JP2007232172A - マイクロバルブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で、微細な流路を流れる液体の遮断及び開放を行うことができるマイクロバルブ装置を提供する。
【解決手段】マイクロ化学システム用チップ1は、液体流路2を有する基材10と、基材10の内部に形成されたマイクロバルブ装置3とを備える。液体流路2の下流側に、液体流路2の断面積を小さくする堰41が形成されている。基材10は、液体流路2、堰41、及びバルブ流路31が表面に形成されるチャネル部材12と、チャネル部材12を覆うカバー部材11とから成る。マイクロバルブ装置3は、合流部32で液体流路2に交差するバルブ流路31から成るバルブ流路構造と、制御用流体を接続構造51及び接続孔6を介して供給する流体制御機構5とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロ化学システム用チップ1は、液体流路2を有する基材10と、基材10の内部に形成されたマイクロバルブ装置3とを備える。液体流路2の下流側に、液体流路2の断面積を小さくする堰41が形成されている。基材10は、液体流路2、堰41、及びバルブ流路31が表面に形成されるチャネル部材12と、チャネル部材12を覆うカバー部材11とから成る。マイクロバルブ装置3は、合流部32で液体流路2に交差するバルブ流路31から成るバルブ流路構造と、制御用流体を接続構造51及び接続孔6を介して供給する流体制御機構5とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロバルブ装置に関し、特に、微細な流路を流れる液体の遮断及び開放を行うマイクロバルブ装置に関する。
従来から、化学反応の高速化や微少量での反応、オンサイト分析等の観点から、化学反
応を微小空間で行うための集積化技術が注目されており、そのため研究が精力的に進めら
れている。
応を微小空間で行うための集積化技術が注目されており、そのため研究が精力的に進めら
れている。
このような集積化技術の1つとして、図22に示すようにマイクロ化学チップを用いて、液体試料の混合、反応、分離、抽出、検出等を行うマイクロ化学システムがある。このマイクロ化学システムで行われる反応の例としては、ジアゾ化反応、ニトロ化反応、抗原抗体反応等がある。また、抽出や分離の例としては、溶媒抽出、電気泳動分離、カラム分離等がある。そして、このマイクロ化学システムで反応等を行う際に、流路内の液体を遮断及び開放することができるマイクロバルブ装置が用いられている。
例えば、溝及び弁構造体に撥水表面処理が施され、アクチュエータが溝に沿って流路を遮断する方向に弁構造体を駆動する構造のマイクロバルブがある(例えば、特許文献1参照)。
また、温度操作によるキャビティ内の圧力変化によって、可動部を変形させ、この可動部がゲート部と密着することにより、微小流路が閉じられる構造となっているマイクロバルブがある(例えば、特許文献2参照)。
また、光照射のオン・オフのみで微小流体の流れ方向を制御可能な光制御型微小スイッチングバルブがある。このバルブは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を材質とするT型のマイクロチャネルを作製し、酸化チタンをコートした石英基板と接合することにより作製される。このT型のマイクロチャネルのうち、溶液を通す流路のみ、波長325nmのHe−Cdレーザーを酸化チタン表面へ照射し超親水化することにより、溶液は、その超親水化した流路にのみ流入する。このように光照射を用いてチャネル内壁の濡れ性を制御することにより、スイッチングバルブとして機能する(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、多段階のウェットエッチングによりチャネル深さを制御したマイクロチャネルがある。このマイクロチャネルは、チャネル表面部分をオクタデシルシラン(ODS)修飾により疎水化することで所定の位置で液体を止めようというものである(例えば、非特許文献2参照)。
特開2000−81154号公報
特開2004−100800号公報
永井 秀典、他7名、「光制御型微小スイッチングバルブの開発」、第8回化学とマイクロ・ナノシステム研究会講演要旨集、化学とマイクロ・ナノシステム研究会、2003年11月18日、p. 40、発表番号P2−03
竹井 豪、他5名、「ラプラス圧バルブを利用した流体制御」、シンポジウム「マイクロ化学チップ研究開発の全容」−インテグレーテッド・ケミストリーからマイクロ・ナノ化学システム−@かながわサイエンスパーク、北森武彦、2005年8月23日、p. 30
