JP2007218888A - 主としてキャパシタンスの変化の検出を利用する非破壊検査システム - Google Patents

主としてキャパシタンスの変化の検出を利用する非破壊検査システム Download PDF

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Abstract

【課題】 検査対象が埋設されている壁面の片側でも両側でも検査をすることが出来、低コストでありながら精度が高く、扱い易い電気的な非破壊検査システムを提供する。
【解決手段】 埋設物の検出部を、主としてキャパシタンスの変化を、埋設物体が接地されている或いは中空管の場合と、接地されていない場合とに応じて検出する比較的簡易な電気的計測器、例えばLCRメータから構成し、計測結果の表示をパソコンなどを用いて行うようにした。
計測結果の表示は、埋設物体が接地されている或いは中空管の場合と、接地されていない場合とに応じて、どちらかを高低のレベルを反転させて行い、両者の場合のレベルの表示が一致するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は建築構造物の非破壊検査システムに関し、特に、主としてキャパシタンスの変化の検出を利用する非破壊検査システムに関する。
建物や橋梁などの建築構造物に埋設された電線や、コンクリート補強用線材(鉄筋)、通信線、水道管、ガス管、排水管等の存在は、それらの設計書面がある場合はそのような書面から確認することができるが、そのような書面が無い場合は、何らかの方法で確認、或いは推測を求められる場合がある。
建築構造を破壊しないで、これらの線材、管材の存在を調べるこのような非破壊検査は、古い建物の一部を壊す際に、電力が供給されている電線が壊す予定の壁面内に存在するかどうか調べる必要がある場合とか、建物の耐震性の検査を行う際に、コンクリート中に埋め込まれている補強用線材(鉄筋)の数を調べる必要がある場合等、近年その必要性が高まっている。
従来からよく知られ実行されている、埋設物体の検知のための電気的な非破壊検査方法としては、放射線法、超音波法、電磁波レーダ法などがあるが、放射線法は、精度は高いが高価であり、安全性の問題、取扱者の要資格の問題などがある上、片側での検査ができないなどの欠点がある。
超音波法は、現在、最も良く使用されている方法であると言ってよく、扱い易さでは優れるが、精度が悪く、解析に時間がかかったりする。建築構造物がコンクリート製である場合に特に精度が悪い。その理由は、コンクリート中では、音響インピーダンスの異なる境界面(不連続面)が多く、そのためにその中を伝わる超音波(弾性波)が、散乱する上、減衰し易いからである。また、このような減衰は、超音波の周波数が高いほど激しいので、医療の超音波エコー検査で用いるような周波数の高い超音波を用いることができず、低い周波数の超音波を使わざるを得ないため、尚更精度が落ちるのである。
電磁波レーダ法は、計測時間は大変短いが、精度が良いとはいえず、また、扱い易くはない。
図9(特開2002−162371号公報)は、前記放射線法の一つであり、電子加速器2から得られたX線の1種であるレーザ逆コンプトン光を、被検査体7へ入射させ、透過してきた光子(X線)を光子検出器8で検出して光子強度モニター9で見ることにより、被検査体7に埋設されている物体を検知できる。このシステムは、特に単色性の高いX線を用いるため、極めて高精度であるが、しかし、大変高価であり、また検査は被検査体の壁の両側において行う必要があり、片側での検査はできなかった。
図10(特開2005−315892号公報)は、前記超音波法の一つであり、変換器プローブ16から一度に多数の角度へ発射される超音波ビームをそれぞれの所定範囲において走査し、反射された超音波を解析して埋設物体を特定する。この装置は片側での検査を行うことができ、かつ検査の時にプローブを移動させる必要性を無くして、使い易さを向上させてはいるものの、埋設物体を特定する精度は依然として良くない。
本発明の目的は、検査対象が埋設されている壁面の片側でも両側でも検査をすることが出来、低コストでありながら精度が高く、扱い易い建築構造物の非破壊検査システムを提供することにある。
本発明の別の目的は、埋設物の検出部を、主としてキャパシタンスの変化を検出する比較的簡易な電気的計測器から構成した建築構造物の非破壊検査システムを提供することにある。
さらに本発明の別の目的は、接地されている埋設物体或いは埋設された中空管と、接地されていない埋設物体とを同一の計測器で検知することのできる建築構造物の非破壊検査システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の非破壊検査システムにおいては、計測器に接続した第1と第2の2つの電極体を、建築構造物の壁の上で移動させて、壁や柱の中の埋設物を検知するようにした。
