JP2007223173A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着剤が不所望な箇所に入り込むことによって生じ得る不良を発生しにくくすることができるインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、上記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含む製造方法であって、上記圧電基板および上記カバー基板のうち一方の基板において他方の基板に向かって最も高く突出している部分の上面をさらに上記他方の基板に当接する実接合領域12と上記他方の基板に当接しない非接合領域13とに区別し、実接合領域12および非接合領域13のうち上記実接合領域にのみ接着剤を塗布する工程を、上記貼り合わせる工程の前に含む。
【選択図】図4
【解決手段】インクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、上記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含む製造方法であって、上記圧電基板および上記カバー基板のうち一方の基板において他方の基板に向かって最も高く突出している部分の上面をさらに上記他方の基板に当接する実接合領域12と上記他方の基板に当接しない非接合領域13とに区別し、実接合領域12および非接合領域13のうち上記実接合領域にのみ接着剤を塗布する工程を、上記貼り合わせる工程の前に含む。
【選択図】図4
Description
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関するものである。
インクジェットヘッドの製造方法として、インク室としての凹部を形成した圧電基板と、インク室にインクを供給するためのインク供給部としての凹部を形成したカバー基板とを互いに貼り合わせる方式が一般に知られている。この製造方法では、圧電基板もしくはカバー基板のうちどちらか一方に接着剤が塗布され、貼り合わせられる。
図11、図12、図13にインク室2を形成した圧電基板1の1ヘッド当たりのパターンを示す。図11は圧電基板1の平面図であり、図12、図13はそれぞれ図11におけるXII−XII線、XIII−XIII線に関する矢視断面図である。圧電基板1には平行に複数の溝が設けられており、これらの溝は、前側(図11における右側)では深くなってインク室2となっており後ろ側(図11における左側)では浅くなって電極引出し部3となっている。図14、図15にインク供給部5を形成したカバー基板4の1ヘッド当たりのパターンを示す。これらの図は、間隙部の無いタイプのカバー基板4について示したものである。図14はカバー基板4の平面図であり、図15は図14におけるXV−XV線に関する矢視断面図である。
次に、間隙部有りのタイプのカバー基板4について示す。図16、図17にインク供給部5と間隙部6を形成したカバー基板4の1ヘッドあたりのパターンを示す。図16はカバー基板4の平面図であり、図17は図16におけるXVII−XVII線に関する矢視断面図である。「間隙部」6とは、インク室2で発生する圧力波の残留振動を抑制するために設けられるものである。
間隙部の有り/無しのいずれのタイプであっても、圧電基板1とカバー基板4とを図18のように互いに対向させて貼り合わせ、図19に示すようなインクジェットヘッドを作成する。このとき、XX−XX線に関する矢視断面図は、間隙部無しの場合、図20に示すようになり、間隙部有りの場合、図21に示すようになる。
次に、圧電基板1とカバー基板4とを貼り合わせる工程について説明する。接着剤付きのローラなどを用いて圧電基板1およびカバー基板4のうちいずれか一方に接着剤を塗布する。図22では、一例としてローラ7を用いてカバー基板4に塗布している。接着剤の塗布方法としては、この他に、バーコーターによる塗布やスピンコート法が挙げられるがいずれの方法で塗布してもよい。
特開平10−100419号公報(特許文献1)には、「ベタ黒塗布パターン」と称する凸部を形成した樹脂部材を外表面に装着したロールを介して基板に接着剤を塗布する技術が開示されている。これは接着剤を塗布しようとする基板の表面全体に接着剤を薄く均一に塗布するための技術である。
特開平10−100419号公報
上述のようにして貼り合わせた結果、接着剤がたとえばインク室などに流入してインク室詰まりを生じる場合がある。これは不吐出の原因となる。また、間隙部有りのタイプにおいては、図23に示すように接着剤9が間隙部6に入り込んで間隙部6の一部または全部を塞いでしまい、見かけのインク室長さ20が本来のインク室長さ19よりも長くなる場合がある。しかもこのようなインク室長さの変動は、平行に並んでいる複数のインク室の間でランダムに発生し、見かけのインク室の長さにばらつきが生じる。これは吐出ばらつきの原因となる。
そこで、本発明は、接着剤が不所望な箇所に入り込むことによって生じ得るこれらの不良を発生しにくくすることができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に基づく第1のインクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、上記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、上記圧電基板および上記カバー基板のうち一方の基板において他方の基板に向かって最も高く突出している部分の上面をさらに上記他方の基板に当接する実接合領域と上記他方の基板に当接しない非接合領域とに区別し、上記実接合領域および上記非接合領域のうち上記実接合領域にのみ接着剤を塗布する工程を、上記貼り合わせる工程の前に含む。
