JP2007225776A - 画像投影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】拡大投影させつつも色収差等を補正することで、薄型かつ高画質の画像投影装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタPDは、正パワー光学系PSと、曲面ミラー光学系MCと、を有する投影光学系ユニットPUを搭載する。そして、プロジェクタPDは、曲面ミラー光学系MCHの第1曲面ミラーMC1および第2曲面ミラーMC2を、第1曲面ミラーMC1に至るまでのベース光線BBの光路と、第2曲面ミラーMC2から進行するベース光線BBの光路とで交差させるように配置させる。その上、第2曲面ミラーMC2が、負パワーを発揮する。
【選択図】図1
【解決手段】プロジェクタPDは、正パワー光学系PSと、曲面ミラー光学系MCと、を有する投影光学系ユニットPUを搭載する。そして、プロジェクタPDは、曲面ミラー光学系MCHの第1曲面ミラーMC1および第2曲面ミラーMC2を、第1曲面ミラーMC1に至るまでのベース光線BBの光路と、第2曲面ミラーMC2から進行するベース光線BBの光路とで交差させるように配置させる。その上、第2曲面ミラーMC2が、負パワーを発揮する。
【選択図】図1
Description
本発明は、DMD(Digital Micromirror Device;米国テキサスインスツルメンツ社製)等の光変調素子から射出される画像光をスクリーン面に投影する画像投影装置に関するものである。
昨今、薄型の画像投影装置(プロジェクションテレビ等)が種々開発されている。例えば、特許文献1に示される画像投影装置は、画像光を複数のミラーから成るミラー光学系(第1ミラー・第2ミラー)で順次折り返した後、スクリーンに投影することで薄型を実現している。
特に、この特許文献1の画像投影装置は、第1ミラーから第2ミラーに至る光路と、第2ミラーからスクリーンに至る光路とを交差させることで(光路同士が横切る関係にすることで)、光路を一方向に延びないようにしている。そのため、光路が一方向に延びることに起因する画像投影装置の大型化(厚型化)は起き得ない。
特開平4−70806号公報(第2図)
しかしながら、特許文献1の画像投影装置では、第1ミラーおよび第2ミラーはともにパワーを発揮しない平面ミラーである。そのため、両ミラーのパワーを用いて、スクリーンに至るまでの画像光を十分に拡大させることは難しい(画像光の画角を広げることは難しい)。したがって、このような画像投影装置で大画面化を実現しようとすると、例えば第2ミラーからスクリーンに至るまでの光路を延長させなくてはならない。しかし、かかる光路の延長は、画像投影装置の奥行き(厚み)の延長につながってしまう
また、ミラー光学系に向けて画像光を射出するレンズ光学系にパワーをもたせることで、拡大投影を実現する方策もある。しかしながら、かかる場合、レンズ光学系におけるレンズの径(直径)が大きくならざるを得ない。すると、この大きくなったレンズが、画像投影装置のハウジング内に適切に収容できない事態が起こり得る。
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであって、その目的は、拡大投影させつつ薄型な画像投影装置を提供することにある。
本発明は、光変調素子から射出される画像光を導くことで被投影面に投影させる投影光学系ユニットを備える画像投影装置である。そして、この画像投影装置に搭載される投影光学系ユニットは、光学絞りを備えるとともに正パワーを有する正パワー光学系と、少なくとも、第1曲面ミラーおよびこの第1曲面ミラーを介した反射光を反射させる第2曲面ミラーを有する曲面ミラー光学系と、を含むようになっている。
また、光変調素子の表示面中心から光学絞り中心を通り、被投影面中心に向かう画像光をベース光線とすると、第1曲面ミラーと第2曲面ミラーとは、第1曲面ミラーに至るまでのベース光線の光路と、第2曲面ミラーから進行するベース光線の光路とを交差させるように位置している。その上、第2曲面ミラーは、凸面形状の反射面を有するようになっている。
かかる画像投影装置の投影光学系ユニットには、画像光を収斂させる正パワー光学系が含まれる。そのため、この収斂力を用いて正パワー光学系から被投影面に至るまでの光束を細小化できる(光束幅を狭めることができる)。すると、例えば、光束が細くなる方向と、画像投影装置の奥行き方向とが一致していると、画像投影装置の厚みが薄くなる。
その上、正パワー光学系が含まれることで、その光学系内の種々のパワー(正パワーまたは負パワー)を有する光学素子を用いる諸収差補正が可能になる。例えば画像光が色合成プリズム等による多色光の合成によって生成されている場合、色合成プリズムに起因して色収差が生じるが、本発明の画像投影装置であれば、かかる色収差は種々のパワーで補正される。
また、画像投影装置の投影光学系ユニットは、複数の曲面ミラー(第1曲面ミラー・第2曲面ミラー)を有する曲面ミラー光学系も含んでいる。そのため、本発明の画像投影装置は、曲面形状の反射面を用いることで像面湾曲や歪曲収差等を補正できる。
その上、画像光が第1曲面ミラーで反射された後に第2曲面ミラーにも反射されるようになっている場合に(例えば、画像光が連続して第1曲面ミラー・第2曲面ミラーによって反射されるようになっている場合に)、第1曲面ミラーに至るまでのベース光線の光路と、第2曲面ミラーから進行するベース光線の光路とを交差させるように、第1曲面ミラーと第2曲面ミラーとが位置している。すると、第1曲面ミラーと第2曲面ミラーとで比較的長い光路が折り曲げられる。そのため、光路が比較的長いことに起因する画像投影装置の厚型化は起き得ない。
さらに、第2曲面ミラーが凸面形状の反射面を有することで負パワー(発散力)を発揮するので、比較的短い光路であっても十分な拡大投影が行える。つまり、本発明の画像投影装置は、拡大投影しつつも光路を短縮化できるので、光路に起因する厚み増大を一層抑制できる。
また、さらなる薄型化や高性能化(諸収差の抑制)等を図るため、本発明の画像投影装置は、いくつかの条件式を満たすことが望ましい。
例えば、画像投影装置は下記条件式(1)を満たすことが望ましい。
15<θ1<45 … 条件式(1)
ただし、
θ1:第1曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。
15<θ1<45 … 条件式(1)
ただし、
θ1:第1曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。
この条件式(1)の値が下限値以下になる場合、例えば正パワー光学系から第1曲面ミラーへ進行する画像光が第2曲面ミラーによって遮られる。また、第1曲面ミラーの反射面と屈折光学系とが対向することもあり、その対向間隔と画像投影装置の厚み方向とが一致すると、画像投影装置の厚みが厚くなる。
一方、条件式(1)の値が上限値以上になる場合、例えば第2曲面ミラーと正パワー光学系とが離れるようになる。すると、この離れる方向と画像投影装置の厚み方向とが一致すると、画像投影装置の厚みが厚くなる。また、第1曲面ミラーへの画像光の入射角度が比較的大きくなるので、台形形状の歪曲収差も生じる。
しかしながら、条件式(1)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、薄型でありながら諸収差の抑制を図れる。
また、本発明の画像投影装置は下記条件式(2)を満たすことが望ましい。
30<θ2<60 … 条件式(2)
ただし、
θ2:第2曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。
30<θ2<60 … 条件式(2)
ただし、
θ2:第2曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。
この条件式(2)の値が下限値以下になる場合、例えば第1曲面ミラーの反射面が第2曲面ミラーの反射面に対して対向するように変位する。かかる場合に、例えば第2曲面ミラーからの画像光を受光する別部材(例えば被投影面)があれば、第1曲面ミラーと別部材とが接触してしまう。
一方、条件式(2)の値が上限値以上になる場合、例えば第2曲面ミラーが変位することで、第1曲面ミラーの反射面と第2曲面ミラーの反射面との成す角度が広がる。かかる場合、第2曲面ミラーが正パワー光学系から離れるようになり、ひいては被投影面の端部からも離れるようになる。そのため、被投影面端部からとび出る第2曲面ミラーの部分(あご部分とも称す)の増大が生じる。また、第2曲面ミラーへの画像光の入射角度が比較的大きくなるために、台形形状の歪曲収差も生じる。
しかしながら、条件式(2)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、適切に第1曲面ミラー等を配置した上に、小型かつ高性能になる(高い収差抑制力を発揮する)。
また、本発明の画像投影装置は、下記条件式(3)を満たすことが望ましい。
25<θ3<50 … 条件式(3)
ただし、
θ3:第1曲面ミラーに入射するベース光線の光線方向と、第2曲面ミラーから射出 するベース光線の光線方向との成す角度[単位;°]
である。
25<θ3<50 … 条件式(3)
ただし、
θ3:第1曲面ミラーに入射するベース光線の光線方向と、第2曲面ミラーから射出 するベース光線の光線方向との成す角度[単位;°]
