JP2007247534A - 内燃機関の可変圧縮比機構 - Google Patents

内燃機関の可変圧縮比機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2007247534A
JP2007247534A JP2006072013A JP2006072013A JP2007247534A JP 2007247534 A JP2007247534 A JP 2007247534A JP 2006072013 A JP2006072013 A JP 2006072013A JP 2006072013 A JP2006072013 A JP 2006072013A JP 2007247534 A JP2007247534 A JP 2007247534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
compression ratio
actuator
actuator shaft
variable compression
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006072013A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4714609B2 (ja
Inventor
Yoshiaki Tanaka
儀明 田中
Yoshiteru Yasuda
芳輝 保田
Katsuya Mogi
克也 茂木
Shinichi Takemura
信一 竹村
Narifumi Sugawara
済文 菅原
Akira Sakata
晃 坂田
Hirofumi Doi
弘文 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd, Mitsubishi Electric Corp filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006072013A priority Critical patent/JP4714609B2/ja
Publication of JP2007247534A publication Critical patent/JP2007247534A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4714609B2 publication Critical patent/JP4714609B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

【課題】 アクチュエータシャフトの強度及び耐久性を向上させる。
【解決手段】 アッパーリンク22と、アッパーリンク22とクランクピン17とに連結されるロアリンク21と、気筒列方向に沿ってクランクシャフト16と略平行に延びる制御軸23と、一端が制御軸23に揺動可能に連結され、他端がロアリンク21に連結される制御リンク25と、アクチュエータシャフト32の往復運動を用いて制御軸23を回転駆動するアクチュエータ30と、を有し、制御軸23に対する制御リンク25の揺動中心を制御軸23の回転中心から偏心させ、制御軸23の回転に伴う制御リンク25の揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変制御する内燃機関の可変圧縮比機構において、制御軸23に連結されるアクチュエータシャフト32には、皮膜処理が施されている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、内燃機関の可変圧縮比機構に関する。
本出願人による特許文献1には、ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿ってクランクシャフトと略平行に延びる制御軸と、一端が制御軸に揺動可能に連結され、他端がロアリンクに連結される制御リンクと、アクチュエータシャフトの往復運動を用いて制御軸を回転駆動するアクチュエータと、を有し、制御軸に対する制御リンクの揺動中心を制御軸の回転中心から偏心させ、制御軸の回転に伴う制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変制御する内燃機関の可変圧縮比機構が開示されている。この特許文献1において、アクチュエータは、アクチュエータシャフトの基端側に雄ねじ部を形成し、この雄ねじ部に螺合するアクチュエータの円筒部を回転駆動させることで、アクチュエータシャフトを往復運動させる、いわゆる送りねじ構造となっている。
この特許文献1に開示された可変圧縮比機構においては、燃焼室内の筒内圧及び往復運動するピストンの慣性力が各リンク部品へ荷重を与え、アクチュエータシャフトにもシャフト曲げ方向の荷重として作用する。この曲げ荷重は、シャフト軸方向全域に変形をもたらし、アクチュエータシャフトの雄ねじ部にもその変形が及ぶことになる。
また、アクチュエータシャフトの雄ねじ部に螺合する円筒部に対しても、アクチュエータシャフトの曲げ変形に起因して荷重が作用することになる。
ここで、アクチュエータの円筒部は、可変範囲内の圧縮比に対応する位置に応じて雄ねじ部に対するアクチュエータシャフト軸方向の螺合位置が変化するため、高い応力が作用する部分の位置も変動することになる。一方、アクチュエータシャフトの曲げ変位は、圧縮比の設定によらず、常に同じ領域が相対的に高い応力下にある。
