JP2007247887A - 等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油を効率よく用い、長寿命でゴム製ブーツの痛みも少ない等速自在継手とし、また製造工程をより簡単にできて生産コストの低減にも役立つ等速自在継手とすることである。
【解決手段】等速自在継手の外輪2と内輪1の間に固形潤滑剤12を保持した等速自在継手であり、固形潤滑剤12は、潤滑油を含む潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分はポリウレタン樹脂などを1.1〜100倍に発泡させて多孔質化された固形物であり、前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤である等速自在継手とする。固体の樹脂中に吸蔵された状態で含まれる潤滑油は、外力による樹脂の変形によっても急激に染み出すことがなく、潤滑油を効率よく染み出させて用いることができるので、潤滑油量は必要最小限でよく、長寿命でゴム製ブーツの痛みも少ない等速自在継手となる。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の駆動軸などに用いられて回転力を伝達する等速自在継手に関する。
近年、自動車の高性能化、コンパクト化および軽量化のための技術的改良が進み、自動車部品や産業機械の駆動伝達に用いられる等速自在継手(等速ジョイントに同じ。)についても小型化、高性能化および長寿命化の要求が高まっている。
すなわち、等速ジョイントにも機械全体と同様に小型化や軽量化が求められれば高い負荷が加わることになり、従来のグリースによる潤滑では、充分な長寿命化が困難な場合があり、高温・高負荷などの苛酷な条件でも簡易なメンテナンスで長寿命の等速自在継手であることが希求されている。
ここで、一般には、自動車や産業用機械に代表されるような機械の摺動部や回転部においては液体潤滑剤が使用され、潤滑油を増ちょうさせて保形性を持たせたグリースや、液体潤滑剤を保持してその飛散や垂れ落ちを防止できる固形潤滑剤が知られている。
例えば、潤滑油やグリースに、超高分子量ポリオレフィン、またはウレタン樹脂およびその硬化剤を混合し、樹脂の分子間に液状の潤滑成分を保持させて徐々に染み出る物性を持たせた固形潤滑剤が知られている(特許文献1、2、3)。
また、潤滑剤の存在下でポリウレタン原料であるポリオールとジイソシアネートとを潤滑成分中で反応させることで自己潤滑性を持たせたポリウレタンエラストマーが知られている(特許文献4)。
このような固形潤滑剤は、軸受に封入して固化させると、潤滑油を徐々に染み出させるものであり、これを用いると潤滑油の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも軸受寿命の長期化に役立つ場合が多い。
しかしながら、このような固形潤滑剤を、等速ジョイントの駆動部のような圧縮や屈曲などの外部応力が高い頻度で繰り返し加わる部位に使用すると、圧縮や屈曲に追従して変形させるための非常に大きな力が必要になり、または非常に大きな応力が固形潤滑剤に加わって、それを保持する部分にも機械的強度が必要になる。
しかし、固形潤滑剤の強度と充填率は、通常は補償的なものであるので、潤滑剤を高充填率で保持することは困難であり、長寿命化を妨げる可能性がある。
そのため、圧縮や屈曲などの外部応力が高い頻度で繰り返し起こる等速ジョイントに適用の固形潤滑剤が求められている。
ところで、発泡して連通気孔を形成した柔軟な樹脂に潤滑油を含浸し、その気孔内に潤滑油を保持させた含油固形潤滑剤も軸受や等速ジョイントの内部に充填して使用されることが知られている(特許文献5)。
特開平 6− 41569号公報 特開平 6−172770号公報 特開2000−319681号公報 特開平 11−286601号公報 特開平 9− 42297号公報
しかし、上記した従来技術による含油固形潤滑剤は、外力に応じる柔軟な変形性を持たせれば圧縮や屈曲変形にも追従することはできるが、潤滑油保持力が小さく、高速回転条件などで使用した場合には、潤滑油が急速に流出して長時間連続して使用する場合に枯渇してしまう可能性もある。
また、含油固形潤滑剤は、長時間連続して潤滑を要する部分や開放空間で使用すると潤滑油が流出し、この潤滑油は気孔から放出および吸収を繰り返して、耐えず空間内を流動する。
このような余剰の潤滑油は、等速自在継手では軸と外輪を覆うように取り付けられるブーツなどのゴム製外装に接すると、潤滑油の添加剤などがゴムを腐食または劣化させる場合がある。
