JP2007229676A - 液相成膜装置および液相成膜方法 - Google Patents

液相成膜装置および液相成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板のような対象物の被処理面に液材を液相状態で成膜することができる液相成膜装置および液相成膜方法を提供すること。
【解決手段】液材Mを液相状態で対象物25の被処理面26に成膜するための液相成膜装置10であり、対象物25の被処理面26に液材Mを成膜するために対象物25を搭載する搭載部40と、吐出ユニット先端部60を有しており、搭載部40の対象物25の被処理面26に対して相対的に移動することで、対象物25の被処理面26に吐出ユニット先端部60から液材Mを連続的に付着させるための吐出ユニット20と、液材Mを収容する液材収容部30と液材Mを液材収容部30から吐出ユニット先端部60に導くために、吐出ユニット20の位置に対して液材収容部30の高さ位置を変更するための高さ位置変更操作部31とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液材を液相状態で対象物の被処理面に成膜するための液相成膜装置および液相成膜方法に関するものである。
たとえば表示装置の一例として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置では、隔壁を作るために、フォトリソグラフィー技術を用いている(たとえば特許文献1。)。
特開平8−315981号公報(第5頁、図5)
フォトリソグラフィーを用いる場合には、たとえばSiO膜の上にスピンコートによりフォトレジストを成膜して、フォトレジストブリッジを残すようにフォトリソグラフィーを用いてフォトレジストパターンを形成する必要がある。そして、このフォトレジストブリッジをマスクとして用いて、エッチングによりSiO膜をエッチングするといった複雑な手順と工数が必要となる。
そこで本発明は上記課題を解消し、基板のような対象物の被処理面に液材を液相状態で成膜することができる液相成膜装置および液相成膜方法を提供することを目的としている。
第1の発明は、液材を液相状態で対象物の被処理面に成膜するための液相成膜装置であり、前記対象物の前記被処理面に前記液材を成膜するために前記対象物を搭載する搭載部と、吐出ユニット先端部を有しており、前記搭載部の前記対象物の前記被処理面に対して相対的に移動することで、前記対象物の前記被処理面に前記吐出ユニット先端部から前記液材を連続的に付着させるための吐出ユニットと、前記液材を収容する液材収容部と前記液材を前記液材収容部から前記吐出ユニット先端部に導くために、前記吐出ユニットの位置に対して前記液材収容部の高さ位置を変更するための高さ位置変更操作部と、を備えることを特徴とする液相成膜装置である。
上記構成によれば、搭載部は、対象物を搭載する。
吐出ユニットは、吐出ユニット先端部を有している。この吐出ユニットは、搭載部の対象物の被処理面に対して相対的に移動することで対象物の被処理面に吐出ユニット先端部から液材を連続的に付着させる。液材収容部は液材を収容する。
高さ位置変更操作部は、液材を液材収容部から吐出ユニット先端部へ導くために吐出ユニットの位置に対して液材収容部の高さ位置を変更するものである。
これにより、搭載部は、対象物の被処理面に対して対象物の製造工程において、液材を液相状態で成膜することができる。
高さ位置変更操作部が、液材収容部の高さ位置を変更することにより、吐出ユニットの吐出ユニット先端部は、液材を被処理面に対して液材と被処理面の付着力により連続的に付着させることができる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記搭載部は、搭載されている前記対象物を直線移動させる対象物移動操作部と、前記対象物移動操作部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定するための吸着部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、搭載部の対象物移動操作部は、搭載されている対象物を直線移動させる。吸着部は、対象物移動操作部において対象物の被処理面の反対面を吸着して着脱可能に固定する。
これによって、対象物の反対面は吸着部により搭載部において吸着して固定でき、被処理面は吐出ユニット先端部に対して相対的に移動することができる。
第3の発明は、第1の発明の構成において、前記吐出ユニットを、前記搭載部に搭載されている前記対象物の前記被処理面に平行して移動可能な吐出ユニット移動操作部と、前記搭載部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定するための吸着部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、吐出ユニット移動操作部は、吐出ユニットを搭載部に搭載されている対象物の被処理面に平行して移動可能である。吸着部は、搭載部において対象物の被処理面の反対面を吸着して着脱可能に固定する。