従って、アクチュエータシャフトとアクチュエータの円筒部とでは、アクチュエータシャフトの応力条件が相対的に厳しいことになる。アクチュエータシャフトの応力低減を図るためには、雄ねじ部の径を大径化し、アクチュエータシャフトの雄ネジ部と円筒部の雌ねじ部とが互いに接触する面(以下、接触面と記す)の面圧を下げると共に、アクチュエータシャフトの断面積の増加させることが考えられる。
特開2002−115571号公報
アクチュエータシャフトを大径化すれば、雄ねじ部の大径化が可能となり、同一荷重下では上記接触面の面圧を低減することができると共に、アクチュエータシャフトの断面積の拡大により同一荷重下では強度・耐久性とも有利になる。
しかしながら、送りねじ構造であるアクチュエータは、作動応答性も重要な性能であり、同一のアクチュエータシャフト送り速度下では。ねじ径の大型化は周速が増加することに等しく、上記接触面における摩耗性能を検討する上でPV値の増加が懸念される。ここで、PV値は、摺動面圧であるPと、摺動速度であるVとの積で表せる指標値であり、上記接触面の面圧をP、アクチュエータシャフトの雄ねじ部に対する円筒部の回転速度をVと見なすことができる。
つまり、雄ねじ部の大径化は、送り速度が速い必要があるアクチュエータ構造へ適用する場合、PV値の低減には単純に寄与せず、強度・耐久性を一概には向上させることにはならない。
そこで、本発明は、アクチュエータシャフトの径を大きくすることなく、高応力下にあるアクチュエータシャフトの強度及び耐久性を向上させることを目的とするものである。
本発明は、ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿ってクランクシャフトと略平行に延びる制御軸と、一端が制御軸に揺動可能に連結され、他端がロアリンクに連結される制御リンクと、アクチュエータシャフトの往復運動を用いて制御軸を回転駆動するアクチュエータと、を有し、制御軸に対する制御リンクの揺動中心を制御軸の回転中心から偏心させ、制御軸の回転に伴う制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変制御する内燃機関の可変圧縮比機構において、制御軸に連結されるアクチュエータシャフトには、皮膜処理が施されていることを特徴としている。
本発明によれば、アクチュエータシャフトの径を大きくすることなく、高応力下にあるアクチュエータシャフトの強度及び耐久性を向上させることができる。また、アクチュエータシャフトの外周面に対して皮膜処理する場合、例えば、浸漬処理をする皮膜では、加工性が良いものとなる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の可変圧縮比機構の前提となる基本構成を示すものであって、直列4気筒エンジンへの適用例を示している。尚、図1は、最高圧縮比の設定状態におけるピストン上死点近傍の状態を示している。
シリンダブロック11には、各気筒毎に円筒状のシリンダ12が形成されると共に、各シリンダ12の周囲にウォータージャケット13が形成されている。各シリンダ12内にはピストン14が昇降可能に配設されており、各ピストン14のピストンピン15と、クランクシャフト16のクランクピン17とは、複リンク式の可変圧縮比機構を介して機械的に連携されている。尚、18はカウンターウエイトである。
上記の可変圧縮比機構は、クランクピン17に相対回転可能に外嵌するロアーリンク21と、このロアーリンク21とピストンピン15とを連携するアッパーリンク22と、クランクシャフト16と平行に気筒列方向へ延びる制御軸23と、この制御軸23に偏心して設けられた偏心カム24と、この偏心カム24とロアーリンク21とを連携する制御リンク25と、制御軸23を所定の制御範囲内で回転駆動すると共に、所定の回転位置に保持する駆動手段としてのアクチュエータ30と、を備えている。尚、制御軸23は、鍛造または鋳造により製造されている。
ロッド状をなすアッパーリンク22の上端部はピストンピン15に相対回転可能に連結されており、下端部は連結ピン26を介してロアーリンク21に相対回転可能に連結されている。制御リンク25の一端はロアーリンク21に連結ピン38を介して相対回転可能に連結されており、制御リンク25の他端は偏心カム24に相対回転可能に外嵌されている。
図2は、図1に示す可変圧縮比機構からアクチュエータシャフト32(後述)及び円筒部材34(後述)を含むアクチュエータ機構の要部を抜き出して示した説明図である。
図2に示すように、制御軸23は、シリンダブロック11の下部に回転可能に支持される略棒状の軸部27と、軸部27の外周面から軸部27の半径方向外側に突出してアクチュエータシャフト32の一端に連結された連結部28と、から大略構成されている。
軸部27は、シリンダブロック11の気筒間隔壁(図示せず)の下部に設けられた主軸受部(図示せず)に回転可能に支持される主軸29と、上述した偏心カム24とから大略構成されており、偏心カム24の回転中心Pは、主軸29の回転中心Qに対して偏心している。
連結部28は、制御軸23軸方向に沿って離間し、かつ互いに対向する一対のフランジ40を備え、これら一対のフランジ40,40には、制御軸23の半径方向に細長く延びるスリット37がそれぞれ形成されている。つまり、各フランジ40,40は、それぞれ略二股形状を成すよう形成されている。
