JP2007242071A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】微粒子磁性粉末を高いレベルで混合分散し、高記録密度特性に優れた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体の一方の主面に、磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性粉末が予め表面処理剤を溶解または一部溶解させた超臨界流体中で表面処理されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気抵抗型の再生ヘッド(MRヘッド)を用いる磁気記録再生システムに好適な高記録密度特性に優れた塗布型の磁気記録媒体に関する。
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化にともない、1巻当たり数百GBの記録容量のものが商品化されている。また、今後1TBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
高記録容量化のための手段として、記録再生装置からのアプローチでは,記録信号の短波長化やトラックピッチの狭幅化が用いられるが、これにより磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られるMRヘッドを使用することが主流となってきている。
媒体からのアプローチでは、磁性粉末の微粒子化とともに、磁気特性の改善がはかられており、従来は、オーディオ用や家庭用のビデオテープに使用されていた強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸化鉄、酸化クロムなどの磁性粉末が主流であったが、現在では、コンピュータ用テープとして、粒子サイズが25〜65nm程度の針状の強磁性鉄系金属粉末が提案されている。
針状磁性粉末は、形状磁気異方性により磁気特性を発現させているため、粒子サイズが減少すると保磁力が低下し短波長記録特性が低下する傾向があるが、結晶磁気異方性により磁気特性を発現する板状や粒状の粒子サイズの小さな、バリウムフェライト磁性粉末、窒化鉄磁性粉末を用いた磁気記録媒体も提案されている(特許文献1、特許文献2など)。
しかし、これらの微粒子磁性粉末を使用するにしても、結合剤とともに磁性粉末を十分分散させなければ、低ノイズの磁気記録媒体が得られないため、媒体製造技術からのアプローチとして各種の磁性粉末の混合、分散、表面処理技術が提案されている(特許文献3、特許文献4など)。
特開2004-30828号公報 特開2004−273094号公報 特開平3−17827号公報 特開2002−275504号公報
しかしながら、高密度磁気記録媒体を製造するにあたり、上記のような従来公知の技術では、微粒子磁性粉末を高いレベルで混合分散し、充填度の高い磁性層を形成するのは困難であった。そのため、所望の平滑性、充填性、磁気特性を有する磁性層を形成することができず、高記録密度特性を満足させるまでには至っていなかった。
本発明は、上記課題を解決すべく、なされたものであり、微粒子磁性粉末を高いレベルで混合分散し、高記録密度特性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的としている。
本発明者らは、微粒子磁性粉末の分散方法について、鋭意検討した結果、下記の構成の表面処理を行えば、上記目的を達成できることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、非磁性支持体の一方の主面に、磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性粉末が予め表面処理剤を溶解または一部溶解させた超臨界流体中で表面処理されることを特徴とする。
微粒子磁性粉末を予め表面処理剤を溶解または一部溶解させた超臨界流体中で表面処理するので、過不足のない均一な表面処理が可能となる。その結果、表面処理された磁性粉末は、結合剤樹脂による分散が優れ、磁性粉末の分散の良好な磁性塗料が得られ、この塗料を用いて得られた磁性塗膜は、高充填で平滑な塗膜を形成でき、高記録密度特性に優れた磁気記録媒体が得られる。
本発明で使用される超臨界流体とは、純物質固有の臨界温度(Tc)を越えた状態にある流体をいう。この超臨界流体は、いわゆる気液平衡が存在しないため、圧力のみによる密度の連続変化が可能である。そのため、臨界点近傍では微少な圧力変化で、密度の関数として表すことのできる粘度、拡散係数、溶解度、固体に対する濡れ性等の諸物性を激変させることが可能となる。
超臨界流体を形成する物質としては、磁性粉末および表面処理剤と化学反応を起こさず、表面処理剤の分解温度よりも低温で超臨界状態となる物質が好ましい。具体的には、無極性物質または低極性物質が好ましく、例えば、二酸化炭素、エタン、ヘキサン、メタノール、トルエンなどの物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら無極性物質または低極性物質の純物質を超臨界流体とする際の条件は既に知られており、例えば、二酸化炭素であれば、304.0K、7.38MPa、トルエンであれば、591.8K、4.11MPaの条件となる。これらの物質は、単体で使用しても、2種以上の物質を混合物として使用してもよいが、より穏和な温度と圧力条件で超臨界流体を形成するものを使用することが工業的に有利であり、常温で気体のものが、後処理が容易であることから好ましい。これらの観点から、超臨界流体として使用する物質としては、二酸化炭素が好ましい。
