JP2007239438A - 建築用ガラスブロック、その製造方法及びガラスブロック壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造上のロスが小さく、長期間に亘って優れた装飾効果を発揮する建築用ガラスブロック、その製造方法及びガラスブロック壁を提供する。
【解決手段】本発明の建築用ガラスブロック1は、中空ブロック体1aの内表面1eに、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層2が保持されてなる。また、本発明の製造方法は、中空ブロック体1aに通気孔1dから蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面に塗布する工程と、中空ブロック体1aを加熱して樹脂被膜蛍光層2を形成する工程と、その中空ブロック体1aの通気孔封止工程とを有する。本発明のガラスブロック壁は、複数の建築用ガラスブロック1と、建築用ガラスブロック1の相互間に配設される目地材とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の建築用ガラスブロック1は、中空ブロック体1aの内表面1eに、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層2が保持されてなる。また、本発明の製造方法は、中空ブロック体1aに通気孔1dから蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面に塗布する工程と、中空ブロック体1aを加熱して樹脂被膜蛍光層2を形成する工程と、その中空ブロック体1aの通気孔封止工程とを有する。本発明のガラスブロック壁は、複数の建築用ガラスブロック1と、建築用ガラスブロック1の相互間に配設される目地材とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、断熱性、遮音性及び透光性に優れ、外壁用や内壁用として広く利用される建築用ガラスブロック、そのガラスブロックの製造方法及びそのガラスブロックを用いたガラスブロック壁に関する。
一般にガラスブロック壁には、中空の建築用ガラスブロックが用いられている。このガラスブロックは、一対の有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成形体を、互いの開放端縁で熔着一体化させることによって作製され、表裏面の双方に額縁に囲まれた透光面を有する中空の建築材料であり、建物の外壁や内壁、あるいはベランダ等に広く使われている。
近年、ビルや住宅のデザインの多様化により、装飾性に富んだ建築用ガラスブロックが求められるようになっている。例えば、特許文献1には、その側面に貫通孔を設け、そこから内部に塗料を流し込んだ後、貫通孔をシーリング材で塞いだガラスブロック及びその製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、有底無蓋で凹部を有する透明なガラス成形体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化されてなるガラスブロックにおいて、上記凹部底面に相当する内表面に発光性物質を含む層が形成されてなるものである。
実公昭41−10689号公報
特開平9−21206号公報
しかしながら、特許文献1に記載の建築用ガラスブロックは、内部に一般的な塗料を流し込むものであるので、塗料の着色により建築用ガラスブロックの光の透過率が低下し、未着色のガラスブロックと比べると、着色ガラスブロックを用いた壁面は、全体にトーンが抑えられた外観になり、色彩による演出効果はあるものの明るさに欠けるという問題がある。また、未着色のガラスブロックに着色ガラスブロックを組み込んだ壁面は、着色ガラスブロックの部分だけ明るさのトーンが抑えられてしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載の建築用ガラスブロックは、有底無蓋で凹部を有する透明なガラス成形体の底面に相当する内表面にのみ発光性物質を形成しているため、着色されていない側面との差が激しく見栄えが劣る。また、融着一体化させる前に発光性物質を含む膜をガラスブロック内表面に形成するため、膜の材料、厚みが限定される(600℃程度の耐熱性が要求される)。さらに、融着一体化させる前に発光性物質を含む膜を形成するため、融着一体工程での温度管理を厳密に行う必要があり、管理が不十分であると大きな製造ロスになる。また、一度の生産で大量の製品ができるため、在庫を多く抱えるリスクがあるなどの問題点がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、製造上のロスが小さく、長期間に亘って蛍光物質による華やかなパステル調の色調で演出効果に優れた建築用ガラスブロック、その製造方法及びこの建築用ガラスブロックを用いたガラスブロック壁を提供することを技術課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明の建築用ガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体が形成されており、該中空ブロック体の内表面に蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなることを特徴とするものである。
