JP2007238405A - 低重金属リン酸塩類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明が解決しようとする課題は、重金属類を含む粗リン酸類または粗リン酸塩類を用いて、高純度なリン酸塩類を得ることができる製造方法を提供することである。
【解決手段】
鉄、錫、クロム、ニッケル、マンガンなどの重金属類を含む粗リン酸などをpH4〜12に調整して重金属吸着剤で処理することを特徴とする低重金属リン酸塩類の製造方法であり、この濃度が35重量%以下であることを特徴とするものであり、前記重金属吸着剤がランタノイド系金属水酸化物である。
【選択図】 なし
本発明が解決しようとする課題は、重金属類を含む粗リン酸類または粗リン酸塩類を用いて、高純度なリン酸塩類を得ることができる製造方法を提供することである。
【解決手段】
鉄、錫、クロム、ニッケル、マンガンなどの重金属類を含む粗リン酸などをpH4〜12に調整して重金属吸着剤で処理することを特徴とする低重金属リン酸塩類の製造方法であり、この濃度が35重量%以下であることを特徴とするものであり、前記重金属吸着剤がランタノイド系金属水酸化物である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、重金属類を含有する粗リン酸などを原料として低重金属のリン酸塩類の製造方法に関するものである。
リン酸ナトリウムやリン酸カリウムなどのオルトリン酸塩、及びピロリン酸カリウム等の縮合体を含むリン酸塩類は、各種食品添加物、医薬品原料、化粧品原料、肥料添加物、飼料添加物、石油化学触媒、染色助剤、分散剤、難燃剤、消火剤、またはメッキ薬剤等の金属処理薬剤等、あらゆる産業分野に広範囲に用いられている。しかしながら、近年、これらリン酸塩類の消費拡大に伴い、原料リン酸の高騰、入手困難が叫ばれ、より安価で、より多くの原料リン酸の入手が強く望まれている。
一方、従来、上記の一部の用途他から、鉄をはじめとするニッケル、クロムなどの重金属類を含むリン酸廃液が発生している。なお、リン酸またはリン酸塩類自体がこれら重金属類に高い吸着性があり(例えば、特許文献1参照)、汚泥等から重金属類を除去する方法として、リン酸水溶液等と有機性汚泥類と処理液とを接触させることにより、有機性汚泥類から重金属類を除去する方法が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。このようなことから、これらの重金属類を含有する粗リン酸を精製し、再利用することは非常に困難である。このことから、低重金属のリン酸を新規に苦労して入手する必要があること、および粗リン酸の廃液処理にも費用がかかるなどの問題があった。
希土類元素の活用例としては、水酸化物およびその表面を樹脂で被覆したものを用いて水道水などからヒ素を吸着させることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、砒素汚染物に対して、セリウム、ランタン等の希土類金属の水酸化物で砒素不溶化する事が報告されている(例えば、特許文献5参照)。更に、銅を含有する塩水を含水酸化セリウムの造粒体からなる吸着樹脂を用いて処理し、塩水中の銅濃度を低下させる方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかし、高い吸着性を有するリン酸の精製については開示されていない。
更に、リン酸と希土類を組み合わせた活用例としては、セレンに汚染された土壌からリン酸を用いてセレンを除去した後、ランタン塩水溶液、セリウム(III)塩水溶液を用いてセレンを安定化させることが開示されている(例えば、特許文献7参照)。しかし、使用したリン酸もしくはリン酸塩類を精製することは開示されていない。
本発明が解決しようとする課題は、重金属類を含む粗リン酸類または粗リン酸塩類を用いて、高純度なリン酸塩類を得ることができる製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、鉄、錫、クロム、ニッケル、マンガンなどの重金属類を含む粗リン酸などから重金属含有量の低いリン酸塩類水溶液を得る製造方法に関するものであり、以下の発明を含んでいる。
(1)重金属類含有リン酸塩類水溶液をpH4〜12に調整して重金属吸着剤で処理することを特徴とする低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(2)前記重金属類含有リン酸塩類水溶液の濃度が35重量%以下であることを特徴とする前記1記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(3)前記重金属吸着剤がランタノイド系金属水酸化物であることを特徴とする前記1または2記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(4)前記重金属吸着剤がセリウム水酸化物またはランタン水酸化物であることを特徴とする前記1〜3にそれぞれ記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(1)重金属類含有リン酸塩類水溶液をpH4〜12に調整して重金属吸着剤で処理することを特徴とする低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(2)前記重金属類含有リン酸塩類水溶液の濃度が35重量%以下であることを特徴とする前記1記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(3)前記重金属吸着剤がランタノイド系金属水酸化物であることを特徴とする前記1または2記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