表面処理を行う際に、超臨界流体と共に使用する共溶剤として、表面処理剤を溶解させる極性溶剤(メタノール、エタノール)等を併用してもよい。
表面処理剤としては、従来公知のものを用いることができるが、リン酸系表面処理剤、カルボン酸系表面処理剤、アミン系表面処理剤、キレート剤、各種シランカップリング剤などが好適なものとして用いられる。リン酸系表面処理剤としては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチルなどのアルキルリン酸エステル類、フエニルホスホン酸、モノオクチルフエニルホスホン酸などの芳香族リン酸類などが挙げられ、市販品として、東邦化学製の「GARFAC RS410」、城北化学工業製の「JP−502」、「JP−504」、「JP−508」などを用いることができる。また、カルボン酸系表面処理剤としては、安息香酸、フタル酸、テトラカルボキシルナフタレン、ジカルボキシルナフタレン、炭素数12〜22の脂肪酸などが挙げられる。アミン系表面処理剤としては炭素数8〜22の脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等がある。さらに、キレート剤としては、1,10−フエナントロリン、EDTA、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、グリシン、ジチアゾン、ニトリロ三酢酸などが挙げられる。以上のような低分子系の表面処理剤の他にも、リン酸、カルボン酸、ホスホン酸、アミンなどの極性官能基を有する高分子系の各種表面処理剤、樹脂類などを用いることができる。これら表面処理剤の使用量としては、磁性粉末100重量部あたり、0.05〜5重量部となる割合とするのが好ましい。前述の超臨界流体物質と表面処理剤との組み合わせは、表面処理剤が超臨界流体物質に全部溶解することがより好ましいが、一部溶解する場合であっても、本発明の効果は得られるので一部溶解の組み合わせであっても構わない。
本発明で用いる磁性粉の表面処理手法の好ましい態様は、以下の通りである。
本発明の表面処理方法には、耐圧の反応容器を使用する。反応容器の温度、圧力は、用いる物質の超臨界流体となる条件を満たすものであればよい。用いる物質が二酸化炭素であれば、反応容器の温度は臨界温度である31℃以上であればよく、より好ましくは35〜80℃である。また、反応容器の圧力は、臨界圧力である7.38MPa以上であればよく、10MPa〜40MPaとすると磁性粉末表面への濡れ性がより向上して好ましい。40MPa以上の圧力では、表面処理の効果が飽和に達するだけではなく、反応容器の強度を著しく大きくしなければならず、コストが高くなる。
処理時間としては、1分〜300分とすることが好ましく、5分〜60分がさらに好ましい。表面処理は、所定量の磁性粉末と表面処理剤と反応容器に入れた後、密閉を保持しながら、二酸化炭素を注入し、所定の温度、圧力にて所定時間表面処理を行えばよい。処理は、静置で行ってもよいが、容器内の攪拌、容器の回転等を行い内部を流動させながら表面処理を行うと表面処理効率が向上するので好ましい。
また、容器内に分散用メディア(ガラス、セラミック、金属などのビーズやボール)を磁性粉末や表面処理剤とともに投入し、容器内の攪拌、容器の回転等を行い分散用メディアとともに磁性粉末を分散すると、さらに表面処理効率が向上し好ましい。分散用メディアを使用せず、反応系内に、流体を高圧で対向衝突させたり、固定面に衝突させる経路を設けて流体を循環させても、同様の効果が得られるので好ましい。
上述の表面処理法により高記録密度特性に優れた磁気記録媒体が得られる理由としては、超臨界流体中では、濡れ性、拡散性に優れるため、超臨界流体中で表面処理を行うことにより、従来手法では到達しえなかった磁性粉同士の狭い間隙にまで前記流体に溶解した表面処理剤が行き渡り均一な表面改質が可能となることが挙げられる。これにより、磁性粉とバインダ樹脂との間の親和性が強くなり、粒子同士の独立性が向上し、微細分散が可能となるものと考えられる。また磁性粉とバインダ樹脂との親和性も高まることで分散安定性にも好影響をあたえる。
その結果、磁界配向性、平滑性の良好な磁気記録媒体が得られる。
上述した磁性粉の表面処理手法を行う際には、予め磁性粉が解砕処理されていること、もしくは処理中に解砕処理が成されていることが好ましい。解砕処理としては、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等がある。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等がある。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
微粒子磁性粉を塗膜中に高充填化しつつ高分散させるためには、下記のような工程で塗料製造を行うことが好ましい。
