JP2007231894A - 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 - Google Patents
内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007231894A JP2007231894A JP2006057345A JP2006057345A JP2007231894A JP 2007231894 A JP2007231894 A JP 2007231894A JP 2006057345 A JP2006057345 A JP 2006057345A JP 2006057345 A JP2006057345 A JP 2006057345A JP 2007231894 A JP2007231894 A JP 2007231894A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reducing agent
- internal combustion
- combustion engine
- exhaust gas
- injection
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Abstract
【課題】噴射孔近傍での還元剤の結晶化を防止し、還元剤を安定的に噴射することができる内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気通路中に配置され、内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、NOX触媒の上流側で排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置であって、還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、噴射弁から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、還元剤をNOX触媒の上流側で排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、噴射弁と噴射孔との間に、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】内燃機関の排気通路中に配置され、内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、NOX触媒の上流側で排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置であって、還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、噴射弁から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、還元剤をNOX触媒の上流側で排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、噴射弁と噴射孔との間に、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法に関する。特に、還元剤を用いて排気ガス中のNOXを選択的に還元させる内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法に関する。
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中には、環境汚染を及ぼす窒素酸化物(以下、NOXと称する)等が含まれている。このNOXを還元して排気ガスを浄化するために用いられる浄化装置としてSCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。
このSCRシステムは、NOX触媒に流入する排気ガス中に尿素や燃料ガス(HC)等の還元剤を供給し、NOX触媒においてNOX(NOやNO2)と還元剤とを還元反応させることにより、窒素や水、二酸化炭素等に分解して放出するものである。かかるSCRシステムにおける還元剤の供給方法としては、図8に示すように、タンク307内に貯蔵された液体の還元剤を、液体還元剤供給ポンプ306によって液体の還元剤を圧送し、排気管302内に配置された噴射ノズル320を介して、NOXを吸収した触媒303に対して供給することが一般的である。
ここで、液体のNOXの還元剤は、例えば、尿素水やアンモニア水溶液であり、この液体の還元剤が供給経路の途中で固化した場合には、触媒に対して効率的に供給することができなくなる。
そのため、寒冷時における貯蔵タンクや供給管系の凍結を防ぐ装置手段を備えた排気ガスの浄化装置が開示されている。より具体的には、図8に示すように、液体還元剤の貯蔵タンク307及び供給管系の全体ないし主要部分にわたって電熱線309を配置し、その上に断熱材包囲層317を設け、さらに必要に応じて貯蔵タンク307内にも電熱線加熱手段309を設け、外気温度及び/または還元剤温度に応じてそれらの電熱線309に外部から通電し及びその通電を遮断し液体還元剤の凍結を防止する適宜な温度範囲を維持することができる排気ガスの浄化装置である(特許文献1参照)。
特開2000−27627号公報 (特許請求の範囲 図1)
そのため、寒冷時における貯蔵タンクや供給管系の凍結を防ぐ装置手段を備えた排気ガスの浄化装置が開示されている。より具体的には、図8に示すように、液体還元剤の貯蔵タンク307及び供給管系の全体ないし主要部分にわたって電熱線309を配置し、その上に断熱材包囲層317を設け、さらに必要に応じて貯蔵タンク307内にも電熱線加熱手段309を設け、外気温度及び/または還元剤温度に応じてそれらの電熱線309に外部から通電し及びその通電を遮断し液体還元剤の凍結を防止する適宜な温度範囲を維持することができる排気ガスの浄化装置である(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された排気ガスの浄化装置は、寒冷時における貯蔵タンクや供給管系での液体還元剤の凍結を防止することはできるものの、排気通路に配置された噴射孔の近傍において液体還元剤の主成分が結晶化した場合には、速やかに溶解させることができないものである。すなわち、尿素水溶液やアンモニア水溶液は、凍結による場合のみならず、水分の蒸発による結晶化を生じる場合があるため、還元剤噴射後に噴射孔に還元剤が残留していると、当該噴射孔の近傍において還元剤の主成分が結晶化して、噴射孔が詰まってしまうおそれがある。
例えば、エアアシストタイプの還元剤噴射装置の場合には、還元剤は微粒化されており、受熱面積が大きくなることから、噴射量が比較的少ない場合に還元剤の主成分が結晶化しやすいことが知られている。また、圧力噴射タイプの還元剤噴射装置の場合には、内燃機関の停止時に、通路内に残存した還元剤が排気管の予熱によって加熱され、結晶化を生じやすいことが知られている。この場合に、貯蔵タンクや供給管系を、凍結を防止し得る温度(例えば、50℃)で加熱したとしても、これによって噴射孔先端の結晶化した還元剤の主成分を溶解させるには、相当の時間を要することになると考えられる。したがって、還元剤の噴射が不安定になったり、噴射自体が不可能になったりするおそれがあった。