上記目的を達成するため、本発明に基づく第2のインクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、上記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、凹凸形状が形成された主表面を有する塗布版に接着剤を塗布した後に、上記主表面から上記圧電基板および上記カバー基板のうち一方の基板に対して上記接着剤を転写する工程を、上記貼り合わせる工程の前に含む。
本発明によれば、余剰接着剤の発生を低減することができ、接着剤が不所望な箇所に入り込むことによって生じ得る不良を発生しにくくことができる。
まず、発明者らは、貼合せ工程において不所望な箇所に入り込む接着剤がどこからくるのかを検証した。
図22に示したようにローラ7で接着剤を塗布したとき、接着剤が付着する領域を図1、図2にハッチングで示す。図1はカバー基板4にローラ7で接着剤を塗布した状態、図2は圧電基板1にローラ7で接着剤を塗布した状態を示す。このようなローラによる方法では、塗布対象となった圧電基板またはカバー基板のうち凸部となっている領域の全体に接着剤が塗布される。
圧電基板1とカバー基板4とを図3に示すように貼り合わせた場合には、圧電基板の凸部とカバー基板の凸部とが当接することによって基板同士の接合が行なわれる。すなわち、平面図形として見たときに圧電基板の凸部領域とカバー基板の凸部領域とで重複している領域のみが接合に寄与することとなる。この凸部同士が実際に当接する領域を「実接合領域」と呼ぶこととする。実接合領域12は図4においてハッチングで示す領域のすべてである。
図1、図2と図4とを比較することにより、従来の図22に示したような塗布方法では実接合領域12以外の領域(以下「非接合領域」という。)13(図4参照)にも接着剤が塗布されていることがわかる。非接合領域13は、図3に示すように圧電基板1とカバー基板4とを貼り合わせたとしても相手側の基板と当接しないので、非接合領域に塗布された接着剤は接合に用いられることなくそのまま残り、「余剰接着剤」となる。発明者らは、このような余剰接着剤が上述の不吐出や吐出ばらつきの原因となっているということを見出した。
さらに、圧電基板1とカバー基板4とを貼り合わせる際に接着不良を防ぐために加圧することによって、あるいは、貼り合わせる基板の自重によって、実接合領域において挟み込まれた接着剤層が広がり、貼合せ完了後の接着剤層は塗布された接着剤の厚さよりも小さくなることがある。こうして実接合領域からはみ出した接着剤も余剰接着剤となる。この作用によって生じる余剰接着剤の量は実接合領域における接着剤層の厚さの減少分から把握することができる。
(実施の形態1)
(製造方法)
図5、図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。
(製造方法)
図5、図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板(以下「塗布対象基板」という。)において他方の基板に向かって最も高く突出している部分の上面をさらに前記他方の基板に当接する実接合領域と前記他方の基板に当接しない非接合領域とに区別し、前記実接合領域および前記非接合領域のうち前記実接合領域にのみ接着剤を塗布する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含む。
このような製造方法は、図5に示すようにローラ7から接着剤を一旦、塗布版10の主表面に転写することによって可能である。塗布版10の主表面とは、図5における上面のことである。ただし、この塗布版10の主表面には、予め凹凸が設けられている。図6に示すように、塗布版10から塗布対象基板に接着剤を転写させる。図5、図6では塗布対象基板が圧電基板1である例を示している。
(作用・効果)
本実施の形態では、非接合領域には接着剤が塗布されないので余剰接着剤の発生を低減することができ、接着剤が不所望な箇所に入り込むことによって生じ得る不良を発生しにくくすることができる。
本実施の形態では、非接合領域には接着剤が塗布されないので余剰接着剤の発生を低減することができ、接着剤が不所望な箇所に入り込むことによって生じ得る不良を発生しにくくすることができる。
インク室2などに入り込む余剰接着剤の量を減らすために、接着剤を塗布する面積を減らすことなく塗布する接着剤の厚さを減少させると、実接合領域における接着剤量が不足し、接着強度不足を引き起こす。このため、塗布する接着剤の厚さを減らさずに、圧電基板1とカバー基板4の実接合領域にのみ十分な接着強度が得られる量(厚さ)の接着剤を塗布することが、余剰の接着剤をなくすために非常に効果的である。このような観点から、塗布対象基板の最も高く突出している部分の上面の全域ではなく、その上面のうち実接合領域に該当する領域にのみ接着剤を塗布することが有効である。すなわち、上面すべてに接着剤を塗布する必要はない。
塗布対象基板に対して、従来のようにローラ7から直接接着剤を転写した場合、塗布対象基板の最も高く突出している部分の上面の全域に接着剤が塗布されてしまい、上面の領域を実接合領域と非接合領域とに区別してこれらのうち一方だけに塗布することはできない。しかし、図5、図6に示すように、圧電基板1でもカバー基板4でもない第3の基板である塗布版10を介することによって塗布対象基板の実接合領域だけに選択的に塗布することも可能となる。そのためには、塗布版10の主表面の凹凸は塗布対象基板の非接合領域には当接せず実接合領域にのみ当接するような凹凸としておけばよいのである。