である。
条件式(3)の値が下限値以下になる場合、例えば第1曲面ミラーに画像光を射出する屈折光学系が第2曲面ミラーから離れるとともに、第2曲面ミラーからの射出する画像光の光路が正パワー光学系のほうへとスライドするようになる。かかる場合、光路と正パワー光学系との干渉が生じる。また、第2曲面ミラーからの画像光の進行先に別部材(折り返し平面ミラー等)があれば、正パワー光学系からの画像光が別部材に遮られる。
一方、条件式(2)の値が上限値以上になる場合、例えば屈折光学系が第2曲面ミラーに近づく。かかる場合、第2曲面ミラーの近づいていく方向とは逆方向に被投影面が位置するならば、画像投影装置の厚みが増大する。また、第2曲面ミラーの近づいていく方向の先に被投影面が位置するならば、第2曲面ミラーが被投影面端部からとび出し、あご部分の増大が生じる。
しかしながら、条件式(3)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、画像光が遮光されるような事態を防止しつつ、薄型化(または小型化)を図れる。
ところで、本発明の画像投影装置は、曲面ミラーのパワーを用いることで、画像光の拡大投影を実現している。そのため、曲面ミラーのパワーを適切に設定することで高性能化や薄型化を図ることも可能といえる。そこで、例えば以下の条件式を満たすことが望ましい。
すなわち、本発明の画像投影装置は、下記条件式(4)を満たすことが望ましい。
1.0<H×r(MC1)<3.0 … 条件式(4)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC1):第1曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
である。
1.0<H×r(MC1)<3.0 … 条件式(4)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC1):第1曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
である。
例えば、条件式(4)の値が下限値以下になる場合、被投影面の水平方向と同方向の第1曲面ミラーの負パワーが比較的弱くなり、それに起因して画像光が十分に拡大(広角化)できない。かかる場合、第2曲面ミラーで、不足する第1曲面ミラーの負パワーを補うことが考えられる。しかし、第2曲面ミラーの負パワーの負担率が上昇してしまうと、それに起因して像面湾曲が生じてしまう。
一方、条件式(4)の値が上限値以上になる場合、上記の第1曲面ミラーの負パワーが比較的強くなり、第1曲面ミラーから第2曲面ミラーに向かう画像光の光束幅が広がる。そのため、比較的広がる画像光を受光すべく、第2曲面ミラーの反射面サイズはコストアップしてでも拡大化せざるを得ない。
しかしながら、条件式(4)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、高性能でありながら薄型、さらには安く製造できる。
また、本発明の画像投影装置は、下記条件式(5)を満たすことが望ましい。
2.5<H×r(MC2)<6.5 … 条件式(5)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC2):第2曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
2.5<H×r(MC2)<6.5 … 条件式(5)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC2):第2曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
例えば、条件式(5)の値が下限値以下になる場合、被投影面の水平方向と同方向の第2曲面ミラーの負パワーが比較的弱くなり、それに起因して画像光が十分に拡大(広角化)できない。かかる場合、第2曲面ミラーの反射面と被投影面との間隔の延長化、すなわち光路の延長化を図らなくてはならない。しかし、かかる延長化は画像投影装置の厚型化につながる。
一方、条件式(5)の値が上限値以上になる場合、例えば被投影面の水平方向と同方向の第2曲面ミラーの負パワーが比較的強くなり、それに起因して像面湾曲・歪曲収差等が生じる。
しかしながら、条件式(5)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、薄型でありながら、高性能化を達成できる。
また、本発明の画像投影装置は、下記条件式(6)を満たすことが望ましい。
0.5<D(PSIS-MC1)/V<1.2 … 条件式(6)
ただし、
V :スクリーン面において規定される上記直角座標系の他方向(垂直方向
)の長さ[単位;mm]
D(PSIS-MC1):正パワー光学系内の最も像側の端部から第1曲面ミラーに至るまで
の光路長[単位;mm]
である。
0.5<D(PSIS-MC1)/V<1.2 … 条件式(6)
ただし、
V :スクリーン面において規定される上記直角座標系の他方向(垂直方向
)の長さ[単位;mm]
D(PSIS-MC1):正パワー光学系内の最も像側の端部から第1曲面ミラーに至るまで
の光路長[単位;mm]
である。
例えば、条件式(6)の値が下限値以下になる場合、例えば第1曲面ミラーの反射面と正パワー光学系との間隔が極めて近づく。すると、第1曲面ミラーの反射面側において行き交う光路と正パワー光学系とが干渉することになり、画像光の一部が被投影面に到達しない事態が生じる。
一方、条件式(6)の値が上限値以上になる場合、例えば第1曲面ミラーと正パワー光学系の間隔が比較的長くなり、それに起因して正パワー光学系が被投影面の背面からとび出してしまう(あご部分が増大する)。
しかしながら、条件式(6)の範囲内であれば、以上のような不具合は生じない。そのため、本発明の画像投影装置は、画像光が遮光されるような事態を防止しつつ、小型化を図れる。
また、本発明の画像投影装置は、正パワー光学系を確実に被投影面の背面に位置させるべく、画像光の光路を変更させる光路変更素子を含むようにしてもよい。例えば、屈折光学系内の光路上、または、屈折光学系から曲面ミラー光学系に至るまでの光路上、に光路変更素子があってもよい。
本発明によれば、画像投影装置は、正パワー光学系を含むことで色収差等の補正、さらには曲面ミラー光学系を含むことで像面湾曲や歪曲収差等の補正を行える。その上、第1曲面ミラーに入射する光路と、第2曲面ミラーから射出する光路とを交差させることでコンパクト設計された投影光学系ユニットが搭載されるため、画像投影装置が厚型化しない。さらに、第2曲面ミラーが負パワーを発揮することから、規格化された画面サイズを形成すら場合に要する光路長が短い。そのため、拡大投影させつつ薄型な画像投影装置が実現する。
[実施の形態1]
本発明の実施の一形態(実施例1・実施例2)について、図面に基づいて説明する。具体的には、実施例1については図1〜図6、実施例2については図7〜図12に基づいて説明する。
本発明の実施の一形態(実施例1・実施例2)について、図面に基づいて説明する。具体的には、実施例1については図1〜図6、実施例2については図7〜図12に基づいて説明する。
なお、図3・図9は実施例1・2におけるプロジェクタPDの概略斜視図、図1・図7は実施例1・2におけるプロジェクタPDの概略光学断面図(後述のグローバル座標のYZ断面図)、図2・図8は実施例1・2における投影光学系ユニットPU(後述)を主体的に示す概略光学断面図になっている。
また、プロジェクタPDに含まれる光学作用面を「si」とし、光変調素子MD(縮小側)からスクリーンSC(拡大側)に至るまでの順番に応じて番号(i=1,2,3…)を付している(図2・図8等参照)。さらに、光学作用面が非球面形状を有する場合には「*」、自由曲面形状を有す場合には「$」も付している。また、光変調素子MDのパネル表示面中心から光学絞りSTの中心を通り、スクリーン面(被投影面)中心に向かう画像光をベース光線BBと称する(図3・図9参照)。
〔1.プロジェクタの構成について〕
本発明の画像投影装置の一例としては、図1・図7に示すようなプロジェクタPDが挙げられる。プロジェクタPDは、光変調素子MDから射出される画像光を導くことでスクリーンSC(被投影面)に画像光を投影する投影光学系ユニットPUを含んでいる。
本発明の画像投影装置の一例としては、図1・図7に示すようなプロジェクタPDが挙げられる。プロジェクタPDは、光変調素子MDから射出される画像光を導くことでスクリーンSC(被投影面)に画像光を投影する投影光学系ユニットPUを含んでいる。
光変調素子MDは、不図示の照明光学系からの光(照明光)を受光し、その光(受光光線)を画像データ等に基づき変調するものである(なお、この変調された光を画像光と称す)。例えば、DMD(Digital Micromirror Device;米国テキサスインスツルメンツ社製)やLCOS(Liquid Crystal Silicon)等が、光変調素子MDとして挙げられる。なお、この光変調素子MDのパネル表示面を「s1」と称す。
投影光学系ユニットPUは、実施例1の場合、少なくとも、画像光を収斂させるパワー(正パワー)を有する正パワー光学系PS、および複数の曲面ミラーMCを有する曲面ミラー光学系MCSを含んでいる。一方、実施例2の場合、少なくとも、正パワー光学系PS、曲面ミラー光学系MCS、および折り返しミラー系MHSを含んでいる。