アクチュエータ30は、図1に示すようにケーシング31内に進退可能に配設されるアクチュエータシャフト32と、このアクチュエータシャフト32の基端側(後端)の雄ねじ部33に螺合する雌ねじ部36が内周面に形成された円筒部材34と、を有している。この円筒部材34は、アクチュエータ駆動部材に相当するものであって、図外の制御部(エンジンコントロールユニット)からの制御信号に基づいて、モータ又は油圧ポンプ等の駆動源により軸回りに回転駆動される。
アクチュエータシャフト32は、図2に示すように、制御軸23と直交する方向に沿って配設されており、自身の長手方向(アクチュエータシャフト32軸方向)に沿って往復移動する。このアクチュエータシャフト32の一端(先端)は、円筒形状を成し、この円筒内面に回転可能となるように棒状のピン35が配置されている。そして、アクチュエータシャフト32と制御軸23は、アクチュエータシャフト32の一端を制御軸23の連結部28に設けられた一対のフランジ40,40間に挟み、かつ上記円筒内面に回転可能に配置されたピン35の両端を一対にフランジ40,40にそれぞれ形成された一対のスリット37,37に摺動可能に係合させることで連結されている。尚、ピン35の両端は、スリット37の摺動面37aと略同じ幅を有している。
ここで、可変圧縮比機構の動作について簡単に説明すると、上記制御部により円筒部材34が回転駆動されると、この円筒部材34に螺合するアクチュエータシャフト32が往復動する。具体的には、アクチュエータ30は、アクチュエータシャフト32と円筒部材34とによって構成されたいわゆる送りねじ構造により、アクチュエータシャフト32の往復動を実現させている。これにより、ピン35のスリット37内での摺動動作を伴いながら、連結部28を介して制御軸23が所定の方向に回転する。このアクチュエータ30は、不用意にアクチュエータシャフト32が往復移動することのないように、雄ねじ部33と円筒部材34の雌ねじ部36との螺合部分を介してアクチュエータシャフト32の回転運動をアクチュエータシャフト32の往復運動に変換する構成となっている。
そして機関運転状態に応じて制御軸23を回動することにより、偏心カム24に外嵌する制御リンク25の揺動支点が変化し、ロアーリンク21及びアッパーリンク22の姿勢が変化して、ピストン14の上方に画成される燃焼室の圧縮比が可変制御される。
この可変圧縮比機構においては、アクチュエータシャフト32が前進すると圧縮比が連続的に増加し、アクチュエータシャフト32が後退すると圧縮比が連続的に低下するように設定されている。
このような可変圧縮比機構では、ピストンピン15とクランクシャフト16とが2つのリンク22,21のみで連携されているため、例えばリンク部材を3つ以上用いるものに比して構成が簡素化される。また、ロアーリンク21に制御リンク25が連結されている等の関係で、この制御リンク25や制御軸23を、比較的スペースに余裕のある機関下方側へ配置することができ、機関搭載性に優れている。
リンク機構からのねじりトルクによる引っ張り及び曲げ等の荷重(負荷荷重)がアクチュエータシャフト32に入力されると、アクチュエータシャフト32は、図3に示すように、曲げ変形を生じこの変形に応じて応力が発生することになる。
ここで、アクチュエータシャフト32自体は、非回転部材(往復動のみ)であり、上記のような負荷荷重が入力されると、図4に示すように、この負荷荷重に応じて高応力となる高応力部位が常に同じ部位に集中する。また、アクチュエータシャフト32の引っ張り応力、圧縮応力は、上記負荷荷重の作用する方向で大きい傾向があり、常に特定部位の応力条件が厳しいものとなる。
一方、アクチュエータシャフト32に螺合する円筒部材34には、アクチュエータシャフト32との噛み合い部分(雌ねじ部36)においてアクチュエータシャフト32に作用する負荷荷重の反作用として圧縮応力を受けることになる(図4参照)。しかしながら、円筒部材34は回転部材であり、アクチュエータシャフト32の往復位置、すなわち設定圧縮比によってそれぞれ異なる部位が高応力となる。
よって、アクチュエータシャフト32では、圧縮比の設定値によらず常に特定部位が高応力下になるのに対して、円筒部材34は、同様に高応力となる部位が一部に見られるものの、圧縮比の設定によって自身の回転位置が異なるため、エンジンライフで捉えた場合、アクチュエータシャフト32の応力条件は、円筒部材34に比べて圧倒的に厳しい状況となる。
そこで、本発明では、より応力条件の厳しいアクチュエータシャフト32に着目して、アクチュエータシャフト32の雄ねじ部33の表面のみに皮膜処理を施すことで、効果的に高応力に対応する。
アクチュエータシャフト32と円筒部材34とによって構成されたいわゆる送りねじ構造においては、アクチュエータシャフト32と円筒部材34とのねじ山同士で、適当な隙間(バックラッシュ)が存在する。
本発明に適用している上述したような可変圧縮比機構では、特に燃焼圧力が低く、リンク慣性力が支配的になる低負荷かつ高回転での運転時に、制御軸23には交番トルク(向きと大きさが時間によって変わるトルク)が作用する特徴がある。この交番トルクは、アクチュエータシャフト32へ交番負荷荷重として作用し、上記送りねじ構造においてバックラッシュがガタとなり異音発生の原因となる。