しかしながら、アクチュエータが弁構造体を駆動する構造の上記特許文献1のマイクロバルブでは、機械的に駆動される弁構造体をチップ内に集積しているため、複雑な微細加工が必要である。また、機械的に駆動される弁構造体の加工精度が悪いと、流路と接触し、接触部分の撥水表面処理層が剥がれて、マイクロバルブの開閉の際における機密性を保つことができず、マイクロバルブとして機能しないという問題がある。
また、上記特許文献2のマイクロバルブでは、微小流路が形成された基板とキャビティが形成された基板との間に、ダイヤフラムを配置するための複雑な微細加工が必要であり、さらに、可動部とゲート部との密着性が悪いと、マイクロバルブとして機能しないという問題がある。
また、上記非特許文献1のスイッチングバルブは、2つの流路のうちの一方の流路(超親水化した流路)のみに、溶液を誘導するだけであるため、溶液の流れを遮断及び開放することができないという問題がある。
さらに、上記非特許文献2のマイクロチャネルは、チャネル表面部分をオクタデシルシラン(ODS)修飾により疎水化する必要があるため、コスト高となってしまうという問題がある。
本発明の目的は、簡単な構造で、微細な流路を流れる液体の遮断及び開放を行うことができるマイクロバルブ装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載のマイクロバルブ装置は、制御用流体を供給する流体制御機構と、前記供給された制御用流体が流れるバルブ流路構造とを備え、前記バルブ流路構造を流れる制御用流体を前記バルブ流路構造に接続された液体流路に供給することによって、前記液体流路を流れる液体を遮断及び開放するマイクロバルブ装置であって、前記バルブ流路構造は合流部で前記液体流路と交差するバルブ流路から成り、前記液体流路における前記合流部の上流側及び下流側の少なくとも一方に前記液体流路の断面積を小さくする堰が設置されたことを特徴とする。
請求項2記載のマイクロバルブ装置は、請求項1記載のマイクロバルブ装置において、前記液体流路の内壁は、接触角が前記液体流路を流れる液体に対して30度以下であることを特徴とする。
請求項3記載のマイクロバルブ装置は、請求項1又は2記載のマイクロバルブ装置において、前記堰と前記バルブ流路との距離が100μm以下であることを特徴とする。
請求項4記載のマイクロバルブ装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置において、前記合流部により規定された液体流路の空隙の高さをR1、前記堰により規定された液体流路の空隙の高さをR2、前記液体流路の前記液体に対する接触角をθ、前記液体の表面張力をσ、前記液体流路の上流側からの圧力をP1、前記液体流路の下流側からの圧力をP2、圧力P1と圧力P2との差P1−P2をΔPとするとき、前記堰により規定された液体流路の空隙の高さR2が下記式を満たすことを特徴とする、
R2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)。
R2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)。
請求項5記載のマイクロ化学チップは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置を備えたことを特徴とする。
請求項6記載のマイクロ化学システムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置を備えたことを特徴とする。
請求項1記載のマイクロバルブ装置によれば、液体流路における合流部の上流側及び下流側の少なくとも一方に液体流路の断面積を小さくする堰が設置されたので、簡単な構造で、微細な流路を流れる液体の遮断及び開放を行うことができる。
請求項2記載のマイクロバルブ装置によれば、液体流路の内壁は、接触角が液体流路を流れる液体に対して30度以下であるので、液体流路2の内壁表面の液体に対する親和性を高くして制御流体の流れを抑制することができる。
請求項3記載のマイクロバルブ装置によれば、堰とバルブ流路との距離が100μm以下であるので、制御流体をバルブ流路側に十分に押し戻すことができる。
請求項4記載のマイクロバルブ装置によれば、堰により規定された液体流路の空隙の高さは、堰により規定された液体流路の空隙の高さR2がR2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)を満たすので、堰により規定された液体流路においてより大きなラプラス圧を発生させることができ、もって液体流路の上流側からかかる圧力に抗して下流側への制御流体の流れを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るマイクロバルブ装置を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロバルブ装置を備えるマイクロ化学システム用チップの構成を概略的に示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)は図1(a)におけるIb−Ib線に沿う断面図を示す。
