JP2007217776A - 隙間構造を有するステンレス鋼部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】Ni含有量を高々14%以下に抑え、Siを多量添加していないオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、隙間部に塩化物が付着しやすい大気環境で使用される加工部材の応力腐食割れによるトラブルを安定して回避できる技術を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.08%以下、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Ni:8.0〜14.0%、Cr:15.0〜22.0%、Mo:0.5〜4.5%、Cu:1.0%以下、N:0.08%以下、残部が実質的にFeであり、かつCr+3Mo≧20を満たす組成を有し、表面の一部に溶接または塑性加工接合によって生じた隙間構造を有するオーステナイト系ステンレス鋼を構成要素にもつ部材であって、前記隙間構造は隙間間隔が0.5mm以下であり、かつその隙間構造が大気環境に曝されて使用される、自動車給油径部材に適したステンレス鋼部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の燃料タンクや給油管などに適した、大気環境における隙間部での耐応力腐食割れ性を改善したステンレス鋼部材に関する。
自動車や自動二輪に搭載されるガソリンタンクや給油管は、気密性が悪いと気化したガソリンが大気中に散逸する。ガソリンの散逸は最近特に重視されている地球環境保護に悪影響を及ぼす大きな要因となる。
一般に上記のような給油系部材は強度や安全性の観点から金属材料で構成され、その気密性の維持は素材の特性(耐孔食性、耐隙間腐食性、耐応力腐食割れ性など)に大きく影響される。そこで、長期間にわたって良好な気密性を維持するために、従来の表面処理鋼板などに替えて、耐食材料であるステンレス鋼材を給油系部材に適用する検討が進められている。
燃料タンクや給油管は複雑形状に加工されて製造されることが多く、加工性の観点からフェライト系鋼種よりオーステナイト系鋼種の方が有利である。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は本来的に応力腐食割れを生じやすいという欠点を有する。特に給油系部材では加工度の大きい部位や、溶接部、かしめ加工部などで残留応力が存在しやすい。また、給油管や燃料タンクのシーム溶接部やスポット溶接部、あるいはかしめ加工部などに形成される隙間部には、海塩粒子、融雪塩、雨水などが浸入して隙間腐食が生じやすく、これが応力腐食割れの起点となりやすい。
これまで、オーステナイト系ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性に関しては「水環境」すなわち水中に浸漬された環境について多くの研究が行われており、例えば特許文献1、2にはSiおよびCuを多めに添加することにより温水中の耐応力腐食割れ性を顕著に改善したオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
特開平1−159351号公報 特開平3−104842号公報 特開平6−128699号公報
自動車の給油系部材が使用される環境は「大気環境」であり、上記の「水環境」とは腐食環境が異なる。このため、特許文献1、2のような水環境での耐応力腐食割れ性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼を塩化物が付着するような大気環境に使用した場合、必ずしも優れた耐応力腐食割れ性が安定して発揮できるとは限らない。現に、特許文献1、2の鋼を溶接部やかしめ加工部を有する部材に加工して塩化物の付着する大気環境で使用する実験を行ったところ、Cr含有量レベルやSi含有量レベルが比較的低い組成域では溶接部やかしめ加工部周辺の隙間部分において隙間腐食を生じることかあり、それが基点となって応力腐食割れを起こすケースも見られた。このことから、自動車の給油系部材などの用途では、水環境での特性向上を図ったオーステナイト系鋼を選択するだけでは安定した高耐久性を得る手段にならないことがわかった。