この異音低減措置として、バックラッシュの低減が考えられるが、単純このバックラッシュを低減してしまうと、異音の低減には効果的である一方で、上記送りねじ構造でのフリクションの増大から駆動エネルギも増加することになり、アクチュエータシステム全体での損失が無視できなくなる虞がある。
また、アクチュエータシャフト32に雄ねじ部33を加工する際に、低圧縮比側(図3における雄ねじ部33のアクチュエータシャフト32軸方向右側)のみバックラッシュを低減するような工程を織り込むことは、技術的に非常に困難であり、かつコスト高騰が避けられない。
図5は、上記送りねじ構造、すなわちアクチュエータシャフト32の雄ねじ部33及び円筒部34の雌ねじ部36に、ボールねじを適用した場合と、台形ねじを適用した場合とを例として本発明の要部となる皮膜処理例を模式的に示した説明図である。
(a)高圧縮比側の膜厚を厚くする場合
雄ねじ部33の軸方向全長に皮膜処理を行うものの、雄ねじ部33の高圧縮比側(図5における左側)の膜厚を雄ねじ部33の低圧縮比側(図5における右側)の膜厚よりも相対的に厚くする。
雄ねじ部33の高圧縮比側(図5における左側)は、高負荷条件で特に高応力となるため、例えば硬質クロムメッキ等で耐摩耗性の向上を図る。
(b)低圧縮比側の膜厚を厚くする場合
雄ねじ部33の軸方向全長に皮膜処理を行うものの、雄ねじ部33の低圧縮比側(図5における右側)の膜厚を雄ねじ部33の高圧縮比側(図5における左側)の膜厚よりも相対的に厚くする。
低圧縮比時の交番荷重による異音発生抑制の為に、雄ねじ部33の低圧縮比側(図5における右側)は、バックラッシュを低減する必要がある。そこで処理皮膜の膜厚を、雄ねじ部33の高圧縮比側に比べて低圧縮比側を厚くすることで、アクチュエータシャフト32軸方向でバックラッシュ量を変化させ、雄ねじ部33の低圧縮比側のバックラッシュ量を相対的に小さくする。
これによって、交番荷重の影響をうける低圧縮比設定側では、極力バックラッシュを小さくすることができる。また、高荷重となる高圧縮比設定側では、アクチュエータシャフトの駆動エネルギを抑制するために、膜厚を薄くすることで適度にバックラッシュを与え、雄ねじ部33と雌ねじ部36との間のフリクションを低圧縮比側よりも低くすることができる。
(c)低圧縮比側近傍のみに皮膜処理を施す場合
雄ねじ部33の低圧縮比側(図5におけす右側)にのみ皮膜処理を施し、雄ねじ部33の高圧縮比側(図5におけす左側)には皮膜処理を施さない。これにより、上記(b)のように皮膜処理を施した場合と同様の作用効果を得られると共に、上記(b)よりも皮膜処理を施し処理面積を小さくすることでコスト低減を図ることができる。
また、上記(a)〜(c)いずれの場合もDLC(diamond like carbon)処理が適用でき、このDLC処理を適用した場合、オイル性状によらずほぼ一定の摩擦係数とすることが可能となる。摩擦係数がほぼ一定にできるということは、例えば、可変圧縮比機構のアクチュエータの場合では、設定圧縮比を一定値に保持する場合に、保持エネルギを予測管理することが容易になり、特に可変圧縮比機構との組み合わせでは有効である。そして、上記送りねじ構造に、例えば台形ねじを適用している場合、雄ねじ部33と雌ねじ部36との接触面の摩擦係数が安定していると、保持エネルギの制御が容易になる。
また、アクチュエータシャフト32の雄ねじ部33に対して、アクチュエータシャフト32軸方向で異なる種類の皮膜処理を行うようにしてもよい。
そして、上記送りねじ構造を、一般的な台形ねじ、またはボールねじとすることで、加工コストを低減することができる。また、送りのリードを変えることで、要求する応答性を容易に設定・制御することができる。特に送りのリードがJIS標準系列(JIS B 0216,JIS B 1192)よりも低リードである場合には、アクチュエータシャフト32に作用する荷重によって、円筒部材34の回転角度は、標準リードよりも増加する傾向になり、軸方向及び軸直角方向に荷重をアクチュエータシャフト32に組み合わされる円筒部材34は、微小な軸方向変位でも、その回転角度を迅速に変化させ、高応力部位をより高範囲で支えることで、高応力が一部に集中することを避けることができる。また、特定部位に高応力が集中することを避けることは、疲労強度での繰り返し数の低減につながり、アクチュエータ30の長寿命に貢献することになる。
尚、上述した実施形態においては、アクチュエータシャフト32及び円筒部材34を含むアクチュエータ30がシリンダ12軸線と略平行となるようにエンジン側方に配置されているが、アクチュエータ30を、図6または図7に示すようにエンジンに対して配置することも可能である。図6は、アクチュエータ30がシリンダ12軸線に対して傾いた状態でエンジン側方に配置されたものである。図7は、アクチュエータ30がエンジン下方に配置されたものである。
また、本発明が適用される可変圧縮比機構において、円筒部材34の雌ねじ部36の長さ(ねじの軸線方向の長さ)を、アクチュエータシャフト32の雄ねじ部の長さ(ねじの軸線方向の長さ)よりも短く構成し、雌ねじ部36がねじの軸線方向全域で雄ねじ部33に常に螺合するようにした場合には、アクチュエータシャフト32の雄ねじ部33に皮膜処理を施すことで、円筒部材34の雌ねじ部36に皮膜処理を施す場合よりも皮膜寿命を相対的に長くすることができる。
