JP2007224086A - フッ素樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Tomihiko Yanagiguchi
富彦 柳口
Toshiki Ichizaka
俊樹 一坂
Haruhisa Masuda
晴久 増田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れた耐熱性・耐薬品性・耐油性を兼ね備え、燃料バリア性が高く、かつ溶融成形可能なフッ素樹脂組成物および該フッ素樹脂組成物の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、該フッ素樹脂組成物を用いた成形品を提供することである。
【解決手段】フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させて、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むフッ素樹脂組成物の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素樹脂組成物の製造方法に関し、また、フッ素樹脂、フィラーおよびフッ素ゴムを含むフッ素樹脂組成物および該組成物を用いた成形品に関する。
昨今の環境意識の高まりから、燃料揮発を防止するための法整備が進み、特に自動車業界では米国を中心に燃料揮発抑制の傾向が著しく、燃料バリア性に優れた材料へのニーズが大きくなりつつある。燃料バリア性に優れた材料として、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が使用されており、たとえば、燃料バリア性が優れる材料として、フッ素ゴムとフッ素樹脂とのポリマーアロイが知られている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、軽量化、コスト削減、取扱い性向上等のため、バリア層の薄膜化が求められており、薄膜化のためにはさらなるバリア性の向上が求められる。その解決手段としてバリア性向上に寄与するフィラー、特にリン片状フィラーや板状フィラーを充填されることが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、溶融樹脂にフィラーを充填する場合、フィラーの分散のコントロールが困難であり、その結果フィラーが分散不良となり、充分な燃料バリア性を発揮できなかったり、ベースとなっている樹脂の機械物性が大きく損なわれるという欠点がある。
したがって、充分な燃料バリア性と機械物性の両方が備わったフィラー添加されたフッ素樹脂組成物はいまだ存在しないのが現状である。
特開昭61−57641号公報 国際公開第01/90274号パンフレット
本発明の目的は、溶融樹脂にフィラーを分散充填させ、フィラーによる物性向上効果を最大限に引き出した溶融成形可能なフッ素樹脂組成物および該フッ素樹脂組成物の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、該フッ素樹脂組成物を用いた成形品を提供することである。
すなわち、本発明は、フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させて、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むフッ素樹脂組成物の製造方法に関する。
ゴム(c)を、フィラー(B)の添加と同時に、またはフィラー(B)の添加後に添加することが好ましい。
架橋ゴム(C)が、架橋フッ素ゴム(C1)であることが好ましい。
フィラー(B)が、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーおよび粒状フィラーからなる群から選択される1種以上のフィラー(B1)であることが好ましい。
フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%、かつ、フッ素樹脂(A)100重量部に対してゴム(c)を1〜30重量部添加することが好ましい。
フィラー(B)がマイカであることが好ましい。
また、本発明は、前記製造方法により得られたフッ素樹脂組成物に関する。
本発明は、フッ素樹脂(A)、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーおよび粒状フィラーからなる群から選択される1種以上のフィラー(B1)およびフッ素ゴム(C1)を含むフッ素樹脂組成物であって、フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%含有し、かつ、フッ素樹脂100重量部に対してフッ素ゴム(C1)を1〜30重量部含有するフッ素樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、前記フッ素樹脂組成物を用いた成形品に関する。
燃料透過係数が10g・mm/m2・day以下であることが好ましい。
本発明のフッ素樹脂組成物の製造方法は、フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させて、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むことにより、フィラー(B)が微分散し、優れた耐熱性・耐薬品性・耐油性を兼ね備え、フィラーによる物性(機械物性、燃料バリア性等)向上効果を最大限に引き出した溶融成形可能なフッ素樹脂組成物を提供することができるものである。
本発明は、フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させて、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むフッ素樹脂組成物の製造方法に関する。
フッ素樹脂(A)としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性重合体(a)を含むフッ素樹脂であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体(a)は少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有することが好ましい。上記含フッ素エチレン性単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン、一般式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3または−ORf 2であり、Rf 2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニリデンフルオライド、フッ化ビニル、一般式(2):
