JP2007227194A - 自発光平面表示装置 - Google Patents

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敏明 楠
Toshimitsu Watanabe
敏光 渡辺
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Abstract

【課題】表示パネルの設定された動作条件に応じた信号線のシート抵抗を規定することにより、高ビットの階調表示を可能とする。
【解決手段】カソードと蛍光体層の対の複数副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域ARが構成され、表示領域の垂直解像度をRv[V]、カソード効率をη、カラーサブピクセル当りのピーク電流をIes、前記信号線に供給する駆動電圧の最大振幅をEd[V]、階調ビット数をbとしたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]を、SR < η・Ed/2b・Ies・Rvとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空中への電子放出を利用した表示装置に係り、特に、電子を放出するカソード(電子源)を有する背面パネルと、背面パネルから取り出された電子の励起で発光する複数色の蛍光体層とアノードを有する前面パネルとを封止枠で封止した自発光平面表示装置に好適なものである。
高輝度、高精細に優れた自発光平面表示装置として、液晶表示装置、プラズマ表示装置などが実用化されている。また、特に、高輝度化が可能なものとして、電子源から真空への電子放出を利用した電子放出型表示装置、または電界放出型表示装置や、低消費電力を特徴とする有機ELディスプレイなど、種々の型式の平面表示装置(パネル型表示装置)の実用化研究もなされている。補助的な照明光源を必要としないプラズマ表示装置、電子放出型表示装置あるいは有機EL表示装置などを自発光平面表示装置と称する。
このような自発光平面表示装置におけるカソードには、C.A.Spindtらにより発案されたコーン状の電界放出構造をもつもの、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出構造をもつもの、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも呼ばれる)をもつもの、さらにはダイアモンド膜やグラファイト膜、カーボンナノチューブに代表されるナノチューブなどが持つ電子放出現象を利用するもの、等が知られている。この種の表示装置のうち、MIM型の電子放出構造に関する技術が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開平9−199065号公報 特開2000−251778号公報
この種の表示装置では、画面サイズが大きくなる程、信号線のシート抵抗が問題となる。通常、信号線への駆動電圧の供給はパネルの一辺側から行われる。また、表示画像の精細度が高くなる程、信号線の配線幅が狭くなる。従って、給電端から遠ざかるに応じて抵抗値が増大し、高ビットの階調表示が不可能になる。その結果、画面全域での均一な高精細、高輝度表示を実現することが難しい。
本発明の目的は、表示パネルの設定された動作条件に応じた信号線のシート抵抗を規定することにより、高階調表示を可能として画面全域での均一な高精細、高輝度表示を実現することにある。
上記目的を達成するための、本発明は、以下に記述する構成を採用した。すなわち、
本発明の自発光平面表示装置は、第1方向に延在して該第1方向と交差する第2方向に並設されて水平走査信号を印加する多数の走査線と、前記走査線とは絶縁層を介して前記第2方向に延在し前記第1方向に並設されて表示データである駆動信号が供給される多数の信号線と、前記走査線と前記信号線とに接続されたカソードを有する背面パネルと、
前記カソードから取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層と、前記電子源との間に加速電圧を印加するアノードを有する前面パネルと、
前記背面パネルと前記前面パネルの周辺部に介在して減圧された内部空間を形成する封止枠とを具備する。
そして、前記カソードと前記蛍光体層の対で形成される複数の副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域が構成され、