(4)前記重金属吸着剤がセリウム水酸化物またはランタン水酸化物であることを特徴とする前記1〜3にそれぞれ記載の低重金属リン酸塩類の製造方法である。
本発明によれば、従来は産業廃棄物として排出していたり、中和用の酸などにしか使われていなかった鉄、錫、クロム、ニッケル、マンガンなどの重金属類を含む粗リン酸類や粗リン酸塩類から低重金属のリン酸塩類を容易に得ることができ、更には廃棄物が削減できる。
本発明において、リン酸類とは、オルトリン酸およびリン酸縮合体である。
本発明において、リン酸縮合体とは、ピロリン酸、トリリン酸およびメタリン酸等である。
本発明において、リン酸塩類とは、オルトリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、およびリン酸縮合体のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩である。
本発明において、粗リン酸類とは、重金属類を含むリン酸類である。
本発明において、粗リン酸塩類とは、重金属類を含むリン酸塩類である。
本発明において、リン酸縮合体とは、ピロリン酸、トリリン酸およびメタリン酸等である。
本発明において、リン酸塩類とは、オルトリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、およびリン酸縮合体のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩である。
本発明において、粗リン酸類とは、重金属類を含むリン酸類である。
本発明において、粗リン酸塩類とは、重金属類を含むリン酸塩類である。
本発明において、粗リン酸類および粗リン酸塩類は、特に制限されるものではない。
粗リン酸類としては、オルトリン酸の形態のものが本発明においてより好ましい。
この粗リン酸類としては、各種産業から排出されるいかなるものや、工業的に製造されるものでも如何様なものでも良い。粗リン酸類に含まれる重金属類としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、セレン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、モリブデン、タングステンなどが挙げられる。これらが本発明の製造方法により除去できる重金属類として挙げることができ、より好ましい除去重金属として、鉄、ニッケル、銅、錫、クロム、マンガンが挙げられ、更に好ましくは錫、クロムが挙げられる。また、これら重金属類単独は言うに及ばず、複数種のものを混合して含んだ粗リン酸類でも良い。
粗リン酸類としては、オルトリン酸の形態のものが本発明においてより好ましい。
この粗リン酸類としては、各種産業から排出されるいかなるものや、工業的に製造されるものでも如何様なものでも良い。粗リン酸類に含まれる重金属類としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、セレン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、モリブデン、タングステンなどが挙げられる。これらが本発明の製造方法により除去できる重金属類として挙げることができ、より好ましい除去重金属として、鉄、ニッケル、銅、錫、クロム、マンガンが挙げられ、更に好ましくは錫、クロムが挙げられる。また、これら重金属類単独は言うに及ばず、複数種のものを混合して含んだ粗リン酸類でも良い。
本発明の製造方法において、粗リン酸類の重金属類の含有量も特に限定されるものではない。しかし、重金属類の含有量が多くなると重金属吸着剤を使用する量を増やしたり、粗リン酸類を事前に希釈しておいたりする必要があるので、効率的ではない。粗リン酸類中の各々の重金属含有量として、1000重量ppm(ppmと記載する)以下が好ましく、600ppm以下がより好ましく、300ppm以下が更に好ましい。なお、粗リン酸類中に含まれる除去する重金属類の下限量は、それぞれの重金属類により異なる。
本発明の製造方法において、重金属類の除去後の含有量は、それぞれの重金属類により異なるが、各金属とも20ppm以下が好ましく、10ppm以下にするのがより好ましく、6ppm以下にするのが更に好ましい。除去した後の重金属類の濃度が上記であると、リン酸類またはリン酸塩類の用途が増えるため、これを廃棄しなくてよくなる。