CH2=CX1(CF2n2 (2)
(式中、X1は、水素原子またはフッ素原子であり、X2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、nは、1〜10の整数である)などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
そして、含フッ素エチレン性重合体(a)は上記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、上記フルオロオレフィン、パーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
これらの中でも、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れ、かつ成形加工性が容易になる点から、含フッ素エチレン性重合体(a)は、
(a−1)テトラフルオロエチレンとエチレンからなるエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)
(a−2)テトラフルオロエチレンと一般式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3または−ORf 2であり、Rf 2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
(a−3)テトラフルオロエチレン、エチレンおよび一般式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3または−ORf 2であり、Rf 2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(Et−TFE−HFP共重合体)、エチレン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(a−4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
のいずれかであることが好ましく、(a−1)、(a−2)で表される含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
次に(a−1)、(a−2)の好ましい含フッ素エチレン性重合体について説明する。
(a−1)ETFE
ETFEの場合、上述の作用効果に加えて、力学物性や燃料バリア性が発現する点で好ましい。テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、62:38〜90:10がより好ましく、63:37〜80:20が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはテトラフルオロエチレンおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、下記式
CH2=CX3f 3、CF2=CFRf 3、CF2=CFORf 3、CH2=C(Rf 32
(式中、X3は水素原子またはフッ素原子、Rf 3はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す)
で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX3f 3で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 3の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
前記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)があげられる。
第3成分の含有量は、含フッ素エチレン性重合体(a)に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
(a−2)PFAまたはFEP
PFAまたはFEPの場合、上述の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また上述の作用効果に加えて優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。テトラフルオロエチレン単位90〜99モル%と一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜10モル%からなる含フッ素エチレン性重合体(a)であることがより好ましい。また、テトラフルオロエチレンおよび一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体(a)は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはテトラフルオロエチレンおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
また、含フッ素エチレン性重合体(a)の融点は、150〜310℃であることが好ましく、150〜290℃であることがより好ましく、170〜250℃であることがさらに好ましい。含フッ素エチレン性重合体(a)の融点が、150℃未満であると、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向があり、310℃を超えると、フッ素樹脂(A)およびフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、ゴム(c)を動的に架橋する場合、含フッ素エチレン性重合体(a)の融点以上に溶融温度を設定する必要があるが、その際にフッ素ゴム(c)が熱劣化する傾向がある。
フィラー(B)としては、特に限定されるものではなく、一般的に充填材として知られているものを広く用いることができる。たとえば、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、黒鉛粉末、芳香族ポリオキシベンゾイルエステル系耐熱性樹脂粉末、カーボン繊維、ガラス繊維、ブロンズ粉末、二硫化モリブデン粉末、窒化ホウ素粉末、二硫化タングステン粉末、窒化ホウ素粉末、ポリイミド粉末などをあげることができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、燃料バリア性向上の点からは、マイカ、タルク、クレーなどが好ましく、マイカがより好ましい。機械強度向上の点からは、カーボン繊維、ガラス繊維、黒鉛などが好ましく、カーボン繊維がより好ましい。摺動性向上の点からは、黒鉛、ブロンズ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素などが好ましく、ブロンズ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素がより好ましい。
