JP2007225894A - 光結合部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光結合部品において、耐振動性を持たせ、光学性能の向上を図る。
【解決手段】光結合部品1は、光ファイバ2と、貫通孔41に光ファイバ2が固定されるフェルール4と、を備える。フェルール4の一端側には、断面形状が円形であって中空の第1ザグリ部43が形成され、他端側には第2ザグリ部45が形成されている。光ファイバ2は、その先端が第1ザグリ部43内に突出する位置に固定されている。第1ザグリ部43には吸引孔46が設けられている。このため、第2ザグリ部45に接着剤5を注入して、吸引孔46から第1ザグリ部43内の空気を吸引した場合、接着剤5を貫通孔41の光ファイバ先端付近まで充填させることができ、耐振動性能を高めることができる。また、吸引孔46から光ファイバ2の先端付近への接着剤5の回り込み具合を確認して、接着剤5の光ファイバ先端への付着を防止することができ、光学性能の向上を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品及びその製造方法に関する。
従来より、空間と光ファイバとレンズを介して光学的に結合する光結合系において、光ファイバを伝送する光が、光ファイバと空気との界面で反射し、反射した光が光ファイバに再結合するという問題があった。このような問題を解決するため、光ファイバの先端を斜めに研磨した光ファイバコリメータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この光ファイバコリメータによれば、光ファイバの先端が斜めに研磨されているので、光ファイバと空気との界面における反射減衰量を高めることができ、光ファイバと空気との界面で反射した反射光が光ファイバに再結合することを防止できた。
図7は、上記のような光ファイバコリメータの構造を示す。光ファイバコリメータ101は、光ファイバ102と、光ファイバ102から出射する光を平行光にする球レンズ103と、光ファイバ102と球レンズ103とを固定する円筒状のフェルール104と、備える。フェルール104には、光ファイバと略同径の貫通孔105と、一端側にザグリ部106と、他端側に光ファイバ挿入口107とが設けられている。貫通孔105、ザグリ部106及び光ファイバ挿入口107は繋がっている。球レンズ103はザグリ部106に固定され、光ファイバ102は、光ファイバ挿入口107から貫通孔105に挿入されて、接着剤により固定される。光ファイバ102は、その斜めにカットされた先端が球レンズ103と対向するように固定される。
特開平10−62648号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術を含む従来の技術では、光ファイバ102を光ファイバ挿入口107に挿入する前に、接着剤を貫通孔105に流し込んだ場合、光ファイバ102を挿入すると、光ファイバ102の先端に接着剤が付着し、斜めにカットしていた光ファイバの先端形状が変形してしまうため、光学設計通りの光学性能を得ることが困難であった。また、光ファイバ102を光ファイバ挿入口107に挿入した後に、接着剤を貫通孔105に注入した場合、光ファイバ102の先端まで接着剤が充填されないため、フェルール104が光ファイバ102を保持する力が弱いものとなっていた。このため、振動又は衝撃等のある環境で光ファイバコリメータ101を使用した場合、光ファイバ102がフェルール104から外れて、故障することがあった。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、耐振動性能を高めて信頼性を向上させ、さらに光学性能の向上を図ることができる上、安価に製造可能な光結合部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品において、前記フェルールの一端側には、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部が形成され、前記フェルールの他端側には、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部が形成され、前記第1ザグリ部には、前記光ファイバの先端と対向して球レンズが固定されていると共に、前記フェルールの軸と直交する向きに、該第1ザグリ部内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔が設けられ、前記光ファイバは、その先端が前記第1ザグリ部内に突出する位置に固定されているものである。