前記表面処理手法により得られた磁性粉にバインダ樹脂(バインダ樹脂)、溶剤を添加し、混練機(ニーダ)により固形分濃度75〜90重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が12〜30重量%で混練を行う。混練機としては、公知のバッチ式混練機、バッチ式加圧混練機、連続式2軸混練機等が挙げられる。混練工程の後工程としては、連続式2軸混練機かまたは他の希釈装置を用いて、少なくとも1回以上のバインダ樹脂溶液および/または溶媒を加えて混練希釈する工程、サンドミル等のメディア型分散機による分散工程などにより塗料分散を行う。その後溶媒、潤滑剤、架橋剤、を加えて希釈・配合・ろ過を行う。さらに高圧噴射衝突型分散機により再分散処理する工程を行い、必要に応じて超音波分散機などを塗布直前に行うことにより磁性塗料とすることが好ましい。なお高圧衝突型分散機による再分散処理については、メディア型分散機による分散工程の後であれば、前述したタイミングに限らずどのタイミングで用いてもよい。
次に、本発明の磁気テープの構成要素についてさらに詳述する。
〈非磁性支持体〉
非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常、2〜8μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜6μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、8μmを越えると磁気テープ全厚が厚くなり、磁気テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
非磁性支持体の長手方向のヤング率は6GPa(612kg/mm )以上が好ましく、8GPa(816kg/mm )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が6GPa(612kg/mm )以上がよいのは、長手方向のヤング率6GPa(612kg/mm )未満では、磁気テープ走行が不安定になるためである。また、ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率(MD)/幅方向のヤング率(TD)は、0.60〜0.80の特異的範囲が好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.60〜0.80の特異的範囲がよいのは、0.60未満または0.80を越えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.70付近で最小になる。さらに、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.70〜1.30のが好ましい。このような特性を満足する非磁性支持体には二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
〈下塗層〉
後述するように、厚み損失を少なくしたり、短波長記録時の分解能を大きくするためには、磁性層の厚さを0.1μm以下にすることが好ましい。厚さが0.1μm以下で平滑な磁性層を安定して塗布し、かつ磁性層の耐久性を確保するために、非磁性の下塗層を設けることが好ましい。
下塗層の厚さは0.2μm以上、1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらにより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果、耐久性向上効果が小さいためである。1.0μmを越えると磁気テープの全厚が厚くなり過ぎてテープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
下塗層には、膜厚の均一性、表面平滑性の確保、剛性、寸法安定性の制御のために、粒子径が10nm〜100nm(より好ましくは10nm〜49nm)の非磁性板状粒子を添加する。非磁性板状粒子の成分は、酸化アルミニウムに限らず、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。導電性改良の目的で、既述した製法で作製した板状ITO(インジウム、スズ複合酸化物)粒子を添加する。下塗層には、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、板状ITO粒子を、15〜95重量%となるように添加する。10nm〜100nmの板状のグラファイトのようなカーボンを板状のITOの代わりに使用してもよい。必要に応じてカーボンブラックを添加してもよい。カーボンブラックは粒子径が10nm〜100nmのものが好ましい。また、さらに、従来公知の酸化鉄、酸化アルミニウムなどの酸化物粒子を添加してもよい。その場合、できるだけ微粒子(例えば10nm〜100nm)のものを用いるのが好ましい。なお、下塗層に使用するバインダ樹脂は、磁性層と同様のものが用いられる。
〈潤滑剤〉
下塗層には磁性層と下塗層に含まれる全粉体粉に対して0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われるおそれがあるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。磁性層における脂肪酸の添加量としては、下塗層と磁性層の間で脂肪酸が転移するので、特に限定されるものではなく、磁性層と下塗層を合わせた脂肪酸の添加量を上記の量とすればよい。下塗層に脂肪酸を添加すれば、必ずしも磁性層に脂肪酸を添加しなくてもよい。