そこで、本発明の発明者らは鋭意努力し、SCRシステムを備えた内燃機関の排気浄化装置において、液体還元剤の噴射弁と排気通路内に還元剤を噴射するための噴射孔との間に所定の加熱手段を備えることにより、このような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、SCRシステムの噴射孔近傍における還元剤の主成分の結晶化を防止して還元剤供給経路の詰まりを防ぎ、還元剤を安定的に噴射することができる内燃機関の排気浄化装置及びそのような排気浄化装置を用いた排気浄化方法を提供することである。
すなわち、本発明の目的は、SCRシステムの噴射孔近傍における還元剤の主成分の結晶化を防止して還元剤供給経路の詰まりを防ぎ、還元剤を安定的に噴射することができる内燃機関の排気浄化装置及びそのような排気浄化装置を用いた排気浄化方法を提供することである。
本発明によれば、内燃機関の排気通路中に配置され、内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、NOX触媒の上流側で排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置であって、還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、噴射弁から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、還元剤をNOX触媒の上流側で排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、噴射弁と噴射孔との間に、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、噴射孔を排気通路の内周面と実質的に同一の面に備えることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、内燃機関の運転状態をもとに噴射孔近傍における還元剤の温度を推定するとともに、推定される温度が所定範囲内の温度である場合に、加熱手段を作動させることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、噴射弁と噴射孔との間に還元剤の温度測定手段を備えるとともに、測定される温度をもとに制御手段の補正を行う補正手段を備えることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、推定される温度が所定範囲内の温度であっても、還元剤の噴射量が所定量以上の場合には加熱手段の作動を停止することが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、温度測定手段が熱電対であることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、加熱手段がグロープラグであることが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化装置を構成するにあたり、グロープラグを噴射弁と噴射孔との間の還元剤通路内に備え、グロープラグと対峙する還元剤通路の内面を凹凸面とすることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、内燃機関から排出される排気ガス中に噴射孔を介して還元剤を噴射し、当該還元剤が混合された排気ガスをNOX触媒に流入させることにより、排気ガス中のNOXを選択的に還元して排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化方法であって、噴射孔近傍における還元剤の温度が所定範囲内の温度である場合に、加熱手段を作動させることにより、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法である。
また、本発明の内燃機関の排気浄化方法を実施するにあたり、還元剤の温度が所定範囲内の温度であっても、還元剤の噴射量が所定量以上の場合には加熱手段の作動を停止することが好ましい。
また、本発明の内燃機関の排気浄化方法を実施するにあたり、内燃機関の停止時に加熱手段を作動させ、噴射孔に付着した還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することが好ましい。
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、噴射孔近傍に加熱手段を備えることにより、還元剤が結晶化しやすい温度領域にある場合に当該加熱手段を作動させて、還元剤の結晶化を防止することができる。したがって、排気通路内に還元剤を安定的に噴射可能な排気浄化装置を提供することができる。
また、この加熱手段を、噴射孔近傍における還元剤の温度に基づいて作動させる制御手段を備えることにより、加熱手段の作動を最小限に抑えることができるとともに、より適切なタイミングで作動させることができる。
また、この加熱手段を、噴射孔近傍における還元剤の温度に基づいて作動させる制御手段を備えることにより、加熱手段の作動を最小限に抑えることができるとともに、より適切なタイミングで作動させることができる。
また、本発明の内燃機関の排気浄化方法によれば、噴射孔近傍における還元剤の温度に基づいて、噴射孔近傍に配置された加熱手段を作動させることにより、還元剤が結晶化しやすい温度領域にある場合に速やかに加熱手段を作動させて、還元剤が結晶化することを有効に防止することができる。したがって、排気通路内に還元剤を安定的に噴射させることができ、排気ガス中のNOXを効率的に還元除去することができる。
以下、図面を参照して、本発明の内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法に関する実施形態について具体的に説明する。ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態は、内燃機関の排気通路中に配置され、内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、NOX触媒の上流側で排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置である。
本実施形態の排気浄化装置において、還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、噴射弁から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、還元剤をNOX触媒の上流側で排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、噴射弁と噴射孔との間に、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする。
以下、本実施形態にかかる排気浄化装置の構成について、図1及び図2に基づいて具体的に説明する。