実施例1・2の正パワー光学系PSは、光変調素子MDから進行してくる画像光を曲面ミラー光学系MCSへと導くものである。そして、正パワー光学系PSは、図2・図8に示すように、プリズムブロックPB、第1レンズL1、接合レンズJL(第2レンズL2・第3レンズL3・第4レンズL4)、第5レンズL5、第6レンズL6、光学絞りST、第7レンズL7、および第8レンズL8を含んでいる。
そして、各光学素子は以下のようになっている。
・プリズムブロックPB:少なくとも2面(s2・s3)を有するプリズムである。な
お、このプリズムブロックPBは、色合成プリズムやPBS
(Polarized Beam Splitter)としての役割を果たす場合も
ある。
・第1レンズL1 :両側(縮小側・拡大側)凸の正レンズである。
・接合レンズJL :第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4を
接着剤等で接合したレンズである。なお、第2レンズL2は
縮小側凸の負メニスカスレンズ、第3レンズL3は両側凸の 正レンズ、第4レンズL4は両側凹の負レンズになっている 。
・第5レンズL5 :実施例1の場合は両側凸の正レンズである(図2参照)。実
施例2の場合は縮小側凹の負メニスカスレンズである(図8
参照)。
・第6レンズL6 :縮小側凹の正メニスカスレンズである。
・光学絞りST :画像光を一部遮光する絞りであり、s14とも表記。
・第7レンズL7 :両側凸の正レンズである。
・第8レンズL8 :両側凹の負レンズである。
・プリズムブロックPB:少なくとも2面(s2・s3)を有するプリズムである。な
お、このプリズムブロックPBは、色合成プリズムやPBS
(Polarized Beam Splitter)としての役割を果たす場合も
ある。
・第1レンズL1 :両側(縮小側・拡大側)凸の正レンズである。
・接合レンズJL :第2レンズL2、第3レンズL3、および第4レンズL4を
接着剤等で接合したレンズである。なお、第2レンズL2は
縮小側凸の負メニスカスレンズ、第3レンズL3は両側凸の 正レンズ、第4レンズL4は両側凹の負レンズになっている 。
・第5レンズL5 :実施例1の場合は両側凸の正レンズである(図2参照)。実
施例2の場合は縮小側凹の負メニスカスレンズである(図8
参照)。
・第6レンズL6 :縮小側凹の正メニスカスレンズである。
・光学絞りST :画像光を一部遮光する絞りであり、s14とも表記。
・第7レンズL7 :両側凸の正レンズである。
・第8レンズL8 :両側凹の負レンズである。
ただし、正パワー光学系PSは、プリズムブロックPBやレンズのみから構成される光学系に限定されない。例えば、ミラーばかりを含む光学系や、レンズやミラーを含む光学系であっても構わない。
実施例1の曲面ミラー光学系MCSは、正パワー光学系PSから進行してくる画像光をスクリーンSCへと導くものである(図1参照)。一方、実施例2の曲面ミラー光学系MCSは正パワー光学系PSから進行してくる画像光を折り返しミラー系MHSへと導くものである(図7参照)。
なお、曲面ミラー光学系MCSは、正パワー光学系PSからの画像光を反射させる第1曲面ミラーMC1と、この第1曲面ミラーMC1によって反射されることで進行してくる画像光を反射させる第2曲面ミラーMC2とを含むようになっている。ただし、第2曲面ミラーMC2反射面は、凸面形状になっており、負のパワーを発揮するようになっている。
さらに、実施例2の投影光学系ユニットPUには、曲面ミラー光学系MCSから進行してくる画像光をスクリーンSCへと導く折り返しミラー系MHSが含まれている。なお、実施例2の折り返しミラー光学系MHSは、1個の平面ミラーMHから構成されている。そのため、この折り返しミラー光学系MHSは、第2曲面ミラーMC2から進行してくる画像光を1回だけ折り返す(折り返し反射させる)ことで、その画像光をスクリーンSCへと導いている(なお、折り返しミラー光学系MHSが複数の折り返しミラーを含むようになっていても構わない)。
〔2.プロジェクタに関するコンストラクションデータについて〕
ここで、実施例1・2のプロジェクタPDに関するコンストラクションデータを表1〜表25に示す。なお、表における符号の意味は、下記のようになっている。
ここで、実施例1・2のプロジェクタPDに関するコンストラクションデータを表1〜表25に示す。なお、表における符号の意味は、下記のようになっている。
○光学作用面:si
ただし、iは光変調素子MD(s1)からスクリーンSC(スクリーン面)に至
るまでの順番を示す。
○曲率半径:ri
ただし、各光学作用面における曲率半径[単位;mm]であり、iは上記同様の
順番を示す。
○面間隔:di
ただし、偏芯している光学作用面の位置は、平行偏芯量(後述)によって明示す
ることから、面間隔[単位;mm]を省略する。なお、iは上記同様の順番を示す
。
○屈折率:Ni
ただし、d線に対する屈折率(Nd)であり、iは上記同様の順番を示す。
○アッベ数:νi
ただし、d線に対するアッベ数(νd)であり、iは上記同様の順番を示す。
ただし、iは光変調素子MD(s1)からスクリーンSC(スクリーン面)に至
るまでの順番を示す。
○曲率半径:ri
ただし、各光学作用面における曲率半径[単位;mm]であり、iは上記同様の
順番を示す。
○面間隔:di
ただし、偏芯している光学作用面の位置は、平行偏芯量(後述)によって明示す
ることから、面間隔[単位;mm]を省略する。なお、iは上記同様の順番を示す
。
○屈折率:Ni
ただし、d線に対する屈折率(Nd)であり、iは上記同様の順番を示す。
○アッベ数:νi
ただし、d線に対するアッベ数(νd)であり、iは上記同様の順番を示す。
○平行偏芯量:XDE,YDE,ZDE,ADE,BDE,CDE
図13に示すような、光変調素子MDのパネル表示面s1の中心位置を原点とし
、その原点からパネル表示面s1の法線方向をZ軸方向とするグローバルな右手系
直交座標系(X,Y,Z)[=グローバル座標]に基づいて示す(なお、X軸=親指、Y軸
=人差し指、Z軸=中指になっている)。
具体的には、(XDE,YDE,ZDE)は、グローバル座標における光学作用面の面頂点
座標を示すことで、X軸方向の平行偏芯位置[単位;mm]、Y軸方向の平行偏芯位
置[単位;mm]、Z軸方向の平行偏芯位置[単位;mm]を示している。
また、(ADE,BDE,CDE)は、面頂点を中心とする軸回りの回転角を示すことで、X 軸回りの回転偏芯位置[単位;°]、Y軸回りの回転偏芯位置[単位;°]、Z軸回りの
回転偏芯位置[単位;°]を示している。なお、ADE・BDEの場合にはX軸正方向・Y軸
正方向に対し反時計回りを「正」とし、CDEの場合にはZ軸正方向に対し時計回りを 「正」としている。
図13に示すような、光変調素子MDのパネル表示面s1の中心位置を原点とし
、その原点からパネル表示面s1の法線方向をZ軸方向とするグローバルな右手系
直交座標系(X,Y,Z)[=グローバル座標]に基づいて示す(なお、X軸=親指、Y軸
=人差し指、Z軸=中指になっている)。
具体的には、(XDE,YDE,ZDE)は、グローバル座標における光学作用面の面頂点
座標を示すことで、X軸方向の平行偏芯位置[単位;mm]、Y軸方向の平行偏芯位
置[単位;mm]、Z軸方向の平行偏芯位置[単位;mm]を示している。
また、(ADE,BDE,CDE)は、面頂点を中心とする軸回りの回転角を示すことで、X 軸回りの回転偏芯位置[単位;°]、Y軸回りの回転偏芯位置[単位;°]、Z軸回りの
回転偏芯位置[単位;°]を示している。なお、ADE・BDEの場合にはX軸正方向・Y軸
正方向に対し反時計回りを「正」とし、CDEの場合にはZ軸正方向に対し時計回りを 「正」としている。
○非球面データ:K,A,B,C,D
非球面は、光学作用面の面頂点を原点とし、その原点から光学作用面の法線方向
をz軸方向とするローカルな右手系直交座標(x,y,z)[=ローカル座標]を用いる 下記の定義式(AS)によって表される。
… 定義式(AS)
ただし、
z :(x,y)の位置でのz軸方向の変位量(ただし面頂点基準)
h :z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)
c :近軸曲率(1/曲率半径)
k :コーニック定数
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J :非球面係数
である。
そこで、非球面データとして、kと「0(ゼロ)」以外の値を有する非球面係数
(A,B,C,D)の値を示す。ただし「E-n」は「10-n」である。
非球面は、光学作用面の面頂点を原点とし、その原点から光学作用面の法線方向
をz軸方向とするローカルな右手系直交座標(x,y,z)[=ローカル座標]を用いる 下記の定義式(AS)によって表される。
ただし、
z :(x,y)の位置でのz軸方向の変位量(ただし面頂点基準)
h :z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)
c :近軸曲率(1/曲率半径)
k :コーニック定数
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J :非球面係数
である。
