JP2007221208A - 動画像符号化方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】符号化に適応化した動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを符号化の前処理として行うことにより、符号化効率を向上させることを可能にする。
【解決手段】動画像符号化装置は、動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う予測符号化を行う仮符号化部101と、ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うプレフィルタ103と、前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って予測符号化を行う本符号化部105とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】動画像符号化装置は、動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う予測符号化を行う仮符号化部101と、ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うプレフィルタ103と、前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って予測符号化を行う本符号化部105とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、動画像符号化方法および装置に係り、特に動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを符号化の前処理として用いる動画像符号化方法および装置に関する。
動画像を符号化する場合に、前処理として時間方向フィルタリングを行うことは公知である。例えば、特許文献1には符号化によって発生する視覚的に目立つ画質劣化を抑制するため、予め入力動画像の高周波成分を削減するか、またはノイズレベルを低減することが開示されている。特許文献2には、与えられた伝送ビットレートで十分な画質を得るために全体的な符号量の割り当てを制御する符号化方法において、動きが速く予測残差が大きくなる画像間に予めローパスフィルタをかけることによって画像をぼかし、予測を当たりやすくすることによって予測残差の発生を抑制する技術が開示されている。
一方、非特許文献1にはスケーラブルビデオコーディング規格策定の中で検討された、動き補償付き時間方向フィルタリング(motion compensated temporal filtering:MCTF)を動画像符号化のプレフィルタに用いることにより、特定の動画像において符号化効率が向上するということが示されている。MCTFは、1次元ウェーブレットを用いて動き補償を伴う時間方向サブバンド分割を行い、入力動画像を時間方向について高周波成分(予測残差フレーム)と低周波成分(平均フレーム)に分離する手法である。
特開平9‐107549公報
特開平10‐108197公報
H. Schwarz, D. Marpe, and T. Wiegand, "Comparison of MCTF and closed-loop hierarchical B pictures", Joint Video Team, Doc. JVT-P059, Poznan, July, 2005.
プレフィルタとしての時間方向ローパスフィルタは、一般にフレームメモリを使ったリカーシブフィルタの形式をとる。このようなフィルタでは、符号化しようとする入力動画像を過去に符号化した画像を使って逐次平均化することによって画像をぼかすため、一般的に符号化効率は低下する。特許文献1及び特許文献2の符号化方法は、何れも符号化効率の低下を最小限に抑え、且つ主観画質を向上させるように適応化されており、符号化効率を向上させる効果は持たない。
一方、非特許文献1に記載された技術においても、符号化効率を向上させるために適応化したプレフィルタリングを行うことはできない。非特許文献1の手法では、前段のプレフィルタ(MCTF)による動き補償付き時間方向フィルタリング(ローパスフィルタ処理)と、後段の符号化処理は完全に独立して行われる。動き補償付き時間方向フィルタリングによる符号化効率向上の効果を十分に得るためには、フィルタをかける位置(動き推定によって決定される画像間の対応画素)を後段の符号化処理に対して適応化する必要がある。さらに、フィルタの高域阻止特性についても後段の符号化処理に対して適応化することが望まれる。しかしながら非特許文献1では、このような適応化について何ら考慮されていない。
本発明は、プレフィルタを適用する位置を後段の符号化処理における予測に適応して予め決定でき、さらには後段の符号化処理に適したプレフィルタの高域阻止特性制御を行うことを可能とする動画像符号化方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う第1の予測符号化を行う第1の符号化ステップと;ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うフィルタリングステップと;前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って第2の予測符号化を行う第2の符号化ステップと;を具備する動画像符号化方法を提供する。