このような思想を考慮して本発明を表現し直した場合、本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、凹凸形状が形成された主表面を有する塗布版に接着剤を塗布した後に、前記主表面から前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板に対して前記接着剤を転写する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含むことが好ましい。
さらに、前記塗布版の前記凹凸形状は、前記一方の基板において他方の基板に接合される領域である実接合領域に対応する領域を高部として他の領域を低部としたものであることが好ましい。
接着剤層を薄くするのではなく、塗布領域の設定を最適化することも有効である。すなわち、接着剤塗布領域は、最も広くても実接合領域から外に出ないようにする。貼り合わせ加圧時に接着剤が広がることなどを考慮して、接着剤は、実接合領域のうちの一部だけに、すなわち実接合領域の輪郭に対して一回り小さく塗布してもよい。
(実施の形態2)
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法を具体的に限定してより好ましい構成としたものである。
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法を具体的に限定してより好ましい構成としたものである。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、前記塗布版の前記凹凸形状には、他方の基板における前記一方の基板に対向する面の凹凸形状が含まれている。すなわち、たとえば、塗布対象基板が圧電基板1である場合には、塗布版の表面にはカバー基板4の圧電基板1に対向する面の凹凸形状が含まれており、逆に、塗布対象基板がカバー基板4である場合には、塗布版の表面には圧電基板1のカバー基板4に対向する面の凹凸形状が含まれている。言い換えれば、塗布版には塗布対象基板の相手側の基板の凹凸形状が含まれている。ここで「凹凸形状が含まれている」というのは、塗布版の凹凸形状が他方の基板における一方の基板に対向する面の凹凸形状と同一であってもよく、その凹凸以外と同一の部分を含みつつ、他の形状の領域も含んでいてもよいという意味である。
たとえば、カバー基板4の表面凹凸形状と同じ凹凸形状を有する塗布版10を用意し、図5に示すように、接着剤付きのローラ7を用いて塗布版10に接着剤を塗布することにより、塗布版10の凸部にのみ接着剤が塗布される。
このように接着剤を塗布した塗布版10を図6に示すように圧電基板1にスタンプして接着剤を圧電基板1に転写する。この工程により、圧電基板1には、図7に示すように、圧電基板1とカバー基板4の実接合領域12にのみ十分な量の接着剤を塗布することができる。図7でハッチングが施された領域のすべてが実接合領域12である。
次に、図8に示すように、この圧電基板1とカバー基板4とを位置合わせし、貼り合わせてインクジェットヘッドを製造する。
塗布対象基板が圧電基板1であるときには以上の通りであるが、塗布対象基板がカバー基板4であるときには、圧電基板1の表面凹凸形状と同じ表面凹凸形状の塗布版10を用いて、塗布版10からカバー基板4に接着剤を転写すればよい。
また、塗布版10の表面凹凸形状は、カバー基板4または圧電基板1の表面凹凸形状と全く同形状である必要はない。塗布版10は、表面凹凸形状の少なくとも一部として、カバー基板4または圧電基板1の表面凹凸形状を含んでいれば良い。塗布版10の表面には、無駄な領域すなわち転写に影響を及ぼさない領域があってもよい。
(作用・効果)
塗布版10の表面凹凸形状は接着剤を均一に薄く塗布するためではなく、実接合領域にのみ接着剤を塗布するためのものである。本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
塗布版10の表面凹凸形状は接着剤を均一に薄く塗布するためではなく、実接合領域にのみ接着剤を塗布するためのものである。本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法では、前記塗布版において前記一方の基板(塗布対象基板)に当接すべき面のうちいずれかの部位における前記凹凸形状の高低差が、他方の基板において前記部位に対向する箇所に設けられた凹凸の高低差より大きくなっている。
(作用・効果)
塗布版10を用いて塗布対象基板に接着剤を塗布するためには、塗布版10は塗布対象基板に塗布するよりも多い量の接着剤を保持する必要がある。たとえば塗布対象基板に塗布する量の2倍の接着剤厚さとすることが望まれる。ローラ7などから塗布版10に接着剤を転写する際にはこのように多くの量の接着剤を塗布版10に転写することとなるので、塗布版10の主表面の凹凸の高低差が小さいと、ローラ7などからの接着剤の転写時に塗布版10の主表面の高部すなわち凸部だけでなく低部すなわち凹部にも接着剤が入り込んでしまう。これは凹凸形状の高低差がたとえば数十μm程度である場合に起こり得る。特に、塗布版10を構成する材料の硬度が低い場合などにこの現象は起こりやすい。塗布版10の低部にも接着剤が入り込んでいると、塗布版10から塗布対象基板への転写時に塗布対象基板の実接合領域以外にも接着剤を塗布してしまうおそれがある。そこで、塗布版の主表面の凹凸形状の高低差は大きくすることが好ましい。