本発明で中空ブロック体の内表面に形成される樹脂皮膜蛍光層の蛍光性物質としては、有機系蛍光顔料、無機系蛍光顔料等が使用可能であり、蛍光の発光性及び樹脂との相性を考慮すると有機系蛍光顔料が好ましい。
また、本発明で中空ブロック体の内表面に形成される樹脂皮膜蛍光層としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の少なくとも一種からなることが、樹脂皮膜蛍光層の接着力や耐久性の点で好ましい。このような透明樹脂材料を使用すれば、均一な皮膜を形成することが可能であり、透光面から拡散した光を室内に入れることができ意匠上優れたものになる。更に、200℃程度の温度で焼き付け可能であるため、材料及び膜厚の選択幅が広くなり設計の自由度が増す。また、樹脂皮膜蛍光層の厚さが5μm未満であると接着力や耐久性が不十分となり長期間に亘って華やかなパステル調の色調による演出効果を維持できない可能性があり、一方、樹脂皮膜蛍光層の厚さが1000μmを超えると蛍光性物質を含む樹脂を均一に分散させることが困難である。樹脂皮膜蛍光層の厚さとしては、5〜1000μmであることが蛍光性物質による演出効果を高めるうえで好ましい。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、樹脂皮膜蛍光層が形成された透光部の可視光線透過率が、70%以下であることを特徴とするものである。
建築用ガラスブロックの樹脂皮膜蛍光層が形成された透光面が2枚のガラスからなる透光部の可視光線(380〜780nm)透過率が0%の全反射による明確な蛍光面から70%の範囲にすれば、透光部を際立たせて、意匠的に優れたものになる。70%を上回ると樹脂皮膜蛍光層の蛍光物質が少なくなるので、樹脂皮膜蛍光層の効果が少なくなり、従来の着色ガラスブロックよりも見劣りする程度の外観となってしまう。また、建築用ガラスブロック表裏面の透光性を利用する場合、樹脂皮膜蛍光層が形成された透光部の可視光線透過率は30%以上で70%以下の範囲にあることが、裏面の光を有効に利用するうえで好ましい。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の透光部の内面及び側壁部の内面に樹脂皮膜蛍光層が形成されていることを特徴とする。
建築用ガラスブロックの樹脂皮膜蛍光層が、ガラス成型体の透光面となる底部の内表面にのみ発光性物質を形成していると、着色されていない側面との差が激しく見栄えが劣るものになる。しかし、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の透光部の内面及び側壁部の内面に樹脂皮膜蛍光層が形成されていることで、ガラスブロック全体からの蛍光物質による色調及び発光効率を高めて、意匠面が明快なパステル調を呈し、また暗がりでは光る意匠として十分に目立たせることが可能となる。さらに、透光部の透過率を大きくしても、側壁部の内面に形成された樹脂皮膜蛍光層の発色及び発光により、明確なパステル調の色調と適度な蛍光強度とが得られる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の内表面が、蛍光顔料により着色されてなることを特徴とするものである。
本発明で中空ブロック体の内表面が、蛍光顔料により着色されてなるとは、内表面に形成される樹脂皮膜蛍光層に含まれる蛍光体や顔料が着色物であることを意味している。蛍光顔料としては、ローダミン、テレビウム、ユウロピウム、フルオレセイン等が好適に使用可能である。
また、本発明で中空ブロック体の側面に通気孔が設けられており、該通気孔が不透湿材によって封止されてなるとは、通気孔が壁面を形成した場合に隠れる中空ブロック体の側面に開口していることを意味しており、通気孔を通じて樹脂や装飾材が導入された後、湿気を通さない不透湿材によって封止されているものである。
このような構成によれば、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化され、アニール工程が終了した中空ブロック体の側面に開けた通気孔から蛍光性物質を含む樹脂を注入し、余剰分を吸い取った後、約200℃で焼付けし、ガラスブロック内面全体に樹脂皮膜蛍光層を形成することができる。
なお、建築用ガラスブロックを損傷させることなく取り扱って施工し、かつ安定した性能を発揮させるために、中空ブロック体の側面を発泡性塗料や弾性シート等の保護材により保護しておくことが好ましい。