磁性層には磁性粉末に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起りやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生するおそれがあるからである。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとヘッドに貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
〈表面処理剤〉
下塗層や磁性層に含まれる非磁性粉末やカーボンブラック、磁性粉末の表面処理剤としては、リン酸系表面処理剤、カルボン酸系表面処理剤、アミン系表面処理剤、キレート剤、各種シランカップリング剤などが好適なものとして用いられる。これらの表面処理剤は、混練前処理工程、混練工程や初期分散工程の後に配合するのが好ましい。リン酸系表面処理剤としては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチルなどのアルキルリン酸エステル類、フエニルホスホン酸、モノオクチルフエニルホスホン酸などの芳香族リン酸類などが挙げられ、市販品として、東邦化学製の「GARFAC RS410」、城北化学工業製の「JP−502」、「JP−504」、「JP−508」などを用いることができる。また、カルボン酸系表面処理剤としては、安息香酸、フタル酸、テトラカルボキシルナフタレン、ジカルボキシルナフタレン、炭素数12〜22の脂肪酸などが挙げられる。アミン系表面処理剤としては炭素数8〜22の脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等がある。さらに、キレート剤としては、1,10−フエナントロリン、EDTA、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、グリシン、ジチアゾン、ニトリロ三酢酸などが挙げられる。これら表面処理剤の使用量としては、磁性粉100重量部あたり、0.5〜5重量部となる割合とするのが好ましい。
分子量としては、1000以下のものが好ましくさらに好ましくは500以下のものである。
表面処理剤は、いずれの層においても結合剤100重量部に対して通常、0.5〜20重量部の範囲で添加される。
〈磁性層〉
磁性層の厚さは、0.01μm以上、0.1μm未満が好ましく、0.06μm以下がより好ましく、0.04μm以下がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01μm未満では得られる出力が小さいのと、均一な磁性層を塗布するのが困難であり、0.1μmを超えると短波長記録に対する分解能が低下するためである。
磁性層中に含ませる磁性粉末の平均粒子径としては、10〜40nmの範囲にあるのが好ましく、15〜30nmの範囲がより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満では、粒子の表面エネルギーが大きくなって分散が困難になり、平均粒子径が40nmを越えるとノイズが大きくなるためである。磁性粉末としては、強磁性鉄系金属磁性粉末や窒化鉄磁性粉末,板状の六方晶Ba−フエライト磁性粉等末が好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉末には、Mn 、Zn 、Ni 、Cu 、Co などの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co 、Ni が好ましく、とくにCo は飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50 原子%とするのが好ましく、10〜30 原子%とするのがより好ましい。また、イツトリウム、セリウム、イツテルビウム、セシウム、プラセオジウム、サマリウム、ランタン、ユ―ロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1 種の希土類元素を含ませても良い。その中でも、セリウム、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イツトリウムを用いたときに、高い保磁力が得られ好ましい。希土類元素の量は鉄に対して0.2〜20 原子%、好ましくは0.3〜15 原子%、より好ましくは0.5〜10 原子%である。
窒化鉄磁性粉末は,公知のものを用いることができ,形状は針状の他に球状や立方体形状などの不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉末としての要求特性をクリアするためには,限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である(特許文献2)。
強磁性鉄系金属磁性粉末および窒化鉄磁性粉末の保磁力は、160〜320kA/mが好ましく、200〜300kA/mがより好ましい。飽和磁化量は、60〜200A・m/kg(60〜200emu/g)が好ましく、80〜180A・m/kg(80〜180emu/g)がより好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉末および窒化鉄磁性粉末の平均粒子径としては、10〜40nmが好ましく、15〜30nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になったり、平均粒子径が40nmより大きいと、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、強磁性鉄系金属磁性粉末および窒化鉄磁性粉末の磁性粉末のBET比表面積は、35m/g以上が好ましく、40m/g以上がより好ましく、50m/g以上が最も好ましい。通常100m/g以下である。
