JP2007236163A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】均圧導体12の保持及び固定を低コストな手段で且つ確実に行うことができる回転電機の提供。
【解決手段】界磁コイルは、Φ1.0以下の素線を複数本束ねて界磁鉄心8の周囲に直接巻回されている。この界磁コイルは、インシュレータ13の第1コイル保持部に保持される一端側の端末9aが、コネクションバー10を介してモータリード線11に接続され、インシュレータ13の第2コイル保持部に保持される他端側の端末9bが、均圧導体12の端部と共に正極側ブラシ5に接続される。
均圧導体12は、Φ1.0以下の金属線を少なくとも1本使用して形成され、予めインシュレータ13の裏側に這い回されて、両端部がそれぞれ第2コイル保持部からインシュレータ13の表側に引き出され、同じく第2コイル保持部に保持される界磁コイルの他端側の端末9bと一緒に電気的に接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電機子コイルから正極側ブラシを介して界磁コイル側に流れる循環電流を抑制するための均圧導体を有する回転電機に関する。
従来、4極以上の磁極に重ね巻きした電機子コイルと、この電機子コイルに正極側ブラシを介して直列接続される界磁コイルとを有する回転電機では、電機子内部の並列回路の電位差により、正極側ブラシを通して界磁コイルに循環電流が流れることがある。
このため、循環電流の原因となる界磁空隙(界磁鉄心と電機子鉄心とのエアギャップ)の寸法精度を上げる必要がある。
あるいは、特許文献1に示される様に、一対の正極側ブラシ間を均圧導体により電気的に接続して、界磁コイル側に流れる循環電流を抑制する技術が知られている。
特開平8−9578号公報
ところが、界磁空隙の寸法精度を上げるためには、界磁鉄心と電機子鉄心とを精度良く組み付ける必要があり、コストアップの要因となっていた。
また、特許文献1に開示された公知技術では、予め所定の形状(例えばヨークの内周に沿った半円形状)に成型された均圧導体をヨーク内周の狭い空間に配設する必要があるため、ヨークあるいは電機子コイル等に接触して短絡する恐れがある。このため、精密に成型された均圧導体を精度良く組み付ける必要があり、やはりコストアップの要因となっている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、均圧導体の保持及び固定を低コストな手段で且つ確実に行うことができる回転電機を提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、ヨークの内周に固定される界磁鉄心にΦ1.0以下の素線を複数本束ねた状態で直接巻回される界磁コイルと、4極以上の磁極を有する電機子鉄心に重ね巻きされ、且つ界磁コイルに正極側ブラシを介して直列接続される電機子コイルと、ヨークの軸方向一端側の内周に配設される円環状の樹脂材から成り、界磁コイルの端末を保持するインシュレータと、電機子コイルから正極側ブラシを介して界磁コイル側に流れる循環電流を抑制する均圧導体とを有する回転電機であって、均圧導体は、Φ1.0以下の金属線を少なくとも1本使用して形成され、インシュレータに保持されると共に、金属線の端部が、正極側ブラシに接続される界磁コイルの端末と一緒に電気的に接合されていることを特徴とする。
本発明の均圧導体は、Φ1.0以下の金属線を少なくとも1本使用することにより、成型の必要がなく、インシュレータに容易に保持できるので、均圧導体の成型コストが不要である。また、均圧導体に使用される金属線の線径が、界磁コイルに使用される素線の線径と同じくΦ1.0以下であり、金属線の端部を界磁コイルの端末と一緒に電気的に接合できる。これに対し、予め所定の形状に成型された均圧導体(成型導体と呼ぶ)を使用する場合には、成型導体の端部を界磁コイルの端末と一緒に電気的に接合することが困難(事実上できない)である。これにより、本発明では、金属線の端部を界磁コイルの端末と一緒に電気的に接合できるので、接合のための余分な工程が不要であり、低コスト化を図ることができる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載した回転電機において、インシュレータの板厚方向の一端側を表側、他端側を裏側と呼ぶ時に、インシュレータには、界磁コイルの端末を保持してインシュレータの裏側から表側へ引き出すためのコイル保持部が略U字状に形成されており、均圧導体は、インシュレータをヨークに組み付ける前のインシュレータ単体の状態で、予めインシュレータの裏側に周方向に沿って這い回され、且つ均圧導体(金属線)の端部が、コイル保持部よりインシュレータの表側へ引き出されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、インシュレータのコイル保持部に保持される界磁コイルの端末と同一方向に均圧導体(金属線)の端部を配設できるので、両者の接合が容易であり、信頼性が向上する。
(請求項3の発明)
請求項2に記載した回転電機において、インシュレータの裏側に複数の突起部が適宜な間隔を保って設けられ、均圧導体は、複数の突起部にガイドされながらインシュレータの周方向に這い回されていることを特徴とする。
本発明の均圧導体は、Φ1.0以下の金属線を使用しているので、インシュレータに設けられた複数の突起部にガイドされながら、インシュレータの周方向に容易に這い回すことができる。