本発明の他の態様によると、動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う第1の予測符号化を行う第1の符号化部と;ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うプレフィルタと;前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って第2の予測符号化を行う第2の符号化部と;を具備する動画像符号化装置を提供する。
本発明によれば、後段の第2の符号化処理と同様の処理で予測符号化を行う第1の符号化処理をプレフィルタの前段に置くことによって、第2の符号化処理に用いる予測データを予め検出し、それを用いて動き補償を伴う時間方向のローパスプレフィルタリングを行うことができる。さらに、ローパスプレフィルタリングの高域阻止特性を予測符号化で用いる量子化パラメータに基づいて制御することによって、符号化効率を向上させるために適応化した高域阻止特性の制御を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る動画像符号化装置の構成を示している。図1の動画像符号化装置は、符号化制御部100、仮符号化部101、フレームメモリ102、プレフィルタ103、予測データメモリ104及び本符号化部105を備えている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る動画像符号化装置の構成を示している。図1の動画像符号化装置は、符号化制御部100、仮符号化部101、フレームメモリ102、プレフィルタ103、予測データメモリ104及び本符号化部105を備えている。
仮符号化部101と本符号化部105は、基本的に同様の構成を有する。例えば、仮符号化部101と本符号化部105は共にMPEG−2やH.264/MPEG−4AVCといった従来の動画像符号化方式と同様に、所謂ハイブリッド符号化方法を用いて動画像信号の予測符号化を行う。
ハイブリッド符号化では、入力動画像を所定の画素数の画素ブロックに分割し、当該画素ブロック毎に動き推定を行って動きベクトルを検出する。検出された動きベクトルに従って動き補償フレーム間予測を行い、それによって得られる予測画像信号と入力動画像信号との間の差分である予測残差信号に対してDCT(離散コサイン変換)のような直交変換を行う。最後に、直交変換によって得られる変換係数をエントロピー符号化することにより、入力動画像信号に対応した符号化データを生成する。
具体的に説明すると、仮符号化部101は入力動画像信号に対して動き推定を伴う予測符号化を行うことによって、画素ブロック毎に(a)動きベクトル、(b)当該動きベクトルが参照する参照画像のインデクス、及び(c)符号化モード(例えば4×4画面内予測や16×16画面間予測)、といった情報を示す予測データを生成する。生成された予測データは、予測データメモリ104に記憶される。
フレームメモリ102は、入力動画像信号を1GOP(group of picture)分取得して記憶し、さらに後述するプレフィルタ103によって生成されたローパスフィルタ処理された画像信号(以下、ローパスフィルタ処理画像信号という)を記憶する。
プレフィルタ103は、予測データメモリ104から読み込んだ予測データ及びフレームメモリ102から読み込んだ入力動画像信号を用いて、動き補償を伴う時間方向フィルタリング(動き補償付き時間方向ローパスフィルタリング)を行い、前記ローパスフィルタ処理画像信号を生成する。
本符号化部105は、プレフィルタ103によって生成されたローパスフィルタ処理画像信号を含む1GOP分の画像信号をフレームメモリ102から読み込み、当該画像信号について予測符号化を行って符号化データを出力する。
符号化制御部100は符号化処理全体の制御、例えば仮符号化部101及び本符号化部105における画像の符号化順序を決める予測構造の制御と、仮符号化部101、プレフィルタ103及び本符号化部105における量子化パラメータの制御等を行う。ここで、予測構造及び量子化パラメータを総称して符号化パラメータと呼ぶことにする。
本実施形態では、符号化制御部100によって仮符号化部101の符号化パラメータ(特に予測構造)を本符号化部105の符号化パラメータと同様に制御することにより、後段の本符号化部105での符号化処理に適応した予測データを予め仮符号化部101において生成することができる。
また、プレフィルタ103において当該予測データに基づいた動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを実行することができる。
さらに、符号化制御部100によって制御される符号化パラメータに基づいてプレフィルタ103におけるローパスフィルタ処理の高域阻止特性を適応的に制御することにより、後述する時間方向フィルタリングの効果によって符号化効率を効果的に向上させることができる。