また、前記強磁性鉄系金属磁性粉末、窒化鉄磁性粉末をAl,Si,P,Y,Zrまたは、これらの酸化物で表面処理して使用してもかまわない。
六方晶Ba−フエライト磁性粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜60A・m/kg(40〜60emu/g)が好ましい。また,粒径(板面方向の大きさ)は10〜30nmが好ましく、10〜25nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。粒径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、30nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、板状比(板径/板厚)は3未満が好ましく、2以下がより好ましい。また、六方晶Ba−フエライト磁性粉のBET比表面積は、1〜100m/gが好ましく用いられる。
なお、これらの強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1273.3kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
また、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。
ところで長手記録の本質的な課題である、記録および再生減磁による出力低下の影響を低減するには、上層磁性層の厚さを薄くすることが有効であるが、長軸方向の粒子サイズが40〜100nm程度の針状の磁性粉未を使用する限り、上層磁性層の厚さにも限界が生じる。なぜなら、磁界配向により、針状粒子は、平均的に針状方向が媒体の面内方向に並行になるように並ぶが、この配向には分布があるため、針状方向が媒体面に垂直になるように分布した粒子も存在する。このような粒子が存在すると、針状の磁性粉未が上層磁性層表面から突き出て、媒体の表面平滑性を損ない、ノイズを著しく増大させる原因となる。この問題は、上層磁性層の厚さが薄くなるほど顕著になるため、針状の磁性粉未を使用する限り、上層磁性層の厚さが0.09μm程度以下で表面の平滑な塗膜を作製することは難しいのが現状である。
これに対して、粒子形状が球形に近い略粒状の磁性粉末を用いると、針状の磁性粉未のように上層磁性層の表面から粒子が突き出るような現象は生じず、さらに本発明にある、超臨界二酸化炭素流体を利用した表面処理方法を利用すれば微細分散ができ、表面平滑性が極めて良好な上層磁性層を形成できる。また、上層磁性層の厚さが薄くなると、上層磁性層からの磁束が小さくなり、その結果、出力が低下する問題を生じるが、粒子形状が略粒状の磁性粉末を用いると、針状の磁性粉未に比べて、磁性粉未を上層磁性層中に高充填しやすく、その結果、高磁束密度が得られやすいという大きな利点も有している。
さらに、飽和磁化についていえば、金属または合金磁性粉未は、一般に、粒子サイズが小さくなると比表面積が大きくなって、飽和磁化に寄与しない表面酸化層の割合が大きくなり、飽和磁化に寄与する磁性体部分が小さくなる。つまり、粒子サイズが小さくなるにしたがい、飽和磁化も小さくなる。このような飽和磁化の減少も、使用可能な粒子サイズの限界を決める要因のひとつとなっている。これに対して、粒子形状が略粒状の磁性粉末を用いると、粒子形状が略粒状であるため、同一体積で比較した場合、比表面積は最小となり、微粒子であるにもかかわらず、高い飽和磁化を維持することが可能となるのである。
以上のように、粒子形状が略粒状の磁性粉末を用いると、飽和磁化、保磁力、粒子サイズ、粒子形状のすべてが薄層の上層磁性層を得るのに本質的に適しており、さらに超臨界二酸化炭素流体を利用した上記磁性粉への表面処理が微細分散に極めて有効に働き、磁気記録媒体を作製したときに、すぐれた記録再生特性が得られるので好ましい。
なお、上層磁性層(情報記録層)のテープ長手方向の残留磁束密度と磁性層厚さの積は、0.0018〜0.05μTmが好ましく、0.0036〜0.05μTmがより好ましく、0.004〜0.05μTmがさらに好ましい。残留磁束密度と磁性層厚さの積が、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.05μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすくなる。このような磁性層を有する磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、加えて、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、しかも再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
前述したように磁性粉の配向工程での充填構造の乱れという観点では、磁性粉末の形状としては略粒状のものが好ましいが、本発明で用いられる磁性粉末は微粒子であり、強磁性であるため、磁性粉末の粒子一個一個を独立した状態にまで解しきることが困難であるばかりか、解された粒子の再凝集が極めて起こりやすいという問題に直面した。そのため従来技術では本発明にある略粒状磁性粉の特性を活かす媒体を得ることはできなかった。