建築構造物の壁、柱はコンクリートでも良いし、無機材料製や合成樹脂製、木製等々の各種ボード類でも良い。
壁の中の埋設物は、電線、コンクリート補強用鉄筋などの線材や、水道管、ガス管、排水管などの金属製の管材、その他に、中空の非金属製の管材、例えばコンクリート中に埋め込まれた塩化ビニール管などでも良い。
主としてキャパシタンスの変化を検出する比較的簡易な電気的計測器は、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスを検出するLCRメータなどの計測器である。
請求項1の発明は、計測器に接続した第1及び第2の電極体を壁面上で移動させ、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値の変化を前記計測器により計測して、壁面内の埋設物体を検知する建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項2の発明は、前記第1及び第2の電極体を片側の壁面上で移動させることを特徴とする請求項1記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項3の発明は、前記第1及び第2の電極体を両側の壁面上で移動させることを特徴とする請求項1記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項4の発明は、前記埋設物体が、接地されている導電性の線材または管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項5の発明は、入力端の一方が接地された計測器を用いることにより、壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がることを特徴とする請求項4記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項6の発明は、前記埋設物体が、接地されていない導電性の線材または管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項7の発明は、壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が上がることを特徴とする請求項6記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項8の発明は、前記埋設物体が中空の非導電性管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項9の発明は、壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がることを特徴とする請求項9記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項10の発明は、前記計測器と表示手段との間に、レベル反転部を介在させることにより、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がる計測結果と、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が上がる計測結果とを、レベルが一致して表示されるようにしたことを特徴とする請求項1〜10記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項11の発明は、前記第1及び第2の電極体が、弾性物質を含む電極台を有することを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
請求項12の発明は、前記第1及び第2の電極体が更に、1個または複数個のボール状の電極を有することを特徴とする請求項11記載の建築構造物の非破壊検査システムである。
本発明における建築構造物の非破壊検査システムは、検査対象が埋設されている壁面の片側でも両側でも検査をすることが出来、埋設物の検出部を、主としてキャパシタンスの変化を検出する比較的簡易な電気的計測器から構成したため、低コストでありながら精度が高く、扱い易い。
さらに本発明においては、接地されている埋設物体或いは埋設された中空管と、接地されていない埋設物体とを同一の計測器で検知するができる。
図1は、本発明の基本構成を示す図である。
第1電極体101及び第2電極体102が、計測器103の2つの入力端に接続される。これらの第1電極体101及び第2電極体102は、図2に示すような、例えば、電極支持体104に取り付けられ、一体に固定される。電極支持体104には、例えば、2つの把手105が設けられ、検査を行う際には、操作者はこれらの把手105を片手、或いは両手で持って、第1電極体101と第2電極体102を、建築構造物の壁面106に沿って移動させることができる。