前記表示領域の垂直解像度をRv[V]、カソード効率をη、カラーサブピクセル当りのピーク電流をIes、前記信号線に供給する駆動電圧の最大振幅をEd[V]、階調ビット数をbとしたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]を、
SR < η・Ed/2b・Ies・Rv
とした。
また、本発明は、前記表示領域の対角寸法をV[m]、水平方向画素数をRx、アノード電圧をEa[V]、発光開始アノード電圧をEath[V]、カソード効率をη、ピーク輝度をBp[cd/m2]、駆動電圧の最大振幅をEd[V]、階調ビット数をbとしたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]を、
SR < C η・Ed (Ea−Eath )・Rx/3・2b・Bp・V2 (Cは定数)
とした。
また、本発明は、前記表示領域の対角寸法をV[m]、水平方向画素数をRx、アノード電圧をEa[V]、カソード効率をη、ピーク輝度をBp[cd/m2]としたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]を、
SR < 0.00047 η・(Ea−3000)・Rx/Bp・V2
とした。
また、本発明は、前記表示領域の対角寸法が公称32インチ、水平方向画素数が1366、垂直方向画素数が768、アノード電圧が7kV、カソード効率をη、ピーク輝度が500[cd/m2]としたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]を、
SR < 7.775 η
とした。具体的には、この信号線のシート抵抗を0.38875[Ω/□]とした。
本発明の構成によれば、画面全域での均一な高精細、高輝度表示を実現する高ビットの階調表示が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による自発光平面表示装置の全体の構造を一部破断して示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A’線に沿った断面図を示す。背面パネルPNL1は背面基板SUB1の内面に、信号線CLと、走査線GLの交差部近傍にカソードを形成してマトリクス配置されている。一方、前面パネルPNL2は、前面基板SUB2として透明ガラス基板を用い、その内面にアノードADと蛍光体層PHが成膜されている。アノードADはアルミニウム層が用いられる。信号線CLの端部には信号線引き出し線CLTが、また、走査線GLの端部には走査線引き出し線GLTが背面基板SUB1の端縁に形成されている。
この前面パネルPNL2と背面パネルPNL1とを対向させ、対向間を所定の間隔を保つために例えば、幅約80μm、高さ約2.5mmのリブ又はスペーサ(隔壁、図示せず)を走査線GLの上、かつ走査線GLの延在方向に沿って介在させて固定した。両パネルの周辺部にはガラスからなる封止枠MFLを設置してある。封止枠MFLには、両パネルに挟まれた内部空間が外部と隔絶された減圧空間あるいは真空空間構造となるように図示しないフリットガラス(接合ガラス)を用いて固定される。フリットガラスを用いたスペーサの固着の際には、約400℃での加熱を行なった。その後、装置内部を約1μPaまで排気管EXCを通して排気した後に封じ切られる。図1における符号ARは表示領域で、対角距離をVで示す。
上記したような自発光平面表示装置に用いられるカソードとして、MIM、SED、BSDなどがある。このようなカソードは、駆動電流に対するエミッション電流の割合が小さい。サブピクセル当りのピークエミッション電流をIes、エミッション効率をη、サブピクセル当りのピーク駆動電流をIdsとすると、
Ies = η Ids・・・・・・・(1)
である。なお、通常はエミッション効率をη=1%〜5%である。
駆動時の信号線における電圧降下はピーク駆動電流をIdsによって生じるため、エミッション電流に比して大きな電圧降下が生じ易い。パネルの表示領域内における電圧降下が、階調表示の最小ビットに相当する電圧値よりも大きくなると、信号が正しく画素に印かされない。駆動電圧の最大振幅をEd、階調ビット数をbとすると、最小ビットに相当する電圧値ΔEdは、
ΔEd = Ed / 2b・・・・・・・(2)
となる。信号が正しく画素に印加されるためには、表示領域内の信号線の抵抗値Rは、
R ≦ ΔEd / Ids = η Ed / 2b Ies・・・・・・・(3)
となる必要がある。
垂直方向画素数をRy、水平方向画素数をRx、表示領域の面積をS、画素ピッチをPとすると、
P = V / √(Rx2+Ry2)・・・・・・・(4)
S = (Rx・Ry) V2 / (Rx2+Ry2)・・・・・・・(5)
