JP2007248215A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のレーダ装置は、レーダ装置で干渉信号を感知したときのみ、干渉信号の対策が可能であるが、レーダ装置で感知できない場合にはその対策を行うことはできなかった。
【解決手段】 ESM部によって、干渉信号を受信し、信号処理することにより、レーダ部の受信帯域およびその近傍に干渉信号が存在するか否かを検出し、その結果から、干渉信号の影響を受けているものと判断可能である場合に、レーダ信号処理器経由で励振機の発振周波数を、干渉信号の影響を受けない送信周波数帯域でレーダ動作を継続するとともに、ESM部で検出した干渉信号の入力タイミングに同期して、可変減衰器18で電力レベルを低減させるようにしたものである。
【選択図】 図1

Description

この発明は、レーダに対する干渉電波に対処するためのレーダ装置に関するものである。
航空機、艦船等には、レーダ装置、ESM(Electronic Surveillance Measure)装置といったセンサが搭載されている。従来のレーダ装置において、妨害環境下での妨害波入力時のレーダ装置の追尾の継続性を向上させるために、受信信号の一部を取り出し妨害検出回路により妨害波入力の有無を判定する。妨害波入力がある場合のみ受信信号の処理を方位検出回路に切換え受動追尾を実現可能とするものについては、既に開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−253465(第1図)
従来のレーダ装置においては、レーダ装置で干渉信号を感知したときのみ、当該レーダ装置で使用される電波の周波数以外の周波数をもった電波(以下、干渉信号という)の対策が可能であるが、ノイズレベル増大によって、レーダ装置で感知できない場合にはその対策を行うことはできない。
この発明は、係る課題を解決するために成されたものであり、干渉信号の入力の検出方法、及び検出後の対策を改善することを目的とする。
第1の発明のレーダ装置は、第1のアンテナで送信されたレーダ波によるレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信信号のレベルを減衰させる可変減衰器と、上記可変減衰器でレベルを減衰された受信信号を位相検波し、移動目標の検出処理を行うとともに、ドップラー周波数の検出を行い、それらの情報と上記ESM部からの情報により目標の検出判断を行って、干渉信号の影響を受けない送信周波数の選定を行うレーダ信号処理器と、上記レーダ信号処理器からの送信周波数でレーダの送信電波を生成する励振機と、レーダの送信電波による反射波及び、干渉信号を含む受信信号を第2のアンテナで受信し、干渉信号を検出するESM(Electronic Surveillance Measure)部とを具備し、上記レーダ信号処理器が、上記励振機の送信周波数を変化させても、干渉信号のレベルが大きく、低雑音増幅器の入力が飽和レベルで、目標検出困難と判断した場合には、上記ESM部からの干渉信号の入力タイミングに同期して、上記可変減衰器から出力される干渉信号レベルを低減するように制御するものである。
第2の発明のレーダ装置は、第1のアンテナで送信されたレーダ波によるレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信号を第1のアンテナで受信し、大信号のレベルを飽和させるリミッタと、上記リミッタで大信号のレベルを飽和させた受信信号を位相検波し、移動目標の検出処理を行うとともに、ドップラー周波数の検出を行い、それらの情報と上記ESM部からの情報により目標の検出判断を行って、干渉信号の影響を受けない送信周波数の選定を行うレーダ信号処理器と、上記レーダ信号処理器からの送信周波数でレーダの送信電波を生成する励振機と、レーダの送信電波による反射波及び、干渉信号を含む受信号を第2のアンテナで受信し、干渉信号を検出するESM(Electronic Surveillance Measure)部とを具備し、上記レーダ信号処理器が、上記励振機の送信周波数を変化させても、干渉信号のレベルが大きく、低雑音増幅器の入力が飽和レベルで、目標検出困難と判断した場合には、上記ESM部からの干渉信号の入力レンジビンについて、前後のPRIの同一レンジビンのデータで置換することにより、干渉信号に埋れるターゲットを検出するものである。
第1の発明によれば、ESM部とレーダ部が協調することによって、干渉信号の影響を受けない周波数帯域にレーダを移行させるとともに、レーダの帯域を変更することが不可能な場合においても、干渉信号のレベルを減衰させることによって、ターゲットの検出が可能となるため、その効果は大きい。
第2の発明によれば、ESM部とレーダ部が協調することによって、干渉信号の影響を受けない周波数帯域にレーダを移行させるとともに、干渉信号のレベルを減衰させながら、クラッタの抑圧も可能とすることによって、ターゲットの検出が可能となるため、その効果は大きい。
実施の形態1.
