以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る電気掃除機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図である。図2は、この電気掃除機1を水平面で切断したときの断面を上方から見た断面図である。図1における左側を前方、右側を後方とし、図2における上側を左方、下側を右方として説明する。
図1および図2を参照して、この電気掃除機1は、電動送風機2を備えた本体3と、この本体3の前端部に形成された吸込口4に一端部が差し込まれた接続ホース5とを備えている(図2では、接続ホース5を省略して示している。)。接続ホース5は、その少なくとも一部が蛇腹形状に形成された長尺な管状部材であって、その他端部には吸込部が取り付けられている(図示せず)。掃除を行う際には、本体3に備えられた電動送風機2を駆動させた状態で、吸込部を床面に沿って移動させることにより、床面上の塵埃を空気とともに吸込部から吸い込ませる。吸込部から吸い込まれた空気は、接続ホース5を通って吸込口4から本体3内に流入する。本体3の下部には、複数の車輪6が取り付けられており、これらの車輪6を床面に沿って転動させることにより、本体3を床面に沿って移動させることができるようになっている。
この電気掃除機1には、吸込口4から吸い込まれた空気を旋回させることにより、その空気に含まれる塵埃を遠心力で分離させて捕獲するための旋回式の集塵装置7を装着することができるようになっている。本体3内の後側には、電動送風機2を収容する送風機収容室8が形成されており、本体3内の前側には、集塵装置7を収容する集塵室9が形成されている。電動送風機2は、送風機収容室8内の右側3分の2程度の空間に配置されており、送風機収容室8内の左側3分の1程度の空間は、この電気掃除機1に外部から電力を供給するための電源コード10を収容するコード収容部11を形成している。コード収容部11には、コード巻回ホイール12が左右方向に延びる回転軸12Aを中心に回転可能に配置されており、この電気掃除機1を使用しないときには、電源コード10をコード巻回ホイール12の外周面に巻き付けた状態でコード収容部11に収容しておくことができる。
集塵室9の上面は開口されており、その上面開口をダストカバー13で覆うことができるようになっている。集塵室9の前面を区画する前面壁9Aには、吸込口4に連通する略円形の開口14が形成されている。開口14は、鉛直面に対して若干上方を向くように、すなわち、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されている。集塵装置7の前面には、集塵室9内への空気の入口15が略円形状に形成されており、入口15から前方に向かって筒状の入口管16が突出形成されている。入口管16の前端縁は、開口14の傾斜に対応させて、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されている。集塵装置7は、ダストカバー13を開いた状態で、上方から上面開口を介して集塵室9内に挿入される。開口14および入口管16の前端縁を上記のように鉛直面に対して傾斜した形状とすることにより、集塵装置7を鉛直下方に向かって集塵室9内に挿入したときでも、開口14の周縁部と入口管16とが干渉するのを防止できる。開口14の周縁部には、略円環状のパッキン17が取り付けられており、集塵装置7を集塵室9内に収容した状態では、入口管16の前端縁がパッキン17に圧接されることにより、開口14と入口管16の前端縁との隙間がシールされるようになっている。
集塵装置7には、たとえば樹脂製であって、その内部で空気を旋回させることができる中空状のケーシング18と、ケーシング18の後面に形成された排気口19から排出される空気を通過させて、その空気に含まれる塵埃を捕獲するためのフィルタ20と、フィルタ20の外周を取り囲んで保持するフィルタ保持部材18Bとが備えられている。フィルタ20は、たとえば、ウレタンを含む材料で形成されている。
ケーシング18の前面には、上記の入口15が形成されており、この入口15から前方に向かって上記の入口管16が突出形成されている。ケーシング18内には、区画壁によって旋回流路21が区画形成されている。より具体的には、入口15からケーシング18内に入った空気は、旋回軸線22(図2参照)を中心にして、旋回流路21に沿って前方側から見て時計回りに旋回するようになっている。旋回流路21の終端部は、排気口19の直上流側(直前方側)に広がる集塵部23に連通している。
ケーシング18内に入口15から流入した空気に含まれる塵埃は、旋回流路21に沿って旋回する過程で、遠心力の作用により、旋回流路21内の外方側(旋回軸線22に対して径方向外方側)を通過することとなる。ケーシング18内には、旋回軸線22に沿って略円筒状のフィルタ24(図2参照)が配置されている。このフィルタ24は、たとえば、金属線を格子状に結合して形成されたメッシュフィルタである。フィルタ24の後端は、集塵部23における排気口19の直上流側に臨んでいる。このような構成により、旋回流路21に沿って旋回する空気に含まれる塵埃は、旋回流路21内の外方側を旋回するので、フィルタ24を通過せずに集塵部23へと導かれることとなるが、旋回流路21内の内方側(旋回軸線22側)を旋回する空気(塵埃が分離された空気)の一部が、フィルタ24を通過し、フィルタ24内を通って排気口19の直上流側に導かれることとなる。したがって、ケーシング18内に入口15から流入した空気に含まれる塵埃を遠心力で分離させて集塵部23で捕獲することができるとともに、塵埃が分離された空気をフィルタ24を介して排気口19側へと導くことができるので、良好に塵埃を捕獲することができる。
図3は、フィルタ保持部材18Bを前方側斜め上方から見た斜視図である。また、図4は、フィルタ保持部材18Bおよびフィルタ保持部材18Bにより保持されたフィルタ20を水平面に沿って切断した状態を示す斜視図である。
図3および図4を参照して、フィルタ保持部材18Bは、たとえば樹脂製であって、略矩形状の後板部25と、この後板部25の外周縁に沿って前方側に突出する環状側板部26とが一体的に形成されることにより構成されている。フィルタ20は、その外周面が環状側板部26の内周面に沿うようにしてフィルタ保持部材18Bに嵌め込まれ、フィルタ保持部材18Bに嵌め込まれた状態では、その前面が環状側板部26の前端縁とほぼ面一となる。環状側板部26の内周面(の左下隅)には、位置決め用突部27が形成されており、フィルタ20の位置決め用突部27に対応する位置(左下隅)には、凹部28が形成されている。したがって、フィルタ20を、その凹部28内に位置決め用突部27が入り込むようにフィルタ保持部材18Bに嵌め込むことにより、フィルタ20の表裏および上下左右の向きを間違えることなく装着することができる。