また、潤滑油やグリースを確実に含浸させるために、多くの工程が必要になるため、低コストで等速自在継手を製造する際の問題になる。
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、固形潤滑剤の潤滑油保持力を向上させて外力による変形によって染み出す潤滑油量を必要最小限に留め、潤滑油を効率よく用い、長寿命でゴム製ブーツの痛みも少ない等速自在継手とし、また製造工程をより簡単にして生産コストの低減にも役立つ等速自在継手とすることである。
上記の課題を解決するために、この発明では等速自在継手の外輪と内輪の間に潤滑剤を保持した等速自在継手において、前記潤滑剤が、潤滑油を含む潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分は発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤であることを特徴とする等速自在継手としたのである。
この発明で「吸蔵」とは、学術用語の「吸蔵」と同義であり、グリースなどの液体(液体・半固体状の潤滑剤等)が固体の樹脂中に化合物にならないで含まれることをいう。
この発明では、発泡した樹脂そのものの内部にも潤滑成分を吸蔵させるので、樹脂の潤滑成分の保持力が高まると共に安定し、樹脂の柔軟性により、例えば圧縮、膨張、屈曲、ねじりなどの外力による変形により潤滑成分を染み出させて樹脂の分子間から外部に徐放できる。この際、染み出す潤滑油量は通常において加わる外力の大きさに対応できる弾性樹脂を選択すれば、必要最小限の外力で潤滑油を供給することができる。
前記の発泡樹脂は非発泡のものに比べて表面積が大きく、表面に余剰に染み出した潤滑油は気孔内に一時的に保持される。そのため、使用時の潤滑油の保持量は、吸蔵量と気孔内保持量とを併せた量になり、単なる気孔内含浸の従来のものより保持量が多くなる。
そして、発泡した樹脂成分は、連続気孔率50%以上であるように発泡した樹脂成分であることが、気孔内の潤滑成分を変形によって充分に適当量だけ染み出させる作用をもたせるために好ましいことである。
また、固体の樹脂中に吸蔵された状態で含まれる潤滑油は、外力による樹脂の変形によっても急激に染み出すことがなく、潤滑油を効率よく染み出させて用いることができるので、潤滑油量は必要最小限でよく、しかも長寿命でゴム製ブーツの痛みも少ない等速自在継手となる。
さらにまた、固形潤滑剤の製造工程では、必ずしも含浸工程を必要としないので、その分だけ等速自在継手の製造工程は簡単になり、生産コストを低減できる。
このような等速自在継手とするために、固形潤滑剤の樹脂成分の発泡倍率を1.1〜100倍とすることが好ましく、また樹脂成分は、ポリウレタン樹脂であることが、外力の大きさに対応する弾性や吸蔵を確実に得るために好ましい。
この発明は、樹脂成分を発泡させると共に、樹脂内に潤滑成分を吸蔵させた固形潤滑剤を有する等速自在継手としたことにより、固形潤滑剤の潤滑油保持力が向上し、外力による変形によって染み出す潤滑油量が必要最小限になって、長寿命でゴム製ブーツの痛みも少ない等速自在継手となり、また製造工程をより簡単にできて生産コストの低減にも役立つ等速自在継手となる利点がある。
また、製造工程を比較的簡単にすることができ、低コスト化の要望に応じられる等速自在継手となる利点もある。
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の等速自在継手は、内輪1の外周面および外輪2の内周面に軸方向に延びる複数の溝3、4を対向配置して設け、これら対の溝3、4に回転自在に案内されるようにボール状の転動体5をケージ(保持器)6で保持しており、これによって内輪1と外輪2の各軸の交差角度の変動を転動体5の溝3、4の軸方向の移動で許容しており、しかも転動体5を介して回転力を各溝3、4から内輪1および外輪2に伝達できる構造のボールフィクストジョイント(BJ)である。
このような構造の等速自在継手には、外輪2の内部には内輪1、転動体5、ケージ6の全体を覆うように、固形潤滑剤12を充填し、一方、外輪2の外周と内輪1が保持する軸7の外周に跨がるように、ゴム製の蛇腹型のブーツ8を装着し、ブーツ8を帯状締結具(いわゆるブーツバンド)10、11で締結し密閉している。
ブーツ8は、ゴム材質からなるものであり、大気中の粉塵や水に対するシール性、耐引裂き性、耐油性、耐熱性、耐摩耗性などを使用に耐える程度に備えた材質であり、例えばクロロプレンゴムや熱可塑性ポリエステルエラストマー(東レ・デュポン社製:ハイトレル)などを採用できる。また、可塑剤、柔軟剤、滑剤、酸化防止剤、補強剤などが添加されていてもよい。