本発明の第1の実施の形態は、内燃機関の排気通路中に配置され、内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、NOX触媒の上流側で排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置である。
本実施形態の排気浄化装置において、還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、噴射弁から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、還元剤をNOX触媒の上流側で排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、噴射弁と噴射孔との間に、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする。
以下、本実施形態にかかる排気浄化装置の構成について、図1及び図2に基づいて具体的に説明する。
(1)内燃機関及び排気通路
排気ガスを排出する内燃機関5としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが典型的であるが、現状においてNOXの浄化が課題とされるディーゼルエンジンを対象とすることが適している。また、内燃機関5の回転数や、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を検出する内燃機関の運転状態検出手段17を備えるとともに、当該検出結果を考慮してNOX濃度を推定したり、還元剤噴射量を制御したりできるように構成してあることが好ましい。
また、排気通路11は、内燃機関5の排気ガスの排出口に接続されており、その途中に、NOXを還元するためのNOX触媒13が備えられている。かかる排気通路の断面形状は、円形、楕円、あるいは角柱の排気通路等、特に制限されるものではない。
排気ガスを排出する内燃機関5としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが典型的であるが、現状においてNOXの浄化が課題とされるディーゼルエンジンを対象とすることが適している。また、内燃機関5の回転数や、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を検出する内燃機関の運転状態検出手段17を備えるとともに、当該検出結果を考慮してNOX濃度を推定したり、還元剤噴射量を制御したりできるように構成してあることが好ましい。
また、排気通路11は、内燃機関5の排気ガスの排出口に接続されており、その途中に、NOXを還元するためのNOX触媒13が備えられている。かかる排気通路の断面形状は、円形、楕円、あるいは角柱の排気通路等、特に制限されるものではない。
(2)NOX触媒
本実施形態の排気浄化装置10に用いられるNOX触媒13は、還元剤噴射装置30によって供給される還元剤を用いて、排気ガス中に含まれるNOXを選択的に還元するための触媒である。例えば、還元剤として尿素水を用いた場合には、排気通路中に噴射された尿素水が排気ガス中の熱によって加水分解して生成されたアンモニアによって、排気ガス中に含まれるNOXの還元反応を促進する働きを持つ。これによって、NOXを窒素と水とに効率的に分解して放出することができる。
使用できるNOX触媒は特に制限されるものではなく、公知のもの、例えば、多孔質担体上に、活性成分としてのストロンチウム又はバリウム、及びマグネシウム等のアルカリ土類金属や、セリウムとランタン等の希土類金属、白金とロジウム等の貴金属等を含むものを用いることができる。
本実施形態の排気浄化装置10に用いられるNOX触媒13は、還元剤噴射装置30によって供給される還元剤を用いて、排気ガス中に含まれるNOXを選択的に還元するための触媒である。例えば、還元剤として尿素水を用いた場合には、排気通路中に噴射された尿素水が排気ガス中の熱によって加水分解して生成されたアンモニアによって、排気ガス中に含まれるNOXの還元反応を促進する働きを持つ。これによって、NOXを窒素と水とに効率的に分解して放出することができる。
使用できるNOX触媒は特に制限されるものではなく、公知のもの、例えば、多孔質担体上に、活性成分としてのストロンチウム又はバリウム、及びマグネシウム等のアルカリ土類金属や、セリウムとランタン等の希土類金属、白金とロジウム等の貴金属等を含むものを用いることができる。
(3)還元剤噴射装置
(3)−1 基本的構成
還元剤噴射装置30は、排気ガス中のNOXを還元させる還元剤を、NOX触媒13の上流側で排気通路11中に噴射するための装置である。
かかる還元剤噴射装置30の基本的構成を図2に示す。この還元剤噴射装置30は、液体の還元剤が貯蔵された貯蔵タンク31と、貯蔵タンク31から加圧ポンプ35によって汲み上げられた還元剤を噴射する噴射弁(インジェクタ)36と、インジェクタ36から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段(エアポンプ)33と、微粒化された還元剤をNOX触媒13の上流側で排気通路11中に噴射する噴射孔15と、を備えている。すなわち、貯蔵タンク31内の液体の還元剤をインジェクタ36により混合室内に噴射するとともに、エアポンプ33で発生させた高圧エアを送り込み、還元剤を微粒化した上で、噴射ノズル15を介して排気通路中に噴射させることができる。
(3)−1 基本的構成
還元剤噴射装置30は、排気ガス中のNOXを還元させる還元剤を、NOX触媒13の上流側で排気通路11中に噴射するための装置である。
かかる還元剤噴射装置30の基本的構成を図2に示す。この還元剤噴射装置30は、液体の還元剤が貯蔵された貯蔵タンク31と、貯蔵タンク31から加圧ポンプ35によって汲み上げられた還元剤を噴射する噴射弁(インジェクタ)36と、インジェクタ36から噴射された還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段(エアポンプ)33と、微粒化された還元剤をNOX触媒13の上流側で排気通路11中に噴射する噴射孔15と、を備えている。すなわち、貯蔵タンク31内の液体の還元剤をインジェクタ36により混合室内に噴射するとともに、エアポンプ33で発生させた高圧エアを送り込み、還元剤を微粒化した上で、噴射ノズル15を介して排気通路中に噴射させることができる。
(3)−2 加熱手段
ここで、本実施形態の排気浄化装置10においては、還元剤噴射装置30における噴射弁(インジェクタ)36と噴射孔15との間に、霧状にされた還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段20を備えることを特徴とする。かかる加熱手段20を備えることにより、インジェクタ36と噴射孔15との間において、還元剤の主成分が結晶化することを防ぐことができる。