環状側板部26の下端縁の左右両端部には、このフィルタ保持部材18Bをケーシング18に対して回動可能に取り付けるための取付部29が形成されている。また、環状側縁部26の上端縁の左右方向中央部には、操作部30が突出形成されている。集塵装置7内(ケーシング18内)に溜まった塵埃を除去する場合には、ダストカバー13を開いて集塵装置7を集塵室9から抜き出した後、操作部30を後方側に引くことによって、取付部29を中心にフィルタ保持部材18Bを回動させて、ケーシング18内を開放することができる。そして、この状態で、ケーシング18内の塵埃を容易に除去することができるとともに、フィルタ20をフィルタ保持部材18Bから取り外して、フィルタ20に付着した塵埃を除去することができる。
フィルタ保持部材18Bの後板部25には、略矩形状の開口31が形成されており、この開口31内には、上下方向に延びる複数の棒材(縦リブ32A)および左右方向に延びる複数の棒材(横リブ32B)が格子状に配置されることにより、フィルタ20を通って排気口19から排出される空気を通すための複数の通気孔が形成されている。各横リブ32Bの前面は、各縦リブ32Aの前面よりも前方に張り出している。また、開口31の周縁部には、前方に向かって突出する環状のリブ(周囲リブ32C)が形成されている。周囲リブ32Cの前面は、各横リブ32Bの前面よりも前方に張り出している。このような構成により、フィルタ保持部材18Bにフィルタ20を嵌め込んだ状態では、各横リブ32Bの前面がフィルタ20の後面に当接し、周囲リブ32Cがフィルタ20の後面の周縁部に食い込むようになっている。この状態では、フィルタ20の後面と縦リブ32Aとは、所定の間隔(たとえば、6mm程度)を空けて離間している。
再び図1および図2を参照して、集塵装置7を集塵室9に挿入すると、フィルタ保持部材18Bの後面が、集塵室9の後面を区画する後面壁9Bに当接する。後面壁9Bの中央部から右側にかけての部分(送風機収容室8のうち、電動送風機2が配置されている空間に対向する部分)には、フィルタ20(排気口19)の面積よりも小さい面積で略矩形の開口33が形成されている。この開口33は、集塵室9と送風機収容室8とを連通するものであって、送風機収容室8内に配置された電動送風機2の吸込口2Aに対向している。開口33は、たとえば、ろ紙を蛇腹状に配置してなるプリーツ構造を有するフィルタ34により覆われている。
この実施形態では、本体3の吸込口4から吸い込まれた空気を良好に旋回させて集塵効率を向上するために、集塵装置7(ケーシング18)をできるだけ大きく(集塵室9の左端から右端までの広範囲に配置されるように)形成するとともに、集塵装置7から良好に空気を排出させるために、排気口19をより大きく(集塵装置7の後面全体にわたって)形成している。排気口19を大きく形成すれば、排気口19を覆うフィルタ20も大きく形成できるので、フィルタ20の目詰まりを抑制できる。
一方で、集塵室9の後方に後面壁9Bを隔てて隣接する送風機収容室8には、電動送風機2以外の他の部品を配置するための空間(たとえば、コード巻回ホイール12を配置するためのコード収容部11)が必要であり、このため、後面壁9Bに形成された開口33は、必然的に排気口19よりも小さく形成されている。このような場合、排気口19全体のうち、開口33に対向する部分からは、フィルタ20を介して開口33へと良好に空気が流れるが、開口33に対向していない部分における空気の流通が悪くなってしまう。
この実施形態では、フィルタ20の後面と縦リブ32Aとを離間させることにより、排気口19の開口33に対向していない部分からフィルタ20を通って排出される空気を開口33側へと導くための誘導路35が形成されている。したがって、誘導路35により、排気口19の開口33に対向していない部分における空気の流通を確保することができるので、吸込力の低下が抑えられ、集塵効率が向上する。
特に、フィルタ保持部材18Bの後面は後面壁9Bに当接しているので、集塵装置7を集塵室9内にしっかりと固定することができるとともに、縦リブ32Aとフィルタ20との間に形成された空間によって誘導路35を構成することができる。
また、フィルタ保持部材18Bに形成された周囲リブ32Cをフィルタ20の後面に食い込ませることにより、フィルタ20の周縁部とフィルタ保持部材18Bとの間に隙間が生じるのを防止できる。したがって、周囲リブ32Cが壁の役目をすることにより、フィルタ20の周縁部とフィルタ保持部材18Bとの間を通って集塵装置7内から塵埃が漏れるのを防止できる。
さらに、この実施形態では、フィルタカバーとしての縦リブ32Aおよび横リブ32Bがフィルタ保持部材18Bに一体的に形成されているので、部品点数を減少させて、製造コストを低減できる。
また、この実施形態では、集塵部23のうち、開口33に対向していない部分(左側部分)の方が、開口33に対向している部分(右側部分)よりも狭くなるように形成されている。また、集塵部23の空間は、開口33に対向していない部分に向かって、断面積が徐々に狭くなるように形成されている(図2参照)。一般的に、集塵装置7内を旋回する空気は、より狭い空間へと流れる傾向があり、上記のような構成とすることにより、空気の流通が悪い排気口19の開口33に対向していない部分側へと積極的に空気を導くことができるので、開口33に対向している部分だけでなく、開口33に対向していない部分を含む排気口19全体から空気を排出することができる。これにより、集塵された塵埃も、狭い空間へ誘導され、開口33に対向していない空間から徐々に堆積させることができ、最終的には、フィルタ20全体で塵埃を捕獲することができるので、集塵効率が向上する。
集塵装置7の構成は、上記のような構成に限らず、後に図8〜図10を用いて詳述する第2実施形態に係る集塵装置107と同様の構成を有していてもよい。
図5は、この発明の第2実施形態に係る電気掃除機101を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図である。図6は、この電気掃除機101の平面図であって、ダストカバー113を取り外した状態を示している。図5における左側を前方、右側を後方とし、図6における上側を左方、下側を右方として説明する。
