JP2007224758A - シリンダライナ、シリンダブロック、及びシリンダブロックの製造方法、及びエンジン構造 - Google Patents

シリンダライナ、シリンダブロック、及びシリンダブロックの製造方法、及びエンジン構造 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダライナを工夫することで、ダミーヘッドを用いずにホーニング加工を行い、シリンダブロックとシリンダヘッドを組み付けた際の、シリンダボア内周面の真円度の確保。
【解決手段】エンジンのシリンダブロック10に備えられるシリンダライナ12において、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分12aが設けられ、前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置で、ウォータジャケット15の底部15a近傍であること。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンのシリンダヘッドに備えられるシリンダライナの形状を工夫することで、シリンダヘッドにシリンダブロックを組み付ける際に発生する歪みや、エンジン稼働時に発生する歪みの影響による、ピストン周りの真円度の低下を防ぐ技術に関するものである。
近年において、環境に配慮した自動車造りの要求が高まり、世界各国で排気ガス等の規制も厳しくなり、よりクリーンでエネルギー消費の少ない自動車が求められている。
一方で、自動車の運動性能は高いものが求められており、エンジンの出力を犠牲にして燃費の向上を図っても、ユーザーのニーズに応えることはできない。
ところで、エンジンは、シリンダヘッドやシリンダブロック、クランクシャフトやクランクケース、オイルパンなどの複数の部品が組み付けられて構成されており、シリンダブロックのシリンダ内部を摺動するピストンの往復運動をクランクシャフトによって回転運動に変えることによって、動力を取り出している。
そして、エンジンのメカロスの大部分は、ピストン周りの摺動抵抗によるものだと言われており、この摺動抵抗の低減が、エンジンの出力を犠牲にしない燃費の向上へ繋がることになる。
ピストン周りの摺動抵抗は、主にピストンの有するピストンリングと、シリンダブロックの有するシリンダボア内周面面との真円度等の形状精度に寄るところが大きい。
このピストン周りの摺動抵抗は、ピストンが摺動する範囲において、シリンダボア内周面面の形状精度が高ければ、軽減される。
ところが、シリンダブロックの有するシリンダボア内周面面の形状精度は、仕上げ加工時に高精度の仕上げを行っても、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付ける際に発生する歪みによって悪化する。そしてその歪みは、ピストンが摺動する範囲内に現れる点が問題となる。
この歪みは、シリンダヘッドをシリンダブロックに組み付ける際に、ヘッドボルトで数十kNもの高トルクで締め付けることによって発生するものである。
この歪み発生の問題を解決する方法としては、従来からダミーヘッドを組み付けて仕上げ加工することで、対処する方法が知られている。
ダミーヘッドを用いた加工は、その名の通りシリンダヘッドの代わりとなるダミーヘッドを組み付けた上で、シリンダブロックを加工する。
このように加工することで、実際にエンジンとして組み上げた際のボア真円度を高めることが可能となる。
このようなダミーヘッドを用いたエンジンブロックの加工は、比較的高い真円度が実現できるため、レース用エンジンのチューニングでは良く行われている手法である。
しかし、ダミーヘッドをシリンダブロックに組み付ける手間や、加工後に取り外す手間等があり、工程を増やす必要があるためコストがかかり、市販車のエンジンにこの方法を採用することは難しい。
なお、ダミーヘッドを用いたシリンダブロックの加工方法に関しては、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
一方、ダミーヘッドを用いずに、このような歪みの問題を解決するシリンダブロックの加工方法に関しては、特許文献1に記載されている。
図14は、特許文献1の、荷重付加機構を有した荷重負荷シリンダがシリンダブロックを押圧する様子を示した断面説明図である。
このように、特許文献1に紹介される技術によれば、シリンダブロック10をホーニング加工する際に、ホーニング装置101に備える荷重付加用シリンダ110によって、シリンダライナ保持外筒部11を4方向から押圧することで、シリンダブロック10に図示されないシリンダヘッドを組み付けた際の歪みを考慮した加工が実現できる。
これは、ホーニング加工時に圧力を付加した部分の取り代が多くなる原理を利用したものであり、シリンダブロック10にシリンダヘッドを組み付けた際に、シリンダライナ保持外筒部11を荷重付加用シリンダ110によって押圧することで、押圧した部分の内側にあたるシリンダライナ保持外筒部11の一部が深く加工される。
したがって、組み付け時に歪みが大きくなる部分を押圧すれば、その部分が深く加工されるので、組み付けた際には結果的に真円度が高くなるという技術である。
なお、特許文献1では、シリンダボアの外壁の上端部から、シリンダボアの中心に向けてシリンダボアの配列方向、及び配列方向と直交する方向へ、それぞれ押圧するとしている。
このようにホーニング加工する際に外部から荷重をかける方法としては、特許文献4にも記載されている。
図15は、特許文献4の分割式シリンダのライナ部外壁を押圧してホーニング加工する様子を示した断面説明図である。
このように、特許文献4に紹介される技術によれば、台座233上に保持されたシリンダライナ部224に、ダミーヘッド241を組み付け、ピストン238の支持面240をシリンダライナ部224の外周面に面接触させて径方向内側に押圧支持した状態で、ホーニングヘッド250にてホーニング加工を行う。
これによって、シリンダライナ部224を非円形形状に加工し、図示しないシリンダブロック部と一緒に、シリンダヘッドに組み付けることで、歪みが発生し、シリンダボアの真円度を良好に確保できるとしている。
特開2000―271853号公報 特許第2636460号公報 特開2002―307291号公報 特開2005―199378号公報
しかしながら、従来技術である特許文献1乃至特許文献4には、以下に説明するような問題があった。
(1)コスト削減が難しい。
特許文献2乃至特許文献4では、ダミーヘッドを用いてホーニング加工を行っている。
ダミーヘッドを加工に用いることで、シリンダヘッドに発生する歪みが、実際にシリンダヘッドを組み付けた状態に近くなるので、精度良い加工が実現できるが、その一方でダミーヘッドの組み付け、取り外しという工程を必要とするので、加工工程を削減することは難しい。
ダミーヘッドは、シリンダヘッドと同じトルクでヘッドボルトによって取り付けられる必要がある。したがって、自動化を進め、ヘッドボルトの代替品でダミーヘッドをシリンダブロックに自動機で締結するにしても、ダミーヘッドをシリンダブロックにセットする工程と、ヘッドボルトを締結、取り外しする工程は無くすことはできないと考えられる。
また、ダミーヘッドとヘッドボルトが消耗するため、定期的にメンテナンスが必要となる。その結果、メンテナンスの人件費や設備維持費も余分に必要となる。
したがって、これらにかかるコストを削減できないため、ダミーヘッドを用いる場合はどうしてもコストが高くなってしまうという問題がある。
(2)適切な部分を押圧しながら加工することが困難である。
特許文献1に示すような、シリンダブロックを押圧する方法では、適切な場所を押圧しながら加工ができるかどうかが問題となる。
図16に、出願人が調査したシリンダブロックにシリンダヘッドを組み付けた際に発生する、シリンダボア内周面の歪みの分布を示した立体斜視図を示す。
