JP2007220358A - 基板処理装置および発光素子の製造方法 - Google Patents

基板処理装置および発光素子の製造方法 Download PDF

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Toshihisa Nozawa
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Abstract

【課題】大型基板に形成された有機層上に、膜厚のばらつきが小さくなるように電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供する。
【解決手段】被処理基板上の有機層上に成膜する基板処理装置であって、前記被処理基板を保持する保持台と、前記有機層上への成膜の原料となる原料ターゲットと、前記原料ターゲットにレーザまたは電子ビームを照射する照射源と、を有し、前記レーザまたは電子ビームを前記原料ターゲットに照射して前記有機層上に成膜を行うことを特徴とする基板処理装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、有機発光層を有する発光素子の製造方法および当該発光素子を製造するための基板処理装置に関する。
近年、従来用いられてきたCRT(Cathode Ray Tube)に換わって、薄型にすることが可能な平面型表示装置の実用化が進んでおり、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は自発光、高速応答などの特徴を有するために、次世代の表示装置として着目されている。また、有機EL素子は、表示装置のほかに、面発光素子としても用いられる場合がある。
有機EL素子は、陽電極(正電極)と陰電極(負電極)の間に有機EL層(発光層)を含む有機層が狭持された構造となっており、当該発光層に正極から正孔を、負極から電子を注入してそれらの再結合をさせることによって、当該発光層を発光させる構造になっている。
また、前記有機層には、必要に応じて陽極と発光層の間、または陰極と発光層の間に、例えば正孔輸送層、または電子輸送層など発光効率を良好とするための層を付加することも可能である。
上記の発光素子を形成する方法の一例としては、以下の方法を取ることが一般的であった。まず、ITOよりなる陽電極がパターニングされた基板上に、前記有機層を蒸着法により形成する。蒸着法とは、例えば蒸発あるいは昇華された蒸着原料を、被処理基板上に蒸着させることで薄膜を形成する方法である。次に、当該有機層上に、陰電極となるAl(アルミニウム)を、蒸着法により形成する。このような発光素子を、いわゆるトップカソード型発光素子と呼ぶ場合がある。
例えばこのようにして、陽電極と陰電極の間に有機層が形成されてなる、発光素子が形成される。
特開2004−225058号公報
しかし、上記のように、蒸着法を用いて陰電極を形成する場合、特に被処理基板が大きくなった場合には陰電極の膜厚の均一性が問題となる場合があった。このように、被処理基板面内で陰電極の膜厚の均一性が不十分となると、被処理基板面内での発光素子の品質が不均一となってしまう懸念がある。
また、蒸着法による成膜は、被処理基板の成膜面を下に向けた、いわゆるフェースダウンの成膜方法により行う必要があり、被処理基板が大きくなった場合には基板の扱いが困難となる問題が生じていた。
このような問題を解決するため、陰電極を形成する場合に、例えば蒸着法に比べて、被処理基板の面内での成膜速度の均一性が良好である、スパッタリング法を用いることが考えられる。しかし、スパッタリング法は、蒸着法に比べて成膜対象に対するダメージが大きくなってしまう問題があった。
例えば上記の発光素子を形成する場合、陰電極は、比較的機械的な強度が小さい有機層上に形成されることになる。このため、例えばスパッタリング法などによってAlなどの硬い金属の粒子が高速度で有機層に衝突した場合、有機層がダメージを受け、発光素子の品質が低下してしまう場合がある。また、有機材料は、スパッタ時に生じる高いエネルギーを持つ電子の衝突によって変質し、発光素子の品質が低下する場合がある。このため、膜厚の均一性が良好であるスパッタリング法を陰電極の形成に用いることは困難となっていた。
そこで、本発明では、上記の問題を解決した、新規で有用な発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供することを統括的目的としている。
本発明の具体的な課題は、大型基板に形成された有機層上に、膜厚のばらつきが小さくなるように電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供することである。
本発明は、上記の課題を、
請求項1に記載したように、
被処理基板上の有機層上に成膜する基板処理装置であって、
前記被処理基板を保持する保持台と、
前記有機層上への成膜の原料となる原料ターゲットと、
前記原料ターゲットにレーザまたは電子ビームを照射する照射源と、を有し、
前記レーザまたは電子ビームを前記原料ターゲットに照射して前記有機層上に成膜を行うことを特徴とする基板処理装置により、また、
請求項2に記載したように、
前記原料ターゲットに照射されるレーザまたは電子ビームを走査する走査手段を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置により、また、
請求項3に記載したように、
前記走査手段は、前記照射源の前記原料ターゲットに対する角度を変更する角度変更手段であることを特徴とする請求項2記載の成膜装置により、また、
請求項4に記載したように、
成膜に対応して前記保持台が移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、いずれか1項記載の基板処理装置により、また、
請求項5に記載したように、
電圧が印加される電圧印加ターゲットと、
前記電圧印加ターゲットに電圧が印加されることでプラズマ励起される処理ガスの供給手段とをさらに有し、
前記処理ガスをプラズマ励起することで、スパッタリング法により成膜を行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の基板処理装置により、また、