図5および図6を参照して、この電気掃除機101は、電動送風機102を備えた本体103を備えており、この本体103の前端部に形成された吸込口104に接続ホース(図示せず)の一端部を差し込むことができるようになっている。接続ホースは、その少なくとも一部が蛇腹形状に形成された長尺な管状部材であって、その他端部には吸込部が取り付けられている(図示せず)。掃除を行う際には、本体103に備えられた電動送風機102を駆動させた状態で、吸込部を床面に沿って移動させることにより、床面上の塵埃を空気とともに吸込部から吸い込ませる。吸込部から吸い込まれた空気は、接続ホースを通って吸込口104から本体103内に流入する。本体103の下部には、複数の車輪106が取り付けられており、これらの車輪106を床面に沿って転動させることにより、本体103を床面に沿って移動させることができるようになっている。
この電気掃除機101の特徴の1つは、吸込口104から吸い込まれた空気を旋回させることにより、その空気に含まれる塵埃を遠心力で分離させて捕獲するための旋回式の集塵装置107(図5,6では図示せず)と、一般に市販されている紙パックなどの使い捨てフィルタ40(図5,6では図示せず)とを、択一的に装着することができるように構成されている点にある。このような構成によれば、使用者は、好みに応じて集塵装置107または使い捨てフィルタ40を択一的に装着することができるので、利便性が向上する。
本体103内の後側には、電動送風機102を収容する送風機収容室108が形成されており、本体103内の前側には、集塵装置107または使い捨てフィルタ40を収容する集塵室109が形成されている。この電気掃除機101を使用しないときには、送風機収容室108内の左側部分に、この電気掃除機101に外部から電力を供給するための電源コード110を巻回した状態で収容することができるようになっている。
集塵室109の上面は開口されており、その上面開口をダストカバー113で覆うことができるようになっている。ダストカバー113は、その後端部が本体103に対して回動可能に取り付けられており、このダストカバー113を回動させることにより集塵室109を開閉できるようになっている(図5では、ダストカバー113を開いた状態を示している。)。集塵室109の前面を区画する前面壁109Aには、吸込口104に連通する略円形の開口114が形成されている。開口114は、鉛直面に対して若干上方を向くように、すなわち、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されている。開口114の周縁部には、略円環状のパッキン117が取り付けられている。
集塵室109の前端上部(上面開口の前端部)には、集塵室109内に使い捨てフィルタ40を収容した場合に、その使い捨てフィルタ40を固定するための係止部材41が、左右方向に延びる回動軸(図示せず)を中心に回動可能に取り付けられている。係止部材41は、左右方向に延びる基部42と、この基部42の左右両端部から後方側に突出する1対の係止突起43と、基部42の左右方向中央部から上方に突出する操作部44とが一体的に形成されることにより構成されている。係止部材41は、ばねなどの弾性部材によって、図5における時計回りに付勢されており、使い捨てフィルタ40を固定していない状態では、図5に示すような位置(初期位置)で保持されている。1対の係止突起43の各下面には、使い捨てフィルタ40の上端縁を引っ掛けるための爪部43Aが突出形成されている。
図7は、この電気掃除機101を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、使い捨てフィルタ40を装着した状態を示している。
図7に示すように、使い捨てフィルタ40は、略矩形平板状の台紙40Aと、この台紙40Aの後面に開口部が固定された袋状のろ紙フィルタ40Bとを含む。台紙40Aの中央部には、開口114に対応する形状の略円形の入口45が形成されており、この入口45の後方側がろ紙フィルタ40Bで覆われている。
図5〜図7を参照して、集塵室109の前面壁109Aの左右両側には、集塵室109に対して使い捨てフィルタ40を着脱する際に台紙40Aの左右両側縁をガイドするための1対のガイド部材46が、上下方向に延びるように突出形成されている。また、集塵室109の底面の前端部には、集塵室109内に使い捨てフィルタ40を装着した場合に、その使い捨てフィルタ40の台紙40Aの下端縁が後方側にずれるのを防止するための1対のストッパ47が突出形成されている。
集塵室109内に使い捨てフィルタ40を収容する場合には、まず、操作部44を前方に引いて、係止部材41を図5における反時計回りに回動させることにより、1対の係止突起43を使い捨てフィルタ40(台紙40A)の挿入経路から退避させる。そして、その状態のまま、使い捨てフィルタ40を上方から上面開口を介して集塵室109内に挿入し、その台紙40Aの左右両側縁を1対のガイド部材46に沿って下方にスライドさせる。このようにして、台紙40Aの下端縁を集塵室109の底面における1対のストッパ47の前方側に当接させた後、係止部材41に加える力を解除して、係止部材41を初期位置側に向けて(図5における時計回りに)回動させることにより、1対の係止突起43の爪部43Aを台紙40Aの上端縁に係止させる。その結果、係止突起43から受ける前方側への力によって、台紙40Aがパッキン117に押さえ付けられ、台紙40Aの前面における入口45の周縁部がパッキン117に圧接されることにより、開口114と入口45との隙間がシールされる。
使い捨てフィルタ40を装着した状態で電気掃除機101を運転(電動送風機102を駆動)させると、吸込部から吸い込まれた空気が、接続ホースおよび吸込口104を介して本体103に流入し、開口114から入口45を介して使い捨てフィルタ40のろ紙フィルタ40B内に導かれる。そして、ろ紙フィルタ40B内に導かれた空気がろ紙フィルタ40Bを通過する際に、その空気に含まれる塵埃が捕獲されることとなる。
図8は、この電気掃除機101に装着可能な集塵装置107の正面図である。また、図9は、この集塵装置107の右側面図である。
図8および図9を参照して、集塵装置107の前面には、集塵室107内への空気の入口50が略円形状に形成されており、入口50から前方に向かって筒状の入口管51が突出形成されている。入口管51の前端縁は、開口114の傾斜に対応させて、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されている。