例えば、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からの鉄の除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、5%以上であり、7%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であると鉄の除去率は10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からの錫の除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、10%以上であり、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であると錫の除去率は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのクロムの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、10%以上がより好ましく、13%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとクロムの除去率は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのニッケルの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、10%以上がより好ましく、13%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとニッケルの除去率は15%以上が好ましく、18%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのマンガンの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、8%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとマンガンの除去率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からの上記記載の重金属以外の重金属の除去率も使用する重金属吸着剤の量により異なるが、例えば7%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であると上記記載の重金属の除去率は10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からの錫の除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、10%以上であり、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であると錫の除去率は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのクロムの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、10%以上がより好ましく、13%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとクロムの除去率は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのニッケルの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、10%以上がより好ましく、13%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとニッケルの除去率は15%以上が好ましく、18%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からのマンガンの除去率は使用する重金属吸着剤の量により異なるが、7%以上であり、8%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であるとマンガンの除去率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。
また、本発明の製造方法における粗リン酸類または粗リン酸塩類の中からの上記記載の重金属以外の重金属の除去率も使用する重金属吸着剤の量により異なるが、例えば7%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましく、粗リン酸類または粗リン酸塩類の濃度が35%以下であると上記記載の重金属の除去率は10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
粗リン酸類は、アルカリとの中和等にて粗リン酸塩類、もしくはこの水溶液とすることができる。当該粗リン酸塩類において水への溶解度が充分でなければ希薄な水溶液にしてから処理する必要があるため、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、より好ましくはナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩である。また、これらの塩は、いくつかが混合していても良い。また、粗リン酸塩類の形態は縮合したポリリン酸塩等よりも未縮合のオルトリン酸塩の形態が好ましい。粗リン酸塩に含まれる重金属類の種類と量は、粗リン酸に含まれている重金属類と同様である。
