JP2007227303A - Icカード用コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ICカードが無理抜きされた状態にあるICカード用コネクタにおいて、再度ICカードが挿入されたとき、該ICカードによりコンタクトが変形しないように構成されたICカード用コネクタを提供する。
【解決手段】カバー部材とベース部材とで少なくとも長さが互に異なるICカードが装着され得るカード収容空間を形成するICカード用コネクタにおいて、ベース部材に配列される第1のコンタクト列、第2のコンタクト列、及び第3のコンタクト列と、第1のばね部材を有するイジェクト部材と、第2のばね部材を有し、前後方向に移動可能で且つ回動可能なスライダと、スライダの前後方向の移動をロックしているロック/アンロック金具とを備え、スライダは、特定のICカードが挿入されたときのみ、ロックが解除され、第2のばね部材に抗して後方に移動及び回動し、第2のコンタクト列のコンタクトと特定のICカードのパッドを電気的に接続させ得る。
【選択図】図5

Description

本発明は、カード収容空間に複数の異なる種類のICカードを着脱可能とし、装着された1のICカードを電子機器に電気的に接続するICカード用コネクタに関する。
携帯電話機、電話機、PDA(personal digital assistance)、カメラ等の電子機器において、例えば、中央処理装置(CPU)あるいはメモリ用の集積回路が内蔵されるMMC(multi media card)カード(商標)、SD(secure digital)カード、メモリスティック(商標)及びxD−Picture Card(商標)(以下、「XDカード」という。)などのICカードを、各電子機器にICカード用コネクタを介して装着することにより、各種の機能拡張が行われている。
上述したICカードは、互に形状が異なる。これらのICカードを上述した電子機器に装着し、各ICカードを利用することができるようにいろいろなICカード用コネクタが提案されている。
このような互いに形状の異なるICカードを収容するため、ICカード用コネクタは、共通のカード挿入スロットを備えるとともに、カード挿入スロットに続くカード収容空間には、装着されるICカードの外部接点であるパッドに対応するコンタクト列がカード挿入方向に直列に複数列配置されている。このような構成を備える場合、共通のカード挿入スロットから挿入されたICカードが対応しないコンタクト列を損傷させることがないようにする必要がある。
本出願人は、複数列配置されるコンタクト列が対応しないICカードにより損傷することがないようにするために、特許文献1に開示されるようなICカード用コネクタを提案している。
提案されているICカード用コネクタにおいては、上述した4種類のICカードを装着することができるように構成されている。このICカード用コネクタにおいて、全長(挿入方向の長さ)及び厚みが最も大きいメモリスティックが装着されるときは、カード挿入スロットから挿入されたメモリスティックの先端がスライダに当接し、該スライダを回転させ押し倒す。それにより、スライダは、該メモリスティックの厚さと略同じ厚さを有するが全長が短いSDカード用のコンタクトの接点部を下方に移動させる。結果として、メモリスティックの先端がSDカード用のコンタクト列に干渉することがなく、メモリスティックは、カード収容空間の最奥部に配置されているメモリスティック用コンタクト列に到達することができる。
ここで、図6を用いて、SDカードを装着する場合について簡単に説明する。図6は、SDカードが装着された状態におけるICカード用コネクタの概略断面図である。
図6に示されるように、ベース部材510とカバー部材520とで形成されるカード収容空間にカード挿入スロット508から挿入されたSDカード600は、スライダ530のロックを解除し、SDカード600の先端がスライダ530に当接し、該スライダ530を後方に移動させるとともに該スライダ530を回転させる。それにより、SDカード600に対応するコンタクト列の各コンタクト560がスライダ530に形成されているスリット532から上方に突出し、SDカード600のさらなる挿入にともない、各コンタクト560の接点部562が対応するSDカード600の外部接点としてのパッド602それぞれに電気的に接触する。図6において、580は、メモリスティック用コンタクトを、570は、XDカード用コンタクトを示す。
