JP2007237888A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演算負荷が少なく適切に安定化制御を行い得る車両の運動制御装置を提供する。
【解決手段】目標ヨーモーメント及び一つの車輪TRの動荷重に基づき当該車輪に対する媒介変数(θ)を演算し、この媒介変数及び当該車輪の動荷重に基づき当該車輪に対する目標液圧を演算すると共に、媒介変数及び車両状態量に基づき当該車輪に対する目標スリップ率を演算し、これら目標スリップ率及び目標液圧に基づき当該車輪に対する制動力を制御する。例えば、低摩擦係数路面では目標スリップ率に基づき当該車輪に対する制動力を制御し、高摩擦係数路面では目標液圧に基づき当該車輪に対する制動力を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の運動制御装置に関し、特に、走行時の車両状態に応じて各車輪に対する制動力を制御し、車両安定化制御を行う車両の運動制御装置に係る。
車両の運動制御装置としては、車両状態に応じて各車輪に対する制動力を制御する種々の装置が提案されている。例えば下記の特許文献1には、各車輪に対し制動力付与制御を行うと共に、車両状態に基づき各車輪に対する制動力を制御して車両安定化制御を行う制動力制御手段を備え、過度のオーバーステア及び/又はアンダーステアを抑制して車両運動時の安定性を維持する運動制御装置が開示されている。同装置では、制動力制御手段により、車両安定化制御中に、運転者によるブレーキ操作を検出したときには制動力付与制御に切換えると共に、運転者によるステアリングの切り増し操作を検出したときには制動力付与制御に切換え、また、制動力付与制御中にステアリングの切り増し操作を検出したときには、車両安定化制御に切換えることとしている。
また、下記の特許文献2には、「マップを使用することなく各輪の制御量を演算することにより、車輌の運動制御の精度を向上させること」を目的とし、「車輪制御量の微少変化に対する車輌状態量の変化の微係数をタイヤモデルより算出する手段と、車輌の運動を安定化させるための車輌状態量の目標値を車輌モデル若しくは運転者の要求に基づき算出する手段と、前記微係数及び前記目標値を用いて収束演算により前記目標値を実現する各輪の目標制御量を算出する手段と、前記目標制御量を実現するよう車輪操作装置を制御する手段とを有し」と記載され、各輪の目標制御量を算出する手段について演算方法が特定されている。
特開2005−59655号公報 特許第3458734号公報
上記特許文献2に記載の装置によれば、各輪の目標制御量を設定するに際し、四つの車輪に対する制御量の最適な配分を計算することとしているので、演算負荷が大きくなる。これに対し、前掲の特許文献1に記載の装置のように一輪のみの制御によっても車両安定化制御を行うことができ、この場合には、特許文献2に記載の装置に比べて演算負荷を大幅に低減することができる。一方、特許文献1に記載のように、例えばスリップ率に基づく制動力制御のみに依存すると、制御対象車輪が路面摩擦係数の大きい路面上に位置しているときには制動力に対するスリップ率の感度が鈍くなる。これに対し、目標液圧に基づく制動力制御のみに依存すると、制御対象車輪が路面摩擦係数の小さい路面上に位置しているときには制御が困難となる。
そこで、本発明は、演算負荷が少なく、適切に安定化制御を行い得る車両の運動制御装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、車両状態に応じて少なくとも一つの車輪に対する制動力を制御し車両安定化制御を行う車両の運動制御装置であって、前記車両の走行時の状態量を検出する車両状態量検出手段と、該車両状態量検出手段の検出結果に基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を演算する路面摩擦係数演算手段と、該路面摩擦係数演算手段の演算結果及び前記一つの車輪への荷重配分に基づき前記一つの車輪の動荷重を演算する各輪動荷重演算手段と、前記車両状態量検出手段の検出結果に基づき、前記一つの車輪への制動力制御により前記車両に作用させる目標ヨーモーメントを演算する目標ヨーモーメント演算手段と、該目標ヨーモーメント演算手段の演算結果及び前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する媒介変数を演算する媒介変数演算手段と、該媒介変数演算手段の演算結果及び前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する目標液圧を演算する目標液圧演算手段と、前記媒介変数演算手段の演算結果及び前記車両状態量検出手段の検出結果に基づき前記一つの車輪に対する目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算手段と、該目標スリップ率演算手段の演算結果及び前記目標液圧演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御する各輪制動力制御手段とを備えることとしたものである。