本発明における重金属吸着剤としては、無機系重金属吸着剤が有機物汚染の恐れが無く適当であり、この様な剤としてランタノイド系が挙げられる。無機系重金属吸着剤の形態としては水酸化物が好ましい例として挙げられる。中でもセリウム水酸化物、又はランタン水酸化物が好ましく、セリウム水酸化物が更に好ましい。セリウム水酸化物としては、Ce(OH)3・nH2OやCe(OH)4・nH2Oなどが、ランタン水酸化物としては、La(OH)3・nH2Oなどが例示できる。
また、本発明で使用する重金属吸着剤としてはスラリー状、粒状のどちらの性状のものを用いることもできる。当該重金属吸着剤の使用方法は、特に限定されるものではない。例えば、粗リン酸塩類水溶液に吸着剤を加えた後、攪拌、振とうなどの混合操作をし、そして重金属吸着剤をデカンテーションや濾過により、分離する。また、重金属吸着剤をカラム状の充填塔などに充填し、そこに粗リン酸塩類水溶液を通す方法である。一般にスラリー状の重金属吸着剤の場合は前者の方法を用い、粒状の重金属吸着剤の場合は後者を用いる。
本発明における粗リン酸塩類水溶液のpHの範囲は4〜12が好ましく、より好ましくはpH5〜11であり、更に好ましくはpH6〜10である。本発明において粗リン酸塩類水溶液のpHがこの範囲であると重金属類の除去がより効率良くできるので好ましい。
本発明における粗リン酸塩類水溶液の濃度は、如何様の濃度でも良く、35重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは25重量%以下である。本発明において粗リン酸塩類水溶液がこの濃度であると、重金属除去がより効率良くできるので好ましい。また本発明において粗リン酸塩類水溶液の濃度が5重量%以上が低重金属のリン酸塩類製造後の濃縮操作を考慮すると好ましい。
本発明における重金属吸着剤の使用量は、粗リン酸塩類に対し0.1重量%から10重量%が好ましく、より好ましくは0.2重量%から8重量%であり、更に好ましくは0.5重量%から5重量%である。この重金属吸着剤の使用量が少なすぎる場合は重金属の除去が不十分となったり、除去するのに長時間を要したりして、好ましくない。重金属吸着剤の使用量が多すぎる場合は、直接的に経済性が悪いことは言うに及ばず、粗リン酸塩類水溶液と重金属吸着剤との処理液からの当該吸着剤を分離したり、当該吸収剤にリン酸塩類水溶液が含有されるなど間接的にも効率や経済性が悪くなるので好ましくない。
本発明の重金属吸着剤による粗リン酸塩類水溶液中からの重金属除去機構は、明らかではないが、当該吸着剤による重金属類の物理的吸着及び化学的(イオン的)な吸着が、当該水溶液のpHや濃度などにより重金属類の除去を効果的に促進しているものと考えている。
本発明の製造方法で得た低重金属のリン酸塩類は、得た塩のまま用いることも、他の塩に変えて使用することも、またはリン酸類として使用することもできる。また、本発明の製造方法で得た低重金属のリン酸塩は、縮合して、ピロリン酸塩やトリリン酸塩等のポリリン酸塩などを得ることもできる。同様にポリリン酸なども得ることができる。
本発明の製造方法で得たリン酸塩類などは、重金属類の含有量が少ないことから食品添加物、医薬品・化粧品原料、肥料・飼料添加物、石油化学触媒、染色助剤、分散剤、難燃剤、消火剤、またはメッキ薬剤などの金属処理薬等の各種用途に使用することができる。
本発明の製造方法で得たリン酸塩類などは、重金属類の含有量が少ないことから食品添加物、医薬品・化粧品原料、肥料・飼料添加物、石油化学触媒、染色助剤、分散剤、難燃剤、消火剤、またはメッキ薬剤などの金属処理薬等の各種用途に使用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさら具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。%は重量%であり、ppmは重量ppmである。
○実施例1
重金属として、鉄49.0ppm、錫260ppm、クロム16.0ppm、ニッケル10.0ppm、およびマンガン1.0ppm、濃度75%のオルトリン酸を含む粗リン酸85g、ビーカーに採り、48%水酸化カリウム水溶液でpHを8.3に調製した。このpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液の濃度は49.6%(オルトリン酸カリウム塩換算)であった(表1に処理条件を記載)。
このpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液100gに重金属吸着剤として水酸化セリウム2gを加え、室温で5時間混合した後、5Aろ紙とグラスファイバー製ろ紙(東洋濾紙製)にてろ過し、重金属吸着剤を除去した。このオルトリン酸カリウム水溶液中の重金属含有量を測定した結果、鉄11.2ppm、錫5.4ppm、クロム0.3ppm、ニッケル2.0ppm、マンガン0.1ppmであった(重金属吸着剤処理後の重金属含有量を「処理後の重金属量」と称す)。