(請求項4の発明)
請求項2または3に記載した回転電機において、インシュレータの裏側には、コイル保持部の周縁に均圧導体を挟み込んで保持する保持溝が形成されていることを特徴とする。 これにより、コイル保持部からインシュレータの外側に引き出される均圧導体の端部を位置決めできるので、界磁コイルの端末との接合を容易にできる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかの回転電機において、均圧導体の端部は、界磁コイルの端末と共に板状導体で外周を巻回され、その板状導体を介して通電加圧されることにより、界磁コイルの端末と電気的に接合されていることを特徴とする。
この場合、均圧導体の端部が界磁コイルの端末と一緒に接合されるので、均圧導体端部の剛性が高まり、耐振動性が向上する。
(請求項6の発明)
請求項1〜5に記載した何れかの回転電機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする。
低電圧で大電流を流す小型のスタータモータでは、極数に等しい並列回路数を持つ重ね巻方式の電機子が有利であり、請求項1〜5に記載した何れかの構成を適用することにより、低コストのスタータモータを提供できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1はヨークアセンブリの軸方向平面図である。
実施例1の回転電機1は、例えば、自動車用エンジンを始動するスタータモータに適用されるもので、図4に示す様に、電機子2と界磁3とを有する直流電動機である。
電機子2は、4極(6極以上でも良い)の磁極を有する電機子鉄心(図示せず)に電機子コイル4を重ね巻きして構成され、その電機子コイル4の端部が、整流子(図示せず)を構成する各セグメントに電気的且つ機械的に接続されている。整流子上には、一対の正極側ブラシ5と、一対の負極側ブラシ6とが配置されている。
界磁3は、磁気回路を形成するヨーク7(図1参照)と、このヨーク7の内周に固定される4個の界磁鉄心8(図1及び図2参照)と、この4個の界磁鉄心8にそれぞれ巻回される4個の界磁コイル9(図2参照)とで構成される。
ヨーク7は、強磁性体の金属板(例えば軟鋼板)を丸め加工して円筒形状に設けられている。
界磁鉄心8は、ヨーク7の周方向に等間隔に配置され、界磁コイル9への通電によって磁化されると、周方向に隣合う界磁鉄心8同士が互いに異なる極性を有する。
界磁コイル9は、図2に示す様にΦ1.0以下の素線(例えば銅線)を複数本(例えば10本)束ねて界磁鉄心8の周囲に直接巻き付けられ、所定の巻き数(例えば9ターン)になる様に構成されている。
界磁鉄心8に巻き付けられた界磁コイル9は、図1に示す様に、高電位側である一端側の端末9aがコネクションバー10を介してモータリード線11に接続され、低電位側である他端側の端末9bが、後述する均圧導体12と共に正極側ブラシ5に接続されている。また、界磁コイル9の両端末9a、9bは、絶縁性を有するインシュレータ13に保持されている。
インシュレータ13は、例えば、樹脂材によってリング状に形成され、図1及び図2に示す様に、ヨーク7の軸方向一端側の内周に沿って配設されている。ここで、インシュレータ13の板厚方向の一端側(図2に示す上側)を表側、他端側を裏側と呼ぶ時に、インシュレータ13には、図3に示す様に、界磁コイル9の端末を保持してインシュレータ13の裏側から表側へ引き出すためのコイル保持部13a、13bが形成されている。このコイル保持部13a、13bは、インシュレータ13の周方向に90度間隔に4か所設けられ、それぞれ略U字状に形成されている。
なお、以下の説明では、インシュレータ13の径方向に対向する2か所のコイル保持部を第1コイル保持部13a、他の2か所のコイル保持部を第2コイル保持部13bと呼ぶ。この第2コイル保持部13bの周縁には、インシュレータ13の裏側に肉盛り部13cが設けられ、この肉盛り部13cに均圧導体12の端部を挟み込んで保持するための保持溝13dが形成されている。
また、インシュレータ13の裏側には、均圧導体12をガイドするための突起部13eが周方向に適宜な間隔を保って複数設けられている。
均圧導体12は、Φ1.0以下の金属線(例えば銅線)を少なくとも1本使用して形成され、図3(インシュレータ13を裏側から見た平面図)に示す様に、インシュレータ13をヨーク7側に組み付ける前のインシュレータ単体の状態で、予めインシュレータ13の裏側に配設されている。即ち、均圧導体12は、インシュレータ13の径方向に対向する2か所の第2コイル保持部13bの間で複数の突起部13eにガイドされながらインシュレータ13の周方向に這い回され、両端部がそれぞれ保持溝13dに保持されて、第2コイル保持部13bからインシュレータ13の表側に引き出されている。
この均圧導体12を保持するインシュレータ13は、ヨーク7の一端側内周に圧入状態で組み付けられ(図2参照)、そのインシュレータ13に設けられた第1コイル保持部13a及び第2コイル保持部13bに界磁コイル9の一端側の端末9a及び他端側の端末9bがそれぞれ保持される。
但し、4個の界磁コイル9は、それぞれ一端側の端末9aが2個一組に束ねられて、インシュレータ13の第1コイル保持部13aに保持され、同じく他端側の端末9bが2個一組に束ねられて、均圧導体12の端部と一緒に第2コイル保持部13bに保持されている。また、均圧導体12の端部は、界磁コイル9の他端側の端末9bと共に撚り合わされた後、板状導体14(図1参照)で外周を巻回され、その板状導体14を介して通電加圧されることにより、両者が電気的に接合されている。