また、本発明で、中空ブロック体の内部に乾燥剤が入っているとは、空気中から水蒸気を吸収するシリカゲル、生石灰、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウムその他の物質が乾燥剤として収容されていることを意味しており、不透湿材によって封止された中空ブロック体の内部を乾燥状態に保ち、外気温低下時の内部結露を防止する上で好ましい。例えば、145×145×95mmの中空ブロック体に対して不透湿材による封止作業を行う時、中空ブロック体の内部が25℃、60%RHの状態を温度が25℃のままで20%RH以下にしたい場合には、0.5gのシリカゲル(JIS Z 0301「防湿包装方法」による計算式による)を中空ブロック体に入れることにより可能となる。また、145×145×95mmの中空ブロック体に対して0.5gという少量の透明で粒の小さなシリカゲルを中空ブロック体内部に入れても、目立つものでなく、意匠上の問題にはならない。
本発明に係る建築用ガラスブロックの製造方法は、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対を互いの開放端縁で溶着一体化して中空ブロック体を形成するブロック形成工程と、一対のガラス成型体を溶着する際に、中空ブロック体の側面に通気孔を設けるか又は形成された後の中空ブロック体の側面に通気孔を設ける通気孔形成工程と、該中空ブロック体に通気孔から蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面に塗布する樹脂塗布工程と、該中空ブロック体を加熱し、樹脂を固化させて透光性の樹脂被膜蛍光層を形成する樹脂固化工程と、該中空ブロック体の通気孔を不透湿材によって封止する通気孔封止工程とを有することを特徴とするものである。
本発明でブロック形成工程は、バーナー等でガラス成型体の一対を互いの開放端縁を加熱し、軟化させた後に突き合わせて溶着一体化して中空ブロック体を形成するものである。また、通気孔形成工程としては、この融着の際に、予め開放端縁の一方または両方の開放端縁の同じ対向する位置に、通気孔になる凹部を形成したガラス成型体を使用するか、または形成された後の中空ブロック体の側面に既知の穿孔技術により通気孔を設けるもの等でよい。樹脂塗布工程としては、中空ブロック体に通気孔から所要量またはそれ以上の蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面の所用部分に塗布することを意味している。樹脂固化工程としては、加熱炉等で中空ブロック体を加熱することで、中空ブロック体の内面に塗布されている状態の蛍光性物質を含む樹脂を加熱し、樹脂を固化させて樹脂被膜蛍光層を形成させるものであればよい。通気孔封止工程としては、内面に樹脂被膜層を形成した中空ブロック体の通気孔を建築用の一液性シーリング材等の不透湿材によって封止するものであればよく、樹脂固化工程後の中空ブロック体の内部に乾燥剤を入れ、通気孔封止工程を行うことで、内部の結露対策を施すことが好ましい。
また、本発明で中空ブロック体内の余剰の蛍光性物質を含む樹脂を除去する余剰樹脂除去工程を有するとは、樹脂塗布工程が中空ブロック体に通気孔から所要量以上の樹脂を注入して、中空ブロック体内面に蛍光性物質を含む樹脂を十分に塗布させた後、中空ブロック体内の余剰の蛍光性物質を含む樹脂を除去する余剰樹脂除去工程を有することを意味するものである。このようにすれば、溶着一体化されてアニール工程が終了した中空ブロック体の側面に設けた通気孔から蛍光性物質を含む樹脂を注入して攪拌することで、中空ブロック体の内表面の全てに蛍光性物質を含む樹脂を均一に分散させて付着させることが可能になる。
なお、建築用ガラスブロックを損傷させることなく取り扱い施工し、かつ安定した性能を発揮させるために、中空ブロック体の側面を発泡性塗料や弾性シート等の保護材で保護する側面保護工程を設けておくことが好ましい。
本発明に係るガラスブロック壁は、複数の建築用ガラスブロックと、該建築用ガラスブロックの相互間に配設される目地材とを備えるガラスブロック壁であって、前記建築用ガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となる一対のガラス成型体が、互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体を形成しており、かつ該中空ブロック体の内表面に、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなることを特徴とするものである。
また、本発明のガラスブロック壁に使用する建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の側面に設けられた通気孔が不透湿材によって封止されてなるものであることが、壁面外観のデザインの自由度を確保するうえで好ましい。なお、本発明のガラスブロック壁は、ゴム製の目地材でパネル化した軽量のものや、従来からの施工方法によるモルタルや補強筋を用いたものでもよい。また、本発明のガラスブロック壁は、従来のガラスブロックとの併用やガラスブロック壁と併用したものであってもよい。また、内部の結露対策のために、中空ブロック体の内部に、乾燥剤が入っていることが好ましい。