請求項6に記載したように、
前記電圧印加ターゲットは、互いに対向する、第1の電圧印加ターゲットと第2の電圧印加ターゲットとを含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置により、また、
請求項7に記載したように、
前記レーザまたは電子ビームを前記原料ターゲットに照射することによる第1の成膜と、前記スパッタリング法による第2の成膜とが、連続的に実施可能に構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の基板処理装置により、また、
請求項8に記載したように、
前記原料ターゲットと、前記電圧印加ターゲットとが異なる材料よりなるよう構成されていることを特徴とする請求項5または7のうち、いずれか1項記載の基板処理装置により、また、
請求項9に記載したように、
前記有機層は、電圧の印加により発光する発光層を含むことを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれか1項記載の基板処理装置により、また、
請求項10に記載したように、
第1の電極と第2の電極の間に発光層を含む有機層が形成されてなる発光素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に形成された前記有機層上に、第1の層と第2の層を含む前記第2の電極を形成する電極形成工程を有し、
前記電極形成工程は、
レーザまたは電子ビームを原料ターゲットに照射して前記有機層上に導電性の前記第1の層を形成する第1の工程と、
スパッタリング法により前記第1の層上に前記第2の層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光素子の製造方法により、また、
請求項11に記載したように、
前記第2の層が、前記第1の層より厚いことを特徴とする請求項10記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項12に記載したように、
前記第1の層と前記第2の層を構成する材料が異なることを特徴とする請求項10または11記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項13に記載したように、
前記第1の層の可視光線の反射率が、前記第2の層の可視光線の反射率より高くなるよう成膜がおこなわれることを特徴とする請求項9乃至12のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法により、解決する。
本発明によれば、大型基板に形成された有機層上に、膜厚のばらつきが小さくなるように電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態に関して図面に基づき、説明する。
図1は、本発明の実施例1による発光素子を模式的に示した断面図である。図1を参照するに、本実施例による発光素子100は、基板101上に形成された陽電極(第1の電極)102と、該陽電極102に対向する陰電極(第2の電極)104と、該陽電極102該陰電極104の間に形成された発光層(有機EL層)103Aを含む有機層103と、を有している。
上記の発光素子100は、有機EL素子と呼ばれる場合があり、前記陽電極102と前記陰電極104の間に電圧を印加することで、当該発光層103Aに前記陽電極102から正孔を、前記陰電極104から電子を注入してそれらの再結合をさせることによって、当該発光層103Aを発光させる構造になっている。
当該発光層103Aは、例えば、多環芳香族炭化水素、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体化合物等の材料を用いて形成することが可能であり、上記の材料は例えば蒸着法により、形成することが可能である。
従来の発光素子では、陰電極を形成する場合に以下のような技術的な問題があった。例えば、陰電極を蒸着法で形成する場合には、陰電極の厚さの均一性が不十分となる場合があり、一方で陰電極をスパッタリング法で形成する場合には、陰電極の厚さの均一性は良好であるものの、有機層にダメージが入る懸念が生じていた。
そこで、本実施例による上記の発光素子100では、前記陰電極104が、前記有機層103上に該有機層103に接するように形成された、該有機層103を保護する導電性の保護層104Aと、該保護層104上に該保護層104に接するように形成された、導電性の主電極層104Bと、を含むように構成されている。
この場合、例えば、前記保護層104Aは、例えば、当該保護層104Aの成膜の原料となる原料ターゲットに、レーザまたは電子ビームを照射することで当該原料を蒸発させ、前記有機層103上に導電性の膜を堆積させることで形成される。このような成膜装置(基板処理装置)の構成の例については後述する。また、当該保護層104A上の前記主電極層104Bは、例えばスパッタリング法により形成されることが好ましい。
上記の構造においては、まず、上記の、原料ターゲットにレーザまたは電子ビームを照射する方法で、前記有機層103へのダメージを抑制しながら前記保護層104Aを成膜し、次に該保護層104A上に、成膜の基板面内での均一性が良好である、例えばスパッタリング法により、前記主電極層104Bを形成する。この場合、前記保護層104Aおよび前記主電極層104Bは、ともに導電性材料よりなることが好ましい。また、前記主電極層104Bの方が、前記保護層104Aに比べて、成膜の膜厚の均一性が良く、また成膜速度が大きいため、前記主電極層104Bが、前記保護層104Aよりも厚くなるように形成されることが好ましい。
このため、上記の発光素子100は、前記有機層103へのダメージの影響が抑制されているとともに、前記陰電極104の膜厚の、基板面内での均一性が良好であり、高品質な発光素子である特徴を有している。
また、前記保護層104Aと、前記主電極層104Bとは、同じ材料から構成されるようにしてもよいが、必要に応じて前記保護層104Aと、前記主電極層104Bとが異なる材料より構成されるようにしてもよい。