より具体的には、還元剤が尿素水である場合に、含まれる水分の沸点(100℃)よりも尿素の沸点(約135℃)の方が高く、およそ80℃未満の温度領域においては、液体の尿素水として存在するものの、およそ80〜130℃の温度領域においては、水分のみが蒸発し、尿素が結晶化するおそれがある。したがって、尿素が結晶化しそうな温度領域(およそ80〜130℃)にある場合には、加熱手段を作動させ、尿素自体を融点以上の温度に加熱することにより、尿素の結晶化を防止することができる。
したがって、排気通路内に、還元剤を安定的に噴射することができ、排気ガス中のNOXを効率的に還元し、排気ガスを浄化することができる。
ここで、本実施形態の排気浄化装置10においては、還元剤噴射装置30における噴射弁(インジェクタ)36と噴射孔15との間に、霧状にされた還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段20を備えることを特徴とする。かかる加熱手段20を備えることにより、インジェクタ36と噴射孔15との間において、還元剤の主成分が結晶化することを防ぐことができる。
より具体的には、還元剤が尿素水である場合に、含まれる水分の沸点(100℃)よりも尿素の沸点(約135℃)の方が高く、およそ80℃未満の温度領域においては、液体の尿素水として存在するものの、およそ80〜130℃の温度領域においては、水分のみが蒸発し、尿素が結晶化するおそれがある。したがって、尿素が結晶化しそうな温度領域(およそ80〜130℃)にある場合には、加熱手段を作動させ、尿素自体を融点以上の温度に加熱することにより、尿素の結晶化を防止することができる。
したがって、排気通路内に、還元剤を安定的に噴射することができ、排気ガス中のNOXを効率的に還元し、排気ガスを浄化することができる。
かかる加熱手段を備えた還元剤噴射装置の具体的な構成例について、図3〜図5を参照して説明する。
図3(a)〜(b)は、加熱手段としてグロープラグ20Aを備え、排気通路11に取り付けられた状態の還元剤噴射装置30の一部を示しており、図3(a)は、排気通路11に取り付けられた状態の還元剤噴射装置30を上方から見た図であり、図3(b)は、図3(a)中のAA断面を矢印方向から見た断面図である。また、図4(a)〜(c)は、還元剤噴射装置30の全体構成を示しており、図4(a)は、還元剤噴射装置30を側方から見た図であり、図4(b)は、図4(a)の還元剤噴射装置30を矢印B方向から見た図であり、図4(c)は、図4(a)の還元剤噴射装置30のCC断面を矢印方向から見た断面図である。また、図5(a)〜(c)は、グロープラグ20Aが装着された還元剤通路(ノズル部)44を示しており、図5(a)は、ノズル部44及びグロープラグ20Aを噴射孔側(図5(c)中の矢印F方向)から見た図であり、図5(b)は、図5(a)中のDD断面を矢印方向から見た断面図であり、図5(c)は、図5(a)中のEE断面を矢印方向から見た断面図である。
図3(a)〜(b)は、加熱手段としてグロープラグ20Aを備え、排気通路11に取り付けられた状態の還元剤噴射装置30の一部を示しており、図3(a)は、排気通路11に取り付けられた状態の還元剤噴射装置30を上方から見た図であり、図3(b)は、図3(a)中のAA断面を矢印方向から見た断面図である。また、図4(a)〜(c)は、還元剤噴射装置30の全体構成を示しており、図4(a)は、還元剤噴射装置30を側方から見た図であり、図4(b)は、図4(a)の還元剤噴射装置30を矢印B方向から見た図であり、図4(c)は、図4(a)の還元剤噴射装置30のCC断面を矢印方向から見た断面図である。また、図5(a)〜(c)は、グロープラグ20Aが装着された還元剤通路(ノズル部)44を示しており、図5(a)は、ノズル部44及びグロープラグ20Aを噴射孔側(図5(c)中の矢印F方向)から見た図であり、図5(b)は、図5(a)中のDD断面を矢印方向から見た断面図であり、図5(c)は、図5(a)中のEE断面を矢印方向から見た断面図である。
図3(a)〜(b)に示すように、還元剤噴射装置30は、排気通路11に固定されたフランジ部41に取り付けられており、このフランジ部41には、温度測定手段としての熱電対21Aを固定するためのコネクタ部42が設けられている。かかるコネクタ部42を備えることにより、温度測定手段を容易に配置することができる。
また、還元剤噴射装置30は、フランジ部41に対して、ガスケット43を介してボルト等により固定されている。このガスケット43を備えることにより、フランジ部41と還元剤噴射装置30との間に間隙が形成され、排気通路11から受ける伝熱面積が低減されるとともに、気密性が確保されている。
また、還元剤噴射装置30は、フランジ部41に対して、ガスケット43を介してボルト等により固定されている。このガスケット43を備えることにより、フランジ部41と還元剤噴射装置30との間に間隙が形成され、排気通路11から受ける伝熱面積が低減されるとともに、気密性が確保されている。
また、図4(a)〜(c)に示すように、還元剤を噴射孔15に導くノズル部44には、インジェクタ36を排気通路(図示せず)の熱から遮熱するとともにインジェクタ36を固定するためのブラケット45が取り付けられている。このブラケット45に対してインジェクタ36が挿入されるとともに、インジェクタ36におけるブラケット45とは反対側にはアダプタ46が取り付けられ、固定クリップ47及び固定ボルト48によって、ブラケット45に対して強固に固定されている。
このようにインジェクタ36が取り付けられていることにより、インジェクタ36を排気通路から離れた位置に配置できるとともに、ブラケット45が放熱板としても作用し、インジェクタ36が高温の熱に犯されることを防止することができる。したがって、使用可能なインジェクタの種類が制限されることがなく選択の幅が広がる。
このようにインジェクタ36が取り付けられていることにより、インジェクタ36を排気通路から離れた位置に配置できるとともに、ブラケット45が放熱板としても作用し、インジェクタ36が高温の熱に犯されることを防止することができる。したがって、使用可能なインジェクタの種類が制限されることがなく選択の幅が広がる。
また、インジェクタ36には、貯蔵タンク(図示せず)から加圧ポンプ(図示せず)を介して液体還元剤が供給され、インジェクタ36の作動周波数やパルス幅を調整することにより、還元剤の供給量が制御される。
さらに、ノズル部44には、空気供給管49が接続されるとともに、後述する圧縮エア供給手段(図示せず)が、弁を介して接続されている。
さらに、ノズル部44には、空気供給管49が接続されるとともに、後述する圧縮エア供給手段(図示せず)が、弁を介して接続されている。
また、図5(a)〜(c)に示すように、ノズル部44はノズル本体部51とホルダ部52とからなり、ホルダ部52には加熱手段としてのグロープラグ20Aが締め付け固定されている。また、ホルダ部52にはエア供給通路53が設けられているとともに、当該エア供給通路53の途中に還元剤の供給通路54が接続され、霧状の還元剤がノズル本体部51に供給されるように流路が形成されている。また、ノズル本体部51は、ガスケット55を介して、ホルダ部52と固定用ボルト56によって締め付け固定されている。このホルダ部52とノズル本体部51との間には、ガスケット55によって間隙が形成され、気密性を確保しつつ、伝熱面積の低減が図られている。
(3)−3 凹凸面