の関係が成り立つ。
電圧降下を小さくするためには、信号線は短いほうがよい。信号線を垂直方向にとると表示領域内の信号線長さSlは、垂直方向画素数と画素ピッチを掛け合わせればよい。結果、
Sl = Ry P =Ry V / √(Rx2+Ry2)・・・・・・・(6)
となる。
このとき、信号線の線幅をSwとすると、信号線のシート抵抗SRは、
SR = R Sw / Sl・・・・・・・(7)
で与えられる。Rが(3)式を満たすためには、次式(8)を満たす必要がある。すなわち、
SR ≦η Ed Sw / 2b Ies Sl =η Ed Sw √ (Rx2+Ry2)/ 2b Ies Ry V・・・・・・・(8)
故に、SR < η Ed / 3・2b Ies Ry・・・・・・(9)
となる。
アノードへの流入電流とピーク輝度Bpには比例関係が成立する。このため、サブピクセル当りのピークエミッション電流Iesは、
Ies ∝ Bp ・・・・・・(10)
となる。
同様に、輝度一定の場合、アノードへの流入電流は表示領域の面積Sに比例するため、(5)式より、
Ies ∝ V2・・・・・・・(11)
となる。
アノード電圧Eaは、発光開始アノード電圧Eathを越えたとき、ピーク輝度Bpとの間に線形関係が成り立つ。このため、輝度一定の場合、
Ies ∝ 1/(Ea − Eath )・・・・・・・(12)
となる。
また、アノード電流が一定のとき、画素数とエミッション電流Iesは反比例するので、
Ies ∝ 1/Rx・Ry・・・・・・・(13)
となる。
以上から、
Ies ∝Bp ・V2/ (Ea − Eath ) ・Rx・Ry
故に、1/Ies ∝ (Ea − Eath ) ・Rx・Ry /Bp ・V2・・・・・・・(14)
が成り立つ。
(9)式と(14)式より、
SR < C η・Ed (Ea−Eath )・Rx/3・2b・Bp・V2
(Cは定数)・・・・・・・(15)
ただし、C =Bp・V2 /Ies ・ (Ea − Eath ) ・Rx・Ry ・・・・・・・(16)
表示領域の対角寸法Vが公称32インチ(約0.8m)で、画素数が水平(H)1366×垂直(V)768の表示装置を構成すると、アノード電圧Ea = 7kVでピーク輝度500cd/m2のとき、サブピクセル当りの電流値は0.00109mAである。また、実験事実から、Eath = 3kVであるので、(16)式より定数Cは0.0722cd/Wである。駆動回路を安価に抑えるためには、駆動電圧はTTLレベルであることが必要である。従って、Ed=5[V]となる。階調は、現状のプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)や液晶表示パネル(LCD)の特性から、少なくとも8ビット以上必要である。よって、b = 8となる。
以上から、(15)式は書き換えられ、表示領域の対角寸法V[m]、水平方向画素数Rx、アノード電圧Ea[V]、エミッション効率(カソード効率)η、ピーク輝度Bp(cd/m2)、信号線のシート抵抗値SR[Ω/□]には、
SR < 0.000・η・(Ea―3000)・Rx・・・・・・・(17)
の関係が成り立つ。
また、対角寸法Vが公称32インチで、水平(H)1366×垂直(V)768、アノード電圧Ea = 7kV、ピーク輝度500cd/m2であるような表示装置を構成するには、カソード効率をηとしたときの信号線のシート抵抗値SR[Ω/□]が、
SR < 7.775・η・・・・・・・(18)
であればよい。
また、カソード効率ηは5%以下と考えられるので、
SR < 0.38875・・・・・・・(19)
となる。
以下、上記した条件を適用する表示装置におけるカソードについて説明する。
図3は、図1と図2におけるカソードの一例を説明する図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のA−A’線に沿う断面図、図3(c)は図3(a)のB−B’線に沿う断面図である。このカソードはMIM電子源である。
このカソードの構造を、その製造工程で説明する。先ず、背面基板(ガラス基板)SUB1上に下部電極DED、保護絶縁層INS1、絶縁層INS2を形成する。次に、層間絶縁膜INS3と、上部電極AEDへの給電線となる上部バス電極とスペーサ(図示せず)を配置するためのスペーサ電極となる金属膜を、例えばスパッタリング法等で成膜する。層間絶縁膜INS3としては、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化膜、シリコンなどを用いることができる。ここでは、シリコン窒化膜を用い膜厚は100nmとした。この層間絶縁膜INS3は、陽極酸化で形成する保護絶縁層INS1にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極DEDと走査線となる上部バス電極(金属膜下層MDLと金属膜上層MALの間に金属膜中間層MMLとしてCuを挟んだ3層の積層膜)間の絶縁を保つ役割を果たす。