図2は、図1におけるバルブ流路の近傍における液体流路を説明する断面図である。
なお、図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るマイクロバルブ装置の近傍のみを示しており、各流路(後述する液体流路2及びバルブ流路31)は、マイクロ化学システム用チップの基材の上面に対して、実質的に平行となるように形成されている。
図1及び図2において、マイクロ化学システム用チップ1は、液体流路2を有する基材10と、基材10の内部に形成されたマイクロバルブ装置3とを備える。液体流路2の下流側に、液体流路2の断面積を小さくする堰41が形成されている。
基材10は、液体流路2、堰41、及び後述するバルブ流路31が表面に形成されるチャネル部材12と、チャネル部材12を覆うカバー部材11とから成る。ここで、堰41とバルブ流路31との距離はL(図1)で表され、この距離Lは100μm以下である。
基材10は、親水基を有するガラス、例えば、ソーダライムガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が好適に用いられ、実質的に均等な厚みを有し、水平に配置されている。
マイクロバルブ装置3は、合流部32で液体流路2に交差するバルブ流路31から成るバルブ流路構造と、制御用流体を接続構造51及び接続孔6を介してバルブ流路31に供給する流体制御機構5とを有する。制御用流体としては、液体流路2を流れる液体と混ざらず、かつ、反応しない流体(例えば、空気)を用いることが望ましい。また、流体制御機構5としては、ポンプやシリンジなど、流体を注入する機能を有するものを用いることができる。
バルブ流路31の形状は、断面形状が半円形状のものの他、矩形状等、目的に応じて適宜選択可能である。また、バルブ流路31と液体流路2の形状は同一形状としてもよいし、異なる形状としてもよい。
さらに、図2において、合流部32により規定された液体流路2の空隙の高さをR1、堰41により規定された液体流路の空隙の高さをR2とする。そして、液体流路2の液体に対する接触角(正確には、制御流体中における液体流路2の液体に対する接触角)をθとし、液体の表面張力をσとする。さらに、液体流路2の上流側からの圧力(通常、大気圧と、シリンジ及びマイクロ化学システム用チップを繋げるチューブによる圧力約3000Paとの合計)をP1、下流側からの圧力(通常、大気圧)をP2とするとき、圧力差P1−P2(通常、約3000Pa)をΔPとする。このとき圧力差ΔPは、
ΔP=2・σ・cosθ・(1/R2/2−1/R1/2)=2・σ・cosθ・(2/R2−2/R1)=4・σ・cosθ・(1/R2−1/R1)で表される。
ΔP=2・σ・cosθ・(1/R2/2−1/R1/2)=2・σ・cosθ・(2/R2−2/R1)=4・σ・cosθ・(1/R2−1/R1)で表される。
堰41により規定された液体流路の空隙の高さR2は、圧力差ΔPを押し返す必要があるので、
R2<1/(ΔP/(4・σ・cosθ)+1/R1)
すなわち、
R2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)
となる。
R2<1/(ΔP/(4・σ・cosθ)+1/R1)
すなわち、
R2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)
となる。
液体が水(表面張力σ=76×10−3N/m2)、制御流体が空気、液体(水)と液体流路2の接触角θが30度、圧力差ΔPが3000Paのとき、R1=100μm(100×10−6m)ならばR2≦46.7μm、R1=50μm(50×10−6m)ならばR2≦31.8μmとなる。
また、液体としてエタノール(表面張力σ=24×10−3N/m2)を用いて、他の条件を同じにした場合は、R1=100μm(100×10−6m)ならばR2≦21.6μm、R1=50μm(50×10−6m)ならばR2≦17.8μmとなる。
なお、液体流路2における矢印は液体の流れ方向を示し、バルブ流路31における矢印は制御用流体の流れ方向を示す。
以下、図1のマイクロ化学システム用チップ1の製造方法を説明する。
一般的な溝加工方法として、エッチング法、ドリルによる切削法、サンドブラスト法、及びレーザー加工法等があるが、ガラスの溝加工方法としては、フッ酸を主成分とするエッチング液を用いたエッチング法が好適に用いられる。
