JP2007244697A - 家具類固定具 - Google Patents

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晴弘 柴田
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Abstract

【課題】家具類を確実かつ安定的に固定できると共に、構造が簡易で経済性に優れた家具類固定具を提供する。
【解決手段】傾斜連結部材40の両端部に1組のベース部材30,30を取り付ける。1組のベース部材30,30は、1組の帯状板材を中間部で曲げ角度の合計が略90度となるように折り曲げて構成されており、それぞれの折曲部31より一端側が家具類20若しくは壁面10への取付け部32、他端側が接続部33とされている。接続部33は、傾斜連結部材40の接続部41と、直角な軸回りの1軸構造により、回動可能に連結されている。家具類20と壁面10の横方向のオフセットを吸収でき、且つ家具類20の前後方向の揺れを防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震が発生したときの家具類の転倒を防止するために、その家具類を背面側の壁面に固定するのに使用される家具類固定具に関する。
地震発生時に人的災害を引き起こす大きな原因は家屋倒壊であるが、家屋倒壊に至らなくてもタンス、食器棚といった背の高い家具類が転倒し、その下敷きになっることによって大きな人的災害が引き起こされることは阪神淡路大震災で立証されている。このため、阪神淡路大震災以来、多くの家具類固定具が考案され、市販されている。
最も簡単な家具類固定具はL型金具である。これは帯状の金属板を中間部で直角に折り曲げることにより構成されており、折り曲げ部の一端側を家具類固定具の上面にネジ止めし、他端側を壁面にネジ止めすることにより、家具類固定具を壁面に固定する。なお、本明細書でいう壁面には壁面から露出した柱、桟、梁などの構造体も含まれる。
L型金具は構造が簡単で安価であるが、家具類の固定強度という点からは大きな問題がある。すなわち、家具類の固定強度は、金具の取付け強度(ネジ止め強度)に依存する。金具のネジ止め強度を家具類の側から見れば、通常、両側部に枠が存在するためこの部分の強度が大きく、この両側部上面に金具をネジ止めすることが望まれる。一方、金具の取付け強度を壁面の側から見れば、柱の通っている部分の強度が大きく、この部分に金具をネジ止めすることが望まれる。他の部分はボードが張ってあるだけであり、この部分に金具をネジ止めしても殆ど取付け強度は期待できない。
しかし、現実の家具配置においては、家具類の両側部分が柱の部分に一致することは稀である。すなわち、両者は横方向にオフセットしているのが普通である。このため、金具のいずれか一方の側のみが柱や枠といった、ネジ止めの効く部分に取付けられ、他方の側はネジ止めの効かないボードの部分に取付けられることになり、結果として金具の取付け強度が低く、家具類が強固に固定されていないのが現状である。
このような柱と枠の横方向のオフセットに起因する問題を解決できる家具類固定具として、直角な2方向に回動する関節部を長手方向2ヶ所に有する多関節構造の固定具は、例えば特許文献1により提示されている。
実公平3−47548号公報
多関節構造の固定具を使用すれば、家具類の枠の部分と壁面の柱の部分が横方向にオフセットしている場合も、両者の間に固定具を強固に取付けることができる。しかし、家具類は通常、壁面に密着してない。殆どの場合、この間には比較的大きな隙間があるのである。多関節構造の固定具の場合、この隙間のために地震発生時に家具類が前後に揺れ動く。なぜなら、二つの関節部で固定具が折れ曲がるからである。それでも、固定具によって前後方向の揺れは制限され、直ぐに転倒に至るといった事態は回避される。
しかし、揺れが続いた場合、或いは揺れが繰り返し続いた場合は、制限されているとは言え、前後方向の揺れのために、ネジ止め部で固定具が外れるとか関節部が破損するといった問題が生じる。すなわち、家具類が壁面から離れている場合、特にその離間距離が大きい場合、多関節構造の固定具は家具類の前後方向の揺れを完全に抑えることができず、その結果として必ずしも十分な転倒防機能を発揮するとは言い難いのである。チェーンのような変形自在な固定具の場合も同じ問題がある。
加えて、多関節構造の固定具は、関節部の構造が複雑になるため、コストアップを避け得ないという問題もある。