この時、挿入されたICカードの排出を助けるためのイジェクト部材540もSDカード600の先端に当接し、SDカード600の挿入に伴い後方(図6において、左側)に移動し、図6に示される位置でロックされる。イジェクト部材540は、図示されていないが、ばね部材により前方(図6において、右側)に付勢されており、ICカードの一方の側壁に沿って前後方向に移動可能に設けられている。
通常、SDカード600を取り外す場合、該SDカードを若干押し込むことで、イジェクト部材540のロックが解除され、ばね部材の付勢力によりイジェクト部材が元の前方の位置に戻る。それにより、その先端がイジェクト部材540に当接しているSDカードもカード挿入口508から排出される。同時に、イジェクト部材540の移動に連動してスライダ530も当初位置に戻り、コンタクト列の各コンタクト560(より詳細には、その接点部562)をスリット532内に収容する。
特願2005−106769号
ところで、図6の状態において、上記通常の取り外し方法を採ることなく、SDカード600をICカード用コネクタから強制的に引き抜く、すなわち、無理抜きすることが可能である。図7に、SDカードが無理抜きされた状態におけるICカード用コネクタの概略断面図を示す。
図7に示されるように、SDカード600が無理抜きされた後、イジェクタ部材540はロックされたままの状態を維持する。イジェクタ部材540がロックされたままであることは、スライダ530も、図7に示されるように後方に移動したままであり、したがって、SDカード用コンタクト560は、スライダ530のスリット532から上方に突出した状態にある。この状態で、例えばメモリスティックやSDカードを、正常の状態または裏かえしの状態あるいは前後逆にした状態で、カード収容空間に挿入すると、これらのカードの先端部がSDカード用コンタクト560の接点部562先端に直接当接し、コンタクト560を変形あるいは座屈させる恐れがある。
本願発明の目的は、このような問題点を考慮し、ICカードが無理抜きされた状態にあるICカード用コネクタにおいて、再度ICカードが挿入されたとき、該ICカードによりコンタクトが変形あるいは座屈しないように構成されたICカード用コネクタを提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明のICカード用コネクタは、カバー部材とベース部材とを備え、該カバー部材とベース部材とで共通のカード挿入スロットを介して少なくとも長さが互に異なる少なくとも3種類のICカードが装着され得るカード収容空間を形成するICカード用コネクタにおいて、前記ベース部材にその奥からカード挿入スロットに向かって順次配列される、最も長さの長い第1のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第1のコンタクト列、中間の長さの第2のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第2のコンタクト列、及び最も長さの短い第3のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第3のコンタクト列と、第1のばね部材により前方に付勢され、前記ベース部材の一方の側壁に沿って前後方向に移動可能であって、前記ICカードの装着時に後方においてロックされ、該ロックが解除されることで前記第1のばね部材の付勢力により前記ICカードのいずれをも前記カード収容空間から排出することができるイジェクト部材と、傾斜状態において前記第2のコンタクト列に配列される複数のコンタクトの接点部を収容可能なスリットを有し、第2のばね部材により前方に付勢され、前記ベース部材の底壁に沿って前後方向に移動可能であり、且つ回動可能なスライダと、前記第2のカードの側辺に当接可能な湾曲部を有し、通常は前記スライダの前後方向の移動をロックしているロック/アンロック金具とをさらに備え、前記スライダは、前記第2のカードが挿入されたときのみ、前記ロック/アンロック金具によるロックが解除され、第2のばね部材に抗して、後方に移動するとともに回動し、前記第2のコンタクト列の前記複数のコンタクトの接点部を前記スリットから上方に突出させ、前記接点部と前記第2のカードの外部接点を電気的に接続させ得ることを特徴とする。
本願発明のICカード用コネクタは、また、前記第2のばね部材に対応する前記ベース部材の前記底壁は、前方に行くに従い下降する傾斜面を備えていることが好ましく、前記傾斜面は、下に凸の円弧面であることがより好ましい。
本願発明のICカード用コネクタは、さらに、前記スライダは、前記底壁に形成されている段部に係止する係止爪が設けられていることが好ましい。