そこで本発明者らは、略粒状磁性粉の一個一個を独立させるまで微細分散し、再凝集を抑制する手段について鋭意検討を行った結果、本磁性粉を予め超臨界二酸化炭素流体を利用した表面処理方法により均一な表面処理を施すことにより、解決できることを見出した。
すなわち、上記のようなプロセスを経ることで本発明にある略粒状磁性粉末の分散性や分散安定性を向上させることが可能となり、媒体の平滑性の向上を図れるだけではなく配向性や充填性にも好影響を与え、結果として出力の向上はもとより媒体ノイズの低減が可能となる。
磁性層(下塗層の場合も同様)に用いるバインダ樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わせものが挙げられる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
官能基として、−COOH、−SO M、−OSO M、−P=O(OM) 、−O−P=O(OM) [これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、−OH、−NR’ R’’、−N+ R’’’ R’’’’R’’’’’ [これらの式中、R’ 、R’’、R’’’ 、R’’’’、R’’’’’ は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等のバインダ樹脂が使用される。このようなバインダ樹脂を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO M基どうしの組み合わせが好ましい。
これらのバインダ樹脂は、磁性粉100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、バインダ樹脂として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
これらのバインダ樹脂とともに、バインダ樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部の割合で用いられる。より好ましくは5〜20重量部である。しかし、下塗層の上にウエット・オン・ウエットで磁性層が塗布される場合には下塗塗料からある程度のポリイソシアネートが拡散供給されるので、ポリイソシアネートを併用しなくても磁性層はある程度架橋される。
また、磁性層には、粒子径(数平均粒子径)が10nm〜100nmの非磁性板状粒子を添加してもよい。また、必要に応じて、従来公知の研磨材を添加することができるが、これらの研磨材としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合せで使用される。研磨材の粒径としては、厚みが0.01〜0.09μmと薄い磁性層では、通常粒子径(数平均粒子径)で10nm〜150nmとすることが好ましい。添加量は磁性粉末に対して5〜20重量%が好ましい。より好ましくは8〜18重量%である。
さらに、本発明の磁性層には導電性向上のために、既述した製法で作製した板状ITO粒子、板状カーボンブラック、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができるが、これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒子径(数平均粒子径)が10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒子径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.5〜4重量%である。
〈バックコート層〉
本発明の磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的としてバックコート層を設けることができる。バックコート層の厚さは0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記録容量が小さくなるためである。カーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、粒子径(数平均粒子径)が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒子径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒子径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒子径が100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、粒子径300〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。中心線平均表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。バックコート層に磁性があると磁気記録層の磁気信号が乱れる場合があるので、通常、バックコート層は非磁性である。