横軸は、中央線CLを中心に立体的に描かれたシリンダボア内周面14の歪みの大きさを表し、縦軸はシリンダヘッド側からの高さを示している。
このように、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付けたときに発生する歪みは、内側変形位置14aで最も大きくなり、歪みピーク高さh1の位置に発生する。そして、内側変形位置14aでシリンダボア内周面14は内側へ内側に変形する。
また、この歪みピーク高さh1の位置は、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置に発生することが分かっている。すなわち、ヘッドボルト締結穴13aと同じ位相の歪みピーク高さh1で、シリンダボア内周面14は内側に大きく変形するのである。
この歪みピーク高さh1のシリンダヘッド組み付け面からの位置は、設計によっても異なるが、一般的な現在のエンジンでは、シリンダヘッド組み付け側から80〜100mm程度の距離に設けられることが多い。
しかし、特許文献1に開示される技術によると、シリンダブロック10を押圧する部分は、明細書の中で押圧部はシリンダヘッド19組み付け側から40mm程度の位置とすることが望ましいとしており、図10に示した最も加工したいヘッドボルト締結穴13aに対応した内側変形位置14aから遠い部分を加工することになる。
仮に、特許文献1の方法で接続部17を押圧するとなると、ウォータジャケット15の底部15a部分が邪魔になり、押圧するアームを差し込むことが出来ず、接続部17を押圧することができない。
よって、特許文献1の方法では、適切な位置を押圧しながら加工することは困難である。
このように、従来の特許文献1乃至特許文献4の方法では、(1)ダミーヘッドを用いた加工では、コスト削減が難しい、(2)適切な部分を押圧しながら加工することが困難である、等の問題があった。
そこで、本発明ではこのような問題を解決するためになされたものであり、シリンダライナを工夫することで、ダミーヘッドを用いずにホーニング加工を行い、シリンダブロックとシリンダヘッドを組み付けた際に、シリンダボア内周面の真円度が確保できるような、シリンダライナ、シリンダブロック、及びシリンダブロックの製造方法、及びエンジン構造を提供することを課題とする。
前記目的を達成するために、本発明によるシリンダライナ、シリンダブロック、及びシリンダブロックの製造方法、及びエンジン構造は以下のような特徴を有する。
(1)エンジンのシリンダブロックに備えられるシリンダライナにおいて、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分が設けられ、前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴に対応する位置で、ウォータジャケット下端部近傍であることを特徴とする。
(2)エンジンのシリンダブロックに備えられるシリンダライナにおいて、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が薄く形成されるライナ肉薄部分が設けられ、前記外周部の所定の位置が、前記シリンダブロックを組み込んだ前記エンジンを稼働させた状態で、拡径方向への歪みが発生している位置であることを特徴とする。
(3)(2)に記載されるシリンダライナにおいて、前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴に対応する位置で、シリンダヘッド組み付け面から、ウォータジャケット下端部近傍までであることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載されるシリンダライナにおいて、前記シリンダブロックを組み込んだ前記エンジンを稼働させた状態で、縮径方向に発生している歪みに対応し、前記ライナ肉厚部分の肉厚を増加させることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載されるシリンダライナが鋳込まれたことを特徴とする。
(6)シリンダライナをシリンダブロックに鋳込む鋳造工程と、前記シリンダブロックのシリンダボア内周面をホーニング加工する仕上げ加工工程とを含むシリンダブロックの製造方法において、前記鋳造工程で、外周部の所定の位置に他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分、又は肉が薄く形成されるライナ肉薄部分のうち少なくとも1つが設けられた前記シリンダライナを、前記シリンダブロックに鋳込み、前記仕上げ加工工程で、前記シリンダブロックの有する前記シリンダライナの内面である前記シリンダボア内周面を、ホーニング加工することで、前記シリンダボア内周面に、前記ライナ肉厚部分に対応して他の部分よりも深く削られ窪む部分、又は前記ライナ肉薄部分に対応して他の部分よりも浅く削られ盛り上がる部分のうち少なくとも1つが形成されることを特徴とする。
(7)(6)に記載されたシリンダブロックの製造方法で製造されたシリンダブロックに、シリンダヘッドを組み付けたエンジン構造において、前記シリンダブロックに、前記シリンダヘッドを組み付けた際に発生する組付歪みが、前記組付歪みの発生する位置に対応する前記窪む部分によって、相殺され、エンジンを稼働させた際に発生する実働歪みが、前記実働歪みの発生する位置に対応する前記窪む部分、又は前記盛り上がる部分のうち少なくとも1つによって、相殺されることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によるシリンダライナ、シリンダブロック、及びシリンダブロックの製造方法、及びエンジン構造により、以下のような作用、効果が得られる。
(a)まず、外周部の所定の位置である、ヘッドボルト締結穴に対応する位置で、ウォータジャケット下端部近傍にライナ肉厚部分を設けた(1)に記載のシリンダライナを、(4)に記載するようにシリンダブロックに鋳込み、ホーニング加工を行うことで、シリンダボア内周面に窪む部分を形成し、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付けた際に発生する組付歪みを相殺することが可能となる。(6)に記載のシリンダブロック加工方法、及び(7)に記載のエンジン構造も同様の効果がある。
その結果、シリンダブロックをエンジンに組み付けた際のシリンダボア内周面の真円度を高く保つことができ、燃費を向上させることが可能となる。
この発明により、ダミーヘッドを用いたり、ホーニング加工時にシリンダに圧力をかけるための押圧装置などを用いたりすることなく、組み付け時の真円度を高めるホーニング加工が実現可能であるため、シリンダブロックの製造コストを安価に抑えることが可能となる。
この効果は、以下のような作用によるものである。
シリンダライナの外周部の所定の位置に、ライナ肉厚部分を設け、シリンダブロックに鋳込んでホーニング加工を行うと、ライナ肉厚部分に対応する部分のシリンダボア内周面は深く削られ窪む部分を形成する。
これは、ホーニング加工が、砥石を被加工面に押し付けるようにして被加工面の研削を行うため、砥石は被加工面の反力を受けながら加工されることになり、部分的に反力が強ければ、その部分がより深く加工されるという原理によると考えられる。
また、このシリンダライナの外周部の所定の位置は、従来から指摘されているシリンダヘッドを締め付ける際に発生する組付歪みに対応する位置に相当する。
この組付歪みの発生位置は、ヘッドボルト締結穴に対応し、ウォータジャケット下端部近傍のシリンダボア内周面に発生し、内側に膨らむように歪む。
これは、ヘッドボルト締結穴にヘッドボルトが高いトルクで締結され、上側にシリンダブロックを引っ張るのに対し、シリンダヘッドはシリンダライナ保持外筒部の上面を押すので、ヘッドボルト締結穴の設けられる外壁と、シリンダライナ保持外筒部の接続部にあたる、ウォータジャケット下端部近傍で歪みが発生することになり、内側に膨らむからである。