そこで、非球面データとして、kと「0(ゼロ)」以外の値を有する非球面係数
(A,B,C,D)の値を示す。ただし「E-n」は「10-n」である。
○自由曲面データ:C(m,n)
自由曲面は、光学作用面の面頂点を原点とし、その原点から光学作用面の法線方
向をz軸方向とするローカルな右手系直交座標(x,y,z)を用いる下記の定義式
(FS)によって表される。
… 定義式(FS)
ただし、
z :(x,y)の位置でのz軸方向の変位量(ただし面頂点基準)
h :z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)
c :近軸曲率(1/曲率半径)
k :コーニック定数(ただし、自由曲面の場合、k=0)
Cj :自由曲面係数(ただし、j=[(m+n)2+m+3n]/2+1)
である。
そこで、自由球面データとして、自由曲面係数[Cj[=C(m,n)]]の値を示す。ただし
「E-n」は「10-n」である。
自由曲面は、光学作用面の面頂点を原点とし、その原点から光学作用面の法線方
向をz軸方向とするローカルな右手系直交座標(x,y,z)を用いる下記の定義式
(FS)によって表される。
ただし、
z :(x,y)の位置でのz軸方向の変位量(ただし面頂点基準)
h :z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)
c :近軸曲率(1/曲率半径)
k :コーニック定数(ただし、自由曲面の場合、k=0)
Cj :自由曲面係数(ただし、j=[(m+n)2+m+3n]/2+1)
である。
そこで、自由球面データとして、自由曲面係数[Cj[=C(m,n)]]の値を示す。ただし
「E-n」は「10-n」である。
〔3.スポットダイアグラムおよび歪曲収差図について〕
ここで、実施例1・2のプロジェクタPDにおける光学性能をスポットダイアグラムと歪曲収差図とで示しておく(図4・図5および図10・図11参照)。図4・図10のスポットダイアグラムは、d線・g線・c線によるスクリーン面での結像特性[単位;mm]を示している。なお、FIELD POSITION(X,Y)は、パネル表示面における光線通過位置を示している。
ここで、実施例1・2のプロジェクタPDにおける光学性能をスポットダイアグラムと歪曲収差図とで示しておく(図4・図5および図10・図11参照)。図4・図10のスポットダイアグラムは、d線・g線・c線によるスクリーン面での結像特性[単位;mm]を示している。なお、FIELD POSITION(X,Y)は、パネル表示面における光線通過位置を示している。
一方、図5・図11の歪曲収差図は、スクリーン面上での光像の歪曲を示している。ただし、スクリーン面においては、直角座標系(HL,VL)が規定されており、一方の軸方向を水平方向(HL)、他方の軸方向を垂直方向(VL)と称する{なお、水平方向(HL)の軸とスクリーン面のローカル座標のx軸とは同方向であり、垂直方向(VL)の軸とスクリーン面のローカル座標のy軸とは同方向である}。
なお、実施例1のプロジェクタPDにおける物体側FNo.は「2.50」になっている。また、スクリーン面におけるローカル座標(x軸方向)の拡大率{像倍率β(x)}は「−85.9」になっており、スクリーン面におけるローカル座標(y軸方向)の拡大率{像倍率β(y)}は「−85.6」になっている[なお、像倍率の値に負(マイナス)が付されているのは、ローカル座標のx軸・y軸の方向の向きが、パネル表示面とスクリーン面とで逆になるためである]。
一方、実施例2のプロジェクタPDにおける物体側FNo.も「2.50」になっている。また、スクリーン面におけるローカル座標(x軸方向)の拡大率{像倍率β(x)}は「−86.1」になっており、スクリーン面におけるローカル座標(y軸方向)の拡大率{像倍率β(y)}は「−85.5」になっている。
〔4.本発明における種々の特徴の一例について〕
以上のように、本発明のプロジェクタPDは、光変調素子MDから射出される画像光を導くことでスクリーン面に投影させる投影光学系ユニットPUを備えている。そして、この投影光学系ユニットPUは、少なくとも、正パワー光学系PSと、曲面ミラー光学系MCと、を有する。
以上のように、本発明のプロジェクタPDは、光変調素子MDから射出される画像光を導くことでスクリーン面に投影させる投影光学系ユニットPUを備えている。そして、この投影光学系ユニットPUは、少なくとも、正パワー光学系PSと、曲面ミラー光学系MCと、を有する。
正パワー光学系PSは、光変調素子MDからスクリーンSCに至るまでの間に位置することで、光変調素子MDからスクリーンSCに向かって進行する画像光を透過させている。そのため、この正パワー光学系PSは、画像光を収斂(収束)できる。
すると、図1・図7に示すように、例えば正パワー光学系PSの長手方向(レンズの並び方向)と、プロジェクタPDの厚み方向(奥行き方向)とが、ほぼ垂直な関係になっている場合、正パワー光学系PSから射出する光束の厚みに起因して、画像投影装置の奥行きが大きくなることはない。なぜなら、かかるような配置関係であれば、正パワー光学系PSによって光束の収斂する方向とプロジェクタPDの厚み方向とが一致するためである。
また、正パワー光学系PSは、パワー(屈折力)を用いた諸収差(色収差や歪曲収差等)の補正を行える。例えば光変調素子MDが3板式のLCOSの場合、3色の画像光を合成するために色合成プリズムが用いられるが、それに起因して色収差が生じる。しかし、本発明のプロジェクタPDのように、投影光学系ユニットPUが正パワー光学系PSを有していると、この正パワー光学系PS内の各種レンズによって色収差を補正できる。
さらに、投影光学系ユニットPUには、曲面ミラー光学系MCSも含まれている。そして、この曲面ミラー光学系MCSは、複数の曲面ミラーMC(具体的には、第1曲面ミラーMC1および第2曲面ミラーMC2)を有している。このように曲面ミラー光学系MCSに複数の曲面ミラーMCが含まれていると、画像光は複数の曲面ミラーMCによる反射を経ながら進行することになる。そのため、曲面形状の反射面を用いた像面湾曲補正・歪曲収差補正が効率よく行える。
特に、複数枚の曲面ミラーMCが含まれていると、単数の曲面ミラーを用いる収差補正(像面湾曲補正・歪曲収差補正)に比べて、枚数の多い分、効果的な収差補正が行える。また、単数の曲面ミラーを用いる収差補正の場合、1面の反射面で収差補正を行うため、反射面のサイズが比較的広くなってしまう。しかし、複数の曲面ミラーMCで収差補正をする場合、各曲面ミラーMCに収差補正の負担を割り振ることができ、各曲面ミラーの反射面サイズの狭小化を図ることができる。
その上、光変調素子MDからスクリーンSC(スクリーン面)に至るまでの光路は、曲面ミラー光学系MCSによって、折り返される。したがって、投影光学系ユニットPUは、ストレート光学系のように、一方向に延びるような構成にはならない。すると、このような投影光学系ユニットPUは、コンパクト設計されたことで、プロジェクタPDに搭載しやすいといえる。
なお、コンパクト設計された投影光学系ユニットPUの一例としては、第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2とが、第1曲面ミラーMC1に至るまでのベース光線BBの光路と、第2曲面ミラーMC2から進行するベース光線BBの光路とを交差させるような配置(位置)が挙げられる(ただし、交差とは立体交差も含む)。
かかるような配置であれば、例えば図1・図7に示すように、第1曲面ミラーMC1に入射する画像光の光路(光路1)、第1曲面ミラーMC1から第2曲面ミラーMC2に至るまでの光路(光路2)、および第2曲面ミラーMC2から射出していく画像光の光路(光路3)の合計3つの光路が、数字の「4」のような配置になる。すなわち、数字の「4」の縦線が光路1、斜め線が光路2、横線が光路3に相当すると考えられる(なお、実施例1では横線の自由端にスクリーンが位置する一方、実施例2では横線の自由端に折り返し平面ミラーMHが位置する)。
すると、スクリーンSCの垂直方向VL(スクリーンSCの厚み方向に対し垂直で、かつスクリーン面における短手方向)と、光路1の方向とが、ほぼ同方向(ほぼ平行関係)になっていれば、プロジェクタPDの厚み方向に影響を与えるのは、比較的短い光路3になる。そのため、以上のような配置を有する本発明のプロジェクタPDは薄型を実現しているといえる。
なお、光路1〜光路3で数字の「4」を形成させると、第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2とが、スクリーンSCの背面側において隣り合うように配置しやすいという利点も生じる(図1・図7参照)。
また、投影光学系ユニットPUの第2曲面ミラーMC2は、負パワーを発揮するようになっている。そのため、第2曲面ミラーMC2から進行してくる画像光は、発散しながらスクリーンSC(スクリーン面)へ導かれる。このように、画像光が発散しながらスクリーン面に到達する場合、光路が比較的短縮化されるといえる。
なぜなら、スクリーン面において規格化された画像サイズを形成しようとする場合、非発散の画像光は発散しないゆえに光路を長くしなくてはいけないが、発散の画像光は光路を短くできるためである。そのため、非発散の画像光ではなく、発散する画像光をスクリーンや折り返し平面ミラーMHに射出できる本発明の投影光学系ユニットPUは、プロジェクタPDの奥行きを短くしやすいといえる。
