JP2007221471A - 移動局装置及び同装置における送信電力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基地局100から受信されるTPCコマンドに基づいて前記基地局100への送信電力を制御する移動局1において、複数の前記基地局100から受信された複数の前記TPCコマンドを重み付け合成するための重み付け合成手段114,115,116,118と、前記重み付け合成手段114,115,116,118による合成結果に基づいて基地局100への送信電力を制御する送信電力制御手段132とをそなえるように構成する。
【選択図】図1
Description
HSDPAでは、適応符号化変調方式を採用しており、例えば、QPSK変調方式と16値QAM方式とを基地局、移動局装置(以下、移動局または移動機ともいう)間の無線環境に応じて適応的に切り換えることを特徴としている。
HS−SCCH、HS−PDSCHは、双方とも下り方向(即ち、基地局から移動局への方向)の共通チャネルであり、HS−SCCHは、HS−PDSCHにて送信するデータに関する各種パラメータを送信する制御チャネルである。各種パラメータとしては、例えば、どの変調方式を用いてHS−PDSCHによりデータを送信するかを示す変調タイプ情報や、拡散符号の割当て数(コード数)、送信データに対して行なうレートマッチングのパターン等の情報が挙げられる。
次に、HSDPAにおけるチャネル構成について説明する。
図7は、HSDPAにおけるチャネル構成を示すための図である。なお、W−CDMAは、符号分割多重方式を採用するため、各チャネルは符号により分離されている。
まず、説明していないチャネルについて簡単に説明する。
CPICHは、移動局においてチャネル推定、セルサーチ、同一セル内におけるほかの下り物理チャネルのタイミング基準として利用されるチャネルであり、いわゆるパイロット信号を送信するためのチャネルである。SCHは、厳密には、P−SCH(Primary SCH)とS−SCH(Secondary SCH)とがあり、各スロットの先頭の256チップでバースト状に送信されるチャネルである。なお、SCHは、3段階セルサーチを行なう移動局によって受信され、スロット同期、フレーム同期を確立するために用いられる。
図7に示すように、各チャネルは、15個のスロット(各スロットは、2560チップ長相当)により1フレームを構成している。先に説明したように、CPICHは他のチャネルの基準として用いられるため、SCH及びHS−SCCHのフレームの先頭はCPICHのフレームの先頭と一致している。
即ち、HS−SCCHの第1サブフレームAでHS−PDSCHの送信予告を通知された移動局は、2スロット遅れのHS−PDSCH(第1サブフレームE)を復調、復号し、CRCチェックを行なってエラーの有無を検出する。
ただし、ACK信号、NACK信号を次のサブフレームで繰り返して送信するため、同じ移動局宛てに、次のサブフレームFを含め、後続するN個のサブフレームで、HS−PDSCHを送信してはならない。
ここで、遠近問題とは次のような現象のことをいう。
一般的に、無線電波は、伝送距離が大きくなるほど減衰量も大きくなる。例えば、CDMA方式の通信システムでは、複数の移動局(ユーザ)が使用する周波数帯域が同一周波数帯域に混在しているため、基地局の直近に位置する移動局が送信する信号の送信電力が大きい場合は、前記移動局よりも遠方に位置する他の移動局からの送信信号が直近の移動局の送信信号から干渉を受け、移動局と基地局との間の送受信に影響するという現象が発生する。
なお、図9にDPDCHおよびDPCCHが取る値を示す。この図9に示すように、1スロットには、49通りのフォーマットが規定されており、それぞれ、チャネルビットレート、チャネルシンボルレート等が規定されているが、TPCビットのビット数(NTPC)については2,4,8,16の4通りのいずれかになる。
レイク合成器203では、入力信号についてレイク合成処理を施し、その合成信号について、チャネル復号器205にて、チャネル復号処理が施される。そして、その復号データを基にBLER測定部206により受信信号のBLERが測定され、その測定BLERと目標BLERメモリ208に記憶されている目標BLERとの差分が加算器207にて検出され、当該差分を基に目標SIRが目標SIR算出部210にて算出される。
ここで、DPCCHにマッピングされるTPCビットは、スロットフォーマットに応じて複数ビット(2,4,8,16のいずれかのビット数)で構成されるため、(図9参照)、TPCシンボル軟判定部223にて、スロットフォーマット判定がなされ(図14のステップS200)、複数のTPCシンボルについて軟判定合成され(図14のステップS201,S202)、これにより得られた各無線リンク(RL)(基地局200−1,200−2)からのTPCコマンドがTPCコマンド判定部224により硬判定合成される(図14のステップS203)。
上述のごとく各TPC処理部201−1,201−2でそれぞれ検出された各RLからのTPCコマンドは、TPCコマンド合成部225にて合成され、全RL(図14ではRL#i(i=1〜n))から受信したTPCコマンドが全て1(送信電力を上げろ)の場合に送信電力を上げる制御を行ない(1を出力)、それ以外の場合(全RLから受信したTPCコマンドのうち1つでも0である場合)には送信電力を下げる(DOWN)制御を行なう(0を出力する)(図14のステップS205,S206)。