塗布版10を用いて塗布対象基板に接着剤を塗布するためには、塗布版10は塗布対象基板に塗布するよりも多い量の接着剤を保持する必要がある。たとえば塗布対象基板に塗布する量の2倍の接着剤厚さとすることが望まれる。ローラ7などから塗布版10に接着剤を転写する際にはこのように多くの量の接着剤を塗布版10に転写することとなるので、塗布版10の主表面の凹凸の高低差が小さいと、ローラ7などからの接着剤の転写時に塗布版10の主表面の高部すなわち凸部だけでなく低部すなわち凹部にも接着剤が入り込んでしまう。これは凹凸形状の高低差がたとえば数十μm程度である場合に起こり得る。特に、塗布版10を構成する材料の硬度が低い場合などにこの現象は起こりやすい。塗布版10の低部にも接着剤が入り込んでいると、塗布版10から塗布対象基板への転写時に塗布対象基板の実接合領域以外にも接着剤を塗布してしまうおそれがある。そこで、塗布版の主表面の凹凸形状の高低差は大きくすることが好ましい。
本実施の形態では、塗布版の凹凸形状の高低差が大きくなっているので、接着剤が塗布版の低部に不所望に入り込んでしまうことを防止でき、実施の形態1の効果をより確実に得ることができる。
塗布対象基板が圧電基板1である場合には、塗布版10の主表面の凹凸形状はカバー基板4にある凹凸形状に似せて形成することができるが、塗布版10の主表面の凹凸形状の高低差はカバー基板4にある凹凸形状の高低差よりも大きく形成することが好ましい。この場合、塗布版10に形成される凹部はたとえばカバー基板4が間隙部有りのタイプであれば間隙部6としての凹部の深さより大きいことが好ましい。たとえば間隙部の深さは0.03mm〜0.1mm程度であるので、塗布版10の凹凸形状の高低差は、たとえば0.1mm以上であることが好ましい。カバー基板4が間隙部無しのタイプである場合にはインク供給部5としての凹部の深さよりも大きいことが好ましい。
塗布対象基板がカバー基板4である場合には、塗布版10の主表面の凹凸形状は圧電基板1にある凹凸形状に似せて形成することができるが、塗布版10の主表面の凹凸形状の高低差は圧電基板1にある凹凸形状の高低差よりも大きく形成することが好ましい。この場合、塗布版10に形成される凹部はたとえばインク室2としての凹部の深さより大きいことが好ましい。
(実施の形態4)
(製造方法)
実施の形態1〜3では塗布版の主表面に凹凸形状を設ける例を説明してきたが、塗布版の主表面に凹凸形状を形成しなくても、塗布版の主表面に接着剤を塗布する領域と塗布しない領域とを区別して形成することにより同様の効果を得ることができる。
(製造方法)
実施の形態1〜3では塗布版の主表面に凹凸形状を設ける例を説明してきたが、塗布版の主表面に凹凸形状を形成しなくても、塗布版の主表面に接着剤を塗布する領域と塗布しない領域とを区別して形成することにより同様の効果を得ることができる。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、接着剤に対する親和性の度合いが互いに異なる第1領域および第2領域が形成された主表面を有する塗布版の前記主表面に前記接着剤を塗布した後に、前記主表面から前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板に対して前記接着剤を転写する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含む。
本実施の形態では、塗布版の主表面に接着剤に対して互いに異なる接触角を有する領域を2つ以上形成する。たとえば、図9に示すように、塗布版10の主表面を接着剤の接触角が小さい領域(以下「親液領域」という。)15と大きい領域(以下「撥液領域」という。)16との2通りに区分して形成する。図9においてハッチングが施された領域のすべてが親液領域15である。親液領域15においては接着剤は保持され、撥液領域16においては接着剤は保持されない。このような塗布版10は、接着剤に対して撥液性である樹脂材料などの一部をマスキングしてアッシング処理を行ない、アッシング処理をした部分を親液化することにより作成することができる。親液領域と撥液領域とに区別して形成するための方法はここに挙げた以外の方法であってもよい。
(作用・効果)
本実施の形態では、塗布版が、親和性の度合いが互いに異なる第1領域および第2領域が形成された主表面を有するので、塗布版の主表面に凹凸形状がなくても、実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態では、塗布版が、親和性の度合いが互いに異なる第1領域および第2領域が形成された主表面を有するので、塗布版の主表面に凹凸形状がなくても、実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
なお、前記塗布版の前記主表面における前記第1領域と前記第2領域との間の前記接着剤に対する接触角の差が60°以上であることが好ましい。異なる2つの接触角の差を60°以上とすることで、親液領域と撥液領域との境界が明瞭となり接着剤のパターニングがより効果的に行なえるからである。
なお、このように塗布版の主表面の領域間で接着剤の接触角に差を設ける方法は、実施の形態1〜3で述べたような凹凸形状を設ける方法と併用してもよい。
塗布版ではなく塗布対象基板に直接親液性または撥液性のパターニングを行なうことでも接着剤の付着の有無に差をつけることができ、同様の効果を狙うことができる。しかし、塗布対象基板に直接親液領域と撥液領域とを設けた場合、インクジェットヘッドを製造するための後工程で、たとえば塗布対象基板を含む構造体に保護膜などをコーティングする場合において、撥液領域に保護膜をコーティングできないなどの不具合を生じる可能性があるため好ましくない。