これにより、吐出ユニット移動操作部が吐出ユニットを被処理面に対して平行に移動させる。吸着部は、搭載部において被処理面の反対面を吸着して固定する。したがって、吐出ユニット先端部は、被処理面に対して平行に移動して液材を連続的に供給することができる。
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかの構成において、発明は、前記吐出ユニットを前記被処理面に近づく方向と離れる方向に移動する吐出ユニット上下動操作部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、吐出ユニット上下動操作部は、吐出ユニットを被処理面に近づく方向と離れる方向に移動することができる。
これによって、吐出ユニット先端部と被処理面との間隔を適切に設定することができる。
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記液材収容部は、外部から閉鎖されたタンクと、前記タンク内に収容されている前記液材の液面に与える圧力を変える圧力付与部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、液材収容部のタンクは、外部から閉鎖することも可能である。圧力付与部は、タンク内に収容されている液材の液面に圧力を与える。
これによって、圧力付与部が液材の液面に圧力を与えるだけで、外部から閉鎖した液材収容部のタンクから吐出ユニット先端部側へ液材を供給することができる。また、吐出ユニット先端部では、被処理面に対する液体の接液と離液がタンク内の圧力を正圧力または負圧力とすることで確実に行える。
第6の発明は、第1の発明の構成において、前記対象物の前記被処理面には、撥液部と親液部を有する形成パターンがあらかじめ形成されており、前記液材は、前記形成パターンの全体に付着された後に前記親液部において選択的に成膜されることを特徴とする。
上記構成によれば、対象物の被処理面には、撥液部と親液部を有する形成パターンがあらかじめ形成されている。液材は、被処理面の形成パターンの全体に供給された後に、この液材は親液部において選択的に成膜される。
これにより、液材は親液部に選択的に成膜することができ、液材の使用効率を上げて液材の使用量を削減できる。
第7の発明は、液材を液相状態で対象物の被処理面に成膜するための液相成膜方法であり、前記対象物の前記被処理面に前記液材を成膜するために前記対象物を搭載部に搭載する対象物搭載ステップと、吐出ユニットの位置に対して高さ位置変更操作部により液材収容部の高さ位置を変更して、前記吐出ユニットの吐出ユニット先端部と前記搭載部の前記対象物の前記被処理面とを相対的に移動することで、前記対象物の前記被処理面に前記吐出ユニット先端部から前記液材を連続的に付着させる液材付着ステップと、を備えることを特徴とする液相成膜方法である。
上記構成によれば、対象物搭載ステップでは、対象物を搭載部に搭載する。
液材付着ステップでは、吐出ユニットの位置に対して高さ位置変更操作部により液材収容部の高さ位置を変更して、吐出ユニットの吐出ユニット先端部と搭載部の対象物の被処理面とを相対的に移動することで、対象物の被処理面に吐出ユニット先端部から液材を連続的に付着させる。
これにより、液材は液相状態で対象物の被処理面に成膜することができる。
高さ位置変更操作部が、液材収容部の高さ位置を変更することにより、吐出ユニットの吐出ユニット先端部は、液材を被処理面に対して液材と被処理面の付着力により連続的に付着させることができる。
この場合に、たとえば液体収容部のタンクは、外部に対して開放系とし、タンク内には圧力を加えないのがよい。タンク内の液材の液面が一定になるように制御が可能である。液材の粘弾性により、液材は、設定パラメータに応じて吐出ユニットから一定量が引き出されるので、液材は被処理面に均一に成膜できる。搭載部に載せて対象物を移動させる速度が速いほうが、液材の成膜は厚膜になる。
第8の発明は、第7の発明の構成において、前記搭載部の対象物移動操作部は、搭載されている前記対象物を直線移動させ、前記吸着部が、前記対象物移動操作部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定していることを特徴とする。
これにより、対象物の反対面は吸着部により搭載部において吸着して固定でき、被処理面は吐出ユニット先端部に対して相対的に移動することができる。
第9の発明は、第7の発明の構成において、吐出ユニット移動操作部が、前記吐出ユニットを前記搭載部に搭載されている前記対象物の前記被処理面に平行して移動させ、前記吸着部が、前記搭載部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定していることを特徴とする。
これにより、吐出ユニット移動操作部が吐出ユニットを被処理面に対して平行に移動させる。吸着部は、搭載部において被処理面の反対面を吸着して固定する。