本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の内表面に、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなるので、樹脂皮膜蛍光層が透明なガラスからなる中空ブロック体の内表面に保持することが容易であり、かつ中空ブロック体内に密封することで樹脂皮膜蛍光層の美観を長期間にわたって保つことができるものである。また、建築用ガラスブロックが、中空ブロック体の透光面に、透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなること、中空ブロック体内の側面及び透光面の両面に対して、樹脂皮膜蛍光層が形成されていることが可能となり、大きな効果が得られるものになる。また、樹脂皮膜蛍光層を中空ブロック体の内表面に形成するため、耐候性に優れた建築用ガラスブロックを提供することができる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、樹脂皮膜蛍光層が熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の少なくとも一種からなり、5〜1000μmの厚さを有するものであるので、均一に、かつ接着による十分な保持力で効果的に保持することが可能となる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、樹脂皮膜蛍光層が形成された透光部の可視光線透過率が0〜70%の範囲にあるので、透光部を際立たせて、意匠的に優れたものを提供することが可能となる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の透光部の内面及び側壁部の内面に樹脂皮膜蛍光層が形成されているので、ガラスブロック全体からの蛍光物質による色調及び発光効率を高めて、明快なパステル調の意匠面及び暗がりでは光る意匠として十分に目立たせることが可能となり、ガラス成型体の透光面となる底部の内表面にのみ発光性物質を形成している場合よりも良好な見栄えになる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の内表面が、蛍光顔料により着色されてなるので、樹脂皮膜蛍光層を彩色することで色彩の選択肢がさらに豊富になる。
また、本発明の建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の側面に通気孔が設けられており、該通気孔が不透湿材によって封止されてなるので、通気孔を通じて蛍光性物質を含む樹脂を導入した後、湿気を通さない不透湿材によって封止する製造方法を採用することが可能となり、短期間に所望のデザインの建築用ガラスブロックを作製することができ、製品の在庫を最小にすることが可能となる。
本発明に係る建築用ガラスブロックの製造方法は、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対を互いの開放端縁で溶着一体化して中空ブロック体を形成するブロック形成工程と、一対のガラス成型体の溶着の際に中空ブロック体の側面に通気孔を設けるか又は形成された後の中空ブロック体の側面に通気孔を設ける通気孔形成工程と、該中空ブロック体に通気孔から蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面に塗布する樹脂塗布工程と、該中空ブロック体を加熱し、樹脂を固化させて透光性の樹脂被膜蛍光層を形成する樹脂固化工程と、該中空ブロック体の通気孔を不透湿材によって封止する通気孔封止工程とを有するので、透明なガラスからなる中空ブロック体の内表面に樹脂皮膜蛍光層を形成した上記所望の明快なパステル調の意匠面及び暗がりでは光る意匠として十分に目立たせることが可能となる建築用ガラスブロックを短期間に作製することができ、在庫を増やすことがなく、多様な注文に対して迅速にかつ安価な価格で対応することができる。また、中空ブロック体の内表面に蛍光性物質を含む樹脂を塗布し、焼付けて樹脂皮膜蛍光層を形成する方法であるため、耐候性に優れたものを提供することができる。
本発明のガラスブロック壁は、複数の建築用ガラスブロックと、該建築用ガラスブロックの相互間に配設される目地材とを備えるガラスブロック壁であって、前記建築用ガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となる一対のガラス成型体が、互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体を形成しており、かつ該中空ブロック体の内表面に、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなるので、上記所望の明快なパステル調の意匠面及び暗がりでは光る意匠として十分に目立たせることが可能となる壁面デザインで、今までにない明るい印象を与える外観のガラスブロック壁になる。
また、本発明のガラスブロック壁では、建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の側面に設けられた通気孔が不透湿材によって封止されてなるもので、好ましくは中空ブロック体の内部に乾燥剤を入れられて内部の結露対策を行われているものであるので、透明なガラスからなる中空ブロック体の内表面に保持した上記所望のデザインの建築用ガラスブロックを用いて短期間にガラスブロック壁を施工することができる。