集塵装置107には、たとえば樹脂製であって、その内部で空気を旋回させることができる中空状のケーシング52と、ケーシング52の後面に形成された排気口53から排出される空気を通過させて、その空気に含まれる塵埃を捕獲するためのフィルタ54と、フィルタ54の外周を取り囲んで保持するフィルタ保持部材55とが備えられている。フィルタ54は、たとえば、ウレタンを含む材料で形成されている。フィルタ保持部材55の下面の左右両側には、このフィルタ保持部材55をケーシング52に対して回動可能に取り付けるための取付部56が、下方に向かって突出形成されている。また、ケーシング52の下面後端部の左右両側には、フィルタ保持部材55の各取付部56を回動可能に固定するための固定部57が、下方に向かって突出形成されている。
この実施形態では、ケーシング52とフィルタ保持部材55との間(フィルタ54の直上流側)に、ティッシュペーパを挟み込むことができ、ケーシング52とフィルタ保持部材55との間に挟みこまれたティッシュペーパの周縁部を、ケーシング52の外周に沿って屈曲形成された金属製の押さえ枠58により押さえることができるようになっている。押さえ枠58の左側の端部は、右方に向かって折り曲げられ、押さえ枠58の右側の端部は、左方に向かって折り曲げられている。押さえ枠58の両端部は、当該押さえ枠58の回動軸63を構成しており、押さえ枠58は、その左側の端部(左側の回動軸63)が、左側の取付部56および固定部57に回動可能に取り付けられ、右側の端部(右側の回動軸63)が、右側の取付部56および固定部57に回動可能に取り付けられることにより、ケーシング52およびフィルタ保持部材55に対して回動可能に取り付けられている。
図10は、図8に示すA部分の断面図である。
図10に示すように、フィルタ保持部材55に形成された各取付部56は、互いに一定間隔を空けて左右方向に対向する1対の挟持部56A,56Bを含む。1対の挟持部56A,56Bには、互いに対向する面の下部から、それぞれ略円柱状の回動軸59が同一軸線に沿って突出している。
ケーシング52に形成された各固定部57は、対応する取付部56の1対の挟持部56A,56B間に挿入される挿入部57Aと、押さえ枠58の回動軸63を貫通させるための貫通部57Bとを含む。挿入部57Aの下端部には、左右方向に貫通する貫通孔60が形成されており、挿入部57Aを対応する取付部56の1対の挟持部56A,56B間に挿入することにより、左側の挟持部56Aの回動軸59を貫通孔60に左側から挿入し、右側の挟持部56Bの回動軸59を貫通孔60に右側から挿入することができる。これにより、ケーシング52に対してフィルタ保持部材55を回動可能に取り付けることができる。
貫通部57Bの下部には、左右方向に貫通する貫通孔61が形成されている。また、1対の挟持部56A,56Bのうち貫通部57B側の挟持部56Aには、その貫通部57B側に、挿入孔62が形成されている。したがって、押さえ枠58の回動軸63を、対応する貫通孔61に貫通し、さらにその端部を対応する挿入孔62に挿入して取り付けることにより、回動軸63を回動可能に保持することができる。このような取付構造によれば、回動軸63を、ケーシング52およびフィルタ保持部材55の2つの部材に跨らせて取り付けることができるので、取り付け状態から外れにくく、頑丈な構造にすることができる。
また、回動軸63を、対応する貫通孔61および挿入孔62に貫通/挿入するだけでよいので、Eリングなどの固定具を用いて回動軸63を取り付けるような構成と比較して、簡単な作業で取り付けを行うことができる。
さらに、回動軸63の各端部が挿入孔62に挿入されるので、各端部にバリがある場合でも、バリが外部に露出せず安全である。
なお、図10では、左側の取付部56および固定部57の近傍における取付構造について説明したが、右側の取付部56および固定部57の近傍における取付構造も同様の構成を有している。
集塵装置107内(ケーシング52内)に溜まった塵埃を除去する場合には、ダストカバー113を開いて集塵装置107を集塵室109から抜き出した後、取付部56の回動軸59を中心にフィルタ保持部材55を回動させて、ケーシング52内を開放することができる。そして、この状態で、ケーシング52内の塵埃を容易に除去することができるとともに、フィルタ54をフィルタ保持部材55から取り外して、フィルタ54に付着した塵埃を除去することができる。
ケーシング52とフィルタ保持部材55との間(フィルタ54の直上流側)にティッシュペーパを挟み込み、そのティッシュペーパの周縁部を押さえ枠58により押さえた状態で集塵装置107を使用した場合には、排気口53側へと流れるケーシング52内の空気は、フィルタ54を通過する前にティッシュペーパを通過するので、空気に含まれる塵埃の大部分がティッシュペーパで捕獲されることとなる。この場合、集塵装置107内(ケーシング52内)に溜まった塵埃を除去するときには、フィルタ保持部材55を回動させることによりケーシング52内を開放して、ケーシング52内の塵埃を容易に除去することができるとともに、押さえ枠58を回動させることによりティッシュペーパの周縁部を解放し、ティッシュペーパを取り外して捨てることができる。このような構成によれば、フィルタ54に塵埃がほとんど付着しないので、フィルタ54に付着した塵埃を除去する手間が省け、利便性が向上する。
再び図8および図9を参照して、ケーシング52は、その前側部分を構成する前部材52Aと、後側部分を構成する後部材52Bとが、互いに接着(たとえば、溶着)されることにより形成されている。より具体的には、前部材52Aの後端の外周縁および後部材52Bの前端の外周縁には、それぞれの全周にわたって、前部材52Aと後部材52Bとを互いに接着させるための接着用リブ64A,64Bが突出形成されている。これらの接着用リブ64A,64Bを互いに当接させて所定の溶着処理を行えば、接着用リブ64A,64B同士を溶着させて、前部材52Aと後部材52Bとを結合することができる。
この実施形態では、前部材52Aの接着用リブ64Aのうち、その下端部における左右両側の部分が下方に延長されることにより、1対の脚部材65が形成されている。このような構成により、集塵装置107の清掃時などに、集塵装置107を電気掃除機101から取り外して床面上に置いた場合には、1対の脚部材65およびケーシング52の他の部分(取付部56および固定部57)を用いて立設保持することができるようになっている。したがって、集塵装置107が転倒して、その内部に溜まった塵埃がこぼれ出るのを防止できるので、集塵装置107内に溜まった塵埃を除去する際の作業性を向上できる。