上記のpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液を100gとり、室温で5時間攪拌した後、ろ過(5Aろ紙、グラスファイバー製ろ紙)した。この粗リン酸カリウム水溶液(重金属吸着剤未処理の重金属含有量を「未処理の重金属量」と称す)中の重金属含有量を測定した結果、鉄12.6ppm、錫71.0ppm、クロム1.8ppm、ニッケル2.5ppm、マンガン0.2ppmであった。
これらの結果を表2に記載した。
重金属除去率は、処理後の重金属量と未処理の重金属量とから下記式を用いて算出した。
重金属除去率(%)=
(未処理の重金属量−処理後の重金属量)×100/未処理の重金属量
この結果、重金属除去率は、鉄11%、錫92%、クロム82%、ニッケル22%、およびマンガン55%となった。これらの結果を表3に記載した。
○各金属の定量方法
試料採取後精秤し、硝酸を加え酸性条件とした後、超純水にて定量に希釈した。そしてICP発光分析装置を用いて、検量線法にて各重金属の量を測定した。
重金属として、鉄49.0ppm、錫260ppm、クロム16.0ppm、ニッケル10.0ppm、およびマンガン1.0ppm、濃度75%のオルトリン酸を含む粗リン酸85g、ビーカーに採り、48%水酸化カリウム水溶液でpHを8.3に調製した。このpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液の濃度は49.6%(オルトリン酸カリウム塩換算)であった(表1に処理条件を記載)。
このpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液100gに重金属吸着剤として水酸化セリウム2gを加え、室温で5時間混合した後、5Aろ紙とグラスファイバー製ろ紙(東洋濾紙製)にてろ過し、重金属吸着剤を除去した。このオルトリン酸カリウム水溶液中の重金属含有量を測定した結果、鉄11.2ppm、錫5.4ppm、クロム0.3ppm、ニッケル2.0ppm、マンガン0.1ppmであった(重金属吸着剤処理後の重金属含有量を「処理後の重金属量」と称す)。
上記のpH8.3の粗リン酸カリウム水溶液を100gとり、室温で5時間攪拌した後、ろ過(5Aろ紙、グラスファイバー製ろ紙)した。この粗リン酸カリウム水溶液(重金属吸着剤未処理の重金属含有量を「未処理の重金属量」と称す)中の重金属含有量を測定した結果、鉄12.6ppm、錫71.0ppm、クロム1.8ppm、ニッケル2.5ppm、マンガン0.2ppmであった。
これらの結果を表2に記載した。
重金属除去率は、処理後の重金属量と未処理の重金属量とから下記式を用いて算出した。
重金属除去率(%)=
(未処理の重金属量−処理後の重金属量)×100/未処理の重金属量
この結果、重金属除去率は、鉄11%、錫92%、クロム82%、ニッケル22%、およびマンガン55%となった。これらの結果を表3に記載した。
○各金属の定量方法
試料採取後精秤し、硝酸を加え酸性条件とした後、超純水にて定量に希釈した。そしてICP発光分析装置を用いて、検量線法にて各重金属の量を測定した。
○実施例2
表1に記載した実施条件以外は実施例1と同条件で、粗リン酸カリウム水溶液を調製し、重金属吸着処理を行い、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
表1に記載した実施条件以外は実施例1と同条件で、粗リン酸カリウム水溶液を調製し、重金属吸着処理を行い、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
○実施例3
実施例1で調製した粗リン酸カリウム水溶液をイオン交換水にて二倍に希釈し、オルトリン酸カリウム塩の濃度を24.8%とした以外は実施例1と同様に処理した後、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
実施例1で調製した粗リン酸カリウム水溶液をイオン交換水にて二倍に希釈し、オルトリン酸カリウム塩の濃度を24.8%とした以外は実施例1と同様に処理した後、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
○実施例4〜8
表1に記載した条件以外は実施例1と同条件で、粗リン酸カリウム水溶液を調製し、重金属吸着剤処理を行い、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
表1に記載した条件以外は実施例1と同条件で、粗リン酸カリウム水溶液を調製し、重金属吸着剤処理を行い、この重金属含有量を測定した。これらの結果を表2および3に記載した。
○実施例9
実施例8で作製精製したオルトリン酸カリウム水溶液を200℃、3時間乾燥した後、マッフル炉内の磁性ルツボ中で600℃、3時間焼成した。このようにして得られたピロリン酸カリウム中の重金属類を測定した結果は、鉄9.8ppm、錫22.2ppm、クロム0.5ppm、ニッケル0.1ppm、およびマンガン0.0ppmであった。
実施例8で作製精製したオルトリン酸カリウム水溶液を200℃、3時間乾燥した後、マッフル炉内の磁性ルツボ中で600℃、3時間焼成した。このようにして得られたピロリン酸カリウム中の重金属類を測定した結果は、鉄9.8ppm、錫22.2ppm、クロム0.5ppm、ニッケル0.1ppm、およびマンガン0.0ppmであった。