上述したように、TPCビットはDPCCHにマッピングされ、スロットフォーマットに応じて2,4,8,16ビットのいずれかになる。無線で送信した場合には、DPCCHは、I,Qマッピングされるため、ここでは例えば、QPSKでTPCビットが4ビットである場合について説明する。
ここで、軟判定合成では、TPCビットを0/1のみで判定せずに、アナログ的に判定する。
このとき受信側のI−Qコンスタレーションを見た場合は、図11(b)に示すようになる。これを、I,Q成分にそれぞれ分解して各ビットの総和を求めることにより、軟判定合成を行なう。
0.5+0.8-0.3+0.5=1.5 …(1)
そして、得られた総和(ここでは1.5)が0以上であるので、TPCコマンド(TPC_cmd)を1として電力増加(UP)要求であることを判定するのである。
即ち、硬判定合成では信号を1あるいは0のみで判定し、軟判定合成では0/1だけではなく、どの程度確からしいかの情報を基に判定を行なうのである。
従来のTPC処理方式においては、上述したごとく、1RL内ではTPCビットを軟判定合成して、その軟判定合成結果を硬判定合成することにより、そのRLがUP/DOWNのどちらを通知しているかを決定する。そして、複数RL間の合成は、各RLからのTPCコマンドを基に、1つのRLでもDOWNを指示したら、移動局201は送信電力を下げるように動作する。
TPC_cmd = ( (W1, W2, … WN), where TPC_cmd can take the values 1 or -1.…(2)
このアルゴリズムでは、複数の基地局200からのTPCコマンドは同じ条件のもと(重み付けなし)で処理され、それぞれ対等に判断される。また、後記非特許文献2によると、図12に示すように、その試験条件が規定されており、異なるRL(基地局200およびセル間)のTPCコマンド合成時の精度について規定されている。
さらに、後記特許文献3には、AAA(Adaptive Array Antenna)システムにおいて指向性アンテナを適用した場合に、各移動局に向けた指向性ビームが干渉し合わないように送受信先の移動局を選択し、選択した移動局に無線リソースを割り当てることを目的として、指向性ビームを決定するために移動局で受信した品質情報にSIR等を利用することが開示されている。
本発明は、上記のような課題に鑑み創案されたもので、基地局から移動局へのTPCコマンド(電力制御情報)の移動局での判定精度を向上させ、最適な送信電力を維持できるようにすることを目的とする。
(1)本発明の移動局装置は、基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて基地局装置への送信電力を制御する移動局装置であって、複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成する重み付け合成手段と、前記重み付け合成手段による合成結果に基づいて基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御手段とをそなえたことを特徴としている。
(3)さらに、本移動局装置は、前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、前記重み付け合成手段が、受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部をそなえて構成されてもよい。
(6)また、本発明の送信電力制御方法は、移動局装置において、基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて前記基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御方法であって、複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成し、その合成結果に基づいて基地局装置への送信電力を制御することを特徴としている。
(8)さらに、前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定してもよい。
(1)複数の基地局装置から送信された複数の電力制御情報を重み付け合成して、その合成結果に基づいて基地局装置への送信電力を制御するので、前記電力制御情報を誤認識し得る環境においても、電力制御情報の判定精度を向上させて、本来行なうべき送信電力制御を行なうことが可能となる。
(3)また、複数の基地局から送信される信号についての受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定するようにすれば、実際の受信品質の測定結果に基づいて信頼度の高い基地局からの電力制御情報に基づいて送信電力制御を行なうことができ、送信電力制御の誤制御をさらに低減することができる。