また、本発明のプロジェクタPDは、図6・図12に示す種々の角度(θ1〜θ3)を適切に設定すると、さらなる薄型化(または小型化)や高性能化(諸収差の抑制)を図れる。例えば、プロジェクタPDは、下記条件式(1)を満たすことが望ましい。
《条件式(1)》
15<θ1<45 … 条件式(1)
ただし、
θ1:第1曲面ミラーMC1に対するベース光線BBの入射角度[単位;°]
である。
15<θ1<45 … 条件式(1)
ただし、
θ1:第1曲面ミラーMC1に対するベース光線BBの入射角度[単位;°]
である。
《《実施例1のプロジェクタPDの場合》》
例えば、図6に示す実施例1では、正パワー光学系PSが矢印E方向に変位することによって(回転移動、スライド移動、または回転スライド移動等による変動で位置が変わることによって)、条件式(1)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSから射出する画像光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる(干渉する)不具合が生じる。
例えば、図6に示す実施例1では、正パワー光学系PSが矢印E方向に変位することによって(回転移動、スライド移動、または回転スライド移動等による変動で位置が変わることによって)、条件式(1)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSから射出する画像光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる(干渉する)不具合が生じる。
一方、正パワー光学系PSが矢印F方向に変位することによって、条件式(1)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSがスクリーンSCに近づきすぎて、スクリーン面の背面からとび出す正パワー光学系PSの度合い(とび出し量;あご部分)が増大する。
したがって、θ1の値が条件式(1)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、画像光の一部がスクリーン面に到達しないような事態を防げるとともに、あご部分増大も回避できる。
なお、条件式(1)の規定する範囲のなかでも、下記条件式(1a)の範囲を満たすほうが望ましい。
20<θ1<35 … 条件式(1a)
20<θ1<35 … 条件式(1a)
例えば、条件式(1a)の値が下限値以下の場合、上記したような正パワー光学系PSから射出する光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる事態は生じにくい。しかし、正パワー光学系PSが矢印E方向に移動して位置することによって、プロジェクタPDの厚みが厚くなる。
一方、条件式(1a)の値が上限値以上の場合、上記したような正パワー光学系PSがスクリーンSCに近づきすぎることに起因するあご部分の過剰な増大は生じにくい。しかし、第1曲面ミラーMC1への画像光の入射角度が比較的大きいために、台形形状の歪曲収差が生じる。
したがって、θ1の値が条件式(1a)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、厚み(奥行き)を薄くさせつつ、歪曲収差等の発生も抑制できる。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、θ1の値は、「24.200°」になっており、条件式(1)および条件式(1a)の範囲内に収まる。
《《実施例2のプロジェクタPDの場合》》
また、図12の実施例2では、正パワー光学系PSが矢印E’方向に変位することによって、条件式(1)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、実施例1同様、正パワー光学系PSから射出する画像光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる不具合が生じる。
また、図12の実施例2では、正パワー光学系PSが矢印E’方向に変位することによって、条件式(1)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、実施例1同様、正パワー光学系PSから射出する画像光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる不具合が生じる。
一方、正パワー光学系PSが矢印F’方向に変位することによって、条件式(1)の値が上限値以上になる場合、実施例1とは異なり、正パワー光学系PSがスクリーンSCから乖離してしまう。そのため、プロジェクタPDの厚みが厚くなる。
したがって、実施例2の場合、θ1の値が条件式(1)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、画像光の一部がスクリーン面に到達しないような事態を防げるとともに、厚み増大も回避できる。
なお、実施例2のプロジェクタPDにおいて、例えば、条件式(1a)の値が下限値以下の場合、上記したような正パワー光学系PSから射出する光の一部が第2曲面ミラーMC2に遮られる事態は生じにくい。しかし、正パワー光学系PSが矢印E’方向に移動して位置することによって、あご部分増大が生じる。
一方、条件式(1a)の値が上限値以上の場合、上記したような正パワー光学系PSとスクリーンSCとの間隔が過剰に広がることに起因するプロジェクタPDの厚み増大は生じにくい。しかし、第1曲面ミラーMC1への画像光の入射角度が比較的大きいために、台形形状の歪曲収差が生じる。
したがって、実施例2の場合、θ1の値が条件式(1a)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、あご部分増大を防げるとともに、歪曲収差の発生も抑制できる。
なお、実施例2のプロジェクタPDの場合、θ1の値は、「30.100°」になっており、条件式(1)および条件式(1a)の範囲内に収まる。
《条件式(2)》
また、プロジェクタPDは、下記条件式(2)を満たすことが望ましい。
また、プロジェクタPDは、下記条件式(2)を満たすことが望ましい。
30<θ2<60 … 条件式(2)
ただし、
θ2:第2曲面ミラーMC2に対するベース光線BBの入射角度[単位;°]
である。
ただし、
θ2:第2曲面ミラーMC2に対するベース光線BBの入射角度[単位;°]
である。
《《実施例1のプロジェクタPDの場合》》
例えば、図6に示す実施例1では、第1曲面ミラーMC1が矢印P方向に変位することによって、条件式(2)が下限値以下になることがある。かかる場合、第1曲面ミラーMC1とスクリーンSCとが接触する不具合が生じる。
例えば、図6に示す実施例1では、第1曲面ミラーMC1が矢印P方向に変位することによって、条件式(2)が下限値以下になることがある。かかる場合、第1曲面ミラーMC1とスクリーンSCとが接触する不具合が生じる。
一方、第2曲面ミラーMC2が矢印Q方向に変位することによって、条件式(2)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、第2曲面ミラーMC2とスクリーンSC端部との最長間隔、ひいてはあご部分が長くなる不具合が生じる。
したがって、θ2の値が条件式(2)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、第1曲面ミラーMC1とスクリーンSCとを適切に配置できるとともに、あご部分増大も回避できる。
なお、条件式(2)の規定する範囲のなかでも、下記条件式(2a)の範囲を満たすほうが望ましい。
35<θ2<55 … 条件式(2a)
35<θ2<55 … 条件式(2a)
例えば、第2曲面ミラーMC2が矢印R方向に変位することによって、条件式(2a)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、第2曲面ミラーMC2から進行する画像光がスクリーン面に対して斜め投影されなくなる(垂直投影になる)。すると、規定の画面サイズを形成するために、第2曲面ミラーMC2とスクリーンSCとの間隔を広げなくてはならず、プロジェクタPDの薄型が達成できない。
一方、条件式(2a)の値が上限値以上の場合、上記したような第2曲面ミラーMC2の変位に起因するあご部分増大の不具合は生じにくい。しかし、第2曲面ミラーMC2への画像光の入射角度が比較的大きくなり、台形形状の歪曲収差が生じる。
したがって、θ2の値が条件式(2a)の範囲内に収まるように設定されると、薄型でありながら歪曲収差の抑制もできる高性能なプロジェクタPDが実現する。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、θ2の値は、「48.846°」になっており、条件式(2)および条件式(2a)の範囲内に収まる。
《《実施例2のプロジェクタPDの場合》》
また、図12に示す実施例2では、例えば、第1曲面ミラーMC1が矢印P’方向に変位することによって、条件式(2)が下限値以下になることがある。かかる場合、実施例1とは異なり、第1曲面ミラーMC1と折り返し平面ミラーMHとが接触する不具合が生じる。
