JP2007225411A - 腋臭タイプの判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒトの腋窩部におけるアポクリン臭のタイプを簡便で客観的かつ正確に判定する方法の提供。
【解決手段】ヒトの腋窩部に由来する試料中における、一般式(1)で表される物質と、一般式(2)で表される物質又は一般式(3)で表される物質との存在比率によって、腋臭のタイプを判定する方法、及び該タイプに基づいてヒトをグループ分けする方法。

〔R1はH又はメチル基、R2はC1-5のアルキル基、R3はH又はメチル基を示す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトの腋臭のタイプを判定する方法に関する。
近年エチケット意識の高まりに伴い、汗や体臭を気にする人が増えている。汗はほぼ全身の各部から分泌されるが、その中でも腋の汗は細菌が繁殖しやすく匂いやすい。そのため、自己や他人の腋臭を気にする人が特に増えてきている。
わきの下から発生するニオイ(腋臭ともいう)は酸っぱくて蒸れたニオイ(汗臭、酸臭などと呼ばれる)とアポクリン臭(「わきが」とも呼ばれる)に大別できる。アポクリン臭は、腋の下に分布するアポクリン汗腺由来の分泌物が原因で発生し、複雑かつ強い臭気のため、本人又はそばに居る人に特に感知されやすい。そのため、腋臭を気にする人にとっては、特にアポクリン臭の強さやタイプが重要な関心事となっている。
ところで、本発明者らは、ヒトの腋窩部のニオイに関する研究により、アポクリン臭は主に、(1)硫黄様で生臭いニオイと、(2)動物的でスパイシーなニオイとから構成されており、それらの主要原因成分が、それぞれ、3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オールに代表される3位にチオール基を有するアルコール化合物(以下、これらの化合物を3-メルカプトアルコール化合物ともいう)、3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸に代表されるβ-ヒドロキシ酸化合物であることを発見した(非特許文献1、2)。
アポクリン臭を構成する主たる原因臭気が硫黄様で生臭いニオイなのか、動物的でスパイシーなニオイなのか、あるいは双方が同程度寄与したニオイ(以下、混合臭タイプともいう)であるのか、すなわち、アポクリン臭のタイプを評価する方法としては、わきの下を人間が直接嗅いで判断する方法がある。その場合には、ニオイが発生している瞬間に直接嗅ぐことが望ましいが、熟練した評価者が必要であり、評価者、被験者にとって時間的な負担も大きい。更に多人数の被験者を連続的に評価する場合には、嗅覚の疲労によって客観性が低下する危険性もあり、アポクリン臭のタイプを正確かつ簡便に評価あるいは判定できる技術の開発が望まれていた。
アポクリン臭のタイプを正確かつ簡便に判定できる技術があれば、それによってヒトをグループ分けすることもできるので、例えば、制汗デオドラント剤開発者がアポクリン臭に対する抑制技術開発を行う際、対象臭(硫黄様で生臭いアポクリン臭、動物的でスパイシーなアポクリン臭、あるいは、それらの混合臭)に応じて被験者を効率的に選ぶこともできる。
非特許文献3には、アポクリン汗中には、下記式(2a)で表されるNα-3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサノイル-グルタミン、下記式(3a)で表されるNα-3-メチル-2-ヘキセノイル-グルタミンが含まれている旨の記載がある。
日本味と匂学会誌,10巻,3号,807-810頁(2003年12月) 第46回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 国際精油シンポジウム(ISEO)合同大会 講演要旨集,124-126頁(平14年10月18日) The Journal of Biological Chemistry, vol.278, No.8, p.5718-5727 (2003)
本発明の目的はヒトの腋窩部におけるアポクリン臭のタイプを客観的かつ正確に、しかも簡便に判定する方法を提供することである。
本発明者らは、ヒトの腋窩部から分泌されるアポクリン汗に関する研究により、微生物や酵素の作用などによってアポクリン臭の主要原因物質の1つである3-メルカプトアルコール化合物に変化する前段階の物質として、下記一般式(1)で表される物質(以下、物質(1)という)を新たに発見した。また本発明者らは、ヒトの腋窩部から分泌されるアポクリン汗に関する研究により、下記一般式(2)で表される物質(以下、物質(2)という)と下記一般式(3)で表される物質(以下、物質(3)という)の存在比率は個人差が少なく、ほぼ一定(7:1)であることも新たに発見した。
〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1乃至5のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。〕
