JP2007213108A - 資産運用の成果を分析することを支援するためのシステム及び方法 - Google Patents

資産運用の成果を分析することを支援するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】資産運用の成果を従来よりも詳細な要因に分解でき、且つ、単に要因分解を行えることよりも利便性の高い資産運用成果分析支援技術を提供する。
【解決手段】資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを異動・残高DB361の中から読出し、それら複数の異動データを用いて全体収益率を算出する。また、読み出された各異動データが期初保有効果の算出及び期中購入効果の算出のいずれに用いられるかを判別する。保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、判別の結果と該銘柄の利息・配当データを用いて期初保有効果及び期中購入効果を算出し、その後、算出された全体収益率から期初保有効果と期中購入効果を減じることにより、期中売却効果を算出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、資産運用の成果を分析することを支援するための技術に関する。
例えば、資産運用の成果を求めるために、修正ディーツ法によるリターンを算出することが知られている。
http://www.gpif.go.jp/unyou/yougoshuu.html
ところで、資産運用の成果を分析することを支援するための方法として、その成果を要因毎に分ける方法がある。資産運用の成果を要因毎に分けることを、「要因分解」という。一般に、(A)セクターティルト効果と銘柄選択効果に要因分解すること、(B)期初保有分と期中売買分に要因分解すること、の(A)及び(B)を別々に行うことは可能である。
資産運用の成果の分析は、なるべく正確に行われるべきである。そのためには、資産運用の成果を、上記の(A)或いは(B)の方法よりも詳細な要因に分解できると良いと考えられる。
また、要因分解を行うことのできる装置を実現するならば、少なくとも、単に要因分解を行えるだけではなく、ユーザにとってより利便性の高い装置となることが望ましい。
従って、本発明の目的は、資産運用の成果を従来よりも詳細な要因に分解でき、且つ、単に要因分解を行えることよりも利便性の高い資産運用成果分析支援技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、後の説明から明らかになるであろう。
本発明に従う資産運用成果分析支援システムは、読出し手段、全体収益率算出手段、判別手段及び要因分解手段を備える。読出し手段は、資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを記憶装置の中から読み出す。全体収益率算出手段は、読み出された複数の異動データを用いて全体収益率を算出する。判別手段は、読み出された各異動データが期初保有効果の算出及び期中購入効果の算出のいずれに用いられるかを判別する。要因分解手段は、資産運用の成果を、期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の3種類の効果に分解する。出力手段は、前記要因分解の結果に基づく情報を出力する。
前記要因分解手段が、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、該銘柄の利息・配当データと判別の結果とに基づいて、前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出し、その後、前記算出された全体収益率から前記期初保有効果と前記期中購入効果を減じることにより前記期中売却効果を算出する。
これにより、前記期中売却効果の算出のために、売却した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合であっても、該銘柄の利息・配当データを不要とすることができる。
第一の実施態様では、前記全体収益率算出手段が、読み出された各異動データを基に、前記計算対象期間の資産の総平残を所定の記憶領域上で更新することができる。前記要因分解手段が、前記全体収益率算出手段によって準備された資産の総平残を用いて前記要因分解を行うことができる。
第二の実施態様では、異動データが読み出される都度に、読み出された異動データを所定の記憶領域に書く手段と、前記所定の記憶領域に書かれた異動データを用いた、前記要因分解手段による更新が終了する都度に、その更新に用いられた異動データを該記憶領域から削除する手段とが更に備えられる。
本発明に従う資産運用成果分析支援方法は、資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを記憶装置の中から読み出すステップと、読み出された複数の異動データを用いて全体収益率を算出するステップと、読み出された各異動データが期初保有の算出及び期中購入の算出のいずれに用いられるかを判別するステップと、資産運用の成果を期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の3種類の効果に要因分解するステップと、前記要因分解の結果に基づく情報を出力するステップとを有する。前記要因分解するステップでは、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、該銘柄の利息・配当データと前記判別の結果とに基づいて前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出し、その後、前記算出された全体収益率から前記期初保有効果と前記期中購入効果を減じることにより前記期中売却効果を算出する。