一方、特許文献1、2の鋼の中でもCrおよびSiの含有量レベルをかなり高めた鋼種を採用すれば大気環境での耐応力腐食割れ性を問題ないレベルに引き上げることは可能になると考えられる。しかし、CrやSiはフェライト形成元素であるから、これらの元素を同時に高めたオーステナイト系鋼を得るにはNi等のオーステナイト形成元素を多量に添加する必要が生じ、材料コストが高くなる。また、製造性も悪くなる。
特許文献3に開示されるような高Cr化、高Ni化、高Mo化を図ったオーステナイト系鋼を使用することによっても大気環境での腐食によるトラブルを回避することは可能であると考えられる。しかし、Cr、Ni、Moの3者を多量に含有する鋼は材料コストを大きく増大させ、自動車給油系部材への適用は現実的ではない。
本発明はこのような現状に鑑み、Ni含有量を高々14%以下に抑え、Siを多量添加していないオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、隙間部に塩化物が付着しやすい大気環境で使用される加工部材の応力腐食割れによるトラブルを安定して回避できる技術を提供しようというものである。
発明者らは種々検討の結果、オーステナイト系ステンレス鋼部材の隙間部における耐応力腐食割れ性は、鋼素材の特性だけでなく、部材の隙間構造の形態にも大きく影響されることを知見した。大気環境では水環境の場合とはむしろ逆に、タイトな隙間部を形成することによって耐応力腐食割れ性は顕著に改善されるのである。ただし、その部材には一定範囲の組成を有する鋼を適用する必要がある。
すなわち本発明では、Ni:8.0〜14.0質量%、Cr:15.0〜22.0質量%、Mo:0.5〜4.5質量%を含有し、かつ下記(1)式を満たす組成を有し、表面の一部に溶接または塑性加工接合によって生じた隙間構造を有するオーステナイト系ステンレス鋼を構成要素にもつ部材であって、前記隙間構造は隙間間隔が0.5mm以下であり、かつその隙間構造が大気環境に曝されて使用されるステンレス鋼部材が提供される。
Cr+3Mo≧20 ……(1)
当該部材として自動車給油系部材が好適な対象となる。上記オーステナイト系ステンレス鋼の好ましい組成としては、質量%で、C:0.08%以下、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Ni:8.0〜14.0%、Cr:15.0〜22.0%、Mo:0.5〜4.5%、N:0.08%以下、残部が実質的にFeであり、かつ上記(1)式を満たす組成が挙げられる。「残部が実質的にFe」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で上記以外の元素の混入が許容されることを意味し、残部がFeおよび不可避的不純物であるものが含まれる。上記(1)式の元素記号の箇所には質量%で表された各元素の含有量の値が代入される。
塑性加工接合は、2以上の素材に塑性加工を伴う変形を付与することによってそれらの素材を接合する加工法であり、代表的には「かしめ加工」が挙げられる。溶接としては隙間部を伴う接合法として2つの素材を部分的に重ね合わせて接合する「抵抗溶接」が例示される。
隙間構造は、対向する表面同士の間に面状の空間または接触部が形成されている部分であり、前記「面状」には曲面状が含まれる。ただし、対向する表面同士の平均距離δ(mm)と、面状の空間または接触部の面積s(mm2)が、s≧10δを満たさない場合は、本発明でいう隙間構造に該当しない。隙間間隔が0.5mm以下とは、前記隙間構造において対向する表面同士の距離が0.5mm以内に収まっていることをいう。
大気環境は、部材が雨水や空気中の水分等により濡れることはあるものの、基本的には乾燥した状態で使用される環境であり、本発明の部材は特に塩化物の付着を伴う環境で優れた耐久性を発揮する。屋外に存在する水分や塩化物の付着を伴うことから、本発明における大気環境は屋外環境と言うこともできる。
本発明によれば、隙間構造を伴う加工部を有し、その加工部が塩化物の付着しやすい大気環境に曝されて使用される部材において、応力腐食割れによるトラブルを安定して回避することのできる耐久性の高い部材が提供された。素材にはオーステナイト系ステンレス鋼が使用されるため複雑形状に加工された部材が構築できる。また特段に高Si化や高Ni化を図っていないオーステナイト系ステンレス鋼が使用されるため、過剰に高耐食性を付与した鋼種と比べ、コストが低減される。したがって本発明は、長期間にわてって優れた密閉性を維持することが要求されるガソリンタンクや給油管などの自動車給油系部材として好適であり、これらの部材の耐久性向上に寄与するものである。