第1及び第2の電極体101、102を一体に支持する構造は、このような把手105を有する電極支持体104に限ることなく、どのような形態でもよい。
第1及び第2の電極体101及び102と計測器103とによる埋設物体の非破壊検査方法を図1に戻って説明する。
先ず、一体に支持された第1及び第2電極体101、102を建築構造物の壁面106に沿って移動させた際に、壁面内の埋設物体107が近くに存在しない場合を仮定する。
この場合、計測器103が計測する第1及び第2の電極体101と102の間のアドミッタンスは、第1及び第2の電極体101と102間の壁面内の媒質と壁面外の媒質とを介在して存在する等価的なキャパシタンスCと、それと並列に壁面内の媒質を介在して存在する等価的な並列抵抗Rとにより、次のような数式で表される。
Figure 2007218888
数1より、実効的なアドミッタンスYは次の数式で表される。
Figure 2007218888
壁面内の媒質は、通常の場合、コンクリート、無機材料製や合成樹脂製、木製等々の各種ボード類であり、無機材料製や合成樹脂製、木製等々の各種ボード類の場合は、Rは大変大きいので、数2のルート記号内の第1項は無視して良く、また、コンクリートの場合は、Rは必ずしも大きい場合ばかりではないので、数2のルート記号内の第1項は考慮する場合もある。
いずれの場合もにしても、第1と第2の電極体101、102間のアドミッタンス値は、主としてキャパシタンスCによって決定されると言ってよい。
計測器103は、市販されていて、良く知られているLCRメータなどを用いることができる。
次に、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を建築構造物の壁面106に沿って移動させた際に、壁面内の埋設物体107が近くに存在する場合を考える。
壁面内の埋設物体107とは、前記したように、電線、コンクリート補強用鉄筋などの線材や、水道管、ガス管、排水管などの金属製の管材、その他に、中空の非導電性の管材、例えばコンクリート中に埋め込まれた塩化ビニール管などである。
この場合、並列抵抗Rが少し変化してR’となり、キャパシタンスCが大きく変化してC’となったとすると、変化したアドミッタンスY’は次の数式で表される。
Figure 2007218888
一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を建築構造物の壁面106に沿って移動させた際に、壁面内の埋設物体107が近くに存在しない場合と、存在する場合とで生じる差のアドミッタンスYは次のように表される。
Figure 2007218888
建築構造物、壁面内の埋設物の存在は、この差のアドミッタンスYを計測器103によって検知することによって行われる。
もし、第1及び第2電極体101、102を建築構造物の壁面106に沿って移動させた際に、並列抵抗Rの変化が殆ど無視できるものである場合は、
R≒R’
であるから、Yは次のように簡単に表すことができる。
Figure 2007218888
それ故、次のように、次の数式で表される差のキャパシタンスCdのみを計測して、埋設物の存在を検知することもできる。
Figure 2007218888
上記差のキャパシタンスCdのみの計測は、前記したLCRメータを用いて行うことができる。
また建築構造物、壁面内の埋設物の存在を、次のような数式で表される差のインピーダンスZの計測によって検知することも可能である。
Figure 2007218888
但し、R,R’は、埋設物が存在する場合と、存在しない場合との第1及び第2の電極体101,102の等価的な直列抵抗。
このようなキャパシタンス変化を主要な要素とする差のインピーダンスZの計測も、前記LCRメータを用いて行うことができる。
以上のように、計測器103によって、主としてキャパシタンスの変化を捉える計測を、アドミッタンス値、キャパシタンス値、またはインピーダンス値の検出によって行うことができる。
計測器に用いる計測用周波数の範囲は、100Hz〜2GHzが使用可能であるが、50KHz〜300KHzの範囲が特に好ましい。
第1及び第2の電極体101、102と計測器103の2つの入力端とをそれぞれ接続する手段は同軸ケーブルが望ましい。その理由は、微細な交流計測電流を正確に入力させるためと、ノイズの混入を防止するためである。