(6)さらに、前記受信品質の測定結果に応じて前記重み付け合成の有効又は無効を制御するようにすれば、重み付け合成を行なう必要の無い場合(例えば、全ての基地局の受信品質が閾値を超える場合など)で重み付け合成を無効とすることもでき、重み付け合成処理の処理負荷を削減しつつ、移動局装置と基地局装置との位置関係(受信品質の関係)に応じて適切な送信電力制御を実現することが可能となる。
〔A〕一実施形態の説明
図1は、本発明の一実施形態に係る移動通信システムの構成を基地局装置及び移動局装置の要部の構成に着目して示すブロック図である。この図1では、2台の基地局装置100−1,100−2(Node-B#1,Node-B#2)と、1台の移動局装置(以下、単に「移動局」という)1とに着目しており、基地局装置(以下、単に「基地局」という)100−1,100−2(区別しない場合は、基地局100と表記する)は、それぞれ、例えば、マッチトフィルタ(Matched filter)102と、レイク合成器(Rake combiner)103と、SIR測定部(SIR measurement after side diversity)104と、チャネル復号器(Channel decoder)105と、ブロックエラーレート(BLER)測定部(BLER measurement)106と、加算器107,109と、目標BLER(Target BLER)メモリ108と、目標SIR算出部(Target SIR)110と、TPCコマンド生成部(TPC command generator)111とをそれぞれそなえて構成される。
SIR測定部104は、上記マッチトフィルタ102による逆拡散後の受信信号についてのSIRを測定するものであり、加算器(減算器)109は、このSIR測定部104で測定されたSIRと上記目標SIR算出部110により得られた目標SIRとの差分を検出するものであり、TPCコマンド生成部111は、当該差分に基づいてTPCコマンド(電力制御情報)を生成するものである。
レイク合成器103は、入力信号についてレイク合成処理を施し、その合成信号について、チャネル復号器105にて、チャネル復号処理が施される。そして、その復号データを基にBLER測定部106により受信信号のBLERが測定され、その測定BLERと目標BLERメモリ108に記憶されている目標BLERとの差分が加算器107にて検出され、当該差分を基に目標SIRが目標SIR算出部110にて算出される。
ここで、各TPC処理部101−1,101−2において、DPCH用のマッチトフィルタ119は、図示しない受信アンテナを通じて複数の基地局100から受信された下り信号(ダウンリンクの信号)についてDPCH用のチャネライゼーションコードにより逆拡散処理を施してDPCHの信号を分離、抽出するものであり、CPICH用のマッチトフィルタ120は、前記受信アンテナを通じて複数の基地局100から受信した信号についてCPICHのチャネライゼーションコードにより逆拡散処理してCPICHの信号(つまり、パイロット信号)を分離、抽出するもので、DPCHの受信信号は各チャネル推定部121,122と乗算器123,124とに入力され、CPICHの受信信号(パイロット信号)は各チャネル推定部121,122に入力されるようになっている。
そして、レイク合成器125,126は、それぞれ、当該チャネル補償後の受信信号に対して、レイク合成処理を施すものであり、加算器127は、当該レイク合成処理後の信号を加算(合成)するものである。
また、TPCシンボル軟判定部128は、加算器127により得られた合成信号に対して軟判定合成処理を施して、TPCコマンドを生成するものである。
なお、HS−SCCH及びHS−PDSCHの信号が受信(復調、復号)されたということは、当該HS−SCCH及びHS−PDSCHの信号を受信している基地局100がメインの通信相手、換言すれば、各基地局100のうち最も受信品質に関して信頼性の高い基地局100(これをサービングセルという)であることを意味している。また、上記HS−SCCH復調/復号部129は、基地局100からの信号について受信品質(SIR値)を測定する機能も具備しており、受信品質測定手段として機能することができるようになっている。
られた合成結果が0よりも大きい場合は送信電力を上げる制御信号が、それ以外の場合(当該合成結果が0以下である場合)は送信電力を下げる制御信号を移動局1の送信電力制御部132へと供給するようになっている。
送信電力制御部(送信電力制御手段)132は、TPCコマンド合成部116から出力されるTPCコマンド(ΔTPC)に基づいて、移動局1での送信電力制御を行なうもので
あり、例えば、当該TPCコマンドが1である場合に送信電力を上げる制御を行ない、また、当該TPCコマンドが0である場合に送信電力を下げる制御を行なうものである。
この図2において、TPC重み付け係数生成部118は、重み付け要素平均化部(Weight Factor Averaging)133と、重み付け係数計算処理部(Weight Calculation Processor)134とをそなえて構成される。
また、上記の重み付け係数計算処理部134は、複数の基地局100のうちいずれかの基地局100(例えば、サービングセル)からのTPCコマンドに対する重み付け係数を他の基地局100からのTPCコマンドに対する重み付け係数よりも高く設定するとともに、HS−SCCH復調/復号部129で測定された受信品質(SIR値)が高い信号を送信する基地局100からのTPCコマンドに対する重み付け係数を前記SIR値の低い信号を送信する基地局100からのTPCコマンドに対する重み付け係数よりも高く設定することもできるようになっている。