請求項2の発明は、光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品において、前記フェルールの一端側には、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部が形成され、前記フェルールの他端側には、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部が形成され、前記第1ザグリ部には、前記光ファイバの先端と対向して球レンズが固定され、前記第1ザグリ部の底面に近い位置で、且つ、前記フェルールの軸と直交する向きに、前記貫通孔と交わる、前記貫通孔内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔が設けられ、前記光ファイバは、その先端が前記第1ザグリ部内に突出する位置に固定されているものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光結合部品において、少なくとも1つの接着剤溜りが、前記第1ザグリ部の前記光ファイバの先端の周辺に設けられているものである。
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光結合部品において、椀状の接着剤溜りが、前記第1ザグリ部に、前記光ファイバの先端を臨んで設けられているものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光結合部品において、前記フェルールの第2ザグリ部の深さが略1mm以上であるものである。
請求項6の発明は、光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品の製造方法において、前記フェルールの一端側に、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部を形成し、前記フェルールの他端側に、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部を形成し、前記第1ザグリ部に、前記フェルールの軸と直交する向きに、該第1ザグリ部内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔を形成する工程と、前記第1ザグリ部に、球レンズを固定する工程と、前記第2ザグリ部から前記貫通孔に前記光ファイバを挿入し、その先端が前記第1ザグリ部内に突出して前記球レンズと対向する位置に前記光ファイバを配置する工程と、前記第2ザグリ部に接着剤を注入する工程と、前記注入された接着剤を、前記吸引孔からの吸引により、前記第2ザグリ部から前記貫通孔の前記光ファイバの先端付近まで充填し、前記光ファイバを前記貫通孔に固定する工程と、前記吸引孔を接着剤で塞ぐ工程と、を含むものである。
請求項7の発明は、光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品の製造方法において、前記フェルールの一端側に、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部を形成し、前記フェルールの他端側に、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部を形成し、前記第1ザグリ部の底面に近い位置で、且つ、前記フェルールの軸と直交する向きに、前記貫通孔と交わる、該貫通孔内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔を形成する工程と、前記第1ザグリ部に球レンズを固定する工程と、前記第2ザグリ部から前記貫通孔に前記光ファイバを挿入し、その先端が前記第1ザグリ部内に突出して前記球レンズと対向する位置に前記光ファイバを配置する工程と、前記第2ザグリ部に接着剤を注入する工程と、前記注入された接着剤を、前記吸引孔からの吸引により、前記第2ザグリ部から前記貫通孔の前記光ファイバの先端付近まで充填し、前記光ファイバを前記貫通孔に固定する工程と、前記吸引孔を接着剤で塞ぐ工程と、を含むものである。
請求項1の発明によれば、フェルールの第2ザグリ部に接着剤を注入して、吸引孔から第1ザグリ部内の空気を吸引した場合、接着剤を、第2ザグリ部からフェルールの貫通孔の光ファイバ先端付近まで充填させることができ、フェルールが光ファイバを保持する力を強めることができる。このため、耐振動性能を高めることができ、信頼性を向上させることができる。また、吸引孔は、第1ザグリ部に、フェルールの軸と直交する向きに設けられているので、上記のように接着剤を充填する際に、吸引孔から光ファイバの先端付近への接着剤の回り込み具合を確認することができる。このため、接着剤が光ファイバの先端に付着することを防止でき、光学性能の向上を図ることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1により得られる耐振動性能を高めることができる効果に加えて、吸引孔は第1ザグリ部の底面に近い位置に、貫通孔と交わって設けられており、光ファイバの先端は第1ザグリ部内に突出しているので、上記のように接着剤を充填する際に、接着剤が光ファイバの先端に回り込んで付着することを防止でき、光学性能の向上を図ることができる。
請求項3又は請求項4の発明によれば、接着剤が接着剤溜りに流れ込むため、光ファイバ先端への接着剤の付着を防止することができ、光学性能の向上を図れる。