例えば、上記の発光素子100のように、いわゆるトップカソード型発光素子の場合、前記陰電極104は、前記発光層103Aからの発光の反射層として用いられる。このため、前記保護層104Aの可視光線の反射率が、前記主電極層104Bの可視光線の反射率より高いことが好ましい。この場合に、発光素子の発光の効率が良好となる。
また、一方で、前記主電極層104Bの耐久性が、前記保護層104Aの耐久性より高いことが好ましい。前記主電極層104Bは、前記保護層104Aの外側に形成され、熱や酸素に曝されるため、例えば酸素に対する耐久性が高いことが好ましい。
なお、この場合、耐久性とは、酸素や水素などの活性なガスまたは励起された当該ガスによる腐食に対する耐性(耐腐食性)、結晶粒粗大化に対する耐性、凝集に対する耐性などの総称を意味する(以下文中同様)。
従来の発光素子の陰電極では、可視光線の反射率を高くすると共に、耐久性を高くすることが困難であった。一方、本実施例による前記陰電極104が、複数の層を含み、前記有機層103上に形成された前記保護層104Aと、該保護層104上に形成された、導電性の主電極層104Bとを含むように構成されているため、陰電極の可視光線の反射率を高くすると共に、耐久性を高くすることが可能となっている。
例えば、前記保護層104Aは、Agよりなることが好ましい。Agは、可視光線の反射率が高いため、前記発光層103Aに面する側である前記保護層104Aを構成する材料として用いられることが好ましい。
また、前記主電極層104Bは、例えば、Agに耐久性を有するための添加物が混合されて構成されてもよい。例えば、Agに対してPdを1重量%添加した材料を前記主電極層104Bに用いると、Agを用いた場合に比べて該主電極層の耐久性が向上し、好ましい。
また、前記主電極層104BはAlにより構成されてもよい。Alは、可視光線の反射率はAgに劣るものの、耐久性はAgより高く、Agを用いた場合に比べて該主電極層の耐久性が向上し、好ましい。
また、先に説明したように、前記保護層104Aと前記主電極層104Bを、同じ材料を用いて構成してもよく、例えば、保護層104A/主電極層104Bの組み合わせを、Ag/Ag、Al/Al、またはAg(1重量%のPd添加)/Ag(1重量%のPd添加)としてもよい。
また、前記保護層104Bは、前記有機層103に接するように形成される。このため、前記保護層104Bには、該保護層104の仕事関数を調整するため(発光効率を良好とするため)の物質、例えば、Li、LiF、CsCOなどが添加されるか、または前記保護層104Bが当該物質(Li、LiF、CsCO)との積層構造となるように構成されてもよい。
また、前記発光層103Aでの発光効率が良好となるように、前記有機層103には、当該発光層103Aと前記陽電極102との間に、例えば、正孔輸送層103B,正孔注入層103Cが形成されていてもよい。また、当該正孔輸送層103B,正孔注入層103Cは、そのいずれかが、またはその双方が省略される構造であってもよい。
同様に、前記発光層103Aでの発光効率が良好となるように、前記有機層103には、当該発光層103Aと前記陰電極104との間に、例えば、電子輸送層103D,電子注入層103Eが形成されていてもよい。また、当該電子輸送層103D,電子注入層103Eは、そのいずれかが、またはその双方が省略される構造であってもよい。
また、前記発光層103Aは、例えば、ホスト材料にアルミノキノリノール錯体(Alq3)、ドーピング材にはルブレンを用いて形成することができるが、これに限定されず、様々な材料を用いて形成することが可能である。
次に、上記の発光素子100を製造する製造方法について、図2A〜図2Dに基づき、手順を追って説明する。ただし、以降の図中では、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する場合がある。
まず、図2Aに示す工程において、パターンニングされた、例えばITOよりなる前記陽電極102が形成された、例えばガラスよりなる前記基板101を用意する。この場合、前記基板101には、前記陽電極101に接続される、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を含む、アクティブマトリクス駆動回路などが形成されていてもよい。
次に、図2Bに示す工程において、前記陽電極102上(前記基板101上)に、前記有機層103を形成する。この場合、前記有機層103は、例えば蒸着法により形成され、前記陽電極102の側から順に、正孔注入層103C,正孔輸送層103B,発光層(有機EL層)103A,電子輸送層103D,電子注入層103Eが、積層されるようにして形成される。また、先に説明したように、必要に応じて前記正孔輸送層103B,および前記正孔注入層103Cは、そのいずれかの成膜を、またはその双方の成膜を省略してもよい。同様に、前記電子輸送層103D,電子注入層103Eは、そのいずれかの成膜を、またはその双方の成膜を省略してもよい。
次に、図2C〜図2Dに示す工程において、前記有機層103上に、複数の層(前記保護層104A、前記主電極層104B)を含む前記陰電極104を形成する。
まず、図2Cに示す工程において、前記有機層103(前記電子注入層103E)上に、該有機層103に接するように、導電性の、例えばAgよりなる保護層104Aを形成する。前記保護層104Aを形成する場合には、まず、前記基板101を、所定の減圧状態となる処理容器に保持する。次に、当該処理容器内に設置された、当該保護層104Aの成膜の原料となる原料ターゲットに、レーザまたは電子ビームを照射することで当該原料を蒸発させ、前記有機層103上に導電性の膜を堆積させる。ここで、前記有機層103上に前記保護層104Aが形成される。
この場合、前記有機層103(前記電子注入層103E)に与えるダメージは、例えばスパッタリング法などを用いて前記有機層103上に直接成膜を行う場合に比べて小さくなる。