さらに、上記の重み付け係数計算処理部134は、例えば、上記HS−SCCH復調/復号部129で測定された複数の基地局100が送信する信号についての各SIR値が全て前記閾値よりも大きいような場合は各基地局100からのTPCコマンドに対する重み付け係数を一律1とすることで、あたかも重み付け処理を行なわないかのようにもできる。
以下、上述のごとく構成された本実施形態の移動局1での動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
さらに、TPCシンボル軟判定部128にて、スロットフォーマット判定がなされるとともに(図4のステップS100)、複数のTPCシンボルについて軟判定合成され(図4のステップS101,S102)、これにより得られた各無線リンク(RL#1〜#n:nは2以上の整数で基地局数に対応する)からのTPCコマンドが軟判定合成処理結果として出力される(図4のステップS103)。
そして、生成された上記重み付け係数は、乗算器114,115により、TPCシンボル軟判定部128から出力される軟判定合成処理結果と乗算されて、TPCコマンド合成部116に入力される。TPCコマンド合成部116は、このように重み付け係数を乗じられて重み付けされた各RL#i(i=1〜n)についての軟判定合成処理結果をさらに合成(加算)して(図4のステップS110)、制御信号ΔTPCを生成する。
以下の場合は移動局1での送信電力を下げるための制御信号(ΔTPC=0)を生成し(図
4のステップS111,S112)、送信電力制御部132へ出力するのである。
3)。
次に、上述した各種設定信号とそれに基づいた重み付け係数生成処理のパターンを示した図3を用いて、重み付け係数計算処理部134の動作を具体的に説明する。
MODE1は、SIR要素ON/OFF設定信号及びサービングセル判定ON/OFF設定信号がともにOFFの状態のときの重み付け係数計算処理部134の動作モードである。
本MODE1において、重み付け係数計算処理部134は、各基地局100から受信する信号のSIR値(受信品質測定結果)や、当該基地局100がサービングセルであるか否かの識別結果には依存せず、TPC重み付け係数生成部118に内蔵のメモリ等の記憶装置(図示省略)に予め設定された所定値をTPC重み付け係数として出力する。ここでは、例えば、基地局100−1,100−2からの軟判定合成結果に付加されるTPC重み付け係数α1,α2としてそれぞれW1,W2が設定されているものとする。
本MODE1におけるTPC重み付け係数W1,W2の値はユーザが自由に設定することができ、例えば、基地局100−1と移動局1との間の距離が、基地局100−2と移動局1との間の距離よりも大きく、移動局1における基地局100−1との通信品質が、基地局100−2との通信品質よりも劣っている傾向にあることが予め判明しているような場合は、基地局100−1から送信されたTPCコマンドの移動局1での軟判定合成結果に乗じるTPC重み付け係数W1を、基地局100−2から送信されたTPCコマンドの移動局1での軟判定合成結果に乗じるTPC重み付け係数W2よりも小さく設定する。
また、例えば、全ての基地局100−1,100−2との通信品質の信頼度が高いことが予め分かっているような場合には、W1,W2をともに1に設定することであたかも重み付け処理を行なわないような送信電力制御を行なうこともできる。この場合、重み付け処理の簡素化及び高速化を図ることも可能となる。
図5(a)は重み付け処理を施される前の各基地局100(RL#1,RL#2,RL#3)(つまり、ここでは、基地局数を3としている)からのTPCコマンドの大きさ、及び、それらの合成(加算)結果の一例を示す図である。
このような場合、各基地局100(RL#1〜RL#3)からのTPCコマンドの軟判定合成結果は、(+2)+(+1)+(−4)=−1となり、合成結果が0以下であるので、送信電力を下げる制御が行なわれてしまう。
この図5(b)に示す例においても、図5(a)に示した例と同様、RL#1からのTPCコマンド値を「+2」、RL#2からのTPCコマンド値を「+1」、RL#3からのTPCコマンド値を「−4」としている。そして、例えば、各RL#1,#2,#3に対する重み付け係数をそれぞれ、W1=1.0、W2=0.5、W3=0.5とする。即ち、RL#1の通信品質が他のRL#2,RL#3よりも高いことが予め判明している場合の重み付け処理を想定している。
MODE2は、図3に示すように、SIR要素ON/OFF設定信号がOFFであり、且つ、サービングセル判定ON/OFF設定信号がONの状態のときの重み付け係数計算処理部134の動作モードであり、本モードにおいて、重み付け係数計算処理部134は、通信相手の基地局100がサービングセルであるか否かに基づいてTPC重み付け係数を生成する。