なお、家具類が壁面から大きく離れている場合、簡易なL型金具では寸法が不足し、固定すらできない可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みて創案されたものであり、家具類と壁面の横方向のオフセットを吸収できて両者に強固に取付けできるのは勿論のこと、家具類が壁面に密着しない場合、家具類が壁面から大きく離れている場合も前後方向の揺れを確実に防止でき、これらにより家具類を確実かつ安定的に固定できると共に、構造が簡易で経済性に優れた家具類固定具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る家具類固定具は、家具類を背面側の壁面に固定するのに使用される家具類固定具であって、1組の帯状板材を中間部で曲げ角度の合計が略90度となるように折り曲げて構成され、それぞれの折曲部より一端側が家具類若しくは壁面への取付け部とされ、他端側が接続部とされた1組のベース部材と、1組のベース部材を連結するべくその間に設けられた帯状部材からなり、両端部が1組のベース部材の各接続部に当該接続部に直角な軸回りに回動自在に接続された傾斜連結部材とを具備している。
本発明に係る家具類固定具においては、2ヶ所の回動接続部における1組のベース部材の回動の組合せにより、家具類と壁面の横方向のオフセットが吸収される。2ヶ所の回動接続部は、1組のベース部材の各接続部に直角な軸回りに回動自在な1軸構造であるために、家具類が壁面から離れている場合も、1組のベース部材の各取付け部が対象物に回転不能に取付けられている限り、家具類の方向の揺れを防止することができる。1軸構造の回動接続部は構造が簡単でコストアップを回避できる。
傾斜連結部材の両端部を1組のベース部材の各接続部に回動可能に接続する構造としては、両方に円形開口部を設け、一方の開口部の内周縁部が他方の開口部の内周縁部に回動可能にかしめられた環状かしめ構造が強度的、コスト的に好ましい。
傾斜連結部材については、スライド構造等による長さ調節可能な構成が好ましい。
1組のベース部材に関しては、少なくとも一方の取付け部が、隣接して配置された2つの家具に跨がってそれぞれの上面に固定される幅広構造が好ましい。この構造により、隣接する同じ高さの2つの家具類の両側縁部を一つの固定具で壁面に固定することができる。また、それら2つの家具類同士を連結することができる。
本発明に係る家具類固定具は、1組の帯状板材を中間部で曲げ角度の合計が略90度となるように折り曲げて構成された1組のベース部材を傾斜連結部材の両端部に回動可能に連結し、かつ各連結部を、1組のベース部材の接続部に直角な軸回りに回動自在な1軸構造としたことにより、家具類と壁面の横方向のオフセットを吸収でき、家具類及び壁面のいずれに対してもねじ込みが効く場所に強固に取付けることができる。また、家具類が壁面から離れている場合も、家具類が前後方向に揺れないように固定することできる。これらにより、大きな地震が起こった場合も又、揺れが長く続いたり繰り返された場合も、家具類の転倒を確実に防止することができる。しかも、回動連結部の1軸で簡単なために経済性に優れる。更に、傾斜連結部材の使用により、家具類が壁面から大きく離れている場合も両者を連結することができ、家具類と壁面の横方向のオフセットを吸収できることと合わせ、汎用性にも優れる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る家具類固定具の使用状態を示す斜視図、図2は同家具類固定具の別の使用状態を示す斜視図、図3は同家具類固定具の正面図、図4は同家具類固定具の側面図である。
本実施形態に係る家具類固定具は、図1及び図2に示すように、垂直な壁面10に沿って置かれた各種タンス、食器棚といった家具類20をその壁面10に固定するのに使用される。この家具類固定具は、図1〜図4に示すように、両端側に設けられた1組のベース部材30,30とこれらの間に設けられた傾斜連結部材40とを備えている。
1組のベース部材30,30は同じ構造であって、剛性のある帯状の金属板(例えば長さ約50mm、幅15〜30mm程度、厚さ約1.6mmの鋼板)を中間部で45度(開き角度で135度に)折り曲げることによって構成されており、その折曲部31の一端側は壁面10や家具類20との取付け部32、他端側は傾斜連結部材40との接続部33である。