一体に支持された第1及び第2の電極体101、102の間隔pについて述べると、第1及び第2の電極体101、102の間隔pの範囲は、好ましくは50〜300mm、より好ましくは80〜150mmである。pがこの範囲より小さいと、2つの電極から伸びる電気力線が壁面内の深いところへ届かないので、深いところの計測ができず、また、この範囲より大きいと、キャパシタンスの値が小さくなって計測ができなくなる。
壁面内に埋め込まれた埋設物体107の深さdについて述べると、埋設物体107の深さdの範囲は、〜150mmである。しかしもし、第1及び第2の電極体101,102から延びる電気力線を、壁面内の深いところへ導く何らかの工夫を行えば、検出できる埋設物体107の深さをもつと深くできる。
第1及び第2の電極体101、102の形状を、図3a〜図3cによって述べると、図3aは、1個のボール108と電極台109とから成るもので、電極台109は何でも良いが、弾性物質、例えばゴムを含むように構成すると、壁面上を移動させる時に衝撃を緩和させることができる。ボール108は、鉄製、銅製、アルミニウム製など、導電性のものであればなんでもよい。図3bは、ボール3個を用いたものである。3個のボールの並べ方を正三角形にすれば、電極の接触が安定し、本発明においては最も好適な形状である。
次に、図3cは、2個の電極ロール110を用いたものである。
この他に、第1及び第2の電極体101,102の形状については、ベアリングを設けて電極が転がる形状にするなど、種々の変形や工夫が可能である。
次に、建築構造物の壁面内の埋設物体107の具体的な検知事例を、埋設物体の一部が接地されているに場合と、接地されていない場合とに分けて述べる。
図4a〜図4cは、埋設物体の一部が接地されている場合の検知事例を示す。
図4aにおいて、壁面106内に埋め込まれた埋設物体107は、全部または一部が接地されている例である。例えば、埋設物体107が、延長部が地中に埋め込まれている1本の水道管である場合とか、2本の内の1本が必ず接地されているペアーの電線の場合などである。その他に、ガス管もその延長部が水道管と同様に延長部が地中に埋め込まれているので接地された埋設物体と見ることができ、また、コンクリートの補強用鉄筋も、下の方が地面より下に設置されている場合は、比較的内部抵抗の小さいコンクリート壁を通して接地されているとみなされるので、コンクリートの補強用鉄筋も接地された埋設物体と見ることができる。ただ、建築物の階層の高い柱内のコンクリート中の補強用鉄筋は、接地されてはいない可能性が高い。また、金属製の排水管も接地された埋設物体と見ることができる。
このような接地された埋設物体107が壁面内に存在するときは、図4aに示すように、壁面内を走っている第1及び第2の電極体101と102との間の電気力線の一部が埋設物体107へ取り込まれる。即ち、図4aのように、第1電極体101及び/又は第2電極102から埋設物体107へ取り込まれる電気力線が生じ、これによって、埋設物体107は、等価的なキャパシターを第1電極体101及び/又は第2電極102とアースとの間に形成することになる。一方、第1及び第2の電極体101と102間の電気力線はその分減少し、それに応じて第1及び第2の電極体101と102間のキャパシタンスCは減少する。この結果、第1及び第2の電極体101と102間に接続された計測器103のアドミタンス値も減少する。
即ち、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を、建築構造物の壁面上を移動させた時に、それが壁面内の接地された埋設物体107に近づくと、計測器のキャパシタンス値、アドミッタンス値は減少を表示する。このことを利用して、接地された埋設物体の検知を行うことができる。
このような接地された埋設物体の検知を行う方法を、図4bと図4cによって説明する。
図4bは、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を、埋設物体107が埋め込まれていると予想される建築構造物の壁面上を移動させる1つの方法を示す。一方向移動経路112に示すように、電極支持体104を先ず水平方向へ移動させ、次に電極支持体104を下方へ移して、再び水平方向へ移動させ、これを繰り返す。この移動方法で訐測器の計測結果を表示するには、Y軸上の間隔を表示装置上で一定にし、Y軸移動を任意に行って、X軸方向のみの位置検出を行うようにすれば、電極支持体104の位置検出を簡易化できる。
図4cは、このように電極体支持体104を壁面上で移動させた場合の計測器の計測値の変化を表すグラフを示す。電極支持体104が図4bの一方向経路112に沿って埋設物体107が存在しない領域から埋設物体107上を通過するとき、計測値113は高→低→高と変化を示す。一体に支持された第1及び第2の電極体101、102が埋設物体107上を通過する時、最低レベルを示すので、このようなアドミッタンス計測値の変化により、接地された埋設物体の存在を検知することができる。高レベルと低レベル間の差は、第1及び第2の電極体101、102間の距離p=10cm、埋設物体107の深さd=10cmのような条件で、キャパシタンス換算にして2〜10フェムトファラッド程度である。