堰41の形成法としては、まず、液体流路2における堰41が形成される部分をマスクしておき、その他の液体流路2の部分をエッチングした後に、堰41が形成される部分のマスクを剥がして適当量エッチングする二段エッチング法や、レーザー照射で部分的にエッチング速度を早くすることにより段差の付いたエッチングを行う方法等がある。また、液体流路2の深さよりも低い高さの部材をチャネル部材12又はカバー部材11に後着けすることにより堰41を形成してもよい。
また、カバー部材11の表面には孔開け加工により接続孔6(図4)としての貫通孔を開ける。この孔開け加工には、ドリルによる掘削加工やレーザー加工等を好適に用いることができる。
上述の方法で加工されたチャネル部材12とカバー部材11とを貼り合わせ、マイクロバルブ装置3を備えるマイクロ化学システム用チップ1を作製する。
以下、マイクロ化学システム用チップ1の制御方法を図3〜10を用いて説明する。なお、図4〜10において、斜線部分は液体を表す。
図3は、図1のマイクロ化学システム用チップ1の制御方法を示すフローチャートである。
基本的には、図3のフローチャートに示したフローに従うことによって、液体流路2を流れる液体の遮断及び開放を行うことができる。
図3において、まず、バルブ流路31へ供給される制御流体の供給圧力が一定になるように制御し、図4及び図5に示すように液体供給機構(不図示)により液体流路2へ液体を供給する(ステップS101)。制御流体の供給圧力は液体流路2へ供給される液体の流れに影響を与えない程度に適宜調整される。なお、図4中の液体流路2における矢印は、液体の流れ方向を示す。
液体流路2に液体が流れている状態(図4及び図5)で、バルブ流路31に供給される制御流体の圧力を高くすると(図6)、バルブ流路31における矢印方向(図6)に制御流体が供給され、液体と制御流体との界面60がバルブ流路31から液体流路2へ押しやられ(図7)、合流部32周辺において、液体流路2を流れる液体の圧力とバルブ流路31から液体流路2に流れ込んだ制御流体の圧力との圧力差により、液体の遮断が開始される。バルブ流路31への制御流体の供給がさらに進んで制御流体がバルブ流路31から液体流路2に流れ込むと、図8及び図9に示すように、液体流路2における液体の流れが遮断される(ステップS102)。
液体の流れが遮断されたときに、液体の供給が停止されていないと、合流部32より上流側の液体流路2は加圧されたままであるが、下流側の液体流路2の圧力は0Paに近くなる。従って、液体流路2における合流部32の上流側及び下流側で液体流路2の深さが同じであれば、上流側の二層界面71よりも下流側の二層界面72がより強く液体流路2の下流側に押しやられてしまう。そこで、液体流路2の下流側に堰41を設けて、合流部32により規定された液体流路2の空隙の高さをR1、堰41により規定された液体流路2の空隙の高さをR2、液体流路2の液体に対する接触角をθ、液体の表面張力をσ、液体流路2の上流側からの圧力をP1、液体流路2の下流側からの圧力をP2、圧力P1と圧力P2との差P1−P2をΔPとするとき、堰41により規定された液体流路2の空隙の高さR2がR2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)を満たすようにコントロールすることにより、液体流路2の深さが浅い(断面積が小さい)下流側部分に、より大きなラプラス圧を発生させて、液体流路2の上流側からの圧力に抗して下流側への制御流体の流れを抑制する。なお、液体流路2の内壁は液体に対する接触角を小さくするほど(30度以下)、即ち、液体に対する親和性が高いほど、下流側への制御流体の流れを抑制する効果を大きくすることができ、もってエアバルブとしての効果を大きくすることができる。よって、基材10がガラスの場合は、マイクロ化学システム用チップ1の作製後に液体流路2の内壁に薄いフッ酸等を一度通す等して親水処理をすることが好ましい。
なお、液体流路2の液体の流れが遮断された後は、液体供給機構(不図示)から液体流路2への液体の供給を維持しても良いし、停止しても良い。
液体供給機構(不図示)から液体流路2への液体の供給を停止せずに維持する場合は、流体制御機構5からバルブ流路31への制御流体の供給圧力(マイクロバルブ装置3の圧力)を、マイクロバルブ装置3を閉鎖する(ステップS102)前の圧力に戻すことにより、液体が液体流路2を再び流れるようになる(ステップS103)。
マイクロバルブ装置3により液体流路2における液体の流れが遮断されている状態から、マイクロバルブ装置3の圧力を、マイクロバルブ装置3を閉鎖する前の圧力に戻して、再び液体が液体流路2を流れるまでの過程を図10から図13を用いて説明する。
マイクロバルブ装置3の圧力を、閉鎖前の圧力に戻すと、上流側からの圧力及び表面張力によって液体及び制御流体はバルブ流路31側に押し戻されるが(図10及び図11)、下流側の堰41とバルブ流路31との距離が100μmより大きいと、制御流体がバルブ流路31側に十分に押し戻された状態(図13)にはならず、制御流体の一部が液体流路2に残ってしまう(図12)。