例えば、請求項2に記載のように、前記各輪制動力制御手段は、前記路面摩擦係数演算手段が演算した摩擦係数が所定の基準値以下で相対的に低摩擦係数であるときには前記目標スリップ率演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御し、前記路面摩擦係数演算手段が演算した摩擦係数が所定の基準値を超える相対的に高摩擦係数であるときには前記目標液圧演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御するように構成するとよい。
前記媒介変数演算手段は、請求項3に記載のように、前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき摩擦円を形成し、該摩擦円と前記目標ヨーモーメント演算手段の演算結果に基づき、当該摩擦円に対する前記一つの車輪の前後力の占める割合を前記媒介変数として演算するように構成するとよい。尚、前記一つの車輪に係る路面摩擦係数、前後加速度、横加速度、及び車両諸元に基づき、各車輪に対する動荷重を求め、該動荷重により前記摩擦円を形成することができる。
例えば、当該車輪の静荷重(Woとする)に、前後方向の荷重移動量(Wxとする)と横方向の荷重移動量(Wyとする)を加算すれば当該車輪の動荷重(Wiとする)を求めることができる(即ち、Wi=Wo+Wx+Wy)。ここで、前後方向の荷重移動量WxはWx=Gx・Wi・H/Lとして求めることができると共に、横方向の荷重移動量WyはWy=Gy・Wi・H/Tとして求めることができる。尚、Gxは前後加速度、Gyは横加速度で、Hは車両の重心高さ、Lはホイールベース長、Tはトレッド長である。
そして、当該車輪に対する制動力制御によって発生する前後力をΔFx、これに伴って変化する横力をΔFyとし、これらを摩擦円に対する媒介変数θ(0≦θ≦π/2)で表すと、ΔFx=μ・Wi・sinθ、及びΔFy=μ・Wi・(1−cosθ)となる(μは走行路面の摩擦係数を示す)。従って、目標ヨーモーメントMeは下記のように演算される(Lfは車両重心と前輪軸中心間の距離を示す)。
Me=(T/2)・ΔFx+Lf・ΔFy=(T/2)・μ・Wi・sinθ+Lf・μ・Wi・(1−cosθ)
而して、媒介変数θは下記のように演算される(sqrtは二乗根を表す)。
θ=arcsin[{Me/(μ・Wi)−Lf}]/sqrt [{ (T/2) 2+Lf 2}]+arctan{ Lf/ (T/2)}
前記車両状態量検出手段は、請求項4に記載のように、前記車両の実ヨー指標を検出するヨー指標検出手段を具備すると共に、前記目標ヨーモーメント演算手段は、前記車両に対し目標ヨー指標を設定する目標ヨー指標設定手段と、該目標ヨー指標設定手段が設定した目標ヨー指標と前記ヨー指標検出手段が検出した実ヨー指標との偏差を演算するヨー指標偏差演算手段とを具備したものとし、該ヨー指標偏差演算手段が演算したヨー指標偏差に応じて、前記目標ヨーモーメントを演算するように構成するとよい。前記ヨー指標としては、車両のヨーレイトがあり、これをヨーレイトセンサによって直接検出することができるが、車両の前後加速度及び横加速度に基づいて演算することもできる。
更に、前記車両状態量検出手段は、請求項5に記載のように、前記一つの車輪の車輪スリップ角を検出する車輪スリップ角検出手段を備えたものとし、前記目標スリップ率演算手段は、前記車輪スリップ角検出手段が検出した車輪スリップ角に基づいて前記目標スリップ率を補正するように構成するとよい。
尚、上記制動力制御手段としては、例えば、車両の各車輪に装着したホイールシリンダに連通する液圧系統を、夫々一対のホイールシリンダを含む液圧系統に二分し、各液圧系統の一対のホイールシリンダとマスタシリンダとの間に液圧調整装置を介装し、各液圧系統の一方のホイールシリンダを制御対象として車両状態量に応じてブレーキ液圧を調整して、所謂対角制御による車両安定化制御を行うように構成することができる。