したがって、吐出ユニット先端部は、被処理面に対して平行に移動して液材を連続的に付着させることができる。
第10の発明は、第7の発明ないし第9の発明のいずれかの構成において、吐出ユニット上下動操作部は、前記吐出ユニットを前記被処理面に近づく方向と離れる方向に移動することを特徴とする。
これにより、吐出ユニット先端部と被処理面との間隔を適切に設定することができる。
第11の発明は、第7の発明の構成において、前記液材収容部のタンクは、外部から閉鎖されており、圧力付与部は、前記タンク内に収容されている前記液材の液面に与える圧力を変えることを特徴とする。
これにより、圧力付与部が液材の液面に圧力を与えるだけで、液材収容部のタンクから吐出ユニット先端部側へ液材を連続的に供給することができる。タンクは外部から閉鎖することも可能である。また、吐出ユニット先端部では、被処理面に対する液体の接液と離液がタンク内の圧力を正圧力または負圧力とすることで確実に行える。
第12の発明は、第7の発明の構成において、前記対象物の前記被処理面には、撥液部と親液部を有する形成パターンがあらかじめ形成されており、前記液材は、前記形成パターンの全体に付着された後に前記親液部において選択的に成膜されることを特徴とする。
これにより、液材は親液部に選択的に成膜することができ、液材の使用効率を上げて液材の使用量を削減できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の液相成膜装置の好ましい実施形態を示している。
図1に示す液相成膜装置10は、搭載部40、吐出ユニット20、液材収容部30、高さ位置変更操作部31、吐出ユニット上下動操作部33、圧力付与部36、メインタンク37、そして制御部100を有している。
図1に示す液相成膜装置10は、たとえば液晶表示装置を製造する際の工程の途中に設けられており、本発明の液相成膜方法を実施するための装置である。図2は、中工程12と前工程11および後工程13の一例を示している。
図1に示す液相成膜装置10は、図2に示す前工程11と後工程13の間の中工程において、基板25に液材Mを成膜するために用いる。
図2に示す前工程11、液相成膜装置10による中工程12および後工程13は、たとえば液晶表示装置を製造する製造工程の一部である。
図2(A)に示す前工程11では、基板25の被処理面26に対して形成パターン27が形成される。この形成パターン27は、後で説明するように撥液部150と親液部151を有する所定の形成パターンである。
図2(B)に示す中工程12は、液相成膜装置10を用いて液材28を基板25の形成パターン27に成膜する工程である。
この液材28は、一時的には形成パターン27の全面にわたって成膜されるのであるが、液材28は撥液部150の上では撥液されるので、液材28は親液部151の領域のみに成膜されることになる。
図2(C)に示す後工程13では、たとえば親液部151のみに成膜された液材28が乾燥して焼成される乾燥焼成工程である。
図2(A)に示す前工程11、図2(B)に示す中工程12および図2(C)に示す後工程13では、いずれの工程においても、基板25の被処理面26は、上向きZ2の方向に向いた状態、すなわち上側に向けた状態で搬送されるのが特徴的である。
図1に戻って液相成膜装置10の各構成要素について説明する。
図1に示す搭載部40の構造について説明する。
搭載部40は、対象物移動操作部50と、吸着部51を有している。
図1の対象物移動操作部50は、ステージ53とモータ54Aを備えている。モータ54Aが作動すると、ステージ53はたとえばT方向に直線移動可能である。そしてモータ54が逆転動作することにより、ステージ53はT方向と反対方向にも直線移動可能である。このT方向は、上下方向であるZ方向と垂直な水平方向である。
図1のステージ53は、対象物の一例である液晶表示装置の基板25を着脱可能に搭載する。基板25の被処理面26は、たとえばZ2方向に向けて、すなわち上側に向けた状態で、基板25の反対面29がステージ53の上に着脱可能に搭載される。モータ54Aは、制御部100の指令により動作する。
吸着部51は、真空吸引部54と複数の吸引用の孔55を有している。真空吸引部54は、制御部100の指令により作動することにより、孔55を通じて基板25の反対面29を吸引してステージ53の上に着脱可能に固定できる。この反対面29は被処理面26の反対の面である。
上述した対象物移動操作部50は、基板25をT方向に直線移動することにより、吐出ユニット20に対して相対的に移動させることができる。
次に、図1に示す吐出ユニット20の構造および吐出ユニット上下動操作部33について説明する。
吐出ユニット20は、サポート部57と部材58,59を有している。部材58,59は、たとえば平板状の部材であり、所定の間隔をおいて平行に対向して配置されている。部材58,59の先端部は吐出ユニット先端部60を構成している。サポート部57は、これらの部材58,59を保持している。