また、図5(a)〜(c)に示すノズル本体部51は、グロープラグ20Aと対峙する内周面が凹凸面とされている。このような凹凸面を設けることにより、霧状の還元剤がノズル部44を通過する際に乱れが大きくなり、還元剤の微粒化を促進させることができる。また、還元剤の流路の表面積が大きくなるため、ノズル部44を通過する還元剤が、グロープラグ20Aから受ける受熱効率の向上を図ることができる。
また、このような凹凸面を設けるにあたり、ノズル本体部51の内面に螺旋溝57を形成することが好ましい。このような螺旋溝57とすることにより、還元剤がグロープラグ20Aに接しながら流れる通路の全長を長くすることができるため、受熱効率をさらに向上することができるためである。
また、図5(a)〜(c)に示すノズル本体部51は、グロープラグ20Aと対峙する内周面が凹凸面とされている。このような凹凸面を設けることにより、霧状の還元剤がノズル部44を通過する際に乱れが大きくなり、還元剤の微粒化を促進させることができる。また、還元剤の流路の表面積が大きくなるため、ノズル部44を通過する還元剤が、グロープラグ20Aから受ける受熱効率の向上を図ることができる。
また、このような凹凸面を設けるにあたり、ノズル本体部51の内面に螺旋溝57を形成することが好ましい。このような螺旋溝57とすることにより、還元剤がグロープラグ20Aに接しながら流れる通路の全長を長くすることができるため、受熱効率をさらに向上することができるためである。
ただし、ノズル本体部の内面に螺旋溝を形成する場合に、図6(a)〜(c)に示すように、ノズル本体部51の内周面に螺旋溝57が設けられた領域Aを設ける一方、グロープラグ20Aとノズル本体部51の内周面とが接するとともに、その一部に流路59が形成された領域Bを設けることが好ましい。このように構成することにより、螺旋溝57が形成された領域Aにおいて微粒化や受熱効率の向上を図るとともに、領域Bにおいてグロープラグ20Aの熱をノズル本体51に伝達することができ、さらなる受熱効率の向上と制御性の向上を図ることができる。
なお、図6(a)はグロープラグ20Aが装着されたノズル部44の断面図であり、図6(b)は、図6(a)中のGG断面を矢印方向から見た断面図であり、図6(c)は、図6(a)中のHH断面を矢印方向から見た断面図である。
なお、図6(a)はグロープラグ20Aが装着されたノズル部44の断面図であり、図6(b)は、図6(a)中のGG断面を矢印方向から見た断面図であり、図6(c)は、図6(a)中のHH断面を矢印方向から見た断面図である。
(3)−4 噴射孔の配置位置
ここで、図3(b)に示すように、排気通路11内に還元剤を噴射する噴射孔15を、排気通路11の内周面11aと実質的に同一の面に備えることが好ましい。噴射孔15をこのように配置することにより、排気ガスの温度の影響によって噴射孔15付近の還元剤が加熱され、還元剤の主成分が結晶化することを防止することができるためである。
具体的には、図7(a)に示すように、噴射ノズル215が排気通路220内に突出して配置されている場合には、排気ガスの温度の影響を受けやすくなり、排気ガスが高温状態にあると還元剤中の水分のみが蒸発して、結晶化を生じやすい。これに対し、図7(b)に示すように、噴射孔15を排気通路11の内周面11aと実質的に同一の面に備える場合には、排気ガスの温度の影響を受けにくくできるために、還元剤の結晶化を抑えることができる。
ここで、図3(b)に示すように、排気通路11内に還元剤を噴射する噴射孔15を、排気通路11の内周面11aと実質的に同一の面に備えることが好ましい。噴射孔15をこのように配置することにより、排気ガスの温度の影響によって噴射孔15付近の還元剤が加熱され、還元剤の主成分が結晶化することを防止することができるためである。
具体的には、図7(a)に示すように、噴射ノズル215が排気通路220内に突出して配置されている場合には、排気ガスの温度の影響を受けやすくなり、排気ガスが高温状態にあると還元剤中の水分のみが蒸発して、結晶化を生じやすい。これに対し、図7(b)に示すように、噴射孔15を排気通路11の内周面11aと実質的に同一の面に備える場合には、排気ガスの温度の影響を受けにくくできるために、還元剤の結晶化を抑えることができる。
(3)−5 温度測定手段
また、図3(a)〜(b)に示すように、噴射孔15の近傍に、噴射孔15付近における還元剤の温度を測定するための温度測定手段21を備えることが好ましい。かかる温度測定手段21を備えることにより、還元剤が結晶化しやすい状態にあるかどうかを検知して、加熱手段20をタイミングよく作動させることができるためである。
すなわち、当該温度測定手段21により測定される温度をもとに、直接的に加熱手段20の作動タイミングを計ることもでき、あるいは、温度測定手段21により測定される温度をもとに、加熱手段20を作動させる制御手段(図1中58)を補正することもできる。
かかる温度測定手段は、温度センサをはじめとして特に制限されるものではないが、例えば、図3(a)〜(b)に示す還元剤噴射装置30においては、熱電対21Aが用いられている。熱電対を用いることにより、生産コストを低く抑えながら、良好な計測レスポンスが得られ、制御性の向上を図ることができる。
また、図3(a)〜(b)に示すように、噴射孔15の近傍に、噴射孔15付近における還元剤の温度を測定するための温度測定手段21を備えることが好ましい。かかる温度測定手段21を備えることにより、還元剤が結晶化しやすい状態にあるかどうかを検知して、加熱手段20をタイミングよく作動させることができるためである。
すなわち、当該温度測定手段21により測定される温度をもとに、直接的に加熱手段20の作動タイミングを計ることもでき、あるいは、温度測定手段21により測定される温度をもとに、加熱手段20を作動させる制御手段(図1中58)を補正することもできる。
かかる温度測定手段は、温度センサをはじめとして特に制限されるものではないが、例えば、図3(a)〜(b)に示す還元剤噴射装置30においては、熱電対21Aが用いられている。熱電対を用いることにより、生産コストを低く抑えながら、良好な計測レスポンスが得られ、制御性の向上を図ることができる。
(3)−6 圧縮エア供給手段
また、図2に示す圧縮エア供給手段33としては、専用のエアポンプを用いることもできるし、あるいはエンジン側のコンプレッサーを併用して用いることもできる。エンジン側のコンプレッサーを使用した場合には、部品点数を減らすことができ、生産コストを抑えることができる。
なお、かかる圧縮エア供給手段を備えていることにより、還元剤噴射後においては、加熱手段で加熱しつつ圧縮エアを供給することにより、ノズル部の還元剤を洗浄することができるため、エンジンの停止中等における目詰まりの発生を防止することができる。また、図示しないが、インジェクタ内にエア通路を連結しておき、エアを供給すれば、インジェクタ内部に残留する還元剤を除去することもできるため、還元剤噴射の安定性をより向上させることができる。
また、図2に示す圧縮エア供給手段33としては、専用のエアポンプを用いることもできるし、あるいはエンジン側のコンプレッサーを併用して用いることもできる。エンジン側のコンプレッサーを使用した場合には、部品点数を減らすことができ、生産コストを抑えることができる。