このシリンダブロックにシリンダヘッドを組み付ける際に発生する歪みは、数十μm程度になる。この程度の歪みであっても、ピストンがシリンダボア内周面を摺動する際には、摺動抵抗となる。
したがって、ヘッドボルト締結穴に対応し、ウォータジャケット下端部近傍のシリンダライナの外周部に必要な厚みのあるライナ肉厚部を設けることで、シリンダヘッドをシリンダブロックに組み付けた際の歪みを相殺する、深く削られ窪む部分を、ホーニング加工時にシリンダボア内周面に形成することが可能である。
その結果、組付歪み発生位置に合わせてシリンダライナの外周部に、ライナ肉厚部分を設けてやれば、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付ける際に、組付歪みを相殺することが可能となり、結果的にボアの真円度が高い状態でエンジンを稼働することが可能となり、摺動抵抗を減らすことが可能となる。
摺動抵抗が減少すれば、エンジンの出力を犠牲にせず、燃費の向上が実現可能となる。
(b)また、出願人が提起する新たな課題として、エンジン稼働時にシリンダライナに発生する歪みが、ピストンとシリンダライナ内周面との間の摺動抵抗になるという、課題がある。
この課題について、本発明では、外周部の所定の位置にライナ肉厚部分又はライナ肉薄部分を設けた(2)乃至(4)に記載のシリンダライナを、(5)に記載するようにシリンダブロックに鋳込み、ホーニング加工を行うことで、シリンダボア内周面に盛り上がる部分又は窪む部分を形成することで、解決している。
また、(6)に記載のシリンダブロック加工方法、及び(7)に記載のエンジン構造にも同様の効果がある。
その結果、エンジン稼働時のシリンダボア内周面の真円度を高く保つことができる。シリンダボア内周面の真円度は、ピストンの摺動抵抗に影響する。このため、エンジン稼働時にシリンダボア内周面の真円度が高く保たれていることが理想的であり、シリンダボア内周面の真円度が高く保たれることにより、ピストンの摺動抵抗が軽減され、燃費の向上に貢献することが出来る。
また、この発明により、ダミーヘッドを用いたり、ホーニング加工時にシリンダに圧力をかけるための押圧装置などを用いたりすることなく、組み付け時の真円度を高めるホーニング加工が実現可能であるため、シリンダブロックの製造コストを安価に抑えることが可能となる。
この効果は、以下のような作用によるものである。
シリンダライナの外周部の所定の位置に、ライナ肉厚部分やライナ肉薄部分を設け、シリンダブロックに鋳込んでホーニング加工を行うと、前述と同様にライナ肉厚部分に対応する部分のシリンダボア内周面は深く削られ窪む部分を形成し、また、前述と同様の原理から、ライナ肉薄部分に対応する部分のシリンダ内周面は浅く削られ盛り上がる部分を形成する。
この結果、シリンダライナの外周部に必要なライナ肉厚部分、又はライナ肉薄部分のうち少なくとも1つを設けることで、シリンダボア内周面14の形状をある程度コントロールすることが可能となる。
このエンジン稼働時における、シリンダライナの外周部の所定の位置は、前述した組付歪みとは別の位置でも歪みが発生することが確認されている。
これは、ヘッドボルト締結穴にヘッドボルトが高いトルクで締結されることによって拘束されることで、それ以外の部分がエンジン稼働時に発生する熱によって熱膨張し、また、燃料を爆発させた際に発生する圧力による影響等によって変形するため、結果的にシリンダボア内周面の真円度が悪化する実働歪みが発生する。
この実働歪みの発生位置は、隣り合うヘッドボルト締結穴の間であって、シリンダヘッド組み付け面からウォータジャケット下端近傍までのシリンダボア内周面に発生し、内側に歪むことを出願人は確認している。
したがって、ヘッドボルト締結穴に対応し、シリンダヘッド組み付け面からウォータジャケット下端近傍のシリンダライナ外周面に必要な深さのライナ肉薄部を設けることで、ホーニング加工時に、エンジン稼働時に発生する歪みを相殺する浅く削られ盛り上がる部分を、シリンダボア内周面に形成することが可能である。
また実働歪みは、組付歪みが発生する位置で、縮径方向に発生することも確認されているため、組付歪みに対応する部分に設けられるライナ肉厚部分の肉厚を増加させることで、シリンダヘッドをシリンダブロックに組み付けた際の歪みと合わせて、エンジン稼働時に発生する歪みを相殺する、さらに深く削られ窪む部分を、ホーニング加工時にシリンダボア内周面に形成することが可能である。
ただし、エンジンの仕様によって、実働歪みの発生位置、大きさは異なるので、実働歪みに合わせて、シリンダライナ外周面にライナ肉厚部又はライナ肉薄部のうち少なくとも1つを設ければよい。
したがって、シリンダボア内周面に発生する歪みの位置が分かっていれば、それに合わせてシリンダライナの外周部に、ライナ肉厚部分及びライナ肉薄部分を設けてやれば、その歪みを相殺することが可能となり、結果的にボアの真円度が高い状態でエンジンを稼働することが可能となる。
なお、エンジン稼働時に発生する歪みは、数μm程度であり、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付ける際に発生する歪みほど大きな問題とはならないと考えられている。
しかし、より燃費の向上を求めるためには、エンジン稼働時に発生する歪みの影響も考慮することは有効であり、燃費の向上に繋がる。
つまり、(a)(b)に示したように、組付歪みや、実働歪みが発生する部分に対応するシリンダライナの外周部に、必要なライナ肉厚部分、又はライナ肉薄部分を設け、シリンダボア内周面をホーニング加工することで、シリンダボア内周面の真円度の悪化を抑制し、エンジンの出力を犠牲にせずに、燃費を向上させることが可能となる。
また、シリンダライナの形状を工夫するだけで良いので、コスト的にも安価に実現できる。
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例についての構成を、図面を用いて説明する。
図1は、第1実施例のシリンダライナ12の立体斜視図である。
第1実施例のシリンダライナ12は、一般的なものと同様、肉厚が数mm程度の円筒形状体であり、ねずみ鋳鉄等の比較的硬く、摺動性の高い金属で鋳造されている。
また、シリンダライナ12の外周部には、図示されない細かい凹凸が設けられている場合もある。この凹凸は、シリンダライナ12をシリンダブロック10に鋳包む際に、密着性を高め、熱伝達効果を得る目的で設けられている。
第1実施例の特徴的部分として、このシリンダライナ12には、外周部の所定の位置に、ライナ肉厚部分12aが形成されている。
ここで言う外周部の所定の位置とは、後述するヘッドボルト締結穴13aに対応する位置であり、かつウォータジャケット15の底部15aと同じ高さの部分を指している。
また、このライナ肉厚部分12aの厚みは、後述するホーニング加工する際にホーニング加工によって削り取られる量が数十μm程度は変化するだけ必要であるため、例えば他の円筒部分の厚みに比べて2倍から3倍程度の厚みとなっている。
シリンダブロック10の鋳造工程では、このようなシリンダライナ12の周りに、シリンダブロック10形成用の空間を作り、溶湯を流し込むことで、シリンダブロック10を鋳込む。そして、シリンダライナ12を備えたシリンダブロック10が形成される。
図2には、シリンダブロック10にクランクキャップ24が組み付けられた状態の断面図を示している。
また、図3には、図2に示すシリンダブロックのAA断面図を示している。
シリンダライナ12を備えるシリンダブロック10は、図3に示すように直列4気筒のエンジンである。したがって、シリンダライナ12も、シリンダブロック10に4つ備えられ、直列に配列されている。
また、図3に示すように、シリンダライナ12はシリンダライナ保持外筒部11に保持され、シリンダライナ保持外筒部11の外周には、ウォータジャケット15が廻らされている。