また、この場合、前記保護膜104Aを構成する材料は、Agに限定されるものではない。例えば前記保護層104Aは、Alや、Agに耐久性を向上させる添加物(例えば1重量%のPd)を添加した材料を用いて形成してもよい。但し、これらのAlやAgに耐久性を向上させる添加物を添加した材料は、Agを主成分とした材料に比べて、可視光線の反射率が劣る。このことから、前記発光層103Aからの発光を反射する反射率を高く維持するためには、前記保護層104AがAgよりなることが好ましい。
この場合、「前記保護膜104AがAgよりなる」とは、当該保護膜104Aが、実質的な純Agよりなるか、または当該保護膜104Aが少なくともAgを主成分とする材料よりなることを意味する。また上記の、当該保護膜104Aを構成する、「少なくともAgを主成分とする材料」とは、実質的な純Agと比較して発光の反射率が実質的に低くならない程度にAgの純度が高く維持された材料を示している。
次に、図2Dに示す工程において、前記保護層104A上に、該保護層104Aに接するように、例えば、Alよりなる前記主電極層104Bを、例えばスパッタリング法により形成する。その結果、前記保護層104Aと前記主電極層104Bを含む前記陰電極104が形成される。
この場合、前記有機層103(前記電子注入層103E)が、前記保護層104Aにより覆われて保護されているため、前記主電極層104Bを形成する場合に、前記有機層103に与えるダメージが抑制される。このため、本実施例による方法では、前記主電極層104Bを成膜する場合の成膜方法の自由度が高くなる。例えば、上記のように、成膜速度の基板の面内均一性が良好である一方で、成膜対象に与えるダメージが大きい、例えばスパッタリング法などの成膜方法を、前記主電極層104Bを成膜する成膜方法として選択することができる。この場合、前記主電極層104Bをスパッタリング法で成膜した場合であっても、前記有機層103が保護されているため、該有機層103へのダメージが抑制される。
すなわち、本実施例による発光素子の製造方法を用いれば、陰電極の厚さのばらつきが少なく、かつ有機層のダメージが少ない高品質な発光素子を製造することが可能となる。
また、先に説明したように、前記主電極層104Bの耐久性が、前記保護層104Aの耐久性より高くなるように構成されることが好ましい。
例えば、AlまたはAlを主成分とする材料を用いて前記主電極層104Bを構成した場合には、可視光線の反射率はAgに劣るものの、耐久性はAgより高く、該主電極層の耐久性が向上し、好ましい。また、前記保護層104Bを、Agに耐久性を有するための添加物(例えばPd)を混合した材料を用いて構成してもよい。このようにして、本実施例による発光素子100を製造することができる。
例えば、前記陽電極102の厚さは100μm乃至200μm、前記有機層103の厚さは50μm乃至200μm、前記陰電極104の厚さは50μm乃至300μm、前記保護層104Aの厚さが10μm乃至30μmに形成される。
また、例えば、前記発光素子100は、表示装置(有機EL表示装置)や、面発光素子(照明・光源など)に適用することができるが、これらに限定されるものではなく、様々な電子機器に用いることが可能である。
次に、実施例1に記載した発光素子100を製造する基板処理装置の構成の一例について、図3〜図5に基づき、説明する。
まず、図3は、前記発光素子100を製造する基板処理装置1000の構成の一例を模式的に示した平面図である。
図3を参照するに、本実施例による基板処理装置1000は、複数の成膜装置または処理室が、被処理基板が搬送される搬送室900A,900B,900Cのいずれかに接続された構造を有している。前記搬送室900A,900B,900Cは、処理室または成膜装置を接続するための4つの接続面それぞれ有している。また、前記搬送室900A,900B,900Cは、被処理基板を搬送する搬送手段(搬送アーム)900a,900b,900cが、それぞれ内部に設置された構造を有している。
前記搬送室900A,900B,900Cに接続される処理室、または成膜装置は、例えば、被処理基板の前処理(クリーニングなど)を行う前処理室500、被処理基板または被処理基板に装着するマスクのアライメント(位置決め)を行うアライメント処理室600、前記有機層103を蒸着法により形成する(図2Bに示した工程を実施する)成膜装置700、前記保護層104Aを形成する(図2Cに示した工程を実施する)成膜装置200、前記主電極層104Bをスパッタリング法で形成する(図2Dに示した工程を実施する)成膜装置300、ロードロック室400A、400Bである。
前記搬送室900Aの4つの接続面には、前記ロードロック室400A、前記前処理室500、前記アライメント処理室600、および前記成膜装置700が接続されている。また、前記成膜装置700の、前記搬送室900Aに接続された側の反対側は、前記搬送室900Bの接続面に接続され、当該搬送室900Bの他の接続面には、前記成膜装置200が2つと、前記アライメント処理室600が接続されている。さらに、前記アライメント処理室600の、前記搬送室900Bに接続された側の反対側は、前記搬送室900Cの接続面に接続され、当該搬送室900Cの他の接続面には、前記成膜装置300が2つと、前記ロードロック室400Bとが接続されている。
また、前記搬送室900A、900B、900C、前記ロードロック室400A、400B、前記前処理室500、前記アライメント処理室600、前記成膜装置200、300、700には、それぞれ内部を減圧状態(真空状態)にするための、真空ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続されて、必要に応じて内部が減圧状態に維持されている。
次に、前記基板処理装置1000により、実施例1に記載した前記発光素子100を製造する場合の手順の概略について説明する。まず、被処理基板W(図2Aに示した、陽電極102が形成された基板101に相当)は、前記ロードロック室400Aから前記基板処理装置1000に投入される。前記ロードロック室400Aに投入された被処理基板Wは、前記搬送手段900aにより、まず前記搬送室900Aを介して前記前処理室500に搬送され、被処理基板の前処理(クリーニングなど)が行われる。