また、この実施形態では、1対の脚部材65の下端が、ケーシング52の他の部分の最下端(取付部56および固定部57の各下端)と同程度の高さまで延長されることにより、1対の脚部材65を用いて集塵装置107を立設保持した状態では、集塵装置107の入口50がほぼ水平方向を向くようになっている。この構成によれば、1対の脚部材65を用いて集塵装置107を立設保持した状態で、集塵装置107内に溜まった塵埃が入口50からこぼれ出るのを防止できるので、集塵装置107内に溜まった塵埃を除去する際の作業性をさらに向上できる。ただし、1対の脚部材65を用いて集塵装置107を立設保持した状態で、集塵装置107の入口50がほぼ水平方向を向くような構成に限らず、入口50が上方(斜め上方を含む。)を向くような構成であってもよい。
さらに、この実施形態では、1対の脚部材65の後面に、集塵装置107の清掃時に使用可能な掃除具66(たとえば、ブラシ)を保持することができるようになっている。このような構成によれば、掃除具66を集塵室109の壁面で保持するのではなく、集塵装置107で保持するので、使い捨てフィルタ40を装着した場合に、使い捨てフィルタ40のろ紙フィルタ40Bが集塵室109の壁面に保持された掃除具66に接触して破損するなどの弊害を防止できる。
また、1対の脚部材65が接着用リブ64Aの一部を延長して形成されているので、独立して脚部材を設けるような構成と比較して、簡単な構成で集塵装置107を立設保持することができるとともに、簡単な構成で掃除具66を保持することができる。
ケーシング52(前部材52A)の前面には、上記の入口50が形成されており、この入口50から前方に向かって上記の入口管51が突出形成されている。ケーシング52内には、区画壁によって旋回流路67が区画形成されている。より具体的には、入口50からケーシング52内に入った空気は、図8に矢印で示すように、前後方向に延びる旋回軸線68を中心にして、旋回流路67に沿って前方側から見て時計回りに旋回するようになっている。旋回流路67の終端部は、排気口53の直上流側(直前方側)に広がる集塵部69に連通している。
ケーシング52内に入口50から流入した空気に含まれる塵埃は、旋回流路67に沿って旋回する過程で、遠心力の作用により、旋回流路67内の外方側(旋回軸線68に対して径方向外方側)を通過することとなる。ケーシング52内には、旋回軸線68に沿って略円筒状のフィルタ70が配置されている。このフィルタ70は、たとえば、金属線を格子状に結合して形成されたメッシュフィルタである。フィルタ70の後端は、集塵部69における排気口53の直上流側に臨んでいる。このような構成により、旋回流路67に沿って旋回する空気に含まれる塵埃は、旋回流路67内の外方側を旋回するので、フィルタ70を通過せずに集塵部69へと導かれることとなるが、旋回流路67内の内方側(旋回軸線68側)を旋回する空気(塵埃が分離された空気)の一部が、フィルタ70を通過し、フィルタ70内を通って排気口53の直上流側に導かれることとなる。したがって、ケーシング52内に入口50から流入した空気に含まれる塵埃を遠心力で分離させて集塵部69で捕獲することができるとともに、塵埃が分離された空気をフィルタ70を介して排気口53側へと導くことができるので、良好に塵埃を捕獲することができる。
ケーシング52(前部材52A)の前面には、フィルタ70の前方側を覆う蓋71が開閉可能に取り付けられている。この蓋71を開いてフィルタ70の前方側を開放することにより、フィルタ70を前方側に引き出して清掃することができるようになっている。ケーシング52(前部材52A)の前面における入口50の側方(右方)には、前方に向かって突出するリブ72が形成されている。このリブ72は、上下方向(集塵装置107の着脱方向)に延びており、その先端が、入口管51の前端近傍まで延びている。ケーシング52の上部には、集塵装置107を着脱する際に把持するための把持部73が、前後方向に延設されている。
図11は、この電気掃除機101を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、集塵装置107を装着する途中の状態を示している。図12は、この電気掃除機101を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、集塵装置107を装着した状態を示している。
図11および図12を参照して、集塵装置107は、ダストカバー113を開いた状態で、上方から上面開口を介して集塵室109内に挿入される。すなわち、集塵装置107は、集塵室109に対して鉛直下方に(入口50の径方向に沿って)スライドされるようにして集塵室109内に収容される。係止部材41の1対の係止突起43の間の距離は、集塵装置107の入口管51の外径よりも大きく設定されており、集塵装置107を集塵室109内に挿入する際、図11に1点鎖線で示すように、入口管51が1対の係止突起43の間を通るようになっている。このような構成によれば、使い捨てフィルタ40を集塵室109内に収容する際には、その使い捨てフィルタ40の台紙40Aを1対の係止突起43を用いて係止することができるとともに、集塵装置107を集塵室109内に収容する際には、その集塵装置107の入口管51が、使い捨てフィルタ40の台紙40Aを係止するための1対の係止突起43に干渉するのを防止できる。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40を良好に装着できる。
集塵装置107を集塵室109内に装着した状態では、図12に示すように、入口管51の前端縁がパッキン117に圧接されることにより、開口114と入口管51の前端縁との隙間がシールされる。上述した通り、開口114は、鉛直面に対して若干上方を向くように、すなわち、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されており、入口管51の前端縁も、開口114の傾斜に対応させて、上方に向かうにつれて前方側に傾くように形成されている。したがって、集塵装置107を鉛直下方に向かって集塵室109内に挿入したときでも、開口114の周縁部と入口管51とが干渉するのを防止できる。
図13は、集塵装置107および使い捨てフィルタ40の装着時におけるパッキン117の変形態様を示す図である。図13(a)は、図7に示すB部分の拡大図であって、使い捨てフィルタ40の装着時におけるパッキン117の変形態様を示しており、図13(b)は、図12に示すC部分の拡大図であって、集塵装置107の装着時におけるパッキン117の変形態様を示している。