この発明に用いる多孔性固形潤滑剤は、樹脂成分としてのプラスチックまたはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用できる。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴムクロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド4,6(PA4,6)、ポリアミド6,6(PA6,6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを挙げられる。
また、上記のプラスチックなどに限られることなく、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームなどのウレタンフォーム、ウレタンエラストマー−ウレタン接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を硬化させて使用することもできる。
樹脂成分中には必要に応じて顔料や酸化防止剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、難燃剤、防黴剤やフィラーなどの各種添加剤等を添加することができる。
この発明に用いる固形潤滑剤は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、圧縮、屈曲、遠心力および温度上昇に伴う気泡の膨張などの外部応力によって潤滑油を外部に供給することが可能なものである。
発泡により多孔質化される際に生成させる気泡は、連続孔が望ましく、外部応力によって潤滑成分を樹脂の表面から連続孔を介して外部に直接供給することが可能である。独立孔の場合は、樹脂成分中の潤滑油の全量が一時的に気泡中に取り込まれて、必要なときに外部に充分供給されない場合がある。
そして、この発明においては発泡した樹脂成分が、連続気孔率50%以上(50〜100%)であるように発泡した樹脂成分であることが好ましい。連続気孔率が所定値未満では、樹脂成分(固形成分)の潤滑油が一時的に独立気泡中に取り込まれる割合が多く、必要な時にも外部に供給されない場合が多くなって好ましくない。また、ある程度の独立気泡は潤滑油保持性から許容されることをも考慮すると、より好ましい連続気孔率(%)は50〜80%または50〜75%、もしくは60〜70%であるといえる。
この発明で調整される連続気泡率は、以下のように算出できる技術的変数である。
(1)まず、発泡硬化した多孔性固形潤滑剤を重量測定に適当な大きさにカットしたものをAとして、その重量を測定すると共に、組成の仕込み量からAの潤滑成分重量と、Aの樹脂成分重量とを算出する。
(2)次に、上記重量を測定されたAを、溶剤として石油ベンジンを用いてソックスレー洗浄を3時間行ない、その後80℃で2時間恒温槽内に置いて有機溶剤を完全に乾燥させたものをBとして、その(樹脂成分+独立気泡中に取り込まれた潤滑成分)重量Bを測定する。
(3)得られたAの潤滑成分重量、Aの樹脂成分重量、Bの重量の値から、次の式によって連続気泡率(%)を算出する。
連続気泡率-(%)={1−(B−Aの樹脂成分重量)/Aの潤滑成分重量}×100
上記の式によると、連続していない独立気泡中に取り込まれた潤滑成分は、3時間のソックスレー洗浄では外部に放出されないため、上記の操作で連続気泡率を算出できるのである。
潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するには、潤滑剤の存在下で発泡反応と硬化反応を同時に行なわせる反応型含浸法を採用することが望ましい。このようにすると潤滑剤を樹脂内部に高充填することが可能となり、その後には潤滑剤を含浸して補充する後含浸工程を省略できる。
これに対して発泡固形物をあらかじめ成形しておき、これに潤滑剤を含浸させる後含浸法だけを採用すると、樹脂内部に充分な量の液体潤滑剤が染み込まないので、潤滑剤保持力が充分でないものになり、短時間で潤滑油が放出されて長期的に使用すると潤滑油が供給不足となる場合がある。このため、後含浸工程は、反応型含浸法の補助手段として採用することが好ましい。
反応型含浸法は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させて行なうことが好ましい。また、整泡剤の種類や量によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類(連続型/独立型)や気泡径を制御することが可能である。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