次に、当該被処理基板は、前記搬送手段900aにより、前記搬送室900Aを介して前記アライメント処理室600に搬送され、被処理基板上にマスクが設置される。次に、当該被処理基板は、前記搬送手段900aにより、前記搬送室900Aを介して前記成膜装置700に搬送され、当該成膜装置700において、前記発光素子100の、前記有機層103が、蒸着法により形成される(図2Bに示した工程が実施される)。
次に、前記有機層103が形成された被処理基板は、前記搬送手段900bによって前記成膜装置200(2台接続された成膜装置200のうちのいずれか)に搬送される。
前記成膜装置200に搬送された被処理基板には、当該成膜装置200において、前記保護層104Aが、先に説明したように、レーザまたは電子ビームを用いた方法にて形成される(図2Cに示した工程が実施される)。当該保護層104Aが形成された被処理基板は、前記搬送手段900cによって、前記搬送室900Cを介して前記成膜装置300(2台接続された成膜装置300のうちのいずれか)に搬送される。
前記成膜装置300においては、前記主電極層104Bが、スパッタリング法により形成される(図2Dに示した工程が実施される)。このようにして実施例1に記載した発光素子100が形成され、当該発光素子100は、前記ロードロック室400Bを介して、基板処理装置1000より搬出される。なお、前記基板処理装置1000が、例えば絶縁層よりなる保護層を前記発光素子100上に形成する成膜装置を、さらに有するように構成してもよい。
次に、上記に示した成膜装置700、成膜装置200、および成膜装置300の構成の一例について、それぞれ図4乃至図10に基づき説明する。
図4は、上記の基板処理装置1000に含まれる成膜装置(蒸着装置)700の構成の一例を模式的に示した図である。
図4を参照するに、前記成膜装置700は、内部に内部空間700Aが画成される処理容器701を有し、当該内部空間700Aには、蒸着源702と、基板保持台705が設置された構造を有している。前記内部空間700Aは、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン704より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
前記蒸着源702にはヒータ703が設置され、該ヒータ703によって内部に保持された原料702Aを加熱し、気化または昇華させて気体原料とすることが可能に構成されている。当該気体原料は、前記蒸着源702に対向するように設置された前記基板保持台705に保持された被処理基板W(前記陽電極102が形成された前記基板101)に蒸着されて、前記有機層103が形成される。
前記基板保持台705は、前記処理容器701の上面(前記蒸着源702に対向する側)に設置された、移動レール706上を、平行に移動可能に構成されている。すなわち、成膜時に前記保持台705が移動されることによって、被処理基板の面内での蒸着膜の均一性が良好になるように構成されている。
また、前記処理容器701の、前記搬送室900Aに接続される側に形成されたゲートバルブ707を開放することにより、前記被処理基板Wの前記内部空間700Aへの搬入・または前記内部空間700Aからの搬出が可能になる。
上記の成膜装置700を用いて、実施例1に記載した図2Bに相当する工程を実施することにより、前記有機層103を形成することが可能となる。また、前記蒸着源702を複数設置することで、前記有機層103が、前記発光層103Aに加えて、正孔注入層103C,正孔輸送層103B,電子輸送層103D,電子注入層103Eなどを含む多層構造となるように形成することも可能である。
また、図5は、前記保護層104Aを前記有機層103上に成膜する、成膜装置200を模式的に示した図であり、図6は、図5のA−A’断面図である。図5および図6を参照するに、成膜装置200は、内部に内部空間200Aが画成される処理容器201を有し、当該内部空間200Aには、成膜の原料となる原料ターゲット204と、基板保持台202が互いに対向するように設置された構造を有している。前記基板保持台202は、前記処理容器201の下面(前記原料ターゲット204に対向する側)に設置された、移動レール203上を、平行に移動可能に構成されている。すなわち、成膜時に前記保持台202が移動されることによって、被処理基板の面内での成膜の均一性が良好になるように構成されている。前記内部空間200Aは、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン208より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
また、前記処理容器201には、例えばレーザを透過する透過窓205が設置される。当該透過窓205の外側(前記処理容器201の外側)には、レーザEを、当該透過窓205を介して前記原料ターゲット204に照射する照射源206が設置されている。また、前記照射源206は、前記原料ターゲット204に照射されるレーザEを走査する走査手段207に装着されている。
前記走査手段207は、前記照射源207の前記原料ターゲット204に対する角度を変更する角度変更手段よりなる。この場合、前記走査手段207を制御することによって、前記照射源207の前記原料ターゲット204に対する角度が変更され、前記レーザEが前記原料ターゲット204を照射する場所が変更される(前記レーザEが走査される)。
また、前記処理容器201の、前記搬送室900Bに接続される側に形成されたゲートバルブ209を開放することにより、前記被処理基板Wの前記内部空間200Aへの搬入・または前記内部空間200Aからの搬出が可能になる。
前記基板保持台202に保持された被処理基板Wに前記保護層104Aを形成する場合には、以下のようにする。まず、前記照射源206からレーザEを、前記原料ターゲット204に照射することで、当該原料ターゲット204を構成する成膜の原料を蒸発させ、被処理基板W上(前記基板101上の前記有機層103上)に、前記保護層104Aを成膜する。この場合、前記走査手段207によって、前記レーザEを走査する。また、成膜に伴って、前記基板保持台202を、当該レーザEが走査される方向と直交する方向に移動することで、被処理基板(有機層103)上に形成される前記保護層104Aの膜厚の均一性が良好となる。