本発明のステンレス鋼部材は、隙間部を大気環境に曝して使用するものである。大気環境では、腐食生成物の多くが腐食部近傍に残るという点で、水環境の場合と腐食環境が大きく相違する。隙間内で腐食が進むとオーステナイト系ステンレス鋼中に含まれるFe、Ni、Cr等がイオンとなって隙間内に溶出し、イオンあるいは酸化物等の沈殿物として腐食部近傍に存在する。
発明者らは腐食生成物に着目して、大気環境における隙間部での耐応力腐食割れ性について、詳細な検討を行ってきた。その結果、腐食生成物としてMoO4 2-イオンが隙間内に存在すると、オーステナイト系ステンレス鋼の当該隙間部での耐応力腐食割れ性が顕著に向上することを見出した。SUS304のような耐応力腐食割れ性を特段に向上させていない汎用鋼でも、隙間部にMoO4 2-を含む水溶液を滴下して隙間内にMoO4 2-イオンを供給したのち、大気環境の腐食試験(加速試験)に供すると、応力腐食割れが顕著に抑止されるのである。そのメカニズムについては現時点で明確ではないが、Crが溶出したところにMoO4 2-イオンが置換され、補修膜が形成されるためであると考えられる。MoO4 2-イオンの効果は例えば次のような実験で把握することができる。
すなわち、SUS304の2D仕上げ材(板厚1mm)から30mm×30mmの大片と15mm×15mmの小片を切り出し、表面を#600湿式研磨で仕上げた後、大片の中央に小片を直径5mmの電極を用いてスポット溶接によりナゲットが形成される条件で接合した。溶接部近傍には密着状態に近い隙間構造が形成されている。このようにして作製した溶接隙間試験片(溶接により隙間構造を形成した試験片)を塩乾湿複合サイクル試験(CCT)に供した。試験片は小片側が上になるように概ね水平に置いた。CCTは、「85%R.H.、50℃×15h保持→30%R.H.、50℃×3h保持による強制乾燥→50%R.H.、20℃×6h保持」を1サイクルとし、これを100サイクルまで行った。ただし、初回サイクルと途中の10サイクルごとにそのサイクル開始前に「5%NaCl水溶液」または「5%NaClに2000ppmのMoO4 2-イオンを添加した水溶液」のいずれかを一方を小片の中央部に1mL滴下した。
100サイクル後の溶接隙間試験片の大片と小片を分離し、溶接部近傍の応力腐食割れの有無を調べた。その結果、「5%NaCl水溶液」を滴下した試料には応力腐食割れが生じていたのに対し、「5%NaClに2000ppmのMoO4 2-イオンを添加した水溶液」を滴下した試料には応力腐食割れは認められなかった。つまり、SUS304であってもMoO4 2-イオンが存在する溶接隙間では耐応力腐食割れ性が顕著に改善されることが明らかになった。なお、SUS304を用いたこの溶接隙間試験片は、水環境では著しい応力腐食を起こすものである。
実際の大気環境では外部からMoO4 2-イオンが供給されることはない。そこで、本発明のステンレス鋼部材は、
i) 塩化物の付着するような大気環境において、素材のオーステナイト系ステンレス鋼から隙間内にMoO4 2-イオンが供給されること、
ii) そのMoO4 2-イオンが隙間内に滞留すること、
により、耐応力腐食割れ性の問題を解消を図ったものである。
上記i) については、素材のオーステナイト系ステンレス鋼の組成を規定することによって実現される。上記ii) については隙間部をMoO4 2-イオンが流出しにくい構造にすることによって実現される。以下、鋼組成と隙間構造の規定について説明する。
〔鋼組成〕
種々検討の結果、自動車の給油系部材や足回り部材など塩化物の付着が起こりやすい大気環境で使用された場合に、素材自体から隙間部に十分な量のMoO4 2-イオンが供給されるためには、素材に0.5質量%以上のMoを含有させることが必要である。ただし、過剰のMo含有は耐力を増加させて加工性の低下を招き、またコスト増となるため、Mo含有量は4.5質量%以下に制限される。
また、塩化物存在下での基本的な耐食性を確保し、かつ隙間内でのpH低下による耐食性低下に対応するために、Cr含有量を15.0質量%以上確保する。素材鋼には上記のようにMoを含有させるので耐食性レベルが向上する。このためCr含有量は22質量%以下の範囲で足りる。ただし、隙間内において応力腐食割れの基点となるような隙間腐食の発生を抑止し、また、十分な量のMoO4 2-イオンの供給を可能にするためには、CrとMoの相乗作用が必要となり、下記(1)式を満たすようにCrおよびMoを含有させる必要がある。