また、本願発明のICカード用コネクタは、前記スライダは、前記第1のICカードが挿入されたとき、前記ロック・アンロック金具にロックされた位置で、前記第2のコンタクト列の前記複数のコンタクトの前記接点部を前記スリットに収容したまま回動し、前記第1のICカードの通過を許容することを特徴とする。
本願発明に係るICカード用コネクタは、特に、スライダが第2のばね部材により前方に付勢されることで、挿入されたICカードが無理抜きされても、スライダが当初の位置及び傾斜した姿勢に戻ることができる。したがって、その後ICカード用コネクタにいずれのICカードを挿入しても、第2のコンタクト列のコンタクトを変形させたり、座屈させたりすることがない。
また、第2のばね部材に対応するベース部材の底壁に、前方に向かって下降する傾斜面を備えること、及び該傾斜面を下に凸の円弧面とすることで、スライダの当初位置及び傾斜した姿勢への戻りを確実に実行する。
さらに、複数の形状の異なるICカードのいずれを挿入しても、何ら支障はなく、挿入されたICカードと対応するコンタクトとの確実な電気的接触を得ることができる。
以下、本願発明について、図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
図1は、ICカードが挿入されていない状態の、カバー部材を取り除いたICカード用コネクタの概略平面図である。図2は、図1のII−II線に沿うカバー部材を備えるICカード用コネクタの概略断面図である。図3は、図2と同様の位置におけるICカード用コネクタの概略断面であり、ICカードとしてSDカードが正しく挿入されている状態を示している。図4は、図3において円Aに囲まれる部分に対応する第2のばね部材の軸心に沿って断面された要部拡大断面図である。図5は、図2と同様の位置におけるICカード用コネクタの概略断面であり、図3の状態からSDカードを無理抜きした後の状態を示す。なお、本明細書において、「前」は、図1において上を指し、「後」は、図1において下を指し、「左」は、図1において左を指し、「右」は、図1において右を指す。また、「上」は、図2において上(図1においては、紙面表側)を指し、「下」は、図2において下(図1においては、紙面裏側)を指す。
図1及び2に示されるように、ICカード用コネクタ1は、電気的に絶縁性の合成樹脂からなるベース部材10と該ベース部材10と上下に組み合わされてカード収容空間を形成する金属製または合成樹脂製のカバー部材20とを含んでいる。
本願発明に係るICカード用コネクタ1に、長さ、幅あるいは厚さなど形状が互に異なる複数のICカード(本実施例では4種類のICカード)が装着可能であるが、これら複数のICカードを同時に装着できるものではない。すなわち、本願発明に係るICカード用コネクタ1は、実用に供するときは、このうちの何れか1つだけが装着される構成になっている。したがって、ICカード用コネクタ1に別のICカードを装着するときは、現在装着されているICカードを取り外して後、装着しなければならない。
ベース部材10は、右側壁12、左側壁14及び後側壁16を有し、上述したように、カバー部材20とともにカード収容空間を形成する。カード収容空間は、前方が開放されており、ICカードが挿入されるカード挿入スロット8を形成している。カード挿入スロット8は、形状が互に異なる複数のICカードのいずれもが挿入できるように、上下方向の高さ及び左右方向の幅が設定されている。また、カード挿入スロット8に適宜案内溝などが形成されていてもよい。
ベース部材10には、形状、特に長さが互に異なる複数のICカードに対応して、複数のコンタクト列が直列に配置されている。第1のコンタクト列は、メモリスティックのような長さが最も長い第1のICカードに対応するコンタクト列である。第1のコンタクト列の複数のコンタクト60は、その接点部62をカード挿入スロット側に向けて左右の側壁12、14に平行に配列され、コンタクト60の固定部を介してベース部材10の後壁16に片持ち梁状に固定支持されている。第2のコンタクト列は、SDカード及びMMCカードのような長さが中間の大きさの第2のICカードに対応するコンタクト列である。第2のコンタクト列の複数のコンタクト70は、その接点部72をカード挿入スロット側に向けて左右の側壁12、14に平行に配列され、コンタクト70の固定部を介してベース部材10の中間位置で底壁18に片持ち梁状に固定支持されている。第3のコンタクト列は、XDカードのような長さが最も短い第3のICカードに対応するコンタクト列である。第3のコンタクト列の複数のコンタクト80は、その接点部82を後方に向けて左右の側壁12、14に平行に配列され、コンタクト80の固定部を介してベース部材10の底壁12のカード挿入スロット8を形成する部分に片持ち梁状に固定支持されている。なお、各コンタクト60、70及び80は、従来例と同様、固定部より上方に接点部が位置し、接点部は、上下に変位することができるように、固定部と接点部との間に弾性変形部を有する。各コンタクト60、70及び80は、また、固定部の接点部と反対側には、電子機器の外部接点に接続される端子部を有する。