更に本発明者らは、ヒトの腋窩部から分泌されるアポクリン汗に関する研究により、物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の存在比率は個人差が大きく、硫黄様で生臭いアポクリン臭を発生しやすい人は物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の比率が比較的高い傾向があり、動物的でスパイシーなアポクリン臭を発生しやすい人は物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の比率が比較的低い傾向があることを見出した。
本発明は、ヒトの腋窩部に由来する試料中における、物質(1)と、物質(2)又は物質(3)との存在比率によって、腋臭のタイプを判定する方法、及び該タイプによってヒトをグループ分けする方法を提供するものである。
本発明によれば、アポクリン臭のタイプを客観的かつ正確に判定することができ、またこの結果に基づいてヒトをグループ分けすることができる。これにより、例えば、制汗デオドラント剤の評価試験の際、被験者群を硫黄様で生臭いアポクリン臭の寄与の大きいグループと、動物的でスパイシーな腋臭の寄与の大きいグループ、双方のニオイの寄与が同程度(混合臭タイプ)のグループとに分けた後、試験の目的に合わせて被験者群を効率的に選ぶこともできる。
〔物質(1)〜(3)〕
本発明においてアポクリン臭のタイプを判定するための指標に用いる物質(1)としては、例えば以下に示す式(1a)〜(1e)で表される物質(以下、それぞれ物質(1a)〜(1e)という)が挙げられる。これらのなかでも、物質(1a)、すなわち2-アミノ-7-ヒドロキシ-5-メチル-5-プロピル-4-チアヘプタン酸(一般式(1)中、R1=メチル基、R2=n-プロピル基、R3=水素原子)は、ヒトの腋窩部に比較的多く存在し、定量しやすいという点でヒトの腋臭、特にアポクリン臭のタイプを判定するための物質として特に適している。
本発明においてアポクリン臭のタイプを判定するための指標に用いる物質(2)及び(3)としては、例えば下記式(2a)で表されるNα-3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサノイル-グルタミン(以下、物質(2a)という;一般式(2)中、R1=メチル基、R2=n-プロピル基、R3=水素原子)、下記式(3a)で表されるNα-3-メチル-2-ヘキセノイル-グルタミン(以下、物質(2a)という;一般式(3)中、R1=メチル基、R2=n-プロピル基、R3=水素原子)が挙げられる。これらの物質は、ヒトの腋窩部に比較的多く存在し、定量しやすいという点でヒトの腋臭、特にアポクリン臭のタイプを判定するための物質として特に適している。
〔物質(1)〜(3)の誘導体〕
ヒトの腋窩部に存在する物質(1)〜(3)はアミノ酸の誘導体であるので、pH条件によって、分子中のアミノ基は−NH2又は−NH3 +、カルボキシ基は−COOH又は−COO-の形で存在し得る。
また物質(1)〜(3)中のアミノ基は、生体の内外において、当該アミノ基における塩(例えば、塩酸塩)、又は前記アミノ基に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン及びアルギニンから選ばれるα-アミノ酸、若しくはこれらの少なくとも1種類が2分子以上脱水縮合した原子団が、ペプチド結合した状態等で存在していると推定される。
同様に、物質(1)〜(3)中のカルボキシ基は、生体の内外において、当該カルボキシ基における塩(例えば、金属塩)、又は前記カルボキシ基に前記α-アミノ酸若しくはそれらの少なくとも1種類が2分子以上脱水縮合した原子団が、ペプチド結合した状態で存在していると推定される。
すなわち、物質(1)〜(3)は、その構造に含まれるアミノ基及びカルボキシ基の部分において、塩を形成している状態、又はアミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質と結合した状態で存在していると推定される。
従って、本発明においては、物質(1)〜(3)をそのままの形として検出するだけでなく、前記の誘導体、すなわち、アミノ基における塩(例えば、塩酸塩など)、カルボキシ基における塩(例えば、金属塩など)、又はアミノ基若しくはカルボキシ基に、前記α-アミノ酸若しくはそれらの少なくとも1種類が2分子以上脱水縮合した原子団がペプチド結合している誘導体(例えば、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質等)として検出してもよい。
〔物質(1)〜(3)のアミノ酸脱離体〕
物質(1)〜(3)は、微生物や酵素の作用等によって、それらからアミノ酸が脱離した、下記式(4)〜(6)で表されるアポクリン臭原因物質(以下、物質(4)〜(6)という)に変化する。
〔式中、R1〜R3は前記と同じ意味を有する。〕