Cr+3Mo≧20 ……(1)
オーステナイト系ステンレス鋼に通常含まれるその他の元素については、製造性、加工性、溶接性を害さない限り、特に制限しなくてもよいが、例えばC:0.08質量%以下、Si:1.5質量%以下、Mn:2.0質量%以下、N:0.08質量%以下、Cu:1.0質量%以下の範囲において良好な結果が得られる。
その他、例えばBは0.03質量%以下、Ti、Nbはいずれも0.05質量%以下、REM(希土類元素)、Y、Caは合計0.02質量%以下の範囲で含有が許容される。Sはできるだけ低く抑えることが望ましく、本発明では0.007質量%まで許容される。
〔隙間構造〕
給油系部材などの自動車部材を構築する際、部品相互を抵抗溶接やかしめ加工によって接合することが多い。抵抗溶接は、シーム溶接やスポット溶接が最も一般的であり、通常2つの板状部品を重ね合わせて、それらを電極で挟んで加圧しながら通電し、接合する。接合された溶接部の近傍には、重ね合わされた両部品間に隙間が形成される。この隙間は、両部品が面接触している場合もあるし、一部または全部が離れている場合もある。かしめ加工では、その加工部に面接触に近い形態の隙間が形成され、その周辺に両部品が離れている隙間が形成されることもある。いずれにしても、抵抗溶接やかしめ加工の接合部近傍に形成される隙間は、その接合部に力がかかったときに両部品が押し合わされることで接合部の強度を維持する機能を有する。隙間部の面積があまり小さいと、接合強度の維持機能が発揮されない。対向する表面同士の平均距離δ(mm)と、面状の空間または接触部の面積s(mm2)が、s≧10δを満たさない場合は、隙間間隔に対し重なり部の面積が小さすぎ、接合強度の維持機能が不十分となりやすい。
隙間内部で生じたMoO4 2-が隙間外に流出すると、隙間部での耐応力腐食割れ性が十分得られなくなる。このため、隙間間隔ができるだけ小さい隙間構造を形成させることが本発明では極めて重要である。詳細な研究の結果、隙間間隔が0.5mm以下であるようなタイトな隙間構造を構築し、かつ上記組成を有する鋼素材を少なくとも対向する部品のいずれかに使用することによって、その隙間部は、塩化物の付着しやすい大気環境に曝されたとき、トラブルの原因になる応力腐食割れを生じないことがわかった。この点、タイトな隙間が隙間腐食や応力腐食割れを助長する要因となる水環境とは、腐食挙動が大きく異なると言える。大気環境では、隙間間隔が0.5mmを超えると安定して耐応力腐食割れ性の顕著な向上効果を得ることが難しくなる。
隙間を挟んだ両部品のうち、いずれか一方を本発明で規定する上記組成のオーステナイト系ステンレス鋼で構成することにより、隙間内部でのMoO4 2-イオンの生成が実現され、隙間部での耐応力腐食割れ性は顕著に改善される。隙間を挟んだ両部品をいずれも本発明で規定する上記組成のオーステナイト系ステンレス鋼で構成すれば、信頼性が一層向上し、好ましい。
表1に示す組成のオーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、一般的なステンレス鋼板の製造プロセスにより、2D仕上げの素材鋼板(板厚2mm)を製造し、この素材鋼板を用いて図1に示すような構造の溶接隙間試験片を作製した。すなわち、30mm×30mmの大片1と15mm×15mmの小片2を素材鋼板から切り出した。このうち小片2には、精密切削加工により、一方の面の中央位置に直径5mm、高さ10μm〜1.0mmの突起3を形成した。表面仕上げは、大片1は#600湿式研磨仕上げ、小片は精密切削加工ままとした。大片1の中央に突起3の先端が当たるようにして、直径5mmの電極を用いてスポット溶接によりナゲットが形成される条件で接合した。電極の軸と小片2の突起3の軸が一致するようにスポット溶接を行った。
図1に、このようにして作製した溶接隙間試験片の構造を模式的に示す。図1(a)が平面図、図1(b)中央部の断面図である。隙間間隔δが10μm〜1.0mmの種々の段階にある溶接隙間試験片が用意された。
なお、各鋼のS含有量はいずれも0.007質量%以下に低減されている。
Figure 2007217776