請求項5の発明によれば、光ファイバをフェルールの軸方向に移動させて、球レンズと光ファイバ先端との距離を調整する場合、光ファイバの被覆が第2ザグリ部に引っ掛かることを防止できる。このため、球レンズと光ファイバ先端との距離を所望の距離に調整することができ、誤差を無くし、光学性能を向上させることができる。また、光ファイバの無被覆部分が第2ザグリ部からはみ出すことを防ぐことができ、光ファイバの固定強度が低下することを防止できる。このため、耐振動性能を高めることができる。
請求項6又は請求項7の発明によれば、請求項1又は請求項2により得られる耐振動性能を高めることができる効果と、光学性能の向上を図ることができる効果に加えて、異物が第1ザグリ部内に入り込んで光信号の伝播を妨げることを防止でき、光学性能の向上をさらに図ることができる。また、製造時に複雑な工程を必要としないので、アセンブリが容易になり、安価に製作することができる。
本発明の第1の実施形態に係る光結合部品及びその製造方法について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態の光結合部品の構成を示す。光結合部品1は、光信号を伝送する光ファイバ2と、空間と光ファイバ2との間で光信号を発散又は収束させる球レンズ3と、光ファイバ2及び球レンズ3を固定するための円筒状のフェルール4と、を備え、空間を伝播する光と光ファイバ2とを光学的に結合する。光ファイバ2は、接着剤5によりフェルール4に接着固定される。光ファイバ2のフェルール4外の部位は、被覆6により覆われている。
フェルール4は、例えばセラミック、樹脂又は金属からなる。フェルール4には、光ファイバ2と略同径であってフェルール4と同軸の貫通孔41が形成されている。フェルール4の一端側の端部42には、断面形状が円形であって中空の第1ザグリ部43が形成されている。フェルール4の他端側の端部44には、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部45が形成されている。貫通孔41、第1ザグリ部43及び第2ザグリ部45は、同軸上に繋がって設けられている。なお、フェルール4が金属から成る場合、光結合部品1を半田付け又は溶接等により他の部品に固定することができるので、他の部品が光結合部品1を保持する力を向上させることができる。
フェルール4の第1ザグリ部43は、フェルール4と同軸であり、第1ザグリ部43の直径は球レンズ3の直径と略同径である。第1ザグリ部43には、第1ザグリ部43内の空気を吸引するための吸引孔46が設けられている。吸引孔46は、フェルール4の軸と直交する向きに、フェルール4の第1ザグリ部43の底面47と球レンズ3に接する部位との間に形成されている。吸引孔46の数は、例えば1つであり、2以上であってもよい。吸引孔46の断面形状は円形、楕円形又は四角形である。吸引孔46は接着剤5で塞がれる。
第2ザグリ部45の径は、開口端へ向けて円弧状に広がっており、第2ザグリ部45の形状は、例えばR面取りされた形状と同じである。フェルール4の第2ザグリ部45の端部44からの深さDは略1mm以上である。
光ファイバ2は、フェルール4の第2ザグリ部45から貫通孔41に挿入され、その先端が第1ザグリ部43の底面47から内部に突出する位置に配設される。光ファイバ2の先端面は、光軸直角方向に対して斜めにカットされており、その傾斜角は例えば略8度である。なお、光軸直角方向は、光軸に対して直角な方向を意味する。
また、光ファイバ2は、第2ザグリ部45から注入される接着剤5により貫通孔41に固定される。接着剤5は、光ファイバ2の無被覆部分を貫通孔41に固定すると共に、光ファイバ2の無被覆部分及び被覆6による被覆部分を第2ザグリ部45と固定する。接着剤5は、例えば紫外線硬化型樹脂から成る。接着剤5が紫外線硬化型樹脂から成る場合、フェルール4は透光性材料から成り、紫外線を透過する。紫外線を受けた接着剤5は硬化し、光ファイバ2をフェルール4の貫通孔41に固定する。
球レンズ3は、直径が略1mm〜2mmである球状の光学材料から成り、フェルール4の第1ザグリ部43に圧入され、光ファイバ2の先端と対向して固定される。球レンズ3の固定位置は、その一部がフェルール4から露出する位置である。
このように、吸引孔46が第1ザグリ部43に設けられているので、第2ザグリ部45に接着剤を5注入して、吸引孔46から第1ザグリ部43内の空気を吸引した場合、接着剤5を、第2ザグリ部45からフェルール4の貫通孔41の光ファイバ先端付近まで充填させることができ、フェルール4が光ファイバ2を保持する力を強めることができる。このため、振動又は衝撃等における使用を可能とし、耐振動性能及び耐衝撃性能を高めることができ、信頼性を向上させることができる。さらに、吸引孔46は、第1ザグリ部43に、フェルール4の軸と直交する向きに設けられているので、接着剤5を充填する際に、吸引孔46から光ファイバ2の先端付近への接着剤5の回り込み具合を確認することができる。このため、接着剤5が光ファイバ2の先端に付着することを防止でき、光学性能の向上を図ることができる。
上記のような光結合部品1における光信号の伝播経路を説明する。光信号が光ファイバ2を伝播してきた場合、光信号は光ファイバ2の先端から出射する。出射した光信号は球レンズ3に入射する。球レンズ3は、例えばこの光信号を平行光にし、フェルール4外へ送出する。一方、フェルール4外部から光信号が球レンズ3に入射した場合、光信号は球レンズ3により集光され、光ファイバ2に結合される。