なお、かかる圧縮エア供給手段を備えていることにより、還元剤噴射後においては、加熱手段で加熱しつつ圧縮エアを供給することにより、ノズル部の還元剤を洗浄することができるため、エンジンの停止中等における目詰まりの発生を防止することができる。また、図示しないが、インジェクタ内にエア通路を連結しておき、エアを供給すれば、インジェクタ内部に残留する還元剤を除去することもできるため、還元剤噴射の安定性をより向上させることができる。
(3)−7 還元剤
また、還元剤としては、尿素水、アンモニア水溶液が典型的であるが、燃料(HC)を用いることもでき、さらには、NOXを還元させることができるものであれば、好適に使用することができる。
例えば、尿素水を使用した場合には、排気通路中に噴射された尿素が排気ガス中の熱によって加水分解することによりアンモニア(NH3)が生成され、このNH3と排気ガス中のNOX(NOやNO2)がNOX触媒中で反応することによりNOXが還元され、窒素(N2)と水(H2O)に分解されて排出される。
また、還元剤としては、尿素水、アンモニア水溶液が典型的であるが、燃料(HC)を用いることもでき、さらには、NOXを還元させることができるものであれば、好適に使用することができる。
例えば、尿素水を使用した場合には、排気通路中に噴射された尿素が排気ガス中の熱によって加水分解することによりアンモニア(NH3)が生成され、このNH3と排気ガス中のNOX(NOやNO2)がNOX触媒中で反応することによりNOXが還元され、窒素(N2)と水(H2O)に分解されて排出される。
(4)制御手段
また、図1に示すように、本実施形態の排気浄化装置10は、内燃機関の運転状態をもとに噴射孔15近傍における還元剤の温度を推定するとともに、推定される温度が所定範囲内の温度である場合に、加熱手段20を作動させるための制御手段58を備えている。この制御手段58によって、還元剤の温度が、還元剤の主成分が結晶化しやすい温度領域(還元剤が尿素水の場合には約80〜130℃)にある場合に、加熱手段20を速やかに作動させて、結晶化を防ぐことができる。
例えば、内燃機関の回転数や燃料噴射量、噴射タイミング等の運転状態をもとに推定される排気ガス温度から、当該排気ガス温度の影響を受けた場合に推定される還元剤の温度情報に関するマップをあらかじめ組み入れ、当該マップ情報に基づき加熱手段を作動させることができる。
また、図1に示すように、本実施形態の排気浄化装置10は、内燃機関の運転状態をもとに噴射孔15近傍における還元剤の温度を推定するとともに、推定される温度が所定範囲内の温度である場合に、加熱手段20を作動させるための制御手段58を備えている。この制御手段58によって、還元剤の温度が、還元剤の主成分が結晶化しやすい温度領域(還元剤が尿素水の場合には約80〜130℃)にある場合に、加熱手段20を速やかに作動させて、結晶化を防ぐことができる。
例えば、内燃機関の回転数や燃料噴射量、噴射タイミング等の運転状態をもとに推定される排気ガス温度から、当該排気ガス温度の影響を受けた場合に推定される還元剤の温度情報に関するマップをあらかじめ組み入れ、当該マップ情報に基づき加熱手段を作動させることができる。
また、上述のマップ情報に基づき加熱手段を作動させるにあたり、噴射孔の近傍に、上述した温度測定手段を備える場合には、温度制御手段で測定される還元剤の温度情報をもとに、制御手段の補正を行う補正手段を備えることが好ましい。これによって、加熱手段の作動時期をより緻密に制御することができる。
一方、上述した温度測定手段を備える場合には、測定される温度情報に基づいて直接的に加熱手段を作動させることもできる。
一方、上述した温度測定手段を備える場合には、測定される温度情報に基づいて直接的に加熱手段を作動させることもできる。
さらに、制御手段によって推定される温度が所定範囲内にある場合であっても、還元剤の噴射量が所定量以上の場合には、加熱手段を作動させないように制御することが好ましい。すなわち、還元剤の噴射量が所定量以上であれば、ノズル部内で還元剤が滞留するおそれが少なく、還元剤の結晶化の危険性が小さいためである。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の内燃機関の排気浄化装置を用いて行われる排気浄化方法であって、内燃機関から排出される排気ガス中に噴射孔を介して還元剤を噴射し、当該還元剤が混合された排気ガスをNOX触媒に流入させることにより、排気ガス中のNOXを選択的に還元して排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化方法である。
かかる内燃機関の排気浄化方法は、還元剤の温度が所定範囲内の温度である場合に加熱手段を作動させることにより、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することを特徴とする。
なお、以下の排気浄化方法は、図3に示す、加熱手段としてグロープラグ20Aを用いた還元剤噴射装置30を用いた例である。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の内燃機関の排気浄化装置を用いて行われる排気浄化方法であって、内燃機関から排出される排気ガス中に噴射孔を介して還元剤を噴射し、当該還元剤が混合された排気ガスをNOX触媒に流入させることにより、排気ガス中のNOXを選択的に還元して排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化方法である。
かかる内燃機関の排気浄化方法は、還元剤の温度が所定範囲内の温度である場合に加熱手段を作動させることにより、還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することを特徴とする。
なお、以下の排気浄化方法は、図3に示す、加熱手段としてグロープラグ20Aを用いた還元剤噴射装置30を用いた例である。
図1に示す排気浄化装置10において、内燃機関5から排出される排気ガスに対して、NOX触媒13の上流側の排気通路に配置された還元剤噴射装置30の噴射孔15から噴射された還元剤が混合される。この還元剤が混合された排気ガスがNOX触媒13に流入し、還元剤による排気ガス中のNOXの還元反応が促進され、排気ガスが効率的に浄化される。
噴射される還元剤の量は、内燃機関5の回転数や燃料噴射量、噴射タイミング等から推定される排気ガス中のNOX量に応じて設定される。
噴射される還元剤の量は、内燃機関5の回転数や燃料噴射量、噴射タイミング等から推定される排気ガス中のNOX量に応じて設定される。
このように還元剤を供給するにあたり、内燃機関5の運転状態等をもとに、噴射孔15近傍で排気ガス温度の影響を受ける還元剤の温度を推定し、当該還元剤温度が所定範囲内(尿素水の場合、例えば80〜130℃)にある場合には、図3に示すグロープラグ20Aを作動させ、還元剤通路(ノズル部と称する場合がある)44を通過する還元剤を、還元剤の主成分の融点以上(尿素の場合約135℃以上)に加熱する。これによって、ノズル部44内において還元剤の主成分が結晶化することを防止することができ、還元剤を安定的に噴射させることができる。したがって、排気ガス中のNOXを効率的に還元し、排気ガスの浄化効率を向上させることができる。