物質(4)は、次式(4a)〜(4e)で表される3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オール、3-メルカプトヘキサン-1-オール、3-メルカプトペンタン-1-オール、3-メルカプト-2-メチルブタン-1-オール、3-メルカプト-2-メチルペンタン-1-オール(以下、物質(4a)〜(4e)という)に代表される、3位にチオール基を有するアルコール化合物である。
本発明者らがヒトの腋窩部から新たに発見した物質(1)は、一般式(4)で表される3-メルカプトアルカノールの骨格とα-アミノ酸の骨格とを有しており、物質(4)のチオール基と、セリン(又はシステイン)のヒドロキシ基(又はチオール基)とから水(又はH2S)が取れて生成した、ニオイ物質とα-アミノ酸との縮合体である。前記の物質(1a)は、微生物や酵素の作用などにより、アポクリン臭の主要原因物質である3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オール(4a)に変化する。また、物質(4b)〜(4e)も、ニオイ物質に変化する前段階では、前記の物質(1b)〜(1e)として存在し、微生物や酵素の作用などにより物質(4b)〜(4e)に変化するものと推定される。ヒトの腋窩部には、物質(4a)〜(4e)に化学構造の類似した物質も存在していると推定されるが、物質(4a)は物質(4b)〜(4e)の10倍以上の質量比で存在し、ヒトの腋窩部における硫黄様で生臭いアポクリン臭の主要原因物質であり、更にその存在量はニオイの強さと正比例する。
物質(5)は、下記式(5a)で表される3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸(以下、物質(5a)という)に代表されるβ-ヒドロキシ酸化合物である。前記の物質(2a)は、ニオイ物質である物質(5a)の骨格とα-アミノ酸の骨格とを有しており、物質(5a)のカルボキシ基とグルタミンのアミノ基とから水が取れて生成した縮合体である。物質(2a)は、微生物や酵素の作用などにより物質(5a)に変化する。物質(5a)はヒトの腋窩部における動物的でスパイシーなアポクリン臭の主要原因物質であり、その存在量はニオイの強さと相関が高い。
物質(6)は、下記式(6a)で表される3-メチル-2-ヘキセン酸(以下、物質(6a)という)に代表される分岐不飽和脂肪酸化合物である。前記の物質(3a)は、ニオイ物質である物質(6a)の骨格とα-アミノ酸の骨格とを有しており、物質(6a)のカルボキシ基とグルタミンのアミノ基とから水が取れて生成した縮合体である。物質(3a)は、微生物や酵素の作用などにより3-メチル-2-ヘキセン酸(6a)に変化する。物質(6a)は、ヒトの腋窩部におけるアポクリン臭の原因物質のひとつである。
物質(4)〜(6)は、物質(1)〜(3)が微生物や酵素の作用等により分解されて生成したものであり、本発明者らの研究によると、物質(1)〜(6)の存在量や存在比率は個人によって多様で、アポクリン臭の個体差を形成する主要原因となっている。従って、本発明においては、物質(1)〜(3)を検出するだけでなく、物質(1)〜(3)に加えて更に物質(4)〜(6)を検出し、物質(1)〜(3)の存在比率に加えて、物質(4)〜(6)の存在比率を参考にしてアポクリン臭のタイプを判定することもできる。
〔物質(1)〜(3)の検出・定量方法〕
以下、物質(1)〜(3)を検出・定量する方法について説明する。
本発明においてアポクリン臭のタイプを判定する具体的方法は、特に限定されるわけではないが、腋窩部に由来する試料中の物質(1)〜(3)をそのままの形で、あるいは誘導体の形で、化学的、物理的、生物学的等の様々な分析手法によって検出・定量し、そして物質(1)と物質(2)の存在比率、物質(1)と物質(3)の存在比率、あるいは物質(1)と物質(2)及び(3)の総量との存在比率を求め、その結果に基づいてアポクリン臭のタイプを判定することができる。
腋窩部に存在する物質を採取する方法としては、特に限定されるわけではないが、脱脂綿等の布帛により腋窩部をこする方法、腋窩部に生理食塩水等を吹き付けた後、脱脂綿等の布帛により拭き取る方法、腋窩部に綿パッドを一定時間挟んでおく方法、腋窩部に当たる部分に綿パッドが縫い付けられた肌着やTシャツを一定時間着用する方法などが挙げられ、これらの方法は、1つ又は2つ以上を組み合わせて適用することもできる。
また、腋窩部における発汗を促進させる方法としては、ランニングや筋力トレーニング等の運動負荷を与える方法、サウナ等の高温環境室に入り、温度負荷を与える方法、あるいは暗算をさせる、恐怖映画を鑑賞させる等の精神的負荷(ストレス)を与える方法、腋窩部の皮膚内外にトウガラシエキス等の血行促進剤やエピネフリン等の汗腺刺激剤を塗布又は注射する方法等が挙げられ、これらの方法は、単独で又は2つ以上を組み合わせて適用することができる。また、前記の腋窩部に存在する物質を採取する方法と前記の腋窩部における発汗を促進させる方法とを組み合わせて適用することもできる。