本実施の形態のマイクロバルブ装置3によれば、液体流路2の深さが浅い(断面積が小さい)部分を規定する堰41が、液体流路2における合流部32の下流側に設置されるので、合流部32が規定する液体流路2の部分に比べて、堰41が規定する液体流路2のラプラス圧が高くなる。よって、液体流路2の上流側からの圧力に抗して制御用流体を堰41で停止させることができ、もって、液体流路2における合流部32に存在していた制御用流体をすべてバルブ流路31側に引き戻すことができ、制御用流体を液体流路2の下流側に流してしまうことはない。
また、本実施の形態のマイクロバルブ装置3によれば、制御用流体を供給する流体制御機構5以外は、液体流路2と同様に溝構造のみから成るので、上述した特許文献1のように機械的に可動する微細な弁構造体をバルブ流路3内に設ける必要がない。また、本実施の形態のマイクロバルブ装置3によれば、構造が簡単であり、故障しにくく、機械的な摩擦等により劣化することがないので、気密性を維持することができる。
本実施の形態では、堰41が液体流路2における合流部32の下流側に設置されているが、これに限定されるものではなく、液体流路2を流れる液体にかかる圧力に応じて、液体流路2における合流部32の上流側に設置してもよく、後述する図14乃至図16で示すように、液体流路2における合流部32の上流側及び下流側の両方に設置してもよい。
本実施の形態では、接続孔6が1箇所に設けられているが、これに限定されるものではなく、複数箇所に設けられていてもよい。
以下に、本発明に係る実施例1乃至4を具体的に説明する。
本実施例1乃至4では、液体流路2に供給する液体を水とし、バルブ流路3に供給する制御用流体を空気とし、基材10を水平に配置して、液体流路2及びバルブ流路3を実質的に水平にしている。
実施例1において、図1及び図2に示す構造のガラス製マイクロ化学システム用チップ1を用いた。液体流路2及びバルブ流路31を幅120μm、深さ50μmとし、堰41が規定する液体流路2の深さを20μmとした。
図3のフローに従って、マイクロバルブ装置3の閉鎖及び開放を行い、液体流路2における水の流れを遮断し、再び開放することを試みた。
液体流路2へ水を流し続けたところ(ステップS101)、液体流路2の両端における水圧差は3000Paであった。
次いで、シリンジ等の流体制御機構5を用いてバルブ流路31へ空気を供給したところ、液体流路2における水の流れが遮断された(ステップS102)。
次いで、バルブ流路31における空気を流体制御機構5側に移動させたところ、液体流路2における水の流れは再開し、遮断前の状態に戻った(ステップS103)。
また、実施例2について図15及び図16を用いて説明する。
実施例2において、液体流路2における合流部32の上流側及び下流側の両方に堰42,41が設置されたガラス製マイクロ化学システム用チップ1を用いた。液体流路2及びバルブ流路31を幅120μm、深さ50μmとし、堰42,41が規定する液体流路2の深さを20μmとした。
図3のフローに従って、マイクロバルブ装置3の閉鎖及び開放を行い、液体流路2における水の流れを遮断し、再び開放することを試みた。
液体流路2へ水を流し続けたところ(ステップS101)、液体流路2の両端における水圧差は3000Paであった。
次いで、シリンジ等の流体制御機構5を用いてバルブ流路31へ空気を供給したところ、液体流路2における水の流れが遮断された(ステップS102)。
次いで、バルブ流路31における空気を流体制御機構5側に移動させたところ、液体流路2における水の流れは再開し、遮断前の状態に戻った(ステップS103)。
また、実施例3について図17を用いて説明する。
実施例3において、2つのバルブ流路31を有するガラス製マイクロ化学システム用チップ1を用いた。液体流路2及びバルブ流路31を幅220μm、深さ100μmとし、堰41が規定する液体流路2の深さを30μmとした。
図3のフローに従って、マイクロバルブ装置3の閉鎖及び開放を行い、液体流路2における水の流れを遮断し、再び開放することを試みた。
液体流路2へ水を流し続けたところ(ステップS101)、液体流路2の両端における水圧差は3000Paであった。
次いで、シリンジ等の流体制御機構5を用いてバルブ流路31へ空気を供給したところ、液体流路2における水の流れが遮断された(ステップS102)。
次いで、バルブ流路31における空気を流体制御機構5側に移動させたところ、液体流路2における水の流れは再開し、遮断前の状態に戻った(ステップS103)。
さらに、実施例4について図18乃至図20を用いて説明する。
図18乃至図20は、本発明の実施の形態に係るマイクロバルブ装置3を応用した流路切換チップの構成を概略的に示す平面図である。