ウォータジャケット15はシリンダライナ12を冷却するために設けられており、エンジン稼働時には内部を冷却水が流通する。
ウォータジャケット15の外周にはシリンダ外壁部13が設けられており、シリンダ外壁部13には、ヘッドボルト締結穴13aが設けられている。
このヘッドボルト締結穴13aは、1気筒当たり4カ所も受けられており、隣り合う気筒とは、ヘッドボルト締結穴13aを共有している形となるため、4気筒のエンジンではヘッドボルト締結穴13aは10カ所に設けられることになる。
また、ヘッドボルト締結穴13aは、大抵の場合シリンダライナ12を均等な割角度で設けられ、等しい距離に設けられている。
このヘッドボルト締結穴13aに対応する位置に、シリンダライナ12に備えられるライナ肉厚部分12aが、等距離でシリンダライナ12外周に設けられている。
また、図2に示すように、シリンダ外壁部13はシリンダライナ保持外筒部11にシリンダブロック10の中程の高さである接続部17で接続されており、シリンダ外壁部13とシリンダライナ保持外筒部11で囲まれるウォータジャケット15の底部15aは接続部17の外周の一部が構成している。
この底部15aの高さが、ライナ肉厚部分12aの設けられる位置とほぼ同じ高さになる。ライナ肉厚部分12aは、図2に示すAA切断線が通過する位置が、ライナ肉厚部分12aの中央部になる位置に設けられている。
したがって、第1実施例において、ライナ肉厚部分12aの設けられる、シリンダライナ12の外周部の所定の位置とは、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置であり、かつウォータジャケット15の底部15aと同じ高さの部分を指している。
次に、第1実施例の加工工程について説明する。
図4には、ホーニング加工時の模式断面図を示す。
シリンダブロック10は、仕上げ加工としてシリンダボア内周面14をホーニング加工して形状精度を高める。
ホーニング加工の際には、ホーニング加工装置30の備えるベース31にシリンダブロック10を固定し、シリンダブロック10のシリンダヘッド19組み付け側からホーニングヘッド33をボア部に差し込み加工を行う。
このホーニングヘッド33は、回転加工軸32が接続されており、回転加工軸32は、回転運動可能に回転装置34が接続され、また、往復運動可能に往復運動装置35が接続されている。
さらに回転加工軸32の内部にはロッド32aが備えられており、ロッド32aは軸方向に移動が可能に、ロッド移動装置36に接続されている。
ロッド32aには、テーパーコーン32bが接続されており、ロッド移動装置36によってテーパーコーン32bが軸方向に移動することで、ホーニングヘッド33に備えられる砥石33aの位置が、シリンダボア内周面14の径方向に拡大、縮小するよう移動可能に構成されている。
また、回転加工軸32には、空気圧信号変換器37が備えられており、ホーニングヘッド33に備える図示しないノズルからエアを噴出することで、砥石33aとシリンダボア内周面14の距離を正確に測定できる。
そして、シリンダボア内周面14と砥石33aの位置が適切でなければ、ロッド移動装置36によってロッド32aに備えられるテーパーコーン32bを軸方向に移動させれば、砥石33aを加工に必要な位置に保つことが可能である。
このように、砥石33aを加工に必要な位置に保ちながら、回転装置34によってホーニングヘッド33を回転し、また往復運動装置35によって往復運動することで、ベース31に固定されたシリンダブロック10の備えるシリンダボア内周面14を砥石33aが削り取ることで、加工は行われる。
このホーニング加工の際には、シリンダボア内周面14の径の大きさ、及び形状精度を高める加工を施すと共に、シリンダボア内周面14に潤滑油が保持しやすいようにクロスハッチ等を設ける加工を施している。
なお、このホーニング加工装置30はサーボモータで往復運動及びロット移動を行っている図となっているが、一般的に量産工程で用いられるのは、油圧駆動によって往復運動及びロット移動を行う機構のものが多い。このような油圧駆動の場合でもほぼ同じ構造となっている。
次に、本発明に係る第1実施例の作用効果を説明する。
まず、ホーニング加工装置30の加工原理について簡単に説明する。
ホーニング加工は、砥石33aを使って被加工物を研削する加工方法であり、エンジンのシリンダボア内周面の仕上げ加工に一般的に用いられる。
回転加工軸32にホーニングヘッド33を備え、回転させることで、ホーニングヘッド33の外周に複数備えられる砥石33aによって、被加工面の加工を行う。
砥石33aによる加工であるため、他の研削加工と同様にある程度の押圧力を付加しながら、被加工面を少量ずつ削り取ってゆく。一般的にホーニング加工の取り代は、鋳鉄で0.02mm〜0.1mm程度とされており、最終仕上げの際にはさらに取り代は少なくなることが多い。一方、シリンダライナ12は1〜2mm加工するため、数十回往復して加工を行う。
この押圧力は一般的に5kg/cm程度であり、ホーニングヘッド33内部に備えられるテーパーコーン32bを用いて圧力を付加することになる。
図5(a)及び図5(b)に、シリンダライナ12に備えたライナ肉厚部分12a付近のシリンダボア内周面14をホーニング加工している様子を模式的に示した断面図である。
図5(a)は、ライナ肉厚部分12a付近の、ホーニング加工中の力の関係を表した断面図、図5(b)は加工後の断面図を示している。
ホーニングヘッド33に備えられた砥石33aは、シリンダライナ12の表面である、シリンダボア内周面14を押圧しながら加工を行う。
図5(a)に示すように、砥石33aからの押圧力Fに対して、シリンダライナ12自身の剛性によって、反力Nが発生する。シリンダライナ12の外側に密着するシリンダライナ保持外筒部11は、アルミニウム合金製であり、鉄鋳物であるシリンダライナ12に比べ剛性がないため影響は軽微である。したがって、反力Nは主にシリンダライナ12自身の剛性によって決定される。
このため、シリンダライナ12の外周部にライナ肉厚部分12aが設けられた部分のほうが、その他の部分よりも剛性は高くなり、反力Nも大きくなる。つまり、押圧力Fは一様であるのに対し、反力Nはシリンダライナ12の厚みによって異なる。
シリンダライナ12は剛体ではないので、押圧力Fと反力Nのバランスにより、シリンダライナ12は、押圧力Fによって軽微に外側に変形しながら加工される。この際に押圧力Fと反力Nの差が変形量に反映されるので、ライナ肉厚部分12aのように、より剛性の高い部分は変形しにくいことになる。
このようにシリンダボア内周面14はホーニング加工され、砥石33aが繰り返しシリンダボア内周面14を往復することで、必要な加工がなされる。
そして、シリンダライナ12の外周部に設けられたライナ肉厚部分12aの部分は、他の部分よりも多く削り取られるので、繰り返し研削されることで、図5(b)に示す数μm〜数十μm程度の窪む部分14bが形成される。
したがって、シリンダブロック10に鋳込まれたシリンダライナ12の内面であるシリンダボア内周面14をホーニング加工することで、部分的にシリンダボア内周面14に深く加工した窪む部分14bを形成することが可能となる。
次に、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付ける際に発生する歪みについて説明を行う。
図6に、シリンダブロック10とシリンダヘッド19を、ガスケット18を挟んでヘッドボルト16によって締結した様子を模式化した断面図を示す。
この断面図は、シリンダボア内周面14の中心と、ヘッドボルト締結穴13aの中心を通過する断面を示している。
シリンダブロック10に、ガスケット18を挟んでシリンダヘッド19を組み付けることで、上向きの力F、下向きの力F、及び外側に引っ張られる力Fの力が作用する。