このようにして、実施例1に記載した図2Cに相当する工程を実施することにより、前記保護層104Aを形成することが可能となる。
上記の成膜装置200による成膜では、前記有機層103へのダメージを抑制して成膜を行うことが可能であるともに、被処理基板を上側に向けた、いわゆるフェースアップでの成膜が可能になる特徴がある。
例えば、被処理基板が大型化した場合、蒸着法などのいわゆるフェースダウンの成膜は、被処理基板の保持台への装着が困難となり、また基板に反りが発生しやすくなるため、成膜の膜厚の均一性が悪化する懸念があった。
上記の成膜装置200では、基板の成膜面を上に向けたフェースアップの成膜が可能であり、さらに必要に応じて、成膜面の向きを変更することも可能である。このように、上記の成膜装置では、成膜のために基板を保持する状態の自由度が高い特徴がある。
また、上記の成膜装置200では、レーザを用いて成膜を行う場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば、前記照射源206から電子ビームを照射して、当該電子ビームによって原料ターゲットを構成する原料を蒸発させ、成膜が行われるようにしてもよい。なお、前記照射源206から電子ビームを照射する場合には、当該照射源206を減圧空間(前記内部空間200A)側に設置し、当該減圧空間を電子ビームが照射されるような所定の圧力とすることが好ましい。
また、図7は、上記の基板処理装置1000に含まれる成膜装置(スパッタリング装置)300の構成の一例を模式的に示した図である。
図7を参照するに、前記成膜装置300は、内部に内部空間300Aが画成される処理容器301を有し、当該内部空間300Aには、電圧が印加される電圧印加ターゲット(陰電極)303と、基板保持台(陽電極)302が設置された構造を有している。前記内部空間300Aは、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン306より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
前記内部空間300Aには、ガス供給手段307より例えばArなどのプラズマ励起のための処理ガスが供給される。ここで、前記電圧印加ターゲット303に電源304より電力が印加されることで当該内部空間300Aにプラズマが励起され、Arイオンが生成される。このようにして生成されたArイオンにより、前記ターゲット303がスパッタリングされることで、前記基板保持台302に保持された被処理基板W(前記陽電極102、前記有機層103、および前記保護層104Aが形成された前記基板101)上に、前記主電極層104Bが形成される。
また、先に説明したように、前記保護層104Aと前記主電極層104Bを異なる材料により形成する場合には、前記成膜装置200の前記原料ターゲット204と、当該成膜装置300の電圧印加ターゲット303が異なる材料となるようにすればよい。
また、前記処理容器301の、前記搬送室900Cに接続される側に形成されたゲートバルブ308を開放することにより、前記被処理基板Wの前記内部空間300Aへの搬入・または前記内部空間300Aからの搬出が可能になる。
また、スパッタリングによる成膜は、例えば蒸着法や、レーザまたは電子ビームを用いた成膜に比べて成膜される膜厚の均一性が良好であり、成膜速度が大きい特徴がある。このため、上記の成膜装置300によって、膜厚の均一性が良好に、また良好な成膜速度で前記主電極層104Bを形成することが可能である。
このように、本実施例による基板処理装置1000では、前記有機層103、前記保護層104A,前記主電極層104Bを、被処理基板の周囲の雰囲気を減圧状態に保持したまま、連続的に形成することが可能になっている。このため、形成される膜が、外気に曝されることなく、水分や酸化の影響が抑制されて良好な品質の発光素子を形成することが可能になる。
また、例えば実施例2の前記基板処理装置1000で用いる前記成膜装置300は、これに限定されず、例えば以下に示すように、様々な構造の成膜装置(スパッタリング装置)を用いることが可能である。
図8は、前記主電極層104Bを前記保護層104A上に成膜する(図2Dに示した工程を実施する)、成膜装置350を模式的に示した図であり、図9は、図8のB−B’断面図である。前記成膜装置350は、前記基板処理装置1000において、前記成膜装置300に相当する位置に設置して、当該成膜装置300と同様にして用いることができる。
図8および図9を参照するに、成膜装置350は、内部に減圧空間が画成される処理容器351を有し、当該減圧空間には、互いに対向するように設置されるとともに、それぞれに電圧が印加される電圧印加ターゲット354A,354Bと、基板保持台352とが設置されている。
前記基板保持台352は、前記処理容器351の下面に設置された、移動レール353上を、平行に移動可能に構成されている。すなわち、成膜時に前記保持台352が移動されることによって、被処理基板の面内での成膜の均一性が良好になるように構成されている。前記処理容器350の減圧空間は、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン359より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
前記基板保持台352上に設置された、2つの前記電圧印加ターゲット354A,354Bは、それぞれ、前記基板保持台352が移動する方向と略直交する方向に延伸した構造を有し、互いに対向するようにして設置されている。
また、前記処理容器351内には、前記電圧印加ターゲット354A,354Bの間の空間350Aに、例えばArなどの処理ガスを供給するガス供給手段355が設置されている。当該処理ガスは、当該圧印加ターゲット354A,354Bに電源361より電圧が印加されることでプラズマ励起される。
前記ガス供給手段355は、前記電圧印加ターゲット354A,354Bと同様に、前記基板保持台352が移動する方向と略直交する方向に延伸した構造を有し、前記電圧印加ターゲット354A,354Bを挟んで、前記基板保持台352と対向するように設置されている。