図1は実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す図であり、1はレーダ部、2はESM部、3はアンテナ、4は送受切替器、5は低雑音増幅器、6はフィルタ、7は周波数変換器、8はフィルタ、9は検波器、10は移動目標検出器、11は周波数分析器、12はレーダ信号処理器、13は送信機、14は励振機、15はアンテナ、16は受信機、17はESM信号処理器、18は可変減衰器、19は検出判断部である。
図1に記載するレーダ装置はレーダ部1及びESM部2から構成される。
レーダ部1は、アンテナ3、送受切替器4、低雑音増幅器5、フィルタ6、周波数変換器7、フィルタ8、レーダ信号処理器12、送信機13、励振機14、可変減衰器18、検出判断部19から構成され、電波探知を主目的としたESM部2は、アンテナ15、受信機16、ESM信号処理器17、とから構成される。また、レーダ部1のレーダ信号処理器12は検波器9、移動目標検出器10、周波数分析器11、検出判断部19から構成される。
レーダ部1は、励振機14で生成された信号を、送信機13で送信し、送受切替器4経由でアンテナ3から空中に送出するとともに、自己のレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信信号をアンテナ3で受信し、送受切替器4経由で受信処理するものである。
受信処理としては、可変減衰器18による利得補正処理、低雑音増幅器5による増幅処理、フィルタ6による帯域外の不要信号の抑圧、周波数変換器7におけるダウンコンバート、フィルタ8による帯域外の不要信号の抑圧が行われ、レーダ信号処理器12に送られる。
レーダ信号処理器12においては、検波器9にて位相検波がなされ、移動目標検出器10にて移動目標検出処理、周波数分析器11でドップラー周波数の検出と、検出判断部19で移動目標検出器10とESM部2からの情報に基づき、目標の検出の可否判断がなされる。
なお、レーダ部1で受信される信号と同じものが、ESM部2にあるアンテナ15でも受信され、受信機16を経由して、ESM信号処理器17にて干渉信号が検出された場合には、検出判断部19へその情報が送られる。
そして、移動目標検出器10が目標信号が干渉信号に埋もれて検出された信号を目標として検出している場合にも、検出判断部19はESM信号処理器17からの干渉信号に影響を受けていることの情報(S1)を受けて、目標の検出をより正しい目標が検出できるように、現状の周波数チャンネルから新たな周波数チャンネルへ変更して、その送信周波数を励振機14へ送る。
ESM部2にあるアンテナ15では、レーダ部1のアンテナ3で受信される受信信号と同じものが受信され、受信機16を経由して、ESM信号処理器17にて信号が検出される。
レーダ部1の受信系は、雑音を低く抑えるために多段のフィルタで構成されるため、ESM部2の受信機16、ESM信号処理器17に比べて狭帯域である。そのため、図2に示すようにレーダの受信帯域外に干渉信号のキャリアがあり、これが周波数軸上に広がって干渉する場合に、干渉信号のキャリアを検出することができない。
フィルタ6の通過帯域は、アンテナ3で送受信する周波数成分を通す必要がある。レーダ部1は、干渉信号の対策として複数のチャンネルによる運用を可能とするため、フィルタ6は、複数のチャンネルを通すことの可能な帯域を有する必要がある。また、フィルタ8の受信帯域は、周波数変換器7によって、ある固定の周波数に変換された周波数帯域を通過させる必要がある。
一方で、ESM部2は、レーダよりも広帯域であり、数10GHzに渡る帯域を有する広帯域のアンテナ15、受信機16から構成され、これらによって相手が送信したレーダ信号、妨害信号、通信信号といったレーダ部1にとっては干渉信号となる信号を受信する。受信された干渉信号は、ESM信号処理器17において分析され、そのキャリア周波数、PRI、PRF、パルス幅、電力といった様々な電波諸元を抽出する。
これにより、レーダが干渉信号の影響を受けていることを検知することが可能である。つまり、電波諸元の中で周波数での判別ができる場合を例とすると、レーダ部1の目標検出については、レーダ部1から送信される送信周波数は既知であるのに対して、干渉信号については、周波数が異なることから、干渉信号とレーダのターゲット信号を分離することが可能となる。