各ベース部材30の両端縁は安全のために円弧状に形成されており、折曲部31は取付け部32の長さが接続部33の長さの1.5〜2倍程度となるところに位置している。取付け部32にはネジ止めのための2つのネジ孔34,34が長手方向に所定の間隔をあけて設けられている。接続部33には傾斜連結部材40とのかしめ結合のために円形の開口部35が設けられている。
傾斜連結部材40も、ベース部材30,30と同様に、剛性のある帯状の金属板(例えば長さ約100mm、幅15〜30mm程度、厚さ約1.6mmの鋼板)からなり、それらの両端部はベース部材30,30との接続部41,41である。接続部41,41の端縁はベース部材30の両端縁に対応する円弧状に形成されている。各接続部41は対応するベース部材30の接続部33の表面側(ベース部材30の折曲側)に重ねられており、該接続部33とは「環状かしめ」により、接続部41,33に直角な直線回りに回動可能に結合されている。
この「環状かしめ」のために、接続部41には前記接続部33の開口部35より小さい内径の円形の開口部が設けられており、この開口部の周囲が、裏面側へ突出する円筒状に形成されている。そして、この円筒部42が接続部33の開口部35を回動可能に貫通すると共に、円筒部42の裏面側へ突出する部分が外周側へフランジ状に押し広げられており、そのフランジ部43により、接続部41,33はこれらに直角な直線回りに回動可能に結合されている。
傾斜連結部材40の両端の接続部41,41に挟まれた本体部分44には、曲げ強度、ねじれ強度等を高めるために、両側一対のリブ部45,45が設けられている。リブ部45,45は、本体部分44の両側の縁部を表面側へ直角に立ち上げることにより形成されている。なお両端の接続部41,41は、接続部33,33のスムーズな回動のために、円筒部42及びフランジ部43を除き平坦になっている。
次に、本実施形態に係る家具類固定具の使用方法及び機能について説明する。
本実施形態に係る家具類固定具では、傾斜連結部材40の両端部の接続部で傾斜連結部材40にベース部材30,30の接続部33,33が、直角な軸回りに回動可能な1軸関節により連結されている。これらの2ヶ所の接続部における回動の組合せにより、一方のベース部材30の取付け部32は垂直状態、他方のベース部材30の取付け部32は水平状態を維持しつつ、ベース部材30,30は左右にオフセットする(図3参照)。
固定すべき家具類20は両側部が強度的に強く、一方、背面側の壁面10は柱11が存在するところが強度的に強い。柱11が存在しないボード12にネジ止めが効かないのは周知のとおりである。このため、家具類20の両側部上面と柱11を家具類固定具で連結することが理想的であるが、家具類20の両側部の真後ろに柱11が存在することは少なく、通常は柱11が左右いずれかにオフセットしている。
このような場合、本実施形態に係る家具類固定具では、2ヶ所の1軸構造の関節部における回動操作の組合せにより、一方のベース部材30の取付け部32を水平状態、他方のベース部材30の取付け部32を垂直状態に維持しつつ、ベース部材30,30を左右にオフセットすることができる。このため、水平な取付け部32を家具類20の側縁部上面にネジ止めし、垂直な取付け部32を左右にオフセットした柱11のある部分にネジ止めすることができる。
すなわち、2ヶ所の関節部が1軸構造で直角な軸回りの回動動作しか行わないため、両側の取付け部32,32が回動しないように複数箇所でネジ止めされている限り、取付け部32,32の距離は変わらず、家具類20は壁面10に対して確実に固定され、地震のときも前後方向の揺れが阻止される。
加えて、本実施形態に係る家具類固定具では、2ヶ所の関節部が環状かしめ構造になっている。環状かしめ構造は、環状スライド部の半径が大きいかめに、リベット等よる軸カシメ構造と比べて捩じりに対する強度が高く、これも家具類20の揺れ防止に寄与している。
これに加え、家具類20は壁面10から離れて設置されているのが通例であり、その離反距離が大きい場合も少なくない。これに対して、本実施形態に係る家具類固定具では、傾斜連結部材40が使用され、取付け部32,32の距離が大である。このため、家具類20が壁面10から離れている場合も両者を連結することができる。また、ベース部材30,30のオフセット量が大きくなるにしたがって取付け部32,32は接近するが、傾斜連結部材40の使用により取付け部32,32の距離が本質的に大きいために、ベース部材30,30のオフセット量が大きくなった場合も家具類20を壁面10に固定することができる。