吐出ユニット20の部材58,59は、予備室61を通じて、チューブ62に接続されている。このチューブ62は、液材Mを供給するための液材供給部材の一種であり、たとえばフレキシブルチューブを採用することができる。
予備室61は、チューブ62から供給されてくる液材Mを板状の部材58,59の間に均一に供給するための予備的な空間である。この予備室61が設けられていることにより、部材58,59の間であって、図1の紙面垂直方向の長さ方向に沿って均一に液材Mを供給することができる。
図3は、吐出ユニット20の部材58,59および吐出ユニット先端部60の付近の構造例と、基板25等を示している。基板の反対面29は、ステージ53の搭載面53Aに搭載されている。
吐出ユニット20の部材58,59の間には、液材Mが供給できる。図1に示す予備室61が設けれていることにより、液材Mは、部材58,59の幅Wの間において液材Mを均一に途切れることなく供給できる。
次に、図1に示す吐出ユニット上下動操作部33の構造について説明する。
吐出ユニット上下動操作部33は、吐出ユニット20の吐出ユニット先端部60を、Z1方向およびZ2方向に移動して位置決めできるものである。つまり吐出ユニット先端部60は、吐出ユニット上下動操作部33の作動により、基板25の被処理面26に近づく方向および離れる方向に移動して位置決め可能である。
吐出ユニット上下動操作部33は、モータ70とガイド部材71を有している。送りネジ74はモータ70により回転可能になっている。送りネジ74はサポート部57のナット73にかみ合っている。
これによって、モータ70が制御部100により移動すると、送りネジ74が回転することにより、吐出ユニット20はZ1方向あるいはZ2方向に移動して位置決め可能である。このような吐出ユニット上下動操作部33の構造は一例であり、他の構造を採用することも勿論可能である。
次に、図1に示す液材収容部30について説明する。
液材収容部30は、タンク80と、蓋部材81およびバルブ82,83,84を有している。
液材収容部30のタンク80は、上部開口を有しているがこの上部開口は、蓋部材81により閉じた構造になっている。これによりタンク80は外部から閉ざされた密閉構造のタンクである。
タンク80の底部85は、チューブ62の端部62Aに接続されている。チューブ62のもう1つの端部62Bは、吐出ユニット20の予備室61に接続されている。タンク80の中には、液材Mが収容できる。タンク80は、メインタンク37に接続されていて、メインタンク37のバルブ37Aを開くことにより、メインタンク37からタンク80へ液材Mを供給することができる。メインタンク37からタンク80への液材Mの供給は、液面センサ92による液体Mの液面の位置の信号に基づいて、制御部100からの指令により、タンク80内の液材Mの液面の位置が所定の値より少なくなった場合に行う。
蓋部材81は、ガス通路87に接続されている。このガス通路87には、バルブ82,83が設けられている。バルブ82,83を開くことにより、塗布時にタンク80内は大気開放することができる。
圧力付与部36は、ポンプ88とバルブ89を有している。バルブ89とバルブ84,82を開けることにより、ポンプ88は、タンク80内の液材Mの液面90に与える圧力を加圧したり減圧することができる。
図1に示す蓋部材81は、光を通す部分91を有している。この光を通す部分91には、液面センサ92の検出用の光が通って液面90に到達できるようになっている。液面センサ92は、上述したようにたとえば光を用いた非接触のセンサであり、タンク80内の液面90のZ方向に関する高さ位置を検出することができる。液面センサ92は、ガイド部材101の上端部に設けられている。液面センサ92の液面90の位置の情報は、制御部100に送られる。
次に、高さ位置変更操作部31について説明する。
高さ位置変更操作部31は、液材収容部30のタンク80のZ方向に関する高さ位置を移動して位置決めする機能を有している。これにより、吐出ユニット先端部60に対するタンク80の液面90の位置を液体Mの成膜作業に応じて変更できる。
高さ位置変更操作部31は、モータ103とガイド部材101を有している。ガイド部材101の送りネジ104は、タンク80のナット部105にかみ合っている。
モータ103が制御部100の指令により動作して、送りネジ104が回転することにより、ナット105とともにタンク80は、Z方向のZ1方向およびZ2方向に沿って上下動して位置決め可能である。つまり高さ位置変更操作部31は、タンク80の液面90のZ方向の位置と吐出ユニット20の吐出ユニット先端部60の相対的な位置を変更する装置である。
次に、図1に示す液相成膜装置10を用いて、基板25の被処理面26に対して液材Mを液相状態で成膜する液相成膜方法の一例について説明する。
図4は、液相成膜方法の一例を示すフロー図である。
撥液部と親液部の形成パターンの成膜ステップST0
図3に例示する形成パターン27は、撥液部150と親液部151を有している。この形成パターン27は、図2(A)に示す前工程11において、基板25の被処理面26に対して形成される。