潤滑成分(100重量%)の潤滑油の割合は、1重量%〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜80重量%である。潤滑油の割合が、1重量%未満の場合は、潤滑油を必要箇所に充分に供給することが困難になる。また、95重量%を超える多量の配合では、低温でもグリースなどでは固まらずに液状のままとなり、固形潤滑剤に特有の機能を果たさない場合がある。
この発明に用いる潤滑油としては、発泡体を形成する固形物を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができるが、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独もしくは混合して用いても良い。
この発明に使用する潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等の普通に使用されている潤滑油またはそれらの混合油が挙げられる。
この発明に使用するグリースの増ちょう剤としては、リチウム石鹸、リチウムコンプレックス石鹸、カルシウム石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸等の石鹸類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、ポリウレア化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
グリースの基油としては、前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
この発明に使用するワックスとしては炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などどのようなものでも良い。これらのワックスに使用する油成分としては前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
以上述べたような潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいても良い。
樹脂成分を発泡させる手段としては周知の発泡手段を採用すればよく、例えば、水、アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を加熱し、気化させる物理的手法やエアーや窒素などの不活性ガスを外部から吹き込む機械的発泡方法、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)やアゾジカルボンイミド(ADCA)等のように温度や光によって分解し、窒素ガスなどを発生させる分解型発泡剤を使用する、などの方法が挙げられる。また、原料として反応性の高いイソシアネート基を持つ場合には、それと水分子との化学反応によって生じる二酸化炭素による化学的発泡を用いても良い。
このような反応を伴う発泡を用いるには必要に応じて触媒を使用することが望ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。
3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いても良い。
樹脂成分の発泡倍率は1.1倍以上100倍未満であることが望ましい。なぜなら、発泡倍率1.1倍以下の場合は気泡体積が小さく、外部応力が加わったときに変形を許容できないし、または固形物が硬すぎて変形しないなどの不具合がある。また、100倍以上の時には外部応力に耐える強度を得ることが困難となり、使用中に破損や破壊に至ることがある。
固形潤滑剤は型内に流し込んで成形してもよく、また常圧で固化した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工することもできる。また、等速自在継手の外輪の内部、通常は内輪と外輪の間に発泡充填して硬化反応をさせてもよく、その後にブーツを組み付けて等速自在継手を製造できる。
これらの発泡固形潤滑剤は、前記した第1実施形態以外にも各種の周知な形式の等速自在継手に封入することができる。例えば、固定式等速自在継手としては第1実施形態で説明したボールフィクストジョイント(BJと略称される場合がある。)の他、アンダーカットフリージョイント(UJと略称される場合がある。)が挙げられる。このようなBJやUJのボール数は6個または8個の場合がある。