本発明は、物質(1)〜(3)を検出しやすくするために、物質(1)〜(3)とそれら以外の物質との化学的諸性質の違い等を利用して、前記の方法によって腋窩部から採取した試料に対して様々な精製・濃縮手段を講じることもできる。例えば、物質(1)〜(3)は、水に溶けやすいので、化学的手段によって採取した試料から油溶成分を分離することで、試料中の物質(1)〜(3)の濃度を高めることができる。
本発明においては、物質(1)〜(3)、又はそれらの誘導体を化学的、あるいはその他の手法によって合成し、標準物質(スタンダード)として利用することもできる。例えば、物質(1)は下記反応式に従って合成することができる。
〔式中、R1、R2及びR3は、前記と同じ意味を示し、R4はアルキル基を示し、R5はベンジル基を示す。〕
すなわち、不飽和構造を有する脂肪酸エステル誘導体(a)を原料とし、誘導体(a)にベンジルメルカプタン等を付加導入して3位にチオエーテル構造を有する脂肪酸エステル誘導体(b)とし、誘導体(b)を水素化リチウムアルミニウム等の還元剤を用いて還元し、3位にチオエーテル構造を有するアルコール誘導体(c)とする。引き続き、バーチ還元によりベンジル基を脱離させることで、物質(4)を合成することができる。そして、物質(4)と、アミノ基がtert-ブトキシカルボニル基(Boc基)で保護された3-クロロアラニンとを縮合させることで、チオエーテル構造を有するα-アミノ酸誘導体(d)とした後、酸(塩酸など)で処理し、保護基を取り除くことによって、物質(1)を合成することができる。
物質(1)〜(3)は不斉炭素原子を有しているので、それらに由来する異性体が存在し得る。例えば、ヒトの腋窩部から単離される物質(1)〜(3)についてはα-アミノ酸骨格のα炭素の立体配置は常にL-配置である。しかしながら本発明において合成品を標準物質(スタンダード)として利用する場合には、その立体配座は特に限定されず、任意の割合で混合された合成品をそのまま標準物質(スタンダード)として利用することもできるし、様々な分離精製手段を用いて各異性体を分離した後、それらのうちのいずれか一つを利用することもできるし、更には、それらのうちの二つ以上が任意の割合で混合されたものを利用してもよい。
具体的には、例えば、物質(1)〜(3)を化学合成して、標準物質(スタンダード)として用いる場合には、その立体配座は特に限定されず、L-配置のアミノ酸だけでなく、D-配置のアミノ酸、あるいはそれらが任意の割合で混合されたアミノ酸を原料として用いることもできる。例えば、前記の例示した物質(1)の合成法における、3-クロロアラニンとしては、L-3-クロロアラニン、D-3-クロロアラニン、DL-3-クロロアラニン、あるいは、それらが任意の割合で混合された3-クロロアラニンを使用することもできる。
また、例えば、ヒトの腋窩部から単離される物質(4a)及び物質(5a)はS体72質量%とR体28質量%とからなる光学活性物質であるが、物質(1)及び物質(2)を化学合成し、標準物質(スタンダード)として用いる場合には、その立体配座は特に限定されず、遷移金属等の不斉触媒を利用した不斉合成技術により、物質(4a)や物質(5a)のS体(あるいはR体)のみを選択的に合成し、どちらかのみを利用することもでき、またそれらを任意の割合で混合したものを利用することもできるし、ラセミ体として合成し、そのまま利用することもできる。更には、結晶化法やクロマトグラフィー法に代表される物理的、化学的、あるいは生物学的な光学分割技術によりS体とR体とを分離し、どちらか一方のみを使用することもでき、S体とR体とを任意の割合で混合したものを利用することもできる。
腋窩部から採取した試料中の物質(1)〜(3)を検出・定量する具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、クロマトグラフィー法による分離分析法、モノクロナール抗体等を利用する免疫化学的測定法(イムノアッセイとも呼ばれる)を挙げることができる。
本発明において利用することができるクロマトグラフィー法としては、特に限定されず、例えば、液体クロマトグラフィー法、ガスクロマトグラフィー法等を挙げることができ、物質(1)〜(3)の標準物質(スタンダード)を用いて様々な濃度領域における検量線を作成しておくことで、採取した試料中に含まれる物質(1)〜(3)を定量することができる。
また、例えば、物質(1)〜(3)をクロマトグラフィー法により分離・検出する前後において、物質(1)〜(3)の検出における選択性及び感度の向上を目的として、化学修飾を施すための試薬(以下、化学修飾試薬ともいう)を用いて物質(1)〜(3)の官能基の部分に化学修飾を施し、それぞれの誘導体とした後、物質(1)〜(3)の誘導体を検出・定量することもできる。
物質(1)〜(3)に化学修飾を施す方法としては、特に限定されないが、例えば、液体クロマトグラフィー法においては、物質(1)〜(3)の分子構造に含まれる官能基(具体的には、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオ基、アミド基など)の少なくとも一つに対して、検出感度を向上させる発色団(可視・紫外吸収領域に吸収を持つ化合物や蛍光を発する形質を有する化合物など)を導入する方法、化学発光、電気化学活性などを利用する方法等を挙げることもできる。ガスクロマトグラフィー法においては、揮発性を向上させる化合物に誘導する方法等を挙げることもできる。