上記実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿ってクランクシャフトと略平行に延びる制御軸と、一端が制御軸に揺動可能に連結され、他端がロアリンクに連結される制御リンクと、アクチュエータシャフトの往復運動を用いて制御軸を回転駆動するアクチュエータと、を有し、制御軸に対する制御リンクの揺動中心を制御軸の回転中心から偏心させ、制御軸の回転に伴う制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変制御する内燃機関の可変圧縮比機構において、制御軸に連結されるアクチュエータシャフトには、皮膜処理が施されている。これによって、アクチュエータシャフトの径を大きくすることなく、高応力下にあるアクチュエータシャフトの強度及び耐久性を向上させることができる。また、アクチュエータシャフトの外周面に対して皮膜処理する場合、例えば、浸漬処理をする皮膜では、加工性が良いものとなる。
(2) 上記(1)に記載の内燃機関の可変圧縮比機構において、アクチュエータは、アクチュエータシャフトと、アクチュエータシャフトに形成されたねじ部に係合してアクチュエータシャフトの円周方向に回転可能なアクチュエータシャフト駆動部材と、有し、アクチュエータシャフト駆動部材を回転駆動させることによってアクチュエータシャフトを往復運動させるものであって、アクチュエータシャフトのねじ部に皮膜処理が施されている。
可変圧縮比機構では、ピストンに加わる燃焼荷重、及びピストンを始めとする主運動系部品の慣性力が、制御軸にトルクとして作用し、制御軸に連結されるアクチュエータシャフトには、軸方向、軸直角方向の合力が作用する。この合力はすなわちアクチュエータシャフトに曲げ変形を作用させる。
自身が回転せずに往復動のみを行うアクチュエータシャフトは、常に特定部位が高応力になる。一方で、アクチュエータシャフトに組み合わされ、アクチュエータシャフト円周上を回転するアクチュエータ駆動部材(円筒部材34)は、アクチュエータシャフトの軸方向位置によって、適時その回転角度が変わるため、高応力部位が特定されず広範囲に渡る。そこで、常に、高応力にさらされるアクチュエータシャフト側のねじ部(雄ねじ部33)に皮膜処理を施すことで、加工工数を抑制しつつ、強度・耐久性を向上させることができる。
(3) 上記(2)に記載の内燃機関の可変圧縮比機構において、アクチュエータシャフトのねじ部には、アクチュエータシャフト軸方向で膜厚が異なるように皮膜処理が施されている。これによって、アクチュエータシャフトのねじ部への皮膜処理の膜厚をアクチュエータシャフト軸方向で変化させることにより、バックラッシュ量を簡単に調整することができる。また、圧縮比の設定が変化する可変圧縮比機構では、アクチュエータへの負荷荷重の性質が圧縮比の高低で異なるが、圧縮比の高低に応じて変化する負荷荷重の性質に応じた処理をアクチュエータシャフトに施すことが可能となる。
(4) 上記(2)または(3)に記載の内燃機関の可変圧縮比機構は、具体的には、アクチュエータシャフトのねじ部のアクチュエータシャフト軸方向の一端側にアクチュエータ駆動部材が位置するほど圧縮比が相対的に低圧縮比となるものであって、皮膜処理がねじ部の少なくともアクチュエータシャフト軸方向の一端側に施されている。これによって、交番荷重が作用する低圧縮比設定時の異音発生を抑制することができる。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構において、アクチュエータシャフトに施された処理皮膜は、DLC皮膜である。
これによって、潤滑油の性状によらずほぼ一定の摩擦係数を保つことができる。またフリクションを大幅に低減することができるので、アクチュエータシャフトの駆動エネルギを抑制することができる。
(6) 上記(2)〜(5)のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構は、具体的には、アクチュエータシャフトのねじ部は台形ねじである。
(7) 上記(2)〜(5)のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構は、具体的には、アクチュエータシャフトのねじ部はボールねじである。
本発明に係る内燃機関の可変圧縮比機構の基本構成を示す説明図。 本発明に係る内燃機関の可変圧縮比機構における制御軸とアクチュエータシャフトとの連結部分の示す分解斜視図。 アクチュエータシャフトに荷重が作用した際の変形状況の一例をを模式的に示した説明図である。 アクチュエータシャフトに荷重が作用した際のアクチュエータシャフト及び円筒部材の応力分布の一例をを模式的に示した説明図である。 アクチュエータシャフトの雄ねじ部への皮膜処理の例を示す説明図。 図1に対してアクチュエータの配置位置を変更した本発明に係る内燃機関の可変圧縮比機構の変形例を示す説明図。 図1に対してアクチュエータの配置位置を変更した本発明に係る内燃機関の可変圧縮比機構の変形例を示す説明図。
符号の説明
14…ピストン
17…クランクピン
21…ロアリンク
22…アッパーリンク
23…制御軸
25…制御リンク
27…軸部
28…連結部
30…アクチュエータ
32…アクチュエータシャフト
33…雄ねじ部
34…円筒部材
36…雌ねじ部