次に、光結合部品1の製造方法を図2を参照して説明する。まず、射出成形により、貫通孔41、第1ザグリ部43、第2ザグリ部45及び吸引孔46を有するフェルール4が成形される(S1)。貫通孔41、第1ザグリ部43及び第2ザグリ部45は、同軸上に繋がって設けられている。貫通孔41は、その直径が光ファイバ2と略同径であって、その軸がフェルール4と同軸になるように形成される。第1ザグリ部43は、フェルール4の一端側の端部42に設けられ、その断面形状が円形であって、その軸がフェルール4の軸すなわち光ファイバ2の軸と同軸になるように形成される。第2ザグリ部45は、フェルール4の他端側の端部44に設けられ、その深さDが1mm以上であって、その開口端が拡径したテーパ状となるように形成される。吸引孔46は、第1ザグリ部43に、フェルール4の軸と直交する向きに形成される。
フェルール4の成形後、球レンズ3が、第1ザグリ部43に圧入されて固定される(S2)。球レンズ3の固定後、光ファイバ2が、第2ザグリ部45から貫通孔41に挿入される(S3)。第2ザグリ部45の形状は開口端に拡径したテーパ状であるため、光ファイバ2がフェルール4に挿入されるとき、光ファイバ2の先端を貫通孔41に誘う。光ファイバ2の先端は既に斜めにカットされており、光ファイバ2はその先端から貫通孔41に挿入される。
光ファイバ2は、その先端が第1ザグリ部43内に突出して球レンズ3と対向する位置に配置される。光ファイバ2の先端と球レンズ3との距離は、光ファイバ2を光軸方向に移動させることにより調整される。この調整により、光ファイバ2の先端から出射して球レンズ3を透過した光を平行光とすることができ、光結合部品をコリメータタイプとすることができる。この調整を行なう際、光ファイバ2が光軸方向に移動されるので、光ファイバ2の被覆6が第2ザグリ部45に引っ掛かる可能性がある。しかしながら、第2ザグリ部45の深さDが略1mm以上であるので、その可能性を低下させることができる。このため、球レンズ3と光ファイバ2先端との距離を所望の距離に調整することができ、誤差を無くし、光学性能を向上させることができる。また、上記の調整を行なう際、光ファイバ2の無被覆部分がフェルール4外に位置する可能性がある。しかしながら、第2ザグリ部45の深さDは略1mm以上であるので、この深さを調整シロとすることができ、光ファイバ2の無被覆部分が第2ザグリ部45からはみ出すことを防ぎ、光ファイバ2の固定強度が低下することを防止できる。このため、振動又は衝撃等のある環境で光結合部品1を使用した場合においても、信頼性を確保することができる。
光ファイバ2の位置決め後、フェルール4の第2ザグリ部45に接着剤5が注入される(S4)。次に、吸引孔46からの吸引が行なわれる(S5)。フェルール4の第1ザグリ部43は球レンズ3によって塞がれ、第2ザグリ部45は光ファイバ2及び接着剤5により塞がれている。吸引孔46は、フェルール4の球レンズ3と当接する部位と、第2ザグリ部との間に設けられている。このため、吸引孔46からの吸引により、フェルール4内の気圧を下げることができる。フェルール4内の気圧が下がることにより、第2ザグリ部45に注入された接着剤5は、第1ザグリ部43の方向へ浸透する。吸引は、接着剤5が第2ザグリ部45から貫通孔41の光ファイバ先端付近に到達するまで行なわれ、貫通孔41全体に接着剤5が充填される。光ファイバ2は、貫通孔41全体に充填された接着剤5により貫通孔41に固定されるので、フェルール4が光ファイバ2を保持する力を強めることができる。その結果、光結合部品1の耐振動性能及び耐衝撃性能を高めることができ、信頼性を向上させることができる。
吸引を行なう際、接着剤5の充填具合が吸引孔46から観察される。このため、吸引孔46から光ファイバ2の先端付近への接着剤5の回り込み具合を確認することができる。接着剤5が光ファイバ2の先端に回り込む前に吸引は停止される。従って、接着剤5が光ファイバ2の先端に付着することを防止でき、光学性能の向上を図ることができる。
貫通孔41全体に接着剤5を充填した後、吸引孔46が接着剤5で塞がれる(S6)。このため、異物が第1ザグリ部内に入り込んで、光信号の伝播を妨げることを防止できる。その結果、光学性能の低下を防止できる。
このように、製造時に複雑な工程を必要としないので、アセンブリが容易になり、安価に光結合部品1を製作することができ、光結合部品1の低コスト化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る光結合部品について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の光結合部品の構成を示す。本実施形態の光結合部品と、第1の実施形態のそれとでは、貫通孔41内の空気を吸引するための吸引孔46の位置に差異がある。本実施形態において、第1の実施形態と同一の部材には同一符号を付している(以下、同様)。
吸引孔46は、フェルール4の第1ザグリ部43の底面47に近い位置で、且つ、フェルール4の軸と直交する向きに、貫通孔41と交わって形成されている。吸引孔46の位置は、第1ザグリ部43の底面47と第2ザグリ部45との間である。吸引孔46の数や形状は、前述と同様である。