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の車両の運動制御装置においては、一つの車輪への制動力制御により車両に作用させる目標ヨーモーメント及び当該車輪の動荷重に基づき当該車輪に対する媒介変数を演算し、この媒介変数及び当該車輪の動荷重に基づき当該車輪に対する目標液圧を演算すると共に、媒介変数に基づき当該車輪に対する目標スリップ率を演算し、これら目標スリップ率及び目標液圧に基づき当該車輪に対する制動力を制御することとしており、当該一つの車輪に関する演算処理によって所望の車両安定化制御を行うことができるので、演算負荷が少ないにも拘わらず、適切に安定化制御を行うことができる。
例えば、請求項2に記載のように、低摩擦係数路面では目標スリップ率に基づき一つの車輪に対する制動力を制御し、高摩擦係数路面では目標液圧に基づき当該車輪に対する制動力を制御するように構成すれば、低摩擦係数路面では安定した制動力制御が行われ、高摩擦係数路面では迅速な制動力制御が行われるというように、当該車輪に対し路面状態に応じて適切に制動力制御を行うことができる。
また、請求項3に記載のように構成すれば、容易且つ適切に媒介変数を求めることができる。更に、請求項4に記載のように構成すれば、目標ヨーモーメントを容易且つ適切に演算することができ、請求項5に記載のように構成すれば、当該車輪に対する目標スリップ率を容易且つ適切に演算することができる。
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る運動制御装置の概要を示すもので、車両の走行時の状態量を検出する車両状態量検出手段M1と、車両状態量検出手段M1の検出結果に基づき車両の走行路面の摩擦係数を演算する路面摩擦係数演算手段M2と、この路面摩擦係数演算手段M2の演算結果及び一つの車輪TR(以下、単に車輪TRという)への荷重配分に基づき車輪TRの動荷重を演算する各輪動荷重演算手段M3と、車輪TRに対する目標ヨーモーメントを演算する目標ヨーモーメント演算手段M4と、この目標ヨーモーメント演算手段M4の演算結果及び各輪動荷重演算手段M3の演算結果に基づき車輪TRに対する媒介変数を演算する媒介変数演算手段M5とを備えている。そして、各輪動荷重演算手段M3の演算結果及び媒介変数演算手段M5の演算結果に基づき車輪TRに対する目標液圧を演算する目標液圧演算手段M6と、車両状態量検出手段M1の検出結果及び媒介変数演算手段M5の演算結果に基づき車輪TRに対する目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算手段M7とを備え、これら目標液圧演算手段M6及び目標スリップ率演算手段M7の演算結果に基づき車輪TRに対する制動力を制御する各輪制動力制御手段M8とを備えている。
例えば、車両状態量検出手段M1は、車両の前後加速度Gx及び横加速度Gyを検出する手段を有し、その前後加速度Gx及び横加速度Gyに基づき、路面摩擦係数演算手段M2にて走行路面の摩擦係数を演算するように構成される。更に、図1に破線で示すように、車両の実ヨー指標(例えば、ヨーレイトγa)を検出するヨー指標検出手段M11を具備し、この実ヨー指標(γa)と、例えばステアリング操舵角(δfとする)に基づき、目標ヨー指標設定手段M41にて目標ヨー指標(γeとする)が演算される。また、一つの車輪の車輪スリップ角を検出する車輪スリップ角検出手段M12を具備したものとし、この検出車輪スリップ角に基づいて目標スリップ率が補正される。
本実施形態の目標ヨーモーメント演算手段M4は、図1に破線で示すように、目標ヨー指標設定手段M41が設定した目標ヨー指標(γe)とヨー指標検出手段M11が検出した実ヨー指標(γa)との偏差(γe―γa)を演算するヨー指標偏差演算手段M42を有し、ヨー指標偏差(γe―γa)に応じて、車輪TRに対する目標ヨーモーメント(Meとする)を演算するように構成されている。更に、車両状態量検出手段M1においては車輪TRの車輪スリップ角(車輪横すべり角)αが検出され、目標スリップ率演算手段M7において、車輪スリップ角α及び媒介変数演算手段M5の演算結果に基づき車輪TRに対する目標スリップ率が演算される。
そして、各輪制動力制御手段M8は、路面摩擦係数演算手段M2が演算した摩擦係数が所定の基準値以下で相対的に低摩擦係数であるときには目標スリップ率演算手段M7の演算結果(目標スリップ率)に基づき車輪TRに対する制動力を制御し、路面摩擦係数演算手段M2が演算した摩擦係数が所定の基準値を超える相対的に高摩擦係数であるときには目標液圧演算手段M6の演算結果(目標液圧)に基づき車輪TRに対する制動力を制御するように構成されている。尚、媒介変数演算手段M5の演算処理については、図3を参照して後述する。