ESM部2は、上記のようにして、事前に設定されたESMにて観測するべき周波数帯域の下限から上限までを掃引し、その帯域内でどのような干渉信号が含まれているかを観測し、これにより、レーダの使用帯域において、干渉信号が存在するのか、またレーダの使用予定である帯域において干渉信号が存在しているかを事前に把握する。
この結果、レーダ信号処理器12において、ESM信号処理器17の検知結果から、レーダが干渉信号の影響を受けていると判断される場合には、励振機14の発振周波数を変更することで、異なるレーダ帯域に周波数を変更し、干渉信号の影響を受けないレーダ運用を可能とするものである。
レーダ部1が干渉信号の影響を受けているか否かは、ESM信号処理器17で検出した干渉信号の電力、および干渉信号のキャリア周波数、パルス幅等の電波諸元から、式(3)によって干渉信号が影響する電力値を計算して、P[dBm]の値が所定の閾値以上の場合には干渉信号が大きく影響を受けると判断し、その情報(S1)を検出判断部19へ送出する。
なお、レーダ信号処理器12において移動目標検出器10の出力ノイズが上昇する場合においても、検出判断部19にて干渉信号の影響を受けていると判断することは可能である。干渉信号のPRFが十分小さい場合には、干渉信号がノイズ上に上昇するためである。なお、フィルタ6、フィルタ8は、レーダ部1にて使用する周波数帯域を通す帯域を有するため、変更する必要はない。
しかしながら、異なるレーダ帯域に移行しても、干渉信号の電力が大きい場合、干渉信号とレーダの使用周波数との周波数差を十分に確保できない場合には、依然として干渉信号の影響を受けることとなる。従って、目標を検出するという成果が得られないと検出判断部19が判断した場合には、レーダの送信周波数を変更設定することに加えて、次のような時間軸方向での処理手段を併用するものである。
レーダ受信機が飽和する電力値は、既知であり、これを干渉信号の電力値と比較することで、受信機内部の低雑音増幅器5、周波数変換器7等が飽和しないような利得になるように、可変減衰器18の減衰量を受けて適正値に設定する。これにより、受信機の飽和を防止するものである。
干渉信号のレベルが大きく、低雑音増幅器5が飽和するレベルであると、移動目検出器10からの情報により、検出判断部19が判断した場合には、ESM信号処理器17で検出した干渉信号の入力タイミング(S2)に同期させて、検出判断部19が、可変減衰器18へ指示して動作させる。
この動作により、干渉信号が低雑音増幅器5に入力する電力レベルを低減させることで、干渉信号が飽和することを防止し、受信機のダイナミックレンジ内にターゲットと干渉信号を収めることで、通常の処理においてもターゲットの検出を可能とする。
さらに、検出判断部19では、干渉信号のレベルの低下程度を判断し、逐次可変減衰器18の減衰量を設定させる指示を送るものである。
なお、干渉信号とレーダのターゲット信号が同時に入力し、その場合に、干渉信号の電力のみならず、ターゲット信号の電力までもが低減されてしまうことが懸念されます。しかしながら、レーダと干渉信号は別個の発振源で生成されることから非同期の関係にあり、同時期に両者が継続的に入力することはありえません、よって、目標信号を減衰させないで、干渉信号のみを減衰させることができる。
干渉信号とターゲット信号を受信機のダイナミックレンジに抑えることが可能であれば、干渉信号により、受信機が飽和しないことから、後述するような穴空きが発生しない。
ESM信号処理器17により、干渉信号が入力する時間は既知であり、レーダ信号処理器12において、干渉信号の存在するレンジビンをノイズで置換することにより、干渉信号の影響を無くし、移動目標検出、周波数分析といった通常の信号処理を行うことによりターゲットの検出を可能とするものである。
受信機が飽和していないことから、飽和に起因するスプリアスによる偽ターゲットの発生も抑えられる。
但し、可変減衰器18に起因する熱雑音が増大すること、また干渉信号とターゲット信号が重なる場合はターゲット成分も含めてノイズに置換されることから、探知距離が減衰する。