電極支持体104が埋設物体104の上下間の中央部に来た時に計測値の平均のレベルが一段と落ちるのは、接地されていない方の電極から出る電気力線の内、接地されている埋設物体へ取り込まれる電気力線の数が一層増えるためである。
このような、計測値の平均のレベルが埋設物体の上下端と中央部で異なることを解消させるためには、計測値を絶対値で表示するのではなく、計測値を一定の範囲内の差分値で表示するようにすれば、このような平均レベルの格差を是正することができる。
次に、図5a〜図5bは、埋設物体が接地されていない場合の検知事例を示す。
図5aは、壁面106内に埋め込まれた埋設物体107が接地されていない場合の電気力線の形成状態などを示す。接地されていない埋設物体107の例は、接地されていないとみなされる鉄筋の場合や、開閉器で電源からスイッチオフされている屋内配線の場合などである。
図5aにおいて、第1及び第2の電極体101と102間においては、接地されていない埋設物体107が現れると、接地されていない埋設物体107を介する新たな電気力線が形成される。新たに加わる電気力線には、元々第1及び第2の電極体101と102間のキャパシターCの形成に寄与していなかった電気力線が含まれ、これにより第1電極体101と埋設物体107との間にキャパシターC1が形成され、また、第2電極体102と埋設物体107との間にもキャパシターC2が形成される。そして、第1及び第2の電極体101と102との間に元から存在するキャパシターCに、直列接続されたこれらの新たなキャパシターC1とC2が並列接続される形で加わり、これによって、第1及び第2の電極体101と102間の合成キャパシタンスが増加するので、キャパシタンスCが増加し、アドミッタンスも増加する。このように、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を壁面上で移動させたときに、計測器のアドミッタンス値の上昇を見ることによって、接地されていない埋設物体を検知することができる。
先の図4bと同様の方法により、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を、一方向移動経路112に沿って、埋設物体107が埋め込まれていると予想される建築構造物の壁面上を移動させ、これによって得られた計測器103の計測結果を表したのが図5bである。電極支持体104が図4bの一方向経路112に沿って埋設物体107が存在しない領域から埋設物体107上を通過するとき、計測値114は図4bとは逆に、低→高→低の変化を示す。第1及び第2の電極体101、102が埋設物体107上を通過する時、最高レベルを示すので、このようなアドミッタンス計測値の変化により、接地されていない埋設物体の存在を検知することができる。低レベルと高レベル間の差は、第1及び第2の電極体101、102間の距離p=10cm、埋設物体107の深さd=10cmのような条件で、キャパシタンス換算にして10〜20フェムトファラッド程度である。
電極支持体104が埋設物体104の上下間の中央部に来た時に計測値の平均のレベルが一段と上昇するのは、接地されていない埋設物体107を介する電気力線の数が一層増えるためと考えられる。
このような、計測値の平均のレベルが埋設物体の上下端と中央部で異なることを解消させるためには、前記した埋設物体が接地されている場合と同様に、計測値を絶対値で表示するのではなく、計測値を一定の範囲内の差分値で表示するようにすれば、このような平均レベルの格差を是正することができるので、表示を行う時に、差分値を用いるメリットは大きい。
また、本発明においては、埋設されている中空管、例えば塩化ビニール製排水管などの検出をすることもできる。これは、前述したような、埋設されている接地された導体や接地されていない導体の場合とは異なる別のケースであるが、同じように主としてキャパシタンスの変化を捉えて検知することができる。それができる理由は、中空管の中空部は比誘電率が真空に近い最も低い値であるため、その部分だけ電気力線が疎になり、そのために第1及び第2の電極体101,102間の総合的なキャパシタンスCが小さくなるからである。また同時に、中空管のところだけ並列電気抵抗Rが高くなり、低くなったCと併せて、第1及び第2の電極体101,102間の総合的なアドミッタンス値も低くなるためである。従って、この場合は、電極支持体104を壁面上で移動させた場合、アドミッタンスの計測値は、高→低→高、という接地された埋設物の場合の図4cと同様のカーブが得られ、これによって埋設されている中空管の検知が行える。