(実施例1の作用及び効果)
本実施例の回転電機1では、図4に示す電機子2の並列回路に電位差(e1<e2)が生じた場合に、図中の破線矢印で示す様に、循環電流が均圧導体12を通って流れるため、界磁コイル9側に循環電流が流れることは殆どない。その結果、循環電流が界磁コイル9側へ流れることによる悪影響を回避できる。具体的には、界磁起磁力の不均衡が助長されることはなく、無負荷電流の増加を防止できるので、特に低出力領域での出力低下を抑制できる。
また、均圧導体12は、Φ1.0以下の金属線を使用することにより、予め所定の形状に成型する必要がなく、インシュレータ13に設けられた複数の突起部13eにガイドされながら、インシュレータ13の裏側に容易に這い回すことができるので、均圧導体12の成型コストが不要である。
更に、均圧導体12に使用される金属線の線径が、界磁コイル9に使用される素線の線径と同じくΦ1.0以下であるため、金属線の端部を界磁コイル9の他端側の端末9bと一緒に電気的に接合できる。これに対し、予め所定の形状に成型された均圧導体12(成型導体と呼ぶ)を使用する場合には、成型導体の端部を界磁コイル9の端末と一緒に電気的に接合することが困難(事実上できない)である。これにより、本発明では、金属線の端部を界磁コイル9の他端側の端末9bと一緒に電気的に接合できるので、接合のための余分な工程が不要であり、低コスト化を図ることができる。
また、均圧導体12は、インシュレータ13の第2コイル保持部13bに対し、界磁コイル9の他端側の端末9bと同一方向に引き出され、且つ、第2コイル保持部13bの周縁に形成された保持溝13dに均圧導体12の端部が保持されて位置決めできるので、界磁コイル9と均圧導体12との接合が容易であり、信頼性が向上する。
更に、均圧導体12の端部は、界磁コイル9の他端側の端末9bに撚り合わされて接合されるため、均圧導体12端部の剛性が高まり、耐振動性が向上する。
回転電機のヨークアセンブリを軸方向から見た平面図である。 図1のA−A断面図である。 インシュレータを裏側から見た平面図である。 回転電機の回路図である。
符号の説明
1 回転電機
4 電機子コイル
5 正極側ブラシ
7 ヨーク
8 界磁鉄心
9 界磁コイル
12 均圧導体
13 インシュレータ
13b 第2コイル保持部(コイル保持部)
13d 保持溝
13e 突起部
14 板状導体

Claims (6)

  1. ヨークの内周に固定される界磁鉄心にΦ1.0以下の素線を複数本束ねた状態で直接巻回される界磁コイルと、
    4極以上の磁極を有する電機子鉄心に重ね巻きされ、且つ前記界磁コイルに正極側ブラシを介して直列接続される電機子コイルと、
    前記ヨークの軸方向一端側の内周に配設される円環状の樹脂材から成り、前記界磁コイルの端末を保持するインシュレータと、
    前記電機子コイルから前記正極側ブラシを介して前記界磁コイル側に流れる循環電流を抑制する均圧導体とを有する回転電機であって、
    前記均圧導体は、Φ1.0以下の金属線を少なくとも1本使用して形成され、前記インシュレータに保持されると共に、前記金属線の端部が、前記正極側ブラシに接続される前記界磁コイルの端末と一緒に電気的に接合されていることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載した回転電機において、
    前記インシュレータの板厚方向の一端側を表側、他端側を裏側と呼ぶ時に、前記インシュレータには、前記界磁コイルの端末を保持して前記インシュレータの裏側から表側へ引き出すためのコイル保持部が略U字状に形成されており、
    前記均圧導体は、前記インシュレータを前記ヨークに組み付ける前のインシュレータ単体の状態で、予め前記インシュレータの裏側に周方向に沿って這い回され、且つ前記均圧導体(前記金属線)の端部が、前記コイル保持部より前記インシュレータの表側へ引き出されていることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項2に記載した回転電機において、
    前記インシュレータの裏側に複数の突起部が適宜な間隔を保って設けられ、
    前記均圧導体は、前記複数の突起部にガイドされながら前記インシュレータの周方向に這い回されていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項2または3に記載した回転電機において、
    前記インシュレータの裏側には、前記コイル保持部の周縁に前記均圧導体を挟み込んで保持する保持溝が形成されていることを特徴とする回転電機。
  5. 請求項1〜4に記載した何れかの回転電機において、
    前記均圧導体の端部は、前記界磁コイルの端末と共に板状導体で外周を巻回され、その板状導体を介して通電加圧されることにより、前記界磁コイルの端末と電気的に接合されていることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項1〜5に記載した何れかの回転電機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする回転電機。
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