(実施の形態5)
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜3におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜3におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、前記塗布版の表面のうち前記一方の基板(塗布対象基板)に当接する領域は弾性体で形成されている。当接する領域を弾性体にすることにより、転写時における接着剤の転写ムラや、当接時の塗布対象基板へのダメージを防ぐことができるからである。「当接する領域」とは実施の形態1〜3では高部(凸部)であり、実施の形態4では親液領域および撥液領域である。当接する領域以外はどのような素材でもよい。塗布版をローラに取り付けて塗布対象基板に接着剤を塗布するならば、塗布版全体が弾性体であることが望ましい。凹凸形状を備える塗布版を用いてスタンプ方式により塗布対象基板に接着剤を塗布するのであれば、塗布版は凸部のみが弾性体で形成され、台座に取り付けられた構造であってもよい。この場合、台座はSUSなどで形成することが考えられる。
さらに、前記弾性体は、50°Hs以上80°Hs以上のゴム硬度を有することが好ましい。
塗布版の弾性体のゴム硬度が50°Hsより小さいときには軟らかすぎるために塗布対象基板への転写のための加圧時に弾性体部分が広がって非接合部にまで接着剤が広がりやすくなってしまい、制御が困難となる。また、塗布版の弾性体のゴム硬度が80°Hsより大きいときには、硬すぎることにより塗布版と塗布対象基板とが当接する際に均一に当接しにくくなり、接着剤の転写厚さにムラが発生したり、基板へのダメージが発生しやすくなったりする。
(実施の形態6)
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜5におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜5におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、前記接着剤を転写する工程において前記塗布版と前記一方の基板とが当接する領域の面積は、前記貼り合わせる工程において前記一方の基板と他方の基板とが当接する領域の面積よりも小さくなっている。
たとえば圧電基板1が塗布対象基板であり、塗布版10が主表面に凹凸形状を有するとすると、図10に示すように、塗布版10が圧電基板1に当接することとなる。この圧電基板1がカバー基板4(図10には表示せず)と当接する領域は実接合領域12であるとする。本実施の形態では、図10に示すように、塗布版10が圧電基板1と当接する領域は、実接合領域12より小さい領域11となっている。この領域11に接着剤が塗布され、実接合領域12と当接する。
(作用・効果)
塗布版を用いて塗布対象基板に接着剤を転写する際に、接着剤塗布厚さが大きいと、加圧することにより接着剤が押し出され、実接合領域からはみ出して非接合領域へも接着剤が広がる可能性がある。本実施の形態では、塗布版の凸部と塗布対象基板とが当接する領域の面積を、実接合領域の面積より小さくしていることにより、塗布版から塗布対象基板への接着剤の転写の際に、接着剤が多少広がったとしても実接合領域に余裕があるので、塗布対象基板の非接合領域への接着剤の広がりを防ぐことができ、実施の形態1〜5の効果をより確実に得ることができる。
塗布版を用いて塗布対象基板に接着剤を転写する際に、接着剤塗布厚さが大きいと、加圧することにより接着剤が押し出され、実接合領域からはみ出して非接合領域へも接着剤が広がる可能性がある。本実施の形態では、塗布版の凸部と塗布対象基板とが当接する領域の面積を、実接合領域の面積より小さくしていることにより、塗布版から塗布対象基板への接着剤の転写の際に、接着剤が多少広がったとしても実接合領域に余裕があるので、塗布対象基板の非接合領域への接着剤の広がりを防ぐことができ、実施の形態1〜5の効果をより確実に得ることができる。
(実施の形態7)
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜5におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
(製造方法)
本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1〜5におけるインクジェットヘッドの製造方法に限定事項を付加してより好ましい構成としたものである。
従来の方法では基板の塗布対象面の主表面全体の面積から凹部の面積を引いた面積に接着剤を塗布していた。この従来の方法では、十分な接着強度を得るために接着層を厚くすると、貼合せの際に余剰接着剤が間隙部などに入り込んでしまう。貼合せ後の接着層の厚さは、吐出性能を良くするためにはできるだけ薄いほうが好ましい一方、接着層は十分な接着強度を発揮することが必要である。
そこで、本実施の形態では、接合部に塗布する接着剤量を規定する。余剰接着剤が入り込むことによって変動するインク室長さが本来のインク室長さ19の5%以下となるように接着剤量を規定する。本実施の形態では、このように規定された量の接着材を塗布版から塗布対象基板に転写塗布することで吐出性能への影響を最低限に抑えることができる。
インクジェットヘッドの製造方法は、前記貼り合わせる工程において前記一方の基板と他方の基板とが当接する領域の面積をSとし、前記貼り合わせる工程の前に前記一方の基板に塗布された前記接着剤の層の厚みをT1とし、前記貼り合わせる工程の後での前記接着剤の層の厚みをT2とし、前記インクチャンネルの長さをLとし、前記間隙部の幅をWとし、前記間隙部における前記カバー基板と前記チャンネル壁の上面との距離をHとし、前記間隙部の数をnとしたときに、