各溶接隙間試験片について、塩乾湿複合サイクル試験(CCT)に供した。試験片は小片側が上になるように概ね水平に置いた。CCTは、「85%R.H.、50℃×15h保持→30%R.H.、50℃×3h保持による強制乾燥→50%R.H.、20℃×6h保持」を1サイクルとし、これを100サイクルまで行った。ただし、初回サイクルと途中の10サイクルごとにそのサイクル開始前に5%NaCl水溶液(MoO4 2-イオン無添加のもの)を小片の中央部に1mL滴下した。各鋼種ともn=3で行った。
100サイクル後の試験片の大片と小片を分離し、溶接部近傍の応力腐食割れの有無を光学顕微鏡により詳細に調べ、n=3のうち、すべての試験片について応力腐食割れが認められなかったものを○(良好)、1つでも応力腐食割れが認められたものを×(不良)と評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007217776
表2からわかるように、本発明規定の組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼で試験片を構成し、かつ隙間間隔が0.5mm以下の隙間構造を形成した本発明例のものはいずれも応力腐食割れを生じておらず、塩化物の付着しやすい大気環境において優れた耐応力腐食割れ性を安定して示すことが確認された。
これに対し、本発明規定の組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であっても、隙間間隔が0.8mmおよび1.0mmのものでは応力腐食割れが生じた。これは、隙間間隔が広くなることでMoO4 2-イオンが隙間外へ流出しやすくなる一方、酸素濃度は隙間内の方が低いままであり、酸素濃淡電池が形成されたためである考えられる。
また、Mo含有量が不足した鋼(No.21〜23)、あるいはCr+3Moが20未満の鋼(No.24〜27)で構成したものは、隙間間隔0.5mm以下のタイトな隙間構造としても応力腐食割れの発生を回避することはできなかった。
実施例で用いた溶接隙間試験片の構造を模式的に示した図。
符号の説明
1 大片
2 小片
3 突起

Claims (6)

  1. Ni:8.0〜14.0質量%、Cr:15.0〜22.0質量%、Mo:0.5〜4.5質量%を含有し、かつ下記(1)式を満たす組成を有し、表面の一部に溶接または塑性加工接合によって生じた隙間構造を有するオーステナイト系ステンレス鋼を構成要素にもつ部材であって、前記隙間構造は隙間間隔が0.5mm以下であり、かつその隙間構造が大気環境に曝されて使用されるステンレス鋼部材。
    Cr+3Mo≧20 ……(1)
  2. 質量%で、C:0.08%以下、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Ni:8.0〜14.0%、Cr:15.0〜22.0%、Mo:0.5〜4.5%、N:0.08%以下、残部が実質的にFeであり、かつ下記(1)式を満たす組成を有し、表面の一部に溶接または塑性加工接合によって生じた隙間構造を有するオーステナイト系ステンレス鋼を構成要素にもつ部材であって、前記隙間構造は隙間間隔が0.5mm以下であり、かつその隙間構造が大気環境に曝されて使用されるステンレス鋼部材。
    Cr+3Mo≧20 ……(1)
  3. 質量%で、C:0.08%以下、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Ni:8.0〜14.0%、Cr:15.0〜22.0%、Mo:0.5〜4.5%、Cu:1.0%以下、N:0.08%以下、残部が実質的にFeであり、かつ下記(1)式を満たす組成を有し、表面の一部に溶接または塑性加工接合によって生じた隙間構造を有するオーステナイト系ステンレス鋼を構成要素にもつ部材であって、前記隙間構造は隙間間隔が0.5mm以下であり、かつその隙間構造が大気環境に曝されて使用されるステンレス鋼部材。
    Cr+3Mo≧20 ……(1)
  4. 前記溶接が抵抗溶接である請求項1〜3のいずれかに記載のステンレス鋼部材。
  5. 前記塑性加工接合がかしめ加工である請求項1〜3のいずれかに記載のステンレス鋼部材。
  6. 当該部材は自動車給油系部材である請求項1〜5のいずれかに記載のステンレス鋼部材。
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