図3では、形成パターン27の形状例を示している。撥液部150は、基板25の被処理面26の全面にわたってあらかじめ形成されている。複数の親液部151は、撥液部150の中においてたとえば正方形状に形成されている。この親液部151の形状は特に限定されないが、親液部151に形成する液材が、導電性の液体材料、たとえばITO(Indium Tin Oxide)スラリーであり透明電極として機能する場合には、たとえば正方形や長方形状が望ましい。しかし、親液部151の形状は特に限定されるものではない。
基板25は、たとえば透明のガラス基板を採用することができる。撥液部150は、たとえば大気圧プラズマ処理装置によりCFプラズマを用いて作られている。親液部151は、たとえば大気圧プラズマ処理装置によりOプラズマを用いて作られている。あるいは親液部151は、基板25のガラス表面である。親液部151は撥液部150の領域内に形成された凹部形状の部分である。
図2に示すように、このような前工程11では、搭載部200の搭載面200Aの上に、基板25の反対面29が搭載されている。すなわち、基板25の被処理面26は、Z2方向に向いて上側に向けた状態になっていることが特徴である。
対象物搭載ステップST1
次に、図4の対象物搭載ステップST1では、図2(B)に示すように、基板25は、図2(A)の前工程11の搭載面200Aから図2(B)の搭載部40の上に搭載される。この場合に、搭載部40の上に搭載される基板25は、やはり被処理面26がたとえば上向きZ2の方向に向いている上側に向けたままの状態で搭載される。
このことから、前工程11から中工程12に移る際には、基板25は上下面を反転して搭載する必要が無く、単純に基板25は被処理面26を上側に向けた状態で移せば良い。
液材付着ステップST2
次に、図4の液材付着ステップST2に移る。
図5(A)に示すように、吐出ユニット20の吐出ユニット先端部60は、ステージ53の基板25からは離れた上方の待機位置Eに位置決めされている。つまり吐出ユニット20は、図1に示す吐出ユニット上下動操作部33によりZ2方向に上昇された位置にあり、しかも吐出ユニット先端部60は基板25の被処理面26の真上には位置していない。
図5(A)の液材収容部30のタンク80内には、液材Mが収容されている。タンク80は、図1に示す高さ位置変更操作部31によりある高さに保持されている。図5(A)では、液面90の高さHは、吐出ユニット先端部60の高さよりも低くなっている。液面90の高さHは基準面Fからの値である。このために、タンク80内の液面90は、吐出ユニット先端部60には達していない。
タンク80に対しては、圧力付与部36のポンプ88が加圧することにより、タンク80内の液材Mを吐出ユニット20側へ供給し易くする。
すなわち、タンク80は蓋部材81により外から密閉するようになっている。このために、ポンプ88によりタンク80内の圧力を加圧したり減圧したりできないと、タンク80内の圧力の変動がおこりにくくなり、タンク80内の液材Mが吐出ユニット先端部60側へ供給しにくくなる。
このようにタンク80内が蓋部材81により密閉された構造にすることにより、外部からタンク80内の液材Mに埃などの異物が混入するのを確実に防ぐことができる。
制御部100は、タンク80内の液面90の高さ位置を液面センサ92により認識し、一定高さになるようにモータ103により制御することができる。
次に、吐出ユニット先端部60がZ1方向に下って図6(C)のように吐出ユニット先端部60の塗布ギャップが設定される。タンク80を密閉状態にして、ポンプ88で圧力をかけると、図5(B)に示すように液材Mが吐出ユニット先端部60の付近まで到達する。この場合に、吐出ユニット先端部60と液面90の高さはほぼ同じである。
図6(C)に示すように、さらに圧力を加えることで液材Mは吐出ユニット先端部60から少し突出して、液材の突出部180が形成される。
次に図6(D)に示すように、タンク80の位置をやや上げて、吐出ユニット先端部60と基板50の間の塗布ギャップに変更する。
吐出ユニット先端部60から出ている液材の突出部180の状態が静止したら、吐出ユニットを下げて、液材Mの突出部180を基板25の被処理面26と接液させる。次に、タンク80の液面90を基板25の表面(吐出ユニット20の先端)よりやや低い位置にして、タンク80を大気開放する。そして、搭載部のステージ53がT方向に移動して、吐出ユニット先端部60と基板25が相対的に移動することにより、各液材の突出部180が基板25の被処理面26の親液部列580に対して接触して連続的に付着をしていく。この液材Mが被処理面26に対して連続的に付着していく様子は図7(E)と図7(F)に示している。
つまり、液材Mの突出部180と基板25の被処理面26との付着力により、液材Mは自己給液作用によって、基板25の形成パターン上には液相状態で液材Mの薄膜400を形成していくことができる。