次に、図2(a)(b)、図3(a)(b)及び図4(a)(b)を用いて図1の動画像符号化装置によって符号化を行う際の予測構造と、それに対応してプレフィルタ103において行われる動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングの例を説明する。
図2(a)は、1GOPのフレーム数(M)が4の場合において、時間的に連続する4つのフレームf0〜f4を階層構造で予測符号化する際の予測構造の例を示す図であり、図の矢印は予測の方向を表す。最初に符号化されるフレームf0は、当該フレームf0のみで符号化されるIピクチャである。2番目に符号化されるフレームf4は、符号化済みのフレームf0を用いて片方向予測によって予測符号化されるPピクチャである。フレームf1〜f3は、双方向予測で予測符号化されるBピクチャであり、この場合は階層構造であるため、f2,f1,f3の順に予測符号化される。
符号化制御部100は、本符号化部105の符号化パラメータを本符号化部105での予測構造が図2(a)となるように制御する場合、仮符号化部101についても予測構造が図2(a)になるように符号化パラメータの制御を行う。これにより仮符号化部101は、図2(a)の矢印で示した予測関係に基づいて予測データを生成することができる。
次いで、図2(a)の予測構造に従って生成した予測データに基づいて、プレフィルタ103において例えば図2(b)に示すような動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行う。図2(b)は、分割レベルが2のサブバンド分割によるMCTFの例を示している。
1回目の分割では、仮符号化部101により生成された予測データを用いてフレームf0,f2,f4にフィルタリングが施され、ローパスフィルタ処理画像L0,L2,L4が生成される。2回目の分割では、さらに1回目の分割で得られたローパスフィルタ処理画像のうちのL0,L4に対して、仮符号化部101により生成された予測データを用いてフィルタリングが施され、ローパスフィルタ処理画像LL0,LL4が新たに生成される。
このようにMCTFによって、1GOPのフレーム数Mが2nの階層予測構造の場合、n回の分割によってフィルタリングが行われる。図2(a)の例では、M=4であるため、図2(b)のように2回の分割によってフィルタリングが行われ、ローパスフィルタ処理画像LL0,L2,LL4が生成される。
次に、図2(b)に示されるローパスフィルタ処理画像L0,L2,LL4は、本符号化部105において図2(c)に示すように符号化される。すなわち、図2(a)のフレームf0,f2,f4は、プレフィルタ103によりローパスフィルタ処理画像LL0,L2,LL4に置き換えられてから図2(a)の予測構造に従って予測符号化される。
このように本実施形態では、本符号化部105の予測構造に合わせて予測に用いられる参照画像(M=4の図2(a)の例では、フレームf0,f2,f4)に対してのみ、プレフィルタ103によるフィルタリングが行われる。従って、例えば本符号化部105の予測構造が従来の動画像符号化方式で一般的に用いられるM=3、すなわち“IBBPBBPBBP・・・”となる図3(a)に示すような予測構造をとる場合、仮符号化部101により生成される予測データに従って図3(b)のようにローパスフィルタ処理画像L0,L3が生成される。Bピクチャであるf1,f2は、図3(c)のようにローパスフィルタ処理画像L0,L3を参照して予測符号化される。
次に、プレフィルタ103により動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行うことによる効果について、図4(a)(b)を用いて詳しく説明する。図4(a)(b)は、簡単のため画像内の画素を1次元信号で表している。図4(a)(b)において、時刻tの画像を参照画像、時刻t+1の画像を予測画像とする。すなわち、時刻tの画像から時刻t+1の画像が予測されるものとする。xt,xt+1は、それぞれ時刻t,t+1における原画像の画素値を表す。図4(a)はプレフィルタを用いずに通常の予測符号化を行った場合の予測残差dを示している。予測残差dは、次式のように表すことができる。
ここで、xt′は一度符号化され、動画像符号化装置の内部で得られる局部復号画像の画素を表す。
ここで、αはローパスフィルタの高域阻止特性を決定するパラメータであり、ここでは0≦α≦1の範囲の値をとる。αが0に近いほど弱いローパスフィルタ処理となり、1に近づくほど強いローパスフィルタ処理となる。このとき、プレフィルタ103によるフィルタリングを行った後の予測符号化における予測残差Hは、次式で表すことができる。
ここで、L′は局部復号画像の画素を表す。
図4(a)と図4(b)を比較してわかるように、式(1)のdと式(3)のHの関係は明らかにH≦dとなる。すなわち、プレフィルタ103により動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行うことによって、時刻t+1の予測残差はd−Hだけ小さくなる。これによって、時刻t+1の予測残差を直交変換及び量子化したときに生成されるゼロ係数が増加する。一般的に、予測残差の符号量は変換後の非ゼロ係数に比例し、ゼロ係数に反比例すると考えることができるので、ゼロ係数の増加により予測画像における符号量を減らすことができる。また、量子化誤差の影響を受ける非ゼロ係数の個数が減少するため、予測画像における符号化歪を低減する効果もあり、符号化効率が向上する。