図2は本実施形態における運動制御装置の構成を示すもので、車両の各車輪に対する制動力を制御する液圧調整装置BCを備えている。図2において、車輪FL,FR,RL,RR(上記の車輪TRは、これらの内の一つの車輪を代表する)には夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されており、これらのホイールシリンダWfl等に液圧調整装置BCが接続されている。この液圧調整装置BCは複数の電磁弁から成る従前の一般的な装置と同様の構成とすることができるので、ここでは図示を省略する。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を示している。
車両前方の車輪FL,FRは運転者によるステアリングホイールSWの操作によって操舵され、その操舵角δfが操舵角センサSSによって検出される。各車輪には車輪速度センサWs1乃至Ws4が設けられており、これらの検出車輪速度に基づき車体速度を推定演算することができる。また、ヨーレイトセンサYSが設けられており、ヨー指標としてヨーレイトγaが検出される。即ち、ヨー指標には、車両重心を通る鉛直軸回りの回転角であるヨー角、そのヨー角速度であるヨーレイトが含まれるが、本実施形態ではヨー指標としてヨーレイトが用いられる。更に、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサXG、車両の横加速度を検出する横加速度センサYGが設けられており、これらの検出結果に基づいてヨーレイトを演算することもできる。上記の各検出信号は電子制御ユニットECUに入力されるように構成されている。電子制御ユニットECUは、上記の車両安定化制御のほか、トラクション制御、アンチスキッド制御等を行なうもので、これらの制御用のCPU、ROM及びRAM(図示せず)を備えている。
而して、上記の車両安定化制御に関し、電子制御ユニットECUにおいては、図1に示す各手段が構成され、各輪制動力制御手段M8によって図2の液圧調整装置BCが制御され、一つの車輪(例えば、旋回外側の前輪)の制動力が調整されるように構成されており、所謂対角制御が行われる。
上記の各輪動荷重演算手段M3においては、車輪TRの静荷重Woに、前後方向の荷重移動量Wxと横方向の荷重移動量Wyが加算されて車輪TRの動荷重Wiが求められる(Wi=Wo+Wx+Wy)。前後方向の荷重移動量WxはWx=Gx・Wi・H/Lとして求められ、横方向の荷重移動量WyはWy=Gy・Wi・H/Tとして求められる。前述のように、Gxは前後加速度センサXGによって検出される車両の前後加速度で、Gyは横加速度センサYGによって検出される車両の横加速度であり、Hは車両の重心高さ、Lはホイールベース長、Tはトレッド長である。
また、目標ヨーモーメント演算手段M4においては、車両状態量検出手段M1の検出結果としてヨー指標検出手段M11(ヨーレイトセンサYS)で検出される実ヨー指標(ヨーレイトγa)が用いられ、このヨーレイトγaと目標ヨー指標設定手段M41で設定される目標ヨー指標(目標ヨーレイトγe)との偏差(γe−γa)の関数(fで表す)として、目標ヨーモーメントMeが演算される(即ち、Me=f(γe−γa)とされる)。目標ヨーレイトγeは、例えば操舵角δfに基づき、γe=δf・V/{L・N・(1+K・V2)}として求められる。ここで、Nはステアリングギヤ比、Kはスタビリティファクタである。Vは車速で、前述の推定車体速度を用いることができるが、別途車速センサを設け、直接車速Vを検出することとしてもよい。
次に、媒介変数演算手段M5においては、車両挙動制御(車両安定化制御)中はタイヤ(車輪TR)に発生する力を全て使い切っているとして、タイヤ発生力を図3に示す摩擦円で仮定すると、次の関係にある。(μ・Wi)2=Fx2+Fy2
尚、Fxは車輪TRの前後力(ブレーキ力)、Fyは横力、μは走行路面の摩擦係数である。
更に、後述する車輪TRに対する制動力制御によって発生する前後力をΔFx、これに伴って変化する横力をΔFyとし、これらを摩擦円に対する媒介変数θ(0≦θ≦π/2)で表すと、ΔFx=μ・Wi・sinθ、及びΔFy=μ・Wi・(1−cosθ)となる。従って、制動力制御によって発生するヨーモーメント(=目標ヨーモーメントMe)は下記のように演算される(Lfは車両重心と前輪軸中心間の距離を示す)。
Me=(T/2)・ΔFx+Lf・ΔFy=(T/2)・μ・Wi・sinθ+Lf・μ・Wi・(1−cosθ)
上記のMeの演算式をθで解けば、下記のようになる(尚、sqrtは二乗根を表す)。