パッキン117は、たとえばゴムなどの弾性部材により形成され、開口114に嵌め込まれる筒状の基部117Aと、この基部117Aの後面から突出する筒部117Bと、この筒部117Bの後端から径方向外方側に向かって張り出した環状弾性変形部117Cと、筒部117Bと環状弾性変形部117Cとの結合部から後方に向かって突出した環状突起117Dとが一体成形されることにより構成されている。環状突起117Dは、断面凸湾曲形状(断面略円弧状)に形成されている。
使い捨てフィルタ40を装着した場合には、図13(a)に示すように、環状突起117Dが使い捨てフィルタ40の入口45の内周に食い込むとともに、環状弾性変形部117Cの後面全体に台紙40Aの前面(入口45の周縁部)が当接し、環状弾性変形部117Cが前方に押圧されて弾性変形した状態となる。一方、集塵装置107の入口管51は、使い捨てフィルタ40の入口45とほぼ同じ大きさ、または、使い捨てフィルタ40の入口45よりも大きく形成されており、集塵装置107を装着した場合には、図13(b)に示すように、入口管51の前端縁が環状弾性変形部117Cの後面に当接し、環状弾性変形部117Cが前方に押圧されて弾性変形した状態となる。このような構成により、集塵装置107および使い捨てフィルタ40のいずれを装着した場合でも、パッキン117によって十分な弾性力で入口45の周縁部や入口管51の前端部を押圧し、入口45の周縁部や入口管51の前端部から空気が漏れるのを良好に防止できるので、集塵効率が向上する。
また、環状突起117Dが断面凸湾曲形状を有しているので、集塵装置107または使い捨てフィルタ40が集塵室109内へとスライドされる過程で、入口45の周縁部や入口管51の前端縁が環状突起117Dに干渉したとしても、その環状突起117Dの凸湾曲面に沿って乗り越えさせることができる。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40を良好に装着できる。
図14は、パッキン117の変形例を示す図であって、図14(a)は、この変形例に係るパッキン217を後方から見た図、図14(b)は、図14(a)に示すG−G線に沿って見た断面図をそれぞれ示している。
図14を参照して、この変形例に係るパッキン217は、たとえばゴムなどの弾性部材により形成され、上記実施形態に係るパッキン117と同様に、開口114に嵌め込まれる筒状の基部217Aと、この基部217Aの後面から突出する筒部217Bと、この筒部217Bの後端から径方向外方側に向かって張り出した環状弾性変形部217Cと、筒部217Bと環状弾性変形部217Cとの結合部から後方に向かって突出した環状突起217Dとが一体成形されることにより構成されている。環状突起217Dは、断面凸湾曲形状(断面略円弧状)に形成されている。
この変形例に係るパッキン217の特徴は、環状弾性変形部217Cの上端部が、他の部分よりもさらに外方側(上方側)へと張り出して、誘導部217Eを形成している点にある。誘導部217Eは、上方に向かうにつれて前方側に傾くような湾曲形状に形成されている。
このような構成によれば、上記実施形態に係るパッキン117を採用した場合と同様の効果に加えて、集塵装置107や使い捨てフィルタ40を装着する場合に、上方から挿入される集塵装置107の入口管51の前端縁や使い捨てフィルタ40の台紙40Aを、誘導部217Eの後面の湾曲面に沿って摺接させ、良好に環状弾性変形部217C側に導くことができる。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40をさらに良好に装着できる。
図15は、第2実施形態の第1変形例に係る電気掃除機101Aの平面図であって、ダストカバー113を取り外した状態を示している。
この電気掃除機101Aでは、使い捨てフィルタ40の台紙40Aを固定するための固定部として、上記第2実施形態のような係止部材41を用いるのではなく、1対のガイド部材46の一部を用いて台紙40Aを係止できるようになっている点に特徴がある。したがって、係止部材41を省略し、1対のガイド部材46の形状を変形した点以外は、上記第2実施形態と同様の構成を有しているので、同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
図15を参照して、集塵室109の前面壁109Aの左右両側に後方に向かって突出形成された1対のガイド部材46(左側のガイド部材46Lおよび右側のガイド部材46R)の後端部は、それぞれ、対向するガイド部材側に向かって略直角に折れ曲がった形状となっている。すなわち、左側のガイド部材46Lの後端部には、右方に向かって折れ曲がった折曲部48Lが形成されており、右側のガイド部材46Rの後端部には、左方に向かって折れ曲がった折曲部48Rが形成されている。
集塵室109内に使い捨てフィルタ40を収容する場合には、使い捨てフィルタ40を上方から上面開口を介して集塵室109内に挿入し、その台紙40Aの左右両側縁を1対のガイド部材46(1対の折曲部48L,48Rの前面)に沿って下方にスライドさせる。このようにして、台紙40Aの下端縁を集塵室109の底面における1対のストッパ47の前方側に当接させた後、ダストカバー113を閉じる。ダストカバー113の内面(閉じたときに集塵室109側となる面)には、使い捨てフィルタ40の台紙40Aの上端縁を係止するための係止部(図示せず)が形成されており、ダストカバー113を閉じると、係止部によって使い捨てフィルタ40の台紙40Aの上端縁が前方に向かって押圧されるようになっている。これにより、ダストカバー113を閉じると、係止部から受ける前方側への力によって、台紙40Aがパッキン117に押さえ付けられ、台紙40Aの前面における入口45の周縁部がパッキン117に圧接されることにより、開口114と入口45との隙間がシールされる。
この変形例では、1対の折曲部48L,48Rの先端間の距離は、集塵装置107の入口管51の外径よりも大きく設定されており、集塵装置107を集塵室109内に挿入する際、入口管51が1対の折曲部48L,48Rの間を通るようになっている。このような構成によれば、使い捨てフィルタ40を集塵室109内に収容する際には、その使い捨てフィルタ40を1対の折曲部48L,48Rを用いて係止することができるとともに、集塵装置107を集塵室109内に収容する際には、その集塵装置107の入口管51が、使い捨てフィルタ40の台紙40Aを係止するための1対の折曲部48L,48Rに干渉するのを防止できる。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40を良好に装着できる。