図6a及び図6bには、電極支持体104を建築構造物の壁面上を移動させる図4b以外の他の方法を示す。図6aに示す方法は、図4bの方法が常に右方向、或いは常に左方向であるのに対し、右方向→左方向→右方向・・・というように両方向移動経路116に沿ってジグザグで移動させる方法である。この場合の計測結果表示のための電極体支持体104のX−Y座標の位置検出には、X−Y軸ジャイロを用いればよい。
図6bに示す方法は、図4bと図6aに示す方法が、一体に支持された第1及び第2の電極体101、102を壁面上で連続的に移動させるものであるのに対し、壁面上をポイントで移動させるものであり、計測ポイント117の、ポイント▲1▼→ポイント▲2▼→ポイント▲3▼→ポイント▲4▼・・・のように移動させて行くものである。この他、電極支持体104を壁面上で移動させる方法はどのような方法を用いてもよい。電極支持体104の種々の移動方法を用いて得た計測器の計測値の表示方法は、それらの移動方法に応じた方法を採用すればよい。
図7aには、計測器の計測値の表示を行う手段の一つとして、パソコン119を用いる方法を示す。パソコン119には、図4b、図6a、図6bに示したような電極支持体104の各移動方法に応じた計測値表示のためのアプリケーションソフトウェアをインストールする。パソコン119のモニター画面のX−Y軸エリアは、建築構造物の壁面上の電極支持体104の移動範囲に対応させる。計測結果をモニターにおいて、明暗で表示する、或いは色の違いで表示するようにして、埋設物体の存在を表示することができる。計測器103の出力は、コントローラ120を介してパソコンへ入力される。パソコンへデータを入力する手段は、USB或いはIEEE1394のような一般によく普及しているシリアル型接続インターフェースを用いるのが望ましい。コントローラ120には、電極支持体104に支持されている第1と第2の電極体101、102が接続される。しかし、このコントローラ120は必ずしも必要なものではなく、同じ機能を計測器103へ組み込んで、コントローラ120を省略しても良い。
また、埋設物体の存在を自動的に判断する機構を、コントローラ120内に回路的に設けるか、埋設物体の存在を自動的に判断する機能を前記アプリケーションソフト内に設けて、埋設物体の存在をデジタル的に表示してもよい。
先の図4cに示した接地されている埋設物体の計測値は、高→低→高の変化を示し、また埋設中空管の計測値も同様に、高→低→高の変化を示し、一方、図5bに示した接地されていない埋設物体の計測値は、低→高→低という逆の変化を示し、このために、パソコン或いは他の表示装置では、接地されている埋設物体と埋設中空管の計測結果と、接地されていない埋設物体の計測結果とは逆の表示が行われて扱い難い。これを解決するために、図7bに示すようなレベル反転部121をコントローラ内に設けた。レベル反転部121は、高→低→高、或いは、低→高→低という計測結果のパターンを逆転させて、接地されている埋設物体または埋設中空管の計測結果の表示と、接地されていない埋設物体の計測結果の表示とを一致させる作用を行う。レベル反転部121のレベルの反転は、自動的に行っても良いし、手動で行ってもよい。これによって、接地されている埋設物体または埋設中空管の計測と、接地されていない埋設物体の計測とを同一のシステムによって行うことができる。
レベル反転部121は、計測器103中に組み込んでも良い。
図8には、これまでに述べたと同様の計測器を用いて、壁面の両側から検査を行う方法を示す。第1及び第2の電極体101と102の片方ずつをそれぞれ、壁面の両側に配置して、図1と同様に、計測器103へ接続する。そして、101と102のどちらかの電極体を固定させておいて、もう一方の電極体を図4b、図6a、図6bに示したような方法で壁面上を移動させる。そして、これまで述べた図4a〜図4c及び図5a〜図5bと同様に、アドミッタンス値、或いはキャパシタンス値のレベルの変化を検知して行う。そして、埋設物体107が接地されている場合は、計測値のレベルが、高→低→高という変化を示し、埋設物体107が接地されていない場合は、計測値のレベルが逆に、低→高→低という変化を示すこともこれまでの片側からの検査方法の場合と同様である。しかし、この両側からの検査方法が、これまでの片側からの検査方法と大きく異なるのは、片側検査の場合より、より深い埋設物体の検査を行うことができるということである。壁間の距離qは、〜300mmくらいまで検査が可能である。この理由は、2つの電極体を壁の両側へ配置することにより、2つの電極間で生じる電気力線が壁内のより深いところへ到達することができるようになるからである。