図5は本発明の別の実施形態に係る家具類固定具の使用状態を示す斜視図である。
本実施形態に係る家具類固定具では、一方のベース部材30の取付け部32が接続部33より幅広に形成されており、その幅広の取付け部32に2つのネジ孔34,34が2列に設けられている。幅広の取付け部32にネジ孔34,34を2列に設けたことにより、横に並んだ2つの家具類20,20に跨がってその広幅の取付け部32をネジ止めすることができる。これにより、横に並んだ2つの家具類20,20の隣接する側縁部を1つの家具類固定具で壁面10に固定することができ、家具類固定具の使用個数を減らすことができる。
図6は本発明の更に別の実施形態に係る家具類固定具の正面図、図7は同家具類固定具の側面図である。本実施形態に係る家具類固定具では、2つのベース部材30,30を繋ぐ傾斜連結部材40が長さ調節可能に構成されている。
具体的には、傾斜連結部材40が長手方向にスライド自在に組み合わされた2つの短冊状部材46,47からなり、任意のスライド位置に固定するために、一方の短冊状部材46に長手方向の長孔48が設けられると共に、他方の短冊状部材47の端部にネジ孔が設けられ、任意のスライド位置で短冊状部材46,47がボルト49,49により固定される。
傾斜連結部材40の長さ調節可能であれば、ベース部材30,30のオフセット量が大きい場合、壁面10から家具類20が大きく離れている場合、両者が組み合わさっている場合も、傾斜連結部材40を長くすることにより、家具類20を壁面10に固定することができる。また、ベース部材30,30のオフセット量が小さい場合、壁面10から家具類20が離れていない場合は、逆に傾斜連結部材40を短くすることにより、目立たずに家具類固定具を取付けることができ、傾斜連結部材40、ひいては家具類固定具の機械的強度も高めることができる。
傾斜連結部材40の長さ調節が可能な構造と、家具類固定具の一方のベース部材30を広幅に形成して、隣接する家具類20,20の間で家具類固定具を共用する構造を組み合わせることも当然可能である。
上述の実施形態では、ベース部材30,30の折り曲げ角度はいずれも45度とされているが、30度と60度というように合計で90度になれば均等である必要はない。ただベース部材30,30の折り曲げ角度が不均等になると、傾斜連結部材40の傾斜角度が45度から離れ使用性が低下するので、均等もしくはこれに近い角度配分が好ましい。
本発明の一実施形態に係る家具類固定具の使用状態を示す斜視図である。 同家具類固定具の別の使用状態を示す斜視図である。 同家具類固定具の正面図である。 同家具類固定具の側面図である。 本発明の別の実施形態に係る家具類固定具の使用状態を示す斜視図である。 本発明の更に別の実施形態に係る家具類固定具の正面図である。 同家具類固定具の側面図である。
符号の説明
10 壁面
11 柱
12 ボード
20 家具類
30 ベース部材
31 折曲部
32 取付け部
33 接続部
40 傾斜連結部材
41 接続部
45 本体部

Claims (4)

  1. 家具類を背面側の壁面に固定するのに使用される家具類固定具であって、1組の帯状板材を中間部で曲げ角度の合計が略90度となるように折り曲げて構成され、それぞれの折曲部より一端側が家具類若しくは壁面への取付け部とされ、他端側が接続部とされた1組のベース部材と、1組のベース部材を連結するべくその間に設けられた帯状部材からなり、両端部が1組のベース部材の各接続部に当該接続部に直角な軸回りに回動自在に接続された傾斜連結部材とを具備する家具類固定具。
  2. 請求項1に記載の家具類固定具において、傾斜連結部材の両端部を1組のベース部材の各接続部に接続する構造として、両方に円形開口部を設け、一方の開口部の内周縁部が他方の開口部の内周縁部に回動可能にかしめられた環状かしめ構造が採用されている家具類固定具。
  3. 請求項1に記載の家具類固定具において、傾斜連結部材が長さ調節可能に構成されている家具類固定具。
  4. 請求項1に記載の家具類固定具において、1組のベース部材の少なくとも一方の取付け部が、隣接して配置された2つの家具に跨がってそれぞれの上面に固定されるように幅広に構成されている家具類固定具。
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