マイカ(雲母)としては、マスコバイト(白雲母)、フロゴバイト(金雲母)、バイオタイト(黒雲母)、セリライト(絹雲母)、合成雲母などをあげることができる。
マイカは、湿式粉砕、乾式粉砕などの粉砕方法によって得ることができる。湿式粉砕はきれいな表面ができ、乾式粉砕は製造工程が簡単でコストが安いというそれぞれの特徴がある。
黒鉛としては、たとえば天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛、フッ化黒鉛、球状カーボン、フッ化カーボン、黒鉛ウィスカーなどがあげられる。
カーボン繊維としては、たとえば平均繊維径5〜50μmで平均繊維長30〜1000μm、特に平均繊維径10〜20μmで平均繊維長50〜200μmのものが好ましい。
ブロンズ粉末としては、たとえば銅−スズの合金、またはこれにアルミニウム、亜鉛、鉛、クロム、ニッケル、鉄、モリブデン、マンガン、リンなどの金属元素を1種または2種以上含むものがあげられる。
二硫化モリブデン粉末としては、たとえばモリパウダーPA(住鉱潤滑(株)製)やCパウダー(ニチモリ・センチュリー(株)製)などがあげられる。
二硫化タングステン粉末としては、たとえばWS2A(日本潤滑(株)製)などがあげられる。
フィラー(B)の形状としては、特に限定されるものではないが、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラー、粒状フィラーであることが好ましく、燃料バリア性向上の点からはリン片状および板状フィラーが好ましく、機械強度向上の点からは、繊維状フィラーが好ましく、摺動性向上の点からは粒状フィラーおよびリン片状、板状フィラーが好ましい。
フィラー(B)が粒状である場合、平均粒子径は0.5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1〜30μmである。また、平均粒子径が0.5μm未満であると溶融樹脂の流動性が低下し、成形加工性が悪くなる傾向があり、50μmをこえると微分散しにくくなり、機械強度が低下する傾向がある。
フィラー(B)がリン片状および板状である場合、アスペクト比(扁平率)は、5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。アスペクト比が5未満であると充分な燃料バリア性が得られない傾向がある。ここでアスペクト比とは、フィラー(B)における厚さに対する長径の比をいう。また、平均粒径は、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。30μmをこえると、微分散しにくくなり、機械強度が低下する傾向がある。
フィラー(B)が繊維状である場合、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径の比)が10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
本発明でゴム(C)としては、少なくとも1種のゴム(c)の少なくとも一部を架橋したものであればとくに制限されるものではないが、耐熱性・耐薬品性・耐油性に優れる点から、少なくとも1種のフッ素ゴム(c1)の少なくとも一部を架橋した架橋フッ素ゴム(C1)であることが好ましい。
フッ素ゴム(c1)としては、たとえば、パーフルオロフッ素ゴム、非パーフルオロフッ素ゴムなどがあげられる。
パーフルオロフッ素ゴムとしては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとする)/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとする)系共重合体、TFE/ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとする)/PAVE系共重合体などがあげられる。
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、たとえば、ビニリデンフルオロライド(以下、VdFとする)系重合体、TFE/プロピレン系共重合体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。
また、前記パーフルオロフッ素ゴムや非パーフルオロフッ素ゴムとして例示したものは主モノマーの構成であり、架橋用モノマーや変性モノマー等を共重合したものも好適に用いることができる。架橋用モノマーや変性モノマーとしては、ヨウ素原子、臭素原子、二重結合を含むものなどの公知の架橋用モノマー、移動剤、公知のエチレン性不飽和化合物などの変性モノマーなどを使用することができる。
前記VdF系重合体としては、具体的には、VdF/HFP系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体、VdF/TFE/プロピレン系共重合体、VdF/エチレン/HFP系共重合体、VdF/TFE/PAVE系共重合体、VdF/PAVE系共重合体、VdF/クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEとする)系共重合体などをあげることができる。さらに具体的には、VdF25〜85モル%と、VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体75〜15モル%とからなる含フッ素共重合体であることが好ましく、より好ましくは、VdF50〜80モル%と、VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素共重合体である。
ここで、VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、たとえば、TFE、CTFE、トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、PAVE、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素単量体があげられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。
