JP2007239467A - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンの再始動を検知し、再始動検知時において、この検知に対応して触媒を強制的に加熱する制御を行う。触媒の強制加熱は、再始動検知時における触媒の活性状態を判定して行い、好ましくは、この判定に併せ、排気の流入により低下する再始動後の活性状態を推定により判定して行う。
【選択図】 図6
Description
図1は、本発明の一実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という。)1を適用したハイブリッド車の動力伝達系の構成を示しており、二点鎖線は、要素間の機械的な結合を、点線は、要素間の電気的な結合を示している。この動力伝達系は、機械駆動源としてエンジン1を備えるとともに、電気駆動源として2つのモータジェネレータ2,3を備えており、モータジェネレータ2,3は、いずれも電動機としての機能と、発電機としての機能とを兼ね備えている。エンジン1及びモータジェネレータ2,3により、パラレル型の複合駆動源が構成される。
吸気通路11の導入部には、図示しないエアクリーナが取り付けられており、このエアクリーナにより吸入空気中の粉塵が除去される。吸気通路11には、ターボチャージャ12のコンプレッサ12aが設置されており、コンプレッサ12aにより吸入空気が圧縮されて送り出される。圧縮された吸入空気は、サージタンク13に流入し、マニホールド部で各気筒に分配される。
図3は、始動制御ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、スタートキー62の操作による電源のオンにより起動され、その後所定の時間毎に実行される。
S101では、後述する活性判定フラグFlagが0であるか否かを判定する。このFlagは、通常は0に設定されており、S102以降の処理によりエンジン1の再始動時にNOxトラップ触媒32が既に不活性化しており、又は再始動時には活性状態にあるものの、再始動に伴う排気の流入によりその活性が低下し、不活性化に至ると推測される場合に、1に設定される。Flagが0であるときは、S102へ進み、1であるときは、S107へ進む。
S103では、冷却水温度TWを読み込み、読み込んだTWが、今回の始動が、いわゆる再始動に当たることを判断するための所定の値TW1以上であるか否かを判定する。冷却水温度に代えて前回の機関停止時からの経過時間を採用し、これに基づいて再始動に当たるか否かを判定してもよい。TW1以上であるときは、前回の機関停止時からそれほどの時間が経過しておらず、再始動に当たるものとしてS104へ進む。他方、TW1よりも小さいときは、長期に亘る停止によりエンジン1及び触媒32の冷却が充分に進んだ状態にあるとして、このルーチンを終了する。なお、この場合は、燃料噴射制御ルーチンにおいて、通常の始動増量制御(冷態始動に際し、燃料噴射量の増大によりエンジン1の暖機及び触媒32の活性促進を図る。)が実施される。
S105では、読み込んだTbedが触媒32の活性下限温度を示す所定の値Tbed1以下であるか否かを判定する。Tbed1以下であるときは、S106へ進み、Tbed1よりも大きいときは、図5に示すこのルーチンの活性低下推定部に移行する。なお、Tbed1は、本発明の「第1の温度」に相当するものであり、冷態始動時における通常の始動増量制御に際し、触媒32の活性が完了したことを判断するための活性判定温度として採用される。
S101で活性判定フラグFlagが1であると判定した場合に、S107では、触媒温度Tbedを読み込む。
S108では、読み込んだTbedが先のTbed1よりも大きな所定の値Tbed2以上であるか否かを判定する。Tbed2以上であるときは、S109へ進み、Tbed2よりも小さいときは、このルーチンを終了して活性判定フラグFlagを1に保持し、触媒32の強制加熱を継続させる。
図5に示す活性低下推定部は、NOxトラップ触媒32(の酸化触媒成分)が再始動時には活性状態にあるものの、再始動に伴う排気の流入により冷却されて不活性化するか否かを、推定により判定するためのものである。
この活性低下推定部において、S301では、触媒32の上流における排気管内の温度(以下「排気温度」という。)Texhを読み込む。
S303では、触媒温度Tbedを読み込む。
S305では、以上で算出し又は読み込んだQexh,Qcat,Tbedに基づいて、排気の流入により低下した後の触媒32の温度Testを、次式(1)により算出する。なお、触媒32の重量をWcと、比熱をCcとする。
S306では、算出したTestが所定の値Test1以下であるか否かを判定する。Test1以下であるときは、S307へ進み、Test1よりも大きいときは、再始動後も触媒32の活性状態が維持されるものとして、このルーチンを終了する。所定の値Test1は、先のTbed1とは関連を持たせずに設定することが可能であるが、本実施形態では、これを触媒32の活性下限温度とし、Tbed1と一致させる。