なお、走査線となる上部バス電極は、上記の3層積層膜は限らず、それ以上とすることもできる。例えば、金属膜下層MDL、金属膜上層MALとしてアルミニウム(Al)やクロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの耐酸化性の高い金属材料、またはそれらを含む合金やそれらの積層膜を用いることができる。なお、ここでは金属膜下層MDL、金属膜上層MALとしてAl−Nd合金を用いた。この他に、金属膜下層MDLとしてAl合金とCr、W、Moなどの積層膜を用い、金属膜上層MALとしてCr、W、MoなどとAl合金の積層膜を用いて、金属膜中間層MMLのCuに接する膜を高融点金属とした5層膜を用いることで、画像表示装置の製造プロセスにおける加熱工程の際に、高融点金属がバリア膜となってAlとCuの合金化を抑制できるので、低抵抗化に特に有効である。
Al−Nd合金のみ用いる場合の、当該Al−Nd合金の膜厚は、金属膜下層MDLより金属膜上層MALを厚くし、金属膜中間層MMLのCuは配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。ここでは金属膜下層MDLを300nm、金属膜中間層MMLを4μm、金属膜上層MALを450nmの膜厚とした。なお、金属膜中間層MMLのCuはスパッタ以外に電気めっきなどにより形成することも可能である。
高融点金属を用いる上記5層膜の場合は、Cuと同様に、特に燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングが可能なMoでCuを挟んだ積層膜を金属膜中間層MMLとして用いるのが特に有効である。この場合、Cuを挟むMoの膜厚は50nmとし、この金属膜中間層を挟む金属膜下層MDLのAl合金は300nm、金属膜上層MALのAl合金は50nmの膜厚とする。
続いて、スクリーン印刷によるレジストのパターニングとエッチング加工により金属膜上層MALを、下部電極DEDと交差するストライプ形状に加工する。このエッチング加工では、例えば燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。エッチング液に硝酸を加えないことによりCuをエッチングせずにAl−Nd合金のみを選択的にエッチングすることが可能となる。
Moを用いた5層膜の場合も、エッチング液に硝酸を加えないことによりMoとCuをエッチングせずに、Al−Nd合金のみのみ選択的にエッチング加工することが可能である。ここでは、金属膜上層MALを1ピクセルあたり1本形成したが、2本形成することも可能である。
続いて、同じレジスト膜をそのまま用いるか、金属膜上層MALのAl−Nd合金をマスクとして金属膜中間層MMLのCuを例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でウェットエッチングする。燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液のエッチング液中でのCuのエッチング速度はAl−Nd合金に比べて十分に速いため、金属膜中間層MMLのCuのみを選択的にエッチングすることが可能である。Moを用いた5層膜の場合もMoとCuのエッチング速度はAl−Nd合金に比べて十分に速くMoとCuの3層の積層膜のみを選択的にエッチングすることが可能である。Cuのエッチングにはその他過硫酸アンモニウム水溶液や過硫酸ナトリウム水溶液も有効である。
続いて、スクリーン印刷によるレジストのパターニングとエッチング加工により金属膜下層MDLを下部電極DEDと交差するストライプ形状に加工する。このエッチング加工は燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、印刷するレジスト膜を金属膜上層MALのストライプ電極とは平行な方向に位置をずらすことにより、金属膜下層MDLの片側EG1は金属膜上層MALより張り出させて、後の工程で上部電極AEDとの接続を確保するコンタクト部とし、金属膜下層MDLの反対側EG2では金属膜上層MALと金属膜中間層MLをマスクとしてオーバーエッチング加工がなされ、金属膜中間層MMLに庇を形成する如く後退した部分が形成される。