BJやUJに発泡固形潤滑剤を封入した場合、潤滑剤が必要なところのみに充填されるため、低コスト化・軽量化に寄与できると共に、使用される作動角が大きいために圧縮・屈曲を受けやすく、より摺動部への潤滑剤の供給がされやすい。
また、摺動式等速自在継手としては、ダブルオフセットジョイント(DOJと略称される場合がある。)、トリポードジョイント(TJと略称される場合がある。)、クロスグルーブジョイント(LJと略称される場合がある。)などが挙げられる。
図面を参照して詳細に説明すると、図2に示すように、第2実施形態のダブルオフセットジョイント(DOJ)は、外輪13の内面および球形内輪14の外面に軸方向に沿って6本または8本のトラック溝15、16を軸周り等角度に配置形成しており、そのトラック溝15、16間に組み込んだ6個または8個のボール17をケージ18で支持し、このケージ18の外周を球面とし、かつケージ18の内周も内輪の外周に適合する球面としており、回転する外輪軸19と、これに従動してシャフト軸線周りに回転する内輪軸20とが、ボール17を介して等速回転するよう接続されている。
外輪軸19と内輪軸20が交差角度をもって回転するとき、トラック溝15に沿って移動するボール17は、トラック溝15、16内で溝方向に沿って遊動しないようにケージ18で保持されて溝方向には転がり運動し難く、主として摺動によって往復移動する。
このようなDOJの内部の要所に発泡した固形潤滑剤12aを充填する。
図3に示すように、第3実施形態のトリポードジョイント(TJ)は、内輪軸21の先端周囲に3本の脚軸22を有するトリポード軸部23と、このトリポード軸部23が挿入可能な筒状部24を一端に設けた継手軸部25とからなる。
TJは、筒状部24の内周面に軸方向に延びる3本のトラック溝26を有しており、3つの脚軸22にはローラユニット(いわゆる球面ローラ)を回転可能に嵌め、このローラユニットのローラ27がトラック溝26を形成する一対の側壁面に案内されるようにトリポード軸部23を継手軸部25の筒状部24に組込み、発泡した固形潤滑剤12bを要所に充填している。
このようなTJや前記したDOJについては、軸方向に摺動しろが必要なため、前述したBJなどの固定式ジョイントよりもグリース封入量(潤滑剤封入空間容積)が多くなる。
しかしながら発泡した固形潤滑剤12は、必要なところにのみ充填が可能であるため、DOJやTJに発泡した固形潤滑剤を封入する場合に低コスト化と軽量化への寄与度がより大きくなる。
実施例および比較例に使用の原料を以下に一括して列挙し、固形潤滑剤の組成と測定結果を表1に示した。
(a)ウレタンプレポリマー(ダイセル化学工業社製:プラクセルEP−1130)
(b)アミン系硬化剤(イハラケミカル社製:イハラキュアミンMT)
(c)水(イオン交換水)
(d)シリコーン系整泡剤(東レダウ社製:SRX298)
(e)ウレア系グリース(新日本石油社製:パイロノックユニバーサルN6C)
(f)イソシアネート(日本ポリウレタン社製:コロネートT80)
(g)ポリエーテルポリオール(旭硝子社製:プレミノールSX4004)
(h)アミン系触媒(東ソー社製:TOYOCAT DB2)
(i)潤滑油(新日本石油社製:タービン100)
[実施例1、2]
図1に示すように等速自在継手(NTN社製:EBJ82)の外輪2に、内輪1、ケージ6および転動体(鋼球)5を組み付けた。別途、表1に示す成分量(組成)で、ウレタンプレポリマーにシリコーン系整泡剤とウレアグリースを加え、120℃でよく攪拌した。これにアミン系硬化剤を加え、攪拌した後、発泡剤としての水を加え、前記のようにして組み立てた等速自在継手の外輪2と内輪1の間に固形潤滑剤12を充填発泡させると共に、これを120℃に設定された恒温槽に1時間放置して硬化させ、発泡固形潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。
[実施例3、4]
表1に示す成分量(組成)で、ポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、鉱油、アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく攪拌した。これにイソシアネートを加えてよく攪拌し、組み立てた等速自在継手の外輪2と内輪1の間に固形潤滑剤12を充填発泡させると共に、90℃に設定した恒温槽で15分放置し、発泡固形潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。