液材Mは、吐出ユニット20の部材58,59により形成されているスリット状の液材通路69を通過することにより、たとえば図3に示すように形成パターン27の撥液部150と親液部151の全体にわたって液材Mを薄膜形成することができる。
液材Mの塗布終了位置まで吐出ユニット先端部60が移動したらステージ53の移動をとめる。
次に、図7(F)では、タンク80がたとえば高さH2までZ1方向に下がることにより、液材Mの先端は吐出ユニット先端部60から内側に下がった位置にもどることになる。
このようにして液材Mの塗布作業が終了する。このような手順で液材Mが形成パターン27の上にわたって付着することにより、薄膜形成される。
選択付着ステップST3
図8は、このような液材Mの選択付着ステップST3、そして焼成ステップST4の例を示している。
図4と図8(A)に示す選択付着ステップST3では、液材Mは、撥液部150の領域ではすぐに撥液されてしまうので、液材Mは親液部151のみに付着して薄膜形成されることになる。
焼成ステップST4
その後、図4と図8(B)に示すように焼成ステップST4では、図2(B)の中工程12から後工程13に移る。この場合にも、基板25の被処理面26は、Z2方向に向いた状態、すなわち上側に向いた状態で移されることになる。このことから、基板の下面を反転するような反転操作機構などが不要である。
図2(C)の後工程13では、図4と図8(B)に示す焼成ステップST4を行う。焼成ステップST4では、液材Mが乾燥焼成して固化される。これにより、親液部151内においてはたとえばITOの透明の電極301もしくは302が形成される。
図4のステップST5では、被処理面が上向きのままで、基板はさらに後工程へ移される。
図9は、液晶表示装置の1画素分の構造例を示している。基板25Aの内面には電極302が表示電極として形成されている。もう1つの基板25Bの内側には、透明電極である電極301が形成されている。これらの電極301,302は、それぞれ基板25B,25Aの形成パターンの親液部に対して液材Mを塗布することにより作られているものである。
電極301は共通電極であり、電極302は表示電極であるが、これらの電極301,302の間には、液晶層450が配置されている。電極301はたとえば基板25Bの内面側に形成された保護膜146の上に形成されている。したがってこの保護膜146が基板25Bの被処理面に相当する。これに対して基板25Aの内面は、電極302を形成するための被処理面26に相当する。
図10は、本発明の液相成膜装置10の別の実施形態を示している。
図10の液相成膜装置10が図1の液相成膜装置10と異なるのは、吐出ユニット移動操作部600が設けられていることである。このために、搭載部40側には、図1に示す対象物移動操作部50は設けられていない。
吐出ユニット移動操作部600は、吐出ユニット20をT方向に直線移動可能になっている。吐出ユニット移動操作部600は、モータ601と送りネジ602とナット部603を有している。モータ601が作動すると送りネジ602が回転して、ナット部603とともに吐出ユニット20がT方向に直線移動可能である。
ナット部603は、モータ70とガイド部材71を支持している。このように吐出ユニット移動操作部600が吐出ユニット20をT方向に移動することにより、吐出ユニット20と基板25の被処理面26とは相対的に移動させることができる。
図10に示す液相成膜装置10の各構成要素は、吐出ユニット移動操作部600以外は、図1の液相成膜装置10の対応する構成要素と同じであるので、その説明を用いることにする。
本発明の液相成膜装置および液相成膜方法を用いることにより、液材と基板の被処理面の付着力による液材の自己給液作用により、液材は、液相状態で被処理面に対して薄膜形成をすることができる。
本発明の液相成膜装置は、従来用いられているスリットコーターのような塗布装置とは異なり、直接大型ポンプの圧力により液材を供給する構造ではない。図1に設けられている圧力付与部36は、強制的に直接液材Mを吐出ユニット20側に供給するためのものではない。タンク80は蓋部材81により閉じることにより外から見て密閉された構造になっている。
このことから、圧力付与部36が閉鎖型のタンク80内の圧力を加圧したり減圧したりして調整することにより、タンク80内の液材Mがスムーズに吐出ユニット20側に送ることができる。
もし、この圧力付与部36がないと、閉鎖型のタンク80内から液材Mを吐出ユニット先端部60を通じて出たり、吐出ユニット先端部60の中へ液材Mをもどすことが困難になる。
圧力付与部36がタンク80内を加圧することで、吐出ユニット先端部60から液材Mの突出部180を出やすくして、基板への液材の接液を容易にする。また、圧力付与部36がタンク80内を減圧されることで、吐出ユニット先端部60の中へ液材Mをもどして、基板から液材の離液を容易にする。
実際に吐出ユニットから被処理面へ液材を供給するときには、タンク内は開放系として、圧力は加えない。タンク内の液面の位置はセンサによる検知により、液面が一定になるように制御できる。