一方、時刻tのローパスフィルタ処理画像Lには、量子化による符号化歪だけではなく、式(2)に示されるように原画像xtとの差Δが生じる。量子化パラメータが大きく、Δに対して十分大きい量子化幅で量子化される場合には、Δによる誤差は量子化誤差に吸収される。しかし、量子化パラメータが小さく、Δに対して小さい量子化幅で量子化される場合には、Δによる誤差の影響が無視できなくなる。従って、プレフィルタ103によるローパスフィルタリングの高域阻止特性は、参照画像における符号化歪の増加を抑えつつ予測画像の符号化効率を上げるように、本符号化部105での符号化における量子化パラメータに適応した制御がなされることが望ましい。
さらに、上述したようなプレフィルタ103の効果を十分に得るためには、本符号化部105の符号化過程で求められる動きベクトルが指し示す参照画像中の参照画素と、プレフィルタ103による動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを適用する画素が一致していることが望ましい。このためには、プレフィルタ103で用いる動きベクトルとして、本符号化部105の符号化処理において用いられるのと同じ動きベクトルを予め生成しておくことが望ましい。
本実施形態によると、本符号化部105と同様の構成を持ち、且つ符号化制御部100によって本符号化部105と同様に符号化パラメータが制御される仮符号化部101をプレフィルタ103の前段に置き、仮符号化部101により生成された予測データに基づいてプレフィルタ103で動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行うことによって、上述した符号化効率向上の効果を実現することができる。
次に、プレフィルタ103について詳細に説明する。図5は、プレフィルタ103の具体例を示している。図5において、動き補償部401は図1中のフレームメモリ102から参照画像信号、予測データメモリ104から予測データをそれぞれ読み込み、参照画像信号に対して予測データ中の動きベクトルを用いて動き補償を行う。減算器404は、フレームメモリ102から読み込んだ入力画像信号と動き補償部401からの動き補償後の画像信号との差分である予測残差信号を生成する。フィルタ係数制御部402は、減算器404からの予測残差信号と符号化制御部100からの量子化パラメータに基づいて、ローパスフィルタ403のフィルタ係数を制御する。ローパスフィルタ403は、減算器404からの予測残差信号とフィルタ係数制御部402によって制御されるフィルタ係数を用いて、フレーム102から読み込んだ参照画像信号に対してローパスフィルタリングを施す。符号化制御部100は、フィルタ係数制御部402において用いる量子化パラメータの制御等、プレフィルタ103全体の制御を行う。
次に、図6のフローチャートを用いてプレフィルタ103の動作を説明する。本実施形態では、プレフィルタ103による動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングとして、1次元ウェーブレットを利用したサブバンド分割によるローパスフィルタリングを用いる。さらに、本実施形態では予測残差信号を生成するハイパスフィルタとローパスフィルタを段階的に適用するリフティング操作によってフィルタ処理を行い、また一般的に用いられるフィルタの一例としてHaarフィルタを用いた場合の例を示す。しかしながら、プレフィルタ103は仮符号化部101により生成された予測データに基づいて動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行うローパスフィルタであれば、上記のようなフィルタに限られるものではない。
まず、プレフィルタ103はフィルタリングが適用される参照画像信号Aと、参照画像信号Aから予測される予測画像信号Bをフレームメモリ102から取得する(ステップS500〜S501)。例えば、図2(a)に示した階層構造の予測符号化の例によると、フレームf4の予測符号化時はフレームf0が参照画像信号に相当し、フレームf4が予測画像信号に相当する。フレームf2の予測符号化時はフレームf0,f4が参照画像信号に相当し、f2が予測画像信号に相当する。以下同様に、フレームf1の予測符号化時はフレームf0,f2が参照画像信号に相当し、f1が予測画像信号に相当し、フレームf3の予測符号化時はフレームf2,f4が参照画像信号に相当し、f3が予測画像信号に相当する。
次に、仮符号化部101において生成された予測データのうち画像信号A及びBを予測符号化するために用いた予測データを予測データメモリ104から読み込んで取得する(ステップS502)。
次に、ステップS502で取得された予測データの動きベクトルを用いて参照画像信号Aに対して動き補償を行う(ステップS503)。