また、上述のように還元剤の温度を推定する場合に、還元剤噴射装置30のノズル部44に接続された熱電対21Aにより噴射孔15近傍の還元剤の温度を測定するとともに、当該温度に基づいてグロープラグ20Aの作動タイミングの補正を行うことが好ましい。これによって、グロープラグ20Aをより適切なタイミングで作動させることができる。
さらに、還元剤の温度に基づいてグロープラグ20Aを作動させる場合であっても、還元剤の噴射量が所定量を超える場合には、グロープラグ20Aを作動させないように制御することが好ましい。このように制御することにより、グロープラグ20Aの作動時間を最小限にすることができるために、エネルギ利用効率を低下させないようにできるためである。
なお、図3に示す還元剤噴射装置30を用いた場合、インジェクタ36部分は排気通路11から離れた位置に固定されているとともに、ブラケット45によって遮熱されているために、インジェクタ36内の還元剤が排気ガスの温度の影響を受けて結晶化する可能性は極めて低くなっている。
以上のように、グロープラグを適宜作動させながら還元剤を噴射させることにより、内燃機関の運転時において、還元剤がインジェクタやノズル部において結晶化することを防止することができる。したがって、運転時においては、排気通路中に還元剤を安定的に噴射させることができ、排気ガス中のNOXを効率的に還元除去することができる。
一方、内燃機関の停止時には、還元剤の供給を中止し、グロープラグを作動させるとともに圧縮エア供給手段から圧縮エアを供給することにより、ノズル部に残留する還元剤を排気通路内に放出させることができる。また、圧縮エアを供給し、還元剤の貯蔵タンクからの圧送をしない状態でインジェクタを開放することにより、インジェクタ及び貯蔵タンクからインジェクタまでの間の還元剤通路内の還元剤を除去することができる。したがって、内燃機関が停止している間に、インジェクタやノズル部等において還元剤が結晶化することを防ぐことができ、次回の内燃機関の始動時に、還元剤を速やかにかつ安定的に噴射させることができる。
一方、内燃機関の停止時には、還元剤の供給を中止し、グロープラグを作動させるとともに圧縮エア供給手段から圧縮エアを供給することにより、ノズル部に残留する還元剤を排気通路内に放出させることができる。また、圧縮エアを供給し、還元剤の貯蔵タンクからの圧送をしない状態でインジェクタを開放することにより、インジェクタ及び貯蔵タンクからインジェクタまでの間の還元剤通路内の還元剤を除去することができる。したがって、内燃機関が停止している間に、インジェクタやノズル部等において還元剤が結晶化することを防ぐことができ、次回の内燃機関の始動時に、還元剤を速やかにかつ安定的に噴射させることができる。
5:内燃機関、10:排気浄化装置、11:排気通路、13:NOX触媒、15:噴射孔、17:運転状態検知手段、19:酸化触媒、20:加熱手段、20A:グロープラグ、21:温度測定手段、21A:熱電対、30:還元剤噴射装置、31:貯蔵タンク、33:エアポンプ、35:加圧ポンプ、36:インジェクタ、41:フランジ部、42:コネクタ部、43:ガスケット、44:ノズル部、45:ブラケット、46:アダプタ、47:固定クリップ、48:固定ボルト、49:空気供給管、51:ノズル本体部、52:ホルダ部、53:エア供給通路、54:還元剤供給通路、55:ガスケット、56:固定用ボルト、57:螺旋溝、58:制御手段、59:流路
Claims (11)
- 内燃機関の排気通路中に配置され、前記内燃機関から排出される排気ガス中のNOXを選択的に還元するためのNOX触媒と、前記NOX触媒の上流側で前記排気通路内に還元剤を噴射するための還元剤噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記還元剤噴射装置は、貯蔵タンクから圧送されてくる還元剤を噴射する噴射弁と、前記噴射弁から噴射された前記還元剤を微粒化するための圧縮エア供給手段と、前記還元剤を前記NOX触媒の上流側で前記排気通路内に噴射する噴射孔と、を備え、
前記噴射弁と噴射孔との間に、前記還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記噴射孔を前記排気通路の内周面と実質的に同一の面に備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記内燃機関の運転状態をもとに前記噴射孔近傍における前記還元剤の温度を推定するとともに、推定される温度が所定範囲内の温度である場合に、前記加熱手段を作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記噴射弁と噴射孔との間に前記還元剤の温度測定手段を備えるとともに、測定される温度をもとに前記制御手段の補正を行う補正手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記推定される温度が所定範囲内の温度であっても、前記還元剤の噴射量が所定量以上の場合には前記加熱手段の作動を停止することを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記温度測定手段が熱電対であることを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記加熱手段がグロープラグであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記グロープラグを前記噴射弁と噴射孔との間の還元剤通路内に備え、前記グロープラグと対峙する前記還元剤通路の内面を凹凸面とすることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 内燃機関から排出される排気ガス中に噴射孔を介して還元剤を噴射し、当該還元剤が混合された排気ガスをNOX触媒に流入させることにより、前記排気ガス中のNOXを選択的に還元して前記排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化方法において、
前記噴射孔近傍における前記還元剤の温度が所定範囲内の温度である場合に、加熱手段を作動させることにより、前記還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法。 - 前記還元剤の温度が所定範囲内の温度であっても、前記還元剤の噴射量が所定量以上の場合には前記加熱手段の作動を停止することを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の排気浄化方法。
- 前記内燃機関の停止時に前記加熱手段を作動させ、前記噴射孔に付着した前記還元剤を、当該還元剤の主成分の融点以上に加熱することを特徴とする請求項9又は10に記載の内燃機関の排気浄化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006057345A JP2007231894A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006057345A JP2007231894A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007231894A true JP2007231894A (ja) | 2007-09-13 |
