PET−30、GPO−303、TMPTA、TPA−320、DPHA、D−310、DPCA−20、DPCA−60(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
加えてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえばポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の硬化性組成物の粘度を適度に保つ上で好ましい。
これらウレタン(メタ)アクリレートの市販品のモノマーとしては、たとえばアロニックスM120、M−150、M−156、M−215、M−220、M−225、M−240、M−245、M−270(以上、東亞合成(株)製)、AIB、TBA、LA、LTA、STA、ビスコート#155、IBXA、ビスコート#158、#190、#150、#320、HEA、HPA、ビスコート#2000、#2100、DMA、ビスコート#195、#230、#260、#215、#335HP、#310HP、#310HG、#312(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DMP−A、THF−A、IB−XA、HOA、HOP−A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、NP−A、1,6HX−A、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARADTC−110S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620(以上、日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)有機ポリイソシアネート及び(c)ポリオールの反応物として得られるものであるが、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)ポリオールを反応させた反応物であることが好ましい。
以上の不飽和モノマーは単独で用いても良く、必要に応じて複数種を混合して用いても良い。
光ラジカル重合開始剤としては、たとえばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシドなどが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、たとえばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、LucirinLR8728、8893X(以上BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、KIP150(ランベルティ社製)等が挙げられる。これらの中で、液状で溶解しやすく、高感度という観点からはLucirinLR8893Xが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は全組成物中に、0.01質量%〜10質量%、特に0.5質量%〜7質量%配合されるのが好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性および光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
本発明の組成物には更に光増感剤を配合することができ、当該光増感剤としては、たとえばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、たとえばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、酸化防止剤としては、たとえばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、たとえばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、たとえばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、たとえばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤や、非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられ、シリコーン添加剤の市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)、非イオン性フルオロ界面活性剤の市販品としてはFC−430、FC−171(以上 3M(株))、メガファックF−176、F−177、R−08、F780(以上 大日本インキ(株)製)等が挙げられ、離型剤としてはプライサーフA208F(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
本発明の樹脂液の粘度調整のための有機溶剤としては、樹脂液と混合した時に、析出物や相分離、白濁などの不均一がなく混合できるものであればよく、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエンなどが挙げられ、必要に応じてこれらを複数種混合して用いてもよい。
有機溶剤を添加した場合は、製品の製造工程中にて、有機溶剤を乾燥、蒸発する工程が必要になるが、蒸発残りの溶剤が大量に製品に残留した場合、製晶の機械物性が劣化したり、製品として使用中に有機溶剤が蒸発、拡散し、悪臭や健康に悪影響を及ぼしたりする懸念がある。このため、有機溶剤としては、高沸点のものは残留溶剤量が多くなり好ましくない。
ただし、あまりに低沸点の場合は、激しく蒸発するため、面状が荒れたり、乾燥時の気化熱により組成物表面に結露水が付着して、この跡が面状欠陥になったり、蒸気濃度が高くなり引火等の危険が増す。
したがって、有機溶剤の沸点としては50℃以上、150℃以下が好ましく、70℃以上、120℃以下がより好ましい。素材の溶解性や、沸点の観点から、有機溶剤としてはメチルエチルケトン(沸点 79.6℃)、1−プロパノール(沸点 97.2℃)などが好ましい。
本発明の樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、溶剤の種類や、溶剤添加前の樹脂液の粘度にもよるが、充分に塗布性が改善されるためには、10質量%以上、40質量%以下の範囲であり、好ましくは15質量%以上、30質量%以下の範囲である。有機溶剤の添加量があまり少量だと、粘度低減の効果や塗布量アップの効果が小さく、塗布性が充分に改良されない。