ここで、x,yはフレーム内の画素の水平方向及び垂直方向の座標を表す。
次に、生成された予測残差信号hを用いて参照画像信号Aに対して動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングを行う。ここでは、図7に示すように例えば16×16画素、あるいは4×4画素を一つの単位とする画素ブロック毎にローパスフィルタリングを行う。このために、予測残差信号h内の所定の画素ブロックheを取得する。
ここで、前述したようにローパスフィルタリングの高域阻止特性を画素ブロック毎に適応的に変更する場合は、式(5)の代わりにフィルタ係数にかける重みW(0≦W≦1)を用いた次式を用いてローパスフィルタリングを行う。
式(7)において、しきい値f(QP)は量子化パラメータQPによって決まるしきい値であり、例えば図8のようにQPの増加に伴ってf(QP)が大きくなるように制御される。一方、動き推定の正確さが十分ではなく、予測残差のパワーEが大きくなる画素ブロックでは、しきい値f(QP)に応じてフィルタ係数が小さくなるように重み係数Wは制御される。このように重み係数Wを制御することによって、式(6)のローパスフィルタリングの高域阻止特性は予測残差信号のパワーEに対して負の相関を持ち、量子化パラメータQPに対して正の相関を持つように制御される。
上述した動き補償付き時間方向ローパスフィルタリングの手順を図6により説明すると、まず所定の画素ブロック毎に予測残差信号のパワーEを取得する(ステップS505)。次に、ローパスフィルタリングを適用する画像信号の量子化パラメータQPを取得する(ステップS506)。次に、式(7)に基づいてフィルタ係数にかける重みWを決定する(ステップS507)。次に、ステップS507で求められたWを用いて、式(6)に従い参照画像信号Aの所定の画素に対してローパスフィルタリングを実行する(ステップS508)。
次に、処理すべき全ての画素ブロックに対してローパスフィルタ処理が完了したかどうかを判定する(ステップS509)。完了してなければ、完了するまでステップS505〜ステップS509の処理を繰り返し実行し、完了したならば最終的に生成されたローパスフィルタ処理画像信号をフレームメモリ102へ出力する(ステップS510)。
次に、図1中の仮符号化部101及び本符号化部105について具体的に説明する。図9は仮符号化部101の構成を示し、図10は本符号化部105の構成を示している。図9及び図10は、例えばH.264/MPEG−4AVCのような符号化の過程でデコード(ローカルでコード)処理を行い、符号化歪を考慮して最適な符号化を行う動画像符号化方式を用いている。
図9に示す仮符号化部101は予測部301、変換/量子化部302、符号化部303、逆変換/逆量子化部304、フレームメモリ305、符号化歪306、符号量測定部307、モード判定部308、減算器309及び加算器310を有する。
予測部301は、取得した入力画像信号に対して画素ブロック毎に動き推定を行い、これにより得られる動きベクトルを用いてフレームメモリ305からの参照画像信号に対して動き補償を実行し、予測画像信号を生成する。減算器309では、入力動画像信号と予測画像信号との差分をとることにより予測残差信号が生成される。変換/量子化部302では、予測残差信号に対して例えばDCT(離散コサイン変換)などの直交変換が行われ、これによって得られる変換係数が量子化される。量子化された変換係数は、符号化部303によって符号化される。
一方、量子化された変換係数は逆変換/逆量子化部304において逆量子化され、さらに逆直交変換されることによって、量子化誤差を含む予測残差画像信号が復元される。加算器310では、復元された予測残差画像信号と予測画像信号との和をとることによって局部復号画像信号が生成され、フレームメモリ305に格納される。
ここで、予測部301における画素ブロック毎の符号化モードは、例えば16×16画素の画面間予測モードや、4×4画素の画面内予測モードなどから最適なモードが選択される。具体的には、各符号化モードで符号化した場合の局部復号画像信号の歪を符号化歪測定部306によって計算し、符号量を符号量測定部307によって計算し、モード判定部308において次式により符号化コストを計算し、符号化コストが最小となる符号化モードを選択する。
である。Jは符号化コストを表し、Dは符号化歪を表し、Rは符号量を表す。
図10に示す本符号化部105は予測部601、変換/量子化部602、符号化部603、逆変換/逆量子化部604、フレームメモリ605、符号化歪測定部606、符号量測定部607、モード判定部608、減算器609及び加算器610を有する。本符号化部105の各構成要素は図9に示した仮符号化部101の各構成要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。
但し、本符号化部105ではフレームメモリ102からの入力動画像信号が入力されるのに対し、仮符号化部101ではプレフィルタ103からのフィルタ処理画像信号が入力される。また、仮符号化部101ではプレフィルタ103で必要となる予測データが出力される。さらに、本符号化部105ではプレフィルタ103により生成されたローパスフィルタ処理画像信号を含む画像信号が予測符号化され、本符号化部105から符号化データが外部へ出力される。ここで、図10における符号化歪測定部606において計算される符号化歪は、ローパスフィルタ処理画像信号と比較した歪となることに注意する。