図16は、第2実施形態の第2変形例に係る電気掃除機101Bを前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない状態を示している。図17は、図16に示すD−D線に沿って見たダストカバー113の断面図である。
この電気掃除機101Bでは、ダストカバー113に備えられたストッパ80により、集塵室109に集塵装置107が収容されておらず、かつ、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定されていない状態では、ダストカバー113が閉じられるのが阻止され、集塵室109に集塵装置107が収容された状態、および、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定された状態では、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている点に特徴がある。したがって、ストッパ80に関連する部分以外は、上記第2実施形態と同様の構成を有しているので、同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
図16および図17を参照して、ダストカバー113の内面の前側部分における左右方向中央部には、ストッパ80を取り付けるための取付部81が突出形成されている。取付部81の下部には、左右方向に延びる回転軸82が取り付けられている。ストッパ80は、前後方向に長尺な形状を有しており、その中央部やや前寄りの位置で回転軸82により回転可能に保持されている。回転軸82には、捩じりコイルばね83の筒部が被せられており、この捩じりコイルばね83の一端部が取付部81に係止され、他端部がストッパ80に係止されることにより、捩じりコイルばね83の付勢力によってストッパ80が図16における時計回りに付勢されている。捩じりコイルばね83からの付勢力以外の外力がストッパ80に作用していない状態では、取付部81の前面壁81Aの下面にストッパ80の前端部上面が当接し、ストッパ80が図16に示す状態よりもさらに時計回りに回転しないようになっている。
この状態でダストカバー113を閉じた場合、ストッパ80の前端部の軌跡上に係止部材41の操作部44が位置するようになっている。すなわち、集塵室109に集塵装置107が収容されておらず、かつ、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定されていない状態でダストカバー113を閉じると、ストッパ80の前端部が係止部材41の操作部44の上端に当接することにより、ダストカバー113が閉じられるのが阻止されることとなる。ストッパ80の下面前端には、下方に突出する突起80Aが形成されており、ストッパ80の前端部が操作部44の上端に当接した状態でダストカバー113に対してさらに閉じる方向に力が加えられた場合でも、操作部44がストッパ80の前方側に乗り越えるのを突起80Aにより阻止することができるようになっている。
図18は、この電気掃除機101Bを前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、使い捨てフィルタ40を装着した状態を示している。
図18に示すように、使い捨てフィルタ40を装着した状態では、使い捨てフィルタ40の台紙40Aの上端縁が1対の係止突起43により係止され、係止部材41が図16に示す状態よりも反時計回りに回動した位置(固定位置)となる。この状態でダストカバー113を閉じた場合には、ストッパ80の前端部が係止部材41(操作部44)に当接することなく、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている。
ストッパ80の後端部の角部は、滑らかに湾曲した形状に面取りされており、集塵室109に収容された使い捨てフィルタ40のろ紙フィルタ40Bがストッパ80の後端部に接触して、ろ紙フィルタ40Bが破れるのを防止できるようになっている。
図19は、この電気掃除機101Bを前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、集塵装置107を装着した状態でダストカバー113を閉じる途中の状態を示している。図20は、この電気掃除機101Bを前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図であって、集塵装置107を装着した状態でダストカバー113を完全に閉じた状態を示している。
図19に示すように、集塵装置107を集塵室109内に収容した状態でダストカバー113を閉じた場合、ストッパ80の後端部の軌跡上に集塵装置107のケーシング52(前部材52Aの上端部)が位置するようになっている。すなわち、集塵室109に集塵装置107が収容された状態でダストカバー113を閉じると、ストッパ80の後端部がケーシング52に当接し、このケーシング52からの作用力によって、ストッパ80が、捩じりコイルばね83の付勢力に抗して、図19における反時計回りに回転することとなる。
図19に示す状態からさらにダストカバー113が閉じられると、ストッパ80の後端部がケーシング52の表面に沿ってスライドすることにより、当該後端部が上方へと持ち上げられ、ストッパ80が図19における反時計回りに回転して、ダストカバー113が完全に閉じられたときには、図20に示すような状態となる。このように、集塵装置107を装着した状態でダストカバー113を閉じた場合には、ストッパ80が集塵装置107からの作用力によって回転することにより、ストッパ80の前端部が係止部材41(操作部44)に当接しない位置まで変位し、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている。
このような構成によれば、集塵装置107または使い捨てフィルタ40のいずれかが装着されている場合には、ダストカバー113を閉じることができるが、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない場合には、ダストカバー113を閉じることができない。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない状態で電気掃除機101Bの運転が開始されるのを防止できるので、利便性が向上する。
ただし、ストッパ80に付勢力を与える手段は、捩じりコイルばね83に限らず、他の弾性部材であってもよい。