[比較例1]
表1に示す成分量(組成)で非発泡潤滑剤を用いたこと以外は実施例1と全く同様にして固形潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。
[比較例2]
表1に示す成分(組成)のうち、鉱油を除く組成で実施例3と同じ方法で発泡体を合成した。油は後から含浸させ、後含浸型の発泡潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。
[比較例3]
表1に示す成分(組成)のうち、シリコーン系整泡剤を除く組成で実施例3と同じ方法で発泡体を合成し、連続気泡率を50%未満の固形潤滑剤とした。
これら実施例1〜4、比較例1〜3で得られた発泡体について、発泡後体積を発泡前体積で除した値を発泡倍率として求め、表1中に示した。また、連続気泡率は、前出の式を用いた測定方法に拠って算出した。
得られた実施例と比較例の等速自在継手について耐久試験を行ない、トルク245Nm,角度6deg,回転速度1000r/minの条件で、10時間回転させた後の固形潤滑剤の破壊や破損の程度を目視および光学顕微鏡を用いた観察によって評価した。その結果は、○印:破壊および破損がなく継続使用が可能であったもの、△印:固形潤滑剤は破壊されなかったが油分離量が過剰であったもの、×印:固形潤滑剤の破損または破壊があり継続使用が不可能であったもの、と評価し、記号で表1中に示した。
Figure 2007247887
表1に示した結果からも明らかなように、非発泡性の固形潤滑剤を充填した比較例1よりも同じ組成でも発泡固形潤滑剤を充填した実施例1、2の方が、潤滑剤に破損や破壊がなく継続して長時間使用可能な耐久性を備えたものとなった。
また、同組成の発泡樹脂でも鉱油を後含浸工程のみで保持させた固形潤滑剤を用いた比較例2は、発泡と同時に鉱油を樹脂内に吸蔵させた固形潤滑剤を用いた実施例3、4に比べて同じ遠心力下での油分離量が多く、潤滑に寄与しない過剰な油が供給されたことがわかる。一方、実施例3、4の等速自在継手は、反応型の固形潤滑剤に、潤滑油が樹脂固形分中に充分に吸蔵されていて、遠心力が作用しても適度の油分離速度であり長時間の使用が可能な耐久性を備えていることがわかる。
また、これらの実施例と比較例からは、発泡と同時の反応型の含浸によって潤滑油が樹脂の内部に吸蔵され、単に発泡樹脂成形体を潤滑油に含浸することによって、気泡内に潤滑油を保持した場合よりも吸蔵による油保持力が高いことがわかる。
連続気泡率が50%未満の比較例3では、耐久試験結果からみれば、ある程度は使用に耐えるものともいえるが、実施例4に比べて遠心力下での油分離量が少なくなる点において劣っていた。
第1実施形態の等速自在継手の断面図 第2実施形態の等速自在継手の断面図 第3実施形態の等速自在継手の断面図
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3、4 溝
5 転動体
6 ケージ
7 軸
8 ブーツ
9 発泡弾性樹脂
10、11 帯状締結具
12、12a、12b 固形潤滑剤

Claims (5)

  1. 等速自在継手の外輪と内輪の間に潤滑剤を保持した等速自在継手において、
    前記潤滑剤が、潤滑油を含む潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分は発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤であることを特徴とする等速自在継手。
  2. 発泡した樹脂成分が、連続気孔率50%以上であるように発泡した樹脂成分である請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 多孔性固形潤滑剤が、ゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなる樹脂成分を具備し、外力によって潤滑成分の滲出性を有する多孔性固形潤滑剤である請求項1または2に記載の等速自在継手。
  4. 樹脂成分の発泡倍率が、1.1〜100倍である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性固形潤滑剤を封入してなる等速自在継手。
  5. 樹脂成分が、ポリウレタン樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性固形潤滑剤を封入してなる等速自在継手。
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