シリンダブロック10とシリンダヘッド19は、ガスケット18を挟んで、ヘッドボルト16によって組み付けられる。ヘッドボルト16は、シリンダブロック10のシリンダ外壁部13に備えられるヘッドボルト締結穴13aに高いトルクで締結され、シリンダ外壁部13に対して上向きの力Fを与える。
その結果、シリンダヘッド19がシリンダブロック10に押し当てられて、特にガスケット18によって高いシールが必要であるシリンダライナ保持外筒部11の上面部に下向きの力Fが働くことになる。
これらの力、上向きの力F及び下向きの力Fによって、シリンダ外壁部13とシリンダライナ保持外筒部11の接続部17に、外側に引っ張られる力Fの力が働く。
この外側に引っ張られる力Fによって、歪みピーク高さh1部分で最も大きく歪み、内側への歪みStが発生する。この結果、シリンダライナ12は接続部17付近で内側に歪むことになる。
ウォータジャケット15は、シリンダ外壁部13の内壁面と、シリンダライナ保持外筒部11の外壁面によって形成され、接続部17によって底部15aが構成される。
ウォータジャケット15の深さは、冷却の要請からピストン26の摺動範囲をカバーすることが望ましいが、鋳造する際に入子の強度的な問題もあって、多くのエンジンでは、ピストン26の摺動範囲内にウォータジャケット15の底部15aが設けられる。
この結果、ピストン26の摺動範囲に内側への歪みStが発生することになり、ピストン26の摺動抵抗となる。
次に、摺動抵抗の低減と燃費の向上の関係について説明する。
図7に、稼働状態のエンジンの模式図を示す。
ピストン26周りの摺動抵抗は、ピストン26の外側に設けられるピストンリング29の張力による部分が大部分を占めている。
ピストンリング29の働きは、エンジン稼働中に燃焼室25に発生する高温高圧の燃焼ガスを、クランクシャフト28側に漏らさないことと、クランクシャフト28側から供給される潤滑油を、必要以上に燃焼室に入れないようにしながら、シリンダボア内周面14表面に適正な膜厚を保持して供給する役割を持っている。
したがって、ピストン26に設けられた溝に嵌め込まれるピストンリング29は、エンジンに組み付けた際には、シリンダライナ12の内面にピストンリング29自身の張力で突っ張るような形で保持され、燃焼ガスを遮断し潤滑油の油膜管理を行うのである。
ピストンリング29にこのような機能を持たせているため、シリンダボア内周面14の真円度と、ピストン26の外径の真円度が悪い場合には、燃焼ガスのシールと潤滑油の油膜管理を適正に行うために、ピストンリング29の張力を強くする必要がある。
シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付けた際には、図6に示したような歪みが発生し、その歪みは数十μm程度になる。したがって、この歪みのことを考慮してシリンダボア内周面14が加工されていない場合は、この歪み分を吸収して、燃焼ガスのシールをすると共に、シリンダボア内周面14の表面に適正な油膜を保持するために、相当のピストンリング29の張力が必要となるわけである。
この結果、ピストン26とシリンダボア内周面14の摺動抵抗は高くなる。
逆に、シリンダライナ12の内径の真円度が高く、ピストン26の外径の真円度が高く保たれれば、ピストンリング29の張力は低く設定しても、燃焼ガスのシールと潤滑油の油膜管理は可能となるため、摺動抵抗は低くすることができる。
実際に、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付けた際の、シリンダライナ12の内面であるシリンダボア内周面14の歪みが、数μm程度に抑えられれば、高い燃費向上効果が得られ、エンジンの出力向上が見込まれる。
このような理由により、シリンダライナ12に歪みが伝わらず、変形を生じないことが、エンジンの出力を犠牲にしない燃費向上に繋がるのである。
したがって、シリンダライナ12に設けられるライナ肉厚部分12aは、歪みピーク高さh1付近で、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置に設けられることで、ホーニング加工時に、シリンダボア内周面14に窪む部分が形成される。
この状態のシリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付けることで、窪む部分が形成された位置に内側への歪みStが発生し、結果的に内側への歪みStを相殺することとなる。
すなわち、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付けることでシリンダボア内周面14の真円度を高めることになる。
この考え方は、ダミーヘッドを組み付けて加工する場合と同様であり、ホーニング加工時にダミーヘッドを必要としない分、工程数が少なくて済み、シリンダブロック10の生産コストを低減させることに貢献する。
また、ダミーヘッドを組み付けてホーニング加工した場合と同等の効果が得られるので、シリンダボア内周面14の摺動抵抗を減らすこととなり、エンジン出力を犠牲とすることなく、燃費を向上させることが出来る。
したがって、第1実施例に示した発明により、以下のような効果が得られる。
(1)エンジンのシリンダブロック10に備えられるシリンダライナ12において、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分12aが設けられ、前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置で、ウォータジャケット15の底部15a近傍であることを特徴とする。
(2)(1)に記載されるシリンダライナ12が鋳込まれたことを特徴とするシリンダブロック10。
(3)シリンダライナ12をシリンダブロック10に鋳込む鋳造工程と、シリンダブロック10のシリンダボア内周面14をホーニング加工する仕上げ加工工程とを含むシリンダブロック10の製造方法において、鋳造工程で、外周部の所定の位置に他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分12aが設けられたシリンダライナ12を、シリンダブロック10に鋳込み、仕上げ加工工程で、シリンダブロック10の有するシリンダライナ12の内面であるシリンダボア内周面14を、ホーニング加工することで、シリンダボア内周面14に、ライナ肉厚部分12aに対応して他の部分よりも深く削られ窪む部分14bが形成されることを特徴とする。
(4)(3)に記載されたシリンダブロック10の製造方法で製造されたシリンダブロック10に、シリンダヘッド19を組み付けたエンジン構造において、シリンダブロック10に、シリンダヘッド19を組み付けた際に発生する歪みが、歪みが発生する位置に対応する前記窪む部分14bによって、相殺されることを特徴とする。
このような(1)乃至(4)に記載される特徴を有するシリンダライナ12、シリンダブロック10、シリンダブロック10の製造方法、及びエンジン構造によって、エンジンの出力を犠牲にせずに、燃費を向上させることが可能である。
また、引用文献1乃至引用文献4に記載されるような、ダミーヘッドを用いる方法や、押圧機を用いてホーニング加工する方法と比べて、特殊な設備や治具などを必要としないために加工工程を削減することができ、生産コストを安価に抑えることが可能となる。
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例についての構成を、図面を用いて説明する。
図8は、第2実施例のシリンダライナ12の立体斜視図である。
第2実施例のシリンダライナ12は、一般的なものと同様、肉厚が数mm程度の円筒形状態であり、ねずみ鋳鉄等の比較的硬く、摺動性の高い金属で鋳造されている。
また、シリンダライナ12の周囲には、図示されない細かい凹凸が設けられている場合もある。この凹凸は、シリンダライナ12をシリンダブロック10に鋳包む際に、密着性を高め、熱伝達効果を得る目的で設けられている。