官能基に対して発色団を導入する方法としては、特に限定されないが、各種化学反応を利用することができ、例えば、物質(1)のアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基に、可視及び紫外線吸収を持つ発色団、又は蛍光を発する性質を有する発色団が導入された代表的な例として、下記式で表される物質を例示することもできる。
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を示し、X1は、物質(1)のアミノ基に発色団が導入された代表例であり、X2は、物質(1)のカルボキシ基に発色団が導入された代表例であり、X3は、物質(1)のヒドロキシ基に発色団が導入された代表例である。〕
具体的には、例えば、物質(1)のアミノ基を、スルホンアミド、カルボアミド、チオ尿素、アミン、あるいは、その他の形に変換することもでき、物質(1)及び/又は物質(2)のカルボキシ基を、エステル、イソ尿素、尿素、あるいは、その他の形に変換することもでき、物質(1)のヒドロキシ基を、エーテル、ウレタン、エステル、あるいは、その他の形に変換することもできる。
物質(1)〜(3)の分子構造中に含まれる官能基に発色団を導入する際には、特に限定されないが、例えば、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、アゾベンゼン、クマリン、2,1,3-ベンゾオキサジアゾール、ナフタレン、アクリジン、フルオレセイン及びその類似体、あるいは、その他の発色団を利用することもでき、また、前記の官能基は、前記式中に例示した、X1〜X3の置換基と同じ又はそれらに類似した形に変換することもできる。
各種化学反応を利用して、物質(1)〜(3)の分子構造中に発色団を導入する際には、市販の化学修飾試薬(誘導体化試薬とも呼ばれる)を利用することもできるし、必要に応じて、物質(1)〜(3)に適用できる化学修飾試薬を適宜新たに合成し、利用することもできる。以下、本発明において利用可能な、代表的な市販の化学修飾試薬について例示する。
アミノ基に発色団(可視及び/又は紫外吸収)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、(a)塩化アシル、(b)アリルスルホニルクロリド、(c)ニトロベンゼン、(d)イソシアナートあるいはイソチオシアナート等を挙げることができる。
具体的には、(a)塩化アシルとしては、p-メトキシベンゾイルクロリド、m-トルオイルクロリド、p-ニトロベンゾイルクロリド、塩化ベンゾイル等が挙げられる。(b)アリルスルホニルクロリドとしては、トルエンスルホニルクロライド(TSCl)、ベンゼンスルホニルクロリド(BSCl)、ジメチルアミノアゾベンゼンスルホニルクロリド(DABSCl)等が挙げられる。(c)ニトロベンゼンとしては、1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(FDNB)、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、4-フルオロ-3-ニトロベンゾトリフルオリド(FNBT)等が挙げられる。(d)イソシアナートあるいはイソチオシアナートとしては、フェニルイソシアナート(PIC)、ナフチルイソシアナート(NIC)、フェニルイソチオシアナート(PITC)、ナフチルイソチオシアナート(NITC)、4-N,N'-ジメチルアミノアゾベンゼン-4'-イソチオシアナート、p-フェニルベンゾイルイソチオシアナート等が挙げられる。
更に、p-ニトロベンジルブロミド(p-NBBr)、ダンシルクロリド(Dns-Cl)、o-フタルジアルデヒド(OPA)、ニンヒドリン、1,2,3-ペリナフチンダントリオン(Peri)等を挙げることもできる。
アミノ基に発色団(蛍光)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、(a)塩化スルホニル、(b)塩化カルボニル、(c)ハロゲノニトロベンゾフラン、(d)イソシアナートあるいはイソチオシアナート、(e)シッフ塩基生成試薬及びその関連試薬等を挙げることができる。