前記フッ素ゴムの中でも、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF単位を含むフッ素ゴムであることが好ましく、VdF単位とHFP単位と有するフッ素ゴムであることがより好ましい。
また、圧縮永久ひずみが良好な点から、VdF/HFP系フッ素ゴム、VdF/TFE/HFP系フッ素ゴム、TFE/プロピレン系フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムであることが好ましく、VdF/TFE/HFP系フッ素ゴムであることがより好ましい。
本発明に使用されるフッ素ゴムは、通常の乳化重合法により製造することができる。重合時の温度、時間などの重合条件としては、モノマーの種類や目的とするエラストマーにより適宜決定すればよい。
本発明のフッ素樹脂組成物の製造方法は、フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させて、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むものである。
ここで、動的に架橋処理するとは、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用して、ゴム(c)を溶融混練と同時に動的に架橋させることをいう。これらの中でも、高剪断力を加えることができる点で、二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。本発明においては、フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、動的に架橋処理することで、フッ素樹脂(A)中にフィラー(B)と架橋ゴム(C)が均一に分散した組成物を得ることができるものである。
動的に架橋処理する際、ゴム(c)とフィラー(B)の添加時期については特に限定されるものではないが、フィラー(B)と架橋ゴム(C)をフッ素樹脂組成物中において均一に分散することができる点から、フィラー(B)の添加と同時に、またはフィラー(B)の添加後にゴム(c)を添加することが好ましく、フィラー(B)の添加後にゴム(c)を添加することがより好ましい。
本発明の製造方法においては、フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%、かつ、フッ素樹脂(A)100重量部に対してゴム(c)を1〜30重量部添加することが好ましく、フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を3〜30体積%、かつ、フッ素樹脂(A)100重量部に対してゴム(c)を2〜20重量部添加することがより好ましい。フィラー(B)が1体積%未満であると充分フィラー添加効果が得られない傾向があり、50体積%をこえるとフィラーの微分散が困難となり、機械強度が著しく低下したり樹脂の流動性が著しく低下する傾向がある。また、ゴム(C)が1重量部未満であるとフィラーの分散をコントロールすることが困難であり、充分なフィラー添加効果が得られない傾向があり、50重量部をこえると架橋ゴム(C)が均一に分散せず一部共連続となり組成物自体が著しく機械強度低下したり、流動性が著しく低下する傾向がある。
動的に架橋処理する際に、架橋剤を用いることが好ましいが、架橋剤の種類は特に限定されるものではなく、架橋するフッ素ゴム(c1)の種類や溶融混練条件に応じて、適宜選択することができる。
本発明で用いられる架橋系は、フッ素ゴム(c1)に架橋性基(キュアサイト)が含まれる場合は、キュアサイトの種類によって、または得られる成形品などの用途により適宜選択すればよい。架橋系としては、ポリオール架橋系、有機過酸化物架橋系およびポリアミン架橋系のいずれも採用できる。
ここで、ポリオール架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さく、成形性も良く、シール特性に優れているという特徴がある点で好適である。
有機過酸化物架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−炭素結合を有しているので、架橋点に炭素−酸素結合を有するポリオール架橋系および炭素−窒素二重結合を有するポリアミン架橋系に比べて、耐薬品性および耐スチーム性に優れているという特徴がある。
ポリアミン架橋により架橋してなる場合は、架橋点に炭素−窒素二重結合を有しているものであり、動的機械特性に優れているという特徴がある。しかし、ポリオール架橋系または有機過酸化物架橋系架橋剤を用いて架橋する場合に比べて、圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
したがって、本発明では、ポリオール架橋系または有機過酸化物架橋系の架橋剤を用いることが好ましく、前述のようにシール性に優れる点から、ポリオール架橋系の架橋剤を用いることがより好ましい。
本発明における架橋剤は、ポリアミン系、ポリオール系、有機過酸化物系の架橋剤を使用することができる。
ポリアミン架橋剤としては、たとえば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどのポリアミン化合物があげられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
ポリオール架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、たとえば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
有機過酸化物架橋系の架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどをあげることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
これらの中でも、得られる成形品などの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
また、ポリオール架橋系においては、ポリオール系架橋剤と併用して、通常、架橋促進剤を用いる。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより架橋反応を促進することができる。