このように第1の実施形態によれば、本符号化部105と基本的に同一構成の仮符号化部101をプレフィルタ103の前段に置くことによって、プレフィルタ103によって本符号化部105での予測に基づく動き補償付き時間方向プレフィルタリングを行うことができる。
さらに、プレフィルタ103によるローパスフィルタリングの高域阻止特性を符号化制御部100によって制御される量子化パラメータを基に制御することにより、符号化効率を向上させるために適応したローパスフィルタリングを行うことが可能となる。
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係る動画像符号化装置を示している。図11のどう得画像符号化装置は、図1に示した動画像符号化装置と同様に符号化制御部700、仮符号化部701、フレームメモリ702、プレフィルタ703、予測データメモリ704及び本符号化部705を備えている。これらの各構成要素は図1に示した動画像符号化装置の各構成要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る動画像符号化装置を示している。図11のどう得画像符号化装置は、図1に示した動画像符号化装置と同様に符号化制御部700、仮符号化部701、フレームメモリ702、プレフィルタ703、予測データメモリ704及び本符号化部705を備えている。これらの各構成要素は図1に示した動画像符号化装置の各構成要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ここで、図11では予測データメモリ704から本符号化部705へのラインが追加されている。すなわち、本符号化部705では動き推定を行わず、予測データメモリ704から予測データあるいは予測データの一部を読み込んで取得し、それに基づいて予測符号化を行う。
図12及び図13は、図11中の本符号化部705の具体例を示している。図12の本符号化部705は予測部901、変換/量子化部902、符号化部903、逆変換/逆量子化部904、フレームメモリ905、符号化歪測定部906、符号量測定部907、モード判定部908、減算器909及び加算器910を有する。図12の本符号化部705の各構成要素は図10に示した本符号化部105の各構成要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ここで、図12の本符号化部705においては、図11中の予測データメモリ704から予測データ中の動き推定データ(動きベクトルの情報)が予測部901に入力されており、予測部901では当該動きベクトルを用いて予測を行う。従って、本符号化部705における動き推定処理を省略することができ、それによって符号化処理の高速化を図ることができる。
一方、図13の本符号化部705は予測部1001、変換/量子化部1002、符号化部1003、逆変換/逆量子化部1004、フレームメモリ1005、減算器1006及び加算器1007を有し、図12の構成要素から符号化歪測定部、符号量測定部及びモード判定部を除去した構成となっている。図13の本符号化部705においては、図11中の予測データメモリ704からの予測データが予測部1001及び符号化部1003に入力されている。予測部1001では予測データを用いて予測を行い、符号化部1003では予測データを用いて符号化を行う。
このように図13の本符号化部705においても動き推定処理を省略することができるので、符号化処理の高速化を図ることが可能となる。さらに、図13の本符号化部705においては、図11中の仮符号化部701により生成された予測データ中の符号化モードの情報を用いることによって、モード判定処理が不要となるため、より高速な符号化処理を行うことができる。
以上のように第2の実施形態によれば、仮符号化部701において生成された予測データを本符号化部705においても用いることで、本符号化部705における予測処理を省略することができ、符号化処理を高速に実行することが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
100・・・符号化制御部
101・・・仮符号化部
102・・・フレームメモリ
103・・・プレフィルタ
104・・・予測データメモリ
105・・・本符号化部
101・・・仮符号化部
102・・・フレームメモリ
103・・・プレフィルタ
104・・・予測データメモリ
105・・・本符号化部
Claims (12)
- 動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う第1の予測符号化を行う第1の符号化ステップと;
ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うフィルタリングステップと;