具体的には、(a)塩化スルホニルとしては、5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニルクロリド(Dns-Cl)、5-ジ-n-ブチルアミノナフタレン-1-スルホニルクロリド(BNS-Cl)、6-N-メチルアニリノナフタレン-2-スルホニルクロリド(Mns-Cl)、2-p-クロロスルホフェニル-3-フェニリンドン(Dis-Cl)、1,2-ナフタレンベンズイミダゾール-6-スルホニルクロリド、8-メトキシキノリン-5-スルホニルクロリド等が挙げられる。(b)塩化カルボニルとしては、9-フルオレニルクロロギ酸メチル(FMOC)、2-ナフチルクロロギ酸(NCF)、2-ダンシルクロロギ酸エチル、(R,S)-2-(p-クロロフェニル)-α-メチル-5-ベンゾキサゾールアセチルクロリド等が挙げられる。(c)ハロゲノニトロベンゾフランとしては、4-クロロ-7-ニトロ-2,1,3-ベンゾオキサジアゾール(4-クロロ-7-ニトロベンゾフラザン;NBD-Cl)、4-フルオロ-7-ニトロベンゾフラザン(NBD-F)等が挙げられる。(d)イソシアナートあるいはイソチオシアナートとしては、9-イソチオシアナートアクリジン、フルオレセインイソチオシアナート、4-ジメチルアミノ-1-ナフチルイソチオシアナート、4-(ベンジルオキシカルボニルアミノメチル)フェニルイソチオシアナート、4-(ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニルアミノ)フェニルイソチオシアナート等が挙げられる。(e)シッフ塩基生成試薬及びその関連試薬としては、ピリドキサールとピリドキサールリン酸、2-フルオレンカルボキシアルデヒド、1-ピレンカルボキシアルデヒド、o-フタルジアルデヒド/アルキルチオール(OPA/R-SH)試薬、2-アセチルベンズアルデヒド/エタンチオール(OAB)、ω-ホルミル-o-ヒドロキシアセトフェノン、ベンゾ-γ-ピロン、ベンゾイン(2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトフェノン)等が挙げられる。
更に、4-フェニルスピロ[フラン-2(3H),1'-フタラン]-3,3'-ジオン(フルオレサミン)、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、N-スクシニミジル-2-ナフトキシアセテート、N-スクシニミジル-1-ナフチルカルバメート、5-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)等を挙げることもできる。
カルボキシ基に発色団(可視及び/又は紫外吸収)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、(a)フェナシルブロミド、ナフタシルブロミド、及びそれらの類縁化合物、(b)N-メチルフタルイミド誘導体等が挙げられる。
具体的には、(a)フェナシルブロミド、ナフタシルブロミド及び類縁化合物としては、p-ブロモフェナシルブロミド、フェナシルブロミド、ナフタシルブロミド、p-ニトロフェナシルブロミド、1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブロモエタノン(4-HBE)等が挙げられる。(b)N-メチルフタルイミド誘導体としては、N-クロロメチルフタルイミド(CIMPI)、N-クロロメチル-4-ニトロフタルイミド(CIMNPI)、N-クロロメチルイサチン(CIMIS)等が挙げられる。
また、O-p-ニトロベンジル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素(p-NBDI)、2-ニトロフェニルヒドラジン、o-フェニレンジアミン、二クロム酸ピリジニウム、2-メチルキノキサノール誘導体、イミダゾール等を挙げることもできる。
カルボキシ基に発色団(蛍光)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、蛍光性クマリン誘導体等を挙げることができる。
具体的には、蛍光性クマリン誘導体としては、4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン(Br-Mmc)、4-ブロモメチル-6,7-ジメトキシクマリン(Br-Mdmc)、4-ブロモメチル-7-アセトキシクマリン(Br-Mac)、4-ジアゾメチル-7-メトキシクマリン、N,N'-ジシクロヘキシル-O-(7-メトキシクマリン-4-イル)メチルイソ尿素、N,N'-ジイソプロピル-O-(7-メトキシクマリン-4-イル)メチルイソ尿素、9-ブロモメチルアクリジン、3-ブロモメチル-6,7-ジメトキシ-1-メチル-2(1H)-キノキサリン、ナフタシルブロミド(2-ブロモアセトナフトン)、p-(アントロイルオキシ)フェナシルブロミド(パナシルブロミド)、1-ブロモアセチルピレン、9-クロロメチルアントラセン、9-アントリルジアゾメタン(ADAM)等が挙げられる。
また、物質(1)〜(3)のカルボキシ基を塩化オキサリル、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'-カルボニルジイミダゾール、2-ブロモ-1-メチルピリジニウムヨージドなどの試薬によって活性化した後、アルコールやアミンと反応させて蛍光ラベル化する方法等を挙げることもできる。
例えば、物質(1)〜(3)に塩化オキサリルを作用して酸クロリドとし、これにトリエチルアミンの存在下、9-アミノフェナントレン、又は1-ナフチルアミンと反応させると、強い蛍光を発するアミド化合物に誘導することができる。