この金属膜中間層MMLの庇により、後の工程で成膜される上部電極AEDが分離される。この際、金属膜上層MALは金属膜下層MDLの膜厚より厚くしてあるので、金属膜下層MDLのエッチングが終了しても、金属膜上層MALは金属膜中間層MMLのCu上に残すことができる。これによりCuの表面を保護することが可能となるので、Cuを用いても耐酸化性があり、かつ上部電極AEDを自己整合的に分離し、かつ給電を行う走査信号配線となる上部バス電極を形成することができる。また、CuをMoで挟んだ5層膜の金属膜中間層MMLとした場合には、金属膜上層MALのAl合金が薄くても、MoがCuの酸化を抑制してくれるので、金属膜上層MALを金属膜下層MDLの膜厚より厚くする必要は必ずしもない。
続いて、層間膜INS3を加工して電子放出部を開口する。電子放出部は画素内の1本の下部電極DEDと、下部電極DEDと交差する2本の上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜と非図示の隣接画素の金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)に挟まれた空間の交差部の一部に形成する。このエッチング加工は、例えばCF4やSF6を主成分とするエッチングガスを用いたドライエッチングによって行うことができる。
最後に、上部電極AEDの成膜を行う。この成膜にはスパッタ法を用いる。上部電極AEDとしては、例えばIr、Pt、Auの積層膜を用い、その膜厚は例えば6nmとした。この時、上部電極AEDは、電子放出部を挟む2本の上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)の一方(図3(c)の右側)では、金属膜中間層MMLと金属膜上層MALの庇構造による金属膜下層MDLの後退部(EG2)により切断される。そして、他方(図3(c)の左側)では、上部バス電極(金属膜下層MDL、金属膜中間層MML、金属膜上層MALの積層膜)とは金属膜下層MDLのコンタクト部(EG1)により断線を起こさずに成膜接続されて、電子放出部への給電される構造となる。
図4は、本発明による自発光平面表示装置の等価回路例の説明図である。図4中に破線で示した領域は表示領域ARであり、この表示領域ARに複数の信号線CLと複数の走査線GLが互いに交差して配置されてn×mのマトリクスが形成されている。マトリクスの各交差部はカラーの副画素(サブピクセル)を構成し、図中の“R”,“G”,“B”の1グループでカラー1画素(ピクセル)を構成する。なお、図3で説明したカソードの構成は図示を省いた。信号線CLは信号線引出端子CLTを通して信号線駆動回路DDRに接続され、走査線GLは走査線引出端子GLTを通して走査線駆動回路SDRに接続されている。データ線駆動回路DDRには外部信号源から画像信号(表示データ信号)NSが入力され、走査線駆動回路SDRには同様に走査信号SSが入力される。
これにより、順次選択される走査信号線GLに接続するサブピクセルに信号線GLから画像データを供給することにより、二次元のフルカラー画像を表示することができる。本構成例の表示装置により、高品質で高効率の自発光平面表示装置が実現される。
なお、以上の説明では、カソードにMIMを用いた構造を例としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記した各種の電子源を用いた自発光型平面表示装置に対しても同様に適用できるものである。
本発明による自発光平面表示装置の全体の構造を一部破断して示す斜視図である。 図1のA−A’線に沿った断面図である。 図1と図2におけるカソードの一例を説明する図である。 本発明による自発光平面表示装置の等価回路例の説明図である。
符号の説明
PNL1・・・背面パネル、PNL2・・・前面パネル、SUB1・・・背面基板、SUB2・・・前面基板、CL・・・信号線、CLT・・・信号線引出端子、GL・・・走査線、GLT・・・走査線引出端子、PH・・・蛍光体層、AD・・・アノード、MFL・・・封止枠、DDR・・・信号線駆動回路、GDR・・・走査線駆動回路。

Claims (5)

  1. 第1方向に延在して該第1方向と交差する第2方向に並設されて水平走査信号を印加する多数の走査線と、前記走査線とは絶縁層を介して前記第2方向に延在し前記第1方向に並設されて表示データである駆動信号が供給される多数の信号線と、前記走査線と前記信号線とに接続したカソードを有する背面パネルと、
    前記カソードから取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層と、前記電子源との間に加速電圧を印加するアノードを有する前面パネルと、