ポリオール架橋系の架橋促進剤としては、一般にオニウム化合物が用いられる。オニウム化合物としては特に限定されず、たとえば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物などがあげられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、たとえば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリドなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどをあげることができ、これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
有機過酸化物の架橋促進剤としては、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
架橋剤の添加量としては、ゴム(c)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜7.0重量部である。架橋剤が、0.1重量部未満であると、ゴム(c)の架橋が充分に進行せず、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性および耐油性が低下する傾向があり、10重量部をこえると、得られるフッ素樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
また、架橋助剤の添加量としては、ゴム(c)100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋助剤が、0.1重量部未満であると、ゴム(c)の架橋が充分に進行せず、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性および耐油性が低下する傾向があり、20重量部をこえると、得られるフッ素樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
溶融状態とは、フッ素樹脂(A)およびゴム(c)が溶融する温度下での状態を意味する。溶融する温度は、それぞれフッ素樹脂(A)およびゴム(c)のガラス転移温度および/または融点により異なるが、120〜330℃であることが好ましく、130〜320℃であることがより好ましい。温度が、120℃未満であると、フッ素樹脂(A)とゴム(c)の間の分散が粗大化する傾向があり、330℃をこえると、ゴム(c)が熱劣化する傾向がある。
得られたフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂(A)が連続相を形成しかつ架橋ゴム(C)が分散相を形成する構造、またはフッ素樹脂(A)と架橋ゴム(C)が共連続を形成する構造を有することができるが、その中でも、フッ素樹脂(A)が連続相を形成しかつ架橋ゴム(C)が分散相を形成する構造を有することが好ましい。
ゴム(c)が、分散当初マトリックスを形成していた場合でも、架橋反応の進行に伴い、ゴム(c)が架橋ゴム(C)となることで溶融粘度が上昇し、架橋ゴム(C)が分散相になる、またはフッ素樹脂(A)との共連続相を形成するものである。
このような構造を形成すると、本発明のフッ素樹脂組成物は、優れた耐熱性、耐薬品性および耐油性を示すと共に、高い燃料バリア性と良好な成形加工性を有することとなる。その際、架橋ゴム(C)の平均分散粒子径は、0.01〜30μmであることが好ましい。平均分散粒子径が、0.01μm未満であると、流動性が低下する傾向があり、30μmをこえると、得られるフッ素樹脂組成物の強度が低下する傾向がある。
また、本発明のフッ素樹脂組成物は、その好ましい形態であるフッ素樹脂(A)が連続相を形成し、かつ架橋ゴム(C)が分散相を形成する構造の一部に、フッ素樹脂(A)と架橋ゴム(C)との共連続構造を含んでいても良い。
本発明のフッ素樹脂組成物を用いた成形品の燃料透過係数は、20g・mm/m2・day以下であればよく、10g・mm/m2・day以下であることが好ましく、5g・mm/m2・day以下であることがより好ましい。燃料透過係数の下限値は特に限定されるものではなく、低ければ低いほど好ましい。燃料透過係数が、20g・mm/day・m2をこえると、燃料バリア性が低いため、燃料透過量を抑えるためには成形品の肉厚を厚くする必要があり、経済的に好ましくない。なお、燃料透過係数は、低いほど燃料を透過防止能力が向上するものであり、逆に燃料透過係数が大きいと燃料が透過しやすいものである。
燃料透過係数の測定は、防湿包装材料の透湿度試験方法におけるカップ法に準ずる方法にて実施した。ここで、カップ法とは、JIS Z 0208に規定された透湿度試験方法であり、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気量を測定する方法である。本発明においては、このカップ法に準じて、燃料透過係数を測定するものである。具体的方法としては、20mLの容積を有するSUS製容器(開放部面積1.26×10-32)に模擬燃料であるCE10(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10容量%)を18mL入れて、シート状試験片を容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。該試験体を恒温装置(60℃)に入れ、試験体の重量を測定し、単位時間あたりの重量減少が一定となったところで下記の式により燃料透過性を求める。
Figure 2007224086
本発明のフッ素樹脂組成物を用いた成形品の引張破断強度は、15MPa以上であることが好ましく、17MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることが特に好ましい。引張破断強度の上限値としては特に限定されるものではない。引張破断強度が、15MPa未満であると、機械強度を必要とする成形品には適さない傾向がある。
また、本発明のフッ素樹脂組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどの他の重合体、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤などを、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で添加することができる。