また、活性化したカルボン酸の蛍光ラベル化に適当なアルコールとしては、例えば、9-ヒドロキシメチルアントラセン、2-ダンシルアミノエタノール、4-ヒドロキシメチル-7-メトキシクマリン(HO-Mmc)が挙げられ、蛍光性のエステル化合物に誘導することができる。
ヒドロキシ基に発色団(可視及び/又は紫外吸収)又は発色団を含む原子団を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、塩化アシル、フェニルイソシアナート(PIC)、フェニルジメチルシリルクロリド等を挙げることができる。
具体的には、塩化アシルとしては、塩化ベンゾイル、p-メトキシベンゾイルクロリド、p-ニトロベンゾイルクロリド、3,5-ジニトロベンゾイルクロリド、アントラセン-9-カルボニルクロリド等が挙げられる。
ヒドロキシ基に発色団(蛍光)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、7-メトキシクマリン-3-カルボニルアジド(3-MCCA)、7-メトキシクマリン-4-カルボニルアジド(4-MCCA)、7-(クロロカルボニルメトキシ)-4-メチルクマリン、4-ジメチルアミノ-1-ナフトイルニトリル、1-アントロイルニトリル、9-アントロイルニトリル、2-メチル-1,1'-ビナフタレン-2'-カルボニルニトリル、ナフタレンホウ酸、フェナントレンホウ酸等が挙げられる。
チオール基に発色団(可視及び/又は紫外吸収、蛍光)を導入するために利用可能な試薬としては、例えば、N-(9-アクリディニィル)マレイミド(NAM)、4-クロロ-7-スルフォベンゾフラザン アンモニウム塩(SBDCl)、4-フロロ-7-スルフォベンゾフラザン アンモニウム塩(SBD-F)、4-フロロ-7-スルファモイルベンゾフラザン(ABD-F)、N-[4-(5,6―メチレンジオキシ-2-ベンゾフラニィル)フェニル]マレイミド(MBPM)、N-[4-(6-ジメチルアミノ-2-ベンゾフラニィル)フェニル]マレイミド(DBPM)、N-[p-(2-ベンズイミダゾリル)フェニル]マレイミド、モノブロモビマン、5,5-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、フェナンジンメトサルフェート、o-フタルアルデヒド/2-アミノエタノール等が挙げられる。
アミド基に発色団(可視及び/又は紫外吸収、蛍光)を導入するために利用可能な化学的修飾方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキサム酸−鉄キレートによる呈色やアゾ色素生成によるN-アリールアミドの呈色等を挙げることができる。
本発明は、物質(1)〜(3)を高感度高選択的に定量するために免疫化学的測定法(イムノアッセイとも呼ばれる)を適用することもできる。免疫化学的測定法を利用して、腋窩部から採取した試料中の物質(1)〜(3)の存在量を定量する方法は、特に限定されないが、より高感度で定量するために、物質(1)〜(3)を標識化したものを用いることもできる。この標識化には、放射性同位元素を用いることもでき(ラジオイムノアッセイ)、酵素を用いることもでき(エンザイムイムノアッセイ)、蛍光色素や化学発光試薬などを用いることもできる。
本発明は、以上例示したような様々な方法によって物質(1)〜(3)を定量することができ、発色団として可視領域に吸収のある原子団を有する試薬(以下、呈色試薬ともいう)を利用する場合には、発現された色を可視・紫外分光光度計で定量してもよく、あるいは肉眼で検出してもよい。
〔アポクリン臭タイプの判定方法〕
以上のようにして得られた物質(1)〜(3)の検出・定量の結果に基づいて、アポクリン臭のタイプを判定することができる。前述したように、物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の存在比率は個人差が大きく、硫黄様で生臭いアポクリン臭を発生しやすい人は物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の比率が比較的高い傾向があり、動物的でスパイシーなアポクリン臭を発生しやすい人は物質(2)又は物質(3)に対する物質(1)の比率が比較的低い傾向がある。
これらの物質の存在比率とアポクリン臭のタイプとの関係としては、例えば、物質(2)と物質(1)の重量比(2)/(1)が、100以下であれば、硫黄様で生臭いアポクリン臭を発生しやすい人、450以上であれば、動物的でスパイシーなアポクリン臭を発生しやすい人、その中間であれば、両者の混合臭を発生しやすい人ということができる。
また、例えば、物質(3)と物質(1)の重量比(3)/(1)が、10以下であれば、硫黄様で生臭いアポクリン臭を発生しやすい人、60以上であれば、動物的でスパイシーなアポクリン臭を発生しやすい人、その中間であれば、両者の混合臭を発生しやすい人ということができる。
〔応用〕
なお本発明は、ヒトの汗に含まれる特定のアミノ酸誘導体の存在比率が個人によって異なる、あるいは、汗に含まれる特定のアミノ酸誘導体の存在比率によってヒトをグルーピングできるという、新たな知見を元にした発明であるので、ヒトを識別・認証する必要がある場面、例えば、犯罪捜査等において、汗に含まれる特定のアミノ酸誘導体の存在比率やそれによって判定される腋臭のタイプによって、指紋や静脈パターン等と同様の手法として応用することも可能である。