この方法では、具体的には、例えば、計算対象期間に異動データを記憶装置の中から読み出す第一のステップと、読み出された複数の異動データを用いて、全体収益率を算出するために必要な種類の第一の値を所定の記憶領域上で更新する第二のステップと、読み出された各異動データの所定のデータ要素を参照して、各異動データが期初保有効果の算出及び期中購入の算出のいずれに用いられるかを判別する第三のステップと、資産運用の成果の要因分解に必要な複数種類の値のうち、前記判別の結果に対応した種類の第二の値を、所定の記憶領域上で更新する第四のステップとを、計算対象期間に関わる全ての異同データが読み出されるまで繰り返すことができる。そして、全ての異同データが読み出された後の前記第二のステップ後の第一の値を用いて全体収益率を算出するステップと、前記全ての異同データが読み出された後の前記第四のステップ後の第二の値を用いて要因分解を行うステップとを行うことができる。なお、前記第三のステップでは、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が前記計算対象期間に属する場合、該銘柄の利息・配当データを用いて前記第二の値を前記所定の記憶領域上で更新することができる。前記要因分解を行うステップでは、前記更新後の第二の値を用いて前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出することができる。なお、「計算対象期間に関わる異動データ」には、少なくとも、計算対象期間内の異動データが含まれる。この「計算対象期間に関わる異動データ」には、期初保有効果を算出するために、各銘柄毎に、直前の期間の最終の異動データが含まれても良い。
ところで、前記記憶装置は、例えば、ディスク型の記憶メディア(例えば、ハードディスク或いはDVD(Digital Versatile Disk))、又は、ディスク型の記憶メディアを備えるディスクドライブ(例えばハードディスクドライブ)とすることができる。また、前記所定の記憶領域は、前記記憶装置とは異なる記憶装置上で設けられた領域、例えばメモリとすることができる。
また、「異動」には、例えば、株式の買い或いは売りによる異動の他に、利息或いは配当による資金の異動も含めることができる。
また、「利息・配当データ」は、例えば、異動データの一種として他種の異動データと一つのデータベース内に混在していても良いし、異動データの存在するデータベースとは別のデータベースに存在しても良い。
前記資産運用成果分析支援システムは、一台のコンピュータマシンであっても良いし、複数台のコンピュータマシンにより構築されたコンピュータシステムであっても良い。また、前記資産運用成果分析支援システムは、例えば、サーバクライアントシステムのサーバに適用することができるし、それに限らず、他のシステムにも適用することができる。
また、前記資産運用成果分析支援システムの各手段は、ハードウェア、コンピュータプログラム又はそれらの組み合わせにより実現することができる。そのコンピュータプログラムが、例えば、CD−ROM等の記憶媒体からインストールされることにより、或いは、通信ネットワークを介してダウンロードされることにより、前記資産運用成果分析支援システムが構築されても良い。前記資産運用成果分析支援システムにプロセッサ(例えばCPU)が備えられ、そのプロセッサがそのコンピュータプログラムを読み込んで実行することができる。
本発明によれば、資産運用の成果を従来よりも詳細な要因に分解でき、且つ、単に要因分解を行えることよりも利便性の高い資産運用成果分析支援技術が提供される。
以下、本発明の一実施形態に係る資産運用成果分析支援システムが適用されたサーバマシン(以下、サーバ)について説明する。
本実施形態に係るサーバは、資産運用の成果を従来よりも詳細な要因に分解することができる、換言すれば、改良要因分解を実行することができる。
また、改良要因分解では、期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の三種類の効果を算出することができ、各種効果を算出するためには、利息配当日が計算対象期間内にある銘柄の利息・配当金と利息・配当日とが記録された利息・配当データが必要となるが、本実施形態によれば、期中売却効果について、計算対象期間内に利息・配当日が属する銘柄であっても、その利息・配当データを不要とすることができる(この利点については後に詳細に説明する)。
要するに、本実施形態によれば、資産運用の成果を従来よりも詳細な要因に分解でき、且つ、単に要因分解を行えることよりも利便性の高い資産運用成果分析支援技術を提供することができるのである。
まず、本実施形態に係るサーバについての説明を理解し易くするために、従来の要因分解と改良要因分解について説明する。その際、説明を分かり易くするため、購入或いは売却の対象となる資産は、株式であるとする。