θ=arcsin[{Me/(μ・Wi)−Lf}]/sqrt [{ (T/2) 2+Lf 2}]+arctan{ Lf/ (T/2)}
而して、上記の媒介変数θを用いれば、制動力制御における目標制動力は前後力ΔFx=μ・Wi・sinθとして求められる。そこで、目標液圧演算手段M6においては、目標液圧(Ptとする)は目標制動力(μ・Wi・sinθ)の一次関数で近似され(係数Kpを用いて、Pt=Kp・μ・Wi・sinθと表される)、図4に示すように目標液圧Ptが設定される。一方、目標スリップ率演算手段M7においては、車輪TRの車輪速度(Vwとする)及び車速Vに基づき、実スリップ率としてスリップ率Sが演算される(S=(V−Vw)/V)。
上記のスリップ率Sと係数Ks(0≦S≦1/Ks)を用いて、上記の前後力ΔFxをΔFx=μ・Wi=sin(S・(π/2)・Ks)・Wiと仮定すると、例えば、前後力ΔFxはスリップ率Sに対し図5の上方に実線で示す特性となり、このとき、スリップ率Sが1/Ks、即ちθ=π/2で上限値となる。尚、係数Ksは1以上の値で、車輪スリップ角αに対し図6に示すように設定される。従って、前後力ΔFxは車輪スリップ角αが小さいときは図5に実線で示す特性となり、車輪スリップ角αが大きいときは図5に破線で示す特性となる。そして、上記の媒介変数θを用いれば、制動力制御における目標スリップ率StはSt=θ/{(π/2)・Ks}として求められ、図7に示すように媒介変数θに応じて設定されると共に、係数Ksによって、ひいては車輪スリップ角αによって補正される。
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置ECUにより各種制御が行われるが、これらを処理するメインルーチンは一般的であるので省略する。図8は、車両安定化制御の処理を示すもので、ステップ101乃至110が所定の周期で繰り返される。先ず、ステップ101においては、車両状態量検出手段M1によって検出された車両の走行時の状態量が電子制御ユニットECUに入力され、適宜処理される。続いて、ステップ102において、走行路面の摩擦係数(以下、路面μという)が演算され、ステップ103に進み、この路面μ及び制御対象車輪(前述と同様、車輪TRとする)への荷重配分に基づき車輪TRの動荷重が演算される。また、ステップ104において、前述のように検出車両状態量(ヨーレイトγa等)に基づき、目標ヨーモーメントMeが演算され、更にステップ105に進み、この目標ヨーモーメントMe及びステップ103で演算された動荷重に基づき、車輪TRに対する媒介変数θが前述のように演算される。
而して、ステップ106に進み、ステップ103で演算された動荷重、及びステップ105で演算された媒介変数θに基づき車輪TRに対する目標液圧Ptが前述のように演算される。また、ステップ107において、車両状態量(車輪スリップ角α等)及び媒介変数θに基づき車輪TRに対する目標スリップ率Stが前述のように求められる。
そして、ステップ108において、ステップ102で演算された路面μが所定の基準値Kμと比較される。ここで、路面μが基準値Kμ以下で相対的に低摩擦係数と判定されたときにはステップ109に進み、目標スリップ率Stと実スリップ率との偏差に応じて車輪TRに対する制動力が制御される。これに対し、路面μが基準値Kμを超えて相対的に高摩擦係数と判定されたときにはステップ110に進み、目標液圧Ptと実液圧との偏差に応じて車輪TRに対する制動力が制御される。尚、これらの制動力制御については、従前と同様であるので説明は省略する。このように、車輪TRが路面μの大きい路面上に位置しているときには、目標液圧Ptに基づき迅速に制動力制御が行われる。逆に、車輪TRが路面μの小さい路面上に位置しているときには、目標スリップ率Stに基づき安定した制動力制御が行われる。
本発明の車両の運動制御装置の一実施形態を示すブロック図である。 本発明の車両の運動制御装置の一実施形態を示す構成図である。 本発明の一実施形態において、一つの車輪に発生する力による摩擦円の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態において、目標制動力と目標液圧の関係の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態において、当該車輪に発生する力とスリップ率の関係の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態において、係数Ksと車輪スリップ角αの関係の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態において、媒介変数θと目標スリップ率Stの関係の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態における車両安定化制御を示すフローチャートである。