Claims (7)

  1. ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿ってクランクシャフトと略平行に延びる制御軸と、一端が制御軸に揺動可能に連結され、他端がロアリンクに連結される制御リンクと、アクチュエータシャフトの往復運動を用いて制御軸を回転駆動するアクチュエータと、を有し、制御軸に対する制御リンクの揺動中心を制御軸の回転中心から偏心させ、制御軸の回転に伴う制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変制御する内燃機関の可変圧縮比機構において、
    制御軸に連結されるアクチュエータシャフトには、皮膜処理が施されていることを特徴とする内燃機関の可変圧縮比機構。
  2. アクチュエータは、アクチュエータシャフトと、アクチュエータシャフトに形成されたねじ部に係合してアクチュエータシャフトの円周方向に回転可能なアクチュエータシャフト駆動部材と、有し、アクチュエータシャフト駆動部材を回転駆動させることによってアクチュエータシャフトを往復運動させるものであって、
    アクチュエータシャフトのねじ部に皮膜処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
  3. アクチュエータシャフトのねじ部には、アクチュエータシャフト軸方向で膜厚が異なるように皮膜処理が施されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
  4. 可変圧縮比機構は、アクチュエータシャフトのねじ部のアクチュエータシャフト軸方向の一端側にアクチュエータ駆動部材が位置するほど圧縮比が相対的に低圧縮比となるものであって、皮膜処理がねじ部の少なくともアクチュエータシャフト軸方向の一端側に施されていることを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
  5. アクチュエータシャフトに施された処理皮膜は、DLC皮膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
  6. アクチュエータシャフトのねじ部は台形ねじであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
  7. アクチュエータシャフトのねじ部はボールねじであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比機構。
JP2006072013A 2006-03-16 2006-03-16 内燃機関の可変圧縮比機構 Active JP4714609B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006072013A JP4714609B2 (ja) 2006-03-16 2006-03-16 内燃機関の可変圧縮比機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006072013A JP4714609B2 (ja) 2006-03-16 2006-03-16 内燃機関の可変圧縮比機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007247534A true JP2007247534A (ja) 2007-09-27
JP4714609B2 JP4714609B2 (ja) 2011-06-29