可変減衰器18に起因する熱雑音の増大による探知距離劣化を改善するためには実施の形態2を適用することが可能である。
ここで、本実施の形態と従来技術を対比する。
従来は、航空機、艦船等には、レーダ装置、ESM装置といったセンサが搭載されており、これらのセンサは独立に動作しているものの、データの融合が図られているが、これは主に両センサの相関をとることにより両センサで得られた航跡検出のデータを統合的に表示することが主目的であり、電波干渉に利用されるものではない。
従来のレーダ装置は、干渉信号が入力する場合に、その入力を検出することができず、動作性能が不十分となることがある。これは、干渉信号がレーダで使用する周波数の帯域外に入力した場合、最終的には信号処理されても干渉信号の入力が検出されないので、干渉信号に起因する偽ターゲットの検出、ノイズレベルの増大によって、探知確率の劣化、探知距離の誤測距等を招くためである。
従来のシステムにおいては、レーダ装置により、干渉信号の存在を検出することができれば、干渉信号への対策を行う処理が行われているが、これは干渉信号の存在をレーダ装置にて検出できることを前提としている。
従来のレーダ装置はレーダ部1のみで構成されているが、干渉信号がレーダの帯域外に入力するために、レーダ装置で干渉信号を検出できず、レーダの性能が不十分となる。
以下、このメカニズムについて説明する。
図2は干渉信号によるスプリアス発生を表した図であり、図2(a)は干渉信号の入力によるスペクトラムの広がり状況を示す図であり、図2(b)はフィルタにより抑圧されたときの状況を示す図である。
図2(a)に示すように、干渉信号が入力すると、干渉波のパルス繰返し周波数(以下PRF成分と略す)により周波数軸上に広がった干渉信号成分が、受信帯域に重畳する。
このときに、干渉信号のキャリア等はレーダ部1の帯域外にあるため、図2(b)に示すようにフィルタ6、フィルタ8により最小受信信号以下の十分小さいレベルに抑圧される。
したがって、後述するような受信利得の低下は発生せず受信帯域に重畳された干渉信号成分が、偽ターゲット信号として検出されることになる。
図3はドップラレーダにおける干渉信号の影響を表した図で、干渉信号が最初のPRIにのみ出現する場合であり、図4はM個のPRIで受信された受信信号を3次元表示したものであり、図5は移動目標検出処理後の干渉信号の影響を説明するための図であり、図6はターゲットのドップラー周波数の検出について説明するためのものである。図3〜図6において、ターゲット1、2は異なる目標を表し、ターゲット1については、干渉信号の影響を受けている場合を、ターゲット2は影響を受けていない場合を表しています。
図3に示すように、干渉信号は、本来レーダで送受信される信号のパルス繰返し間隔(以下PRIと略す)とは非同期であるため、複数のPRIにおいて不規則に検出されるだけである。
図3においては、干渉信号が最初のPRIにのみ出現する場合を示している。
一方で、レーダのターゲットからの反射信号や、地面、海面から反射してくるクラッタ信号は、各PRI毎に同一の時間にほぼ同様のレベルで検出される。
図7はフィルタ通過における干渉信号の応答波形を表した図であり、図7(a)はフィルタ通過前の干渉信号の波形を示す図であり、図7(b)はフィルタ通過後の干渉信号の波形を示す図である。
図2(b)に示すように、干渉波のキャリア成分がレーダ部1の受信帯域外であり、多くのPRF成分が抑圧されたとしても、そのPRF成分が受信帯域内に存在するために、フィルタの過渡応答によりスパイク状の波形が発生する。
航空機、飛翔体等で使用されるパルスドップラーレーダにおいては、図4に示すように、図3で受信されたM個(Mは自然数)のPRIで受信された受信信号を、PRI毎に集めて処理を行う。
なお、以後は、PRIまでの時間をNポイントに均一に量子化して説明する。
このとき、時間軸方向の1ポイントが1レンジビンに相当し、NがPRIと等しくなる。
パルスドップラにおいては、移動目標のみを検出するために、前後のPRIにおいて検出された信号との差をとって移動目標のみを検出する移動目標検出器が構成される。
これにより、PRI毎に移動しないクラッタ、固定目標からの反射波の抑圧が可能となる。