また、図12に示す実施例2では、例えば、第1曲面ミラーMC1が矢印P’方向に変位することによって、条件式(2)が下限値以下になることがある。かかる場合、実施例1とは異なり、第1曲面ミラーMC1と折り返し平面ミラーMHとが接触する不具合が生じる。
一方、第2曲面ミラーMC2が矢印Q’方向に変位することによって、条件式(2)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、実施例1同様、第2曲面ミラーMC2とスクリーンSC端部との最長間隔、ひいてはあご部分が長くなる不具合が生じる。
したがって、実施例2の場合、θ2の値が条件式(2)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、第1曲面ミラーMC1と折り返し平面ミラーMHとを適切に配置できるとともに、あご部分増大も回避できる。
なお、実施例2のプロジェクタPDにおいて、例えば、第2曲面ミラーMC2が矢印R’方向に変位することによって、条件式(2a)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、第2曲面ミラーMC2から進行する画像光が折り返し平面ミラーMHに対して斜め投影されなくなる。すると、規定の画面サイズを形成するために、第2曲面ミラーMC2と折り返し平面ミラーMHとの間隔、または、折り返し平面ミラーMHとスクリーンSCとの間隔を広げなくてはならず、プロジェクタPDの薄型が達成できない。
一方、条件式(2a)の値が上限値以上の場合、上記したような第2曲面ミラーMC2の変位に起因するあご部分増大の不具合は生じにくい。しかし、折り返し平面ミラーMHへの画像光の入射角度が比較的大きくなり、台形形状の歪曲収差が生じる。
したがって、実施例2の場合、θ2の値が条件式(2a)の範囲内に収まるように設定されると、薄型でありながら歪曲収差の抑制もできる高性能なプロジェクタPDが実現する。
なお、実施例2のプロジェクタPDの場合、θ2の値は、「39.700°」になっており、条件式(2)および条件式(2a)の範囲内に収まる。
《条件式(3)》
また、プロジェクタPDは、下記条件式(3)を満たすことが望ましい。
25<θ3<50 … 条件式(3)
ただし、
θ3:第1曲面ミラーMC1に入射するベース光線BBの光線方向と、第2曲面ミラ
ーMC2から射出するベース光線BBの光線方向との成す角度[単位;°]
である。
また、プロジェクタPDは、下記条件式(3)を満たすことが望ましい。
25<θ3<50 … 条件式(3)
ただし、
θ3:第1曲面ミラーMC1に入射するベース光線BBの光線方向と、第2曲面ミラ
ーMC2から射出するベース光線BBの光線方向との成す角度[単位;°]
である。
なお、第1曲面ミラーMC1に入射するベース光線BBの光線方向と、第2曲面ミラーMC2から射出するベース光線BBの光線方向との交点を交点NNとした場合、θ3は以下のように表現することもできる。すなわち、θ3は、交点NNから第1曲面ミラーMC1に至るまでの光路BBと、第2曲面ミラーMC2から交点NNに至るまでの光路BBとのなす角度(鋭角の角度)といえる。
《《実施例1のプロジェクタPDの場合》》
そして、図6に示す実施例1では、例えば、正パワー光学系PSがF方向に変位することで、条件式(3)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSはスクリーンSCの背面に近づく一方、第2曲面ミラーMC2からスクリーンSCに至るまでの光路が正パワー光学系PSのほうへとスライドするようになる。そのため、かかる光路と正パワー光学系PSとが干渉するようになり、画像光が正パワー光学系PSに遮られる不具合が生じる。
そして、図6に示す実施例1では、例えば、正パワー光学系PSがF方向に変位することで、条件式(3)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSはスクリーンSCの背面に近づく一方、第2曲面ミラーMC2からスクリーンSCに至るまでの光路が正パワー光学系PSのほうへとスライドするようになる。そのため、かかる光路と正パワー光学系PSとが干渉するようになり、画像光が正パワー光学系PSに遮られる不具合が生じる。
一方、正パワー光学系PSがE方向に変位することで、条件式(3)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSとスクリーンSCとの間隔が過剰に広がり、それにともないプロジェクタPDの厚みが厚くなる。
したがって、θ3の値が条件式(3)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、画像光の一部がスクリーン面に到達しないような事態を防げるとともに、厚み増大も回避できる。
さらに、条件式(3)の規定する範囲のなかでも、下記条件式(3a)の範囲を満たすほうが望ましい。
30<θ3<45 … 条件式(3a)
30<θ3<45 … 条件式(3a)
例えば、条件式(3a)の値が下限値以下の場合、上記したような2曲面ミラーMC2からスクリーンSCに至るまでの光路と正パワー光学系PSとの干渉は生じにくい。しかし、正パワー光学系PSが矢印F方向に移動して位置することによって、あご部分増大の不具合が生じる。
一方、条件式(3a)の値が上限値以上の場合、上記したような正パワー光学系PSとスクリーンSCとの間隔が過剰に広がることに起因するプロジェクタPDの厚み増大は生じにくい。しかし、θ3の角度が増加することに起因する第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2との間隔増大が生じる。そのため、この第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2との間隔増大に起因するプロジェクタPDの厚み増大が生じてしまう。
したがって、θ3の値が条件式(3a)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、あご部分増大を回避させつつ、厚みも薄くできる。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、θ3の値は、「34.000°」になっており、条件式(3)および条件式(3a)の範囲内に収まる。
《《実施例2のプロジェクタPDの場合》》
また、図12に示す実施例1では、例えば、正パワー光学系PSがF’方向に変位することで、条件式(3)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSと第1曲面ミラーMC1との間の光路上に折り返し平面ミラーMHが位置するようになってしまう。そのため、正パワー光学系PSからの画像光が折り返し平面ミラーMHに遮られる不具合が生じる。
また、図12に示す実施例1では、例えば、正パワー光学系PSがF’方向に変位することで、条件式(3)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSと第1曲面ミラーMC1との間の光路上に折り返し平面ミラーMHが位置するようになってしまう。そのため、正パワー光学系PSからの画像光が折り返し平面ミラーMHに遮られる不具合が生じる。
一方、正パワー光学系PSがE’方向に変位することで、条件式(3)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSがスクリーンSCに近すぎることに起因するあご部分の増大が生じる。
したがって、実施例2の場合、θ3の値が条件式(3)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、画像光の一部がスクリーン面に到達しないような事態を防げるとともに、あご部分増大も回避できる。
なお、実施例2のプロジェクタPDにおいて、例えば、条件式(3a)の値が下限値以下の場合、上記したような正パワー光学系PSから射出される画像光と折り返し平面ミラーMHとの干渉は生じにくい。しかし、正パワー光学系PSが矢印F’方向に移動して位置することによって、プロジェクタPDの厚み増大の不具合が生じる。
一方、条件式(3a)の値が上限値以上の場合、上記したような正パワー光学系PSがスクリーンSCに過剰に近づくことに起因するあご部分増大は生じにくい。しかし、実施例1同様、θ3の角度が増加することに起因する第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2との間隔増大が生じる。そのため、この第1曲面ミラーMC1と第2曲面ミラーMC2との間隔増大に起因するプロジェクタPDの厚み増大が生じてしまう。
したがって、実施例2の場合、θ3の値が条件式(3a)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、あご部分増大を回避させつつ、厚みも薄くできる。
なお、実施例2のプロジェクタPDの場合、θ3の値は、「40.300°」になっており、条件式(3)および条件式(3a)の範囲内に収まる。
ところで、本発明のプロジェクタPDは、曲面ミラーMCのパワー(屈折力)を用いることで、画像光の拡大投影も実現している。そのため、曲面ミラーMCのパワーを適切に設定することで高性能化{諸収差の補正力(抑制力)の向上}や薄型化(または小型化)を図ることも可能といえる。そこで、本発明のプロジェクタPDは、下記のような条件式を満たすとよい。