なお、本実施形態では、NOxトラップ触媒32の強制加熱は、触媒32に流入する排気の燃料成分含有量を増大させて、この排気中の燃料を触媒32上で酸化させることにより行う。このため、本実施形態では、機関出力の形成を目的とした通常の燃料噴射とは別に追加の燃料噴射を実施することとし、たとえば、この追加の燃料噴射を通常の燃料噴射よりも遅らせて膨張行程中に行うことで、排気の燃料成分含有量を増大させる。
すなわち、本実施形態では、エンジン1の再始動を検知し、これを検知した再始動検知時において、酸化触媒成分を担持させたNOxトラップ触媒32を強制的に加熱する制御を行うこととしたので、機関停止中に走行風等を受けて冷却された排気が再始動に伴い流入することによる触媒32の活性低下を抑制し、再始動時における排気性能の悪化を抑制することができる。本実施形態では、再始動検知時に触媒32が不活性の状態にあるときに限らず、低温の排気の流入により低下する再始動後の活性状態を推定により判定することとしたので、触媒32の不活性化を確実に回避し、排気性能を良好に維持することができる。図6は、機関停止時(時刻t1)から再始動後に亘る触媒32の入口及び内部における温度Tint(≒Texh),Tbedの変化を示している。機関停止中に入口温度Tintが走行風等の影響により急速に低下するのに対し、内部温度Tbedは、走行風等の影響を受けるものの、触媒32の熱容量が大きいことから比較的に緩慢な低下を示す。このため、内部温度Tbedは、再始動検知時(時刻t2)に高温に保持されることとなるが、再始動後において、再始動に伴う低温の排気の流入により触媒32が冷却されることで、急速に低下する。本実施形態では、再始動検知時に触媒32が不活性の状態にあるときに強制加熱を実施することで、触媒32の活性低下を抑制し、速やかな活性回復を図るとともに、再始動検知時に触媒32が活性状態にあるものの、再始動に伴う低温の排気の流入により不活性の状態に至ると推測されるときに強制加熱を実施することで、触媒32の不活性化を回避することができる。図6において、曲線Aは、強制加熱により触媒32の不活性化が回避された最も好ましい状態を、曲線Bは、一時的に不活性な状態に至るものの、強制加熱により速やかな活性回復がなされた状態を示している。他方、曲線Cは、強制加熱を特に実施せず、暖機の進行に伴い触媒32の活性状態を回復させた場合の状態を示している。
S201では、停止指令を入力したか否かを判定する。入力したときは、S202へ進み、入力していないときは、S101へ進む。停止指令は、HCM41により発せられる。
S203では、HCM41からの始動指令を入力したか否かを判定する。入力したときは、S101へ進み、入力していないときは、このルーチンを終了し、次回の演算周期において、このS202で更に入口温度Tintを読み込み、経過時間との関連のもとで記憶する。
S205では、読み出した一連のTintに基づいて触媒32の温度特性を決定する。この触媒温度特性は、入口温度Tintに対する触媒32の活性状態の変化を示すものであり、ECM51に記憶している特性を検出した実際の入口温度Tintの変化に対応させて補正することにより決定する。走行風が強いときなどの入口温度Tintの低下が急速なときと、この低下が緩慢なときとでは、一定のTintにおける触媒32の活性状態(すなわち、内部温度)に差が生じるからである。
S207では、推定したηが触媒32の性能下限値に当たる所定の値η1以下であるか否かを判定する。η1以下であるときは、S106へ進んで活性判定フラグFlagを1に設定し、η1よりも大きいときは、このルーチンの活性低下推定部に移行する。この活性低下推定部における処理の流れは、図5に示すフローチャートのものと同様であってよい。なお、本実施形態において、所定の値η1は、冷態始動に際して触媒32の活性完了を判断するのに採用される浄化性能値と一致し、このη1が得られる入口温度Tintは、触媒32が冷却される場合(T1:本発明の「第3の温度」に相当する。)と、加熱される場合とで相違する(T1<T2)。触媒32の熱容量の大きさによるものである。図7は、入口温度Tintと触媒32の浄化性能値ηとの関係を示しており、曲線Aが降温時のものを、曲線Bが昇温時のものを示している。
S209では、読み込んだTintが、常温からの昇温に際して性能下限値η1が得られる入口温度T2を示す所定の値Tint2以上であるか否かを判定する。Tint2以上であるときは、S109へ進んで活性判定フラグFlagを0に設定し、Tint2よりも小さいときは、このルーチンを終了してFlagを1に保持する。
このような構成によれば、冷態始動時における触媒32の活性状態を入口温度Tintに基づいて判定するとともに、この判定に採用される温度センサを流用して再始動時における活性判定を行うことができ、部品点数を削減することができる。