○実施例10
実施例3で作製精製したオルトリン酸カリウム水溶液を実施例9同様の実験操作を施し、得られたトリリン酸カリウム中の重金属類を測定した結果、鉄4.1ppm、錫1.0ppm、クロム0.2ppm、ニッケル2.3ppm、およびマンガン0.0ppmであった。
実施例3で作製精製したオルトリン酸カリウム水溶液を実施例9同様の実験操作を施し、得られたトリリン酸カリウム中の重金属類を測定した結果、鉄4.1ppm、錫1.0ppm、クロム0.2ppm、ニッケル2.3ppm、およびマンガン0.0ppmであった。
○比較例1
実施例1で用いた粗リン酸(pHは0未満)100gに水酸化セリウム2gを加え、実施例1と同様に処理した。これらの結果を表2および3に記載した。この結果は、pHが0未満では、重金属吸着処理の有無の差異は認められず、粗リン酸そのものの精製はできなかった。
実施例1で用いた粗リン酸(pHは0未満)100gに水酸化セリウム2gを加え、実施例1と同様に処理した。これらの結果を表2および3に記載した。この結果は、pHが0未満では、重金属吸着処理の有無の差異は認められず、粗リン酸そのものの精製はできなかった。
○比較例2
実施例1で使用した粗リン酸に48重量%水酸化カリウム水溶液をpHが12.9になるまで添加した。そして水酸化セリウム2gを加えたところ、水酸化セリウムがほとんど溶解した状態となり、これ以降の操作ができなかった。即ち、pH=12.9の粗リン酸カリウム水溶液の精製は不可能であった。
実施例1で使用した粗リン酸に48重量%水酸化カリウム水溶液をpHが12.9になるまで添加した。そして水酸化セリウム2gを加えたところ、水酸化セリウムがほとんど溶解した状態となり、これ以降の操作ができなかった。即ち、pH=12.9の粗リン酸カリウム水溶液の精製は不可能であった。
○比較例3
実施例1で用いた粗リン酸をイオン交換水にて十倍に希釈した(この時のpH=1.0)。その水溶液100gに水酸化セリウム2gを加え、実施例1と同様に処理した。これらの結果を表2および3に記載した。この結果は、pH1でも重金属吸着が殆ど認められず、粗リン酸を希釈した場合も精製はできなかった。
実施例1で用いた粗リン酸をイオン交換水にて十倍に希釈した(この時のpH=1.0)。その水溶液100gに水酸化セリウム2gを加え、実施例1と同様に処理した。これらの結果を表2および3に記載した。この結果は、pH1でも重金属吸着が殆ど認められず、粗リン酸を希釈した場合も精製はできなかった。
○比較例4
比較例2で調整したリン酸カリウム水溶液をイオン交換水にて三倍に希釈した(この時のpH=12.2)。その水溶液100gに水酸化セリウム2gを加えたところ、比較例2同様に水酸化セリウムが溶解した状態になり、これ以降の操作ができなかった。即ち、pH=12.2の粗リン酸カリウム水溶液の精製は不可能であった。
比較例2で調整したリン酸カリウム水溶液をイオン交換水にて三倍に希釈した(この時のpH=12.2)。その水溶液100gに水酸化セリウム2gを加えたところ、比較例2同様に水酸化セリウムが溶解した状態になり、これ以降の操作ができなかった。即ち、pH=12.2の粗リン酸カリウム水溶液の精製は不可能であった。
本発明の製造方法により重金属類を含んだ粗リン酸や粗リン酸塩類から重金属類含有量を減らしたリン酸塩類水溶液を得ることが可能となる。更に、粗リン酸および粗リン酸塩の廃棄物を減らせることができ、且つ環境負荷削減に有効である。
Claims (4)
- 重金属類含有リン酸塩類水溶液をpH4〜12に調整して重金属吸着剤で処理することを特徴とする低重金属リン酸塩類の製造方法。
- 前記重金属類含有リン酸塩類水溶液の濃度が35重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の低重金属リン酸塩類の製造方法。
- 前記重金属吸着剤がランタノイド系金属水酸化物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の低重金属リン酸塩類の製造方法。
- 前記重金属吸着剤がセリウム水酸化物またはランタン水酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項3にそれぞれ記載の低重金属リン酸塩類の製造方法。
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CN110592806A (zh) * | 2019-07-29 | 2019-12-20 | 同济大学 | 一种双纳米功能核心负载的砷去除纳米纤维膜及其制备方法 |
CN115340077A (zh) * | 2022-07-22 | 2022-11-15 | 承德莹科精细化工股份有限公司 | 一种高纯度磷酸镧的制备方法 |
-
2006
- 2006-03-10 JP JP2006065608A patent/JP2007238405A/ja not_active Withdrawn
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