例えば、プロジェクタPDは、下記条件式(4)を満たすことが望ましい。
1.0<H×r(MC1)<3.0 … 条件式(4)
ただし、
H :スクリーン面において規定される直角座標系の一方向{水平方向(HL)}の
長さ[単位;mm]
r(MC1):第1曲面ミラーMC1の反射面のベース光線BB到達点において、その反
射面が有する水平方向(HL)と同方向(すなわち、ローカル座標のx軸方向) の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸面の場合、曲率の値の符
号を「正」とする)
である。
1.0<H×r(MC1)<3.0 … 条件式(4)
ただし、
H :スクリーン面において規定される直角座標系の一方向{水平方向(HL)}の
長さ[単位;mm]
r(MC1):第1曲面ミラーMC1の反射面のベース光線BB到達点において、その反
射面が有する水平方向(HL)と同方向(すなわち、ローカル座標のx軸方向) の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸面の場合、曲率の値の符
号を「正」とする)
である。
さらには、条件式(4)の規定する範囲のなかでも、下記条件式(4a)の範囲を満たすほうが望ましい。
1.5<H×r(MC1)<2.5 … 条件式(4a)
1.5<H×r(MC1)<2.5 … 条件式(4a)
例えば、r(MC1)の値が小さく、条件式(4)または条件式(4a)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、第1曲面ミラーMC1におけるx軸方向の負パワー(発散力)が比較的弱くなる。すると、x軸方向と同方向のスクリーン面の水平方向(HL)に沿って、画像光が十分に拡大しない(広角化)しない。そのため、第2曲面ミラーMC2が、不足する第1曲面ミラーMC1の負パワーを補わなくてはならない。しかしながら、第2曲面ミラーMC2の負パワーの負担率が上昇してしまうと、それに起因して像面湾曲が生じてしまう。
一方、r(MC1)の値が大きく、条件式(4)または条件式(4a)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、第1曲面ミラーMC1におけるx軸方向の負パワーが比較的強くなる。すると、x軸方向と同方向のスクリーン面の水平方向(HL)に沿って、画像光が十分に拡大し、その拡大する画像光を受光する第2曲面ミラーMC2の反射面サイズも拡大しなくてはならない。しかしながら、このように反射面サイズを拡大化した第2曲面ミラーMC2のコストは比較的高くなり、プロジェクタPDのコストアップにつながる。また、第2曲面ミラーMC2の大型化にともなってプロジェクタPDが厚くもなる。
したがって、H×r(MC1)の値が条件式(4)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、像面湾曲等の諸収差を抑制できる上に薄型であり、さらに安価に製造できる。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、スクリーン面の水平方向(HL)の長さ(H)は「1158(mm)」になっており、第1曲面ミラーMC1の反射面s19$の曲率は、下記のようになっている。
反射面s19$のx方向の曲率{r(MC1)}=0.00149(1/mm)
反射面s19$のy方向の曲率 =0.00009(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「1.72689」になっており、条件式(4)および条件式(4a)の範囲内に収まる。
反射面s19$のx方向の曲率{r(MC1)}=0.00149(1/mm)
反射面s19$のy方向の曲率 =0.00009(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「1.72689」になっており、条件式(4)および条件式(4a)の範囲内に収まる。
また、実施例2のプロジェクタPDの場合、スクリーン面の水平方向(HL)の長さ(H)は「1158(mm)」になっており、第1曲面ミラーMC1の反射面s19$の曲率は、下記のようになっている。
反射面s19$のx方向の曲率{r(MC1)}=0.0017345(1/mm)
反射面s19$のy方向の曲率 =0.0008220(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「2.00857」になっており、条件式(4)および条件式(4a)の範囲内に収まる。
反射面s19$のx方向の曲率{r(MC1)}=0.0017345(1/mm)
反射面s19$のy方向の曲率 =0.0008220(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「2.00857」になっており、条件式(4)および条件式(4a)の範囲内に収まる。
また、プロジェクタPDは、下記条件式(5)を満たすことが望ましい。
2.5<H×r(MC2)<6.5 … 条件式(5)
ただし、
H :スクリーン面において規定される直角座標系の一方向{水平方向(HL)}の
長さ[単位;mm]
r(MC2):第2曲面ミラーMC2の反射面のベース光線BB到達点において、その反
射面が有する水平方向(HL)と同方向(すなわち、ローカル座標のx軸方向)
の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸面の場合、曲率の値の符 号を「正」とする)
である。
2.5<H×r(MC2)<6.5 … 条件式(5)
ただし、
H :スクリーン面において規定される直角座標系の一方向{水平方向(HL)}の
長さ[単位;mm]
r(MC2):第2曲面ミラーMC2の反射面のベース光線BB到達点において、その反
射面が有する水平方向(HL)と同方向(すなわち、ローカル座標のx軸方向)
の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸面の場合、曲率の値の符 号を「正」とする)
である。
例えば、r(MC2)の値が小さく、条件式(5)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、第2曲面ミラーMC2におけるx軸方向の負パワー(発散力)が比較的弱くなる。すると、x軸方向と同方向のスクリーン面の水平方向(HL)に沿って、画像光が十分に拡大しない(広角化)しない。
このような事態を防止するためには、第2曲面ミラーMC2とスクリーンSCとの間隔の拡大化、すなわち、第2曲面ミラーMC2からスクリーンSCに至るまでの光路の延長化を図らなくてはならない。しかし、かかるような光路の延長化を図ると、プロジェクタPDの厚みが厚くなってしまう。すると、このようなプロジェクタは、薄型化されているとはいえない。
一方、r(MC2)の値が大きく、条件式(5)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、第2曲面ミラーMC2におけるx軸方向の負パワーが比較的強くなり、それに起因して像面湾曲・歪曲収差等が生じる。すると、このようなプロジェクタは、高性能化(高精細化)されているとはいえない。
したがって、H×r(MC2)の値が条件式(5)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、第2曲面ミラーMC2とスクリーンとの間隔の短縮化を図れる上、像面湾曲・歪曲収差等を抑制することもできる。つまり、かかる範囲内であれば、薄型かつ高性能なプロジェクタPDが実現する。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、スクリーン面の水平方向(HL)の長さ(H)は「1158(mm)」になっており、第2曲面ミラーMC2の反射面s20$の曲率は、下記のようになっている。
反射面s20$のx方向の曲率{r(MC2)}=0.00480(1/mm)
反射面s20$のy方向の曲率 =0.00027(1/mm)
その結果、H×r(MC2)の値は、「5.5609」になっており、条件式(5)および条件式(5a)の範囲内に収まる。
反射面s20$のx方向の曲率{r(MC2)}=0.00480(1/mm)
反射面s20$のy方向の曲率 =0.00027(1/mm)
その結果、H×r(MC2)の値は、「5.5609」になっており、条件式(5)および条件式(5a)の範囲内に収まる。
また、実施例2のプロジェクタPDの場合、スクリーン面の水平方向(HL)の長さ(H)は「1158(mm)」になっており、第2曲面ミラーMC2の反射面s20$の曲率は、下記のようになっている。
反射面s20$のx方向の曲率{r(MC2)}=0.0031182(1/mm)
反射面s20$のy方向の曲率 =0.0009210(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「3.6109」になっており、条件式(5)および条件式(5a)の範囲内に収まる。
反射面s20$のx方向の曲率{r(MC2)}=0.0031182(1/mm)
反射面s20$のy方向の曲率 =0.0009210(1/mm)
その結果、H×r(MC1)の値は、「3.6109」になっており、条件式(5)および条件式(5a)の範囲内に収まる。