1.従来の要因分解について
一般に、株式投資等による資産運用の業界では、投資家から資金を預かった者(運用者と呼ばれている)が、その資金を使って有利な種別(これを以下セクターという)で有利な銘柄の株式を購入あるいは売却し、当初の投資額より大きい利益を得るように資産運用をする。この場合、運用者の資産運用の仕方によって、得られる利益が大きく左右される。
この資産運用の仕方は、どのセクターのどの銘柄に、どの程度のウェイトで投資するかという分散投資の選択という面と(この有利な分散投資による資産をポートフォリオという)、どの時期に株式を購入・売却し、あるいは購入も売却もせずに保有したかという投機的な面とを有している。資産運用の仕方は、これら2面から評価することができる。
資産運用による利益あるいは損失(これをまとめて資産運用成果という)が出た場合、その資産運用成果を生じた要因を分析することは、将来の資産運用の方針を検討し、あるいは運用者のパフォーマンス(良し悪し)を評価するために、重要な意味を有している。
資産運用の成果(以下、超過リターンともいう)は、期初の資産評価と期末の資産評価と期中のキャッシュフローによって計算されるのが一般的である。ここで、期初とは計算期間の最初の時点、期末とは計算期間の最後の時点、資産とは実際には株式や債券をいう。計算期間とは、連続的な投資に対して、所定の長さの期間に区切って投資のパフォーマンスを測定するための前記期間をいう。
この資産運用の成果を求めるために、下記の資産別の修正ディーツ法によるリターンrを算出すること、つまり、下記(10)式、
r=(V1 −V0 −Σt t )/(V0 +Σt t ×(1−t))…(10)
を利用することが行われている。
ここで、投資パフォーマンスを測定する期間の長さを1とする。V0 とV1 は、それぞれ期初と期末のポートフォリオの時価評価額、Ct は、時点t(0<t<1)で発生したキャッシュフローである。このCは、ポートフォリオへの資金の流入(資産の購入)を正、ポートフォリオからの資金流出(資産の売却)を負とする。
上記資産別の修正ディーツ法によるリターンrを、収益の基準となるベンチマーク・インデックスのリターンRと比較することにより、その超過リターン(r−R)の大小によって資産運用成果の良し悪しを判断することができる。このベンチマーク・インデックスのリターンRは、概念的には、たとえば、預金等の利息のように特別な資産運用を行うことなく得られる利益等をいい、日本の株式投資の世界では、配当込み東証株価指数(TOPIX )がベンチマーク・インデックス・リターンRとして使用されることが多い。
上記超過リターン(r−R)の要因分解としては、以下の2通りの方法がある。
第一の方法は、資産運用成果をセクターティルト効果と銘柄選択効果に要因分解する方法である。ここで、セクターとは、投資対象の一つの集合を意味し、株式投資の世界では上述したように業種をいうのが通常である。セクターティルト効果とは、ポートフォリオにおけるセクターの種類や各セクターの占めるウェイトを変更することによる効果をいう。また、銘柄選択効果とは、同一セクター内において、利益を得られない銘柄を排除し、反対に利益を多く得られる銘柄を選択することによる効果をいう。
第一の方法によれば、上記(10)式を、下記(11)式、
r={Σs (Vs1−Vs0−Σt st)}/{V0 +Σt t ×(1−t)}
=Σs 〔{(Vs0+Σt st×(1−t))/(V0 +Σt t ×(1−t))}
×{(Vs1−Vs0−Σt st)/(Vs0+Σt st×(1−t))}〕…(11)
のように変形する。
ここで、Vs1 、Vs0 、Cstは、各セクターsにおけるV1 、V0 、Ct とする。つまり、V1 =Σs s1 、V=Σs s0 、Ct =Σs stが成立する。
次に、上記(11)式において、{(Vs0+Σt st×(1−t))/(V0 +Σt t ×(1−t))}を、セクターsへの投資ウェイトxs とし、{(Vs1−Vs0−Σt st)/(Vs0+Σt st×(1−t))}をセクターs部分のリターンrs として、上記(11)式を、次の(12)式、
r=Σs (xs×rs )…(12)
に書き換える。ここで、xs は、セクターsへの投資ウェイトゆえ、Σs s =1となる。
同様に、ベンチマーク・インデックス・リターンRも、セクター・ベンチマーク・インデックス・リターンRs を用いて、次の(13)式、
R=Σs (ps ×Rs )…(13)
に書き換える。ここで、ps は、ベンチマーク・インデックス・リターンRにおけるセクターsのウェイトであって、Σs s =1となる。
次に、上記(12),(13)式を用いて、超過リターン(r−R)を、下式(14)、
r−R=Σs (xs −ps )×(Rs −R)+Σs s ×(rs −Rs )…(14)
に示すように変形する。この(14)式の第一項は、超過リターン(r−R)における「セクターティルト効果」を示している。
すなわち、この項は、Rs >Rであるセクターについては、オーバーウェイト(xs >ps )とし、逆にRs <Rであるセクターについては、アンダーウェイト(xs <ps )とすれば、それぞれ超過リターン(r−R)が正になるように寄与することを示している。