この移動検出器の一般的な処理について式(1)、式(2)に示す。
Figure 2007248215
Figure 2007248215
干渉信号が入力する場合、上記の移動目標検出手段を適用しても、干渉信号が非同期信号であり、クラッタのように次のPRIにおいても入力する信号ではないために除去することが不可能であり、図5のように干渉信号は残存する。
さらに、図6に示すように、ドップラー周波数を抽出するために、同一レンジビンにおけるデータをPRI方向に集め、集めたPRI点数分(M個)の高速フーリエ変換(以下FFTと略す)等による周波数分析を行うことにより、ターゲットの有するドップラー周波数を検出する。
以後は、図6におけるPRFまでの周波数をMポイントに均一に量子化して説明する。このとき、周波数軸方向の1ポイントが1周波数ビンに相当し、MがPRFと等しくなる。
この結果、図6に示すようにターゲット2からの反射信号については、検出することが可能となる。
干渉信号の入力下において、周波数分析を行うと、干渉信号は、PRI方向に対しては移動目標検出器によって抑圧されず、インパルス的に存在する信号となることから、周波数分析により周波数軸上にDCからPRFまでに広がったスペクトラムを有する信号となる。
従って、ターゲットからの信号と干渉信号が同一レンジビンに重なった場合に、干渉信号成分がノイズと同様に作用し、ターゲット信号の検出ができなくなる。
これを示したものが、図6におけるターゲット1であり、干渉信号により埋れてしまい検出できない。
以上のメカニズムにより、従来は、干渉信号が検出されないものの探知確率、探知距離の劣化、偽ターゲットの検出の増大によるレーダ性能の劣化が生じていた。
そこで、本発明においては、ESM部2によって、干渉信号を受信し、信号処理することにより、レーダ部1の受信帯域およびその近傍に干渉信号が存在するか否かを検出することとした。
ESM部2は、レーダ以上に広帯域性を有する広帯域のアンテナ15、受信機16、ESM信号処理器17から構成される。相手が送信したレーダ信号、妨害信号、通信信号といったレーダ部1にとっては干渉信号となる信号は、アンテナ15で受信され、受信機16において、ダウンコンバート、検波、アナログ/ディジタル変換がなされる。
ESM信号処理器17においては、検波された信号を周波数解析することにより、キャリア成分の周波数を検出する。また、時間軸の解析により、そのPRI、PRF、パルス幅、電力を分析する。この結果、キャリア周波数、PRI、PRF、パルス幅、電力といった様々な電波諸元を抽出する。
以上の相手情報(これをS1と表す)を受けて、レーダ信号処理器12では、どの程度レーダ性能に干渉信号が影響するのか算出する。
図15はESM部の観測結果により、レーダ部の周波数チャンネルの変更を説明するための図である。例えば、F1からF6の6チャンネル構成のレーダの場合、現在使用している周波数F1、及びF2、F3、F5に干渉信号があることをESM部にて検出し、残った周波数チャンネルの中で、最も優先度の高いチャンネルであるF4に周波数チャンネルを変更する。
実際に問題となるのは、干渉信号が周波数軸上に広がった結果として漏れこんでくる電力値であり、これを以下の手段で算出し、問題の可否を判断する。
レーダ入力端における、干渉信号が影響する電力値P[dBm]は、式(3)によって表される。この漏れこんだ成分が、規定の最小受信感度レベルよりも大きくなると、誤ターゲットとして見えてしまい、問題となる。
Figure 2007248215
そこで、干渉信号の影響を受けているものと判断される場合は、レーダ信号処理器12経由で励振機14の発振周波数を変更して、干渉信号の影響を受けない帯域でレーダ動作を継続することで、干渉信号の影響を抑える。
また、事前にESM部2において、干渉信号の存在しない周波数帯域を検出しておくことも可能であり、これにより、せっかく周波数を変更したにも関わらず、その帯域に既に干渉信号が存在するという不都合を防ぐことができる。
以上に述べたように、実施の形態1によれば、レーダの帯域を変更することが不可能な場合においても、ESM部とレーダ部が協調することで、干渉信号のレベルを減衰させることで、ターゲットの検出を可能とする。
実施の形態2.