以上のように、本発明の方法は、主としてキャパシタンス値の変化を捉えて埋設物体の検知を行なう方法であり、前述したように、アドミッタンスに限らず、キャパシタンスのみの計測、或いはキャパシタンスの変化を主要素とするインピーダンス値の変化の計測によっても行うことができる。
本発明の基本構成を示す。 2つの電極の電極支持台への取り付け構造を示す。 1個の電極ボールを有する電極体の構造を示す。 3個の電極ボールを有する電極体の構造を示す。 電極ロールを有する電極体の構造を示す。 接地された埋設物体の検知方法を示す。 一方向移動による電極体の移動方法を示す。 埋設物体が接地されている場合のアドミッタンスの計測例を示す。 接地されていない埋設物体の検知方法を示す。 埋設物体が接地されていない場合のアドミッタンスの計測例を示す。 両方向移動による電極体の移動方法を示す。 計測ポイント毎の電極体の移動方法を示す。 パソコンを用いた計測結果の表示例を示す。 レベル反転部の構成を示す。 両側の壁面から検査を行う例を示す。 第1の従来例を示す。 第2の従来例を示す。
符号の説明
1 光子発生器
2 電子加速器
7 被検査体
9 光子強度モニター
16 変換プローブ
101 第1電極体
102 第2電極体
103 計測器
104 電極支持体
105 把手
106 建築構造物の壁面
107 埋設物体
108 電極ボール
109 電極台
110 電極ロール
112 一方向移動経路
113 接地された埋設物体の計測値
114 接地されていない埋設物体の計測値
116 両方向移動経路
117 計測ポイント
119 パソコン
120 コントローラ
121 レベル反転部

Claims (12)

  1. 計測器に接続した第1及び第2の電極体を壁面上で移動させ、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値の変化を前記計測器により計測して、壁面内の埋設物体を検知する建築構造物の非破壊検査システム。
  2. 前記第1及び第2の電極体を片側の壁面上で移動させることを特徴とする請求項1記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  3. 前記第1及び第2の電極体を両側の壁面上で移動させることを特徴とする請求項1記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  4. 前記埋設物体は、接地されている導電性の線材または管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  5. 入力端の一方が接地された計測器を用いることにより、壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がることを特徴とする請求項4記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  6. 前記埋設物体は、接地されていない導電性の線材または管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  7. 壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が上がることを特徴とする請求項6記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  8. 前記埋設物体が中空の非導電性管材であることを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  9. 壁面内の埋設物体を検知した時に、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がることを特徴とする請求項8記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  10. 前記計測器と表示手段との間に、レベル反転部を介在させることにより、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が下がる計測結果と、アドミッタンス、キャパシタンスまたはインピーダンスの値が上がる計測結果とを、レベルが一致して表示されるようにしたことを特徴とする請求項1〜9記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  11. 前記第1及び第2の電極体は、弾性物質を含む電極台を有することを特徴とする請求項1〜3記載の建築構造物の非破壊検査システム。
  12. 前記第1及び第2の電極体は更に、1個または複数個のボール状の電極を有することを特徴とする請求項11記載の建築構造物の非破壊検査システム。
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