また、前記ガス供給手段355は、内部にガス流路356が形成された管状の中空構造を有しており、該ガス流路356には、前記処理容器351の外部に設置されたガス供給源(図示せず)からガス供給路358を介して、例えばArなどの処理ガスが供給される。前記ガス流路356に供給された処理ガスは、前記ガス供給手段355に形成された複数のガス穴357から、記電圧印加ターゲット354A,354Bの間の空間350Aに供給される構造になっている。
また、前記処理容器351の、前記搬送室900Cに接続される側に形成されたゲートバルブ360を開放することにより、被処理基板Wの前記処理容器351内への搬入・または前記処理容器351内からの搬出が可能になる。
前記基板保持台352に保持された被処理基板Wに前記主電極層104Bを形成する場合には、以下のようにする。
まず、前記空間350Aに、ガス供給手段355より、例えばArなどのプラズマ励起のための処理ガスが供給される。ここで、前記電圧印加ターゲット354A,354Bに、それぞれ、電源361より電力が印加されることで、当該空間350Aにプラズマが励起され、Arイオンが生成される。
このようにして生成されたArイオンにより、前記ターゲット354A,354Bがスパッタリングされることで、前記基板保持台352に保持された被処理基板W(前記陽電極102、前記有機層103、および前記保護層104Aが形成された前記基板101)上に、前記主電極層104Bが形成される。
また、スパッタリングによる成膜は、例えば蒸着法や、レーザまたは電子ビームを用いた成膜に比べて成膜される膜厚の均一性が良好であり、成膜速度が大きい特徴がある。このため、上記の成膜装置350によって、膜厚の均一性が良好に、また良好な成膜速度で前記主電極層104Bを形成することが可能である。
また、上記の成膜装置350においては、被処理基板Wが、プラズマが励起される空間(前記空間350A)から離間しており、被処理基板W上の保護層104Aや有機層103が、プラズマ励起に伴う紫外線や、Arイオンの衝突によるダメージの影響を受けにくい特徴がある。また、前記空間350Aで生成された、スパッタにより生成された成膜のための粒子は、前記ガス供給手段355から前記基板保持台352に向かう方向に形成される処理ガスの流れにより輸送され、前記被処理基板W上に到達する。
このように、上記成膜装置350を用いることで、前記有機層103へのダメージをさらに抑制することが可能になる。
また、例えば実施例3の前記基板処理装置1000で用いる前記成膜装置200、および前記成膜装置350が有する機能を、1つの成膜装置(処理容器)に集約することも可能である。例えば以下に示すように、前記基板処理装置1000に、前記成膜装置200の機能(図2Cで示した工程の成膜を実施する機能)と、前記成膜装置350(図2Dで示した工程の成膜を実施する機能)とを有する、成膜装置200Xを用いることが可能である。
図10は、前記保護層104Aと前記主電極層104Bを前記有機層103上に成膜する(図2C〜図2Dに示した工程を実施する)、成膜装置200Xを模式的に示した図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図10を参照するに、本図に示す成膜装置200Xは、先に図5、図6で説明した成膜装置200に、図8、図9で説明した成膜装置350の機能を付加したものである。すなわち、前記成膜装置200の前記処理容器201内に、前記成膜装置350の、前記電圧印加ターゲット354A,354B、前記ガス供給手段355を設置したものである。また、前記成膜装置350の場合と同様に、前記電圧印加ターゲットには、前記電源361より電圧が印加され、前記ガス供給手段350には、前記ガス供給路358よりArなどの処理ガスが供給され、前記成膜装置350と同様の機能を有している。
上記の成膜装置200Xでは、まず、前記照射源206からレーザEを、前記原料ターゲット204に照射することで、当該原料ターゲット204を構成する成膜の原料を蒸発させ、被処理基板W上(前記基板101上の前記有機層103上)に、前記保護層104Aを成膜する(図2Cに相当する工程を実施する)。この場合、前記走査手段207によって、前記レーザEを走査する。また、成膜に伴って、前記基板保持台202を、当該レーザEが走査される方向と直交する方向に移動することで、被処理基板(有機層103)上に形成される前記保護層104Aの膜厚の均一性が良好となる。
次に、前記基板保持台202を、前記電圧印加ターゲット354A,354Bの側に移動して、前記空間350Aに、ガス供給手段355より、例えばArなどのプラズマ励起のための処理ガスが供給する。ここで、前記電圧印加ターゲット354A,354Bに、それぞれ、電源361より電力が印加されることで、当該空間350Aにプラズマが励起され、Arイオンが生成される。
このようにして生成されたArイオンにより、前記ターゲット354A,354Bがスパッタリングされることで、前記基板保持台352に保持された被処理基板W(前記陽電極102、前記有機層103、および前記保護層104Aが形成された前記基板101)上に、前記主電極層104Bが形成される。
このように、前記保護層104Aと前記主電極層104Bが、同じ処理容器(前記処理容器201)内で連続的に形成されることで、当該保護層104Aと当該主電極層104Bの界面の電気的な接続(電気特性)、物理的な接続(密着力)がさらに良好になる効果を奏する。
また、上記に説明した基板処理装置1000の構成はその一例であり、例えば搬送室の形状や接続面の数、また、接続される処理室、成膜装置の構成や数などは、様々に変形・変更が可能であることは明らかである。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
本発明によれば、大型基板に形成された有機層上に、膜厚のばらつきが小さくなるように電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供することが可能となる。