ここで、βの値には、他の重み付け係数W2よりも大きい値が設定される(例えば、W2を0.2とし、βを1.2などと設定する)。なぜなら、サービングセルであるRL#1の通信品質は、他のRLの通信品質よりも一般的に優れており、RL#1から受信されるTPCコマンドが、移動局1おいて誤認識される可能性は極めて低いからである。
移動局1と基地局100との間で主にパケット通信が主に行なわれるような状況においては、HSDPAでは、サービングセルとなる基地局100は1つであるので、上述のMODE2の動作モードを選択することにより、送信電力制御を確実に行なうことが可能となるが、音声呼のサービス(パケット通信と音声呼通信の双方が行なわれるテレビ電話のようなサービスも含む)が行なわれるような状況においては、複数の基地局100からの信号を合成受信する場合もある。
即ち、本モード(MODE3)は、図3に示すように、SIR要素ON/OFF設定信号がONであり、且つ、サービングセル判定ON/OFF設定信号がOFFの状態のときの重み付け係数計算処理部134の動作モードであり、本MODE3において、重み付け係数計算処理部134は、通信相手の基地局100との間のダウンリンクの受信品質(SIR測定結果)に基づいてTPC重み付け係数を生成する。
ここで、図6(a)、図6(b)を用いて上記の重み付け処理による効果を具体的に説明する。
この図6(a)に示す例では、RL#1からのTPCコマンド値を「+2」、RL#2からのTPCコマンド値を「+1」、RL#3からのTPCコマンド値を「−4」とし、RL#3からのTPCコマンドが移動局において誤認識されている状態を示している。
これに対して、本MODE3による重み付け処理を行なった場合の各RL#1,RL#2,RL#3からのTPCコマンドの大きさ、各RL#1,RL#2,RL#3のSIR測定結果S1,S2,S3、各SIR測定結果に対するSIR重み付け率γ1,γ2,γ3、及び、重み付け処理後のTPCコマンドの合成(加算)結果を図6(b)に示す。
例えば、SIR値とTPCビット誤り率により対応付けする場合では、SIR=2dBの時のTPCビット誤り率が80%であったとするならば、正しいTPCコマンド結果が受信できるのは、0から1の分布において0.2として重み付け係数を生成するのである。
例えば、重み付け係数計算処理部134が、各基地局100のSIR測定結果のうち所定の閾値(受信品質)を超えるSIRを有する基地局数をカウントし、その数が1つであるような場合には、MODE2を選択することにより最もSIRの高い基地局(サービングセル)からのTPCコマンドのみの重み付け係数を大きくし、前記所定の閾値(受信品質)を超えるSIRを有する基地局数が2以上の場合などには、MODE3を選択して重み付け係数を生成する。
本MODE4は、上記MODE2を選択時の重み付け係数計算処理部134の動作と、上記MODE3を選択時の重み付け係数計算処理部134の動作とを併用して重み付け係数を決定するモードに相当する。
即ち、本MODE4は、図3中に示すように、SIR要素ON/OFF設定信号がONであり、且つ、サービングセル判定ON/OFF設定信号がONの状態のときの重み付け係数計算処理部134の動作モードであり、本MODE4において、重み付け係数計算処理部134は、通信相手の基地局100との受信品質(SIR測定結果)と、通信相手の基地局100がサービングセルであるかどうかの識別結果とに依存してTPC重み付け係数を生成する。
図6(b)に示す例において、RL#1がサービングセルである場合の本MODE4による重み付け合成処理について説明する。例えば、RL#1,RL#2,RL#3のSIR測定結果をそれぞれ、S1=10dB,S2=7dB,S3=2dBとし、また、各SIR測定結果に付されるSIR重み付け率を、γ1=γ2=γ3=0.1とし、さらに、サービングセル重み付け係数を、β=1.0とする。
なお、上記の移動局1は、必ずしも上述した各種機能をすべて具備している必要はない。例えば、上述したMODE1〜4の機能を全てそなえる必要はなく、その場合には、各MODEで使用されない機能を図1及び図2の構成から削除すれば良い。
〔B〕付記
(付記1)
基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する移動局装置であって、
複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成する重み付け合成手段と、
該重み付け合成手段による合成結果に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御手段とをそなえたことを特徴とする、移動局装置。
該重み付け合成手段が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の移動局装置。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、
該重み付け合成手段が、
該受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の移動局装置。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、
該重み付け合成手段が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理部と、