図8は実施の形態2を説明するための図であり、20はリミッタであり、1〜19は実施の形態1と同じものである。ESM部2からの情報(S1)に基づき、励振機14の送信周波数を変更する方法は実施の形態1と同じものである。
図8に記載するレーダ装置は、レーダ部1及びESM部2から構成される。
レーダ部1は、励振機14で生成された信号を、送信機13で送信し、送受切替器4経由でアンテナ3から空中に送出するとともに、自己のレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信信号をアンテナ3で受信し、送受切替器4経由で受信処理するものである。
受信処理としては、リミッタ20による利得補正処理、低雑音増幅器5による増幅処理、フィルタ6による帯域外の不要信号の抑圧、周波数変換器7におけるダウンコンバート、フィルタ8による帯域外の不要信号の抑圧が行われ、レーダ信号処理器12に送られる。
レーダ信号処理器12においては、検波器9にて位相検波がなされ、移動目標検出器10にて移動目標検出処理、周波数分析器11でドップラー周波数の検出がなされる。
また、上記受信信号は、ESM部2にあるアンテナ15でも受信され、受信機16を経由して、ESM信号処理器17にて信号が検出される。
レーダ信号処理器12においては、干渉信号を検出することができないが、ESM信号処理器17では干渉信号の検出が可能である。
レーダ信号処理器12において、ESM信号処理器17の検出結果から、レーダが干渉信号の影響を受けていると判断される場合には、励振機14の発振周波数を変更し、異なるレーダ帯域に周波数を変更することで、干渉信号の影響を受けないレーダ運用を可能とするものである。
しかしながら、異なるレーダ帯域に移行することができない場合には、次の手段をとるものとする。
干渉信号は、リミッタを経由することにより、利得を低減させることができ、干渉信号の影響を低減させ、ターゲット検出を可能とする。
しかしながら、時間方向に空き状態が発生することから、クラッタを移動目標検出手段で処理した際に、不連続点が発生し、これが周波数分析器において、周波数軸上に広がった成分として現れてしまい、図13に示すように干渉の影響を受けるターゲット1については、ターゲット検出ができなくなる。なお、ターゲット2については検出することは可能である。
そこで、ESM信号処理器17において、干渉信号を検出し、この干渉信号の電力を測定した結果からリミッタがかかり、干渉による空きが発生する電力レベルであると判断できる場合は、空きの発生する箇所についてのみ、移動目標検出器10において、上記空き箇所に本来入力されるデータと近い特性を有する、前後のPRIのデータを用いて代替、もしくは補完処理を行うことにより、クラッタの抑圧を可能とし、ターゲットを検出可能とするものである。
図9はリミッタの動作を表した図であり、入力レベルに対する出力レベルと利得を示す図である。
図9に示すように、リミッタ20は、増幅器等の能動素子が飽和して、リミッタとして動作すると、飽和した分だけ利得が下がることが知られており、これを利用して、ある規定値以上の電力が入力したときに、積極的に飽和させるリミッタを構成することにより、干渉信号の影響を下げることが可能である。
図10はリミッタによる干渉信号のレベル低下を表した図であり、周波数に対する電力の変化を示す図である。
リミッタ20のリミッタの効果により、受信機の利得が低減することから、図10に示すように干渉信号全体のレベルも低減することになり、従って、偽ターゲットとして検出されることを防ぐこことが可能となる。
図11はリミッタによる信号低下時の影響を表した図で、リミットにより干渉信号が入力したときの信号レベルが穴開き状態となることを示す図であり、図12はPRI方向に対して空き状態が発生することを示す図であり、図13は図12に示す空き状態が発生することにより、インパルス状のクラッタが残存し、これが周波数軸上に広がり、レーダによる検出が困難であることを示す図である。
リミッタ20でリミットをかけることにより、図11に示すように、干渉信号の入力時におけるクラッタ、ターゲットからの信号レベルも低減することから、干渉信号が入力したときの信号レベルが穴開き状態となる。
この状態のまま、上記の移動目標検出処理を行っても、図14に示すようにPRI方向に対してクラッタの消え残りがインパルス的に発生することになり、このまま周波数分析を実施しても、図13に示すようにクラッタが周波数軸上に広がり、レーダによる検出が困難となる。
そこで、ESM部2の情報を用いて、穴空き領域におけるデータを相関の近いデータで代替、もしくは補完する処理を行うことで、移動目標検出を可能とする。ESM部2のESM信号処理器17においては、干渉信号が入力した時間が既知である。そこで、移動目標検出器10においては、干渉信号が入力したレンジビンについて、前後のPRIの同一レンジビン(前後のPRIも干渉信号で潰れている場合は、更にその前後のPRI)のデータで置換することにより、干渉信号に埋れてしまうターゲット信号を検出する処理を行う。