このように、吸引孔46が、フェルール4の第1ザグリ部43の底面47に近い位置に、貫通孔41と交わって設けられているので、フェルール4の第2ザグリ部45に接着剤5を注入して、吸引孔46から貫通孔41内の空気を吸引することにより、前述と同様の作用効果が得られる。さらに、吸引孔46は、第1ザグリ部43の底面47に近い位置であって、フェルール4の第1ザグリ部43の底面47と第2ザグリ部45との間に設けられており、光ファイバ2の先端は第1ザグリ部43の底面47から突出しているので、接着剤5を充填する際に、接着剤5が光ファイバ2の先端に回り込んで付着することを防止でき、光学性能の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る光結合部品について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の光結合部品の構成を示す。本実施形態の光結合部品は、上記の実施形態のそれと比較して、接着剤溜り48をさらに備える点で異なる。
接着剤溜り48は、第1ザグリ部43の光ファイバ先端周辺の底面47で、且つ、貫通孔41の第1ザグリ部43側の開口端に設けられている。この接着剤溜り48は、貫通孔41の開口端の一部を逆R面取りすることにより形成される。接着剤溜り48の数は1つである。接着剤溜り48には、接着剤5が溜められている。
本実施形態の光結合部品においては、接着剤溜り48が、フェルール4の第1ザグリ部43の光ファイバ先端周辺に設けられているので、フェルール4の第2ザグリ部45に接着剤5を注入して吸引孔46から吸引を行ない、接着剤5を、第2ザグリ部45からフェルール4の貫通孔41の光ファイバ先端付近まで充填させた場合、接着剤5は接着剤溜り48に流れ込むため、光ファイバ先端への接着剤5の回り込み、付着を防止することができる。このため、光学性能を向上させることができる。また、本実施形態においても、耐振動性能等を高めることができる効果は、上記実施形態と同様に得られる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る光結合部品について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の光結合部品の構成を示す。本実施形態の光結合部品と、第3の実施形態のそれとは、接着剤溜り48の数に相違がある点で異なる。
接着剤溜り48は、第1ザグリ部43の光ファイバ先端周辺の底面47で、且つ、貫通孔41の第1ザグリ部43側の開口端に設けられている。この接着剤溜り48は、貫通孔41の開口端の一部を逆R面取りすることにより形成される。接着剤溜り48は、光軸と直角な面において、光ファイバ2を中心として、すなわち貫通孔41の開口を中心としてその周囲に、互いに略90度の角度を持って配置されている。接着剤溜り48の数は4つである。接着剤溜り48には、接着剤5が溜められている。本実施形態の光結合部品においても、第3の実施形態と同様の作用効果が得られる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る光結合部品について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の光結合部品の構成を示す。本実施形態の光結合部品と、第3又は第4の実施形態のそれとは、接着剤溜り48の形状に相違がある点で異なる。
接着剤溜り48は、第1ザグリ部43の底面47に、光ファイバ2の先端を臨んで設けられている。この接着剤溜り48は、貫通孔41の第1ザグリ部43側の開口端を逆R面取りすることにより形成される。接着剤溜り48の形状は椀状である。接着剤溜り48には、接着剤5が溜められている。本実施形態の光結合部品においても、第3の実施形態と同様の作用効果が得られる。
本発明は、上記のような実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、フェルール4の第2ザグリ部45の形状は、C面取りされた形状と同じであっても構わない。また、接着剤溜り48の数は、1つ又は4つに限定されず、幾つあってよい。
本発明の第1の実施形態に係る光結合部品の断面図。 上記光結合部品の製造工程を示すフローチャート。 本発明の第2の実施形態に係る光結合部品の断面図。 (a)は本発明の第3の実施形態に係る光結合部品の断面図であり、(b)のA−A’線断面図、(b)は同部品の縦断面図。 (a)は本発明の第4の実施形態に係る光結合部品の断面図であり、(b)のB−B’線断面図、(b)は同部品の縦断面図。 (a)は本発明の第5の実施形態に係る光結合部品の断面図であり、(b)のC−C’線断面図、(b)は同部品の縦断面図。 従来の光結合部品の断面図。
符号の説明
1 光結合部品
2 光ファイバ
3 球レンズ
4 フェルール
5 接着剤
6 被覆
41 貫通孔
43 第1ザグリ部
45 第2ザグリ部
46 吸引孔
48 接着剤溜り

Claims (7)

  1. 光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品において、