更に、強制加熱を実施する際の排気の空燃比は、理論値よりも高い値に調整されるのが好ましい。一定の活性状態が得られる触媒32の内部温度Tbedは、排気の空燃比が理論値よりも高いときの方が、これが理論値にあるときよりも低いからである。図8は、触媒温度Tbedと浄化性能値ηとの関係を、排気の空燃比毎に示しており、前者の場合を曲線Bにより、後者の場合を曲線Aにより示している。
更に、パラレル型の複合駆動源を構成するに限らず、エンジンをジェネレータの駆動にのみ採用し、このジェネレータから得られた電力によりモータを作動させて動力を伝達させるシリーズ型の複合駆動源を構成してもよい。このような複合駆動源でも、ジェネレータに対する発電要求に応じてエンジンを間欠的に運転させる必要があり、本発明の適用により、エンジンの再始動後における排気性能の悪化を回避することができる。
Claims (12)
- 排気通路に設置された排気浄化触媒と、
前記触媒の内部温度がその入口温度よりも高い状態でのエンジンの再始動を検知する始動検知手段と、
前記始動検知手段により前記エンジンの再始動が検知された再始動検知時において、前記触媒を強制的に加熱する制御を行う触媒加熱手段と、
を含んで構成されるエンジンの排気浄化装置。 - エンジンの再始動時における前記触媒の活性状態を判定する第1の活性判定手段を更に含んで構成され、
前記触媒加熱手段は、前記再始動検知時において、前記第1の活性判定手段による前記触媒に関する低活性判定に対応して、前記触媒を加熱する請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 前記触媒の内部温度を検出する第1の温度検出手段を更に含んで構成され、
前記第1の活性判定手段は、前記第1の温度検出手段により検出された内部温度が、前記触媒の活性下限温度を示す第1の温度以下であるときに、前記低活性判定を下す請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 前記触媒の内部温度を検出する第1の温度検出手段を更に含んで構成され、
前記第1の活性判定手段は、前記第1の温度検出手段により検出された内部温度が、前記触媒の活性下限温度よりも高く、かつエンジンの暖機後における前記触媒の通常温度よりも低い第2の温度以下であるときに、前記低活性判定を下す請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 前記触媒の入口温度を検出する第2の温度検出手段を更に含んで構成され、
前記第1の活性判定手段は、前記第2の温度検出手段により検出された入口温度が、常温からの昇温に際して前記触媒の活性完了を判断するための活性判定温度よりも低い第3の温度以下であるときに、前記低活性判定を下す請求項2〜4のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。 - 前記再始動検知時において、エンジンの再始動に伴う排気の流入により低下する、再始動後における前記触媒の活性状態を推定により判定する第2の活性判定手段を更に含んで構成され、
前記触媒加熱手段は、前記再始動検知時において、前記第2の活性判定手段による前記触媒に関する低活性判定に対応して、前記触媒を加熱する請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。 - 前記第2の活性判定手段は、前記再始動検知時に前記触媒が保持する熱量と、前記再始動検知時に前記触媒の上流の排気が保持する熱量とを算出し、算出した各熱量に基づいて前記再始動後の活性状態を判定する請求項6に記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記触媒加熱手段は、前記触媒に流入する排気の燃料成分含有量を増大させて、前記触媒を加熱する請求項1〜7のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記触媒加熱手段は、前記触媒に流入する排気の温度を上昇させて、前記触媒を加熱する請求項1〜8のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記触媒加熱手段による前記触媒の強制加熱において、前記触媒に流入する排気の空燃比が理論値よりも高い値に調整される請求項1〜9のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記エンジンがディーゼルエンジンである請求項1〜10のいずれかに記載のエンジンの排気浄化装置。
- 前記エンジンが、電気駆動源との複合駆動源を構成するディーゼルエンジンである請求項11に記載のエンジンの排気浄化装置。
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