健康な米国人女性38名(18〜63歳)を被験者とした。試験開始の10日前から制汗デオドラント剤及び香水の使用を禁じ、シャワー時には香料未配合の石鹸を使用するよう指導した。試験当日の朝前記の石鹸で腋を洗浄した後、通常通りの生活をし、夕方(約10時間後)、ニオイの官能評価と汗の採取を行った。
<試験スケジュール>
試験1日目:AM6:00〜 腋洗浄、PM4:30〜 官能評価→ 汗拭き取り
試験2日目:AM6:00〜 腋洗浄、PM4:30〜 官能評価→ 汗拭き取り
<官能評価>
官能評価は被験者の両腋窩部を3人の専門パネラーが直接嗅ぎ、腋臭のタイプ及び強さを判定した。腋臭の強さは次の6段階で評価し、3人の評価データ×左右の腋窩部=6データから平均値を求めた。この結果を表1に示す。
0:無臭
1:わずかに匂う
2:弱く匂う
3:はっきり匂う
4:やや強く匂う
5:強く匂う
<物質(1)〜(3)の定量>
わきの汗は、蒸留水1mLを染み込ませた脱脂ガーゼ(6×9cm)で各被験者の両腋窩部をそれぞれ拭き取る(各5回/片腋)ことで採取した。
脱脂ガーゼに蒸留水(10mL×2回)を加えて抽出し、ヘキサン洗浄の後、凍結乾燥した。再度、蒸留水2mLを加えてろ過したものをLC-MS/MS分析装置に供した。標品(合成品)を用いて、ガーゼ中に含まれる物質(1a)、物質(2a)、物質(3a)の量を求めた。左右それぞれの腋窩部サンプルから定量されたデータの合算値を各被験者の定量値とし、表1に示す。
(分析条件)
HPLCシステム: LC-10AD VP(島津製作所)
分析カラム:Inertsil ODS-3(2.1mmID×250mm) カラム温度:40℃
移動相:1%酢酸水溶液:1%酢酸メタノール溶液=50:50(v/v)
流速:0.2mL/min 試料保存温度:4℃ 試料注入量:10μL
質量分析装置(MS/MS):API2000(Applied Biosystems / MDS Sciex)
物質(2a)と物質(1a)の存在比率、物質(3a)と物質(1a)の存在比率は、被験者間で個人差が大きいことがわかった。
そして、官能評価において、硫黄様で生臭い腋臭が主たる臭気原因と判断された被験者(No.1, No.2, No.3)は、物質(1a)に対する物質(2a)の存在比が比較的小さい値(表中では100以下)を取ることがわかった。更に、官能評価において、動物的なスパイシー臭が主たる臭気原因と判断された被験者(No.31, No.32, No.33, No.34, No.35、No.36、No.37、No.38)は、物質(1a)に対する 物質(2a)の存在比が比較的大きな値(標中では450以上)を取ることもわかった。従って、物質(1a)と物質(2a)の存在比率によって、アポクリン臭のタイプを判定可能であることがわかった。
同様に、官能評価において、硫黄様で生臭い腋臭が主たる臭気原因と判断された被験者(No.1, No.2, No.3)は、物質(1a)に対する物質(3a)の存在比が比較的小さい値(表中では10以下)を取ることがわかった。そして、官能評価において、動物的なスパイシー臭が主たる臭気原因と判断された被験者(No.31, No.32, No.33, No.34, No.35、No.36、No.37、No.38)は、物質(1a)に対する 物質(3a)の存在比が比較的大きな値(表中では60以上)を取ることがわかった。従って、物質(1a)と物質(3a)の存在比率によって、アポクリン臭のタイプを判定可能であることもわかった。
それに対して、物質(2a)と物質(3a)の存在比率を求めたところ、被験者によらず、ほぼ一定の範囲(4.8〜9.2)に入ることがわかった。

Claims (3)

  1. ヒトの腋窩部に由来する試料中における、一般式(1)で表される物質と、一般式(2)で表される物質又は一般式(3)で表される物質との存在比率によって、腋臭のタイプを判定する方法。
    〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1乃至5のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。〕
  2. ヒトの腋窩部に由来する試料中における、一般式(1)で表される物質と、一般式(2)で表される物質又は一般式(3)で表される物質との存在比率によって、腋臭のタイプを判定し、ヒトをグループ分けする方法。
    〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1乃至5のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。〕
  3. 一般式(1)〜(3)中のR1がメチル基、R2がn-プロピル基、R3が水素原子である請求項1又は2記載の方法。
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