実施例1による発光素子を模式的に示す図である。 図1の発光素子の製造方法を示す図(その1)である。 図1の発光素子の製造方法を示す図(その2)である。 図1の発光素子の製造方法を示す図(その3)である。 図1の発光素子の製造方法を示す図(その4)である。 図1の発光素子を製造する基板処理装置の構成例である。 図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その1)である。 図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その2)である。 図5の成膜装置の断面図である。 図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その3)である。 図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その4)である。 図8の成膜装置の断面図である。 図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その5)である。
符号の説明
100 発光素子
101 基板
102 陽電極
103 有機層
103A 発光層
103B 正孔輸送層
103C 正孔注入層
103D 電子輸送層
103E 電子注入層
104 陰電極
104A 保護層
104B 主電極層
201 処理容器
202 基板保持台
203 移動レール
204 原料ターゲット
205 透過窓
206 照射手段
207 走査手段
208 排気ライン
209 ゲートバルブ
300 成膜装置
300A 内部空間
301 処理容器
302 基板保持台
303 ターゲット
304 電源
306 排気ライン
307 ガス供給手段
308 ゲートバルブ
350 成膜装置
351 処理容器
352 基板保持台
353 移動レール
354A,354B 電圧印加ターゲット
355 ガス供給手段
356 ガス流路
357 ガス穴
358 ガス供給路
359 排気ライン
360 ゲートバルブ
361 電源
400A,400B ロードロック室
500 前処理室
600 アライメント処理室
700 成膜装置
700A 内部空間
701 処理容器
702 蒸着源
702A 原料
703 ヒータ
704 排気ライン
705 基板保持台
706 移動レール
707 ゲートバルブ
900A,900B,900C 搬送室
900a,900b,900c 搬送手段

Claims (13)

  1. 被処理基板上の有機層上に成膜する基板処理装置であって、
    前記被処理基板を保持する保持台と、
    前記有機層上への成膜の原料となる原料ターゲットと、
    前記原料ターゲットにレーザまたは電子ビームを照射する照射源と、を有し、
    前記レーザまたは電子ビームを前記原料ターゲットに照射して前記有機層上に成膜を行うことを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記原料ターゲットに照射されるレーザまたは電子ビームを走査する走査手段を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記走査手段は、前記照射源の前記原料ターゲットに対する角度を変更する角度変更手段であることを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  4. 成膜に対応して前記保持台が移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、いずれか1項記載の基板処理装置。
  5. 電圧が印加される電圧印加ターゲットと、
    前記電圧印加ターゲットに電圧が印加されることでプラズマ励起される処理ガスの供給手段とをさらに有し、
    前記処理ガスをプラズマ励起することで、スパッタリング法により成膜を行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の基板処理装置。
  6. 前記電圧印加ターゲットは、互いに対向する、第1の電圧印加ターゲットと第2の電圧印加ターゲットとを含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
  7. 前記レーザまたは電子ビームを前記原料ターゲットに照射することによる第1の成膜と、前記スパッタリング法による第2の成膜とが、連続的に実施可能に構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の基板処理装置。
  8. 前記原料ターゲットと、前記電圧印加ターゲットとが異なる材料よりなるよう構成されていることを特徴とする請求項5または7のうち、いずれか1項記載の基板処理装置。
  9. 前記有機層は、電圧の印加により発光する発光層を含むことを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれか1項記載の基板処理装置。
  10. 第1の電極と第2の電極の間に発光層を含む有機層が形成されてなる発光素子の製造方法であって、
    前記第1の電極上に形成された前記有機層上に、第1の層と第2の層を含む前記第2の電極を形成する電極形成工程を有し、
    前記電極形成工程は、
    レーザまたは電子ビームを原料ターゲットに照射して前記有機層上に導電性の前記第1の層を形成する第1の工程と、
    スパッタリング法により前記第1の層上に前記第2の層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
  11. 前記第2の層が、前記第1の層より厚いことを特徴とする請求項10記載の発光素子の製造方法。
  12. 前記第1の層と前記第2の層を構成する材料が異なることを特徴とする請求項10または11記載の発光素子の製造方法。
  13. 前記第1の層の可視光線の反射率が、前記第2の層の可視光線の反射率より高くなるよう成膜がおこなわれることを特徴とする請求項9乃至12のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法。
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