ICカード用コネクタ1は、さらに、スライダ30を備えている。スライダ30は、第1のコンタクト列に電気的に接触する第1のICカードが挿入されたとき、該第1のICカードの先端に第2のコンタクト列が当接し、コンタクト70が変形したり、座屈したりすることがないように、第2のコンタクト列を保護するための部材である。
スライダ30は、概略矩形状をなしており、図2に示されるように、前方側基端部31、後方側末端部33、および中間部に第2のコンタクト列に配置される複数のコンタクト70に対応するスリット32を備える。スライダ30は、前方基端部31前方端に左右方向に延在する支持軸37を介してベース部材10の底壁12上を前後方向に移動可能に、且つ、底壁12上で回動可能に構成される。
スライダ30は、さらにその左側(図1で上側)に、後述するイジェクト部材40の下方に位置するばね部材支持アーム38を備えている。ばね部材支持アーム38は、スライダ30と平行に延在し、且つ後方末端部33の途中で一体となるように形成されている。また、ばね部材支持アーム38の後方端には、支持突起34が形成されており(図4参照)、スライダ30を前方に向けて付勢する第2のばね部材52の一端が該支持突起34を囲むようにしてばね支持アーム38の後方端に固定されている。第2のばね部材52の他端は、ベース部材10の後側壁16から突出する支持突起17を囲むようにして後側壁16に固定されている。第2のばね部材52は、圧縮コイルバネであることが望ましく、後述するイジェクト部材40の下面に形成されている凹部42を経由して後側壁16から支持突起34にまで延在している。ばね部材支持アーム38の後方端下面に、スライダ30が後方に移動し、図において反時計方向に回転したとき、底壁12に設けられた段部に係止し得る係止爪を形成してもよい。このように構成することにより、対応する第2のICカードが装着され、その外部接点であるパッドがコンタクト70に接触しているとき、第2のばね部材52によるスライダ30の戻りまたはズレを確実に防止できる。
スライダ30は、ICカードが挿入されていない場合、図2に示されるように、ばね部材支持アーム38を介して第2のばね部材52の付勢力により、スライダ30の前方基端部31前方端の支持軸37を、第3のコンタクト列の後方所定位置に形成される底壁12に形成されている第1の段部16に押し付けられている(スライダ30の当初位置)。さらに、スライダ30は、前方基端部31から後方末端部33に向けて傾斜して配置される(スライダ30の当初姿勢)。したがって、後方末端部33は、カード収容空間内に位置する。また、スライダ30がこの状態にあるとき、第2のコンタクト列のコンタクト70の接点部72は、スライダ30のスリット32内に収容されている。
なお、第2のばね部材52が伸縮可能に配置されるイジェクト部材40の凹部42に対応するベース部材10の底壁12の部分は、図4に示されるように、後側壁16に近い部分を第2のばね部材52の近くまで高く形成することが好ましい。さらに、該底壁部分12は、前方に行くに従い下降する傾斜面12aを設けることが好ましい。該傾斜面12aは、下に凸の円弧面を有する傾斜面であることがより好ましい。傾斜面12aを備えることで、図3、図4に示されるように、対応する第2のICカード100の挿入に伴い、第2のばね部材52に抗してスライダ30が後方に移動したとき、該スライダ部材30が図において反時計方向に回動し、略水平に押し倒されることを容易にする。第2のばね部材52は、第2のICカード100がICカード用コネクタ1から取り外されたときには、その付勢力によりスライダ30を図において時計方向に回動させる。結果として、第2のばね部材52は、その付勢力(復帰力)によりスライダ30を当初の姿勢である傾斜状態に戻すとともに、底壁12の段部16にスライダ30の支持軸37が当接する当初の位置に戻す。
スライダ30は、また、その左側端部であって前方寄りに、左側壁14に向けて突出するロック用突起36が形成されている。該ロック用突起36は、後述する、ロック/アンロック金具90の自由端に形成される係合孔94に対応し、該係合孔94に対して係合、離脱可能とされる。