第2実施例の特徴的部分として、第1実施例同様に、このシリンダライナ12には、外周部の所定の位置に、ライナ肉厚部分12aが設けられている。
ここで言う外周部の所定の位置とは、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置であり、かつウォータジャケット15の底部15aと同じ高さの部分を指している。
また、ライナ肉厚部分12aの厚みは、後述するホーニング加工する際にホーニング加工によって削り取られる量が数十μm程度は変化するだけ必要であるため、例えば他の円筒部分の厚みに比べて2倍から3倍程度の厚みであり、第1実施例の場合よりも若干厚めとなっている。
さらに、シリンダライナ12には、第1実施例とは異なり、外周部の所定の位置に、ライナ肉薄部分12bも設けられている。
ここで言う外周部の所定の位置とは、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置であり、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付ける面から、ウォータジャケット15の底部15a近傍までの部分を指している。
また、この部分の厚みは、ホーニング加工する際に、後述するように、ホーニング加工によって削り取られる量が数十μm程度削られずに残るだけ窪んでいる必要があるため、例えば他の円筒部分の厚みに比べて半分程度の厚みとなっている。
なお、第2実施例のシリンダライナ12は、設計のコンセプトによってはライナ肉厚部分12aを設けずに、ライナ肉薄部分12bだけ設けてあってもよい。
シリンダブロック10の鋳造工程では、このようなシリンダライナ12の周りに、シリンダブロック10形成用の空間を作り、溶湯を流し込むことで、シリンダブロック10を鋳込む。そして、シリンダライナ12を備えたシリンダブロック10が形成される。
第2実施例のシリンダライナ12も、図2に示すようにシリンダブロック10に鋳込まれ、ホーニング加工が行われる。
この際に、注意すべき点としてはシリンダライナ12の位置がシリンダブロック10に対して決まっている点である。
すなわち、ライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bは、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置に位置決めされて、鋳造される必要がある。例えば、シリンダライナ12のクランクケース側の開口部は、ピストン26が摺動する部分ではないため、この部分に位置決め用の穴や切り欠きを設けて、位置決めする等の配慮が必要である。
後述する理由により、気筒によってシリンダライナ12に設けるライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bが異なる場合もあるので、この点も考慮が必要だろう。
次に、本発明に係る第2実施例の作用効果を説明する。
まず、エンジン稼働時に発生する歪みについて説明する。
図9乃至図12は、ヘッド組み付け時の歪みと、エンジン稼働時の歪みを測定した結果をしめしたものである。
組付歪み40は、ヘッド組み付け時に発生する歪みを示しており、実働歪み41はエンジン稼働時の歪みを示している。
一点鎖線の円は基準線であり、破線は目盛りである。歪みの程度は、基準線からどれだけ振れるかで表され、数値は歪みの4次成分を用いている。また、周囲には、位置を示すためにヘッドボルト締結穴13aの位置を示している。
図9には、エンジンの1気筒目の上部断面の歪みを示した図である。図9に示す1気筒目の上部では、組付歪み40、実働歪み41共に、大きく歪んではいない。
ただし、組付歪み40と実働歪み41の歪みの発生位置は、位相がずれていることが分かる。つまり、ヘッド組み付け時とエンジン稼働時では、歪みの発生位置が異なることを示している。
図10には、エンジンの1気筒目の下部となる、ウォータジャケット15の底部15a付近の断面の歪みを示した図である。
この位置は、図16に示した歪みピーク高さh1と同じ位置の断面を示している。
組付歪み40は、図16と同様に内側に大きく歪んでいる。内側に大きく歪んでいる部分はヘッドボルト締結穴13aに対応する位置でもあり、ヘッドボルト16を締結することで、このような歪みが発生すると考えられる。
そして、ヘッドボルト締結穴13aにヘッドボルト16を締結した影響で、内側に大きく歪むことで、別の位相、すなわちヘッドボルト締結穴13aの間の部分は、外側に歪む様子が分かる。
一方、実働歪み41についても、組付歪み40と同じ傾向が現れ、そして更に歪みの影響は大きく出ていることが分かる。
図11には、エンジンの3気筒目の上部断面の歪みを示した図である。
組付歪み40については、図9とほぼ同じ形状に歪みが発生していることが分かる。一方、実働歪み41は、図9と同じ傾向であって、更に顕著に歪みが発生している。
すなわち隣り合うヘッドボルト締結穴13aの間が、内側に歪み、ヘッドボルト締結穴13aに対応する部分は、外側に歪んでいるのである。
図12には、エンジンの3気筒目の下部となる、ウォータジャケット15の底部15a付近の断面の歪みを示した図である。
この位置は、図16に示した歪みピーク高さh1と同じ位置の断面を示している。
そして、組付歪み40及び実働歪み41共に、図10とほぼ同じ傾向を示している。ただし、図10よりも図12の組付歪み40及び実働歪み41は歪みが大きく出ている。
これら図9乃至図12に示されるように、組付歪み40は同様の傾向を示す。すなわち、ヘッドボルト締結穴13aに対応する部分は、シリンダボア内周面14の内側に歪む。そして、ウォータジャケット15の底部15a近傍で、歪みの大きさは最大となる。
一方で、実働歪み41はシリンダ上部では隣り合うヘッドボルト締結穴13aの間が内側に歪み、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置は、外側に歪むので、組付歪み40とは逆の傾向を示す。
そして、ウォータジャケット15の底部15a近傍では、組付歪み40と同じ傾向で、組付歪み40よりも大きく歪む。
また、図9及び図10に示される1気筒目よりも、図11及び図12に示される3気筒目の歪みが大きくなっている点も特徴的である。
すなわち、これら図9乃至図12が示すように、組付歪み40と実働歪み41の傾向は異なり、歪みが発生する位置も変わる。
シリンダボア内周面14に発生する歪みは、前述したようにまた、ピストン26に備えられたピストンリング29の燃焼ガスの遮断性能と、潤滑油の油膜管理性能を落とす原因となる。
したがって、ピストンリング29の張力を高くすることで、燃焼ガスを遮断性能と潤滑油の油膜管理性能を維持するが、この結果、シリンダボア内周面14を摺動するピストン26の摺動抵抗となり、燃費を悪化させる結果となる。
このような理由により、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付ける時に発生する組付歪み40だけでなく、エンジン稼働時に発生する歪みである実働歪み41を小さくすることで、より燃費の向上を図ることが可能となる。
このような歪みの発生を抑制するために、シリンダライナ12にライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bを設ける。
シリンダライナ12にライナ肉厚部分12aを設けることで、シリンダボア内周面14に窪む部分14bを形成できる点については、図5(a)(b)を用いて第1実施例で説明したので、ここではシリンダライナ12にライナ肉薄部分12bを設ける場合の作用効果について説明する。
図13(a)、及び図13(b)は、シリンダライナ12に備えたライナ肉薄部分12b付近のシリンダボア内周面14をホーニング加工している様子を模式的に示した断面図である。