また、本発明は、フッ素樹脂(A)、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーおよび粒状フィラーからなる群から選択される1種以上のフィラー(B1)およびフッ素ゴム(C1)を含むフッ素樹脂組成物であって、フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%含有し、かつ、フッ素樹脂100重量部に対してフッ素ゴム(C1)を1〜30重量部含有するフッ素樹脂組成物に関する。
フッ素樹脂(A)、フィラー(B1)およびフッ素ゴム(C1)については、前述のものであればどれでも好ましく用いることができる。また、架橋剤、架橋助剤、動的架橋条件、混合比、添加量等についても前述の条件を好適に採用することができる。
本発明のフッ素樹脂組成物は、一般の成形加工方法や成形加工装置などを用いて成形加工することができる。成形加工方法としては、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形などの任意の方法を採用することができ、本発明のフッ素樹脂組成物は、使用目的に応じて任意の形状の成形体に成形される。
さらに、本発明には、本発明のフッ素樹脂組成物を使用して得られた成形品に関するものであるが、該成形品としては、シートまたはフィルムの成形体を包含し、また本発明のフッ素樹脂組成物を含む層および他の材料を含む層を有する積層構造体を包含するものである。
本発明のフッ素樹脂組成物を含む少なくとも1つの層と他の材料を含む少なくとも1つの層との積層構造体において、該他の材料は、要求される特性、予定される用途などに応じて適切なものを選択すればよい。該他の材料としては、例えば、ポリオレフィン(例:高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン等)、ナイロン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)などの熱可塑性重合体、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴムなどの架橋ゴム、金属、ガラス、木材、セラミックなどをあげることができる。
該積層構造を有する成形品においては、本発明のフッ素樹脂組成物を含む層と他の材料を含む基材層との間に接着剤層を介在させてもよい。接着剤層を介在させることによって、本発明のフッ素樹脂組成物を含む層と他の材料を含む基材層とを強固に接合一体化させることができる。接着剤層において使用される接着剤としては、ジエン系重合体の酸無水物変性物;ポリオレフィンの酸無水物変性物;高分子ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール化合物とアジピン酸等の二塩基酸とを重縮合して得られるポリエステルポリオール;酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体の部分ケン化物など)とポリイソシアネート化合物(例えば、1,6−ヘキサメチレングリコール等のグリコール化合物と2,4−トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とのモル比1対2の反応生成物;トリメチロールプロパン等のトリオール化合物と2,4−トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とのモル比1対3の反応生成物など)との混合物;等を使用することができる。なお、積層構造形成のためには、共押出、共射出、押出コーティング等の公知の方法を使用することもできる。
本発明のフッ素樹脂組成物、および該組成物を用いた成形品は、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野;自動車分野;航空機分野;ロケット分野;船舶分野;プラント等の化学品分野;医薬品等の薬品分野;現像機等の写真分野;印刷機械等の印刷分野;塗装設備等の塗装分野;分析・理化学機分野;食品プラント機器分野;原子力プラント機器分野;鉄板加工設備等の鉄鋼分野;一般工業分野;電気分野;燃料電池分野などの分野で好適に用いることができるが、これらのなかでも自動車分野でより好適に用いることができる。
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材およびホースはエンジンならびに周辺装置に用いることができ、ホースおよびシール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材およびダイアフラムは燃料系統ならびに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュ等として用いることができる。
本発明の成形品は上述の各種用途に好適に用いることができ、特に工業用ホース、工業用チューブ、燃料用ホース、燃料チューブとして好適である。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<加硫特性>
JSR型キュラストメータII型を用いて170℃および260℃における加硫曲線を求め、トルクの変化より、最低粘度(ML)、加硫度(MH)、誘導時間(T10)および最適加硫時間(T90)を求める。加熱状態で30分以上経過してもトルクの変化が見られない場合、加硫反応は進行していないとみなす。
<シート状試験片の作製>
実施例、比較例で製造したフッ素樹脂組成物を金型にセットし、ヒートプレス機により、組成物に用いたフッ素樹脂(A)の融点(220℃)より60℃高い温度(280℃)で15〜30分保持し、動的加硫組成物を溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、所定の厚さのシート状試験片を作製する。
<引張破断強度、引張破断伸び測定>
上記方法で厚さ2mmのシート状試験片を作製し、ASTM V型ダンベルを用いて標線間距離3.18mmのダンベル状試験片を打ち抜く。得られたダンベル状試験片を用いて、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS―J 5kN)を使用して、ASTM D638に準じて、50mm/分の条件下で、25℃に引張破断伸び、引張破断強度を測定する。
<燃料バリア性>
上記方法で厚さ0.5mmのシート状試験片を作製した。20mLの容積を有するSUS製容器(開放部面積1.26×10-32)に模擬燃料であるCE10(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10容量%)を18mL入れて、前記シート状試験片を容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。該試験体を恒温装置(60℃)に入れ、試験体の重量を測定し、単位時間あたりの重量減少が一定となったところで下記の式により燃料透過係数を求めた。