T1≦T2+0.05nHWL/S ‥‥‥‥(1)
なる関係を満たすようにT1が定められて前記一方の基板への前記接着剤の塗布が行なわれる。
T1≦T2+0.05nHWL/S ‥‥‥‥(1)
なる関係を満たすようにT1が定められて前記一方の基板への前記接着剤の塗布が行なわれる。
以下、従来技術によるインクジェットヘッドの製造方法と本実施の形態によるインクジェットヘッドの製造方法との比較のために行なった実験の様子を説明する。
たとえば、塗布対象面の表面積が1500mm2、接合部面積が700mm2、間隙部幅Wが12mm、間隙部深さDが0.03mm、間隙部数が40、インク室長さが1.2mmのカバー基板の塗布対象面に対して接着剤を厚さ2μmとなるように従来技術で塗布した。なお、ここで用いる種類の接着剤が基板と十分な接着強度を示す厚さは1μm以上であることがわかっているものとする。
(従来例1)
このカバー基板に圧電基板を貼り合わせて、接着不良を防ぐために貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。このようにして製造したインクジェットヘッドの間隙部に入り込んだ接着剤を測定したところ、最大で0.25mm、最小で0.04mmの入り込みが確認された。ここでいう「入り込み」とはその長さだけ見かけのインク室が長くなったことを意味する。この測定結果からは、本来のインク室長さ1.2mmに対して3〜13%長くなっていることがわかる。これは結果的に得られるインク室長さのばらつきとしては10%であり、これは吐出性能に影響を及ぼすほどのばらつきである。
このカバー基板に圧電基板を貼り合わせて、接着不良を防ぐために貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。このようにして製造したインクジェットヘッドの間隙部に入り込んだ接着剤を測定したところ、最大で0.25mm、最小で0.04mmの入り込みが確認された。ここでいう「入り込み」とはその長さだけ見かけのインク室が長くなったことを意味する。この測定結果からは、本来のインク室長さ1.2mmに対して3〜13%長くなっていることがわかる。これは結果的に得られるインク室長さのばらつきとしては10%であり、これは吐出性能に影響を及ぼすほどのばらつきである。
(従来例2)
そこで、余剰接着剤を減らすために、塗布する接着剤の厚さを1.5μmとして従来技術で接着剤を塗布して貼り合わせ、接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。結果は、間隙部への接着剤の入り込みは最大で約0.10mm、最小で0.01mmであることが確認された。これは、本来のインク室長さ1.2mmに対して0.8〜8.3%長くなっており、インク室長さのばらつきとしては7.5%である。すなわち、ばらつきは十分には低減できていなかった。
そこで、余剰接着剤を減らすために、塗布する接着剤の厚さを1.5μmとして従来技術で接着剤を塗布して貼り合わせ、接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。結果は、間隙部への接着剤の入り込みは最大で約0.10mm、最小で0.01mmであることが確認された。これは、本来のインク室長さ1.2mmに対して0.8〜8.3%長くなっており、インク室長さのばらつきとしては7.5%である。すなわち、ばらつきは十分には低減できていなかった。
従来例1,2の結果から、基板の塗布対象面の表面積と、接合部面積とが大きく異なる基板に対して従来技術の接着剤塗布方法では、間隙部への接着剤の入り込みを防ぐことは非常に困難であるといえる。
(計算)
次に、従来技術ではなく本発明の方法、すなわち、実施の形態1に示した方法を採用することとし、塗布すべき接着剤量の計算を本実施の形態で提示した上記条件により行なった。上記(1)式よりT≦0.0022mm(2.2μm)となる。すなわち、本発明を採用する場合、塗布する接着剤の厚さが2.2μm以下であるときに余剰接着剤を十分低減することができることがわかる。この情報をもとに何通りかの実験を行なった。すなわち、本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法を実施した。
次に、従来技術ではなく本発明の方法、すなわち、実施の形態1に示した方法を採用することとし、塗布すべき接着剤量の計算を本実施の形態で提示した上記条件により行なった。上記(1)式よりT≦0.0022mm(2.2μm)となる。すなわち、本発明を採用する場合、塗布する接着剤の厚さが2.2μm以下であるときに余剰接着剤を十分低減することができることがわかる。この情報をもとに何通りかの実験を行なった。すなわち、本実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法を実施した。
(実施例1)
まず、凹凸形状を有する塗布版を用いて実接合領域にのみ厚さ0.0018mm(1.8μm)の接着剤を塗布し、加圧して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さは1μmである。このとき、間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.02mm、最小で0であり、かつ十分な接着強度が得られた。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して0〜1.6%であり、インク室長さのばらつきは1.6%であった。