図13(a)は、砥石33aにてホーニング加工中の力の関係を表した断面図、図5(b)は加工後の断面図を示している。
ホーニングヘッド33に備えられた砥石33aは、シリンダライナ12の表面である、シリンダボア内周面14を押圧しながら加工を行う。
図13(a)に示すように、砥石33aからの押圧力Fに対して、シリンダライナ12自身の剛性によって、反力Nが発生する。シリンダライナ12の外側に密着するシリンダライナ保持外筒部11は、アルミニウム合金製であり、鉄鋳物であるシリンダライナ12に比べ剛性がないため影響は軽微であるので、反力Nは主にシリンダライナ12自身の剛性によって決定される。
したがって、シリンダライナ12の外周部にライナ肉薄部分12bが設けられた部分のほうが、その他の部分よりも剛性は低くなり、反力Nも小さくなる。
シリンダライナ12は剛体ではないので、このように発生している押圧力Fと反力Nのバランスにより、シリンダライナ12は、押圧力Fによって軽微に外側に変形しながら加工される。この際に押圧力Fと反力Nの差が変形量に反映されるので、ライナ肉薄部分12bのように、より剛性の低い部分は変形しやすいことになる。
このようにシリンダボア内周面14はホーニング加工され、砥石33aが繰り返しシリンダボア内周面14を往復することで、必要な加工がなされる。
そして、シリンダライナ12の外周部に設けられたライナ肉薄部分12bの部分は、他の部分よりも浅く削り取られるので、繰り返し研削されることで、図13(b)に示す数μm〜数十μm程度の盛り上がる部分14cが形成される。
したがって、シリンダブロック10に鋳込まれたシリンダライナ12の内面であるシリンダボア内周面14をホーニング加工することで、部分的にシリンダボア内周面14に浅く加工された盛り上がる部分14cを形成することが可能となる。
なお、図9乃至図12に示すように、実働歪み41は組付歪み40の歪みを増幅した形で現れている部分もあるため、シリンダライナ12に設けるライナ肉厚部分12aも、第1実施例の場合に比べて大きくすることで、よりシリンダボア内周面14のエンジン稼働時の真円度を高めることが可能となる。
また、シリンダライナ12にライナ肉薄部分12bを設けている部分については、図9及び図11の実働歪み41が示す、ヘッドボルト締結穴13aに対応する部分が、シリンダボア内周面14の径方向外側に向けて歪んでいる場所に対応している。
このようにライナ肉薄部分12bを設けることで、このシリンダボア内周面14の径方向外側に向けて歪んでいる場所に盛り上がる部分14cが形成され、エンジン稼働時には発生する歪みと相殺して真円度が高くなる。
このような組付歪み40や実働歪み41の状態は、図9及び図10と、図11及び図12と比較して分かる通り、気筒によっても異なるし、エンジンの設計が異なれば当然変わってくる。
したがって、シリンダライナ12にライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bを設ける所定の位置は、慎重に検討し、エンジンの設計に合った位置に設けられるべきである。
なお、シリンダライナ12の造り易さという点を考慮しなければ、図9乃至図12に発生する歪みの曲線に沿って、シリンダライナ12の外周部を形成すれば、より真円度を高くできる可能性がある。
すなわち、シリンダライナ12の形状が基本的に円筒形状であり、部分的にライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bを部分的に設けるのではなく、3次元曲線的に凹部及び凸部を図9乃至図12に示される歪みにしたがって形成することで、ホーニング加工時には、その形状にそってシリンダボア内周面14が加工され、エンジン稼働時には真円度をより高める結果となる。
ただし、シリンダライナ12の製造上の問題や、シリンダライナ12自身の機能である、耐摺動性や、円筒形状や材質の特性から得られる変形非容易性を損なう結果となっては、シリンダライナ12の本来の目的を損なうことも考えられるため、これらを総合的に判断して設計すべきである。
したがって、第2実施例に示すように、シリンダライナ12の外周部に、部分的にライナ肉厚部分12a又はライナ肉薄部分12bを設け、組付歪み40や実働歪み41を相殺することは、製造上の観点から見ても優れていると言える。
なお、設計によっては、シリンダライナ12にライナ肉薄部分12bだけ設け、歪みに対応してもよい。組付歪み40を別の方法で解消する場合は、このような方法を取ることも考えられる。
このように、シリンダブロック10にシリンダヘッド19を組み付けた時に発生する歪みである組付歪み40だけでなく、エンジン稼働時に発生する歪みである実働歪み41まで考慮したシリンダライナ12を用いることで、エンジン稼働時においてシリンダボア内周面14の真円度が高くなり、更に燃費の向上を図ることが可能になる。
また、このようなシリンダライナ12にライナ肉厚部分12a又はライナ肉薄部分12bを設けるような加工は比較的容易であるために、さほどシリンダライナ12のコストアップとはならず、特許文献1乃至特許文献4に示されたような、ダミーヘッドや押圧装置を用いる必要がないため、生産コストを抑えて、燃費の向上に寄与することが可能である。
したがって、第2実施例に示した発明により、以下のような効果が得られる。
(1)エンジンのシリンダブロック10に備えられるシリンダライナ12において、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分12aが設けられ、前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置で、ウォータジャケット15の底部15a近傍であることを特徴とする。
(2)エンジンのシリンダブロック10に備えられるシリンダライナ12において、外周部の所定の位置に、他の部分より肉が薄く形成されるライナ肉薄部分12bが設けられ、外周部の所定の位置が、シリンダブロック10を組み込んだエンジンを稼働させた状態で、拡径方向への歪みが発生している位置であることを特徴とする。
(3)(2)に記載されるシリンダライナ12において、外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴13aに対応する位置で、シリンダヘッド19組み付け面から、ウォータジャケット15の底部15a近傍までであることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載されるシリンダライナ12において、シリンダブロック10を組み込んだエンジンを稼働させた状態で、縮径方向に発生している歪みに対応し、ライナ肉厚部分12aの肉厚を増加させることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載されるシリンダライナ12が鋳込まれたことを特徴とする。
(6)シリンダライナ12をシリンダブロック10に鋳込む鋳造工程と、シリンダブロック10のシリンダボア内周面14をホーニング加工する仕上げ加工工程とを含むシリンダブロック10の製造方法において、鋳造工程で、外周部の所定の位置に他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分12a、又は肉が薄く形成されるライナ肉薄部分12bのうち少なくとも1つが設けられたシリンダライナ12を、シリンダブロック10に鋳込み、仕上げ加工工程で、シリンダブロック10の有するシリンダライナ12の内面であるシリンダボア内周面14を、ホーニング加工することで、シリンダボア内周面14に、ライナ肉厚部分12aに対応して他の部分よりも深く削られ窪む部分14b、又はライナ肉薄部分12bに対応して他の部分よりも浅く削られ盛り上がる部分14cのうち少なくとも1つが形成されることを特徴とする。