液材の粘弾性により、液材は設定パラメータに応じて一定量が吐出ユニットから引き出されるので、被処理面には、均一に液材が成膜される。搭載部の移動速度が速いほうが、液材は厚膜になる。
図8に示したように、本発明の実施形態では、基板25の表面の形成パターン27においては、液材Mは、撥液部150からは撥液されて親液部151のみに成膜される所謂セルフパターニング処理が可能である。
このために、製造工程の大幅な省エネルギー化が図れ、材料の使用量を減らすことができる。
本発明の液相成膜装置10は、特に機械的な給液系統を持たずに、吐出ユニット先端部60において盛り上がった液材を表面張力で保持させた状態で基板25の被処理面26に対して連続して付着させることができる。つまり液材Mの粘弾性を利用しながら、吐出ユニット20と基板25を相対的に移動することにより、液材の付着力で親液部のみに液材の成膜を行うことができ、親液部のみに液材が選択的に成膜できるのである。
液材の膜厚の制御は、図1の実施形態ではステージ53のT方向に関する移動速度、タンク80の液面90の高さ、吐出ユニット先端部60と基板25の被処理面26の形成パターンとの距離などで制御することができる。
タンク80内は外部から閉鎖された閉鎖系になっていて、タンク80内の内部圧力は、圧力付与部36により加圧したり減圧したりすることで制御する。
これによって、吐出ユニット先端部60から突出する液材Mにより被処理面26に接液させたり、あるいは吐出ユニット先端部60の他の突出している液材Mを被処理面26から離液を確実に行うことができる。
本発明の実施形態においては、吐出ユニット20の吐出ユニット先端部60が吐出ユニット上下動操作部33により上下動操作することができる。このことから、吐出ユニット先端部60と被処理面26の間の液材の塗布ギャップを任意の値に変更したり設定したりすることができる。
吐出ユニット先端部60から突出している液材Mの状態が静止してから、たとえば図1の例ではステージ53はT方向にある設定速度で移動させて液材Mを付着させるのが望ましい。
本発明の実施形態では、ポンプなどのような強制的な給液系が不要であり、液材の塗布時の安定性が向上する。液材は、基板の親液パターンのみに成膜されるために、事前に撥液部と親液部の形成パターンをパターニングしておけば、液材Mは親液部のみのセルフパターニングすることが可能である。
したがって、余分な部分の液材を除去するためにエッチングなどの真空プロセスを用いる必要が無くなり、液材の使用量を少なくすることができる。
基板の被処理面を下向きにして搬送しながら毛細管現象を用いて吐出ユニットから液材を塗布する従来の方式に比べて、基板の被処理面を上側に向いた状態から下側に向いた状態に反転させる基板反転機構装置が不要になる。
このことから、液晶表示装置のような製品の製造時におけるサイクルタイムを短縮できるとともに、液材の塗布工程と液材の塗布工程の前工程および後工程との基板のやり取り時のマッチングが改善できる。
図1のステージ53は、搬送方向Tに沿った移動速度を変化させることができるようにすれば、同じ基板25の被処理面26において、異なる膜厚の液材Mの塗布による成膜が可能である。
本発明の液相成膜装置10は、1つの吐出ユニット20を図示しているが、これに限らず複数の吐出ユニットを配置することも勿論可能である。吐出ユニット20の形状はスリット状の液材通路を有するものに限らず他の形状のものであっても勿論構わない。
図示例では、基板25の被処理面26は上側に向けた状態で搭載部40の上に載っている。しかし、これに限らず、基板25の被処理面26が縦方向に向けた状態、下側に向けた状態、あるいは斜めに向けた状態で、搭載部40に保持してもよい。
ところで本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上述した実施形態では、液材を塗布する対象物としては、液晶表示装置の基板を例に挙げているが、しかしこれに限らず、対象物としては、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置や、その他の表示装置に用いる要素であっても構わない。
半導体のような電子デバイスを製造する際に、基板に対して液材を塗布する場合にも、本発明の液相成膜装置および液相成膜方法が適用できる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
本発明の液相成膜装置の好ましい実施形態を示す図。 図1の液相成膜装置による工程とその前後の工程の例を示す図。 吐出ユニットの先端部と基板および形成パターンの例を示す斜視図。 本発明の液相成膜方法の一例を示すフロー図。 液材が被処理面に対して成膜される前の状態から成膜を開始しようとする状態を示す図。 液材が被処理面に塗布される前の直前から塗布開始状態を示す図。 液材が被処理面に塗布されている途中の状態および塗布後の状態を示す図。 液材が塗布して付着された状態と、液材が親液部に選択して付着される状態および焼成される状態を示す図。 本発明の液相成膜装置により形成された電極を含む電子デバイスの例である液晶表示装置の一例を示す図。 本発明の液相成膜装置の別の実施形態を示す図。