Family

ID=38592091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006072013A Active JP4714609B2 (ja) 2006-03-16 2006-03-16 内燃機関の可変圧縮比機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4714609B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009209690A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Nissan Motor Co Ltd 可変圧縮比内燃機関
WO2016009750A1 (ja) * 2014-07-17 2016-01-21 Smc株式会社 電動アクチュエータ
AT517680A1 (de) * 2015-08-14 2017-03-15 Avl List Gmbh Längenverstellbare pleuelstange

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001248708A (ja) * 2000-03-03 2001-09-14 Nsk Ltd 転動装置
JP2002115571A (ja) * 2000-10-12 2002-04-19 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の可変圧縮比機構
JP2005337967A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Juki Corp 分注機
JP2006177522A (ja) * 2004-12-24 2006-07-06 Kayaba Ind Co Ltd スクリュネジ機構

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001248708A (ja) * 2000-03-03 2001-09-14 Nsk Ltd 転動装置
JP2002115571A (ja) * 2000-10-12 2002-04-19 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の可変圧縮比機構
JP2005337967A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Juki Corp 分注機
JP2006177522A (ja) * 2004-12-24 2006-07-06 Kayaba Ind Co Ltd スクリュネジ機構

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009209690A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Nissan Motor Co Ltd 可変圧縮比内燃機関
WO2016009750A1 (ja) * 2014-07-17 2016-01-21 Smc株式会社 電動アクチュエータ
AT517680A1 (de) * 2015-08-14 2017-03-15 Avl List Gmbh Längenverstellbare pleuelstange
AT517680B1 (de) * 2015-08-14 2017-06-15 Avl List Gmbh Längenverstellbare pleuelstange

Also Published As

Publication number Publication date
JP4714609B2 (ja) 2011-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4882912B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2009041511A5 (ja)
US8881695B2 (en) Variable compression ratio internal combustion engine
JP4714609B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP5810675B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構
US9863311B2 (en) Variable compression ratio internal combustion engine
JP5625986B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構、複リンク式ピストン−クランク機構の制御軸、または複リンク式ピストン−クランク機構の制御軸の製造方法
JP4491426B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP5971424B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構
JP5115643B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2008133788A (ja) 内燃機関の可変圧縮比調整装置
JP5088437B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
US7789061B2 (en) Engine output takeout device
JP4625780B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP5115644B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2009108731A (ja) 可変圧縮比エンジン
JP2007247528A (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP2003090409A (ja) アクチュエータ機構
JP5321148B2 (ja) 複リンク式可変圧縮比内燃機関
JP2010084716A (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP5146582B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2007247537A (ja) 内燃機関の可変圧縮比装置
JP5093394B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP5093393B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP5334782B2 (ja) 内燃機関

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4714609

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350