該受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部と、
該受信品質測定手段で測定された受信品質のうち所定の閾値を超える基地局装置の数に応じて動作させる前記重み付け処理部を選択する選択部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の移動局装置。
該選択部が、
前記閾値を超える基地局装置が1つである場合に該第1重み付け処理部を選択し、前記閾値を超える基地局装置が2以上ある場合に該第2重み付け処理部を選択すべく構成されたことを特徴とする、付記4記載の移動局装置。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、
該重み付け合成手段が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理部と、
該受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部と、
該第1重み付け処理部で設定された重み付け係数と該第2重み付け処理部で設定された重み付け係数とを合成する重み付け係数合成部とをそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の移動局装置。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段と、
該受信品質測定手段での測定結果に応じて該重み付け合成手段による前記重み付け合成の有効又は無効を制御する重み付け合成制御手段とをさらにそなえたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の移動局装置。
移動局装置において、基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御方法であって、
複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成し、
その合成結果に基づいて該基地局装置への送信電力を制御することを特徴とする、移動局装置における送信電力制御方法。
該移動局装置が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定することを特徴とする、付記8記載の移動局装置における送信電力制御方法。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定することを特徴とする、付記8記載の移動局装置における送信電力制御方法。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理モードと、前記測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理モードとを、前記測定した受信品質のうち所定の閾値を超える基地局装置の数に応じて選択することを特徴とする、付記8記載の移動局装置における送信電力制御方法。
前記閾値を超える基地局装置が1つである場合に該第1重み付け処理モードを選択し、前記閾値を超える基地局装置が2以上ある場合に該第2重み付け処理モードを選択することを特徴とする、付記11記載の移動局装置における送信電力制御方法。
(付記13)
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
第1重み付け処理モードにおいて、前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定するとともに、第2重み付け処理モードにおいて、前記測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定し、
該第1重み付け処理モードにおいて設定された重み付け係数と該第2重み付け処理モードにおいて設定された重み付け係数とを合成することを特徴とする、付記8記載の移動局装置における送信電力制御方法。
前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
その測定結果に応じて前記重み付け合成の有効又は無効を制御することを特徴とする、付記8〜13のいずれか1項に記載の移動局装置における送信電力制御方法。
100、100−1、100−2 基地局装置
101−1,101−2 TPC処理部
102 マッチトフィルタ(Matched filter)
103、125、126 レイク合成器(Rake combiner)
104 SIR測定部(SIR measurement after side diversity)
105 チャネル復号器(Channel decoder)
106 ブロックエラーレート(BLER)測定部(BLER measurement)
107、109、112、127 加算器
108 目標BLER(Target BLER)メモリ
110 目標SIR算出部(Target SIR)
111 TPCコマンド生成部(TPC command generator)
113 チャネル復号器(Channel decoder)
114、115、123、124 乗算器