まず、凹凸形状を有する塗布版を用いて実接合領域にのみ厚さ0.0018mm(1.8μm)の接着剤を塗布し、加圧して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さは1μmである。このとき、間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.02mm、最小で0であり、かつ十分な接着強度が得られた。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して0〜1.6%であり、インク室長さのばらつきは1.6%であった。
(実施例2)
次に、同じ形状の塗布版を用いて、厚さ1.5μmの接着剤を実接合領域に塗布して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.01mm、最小で0であった。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して0〜0.8%であり、インク室長さのばらつきは0.8%であった。
次に、同じ形状の塗布版を用いて、厚さ1.5μmの接着剤を実接合領域に塗布して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.01mm、最小で0であった。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して0〜0.8%であり、インク室長さのばらつきは0.8%であった。
実施例1,2の結果からすると、実接合領域に塗布する接着剤の加圧前の厚みが1.8μmであっても1.5μmであっても入り込みは十分に小さく抑えることができ、ばらつきも小さくできることがわかった。
(比較例)
次に、上記(1)式の条件を満たさない場合について試してみるために、同じ形状の塗布版を用いて、3μmの厚さの接着剤を実接合領域に塗布して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.11mm程度、最小で0.02mmであった。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して1.6〜9.2%であり、インク室長さのばらつきは7.6%であった。この場合、入り込みは大きく、ばらつきも大きいことがわかった。このことから、上記(1)式を満たすことが重要であることが裏付けられた。
次に、上記(1)式の条件を満たさない場合について試してみるために、同じ形状の塗布版を用いて、3μmの厚さの接着剤を実接合領域に塗布して貼り合わせた。貼合せ後の接着層の厚さが1μmとなるように加圧した。間隙部への接着剤の入り込みは最大で0.11mm程度、最小で0.02mmであった。この間隙部への接着剤の入り込みは本来のインク室長さに対して1.6〜9.2%であり、インク室長さのばらつきは7.6%であった。この場合、入り込みは大きく、ばらつきも大きいことがわかった。このことから、上記(1)式を満たすことが重要であることが裏付けられた。
(作用・効果)
本実施の形態では、上記(1)式を満たすように接着剤の厚さを設定することによって、余剰接着剤の発生を抑え、間隙部への接着剤の入り込みを低減することができる。その結果、インク室長さのばらつきを小さくすることができ、吐出性能を良くすることができる。
本実施の形態では、上記(1)式を満たすように接着剤の厚さを設定することによって、余剰接着剤の発生を抑え、間隙部への接着剤の入り込みを低減することができる。その結果、インク室長さのばらつきを小さくすることができ、吐出性能を良くすることができる。
なお、実施の形態1〜7を通じてあてはまることだが、特に間隙部有りのタイプのインクジェットヘッドにおいては、図23に示したように間隙部6に接着剤9が入り込むと、見かけのインク室長さ20がばらつくため吐出ばらつきとなりヘッド特性を低下させる。このような事情を抱えるという点で、間隙部有りのタイプのインクジェットヘッドにおいては、本発明による余剰接着剤の低減は特に顕著な効果をもたらす。
したがって、本発明に基づくインクジェットヘッドの製造方法としては、カバー基板は、前記共通インク室凹部のほかに、前記共通インク室の前記インクチャンネル側に隣接して前記圧電基板の前記チャンネル溝同士を隔てるチャンネル壁の上面と前記カバー基板との間に間隙を設けた領域である間隙部を確保するための間隙部凹部が形成されたものであることが好ましい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 圧電基板、2 インク室、3 電極引出し部、4 カバー基板、5 インク供給部、6 間隙部、7 ローラ、9 接着剤、10 塗布版、11 (実接合領域より小さい)領域、12 実接合領域、13 非接合領域、15 親液領域、16 撥液領域、19 (本来の)インク室長さ、20 見かけのインク室長さ。
Claims (12)
- インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板において他方の基板に向かって最も高く突出している部分の上面をさらに前記他方の基板に当接する実接合領域と前記他方の基板に当接しない非接合領域とに区別し、前記実接合領域および前記非接合領域のうち前記実接合領域にのみ接着剤を塗布する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含む、インクジェットヘッドの製造方法。 - インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、