ICカード用コネクタ1は、さらに、イジェクト部材40を備えている。イジェクト部材40は、ICカード用コネクタ1のカード収容空間内に挿入されたICカードの排出を助けるイジェクト機構を構成し、第1のばね部材50により、カード排出方向、すなわちカード挿入スロット8側に付勢されている。イジェクト部材40は、挿入されるICカード各々の先端に当接ずる当接部を備えており、図1では、最も長い第1のICカードとしてのメモリスティックの先端に当接する当接部48が示されている。その他のICカードにおいては、当接部は、イジェクト部材40内に形成される各ICカードを案内する溝に段部として形成されている(詳細については、上記特許文献1参照)。
イジェクト部材40の後方部上面には、ハートカム54及び該ハートカム54を囲むレバー案内溝56が形成されている。一端がベース部材10の後壁16に回転自在に支持されているカムレバー58の他端が、カム従動子としてレバー案内溝56内を摺動する。イジェクト部材40、第1のばね部材50、ハートカム、レバー案内溝56、及びカムレバー58から構成されるイジェクト機構の動作は、本願出願前従来周知であり、また、上記従来例の構造においても若干説明されているので、ここでは説明を省略する。
ICカード用コネクタ1は、さらに、ロック/アンロック金具90を備えている。ロック・アンロック金具90は、通常、ICカード(本実施例では、第1のカード及び第3のカード)が挿入されたときは、スライダ30を移動不能にロックしている。ロック/アンロック金具90は、例えば、SDカードやMMCカードのような中間の大きさで幅の広い第2のICカードがICカード用コネクタ1のカード収容空間内に挿入されたときのみ、スライダ30のロック状態を解除するように動作する。
ロック/アンロック金具90は、先端部にスライダ30のロック用突起36に係合する係合孔94と中間部にカード収容空間に向かって突出する湾曲部96とを有する弾性変形部92、及び弾性変形部92と略平行に延在する固定部98を含んでいる。弾性変形部92と固定部98は略U字状をなして接続されている。ロック/アンロック金具90は、ベース部材10の左側壁14に固定部96を介して固定されている。ロック/アンロック金具90の弾性変形部92は、水平方向(図1において上下方向)に弾性変形するばかりでなく、上下方向(図1において、紙面に垂直方向)にも弾性変形可能に形成される。このように構成することで、ロック時におけるスライダ30の回転動作を可能とする。
ICカード用コネクタ1へのICカードの装着に伴う、スライダ30、ロック/アンロック金具90及びイジェクタ部材40の動作について説明する。
上述したように、ロック/アンロック金具90は、通常、図2に示されるように、その弾性変形部92の先端部に形成される係合孔94が、スライダ30のロック用突起36に係合し、スライダ30をロックすることで、スライダ30の後方への移動をロックしている。但し、スライダ30の反時計方向への回動は常に可能である。
最初に、最も大きい第1のICカードであるメモリスティックの場合であるが、これは上記従来と同じである。以下に、簡単に説明する。
メモリスティックは、中間の大きさの第2のICカードであるSDカードやMMCカードに比べて、幅が小さい。したがって、メモリスティックがICカード用コネクタ1のカード挿入スロット8からカード収容空間に挿入されても、メモリスティックの側壁は、ロック/アンドロック金具90の湾曲部96に当接することがなく、スライダ30はロックされたままである。第3のコンタクト列の各コンタクト80の接点部82を押し下げて後方に進んできたメモリスティックは、スライダ30の前方基端部31に当接し、スライダ30を図2において反時計方向に回転させる。スライダ30が回転し、スライダ30の後方末端部33が押し下げられることで、コンタクト70が該後方末端部33に当接する。したがって、第2のコンタクト列の各コンタクト70の接点部72も、スライダ30のスリット32内に位置した状態で下方に押し下げられる。メモリスティックは、第2のコンタクト列に邪魔されることなく、第1のコンタクト列に到達し、メモリスティックの外部接点であるパッドが、対応するコンタクト60の接点部62と接触する。
一方、第1のICカードとしてのメモリスティックの挿入に伴い、メモリスティックの先端は、イジェクト部材40の当接部48に当接し、イジェクト部材40を第1のばね部材50に抗して後方に移動させる。メモリスティックのパッドがコンタクト60と接触するとき、イジェクト部材40は、カムレバー58の他端がハートカム54に係合し、ロックされる。