以下に、本発明の建築用ガラスブロック、建築用ガラスブロックの製造方法及びガラスブロック壁の実施形態について、実施例をあげて具体的に説明する。
実施例1として、図1に示すように、建築用ガラスブロック1(145×145×95mm)は、中空ブロック体1aがアニールまで終了したものであり、大まかな外観は図1(A)のようになっている。図1(B)に示すように、中空ブロック体1aの全内表面1eに蛍光物質としてローダミンを含み赤色に発色する膜厚が20〜30μmのアクリル樹脂からなる樹脂皮膜蛍光層2が形成されているものである。また、その中空ブロック体1aの内部には、0.5gのシリカゲル4が入れられており、側壁部1bにある溶着部のコーナー1cに約φ10mmの通気孔1dが設けてあり、シーリング材3で封止されている。
建築用ガラスブロック1を作製する場合、図2(A)に示すように、中空ブロック体1aの側壁部1bにある溶着部のコーナー1cに設けてある約φ10mmの通気孔1dから、アクリル樹脂を主成分とした混合物(樹脂、キシレン、イソブチルアルコール、アセトン)に蛍光顔料を混和した樹脂液Fを供給パイプPを通じて約30cc投入し、内表面1eの全てに接するように攪拌する。その後、図2(B)に示すように、通気孔1dが最上部になるように中空ブロック体1aを斜めに置き、中空ブロック体1aの中空部の最底部に溜まった樹脂液Fの余剰分を約φ3mmの吸引ホースHを差し入れて吸引し除去する。焼き付け前に、中空ブロック体1aの外表面と通気孔1dの内部をアセトンなどで十分クリーニングしておく。樹脂の焼き付けは、最高温度を200℃とし20分持続することによる。焼き付け終了後、樹脂皮膜蛍光層2の膜厚は20〜30μmであり、透光部1fの透過率は40〜50%程度のものになる。焼き付け終了後、中空ブロック体1aが室温になったら、通気孔1d周辺をマスキングした後、図3に示すように、建築用の一液性シーリング材3で、通気孔1dを封止する。この一液性シーリング材3が硬化した後、中空ブロック体1aの側壁部1bに図示しないアクリルエマルジョンと塗料を混合した液体を吹き付け、透光部1fの透光面に付着した塗料を拭き取り、100〜200℃に設定した乾燥炉に投入し、塗料を含有する液体を乾燥させることにより、図1(B)に示す樹脂皮膜蛍光層2を形成し、側面が図示しない発泡性塗料の保護材により保護された建築用ガラスブロック1とする。
また、本実施例のガラスブロック壁は、図4に示すように、躯体31に取り付けられた金属製の枠体32内にすべり材33とエキスパンション材34とアンカーピース35とがセットされており、これらを介して枠体32内に、中空ブロック体1aの全内表面1eに樹脂皮膜蛍光層2が形成された複数の建築用ガラスブロック1が積み上げられ、アンカーピース35の穴に挿入し固定されて約620mm以下の間隔で配筋され径5.5mmのステンレス製筋の2本をつなぎ筋で溶接したはしご状の縦力骨36、横力骨37(2本の筋の間隔は50mmと35mmの2種類がある)がガラスブロック1間に配筋されて、充填されたモルタル38で目地内に固定されている。この目地部の表面には化粧目地材39が充填され、枠体32と取り合う部分にはシリコーン系シーリング材40が配設されている。このガラスブロック壁はガラスブロック1の内面に形成された樹脂皮膜蛍光層2の着色及び蛍光により、意匠面が今までにない明快なパステル調の色調を呈し、また暗がりでは光る意匠として十分に目立たせることが可能となる新たな外観を有する壁面になっている。
ガラスブロック壁を施工する場合、躯体31に取り付けられた金属製の枠体32内にすべり材33とエキスパンション材34とアンカーピース35とをセットし、このアンカーピース35の穴に縦力骨36となる50mm幅の筋を挿入し固定する。次に、内面にガーネット2が樹脂皮膜層3で保持された建築用ガラスブロック1を目地部にモルタル38を充填しながら積み上げて、横力骨37となる35mm幅の筋を縦力骨36の2本の筋の間に挿入する。この作業を繰り返してガラスブロック壁を施工していく。このブロック積みの作業が終了した後、目地部に化粧目地材39を充填し、枠体32と取り合う部分にはシリコーン系シーリング材40を充填し、ガラスブロック壁の施工を終了する。
なお、上記の実施例では蛍光物質として有機蛍光顔料を使用したが、有機系以外の他の蛍光物質を使用してもよい。また、樹脂としてアクリルを使用したが、酢酸ビニル以外の他の樹脂を使用してもよい。
本発明は、ガラスブロック以外の陶器、セラミックスその他の透明材からなる中空部が減圧されたブロック及びこのような中空ブロックを用いた壁にも適用可能である。
1 建築用ガラスブロック
1a 中空ブロック体
1b 側壁部
1c コーナー
1d 通気孔
1e 内表面
2 樹脂皮膜蛍光層
3 一液性シーリング材(不透湿封着材)
4 シリカゲル(乾燥剤)
31 躯体
32 枠体
33 すべり材
34 エキスパンション材
35 アンカーピース
36 縦力骨
37 横力骨
38 モルタル
39 化粧目地材
40 シーリング材
F 樹脂液
H 吸引ホース
P 供給パイプ
1a 中空ブロック体
1b 側壁部
1c コーナー
1d 通気孔
1e 内表面
2 樹脂皮膜蛍光層
3 一液性シーリング材(不透湿封着材)
4 シリカゲル(乾燥剤)
31 躯体
32 枠体