図21は、第2実施形態の第3変形例に係る電気掃除機101Cを水平面で切断したときの断面を上方から見た断面図であって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない状態を示している。図22は、図21に示すE−E線に沿って見た断面図であって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない状態を示している。
この電気掃除機101Cでは、集塵室109内に配置されたストッパ90により、集塵室109に集塵装置107が収容されておらず、かつ、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定されていない状態では、ダストカバー113が閉じられるのが阻止され、集塵室109に集塵装置107が収容された状態、および、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定された状態では、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている点に特徴がある。したがって、ストッパ90に関連する部分以外は、上記第2実施形態と同様の構成を有しているので、同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
図21および図22を参照して、集塵室109の前面壁109Aの右側には、右側のガイド部材46Rの直左側の位置に、ストッパ90を保持するためのストッパ保持部材91が取り付けられている。ストッパ90は、ストッパ保持部材91に左右方向に延びるように取り付けられた回動軸92により、回動可能に保持されている。ダストカバー113の内面の前側部分には、ストッパ90に係止可能な係止突部93が突出形成されている。ストッパ90は、上下方向に長尺な形状を有しており、その下部が回転軸92により回転可能に保持されている。ストッパ90の下端部の前面には、柱状突起90Aが形成されており、前端面がストッパ保持部材91の後面に当接する圧縮コイルばね94の後端部が柱状突起90Aに被せられることにより、圧縮コイルばね94の付勢力によってストッパ90が図22における反時計回りに付勢されている。圧縮コイルばね94からの付勢力以外の外力がストッパ90に作用していない状態では、ストッパ90の前面上部から突出するリブ90Bの先端がストッパ保持部材91の後面に当接し、ストッパ90が図22に示す状態よりもさらに反時計回りに回転しないようになっている。
この状態でダストカバー113を閉じた場合、係止突部93の下端部の軌跡上にストッパ90の上端部が位置するようになっている。すなわち、集塵室109に集塵装置107が収容されておらず、かつ、係止部材41に使い捨てフィルタ40の台紙40Aが固定されていない状態でダストカバー113を閉じると、係止突部93の下端面がストッパ90の上端面に当接することにより、ダストカバー113が閉じられるのが阻止されることとなる。ストッパ90の上端面の前端および後端には、上方に突出する突起95がそれぞれ形成されており、係止突部93の下端面がストッパ90の上端面に当接した状態でダストカバー113に対してさらに閉じる方向に力が加えられた場合でも、係止突部93がストッパ90の前方側または後方側に乗り越えるのを突起95により阻止することができるようになっている。
図23は、図21に示すE−E線に沿って見た断面図であって、使い捨てフィルタ40を装着した状態を示している。
ストッパ90は、使い捨てフィルタ40の台紙40Aの挿入経路内に位置しており、使い捨てフィルタ40を装着する場合、台紙40Aをガイド部材46に沿って下方にスライドさせる過程で、台紙40Aの前面がストッパ90の後面に摺接するようになっている。これにより、使い捨てフィルタ40が装着される過程で、ストッパ90が、使い捨てフィルタ40(台紙40A)からの作用力によって、図22に示す位置(初期位置)から、圧縮コイルばね94の付勢力に抗して時計回りに回転することとなる。そして、図23に示すように、使い捨てフィルタ40を装着した状態では、使い捨てフィルタ40の台紙40Aの前面にストッパ90の後面全体が当接する。この状態でダストカバー113を閉じた場合には、係止突部93の下端面がストッパ90の上端面に当接することなく、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている。
図24は、この電気掃除機101Cを水平面で切断したときの断面を上方から見た断面図であって、集塵装置107を装着した状態を示している。また、図25は、図24に示すF−F線に沿って見た断面図であって、集塵装置107を装着した状態を示している。
図8〜図10を用いて説明した通り、集塵装置107(ケーシング52)の前面における入口50の側方(右方)には、上下方向(集塵装置107の着脱方向)に延びるリブ72が、前方に向かって突出形成されている。ストッパ90は、集塵装置107のリブ72の挿入経路内に位置しており、集塵装置107を装着する場合、集塵装置107を下方にスライドさせる過程で、リブ72の先端面(前端面)がストッパ90の後面に摺接するようになっている。これにより、集塵装置107が装着される過程で、ストッパ90が、集塵装置107(リブ72)からの作用力によって、図22に示す位置(初期位置)から、圧縮コイルばね94の付勢力に抗して時計回りに回転することとなる。そして、図25に示すように、集塵装置107を装着した状態では、ストッパ90の後面に集塵装置107のリブ72の先端面全体が当接する。この状態でダストカバー113を閉じた場合には、係止突部93の下端面がストッパ90の上端面に当接することなく、ダストカバー113が閉じられるのが許容されるようになっている。
このような構成によれば、集塵装置107または使い捨てフィルタ40のいずれかが装着されている場合には、ダストカバー113を閉じることができるが、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない場合には、ダストカバー113を閉じることができない。したがって、集塵装置107または使い捨てフィルタ40がいずれも装着されていない状態で電気掃除機101Cの運転が開始されるのを防止できるので、利便性が向上する。
ただし、ストッパ90に付勢力を与える手段は、圧縮コイルばね94に限らず、他の弾性部材であってもよい。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。