(7)(6)に記載されたシリンダブロック10の製造方法で製造されたシリンダブロック10に、シリンダヘッド19を組み付けたエンジン構造において、シリンダブロック10に、シリンダヘッド19を組み付けた際に発生する歪みである組付歪み40が、歪みが発生する位置に対応する窪む部分14bによって、相殺され、エンジンを稼働させた際に発生する歪みである実働歪み41が、歪みが発生する位置に対応する窪む部分14b、又は盛り上がる部分14cのうち少なくとも1つによって、相殺されることを特徴とする。
このような(1)乃至(7)に記載される特徴を有するシリンダライナ12、シリンダブロック10、シリンダブロック10の製造方法、及びエンジン構造によって、エンジンの出力を犠牲にせずに、第1実施例に示した発明よりも更に、燃費を向上させることが可能である。
また、引用文献1乃至引用文献4に記載されるような、ダミーヘッドを用いる方法や、押圧機を用いてホーニング加工する方法と比べて、特殊な設備や治具などを必要としないために加工工程を削減することができ、生産コストを安価に抑えることが可能となる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前述した通りシリンダライナ12に設けられるライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bの位置は、第1実施例及び第2実施例に示したシリンダライナ12に示される位置に限定されず、エンジンごと、気筒ごとに設計されるべきである。例えば、図9、図11において、実働歪み41が縮径方向に現れている位置には、ライナ肉厚部分12aを設け、図10、図12において、実働歪み41が拡径方向に現れている位置にライナ肉薄部分12bを設ける態様であれば、第1実施例及び第2実施例に示されないシリンダライナ12の形状であることを妨げない。
また、第2実施例では、ライナ肉厚部分12a及びライナ肉薄部分12bをシリンダライナ12の外周部に設けているが、必ずしも両方設ける必要はなく、例えばライナ肉厚部分12aに対応する部分によって、シリンダボア内周面14に発生する縮径方向の歪みを相殺する機能を別の方法で解決する場合等によって、シリンダライナ12にライナ肉薄部分12bだけ設けることを妨げない。
第1実施例の、シリンダライナの立体斜視図を示している。 第1実施例の、シリンダブロックにクランクキャップが組み付けられた状態の断面図を示している。 第1実施例の、図2に示すシリンダブロックのAA断面図を示している。 第1実施例の、ホーニング加工時の模式断面図を示している。 (a)第1実施例の、ホーニング加工時の、ライナ肉厚部付近の砥石とシリンダボア内周面に発生する力の関係を模式図として示している。(b)第1実施例の、ホーニング加工後のライナ肉厚部分付近の断面図を示している。 第1実施例の、シリンダブロックとシリンダヘッドを、ガスケットを挟んでヘッドボルトによって締結した様子を模式化した断面図を示す。 第1実施例の、稼働状態のエンジンの模式図を示す。 第2実施例の、シリンダライナの立体斜視図を示している。 出願人が計測した、エンジンの1気筒目の上部断面の歪みを示している。 出願人が計測した、エンジンの1気筒目の下部となる、ウォータジャケットの底部付近の断面の歪みを示している。 出願人が計測した、エンジンの3気筒目の上部断面の歪みを示している。 出願人が計測した、エンジンの3気筒目の下部となる、ウォータジャケットの底部付近の断面の歪みを示している。 (a)第2実施例の、ホーニング加工時の、ライナ肉薄部分付近の砥石とシリンダボア内周面に発生する力の関係を模式図として示している。(b)第2実施例の、ホーニング加工後のライナ肉薄部分付近の断面図を示している。 特許文献1の、荷重付加機構を有した荷重負荷シリンダがシリンダブロックを押圧する様子を示した断面説明図を示している。 特許文献4の、分割式シリンダのライナ部外壁を押圧してホーニング加工する様子を示した断面説明図を示している。 出願人が調査した、シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付けた際に発生する、シリンダボア内周面の歪みの分布を示した立体斜視図を示している。
符号の説明
10 シリンダブロック
11 シリンダライナ保持外筒部
12 シリンダライナ
12a ライナ肉厚部分
12b ライナ肉薄部分
13 シリンダ外壁部
13a ヘッドボルト締結穴
14 シリンダボア内周面
14a 内側変形位置
14b 窪む部分
14c 部分
15 ウォータジャケット
15a 底部

Claims (7)

  1. エンジンのシリンダブロックに備えられるシリンダライナにおいて、
    外周部の所定の位置に、他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分が設けられ、
    前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴に対応する位置で、ウォータジャケット下端部近傍であることを特徴とするシリンダライナ。
  2. エンジンのシリンダブロックに備えられるシリンダライナにおいて、
    外周部の所定の位置に、他の部分より肉が薄く形成されるライナ肉薄部分が設けられ、
    前記外周部の所定の位置が、前記シリンダブロックを組み込んだ前記エンジンを稼働させた状態で、拡径方向への歪みが発生している位置であることを特徴とするシリンダライナ。
  3. 請求項2に記載されるシリンダライナにおいて、
    前記外周部の所定の位置が、ヘッドボルト締結穴に対応する位置で、シリンダヘッド組み付け面から、ウォータジャケット下端部近傍までであることを特徴とするシリンダライナ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されるシリンダライナにおいて、
    前記シリンダブロックを組み込んだ前記エンジンを稼働させた状態で、縮径方向に発生している歪みに対応し、前記ライナ肉厚部分の肉厚を増加させることを特徴とするシリンダライナ。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されるシリンダライナが鋳込まれたことを特徴とするシリンダブロック。
  6. シリンダライナをシリンダブロックに鋳込む鋳造工程と、前記シリンダブロックのシリンダボア内周面をホーニング加工する仕上げ加工工程とを含むシリンダブロックの製造方法において、
    前記鋳造工程で、外周部の所定の位置に他の部分より肉が厚く形成されるライナ肉厚部分、又は肉が薄く形成されるライナ肉薄部分のうち少なくとも1つが設けられた前記シリンダライナを、前記シリンダブロックに鋳込み、
    前記仕上げ加工工程で、前記シリンダブロックの有する前記シリンダライナの内面である前記シリンダボア内周面を、ホーニング加工することで、前記シリンダボア内周面に、前記ライナ肉厚部分に対応して他の部分よりも深く削られ窪む部分、又は前記ライナ肉薄部分に対応して他の部分よりも浅く削られ盛り上がる部分のうち少なくとも1つが形成されることを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  7. 請求項6に記載されたシリンダブロックの製造方法で製造されたシリンダブロックに、シリンダヘッドを組み付けたエンジン構造において、
    前記シリンダブロックに、前記シリンダヘッドを組み付けた際に発生する組付歪みが、前記組付歪みの発生する位置に対応する前記窪む部分によって、相殺され、
    エンジンを稼働させた際に発生する実働歪みが、前記実働歪みの発生する位置に対応する前記窪む部分、又は前記盛り上がる部分のうち少なくとも1つによって、相殺されることを特徴とするエンジン構造。
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