次に、SDカードやMMCカードのような幅の広い第2のICカード100が挿入される場合には、該挿入される第2のICカード100の側面にロック/アンロック金具90の湾曲部96が当接する。それにより、ロック/アンロック金具90の弾性変形部92が変形し、その先端部に形成される係合孔94は、スライダ30のロック用突起36から外れ、スライダ30のロック状態を解除する。ロックが解除されたスライダ30は、挿入されるICカード100の先端がその前方基端部31に当接することで、第2のICカード100の挿入に伴って後方に向け、第2のばね部材52の付勢力に抗して移動するとともに、挿入される第2のICカード100により図2において反時計方向に回動し、押し倒される(図3、4参照)。それにより、スライダ30の後方末端部33に拘束されていたコンタクト70の接点部72がコンタクト70自身の弾性力でスライダ30のスリット32内から上方に突出し、図3に示されるように、挿入される第2のICカード100の外部接点であるパッドに電気的に接触する。この時、上述したように、スライダ30のばね部材支持アーム38の後方端に係止爪が形成され、該係止爪が底壁12に形成されている段部などに係止するように構成されていると、第2のばね部材52によるスライダ30の前方への移動が確実に阻止される。
一方、イジェクト部材40は、挿入される第2のICカードとしてのSDカードまたはMMCカードの先端が、対応する案内溝に形成される段部に当接し、メモリスティックの場合と同様、イジェクト部材40を第1のばね部材50に抗して後方に移動させる。SDカードまたはMMCカードのパッドがコンタクト70と接触するとき、イジェクト部材40は、カムレバー58の他端がハートカム54に係合し、ロックされる。
最後に、最も小さなICカードである第3のICカードとしてのXDカードを挿入する場合は、カード挿入スロット8から挿入されたXDカードは、そのまま後方に移動し、該XDカードの外部接点であるパッドは、最も手前に配置される第3のコンタクト列のコンタクト80の接点部82に接触する。
一方、イジェクト部材40は、SDカードまたはMMCカードの場合と同様、挿入される第3のカードとしてのXDカードの先端が、対応する案内溝に形成される段部に当接し、イジェクト部材40を第1のばね部材50に抗して後方に移動させる。XDカードのパッドがコンタクト80と接触するとき、イジェクト部材40は、カムレバー58の他端がハートカム54に係合し、ロックされる。
以上のように、異なる大きさのICカードがICカード用コネクタ1に装着され得る。装着されているICカードを取り外す場合は、通常、該装着されているICカードを若干後方に押し込み、カムレバー58とハートカム54の係合を外す。それにより、イジェクト部材40が第21のばね部材50の付勢力(復帰力)により元の位置に戻り、結果として、イジェクト部材40にその先端が当接しているICカードは、カード挿入スロット8から排出される。また、スライダ30も第2のばね部材52の付勢力(復帰力)により当初の姿勢である傾斜状態になるとともに当初位置に戻る。
ところで、図3に示されるようにSDカードまたはMMCカードが装着された状態で該装着されたICカードを無理抜きした場合の本発明に係る動作について説明する。
図3、より詳細には図4に示されるように、SDカードのような第2のICカード100が装着されているとき、第2のばね部材52は、スライダ30の後方への移動により、圧縮される。さらに、第2のばね部材52のスライダ30側は、スライダ30の回動により、ベース部材10の底壁12の傾斜面12aに沿って傾斜している。言い換えると、図4の状態にある第2のばね部材52は、図2に示されるような元の水平状態に復帰すべく、支持突起34及びばね部材支持アーム38を介して、底壁12に沿って略水平に倒れているスライダ部材30を前方及び上方に付勢している。
この状態において、第2のICカード100が無理矢理手動によりICカード用コネクタ1から引き抜かれたとすると、第2のばね部材52の復帰力に抗してスライダ30を水平に押さえつけている力から解放されることになる。したがって、第2のばね部材52により上方及び前方に付勢されているスライダ30は、図5に示されるように、当初姿勢である傾斜状態にされ、スリット32内にコンタクト70の接点部72を収容しながら、元の位置に戻る。この時、イジェクト部材40は、イジェクト機構が動作しているので、ロックされたままである。
以上説明したように、本発明においては、ICカード用コネクタ1のカード収容空間から第2のICカード100を無理抜きした場合であっても、イジェクト部材40の位置に関わらず、スライド部材30は、当初の姿勢である傾斜した状態に、且つ前方の所定位置に戻る。したがって、第2のコンタクト列に位置するコンタクト70がカード収容空間に突出することがないので、再度いずれのICカードが挿入されても、該ICカードの先端がコンタクト70、特に接点部に当接し、コンタクト70を変形または座屈させることがない。