しかし、樹脂液を多く希釈しすぎると、粘度が低すぎてポリエステルフィルム上で液が流動してムラが発生したり、ポリエステルフィルムの裏面に液が回ったりするなどの問題が発生する。また、乾燥工程において充分に乾燥しきれず、製品中に有機溶剤が多量に残留してしまい、製品機能の劣化や、製品使用中に揮発して悪臭を発生したり、健康への悪影響が生じたりする懸念が生じる。
本発明の樹脂液は、前記の各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。このようにして調製される樹脂液の粘度は、通常10mPa・s/25℃〜50000mPa・s/25℃である。
裏面形成済ポリエステルフィルム14に樹脂液を供給する場合には、粘度が高すぎると、均一に組成物を供給するのが難しくなり、レンズを製造する際、塗布むらやうねり、気泡の混入が生じたりするため、目的とするレンズ厚を得るのが難しくなり、レンズとしての性能を充分に発揮できない。
特に、ラインスピードを高速化したときにその傾向が顕著になる。したがって、この場合には液粘度は低い方が好ましく、5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、10mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。このような低い粘度は、有機溶剤を適当量添加することにより調整が可能である。また、塗布液の保温設定により、粘度を調整することも可能である。
一方、溶剤蒸発後の粘度が低すぎると、エンボスローラ33で型押しする際、レンズ厚のコントロールが難しく、一定厚の均一なレンズを形成できない場合がある。好ましい粘度は5mPa・s〜3000mPa・sである。有機溶剤を混合している場合は、樹脂液の供給からエンボスローラ33で型押しするまでの工程間に、有機溶剤を加熱乾燥などにより蒸発させる工程を設けることにより、樹脂液供給時は低粘度で均一に液供給ができ、エンボスローラ33で型押しする際は、有機溶剤を乾燥させ、より高粘度化させた樹脂液で均一に型押しすることが可能になる。
本発明の樹脂液を放射線によって硬化させることにより得られる硬化物は、レンズシート(プリズムレンズシート)の場合、以下の物性(屈折率、軟化点)を有するものであることが特に好ましい。
屈折率としては、硬化物の25℃において1.55以上が好ましく、1.56以上がより好ましい。硬化物の25℃における屈折率が1.55未満であると、本組成物を用いてプリズムレンズシートを形成した場合、充分な正面輝度を確保することができない場合が生じるからである。軟化点としては、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。軟化点が40℃未満の場合には耐熱性が充分でない場合があるからである。
次に、図2に戻って、レンズシート製造装置30の作用について説明する。フィルム供給装置31より、一定速度で裏面形成済ポリエステルフィルム14を送り出す。裏面形成済ポリエステルフィルム14は塗布装置32へ送り込まれ、裏面形成済ポリエステルフィルム14の表面に樹脂液が塗布される。塗布後に乾燥装置49により裏面形成済ポリエステルフィルム14上に塗布された樹脂液が乾燥され、溶剤分が蒸発する。次いで、裏面形成済ポリエステルフィルム14は、エンボスローラ33とニップローラ34とからなる成形手段へ送り込まれる。これにより、連続走行する裏面形成済ポリエステルフィルム14をエンボスローラ33の9時の位置33aにおいて、回転するエンボスローラ33とニップローラ34とで押圧しながらローラ成形加工がなされる。すなわち、裏面形成済ポリエステルフィルム14を、回転するエンボスローラ33に巻き掛け、樹脂液にエンボスローラ33の表面の凹凸を転写する。
次いで、裏面形成済ポリエステルフィルム14がエンボスローラ33に巻き掛けられている状態で、樹脂硬化装置35により裏面形成済ポリエステルフィルム14を透過して樹脂液に放射線照射を行い、樹脂液を硬化させて樹脂層を形成して、レンズシート18を製造する。その後、エンボスローラ33の3時の位置33bにおいて、レンズシート18を剥離ローラ36に巻き掛けることによりエンボスローラ33から剥離する。なお、図2には示していないが、レンズシート18を剥離した後、硬化を更に促進させるため、再度放射線照射を行うこともできる。
剥離されたレンズシート18は、巻取機37に搬送され、保護フィルム供給装置41より供給される保護フィルム40がレンズシート18の表面に供給され、両フィルム18,40が重なった状態で巻取機37の巻き取りロールにより巻き取られ、収納される。
このように、レンズシート18表面に樹脂層が厚さむらなく形成され、更に、エンボスローラ33による型押しも安定・均一になされる。これにより、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成されたレンズシート18を欠陥なく高品質で製造することができる。
以上、本発明に係るレンズシートの製造方法及び装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態の例では、ローラ状のエンボスローラを使用する態様を採用したが、エンドレスベルト等のベルト状体の表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたものを使用する態様も採用できる。このようなベルト状体であっても、円柱状のローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
レンズシートは、例えば、バックライトの一部を構成するのに使用され、バックライトは、蛍光灯などの光源が導光体の一方の端部に設けられ、導光体の上部に本発明のレンズシートのレンズ面を上側にし、設けることができる。
図3に本発明に係るレンズシート18の断面図を示す。支持体である2軸延伸ポリエステルフィルム11の表面には易接着層60が形成され、その上にレンズ61が形成されている。また、2軸延伸ポリエステルフィルム11の裏面側には、導電性層62及び滑り層63が形成されている。なお、滑り層63の表面を滑り層露出面18bと称する。
図4にレンズシート18の滑り層露出面18bの拡大断面図を示す。滑り層露出面18bから第1粒子70が突出して露出することで、滑り層露出面18bに凸部70aが形成されることとなる。また、第2粒子71のように滑り層露出面18b近傍に配置されることで、滑り層露出面18bが隆起し、滑り層露出面18bに凸部71aが形成されることとなる。さらに、第3粒子72のように滑り層露出面18b近傍に配置されることで、滑り層63が凹み、滑り層露出面18bに凹部72aが形成されることとなる。さらには、第4粒子73のように滑り層露出面18bから粒子73が窪んで露出することで、滑り層露出面18bに凹部73aが形成される。このように、滑り層露出面18bに凸部又は凹部が形成されることで、レンズシート18間の密着が減少してハンドリング性に優れるレンズシートが得られる。なお、滑り層63の平均厚さをH(μm)とする。