また、プロジェクタPDは、下記条件式(6)を満たすことが望ましい。
0.5<D(PSIS-MC1)/V<1.2 … 条件式(6)
ただし、
V :スクリーン面において規定される直角座標系の他方向{垂直方向(VL)
}の長さ[単位;mm]
D(PSIS-MC1):正パワー光学系PS内の最も像側の端部から第1曲面ミラーMC1
(具体的には反射面s19$)に至るまでの光路長[単位;mm]
である。
0.5<D(PSIS-MC1)/V<1.2 … 条件式(6)
ただし、
V :スクリーン面において規定される直角座標系の他方向{垂直方向(VL)
}の長さ[単位;mm]
D(PSIS-MC1):正パワー光学系PS内の最も像側の端部から第1曲面ミラーMC1
(具体的には反射面s19$)に至るまでの光路長[単位;mm]
である。
例えば、D(PSIS-MC1)の値が短く、条件式(6)の値が下限値以下になることがある。かかる場合、正パワー光学系PSが第1曲面ミラーMC1の反射面と第2曲面ミラーMC2の反射面とで囲まれる空間に侵入してくる。そのため、スクリーンSCに至るまでの光路と正パワー光学系PSとが干渉し、画像光の一部がスクリーンSCに到達しない事態が生じる。
一方、D(PSIS-MC1)の値が長く、条件式(6)の値が上限値以上になることがある。かかる場合、第1曲面ミラーMC1と正パワー光学系PSとの間隔が比較的長くなる。そのため、かかる間隔の長さ方向とスクリーンSCの垂直方向(VL)とがほぼ同方向になっていると、正パワー光学系PSがスクリーン面の背面からとび出してしまう。つまり、あご部分が増大してしまう。
したがって、D(PSIS-MC1)/Vの値が条件式(6)の範囲内に収まるように設定されると、プロジェクタPDは、画像光の一部がスクリーンSCに到達しない事態を防止できるとともに、あご部分増大も防止できる。
なお、実施例1のプロジェクタPDの場合、スクリーン面の垂直方向(VL)の長さ(V)は「645(mm)」になっており、D(PSIS-MC1)/Vの値は「0.66000」になっている。一方、実施例2のプロジェクタPDの場合も、スクリーン面の垂直方向(VL)の長さ(V)は「645(mm)」になっており、D(PSIS-MC1)/Vの値は「0.95271」になっている。したがって、いずれも実施例においても、条件式(6)の範囲内に収まる。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、投影光学系ユニットPUに含まれる正パワー光学系PSは、共軸系の屈折光学系であっても偏芯系の屈折光学系のどちらであってもよい。ただし、共軸系の屈折光学系のほうが、偏芯系の屈折光学系に比べて、製造が容易なため、コストダウンが容易に図れる。
また、曲面ミラー光学系MCSに含まれる曲面ミラーMCの個数は、2個に限定されることはなく3個以上でもよい。つまり、複数(少なくとも2個以上)の曲面ミラーMCが含まれるようになっていればよい。また、曲面ミラーMCが自由曲面から成る反射面を有していると像面湾曲や歪曲収差等を効率よく補正できるため望ましいといえる。なお、曲面ミラー同士の間隔に、別個の光学素子(レンズ等)が位置するようになっていてもよい。
また、折り返しミラー光学系MHSの個数は、1個に限定されるものではない。つまり、上記したような単数の折り返し平面ミラーMHから成る折り返しミラー光学系MHSであってもよいし、複数の折り返しミラーを含むような折り返しミラー光学系であってもよい。要は、スクリーンSCへと画像光を導けるような折り返しミラー(平面ミラーに限定されず)が含まれる折り返しミラー光学系であればよい。
ところで、正パワー光学系PSがスクリーン面の背面に隠れるように位置する場合、あご部分が生じにくくなり、大画面でありながら小型なプロジェクタPDが実現するので好ましい。そこで、例えば図14に示すように、正パワー光学系PSから曲面ミラー光学系MCS(具体的には第1曲面ミラーMC1)に至るまでの光路に、光路を変更させる光路変更素子(例えば平面ミラー)が設けられていることが望ましい。このような光路変更素子MMがあれば、図14に示すように、光路を折り曲げることで、正パワー光学系PSがスクリーン面の背面に位置させることができるためである。
なお、この光路変更素子MMの位置は、正パワー光学系PSから曲面ミラー光学系MCSに至るまでの光路に限定されない。例えば、正パワー光学系PSの光路内に、光路変更素子MMが位置するようになっていてもよい。要するに、光路変更素子MMは、スクリーン面からとび出して位置する光学素子(正パワー光学系PS等)をスクリーン面の背面に導けるように、光路を変更できる位置にあればよい。
PU 投影光学系ユニット
BS 屈折光学系
ST 光学絞り
MCS 曲面ミラー光学系
MC1 第1曲面ミラー
MC2 第2曲面ミラー
MHS 折り返しミラー光学系
MH 折り返し平面ミラー
MD 光変調素子
SC スクリーン
PD プロジェクタ(画像投影装置)
L レンズ
s 光学作用面
* 非球面
$ 自由曲面
BB ベース光線
HL 水平方向(被投影面において規定される直角座標系の一方向)
VL 垂直方向(被投影面において規定される直角座標系の他方向)
MM 光路変更素子
BS 屈折光学系
ST 光学絞り
MCS 曲面ミラー光学系
MC1 第1曲面ミラー
MC2 第2曲面ミラー
MHS 折り返しミラー光学系
MH 折り返し平面ミラー
MD 光変調素子
SC スクリーン
PD プロジェクタ(画像投影装置)
L レンズ
s 光学作用面
* 非球面
$ 自由曲面
BB ベース光線
HL 水平方向(被投影面において規定される直角座標系の一方向)
VL 垂直方向(被投影面において規定される直角座標系の他方向)
MM 光路変更素子
Claims (8)
- 光変調素子から射出される画像光を導くことで被投影面に投影させる投影光学系ユニットを備える画像投影装置にあって、
上記投影光学系ユニットは、
光学絞りを備えるとともに正パワーを有する正パワー光学系と、
少なくとも、第1曲面ミラーおよびこの第1曲面ミラーを介した反射光を反射さ
せる第2曲面ミラーを有する曲面ミラー光学系と、
を含み、
上記の第1曲面ミラーと第2曲面ミラーとは、
光変調素子の表示面中心から光学絞り中心を通り、被投影面中心に向かう画像光
をベース光線とする場合、
第1曲面ミラーに至るまでのベース光線の光路と、第2曲面ミラーから進行する
ベース光線の光路とを交差させるように位置し、
さらに、上記第2曲面ミラーは、
凸面形状の反射面を有していることを特徴とする画像投影装置。 - 下記条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置;
15<θ1<45 … 条件式(1)
ただし、
θ1:第1曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。 - 下記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の画像投影装置;
30<θ2<60 … 条件式(2)
ただし、
θ2:第2曲面ミラーに対するベース光線の入射角度[単位;°]
である。 - 下記条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像投影装置;
25<θ3<50 … 条件式(3)
ただし、
θ3:第1曲面ミラーに入射するベース光線の光線方向と、第2曲面ミラーから射出 するベース光線の光線方向との成す角度[単位;°]
である。 - 下記条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像投影装置;
1.0<H×r(MC1)<3.0 … 条件式(4)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC1):第1曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
である。 - 下記条件式(5)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像投影装置;
2.5<H×r(MC2)<6.5 … 条件式(5)
ただし、
H :被投影面において規定される直角座標系の一方向(水平方向)の長さ[単
位;mm]
r(MC2):第2曲面ミラーの反射面のベース光線到達点において、その反射面が有す
る上記水平方向と同方向の曲率[単位;1/mm](ただし、反射面が凸
面の場合、曲率の値の符号を「正」とする)
である。 - 下記条件式(6)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像
投影装置;
0.5<D(PSIS-MC1)/V<1.2 … 条件式(6)
ただし、
V :スクリーン面において規定される上記直角座標系の他方向(垂直方向
)の長さ[単位;mm]
D(PSIS-MC1):正パワー光学系内の最も像側の端部から第1曲面ミラーに至るまで
の光路長[単位;mm]
である。 - 画像光の光路を変更させる光路変更素子が、
正パワー光学系内の光路上、または、正パワー光学系から曲面ミラー光学系に至るまでの光路上、に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像投影装置。
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