ICカードが挿入されていない状態の、カバー部材を取り除いたICカード用コネクタの概略平面図である。 図1のII−II線に沿うカバー部材を備えるICカード用コネクタの概略断面図である。 図2と同様の位置におけるICカード用コネクタの概略断面であり、ICカードとしてSDカードが正しく挿入されている状態を示している。 図3において円Aに囲まれる部分に対応する第2のばね部材の軸心に沿って断面された要部拡大断面図である。 図2と同様の位置におけるICカード用コネクタの概略断面であり、図3の状態からSDカードを無理抜きした後の状態を示す。 従来のICカード用コネクタにおいて、SDカードが装着された状態におけるICカード用コネクタの概略断面図である。 図6のICカード用コネクタにおいて、SDカードが無理抜きされた状態におけるICカード用コネクタの概略断面図を示す。
符号の説明
1 ICカード用コネクタ
8 カード挿入スロット
10 ベース部材
12 (ベース部材の)底壁
20 カバー部材
30 スライダ
32 スリット
40 イジェクト部材
50 第1のばね部材
52 第2のばね部材
60 (第1のコンタクト列の)コンタクト
62 接点部
70 (第2のコンタクト列の)コンタクト
72 接点部
80 (第3のコンタクト列の)コンタクト
82 接点部
90 ロック/アンロック金具
96 湾曲部
100 ICカード

Claims (5)

  1. カバー部材とベース部材とを備え、該カバー部材とベース部材とで共通のカード挿入スロットを介して少なくとも長さが互に異なる少なくとも3種類のICカードが装着され得るカード収容空間を形成するICカード用コネクタにおいて、
    前記ベース部材にその奥からカード挿入スロットに向かって順次配列される、最も長さの長い第1のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第1のコンタクト列、中間の長さの第2のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第2のコンタクト列、及び最も長さの短い第3のICカードに対応して複数のコンタクトを有する第3のコンタクト列と、
    第1のばね部材により前方に付勢され、前記ベース部材の一方の側壁に沿って前後方向に移動可能であって、前記ICカードの装着時に後方においてロックされ、該ロックが解除されることで前記第1のばね部材の付勢力により前記ICカードのいずれをも前記カード収容空間から排出することができるイジェクト部材と、
    傾斜状態において前記第2のコンタクト列に配列される複数のコンタクトの接点部を収容可能なスリットを有し、第2のばね部材により前方に付勢され、前記ベース部材の底壁に沿って前後方向に移動可能であり、且つ回動可能なスライダと、
    前記第2のカードの側辺に当接可能な湾曲部を有し、通常は前記スライダの前後方向の移動をロックしているロック/アンロック金具と、
    をさらに備え、
    前記スライダは、前記第2のカードが挿入されたときのみ、前記ロック/アンロック金具によるロックが解除され、第2のばね部材に抗して、後方に移動するとともに回動し、前記第2のコンタクト列の前記複数のコンタクトの接点部を前記スリットから上方に突出させ、前記接点部と前記第2のカードの外部接点を電気的に接続させ得ることを特徴とするICカード用コネクタ。
  2. 前記第2のばね部材に対応する前記ベース部材の前記底壁は、前方に行くに従い下降する傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のICカード用コネクタ。
  3. 前記傾斜面は、下に凸の円弧面であることを特徴とする請求項2に記載のICカード用コネクタ。
  4. 前記スライダは、前記底壁に形成されている段部に係止する係止爪が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード用コネクタ。
  5. 前記スライダは、前記第1のICカードが挿入されたとき、前記ロック・アンロック金具にロックされた位置で、前記第2のコンタクト列の前記複数のコンタクトの前記接点部を前記スリットに収容したまま回動し、前記第1のICカードの通過を許容することを特徴とする請求項1に記載のICカード用コネクタ。
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