116 TPCコマンド合成部(TPC Command Combiner)
117 HSチャネル受信処理部(HS Receiver)
118 TPC重み付け係数生成部(TPC weight generation UNIT)
119 DPCH用のマッチトフィルタ
120 CPICH用のマッチトフィルタ
121、122 チャネル推定部(Channel estimation)
128 TPCシンボル軟判定部(TPC symbol Soft decision)
129 HS−SCCH復調/復号部(HS-SCCH Demodulator/Decoder)
130 HS−PDSCH復調/復号部(HS-PDSCH Demodulator/Decoder)
131 サービングセル識別部(Serving/Non-Serving CELL IDENTIFICATION UNIT)
132 送信電力制御部(Power Control Unit)
133 重み付け要素平均化部(Weight Factor Averaging)
134 重み付け係数計算処理部(Weight Calculation Processor)
Claims (10)
- 基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する移動局装置であって、
複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成する重み付け合成手段と、
該重み付け合成手段による合成結果に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御手段とをそなえたことを特徴とする、移動局装置。 - 該重み付け合成手段が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理部をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1記載の移動局装置。 - 前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、
該重み付け合成手段が、
該受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1記載の移動局装置。 - 前記複数の基地局装置からの受信品質を測定する受信品質測定手段をさらにそなえるとともに、
該重み付け合成手段が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理部と、
該受信品質測定手段で測定された受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理部と、
該受信品質測定手段で測定された受信品質のうち所定の閾値を超える基地局装置の数に応じて動作させる前記重み付け処理部を選択する選択部とをそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1記載の移動局装置。 - 該選択部が、
前記閾値を超える基地局装置が1つである場合に該第1重み付け処理部を選択し、前記閾値を超える基地局装置が2以上ある場合に該第2重み付け処理部を選択すべく構成されたことを特徴とする、請求項4記載の移動局装置。 - 移動局装置において、基地局装置から受信される電力制御情報に基づいて該基地局装置への送信電力を制御する送信電力制御方法であって、
複数の前記基地局装置から受信された複数の前記電力制御情報を重み付け合成し、
その合成結果に基づいて該基地局装置への送信電力を制御することを特徴とする、移動局装置における送信電力制御方法。 - 該移動局装置が、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定することを特徴とする、請求項6記載の移動局装置における送信電力制御方法。 - 前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定することを特徴とする、請求項6記載の移動局装置における送信電力制御方法。 - 前記複数の基地局装置からの受信品質を測定し、
前記複数の基地局装置のうちいずれかの基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を他の基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数よりも高く設定する第1重み付け処理モードと、前記測定した受信品質が高い基地局装置からの電力制御情報についての重み付け係数を前記受信品質の低い基地局装置からの電力制御情報についての重み付けよりも高く設定する第2重み付け処理モードとを、前記測定した受信品質のうち所定の閾値を超える基地局装置の数に応じて選択することを特徴とする、請求項6記載の移動局装置における送信電力制御方法。 - 前記閾値を超える基地局装置が1つである場合に該第1重み付け処理モードを選択し、前記閾値を超える基地局装置が2以上ある場合に該第2重み付け処理モードを選択することを特徴とする、請求項9記載の移動局装置における送信電力制御方法。
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