また、ESM部2の情報を用いなくとも飽和による穴開き状の信号不存在領域を、前後のPRIにおける同一レンジビンの信号と比較することで検出し、検出できたときに、当該領域における信号をその前後のPRIにおける同一レンジビンの信号レベルに置換することも可能である。
さらには、式(4)に示すように、その前後のPRIにおける同一レンジビンの信号レベルの平均値、もしくは式(5)に示すように、その前後のPRIにおける同一レンジビンの最大値に置き換えることも可能である。
Figure 2007248215
Figure 2007248215
以上のように、移動目標検出器10により、干渉信号によって発生した穴開き状の信号不存在領域を埋めることが可能となり、インパルス状のクラッタの発生を抑えることができる。但し、ターゲット信号がある場合に、そのドップラ成分に誤差をもたせることとなるために、検出できたターゲット信号の周波数諸元等に誤差が含まれることになる。従って、ESM部2、レーダ部1によって、干渉信号を検出した場合にのみ切り替えて使用する。
以上に述べたように、実施の形態2によれば、レーダの帯域を変更することが不可能な場合においても、ESM部とレーダ部が協調することで、干渉信号のレベルを減衰させながら、クラッタの抑圧も可能とすることで、ターゲットの検出を可能とする。
実施の形態1を説明するための図である。 干渉信号によるスプリアス発生を表した図である。 ドップラレーダにおける干渉信号の影響を表した図である。 M個のPRIで受信された受信信号を3次元表示したものである。 移動目標検出処理後の干渉信号の影響を説明するための図である。 ターゲットのドップラー周波数の検出について説明するための図である。 フィルタ通過における干渉信号の応答波形を表した図である。 実施の形態2を説明するための図である。 リミッタの動作を表した図である。 リミッタによる干渉信号のレベル低下を表した図である。 リミッタによる信号低下時の影響を表した図である。 PRI方向に対してインパルス的な成分が発生することを示す図である。 クラッタが周波数軸上に広がり、レーダによる検出が困難であることを示す図である。 クラッタが消え残ることを示す図である。 ESM部の観測結果により、レーダ部の周波数チャンネルの変更を説明するための図である。
符号の説明
1 レーダ部、 2 ESM部、 3 アンテナ、 4 送受切替器、 5 低雑音増幅器、 6 フィルタ、 7 周波数変換器、 8 フィルタ、 9 検波器、 10 移動目標検出器、 11 周波数分析器、 12 レーダ信号処理器、 13 送信機、 14 励振機、 15 アンテナ、 16 受信機、 17 ESM信号処理器、 18 可変減衰器
19 検出判断部、 20 リミッタ。

Claims (2)

  1. 第1のアンテナで送信されたレーダ波によるレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信信号のレベルを減衰させる可変減衰器と、
    上記可変減衰器でレベルを減衰された受信信号を位相検波し、移動目標の検出処理を行うとともに、ドップラー周波数の検出を行い、それらの情報と上記ESM部からの情報により目標の検出判断を行って、干渉信号の影響を受けない送信周波数の選定を行うレーダ信号処理器と、
    上記レーダ信号処理器からの送信周波数でレーダの送信電波を生成する励振機と、
    レーダの送信電波による反射波及び、干渉信号を含む受信信号を第2のアンテナで受信し、干渉信号を検出するESM(Electronic Surveillance Measure)部と、
    を具備し、
    上記レーダ信号処理器が、上記励振機の送信周波数を変化させても、干渉信号のレベルが大きく、低雑音増幅器の入力が飽和レベルで、目標検出困難と判断した場合には、上記ESM部からの干渉信号の入力タイミングに同期して、上記可変減衰器から出力される干渉信号レベルを低減するように制御することを特徴とするレーダ装置。
  2. 第1のアンテナで送信されたレーダ波によるレーダ反射波及び、干渉信号を含む受信号を第1のアンテナで受信し、大信号のレベルを飽和させるリミッタと、
    上記リミッタで大信号のレベルを飽和させた受信信号を位相検波し、移動目標の検出処理を行うとともに、ドップラー周波数の検出を行い、それらの情報と上記ESM部からの情報により目標の検出判断を行って、干渉信号の影響を受けない送信周波数の選定を行うレーダ信号処理器と、
    上記レーダ信号処理器からの送信周波数でレーダの送信電波を生成する励振機と、
    レーダの送信電波による反射波及び、干渉信号を含む受信号を第2のアンテナで受信し、干渉信号を検出するESM(Electronic Surveillance Measure)部と、
    を具備し、
    上記レーダ信号処理器が、上記励振機の送信周波数を変化させても、干渉信号のレベルが大きく、低雑音増幅器の入力が飽和レベルで、目標検出困難と判断した場合には、上記ESM部からの干渉信号の入力レンジビンについて、前後のPRIの同一レンジビンのデータで置換することにより、干渉信号に埋れるターゲットを検出することを特徴とするレーダ装置。
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