図18に示すように、制御流路131,132,133,134内の空気圧が低い場合は、液体流路121,122,123,124へは空気は流れ込まず、接続孔161,162から供給された水は液体流路125を通って液体流路123,124に流れ込み、接続孔163,164に達する。
また、図19に示すように、接続孔172,174における空気圧を上げた場合、空気は液体流路122,124に流れ込む。この場合であっても、堰142,144で空気は止まるため、液体流路125及び液体流路121,123へは空気は流れ込まない。また、接続孔172から導入された空気によって液体流路122内の水の流れは遮断されるため、接続孔161から導入した水のみが液体流路121から液体流路125に流れ込む。さらに、接続孔174から導入された空気によって液体流路124が遮断されるため、液体流路125から流れてきた水は液体流路123を通って接続孔163に達する。
さらに、図20に示すように、接続孔172,173から導入する空気の圧力を接続孔161,163から導入する水の圧力よりも同等か低めに設定し、接続孔171,174における空気圧を上げた場合、空気は液体流路121,124に流れ込む。この場合であっても、堰141,144で空気は止まるため、液体流路125及び液体流路122,123へは空気は流れ込まない。接続孔171から導入された空気によって液体流路121内の水の流れは遮断されるため、接続孔162から導入した水のみが液体流路122から液体流路125に流れ込む。さらに、接続孔174から導入された空気によって液体流路124が遮断されるため、液体流路125から流れてきた水は液体流路123を通って接続孔163に達する。
このように、個々の接続孔にかける圧力を制御することによって、液体導入部分と液体導出部分を任意に選択することができる。
本実施の形態では、液体流路2の下流側に液体流路2の断面積を小さくする堰41が形成されているが、堰41の形状は特に限定されるものではなく、液体の流れ方向から見た断面形状が、例えば、図21(a)乃至(d)に示すような形状であってもよく(但し、図21(a)において、長さaは長さbよりも大きい)、液体の流れ方向と垂直な方向から見た断面形状が、例えば、図21(e)に示すような形状であってもよい。
1 マイクロ化学システム用チップ
2 液体流路
3 マイクロバルブ装置
5 流体制御機構
6 接続孔
10 基材
11 カバー部材
12 チャネル部材
31 バルブ流路
32 合流部
41 堰
51 接続構造
2 液体流路
3 マイクロバルブ装置
5 流体制御機構
6 接続孔
10 基材
11 カバー部材
12 チャネル部材
31 バルブ流路
32 合流部
41 堰
51 接続構造
Claims (6)
- 制御用流体を供給する流体制御機構と、前記供給された制御用流体が流れるバルブ流路構造とを備え、
前記バルブ流路構造を流れる制御用流体を前記バルブ流路構造に接続された液体流路に供給することによって、前記液体流路を流れる液体を遮断及び開放するマイクロバルブ装置であって、
前記バルブ流路構造は合流部で前記液体流路と交差するバルブ流路から成り、
前記液体流路における前記合流部の上流側及び下流側の少なくとも一方に前記液体流路の断面積を小さくする堰が設置されたことを特徴とするマイクロバルブ装置。 - 前記液体流路の内壁は、接触角が前記液体流路を流れる液体に対して30度以下であることを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブ装置。
- 前記堰と前記バルブ流路との距離が100μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロバルブ装置。
- 前記合流部により規定された液体流路の空隙の高さをR1、前記堰により規定された液体流路の空隙の高さをR2、前記液体流路の前記液体に対する接触角をθ、前記液体の表面張力をσ、前記液体流路の上流側からの圧力をP1、前記液体流路の下流側からの圧力をP2、圧力P1と圧力P2との差P1−P2をΔPとするとき、前記堰により規定された液体流路の空隙の高さR2が下記式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置、
R2<4・σ・cosθ・R1/(ΔP・R1+4・σ・cosθ)。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置を備えたことを特徴とするマイクロ化学チップ。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロバルブ装置を備えたことを特徴とするマイクロ化学システム。
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