Figure 2007224086
<流動性>
実施例、比較例で製造したフッ素樹脂組成物のペレットを用いて、メルトフロー測定装置((株)東洋精機製作所製)により、297℃、5000g荷重の条件下でメルトフローレート(MFR)を測定した。
<混練方法>
フッ素樹脂(A)、フィラー(B)、フッ素ゴム(C)の混練は、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて行う。混練するフッ素樹脂(A)、フィラー(B)、フッ素ゴム(C)は、それらの合計体積が、ラボプラストミルの混練部全容積の77体積%となるように全量を調整する。ラボプラストミルの温度は、組成物に用いたフッ素樹脂(A)の融点(220℃)より40℃を高い温度(260℃)に設定する。ラボプラストミルの温度が安定した後、フッ素樹脂(A)を添加し、5〜10分間10rpmで攪拌を行い、フッ素樹脂(A)を溶融させる。溶融状態のフッ素樹脂(A)に、フィラー(B1)または(B2)を添加、即攪拌数を100rpmに上昇させ1〜5分間攪拌を行った後、攪拌数を10rpmに戻し、フッ素ゴム組成物を添加し、添加後即、攪拌数を100rpmに上昇させる。トルクが最大の値を示した時点(キュラストII型のT90に対応する)から、10分後まで攪拌し、フッ素樹脂(A)/フィラー(B)/フッ素ゴム(C)動的加硫組成物を得る。
実施例および比較例では、下記の含フッ素エチレン性重合体(a)、フィラー(B1)および(B2)、フッ素ゴム(c)、架橋剤および架橋促進剤を使用した。
<フッ素樹脂(A)>
テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(EP−610 ダイキン工業(株)製、融点218〜228℃、297℃・5000g荷重におけるMFR=25〜35g/10min)
<フィラー(B1)>
セリライト(絹雲母)(斐川礦業(株)製、斐川マイカZ20、形状:リン片状、アスペクト比:110、平均粒径:2μm)
<フィラー(B2)>
合成雲母(コープケミカル(株)製、MK−100、形状:リン片状、アスペクト比:25、平均粒径:4μm)
<フッ素ゴム(c)>
ビニリデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)からなる3元系ゴム(VdF:TFE:HFP=50:20:30mol%、100℃におけるムーニー粘度=88)
<架橋剤>
ポリオール系架橋剤:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(ダイキン工業(株)製、商品名ビスフェノールAF)
<架橋促進剤>
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(BTPPC)(北興化学工業(株)製、商品名)
実施例1〜4
上記したフッ素ゴム(c)100重量部に対して、架橋剤2重量部、架橋促進剤1重量部、および、受酸剤(協和化学工業(株)製、酸化マグネシウム「MA150」)3重量部を、2本ロールにて混練し、フッ素ゴム(c)のコンパウンドを作製した。
続いて、上記したフッ素樹脂(A)に対して、フィラー(B1)または(B2)を10体積%の割合で予備混合した後、フッ素ゴム(c)のコンパウンドを配合して混合し、二軸押出機に供給して、シリンダー温度260℃およびスクリュー回転数300rpmの条件下に溶融混練し、フッ素樹脂組成物のペレットをそれぞれ製造した。得られたフッ素樹脂組成物のペレットを用いて、上記した方法でフッ素樹脂(A)100重量部に対して表1に示す割合で、引張破断強度、引張破断伸び、燃料バリア性の測定を行なった結果を表1に示す。
比較例1〜2
フッ素ゴム(c)を混練しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、フッ素樹脂組成物のペレットをそれぞれ製造した。得られたフッ素樹脂組成物のペレットを用いて、上記した方法で硬度、引張破断強度、引張破断伸び、燃料バリア性の測定を行なった結果を表1に示す。
実施例1〜4により得られたフッ素樹脂組成物は、比較例1、2のフッ素樹脂組成物と比較して、著しく燃料バリア性、引張破断強度および引張破断伸びに優れていることがわかった。
Figure 2007224086

Claims (10)

  1. フッ素樹脂(A)とフィラー(B)の存在下、フッ素樹脂(A)の溶融状態で、少なくとも1種のゴム(c)を動的に架橋させ、その少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)とする工程を含むフッ素樹脂組成物の製造方法。
  2. ゴム(c)を、フィラー(B)の添加と同時に、またはフィラー(B)の添加後に添加することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 架橋ゴム(C)が、架橋フッ素ゴム(C1)である請求項1または2記載の製造方法。
  4. フィラー(B)が、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーおよび粒状フィラーからなる群から選択される1種以上のフィラー(B1)である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%、かつ、フッ素樹脂(A)100重量部に対してゴム(c)を1〜30重量部添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. フィラー(B)がマイカである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたフッ素樹脂組成物。
  8. フッ素樹脂(A)、リン片状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーおよび粒状フィラーからなる群から選択される1種以上のフィラー(B1)およびフッ素ゴム(C1)を含むフッ素樹脂組成物であって、フッ素樹脂(A)に対してフィラー(B)を1〜50体積%含有し、かつ、フッ素樹脂100重量部に対して架橋フッ素ゴム(C1)を1〜30重量部含有するフッ素樹脂組成物。
  9. 請求項7または8記載のフッ素樹脂組成物を用いた成形品。
  10. 燃料透過係数が10g・mm/m2・day以下である請求項9記載の成形品。
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