    前記背面パネルと前記前面パネルの周辺部に介在して減圧された内部空間を形成する封止枠とを具備し、
    複数の副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域が構成され、
    前記表示領域の垂直解像度をRv[V]、カソード効率をη、カラーサブピクセル当りのピーク電流をIes、前記信号線に供給する駆動電圧の最大振幅をEd[V]、階調ビット数をb、信号線のシート抵抗をSR[Ω/□]としたとき、
    SR < η・Ed/2b・Ies・Rv
    であることを特徴とする自発光平面表示装置。
  2. 主面上の第1方向に延在して該第1方向と交差する第2方向に並設されて水平走査信号を印加する多数の走査線と、前記走査線とは絶縁層を介して前記第2方向に延在し前記第1方向に並設されて表示データである駆動信号が供給される多数の信号線と、前記走査線と前記信号線とに接続したカソードを有する背面パネルと、
    前記カソードから取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層と、前記電子源との間に加速電圧を印加するアノードを有する前面パネルと、
    前記背面パネルと前記前面パネルの周辺部に介在して減圧された内部空間を形成する封止枠とを具備し、
    複数の副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域が構成され、
    前記表示領域の対角寸法をV[m]、水平方向画素数をRx、アノード電圧をEa[V]、発光開始アノード電圧をEath[V]、カソード効率をη、ピーク輝度をBp[cd/m2]、駆動電圧の最大振幅をEd[V]、階調ビット数をb、信号線のシート抵抗をSR[Ω/□]としたとき、
    SR < C η・Ed (Ea−Eath )・Rx/3・2b・Bp・V2 (Cは定数)
    であることを特徴とする自発光平面表示装置。
  3. 第1方向に延在して該第1方向と交差する第2方向に並設されて水平走査信号を印加する多数の走査線と、前記走査線とは絶縁層を介して前記第2方向に延在し前記第1方向に並設されて表示データである駆動信号が供給される多数の信号線と、前記走査線と前記信号線とに接続したカソードを有する背面パネルと、
    前記カソードから取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層と、前記電子源との間に加速電圧を印加するアノードを有する前面パネルと、
    前記背面パネルと前記前面パネルの周辺部に介在して減圧された内部空間を形成する封止枠とを具備し、
    複数の副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域が構成され、
    前記表示領域の対角寸法をV[m]、水平方向画素数をRx、アノード電圧をEa[V]、カソード効率をη、ピーク輝度をBp[cd/m2]、信号線のシート抵抗をSR[Ω/□]としたとき、
    SR < 0.00047 η・(Ea−3000)・Rx/Bp・V2
    であることを特徴とする自発光平面表示装置。
  4. 第1方向に延在して該第1方向と交差する第2方向に並設されて水平走査信号を印加する多数の走査線と、前記走査線とは絶縁層を介して前記第2方向に延在し前記第1方向に並設されて表示データである駆動信号が供給される多数の信号線と、前記走査線と前記信号線とに接続したカソードを有する背面パネルと、
    前記カソードから取り出される電子の励起で発光する複数色の蛍光体層と、前記電子源との間に加速電圧を印加するアノードを有する前面パネルと、
    前記背面パネルと前記前面パネルの周辺部に介在して減圧された内部空間を形成する封止枠とを具備し、
    複数の副画素で形成される画素をマトリクス状に配置して2次元の表示領域が構成され、
    前記表示領域の対角寸法が公称32インチ、水平方向画素数が1366、垂直方向画素数が768、アノード電圧が7kV、カソード効率をη、ピーク輝度が500[cd/m2]としたとき、信号線のシート抵抗SR[Ω/□]が、
    SR < 7.775 η
    であることを特徴とする自発光平面表示装置。
  5. 請求項4において、
    前記信号線のシート抵抗が0.38875[Ω/□]であることを特徴とする自発光平面表示装置。

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