凹凸形状が形成された主表面を有する塗布版に接着剤を塗布した後に、前記主表面から前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板に対して前記接着剤を転写する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含む、インクジェットヘッドの製造方法。 - 前記塗布版の前記凹凸形状は、前記一方の基板において他方の基板に接合される領域である実接合領域に対応する領域を高部として他の領域を低部としたものである、請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記塗布版の前記凹凸形状には、他方の基板における前記一方の基板に対向する面の凹凸形状が含まれている、請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記塗布版において前記一方の基板に当接すべき面のうちいずれかの部位における前記凹凸形状の高低差が、他方の基板において前記部位に対向する箇所に設けられた凹凸の高低差より大きくなっている、請求項2から4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- インクチャンネルを構成するためのチャンネル溝が表面に形成された圧電基板と、前記インクチャンネルにインクを供給するための共通インク室を構成するための共通インク室凹部が表面に形成されたカバー基板とを貼り合わせる工程を含むインクジェットヘッドの製造方法であって、
接着剤に対する親和性の度合いが互いに異なる第1領域および第2領域が形成された主表面を有する塗布版の前記主表面に前記接着剤を塗布した後に、前記主表面から前記圧電基板および前記カバー基板のうち一方の基板に対して前記接着剤を転写する工程を、前記貼り合わせる工程の前に含む、インクジェットヘッドの製造方法。 - 前記塗布版の前記主表面における前記第1領域と前記第2領域との間の前記接着剤に対する接触角の差が60°以上である、請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記塗布版の表面のうち前記一方の基板に当接する領域は弾性体で形成されている、請求項2から7のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記弾性体は50°Hs以上80°Hs以上のゴム硬度を有する、請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記接着剤を転写する工程において前記塗布版と前記一方の基板とが当接する領域の面積は、前記貼り合わせる工程において前記一方の基板と他方の基板とが当接する領域の面積よりも小さくなっている、請求項1から9のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記カバー基板は、前記共通インク室凹部のほかに、前記共通インク室の前記インクチャンネル側に隣接して前記圧電基板の前記チャンネル溝同士を隔てるチャンネル壁の上面と前記カバー基板との間に間隙を設けた領域である間隙部を確保するための間隙部凹部が形成されたものである、請求項1から10のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記貼り合わせる工程において前記一方の基板と他方の基板とが当接する領域の面積をSとし、前記貼り合わせる工程の前に前記一方の基板に塗布された前記接着剤の層の厚みをT1とし、前記貼り合わせる工程の後での前記接着剤の層の厚みをT2とし、前記インクチャンネルの長さをLとし、前記間隙部の幅をWとし、前記間隙部における前記カバー基板と前記チャンネル壁の上面との距離をHとし、前記間隙部の数をnとしたときに、
T1≦T2+0.05nHWL/S
なる関係を満たすようにT1が定められて前記一方の基板への前記接着剤の塗布が行なわれる、請求項11に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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JP2006047199A JP2007223173A (ja) | 2006-02-23 | 2006-02-23 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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US20130139944A1 (en) * | 2011-12-05 | 2013-06-06 | Canon Kabushiki Kaisha | Method of manufacturing liquid ejection head |
-
2006
- 2006-02-23 JP JP2006047199A patent/JP2007223173A/ja not_active Withdrawn
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US8955223B2 (en) | 2011-12-05 | 2015-02-17 | Canon Kabushiki Kaisha | Method of manufacturing liquid ejection head |
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