符号の説明
M1 車両状態量検出手段
M2 路面摩擦係数演算手段
M3 各輪動荷重演算手段
M4 目標ヨーモーメント演算手段
M5 媒介変数演算手段
M6 目標液圧演算手段
M7 目標スリップ率演算手段
M8 各輪制動力制御手段
M11 ヨー指標検出手段
M12 車輪スリップ角検出手段
M41 目標ヨー指標設定手段
M42 ヨー指標偏差演算手段
BP ブレーキペダル
SW ステアリングホイール
SS 操舵角センサ
XG 前後加速度センサ
YG 横加速度センサ
YS ヨーレイトセンサ
BC 液圧調整装置
ECU 電子制御ユニット
TR,FR,FL,RR,RL 車輪

Claims (5)

  1. 車両状態に応じて少なくとも一つの車輪に対する制動力を制御し車両安定化制御を行う車両の運動制御装置であって、前記車両の走行時の状態量を検出する車両状態量検出手段と、該車両状態量検出手段の検出結果に基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を演算する路面摩擦係数演算手段と、該路面摩擦係数演算手段の演算結果及び前記一つの車輪への荷重配分に基づき前記一つの車輪の動荷重を演算する各輪動荷重演算手段と、前記車両状態量検出手段の検出結果に基づき、前記一つの車輪への制動力制御により前記車両に作用させる目標ヨーモーメントを演算する目標ヨーモーメント演算手段と、該目標ヨーモーメント演算手段の演算結果及び前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する媒介変数を演算する媒介変数演算手段と、該媒介変数演算手段の演算結果及び前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する目標液圧を演算する目標液圧演算手段と、前記媒介変数演算手段の演算結果及び前記車両状態量検出手段の検出結果に基づき前記一つの車輪に対する目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算手段と、該目標スリップ率演算手段の演算結果及び前記目標液圧演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御する各輪制動力制御手段とを備えたことを特徴とする車両の運動制御装置。
  2. 前記各輪制動力制御手段は、前記路面摩擦係数演算手段が演算した摩擦係数が所定の基準値以下で相対的に低摩擦係数であるときには前記目標スリップ率演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御し、前記路面摩擦係数演算手段が演算した摩擦係数が所定の基準値を超える相対的に高摩擦係数であるときには前記目標液圧演算手段の演算結果に基づき前記一つの車輪に対する制動力を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の運動制御装置。
  3. 前記媒介変数演算手段は、前記各輪動荷重演算手段の演算結果に基づき摩擦円を形成し、該摩擦円と前記目標ヨーモーメント演算手段の演算結果に基づき、当該摩擦円に対する前記一つの車輪の前後力の占める割合を前記媒介変数として演算することを特徴とする請求項1又は2記載の車両の運動制御装置。
  4. 前記車両状態量検出手段は、前記車両の実ヨー指標を検出するヨー指標検出手段を具備すると共に、前記目標ヨーモーメント演算手段は、前記車両に対し目標ヨー指標を設定する目標ヨー指標設定手段と、該目標ヨー指標設定手段が設定した目標ヨー指標と前記ヨー指標検出手段が検出した実ヨー指標との偏差を演算するヨー指標偏差演算手段とを具備し、該ヨー指標偏差演算手段が演算したヨー指標偏差に応じて、前記目標ヨーモーメントを演算することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両の運動制御装置。
  5. 前記車両状態量検出手段は、前記一つの車輪の車輪スリップ角を検出する車輪スリップ角検出手段を具備し、前記目標スリップ率演算手段は、前記車輪スリップ角検出手段が検出した車輪スリップ角に基づいて前記目標スリップ率を補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車両の運動制御装置。
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