33 すべり材
34 エキスパンション材
35 アンカーピース
36 縦力骨
37 横力骨
38 モルタル
39 化粧目地材
40 シーリング材
F 樹脂液
H 吸引ホース
P 供給パイプ
Claims (13)
- 有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対が、互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体が形成されており、該中空ブロック体の内表面に蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなることを特徴とする建築用ガラスブロック。
- 樹脂皮膜蛍光層は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の少なくとも一種からなり、5〜1000μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の建築用ガラスブロック。
- 樹脂皮膜蛍光層が形成された透光部の可視光線透過率が、70%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建築用ガラスブロック。
- 中空ブロック体の透光部の内面及び側壁部の内面に樹脂皮膜蛍光層が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の建築用ガラスブロック。
- 中空ブロック体の内表面が、蛍光顔料により着色されてなることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の建築用ガラスブロック。
- 中空ブロック体の側面に通気孔が設けられており、該通気孔が不透湿材によって封止されてなることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の建築用ガラスブロック。
- 中空ブロック体の内部に乾燥剤が入っていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の建築用ガラスブロック。
- 有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となるガラス成型体の一対を互いの開放端縁で溶着一体化して中空ブロック体を形成するブロック形成工程と、一対のガラス成型体の溶着の際に中空ブロック体の側面に通気孔を設けるか又は形成された後の中空ブロック体の側面に通気孔を設ける通気孔形成工程と、該中空ブロック体に通気孔から蛍光性物質を含む樹脂を注入して内面に塗布する樹脂塗布工程と、該中空ブロック体を加熱し、樹脂を固化させて透光性の樹脂被膜蛍光層を形成する樹脂固化工程と、該中空ブロック体の通気孔を不透湿材によって封止する通気孔封止工程とを有することを特徴とする建築用ガラスブロックの製造方法。
- 中空ブロック体内の蛍光性物質を含む樹脂の余剰分を除去する余剰樹脂除去工程を有することを特徴とする請求項8に記載の建築用ガラスブロックの製造方法。
- 樹脂固化工程後の中空ブロック体の内部に乾燥剤を入れ、通気孔封止工程を行うことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の建築用ガラスブロックの製造方法。
- 複数の建築用ガラスブロックと、該建築用ガラスブロックの相互間に配設される目地材とを備えるガラスブロック壁であって、
前記建築用ガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有し、底部が透光面となる一対のガラス成型体が、互いの開放端縁で溶着一体化されて中空ブロック体を形成しており、かつ該中空ブロック体の内表面に、蛍光性物質を含む透光性の樹脂皮膜蛍光層が形成されてなることを特徴とするガラスブロック壁。 - 建築用ガラスブロックは、中空ブロック体の側面に設けられた通気孔が不透湿材によって封止されてなることを特徴とする請求項11に記載のガラスブロック壁。
- 中空ブロック体の内部に、乾燥剤が入っていることを特徴とする請求項12に記載の建築用ガラスブロック壁。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2925655A1 (fr) * | 2007-12-20 | 2009-06-26 | Saint Gobain | Deviation-conversion de lumiere |
JP2013193949A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | Mitsuboshi Belting Ltd | 内表面に樹脂被膜を有する中空透明体の製造方法及び中空透明体の着色方法 |
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2006
- 2006-10-30 JP JP2006293756A patent/JP2007239438A/ja active Pending
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