また、バックコート層には、強度、温度・湿度寸法安定性向上等を目的に、先に述べたような粒子径(数平均粒子径)が10nm〜100nmの非磁性板状粒子を添加することができる。非磁性板状粒子の成分は、酸化アルミニウムに限らず、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。導電性改良の目的で、既述した製法で作製した板状ITO(インジウム、スズ複合酸化物)粒子や板状カーボンブラックを添加してもよい。バックコート層には、バックコート層中の全無機粉体の重量を基準にして、板状ITO粒子とカーボンブラックを、その合計量が60〜98重量%となるように添加する。カーボンブラックは粒子径(数平均粒子径)が10nm〜100nmのものが好ましい。また、必要に応じて、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄を添加してもよい。添加量はバックコート層中の全無機粉体の重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
バックコート層には、バインダ樹脂として、前述した磁性層や下塗層に用いる樹脂と同じものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用することが好ましい。バインダ樹脂の含有量は、通常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらにバインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
バックコート層には、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用する。架橋剤の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
〈有機溶剤〉
磁性塗料、下塗塗料、バックコート塗料に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は混合して使用され、さらにトルエンなどと混合して使用される。
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。また、実施例および比較例の平均粒子径は、数平均粒子径を示す。
(実施例1)
《下塗塗料成分》
(1)
・非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm) 76部
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SO Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸 1部
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 1.4部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
《磁性塗料成分》
(1)解砕処理
・磁性粉末(Y−Al−N−Fe) 100部
(Y/Fe:2.0at%、
Al/Fe:10.0at%
N/Fe:11.9at%
σs:103A・m/kg(103emu/g)、
Hc:211.0kA/m(2650Oe)、
平均粒子径:17nm、軸比:1.1)

(2)超臨界二酸化炭素処理
フエニルホスホン酸(PPA) 3.5部
エタノール 8部

(3)混練処理
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 13部
(含有−SO Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 4.5部
(含有−SO Na基:1.0×10-4当量/g)
・粒状アルミナ粉末(平均粒子径:80nm) 10部
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 9部
(4)希釈工程
・パルミチン酸アミド(PA) 2.5部
・ステアリン酸n−ブチル(SB) 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 350部
(5)配合工程
・ポリイソシアネート 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 29部
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗塗料(下塗層用塗料)とした。
これとは別に、上記の磁性塗料の成分において(1)の磁性粉をヘンシェルミキサに投入し、周速25m/秒で10分間攪拌させて解砕させ(解砕処理)、得られた磁性粉とともに(2)を圧力容器に入れたのち、セラミックビーズ(ジルコニアビーズφ5mm)を充填率50%となるように投入後、50℃に保持する。その後、超臨界二酸化炭素を導入し、20MPaまで加圧し、続いて圧力容器を70rpmで60分間回転させながら表面改質処理を行う。その後、圧力容器内を常圧に戻し、乾燥した後、得られた処理磁性粉を(3)とともに加圧ニーダに投入して混練し、さらに(4)の希釈工程成分を加えて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を60分(メディア:ジルコニア 0.5φ、ビーズ充填率80vol%、羽根周速 10m/s )として分散し、これに(5)の配合工程成分を加え攪拌・ろ過後、高圧湿式噴射衝突型分散機にて、オリフィス径 0.2mm、加圧条件を100MPaとして、衝突チャンバーを2回通過させて、再分散処理を行い磁性塗料とした。なお衝突チャンバーのジャケットには5℃の冷却水を10L/minで流すとともに、チャンバー通過後に設置させた熱交換プレート内へも同様の流量で冷却水を流した。