    前記フェルールの一端側には、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部が形成され、
    前記フェルールの他端側には、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部が形成され、
    前記第1ザグリ部には、前記光ファイバの先端と対向して球レンズが固定されていると共に、前記フェルールの軸と直交する向きに、該第1ザグリ部内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔が設けられ、
    前記光ファイバは、その先端が前記第1ザグリ部内に突出する位置に固定されていることを特徴とする光結合部品。
  2. 光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品において、
    前記フェルールの一端側には、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部が形成され、
    前記フェルールの他端側には、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部が形成され、
    前記第1ザグリ部には、前記光ファイバの先端と対向して球レンズが固定され、
    前記第1ザグリ部の底面に近い位置で、且つ、前記フェルールの軸と直交する向きに、前記貫通孔と交わる、前記貫通孔内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔が設けられ、
    前記光ファイバは、その先端が前記第1ザグリ部内に突出する位置に固定されていることを特徴とする光結合部品。
  3. 少なくとも1つの接着剤溜りが、前記第1ザグリ部の前記光ファイバの先端の周辺に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光結合部品。
  4. 椀状の接着剤溜りが、前記第1ザグリ部に、前記光ファイバの先端を臨んで設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光結合部品。
  5. 前記フェルールの第2ザグリ部の深さが略1mm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光結合部品。
  6. 光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品の製造方法において、
    前記フェルールの一端側に、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部を形成し、前記フェルールの他端側に、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部を形成し、前記第1ザグリ部に、前記フェルールの軸と直交する向きに、該第1ザグリ部内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔を形成する工程と、
    前記第1ザグリ部に、球レンズを固定する工程と、
    前記第2ザグリ部から前記貫通孔に前記光ファイバを挿入し、その先端が前記第1ザグリ部内に突出して前記球レンズと対向する位置に前記光ファイバを配置する工程と、
    前記第2ザグリ部に接着剤を注入する工程と、
    前記注入された接着剤を、前記吸引孔からの吸引により、前記第2ザグリ部から前記貫通孔の前記光ファイバの先端付近まで充填し、前記光ファイバを前記貫通孔に固定する工程と、
    前記吸引孔を接着剤で塞ぐ工程と、を含むことを特徴とする光結合部品の製造方法。
  7. 光ファイバと、前記光ファイバと略同径の貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記光ファイバが固定される円筒状のフェルールと、を備え、空間を伝播する光と前記光ファイバとを光学的に結合する光結合部品の製造方法において、
    前記フェルールの一端側に、断面形状が円形であって該フェルールと同軸で且つ中空の第1ザグリ部を形成し、前記フェルールの他端側に、開口端が拡径したテーパ状の第2ザグリ部を形成し、前記第1ザグリ部の底面に近い位置で、且つ、前記フェルールの軸と直交する向きに、前記貫通孔と交わる、該貫通孔内の空気を吸引するための少なくとも1つの吸引孔を形成する工程と、
    前記第1ザグリ部に球レンズを固定する工程と、
    前記第2ザグリ部から前記貫通孔に前記光ファイバを挿入し、その先端が前記第1ザグリ部内に突出して前記球レンズと対向する位置に前記光ファイバを配置する工程と、
    前記第2ザグリ部に接着剤を注入する工程と、
    前記注入された接着剤を、前記吸引孔からの吸引により、前記第2ザグリ部から前記貫通孔の前記光ファイバの先端付近まで充填し、前記光ファイバを前記貫通孔に固定する工程と、
    前記吸引孔を接着剤で塞ぐ工程と、を含むことを特徴とする光結合部品の製造方法。
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