前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って第2の予測符号化を行う第2の符号化ステップと;を具備する動画像符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップによって生成される前記予測データは、(a)前記動きベクトル、(b)前記動きベクトルが参照する参照画像のインデックス及び(c)符号化モードの情報を含む請求項1記載の動画像符号化方法。
- 前記フィルタリングステップは、前記動きベクトルが参照する参照画像中の前記動きベクトルが指し示す参照画素に対して前記ローパスフィルタリングを行う請求項1記載の動画像符号化方法。
- 前記第1の符号化ステップ及び第2の符号化ステップは、前記第1の予測符号化及び第2の予測符号化の過程で生成される予測誤差を量子化パラメータに従って量子化するステップを含み、前記フィルタリングステップは、前記ローパスフィルタリングの高域阻止特性を制御するために、前記ローパスフィルタリングのフィルタ係数を前記予測残差の大きさに対して負の相関を持ち、前記量子化パラメータに対して正の相関を持つように制御するフィルタ係数制御ステップを含む請求項1記載の動画像符号化方法。
- 前記第2の符号化ステップは、前記ローパスフィルタ処理された画像を基準として前記第2の符号化ステップで生じる符号化歪を測定する符号化歪測定ステップと、前記第2の符号化ステップで発生する符号量を測定する符号量測定ステップと、複数の符号化モードのうち前記符号量及び符号化歪みから計算される符号化コストを最小にする1つのモードを判定するモード判定ステップとを含み、判定されたモードに従って前記予測符号化を行う請求項1記載の動画像符号化方法。
- 前記第2の符号化ステップは、前記予測データを用いて前記第2の予測符号化を行う請求項1記載の動画像符号化方法。
- 動きベクトルを含む予測データを生成するために、入力動画像に対して予め定められた予測構造に従って動き推定を伴う第1の予測符号化を行う第1の符号化部と;
ローパスフィルタ処理された画像を生成するために、前記予測データに基づいて前記入力動画像に対して動き補償を伴う時間方向のローパスフィルタリングを行うプレフィルタと;
前記入力動画像に対応する符号化データを生成するために、前記ローパスフィルタ処理された画像に対して前記予測構造に従って第2の予測符号化を行う第2の符号化部と;を具備する動画像符号化装置。 - 前記第1の符号化部によって生成される前記予測データは、(a)前記動きベクトル、(b)前記動きベクトルが参照する参照画像のインデックス及び(c)符号化モードの情報を含む請求項7記載の動画像符号化装置。
- 前記プレフィルタは、前記動きベクトルが参照する参照画像中の前記動きベクトルが指し示す参照画素に対して前記ローパスフィルタリングを行う請求項7記載の動画像符号化装置。
- 前記第1の符号化部及び第2の符号化部は、前記第1の予測符号化及び第2の予測符号化の過程で生成される予測誤差を直交変換し且つ量子化パラメータに従って量子化する変換/量子化部を含み、前記プレフィルタは、前記ローパスフィルタリングの高域阻止特性を制御するために、前記ローパスフィルタリングのフィルタ係数を前記予測残差の大きさに対して負の相関を持ち、前記量子化パラメータに対して正の相関を持つように制御するフィルタ係数制御部を含む請求項7記載の動画像符号化装置。
- 前記第2の符号化部は、前記ローパスフィルタ処理された画像を基準として前記第2の符号化部で生じる符号化歪を測定する符号化歪測定部と、前記第2の符号化部で発生する符号量を測定する符号量測定部と、複数の符号化モードのうち前記符号量及び符号化歪みから計算される符号化コストを最小にする1つのモードを判定するモード判定部とを含み、判定されたモードに従って前記予測符号化を行う請求項7記載の動画像符号化装置。
- 前記第2の符号化部は、前記予測データを用いて前記第2の予測符号化を行う請求項7記載の動画像符号化装置。
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JP2006036206A JP2007221208A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 動画像符号化方法および装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012060128A1 (en) * | 2010-11-02 | 2012-05-10 | Sharp Kabushiki Kaisha | Motion-compensated temporal filtering based on variable filter parameters |
JPWO2010095557A1 (ja) * | 2009-02-19 | 2012-08-23 | ソニー株式会社 | 画像処理装置および方法 |
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2006
- 2006-02-14 JP JP2006036206A patent/JP2007221208A/ja not_active Abandoned
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