さらに、上記の非磁性塗料成分を攪拌混合し非磁性塗料とした。
上記の下塗塗料を、PEN(厚さ6.0μm、MD=7.1GPa、MD/TD=1.25、帝人デュポン)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダ処理後の磁性層の厚さが0.06μmとなるようにエクストルージョン型コータにて塗布し、磁場配向(N−N対向磁石(398kA/m)+ソレノイドコイル(398kA/m))、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥した後、金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196kN/mの条件で鏡面化処理し、磁気シートを作製した。
(実施例2)
解砕処理をしなかったこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の磁気シートを作製した。
(実施例3)
表面改質処理を回転させずに行ったこと以外は実施例1と同様にして実施例3の磁気シートを作製した。
(実施例4)
表面改質処理時に、エタノールを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の磁気シートを作製した。
(実施例5)
表面改質処理時の圧力を、20MPaから8MPaに変更した以外は実施例1と同様にして実施例5の磁気シートを作製した。
(実施例6)
表面改質処理時の時間を、60分から5分に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の磁気シートを作製した。
(実施例7)
表面改質処理時の反応温度を、50℃から35℃に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の磁気シートを作製した。
(比較例1)
磁性粉の表面改質処理を超臨界二酸化炭素流体中ではなく、従来プロセスにて下記の組成で常温、常圧にて行った以外は、実施例1と同様にして磁性塗料を調整するとともに、これを用いて磁気シートを作製した。
(2)表面改質処理
フエニルホスホン酸(PPA) 3.5部
シクロヘクサノン/メチルエチルケトン 500部
得られた磁気シートの評価の方法は、以下のように行った。
〈磁性層の表面粗さ〉
磁気シートの磁性層をZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとして求めた。
〈分散安定性〉
分散安定性の評価には、前述した重層塗布用として配合した磁性塗料と、配合後3hr放置した塗料とを用いて磁気シートを作成し、得られた磁気シートの表面粗さの変化率を尺度として用いた。
なおここでの表面粗さの変化率は、Ra(放置後)−Ra(3hr放置前))/Ra(エージング前)×100より求めた。
〈C/N測定〉
磁気シートの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気シートから長手方向に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより波長0.2μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また0.2μmの矩形波を書き込んだときに、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。更に両者の比をとってC/Nとし、C、C/Nともにリファレンスとして用いている比較例1の磁気シートの値との相対値を求めた。
〈磁気特性〉
磁気特性は、試料振動型磁束計を使用して、25℃、外部磁場1273.3kA/mで定法に従って測定した値である。測定試料の調整は磁気シートを20枚を張り合わせ、これを直径8mmに打ち抜いて行った。
表1に表面改質条件および得られた磁気シートの評価結果を示した。表から明らかなように、本発明に係る、実施例1〜7で得られた磁気シートは、本発明の対象外である比較例1で得られた磁気シートに比較して、飽和磁束密度(Bm)が大きいことから、磁性粉末の充填性に優れ、角型比(Br/Bm)が大きいことから磁性粉末の配向性に優れていることが分る。また、塗膜の平滑性も優れている。さらに、本発明に係る磁性塗料は配合後の放置による磁性塗膜の平滑性の変化が小さく、磁性塗料の分散安定性が優れていることが分る。以上のように、本発明によれば、磁性粉末の充填性、配向性、平滑性に優れてた磁性層が得られ、短波長記録時にも高いC/Nを有する磁気記録媒体を提供できる。

Figure 2007242071


Claims (1)

  1. 非磁性支持体の一方の主面に、磁性粉末と結合剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性粉末が予め表面処理剤を溶解または一部溶解させた超臨界流体中で表面処理されることを特徴とする磁気記録媒体。

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