Family
ID=38552729
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006057345A Withdrawn JP2007231894A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007231894A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010029792A1 (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-18 | ボッシュ株式会社 | 内燃機関の排気浄化装置及びその制御方法 |
JP2010127078A (ja) * | 2008-11-25 | 2010-06-10 | Toyota Motor Corp | 尿素タンクシステム、尿素補給方法及びインジェクタ清掃方法 |
JP5635695B1 (ja) * | 2013-03-26 | 2014-12-03 | 株式会社小松製作所 | 作業車両、及びホイールローダ |
JP2016053373A (ja) * | 2010-07-28 | 2016-04-14 | アークイス アンド アークイス エス アー | 自動車の排ガス中のNOx排出量を低減するための方法 |
KR101708127B1 (ko) * | 2015-09-30 | 2017-02-17 | 두산엔진주식회사 | 환원제 분사 시스템 |
CN114592948A (zh) * | 2020-12-04 | 2022-06-07 | 佛吉亚排气系统有限公司 | 废气后处理装置 |
-
2006
- 2006-03-03 JP JP2006057345A patent/JP2007231894A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010029792A1 (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-18 | ボッシュ株式会社 | 内燃機関の排気浄化装置及びその制御方法 |
JP2010127078A (ja) * | 2008-11-25 | 2010-06-10 | Toyota Motor Corp | 尿素タンクシステム、尿素補給方法及びインジェクタ清掃方法 |
JP2016053373A (ja) * | 2010-07-28 | 2016-04-14 | アークイス アンド アークイス エス アー | 自動車の排ガス中のNOx排出量を低減するための方法 |
JP5635695B1 (ja) * | 2013-03-26 | 2014-12-03 | 株式会社小松製作所 | 作業車両、及びホイールローダ |
KR101708127B1 (ko) * | 2015-09-30 | 2017-02-17 | 두산엔진주식회사 | 환원제 분사 시스템 |
CN114592948A (zh) * | 2020-12-04 | 2022-06-07 | 佛吉亚排气系统有限公司 | 废气后处理装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8011176B2 (en) | Exhaust emission purifying apparatus for internal combustion engine | |
US7930878B2 (en) | Method and apparatus for rapidly thawing frozen NOx reductant | |
JP4895888B2 (ja) | 還元剤添加システムの解凍判定装置及びエンジンの排気浄化装置 | |
JP2007231894A (ja) | 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 | |
JP3732493B2 (ja) | エンジンの排気浄化装置 | |
EP2753805B1 (en) | Method for reducing nox in an exhaust system of an internal combustion engine | |
JP2000027627A (ja) | 排気ガス浄化触媒用還元剤保温装置及びそれを組込んだ排気ガス浄化装置 | |
US20090038299A1 (en) | Reducing agent injector having purge heater | |
WO2011148809A1 (ja) | Scrシステム | |
JP3718208B2 (ja) | エンジンの排気浄化装置 | |
JP2007198316A (ja) | 内燃機関の排気浄化装置及び排気浄化方法 | |
BRPI1004311A2 (pt) | sistema de pós-tratamento de exaustão com dispositivo aquecido | |
JP2007100672A (ja) | 内燃機関の排気浄化装置、及び内燃機関の排気浄化方法 | |
JP6046492B2 (ja) | 還元剤の送給装置の作動方法 | |
JP2008038728A (ja) | 還元剤供給装置及び還元剤供給装置の制御方法 | |
JP5136450B2 (ja) | 排気浄化システムの異常診断装置 | |
JP2015529299A (ja) | 捲縮ピントルを備える反応剤インジェクター | |
JP2013228231A (ja) | ガスセンサシステム | |
JP2006077691A (ja) | ディーゼルエンジンの排気浄化システム | |
JP5500909B2 (ja) | 排気浄化装置 | |
JP2009041370A (ja) | 内燃機関の排気浄化装置 | |
US20120117951A1 (en) | Selective catalytic reduction catalyst ammonia storage control systems and methods | |
US11131228B2 (en) | Method for preventing a risk of freezing in a reducing-agent feeding device of a selective catalytic reduction system | |
JP2007138719A (ja) | Nox浄化システム及びnox浄化システムの目詰まり検証方法 | |
US7332142B2 (en) | Method and apparatus for bubble injection of agent into exhaust gas for use with emission abatement device |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090512 |