符号の説明
10・・・液相成膜装置、20・・・吐出ユニット、25・・・基板(対象物の一例)、26・・・被処理面、30・・・液材収容部、31・・・高さ位置変更操作部、33・・・吐出ユニット上下動操作部、36・・・圧力付与部、40・・・搭載部、50・・・対象物移動操作部、51・・・吸着部、60・・・吐出ユニット先端部、80・・・タンク、90・・・液面、M・・・液材

Claims (12)

  1. 液材を液相状態で対象物の被処理面に成膜するための液相成膜装置であり、
    前記対象物の前記被処理面に前記液材を成膜するために前記対象物を搭載する搭載部と、
    吐出ユニット先端部を有しており、前記搭載部の前記対象物の前記被処理面に対して相対的に移動することで、前記対象物の前記被処理面に前記吐出ユニット先端部から前記液材を連続的に付着させるための吐出ユニットと、
    前記液材を収容する液材収容部と
    前記液材を前記液材収容部から前記吐出ユニット先端部に導くために、前記吐出ユニットの位置に対して前記液材収容部の高さ位置を変更するための高さ位置変更操作部と、を備えることを特徴とする液相成膜装置。
  2. 前記搭載部は、
    搭載されている前記対象物を直線移動させる対象物移動操作部と、
    前記対象物移動操作部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定するための吸着部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液相成膜装置。
  3. 前記吐出ユニットを、前記搭載部に搭載されている前記対象物の前記被処理面に平行して移動可能な吐出ユニット移動操作部と、
    前記搭載部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定するための吸着部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液相成膜装置。
  4. 前記吐出ユニットを前記被処理面に近づく方向と離れる方向に移動する吐出ユニット上下動操作部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液相成膜装置。
  5. 前記液材収容部は、
    外部から閉鎖されたタンクと、
    前記タンク内に収容されている前記液材の液面に与える圧力を変える圧力付与部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の液相成膜装置。
  6. 前記対象物の前記被処理面には、撥液部と親液部を有する形成パターンがあらかじめ形成されており、前記液材は、前記形成パターンの全体に供給された後に、前記親液部において選択的に成膜されることを特徴とする請求項1に記載の液相成膜装置。
  7. 液材を液相状態で対象物の被処理面に成膜するための液相成膜方法であり、
    前記対象物の前記被処理面に前記液材を成膜するために前記対象物を搭載部に搭載する対象物搭載ステップと、
    吐出ユニットの位置に対して高さ位置変更操作部により液材収容部の高さ位置を変更して、前記吐出ユニットの吐出ユニット先端部と前記搭載部の前記対象物の前記被処理面とを相対的に移動することで、前記対象物の前記被処理面に前記吐出ユニット先端部から前記液材を連続的に付着させる液材付着ステップと、
    を備えることを特徴とする液相成膜方法。
  8. 前記搭載部の対象物移動操作部は、搭載されている前記対象物を直線移動させ、前記吸着部が、前記対象物移動操作部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定していることを特徴とする請求項7に記載の液相成膜方法。
  9. 吐出ユニット移動操作部が、前記吐出ユニットを前記搭載部に搭載されている前記対象物の前記被処理面に平行して移動させ、前記吸着部が、前記搭載部において前記対象物の前記被処理面の反対面を吸着して着脱自在に固定していることを特徴とする請求項7に記載の液相成膜方法。
  10. 吐出ユニット上下動操作部は、前記吐出ユニットを前記被処理面に近づく方向と離れる方向に移動することを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の液相成膜方法。
  11. 前記液材収容部のタンクは、外部から閉鎖されており、圧力付与部は、前記タンク内に収容されている前記液材の液面に与える圧力を変えることを特徴とする請求項7に記載の液相成膜方法。
  12. 前記対象物の前記被処理面には、撥液部と親液部を有する形成パターンがあらかじめ形成されており、前記液材は、前記形成パターンの全体に供給された後に前記親液部において選択的に成膜されることを特徴とする請求項7に記載の液相成膜方法。
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