言葉を変えると、(14)式の第一項は、セクター・ベンチマーク・インデックス・リターンRs が、ベンチマーク・インデックス・リターンRより良い(投資の収益性に優れる)セクターを多く保有すれば、換言すれば、セクター・ベンチマーク・インデックス・リターンRs がベンチマーク・インデックス・リターンRより悪い(投資の収益性が低い)セクターを少なく保有するようにすれば、全体の超過リターン(r−R)を大きくすることができることを示している。
(14)式の第二項は、超過リターン(r−R)における「銘柄選択効果」を示している。
すなわち、第二項中の(rs −Rs )は、セクターsの中で、良い(投資の収益性の高い)銘柄を選択することによって大きくなるので、同一セクターs中でより良い銘柄を選択することによって超過リターン(r−R)を大きくすることができることを示している。
以上が、超過リターンをセクターティルト効果と銘柄選択効果に要因分解する方法である。
要因分解の第二の方法として、超過リターン(r−R)を期初保有分と、期中売買分に要因分解する方法がある。
この資産運用成果の第二の要因分解の方法では、期初凍結ポートフォリオという仮想的なポートフォリオを考える。この期初凍結ポートフォリオとは、期初保有ポートフォリオを一切の売買をせずに、そのまま期末まで保有した場合の資産をいう。その場合のリターンをrhとすると、rhは、上記(10)式によって計算することができる。
このrhを用いて、実際の超過リターン(r−R)を、次の(15)式、
r−R=(rh −R)+(r−rh)…(15)
に展開する。(15)式の第一項は、期初保有分(あるいは期初凍結ポートフォリオ)による超過リターンを示し、第二項は、期中売買分による超過リターンを示している。
以上が、超過リターンを期初保有効果と期中売買効果に分ける要因分解の方法である。
2.改良要因分解について
改良要因分解では、資産運用によるリターンの計算に使用する期初と期末のポートフォリオの時価評価額V0 、V1 、および期中のキャッシュフローΣt t について下記の準備を行う。
0 とV1 は、それぞれの定義から、下式(16)と(17)、
0 =Σj j (0)×pj (0)…(16)
1 =Σj j (1)×pj (1)…(17)
のように記述することができる。ここで、0は期初、1は期末を示している。mj (t)は、時点tにおける銘柄jの保有数量(t=0あるいはt=1の場合)、あるいは売買数量(0<t<1の場合)を示している。pj (t)は、時点tにおける銘柄jの1株当たりの価格とする。
上記mj (1)とmj (0)は、下式(18)、
j (1)=mj (0)+Σt(buy)j (t)−Σt(sell) j (t)…(18)
の関係を有している。ここで、Σt(buy)j (t)は、銘柄jについての期中のすべての時点の購入数量についての和を意味する。Σt(sell) j (t)は、銘柄jについての期中のすべての時点の売却数量の和を意味する。すなわち、銘柄jの期末保有数量mj (1)は、期初の保有数量mj (0)に、期中の購入数量Σt(buy)j (t)を加え、期中の売却数量Σt(sell) j (t)を差し引いたものということができる。
一方、期中のキャッシュフローΣt t は、下式(19)、
Σt t = Σj(buy)Σt j (t)×pj (t)
− Σj(sell) Σt j (t)×pj (t)
− Σj(hold) j (0)×dj (0' )
− Σj(buy)Σt j (t)×dj (t' )
+ Σj(sell) Σt j (t)×dj (t' )…(19)
のように、銘柄別の売買と、受け取り利息又は配当(以下、「利息・配当」と表記する)に分解することができる。
ここで、(19)式の第一項は、時点tで銘柄jを購入した時の支払金額mj (t)×pj (t)を、すべての購入時点と購入銘柄について和をとったものである。なお、第一項は、購入であるので、資産の増加であり、符号は正となる。
(19)式の第二項は、時点tで銘柄jを売却した時の受取金額mj (t)×pj (t)を、すべての売却時点と売却銘柄について和をとったものであり、資産の減少に相当するので、符号は負となる。
(19)式の第三項は、期初保有銘柄の保有数量mj (0)についての期中の受け取り利息・配当額を合計したものである。なお、dj (0')は、時点0(期初)で保有していた銘柄jについての時点0'(0<0' <1)で受け取った単位数量あたりの利息・配当である。この受け取り利息・配当は、発生により資産価値の減少となって、資産からの資金の流出(キャッシュアウト)となるので、第三項の符号は負となる。
(19)式の第四項は、期中の時点tで購入した銘柄について時点t' で受け取った利息・配当の合計であり、dj (t')は、時点t で購入した銘柄jの時点t' (t<t' <1)で受け取った単位数量あたりの利息・配当である。なお、この項も、キャッシュアウトとなるので、符号は負となる。
(19)式の第五項は、期中の時点t' で受け取るはずだった利息・配当からの、時点tですでに売却した銘柄についての利息・配当の控除分の合計である。ここで、dj(t')は、時点t で売却した銘柄jが、売却しなければ時点t'(t<t' <1)で受け取ることができた単位数量あたりの利息・配当である。なお、この項は、受け取り利息・配当に対する控除であるので、符号は正となる。
上記のように準備した(16)式ないし(19)式を、すでに説明した資産別修正ディーツ法によるリターンrの(10)式に代入し、超過リターンr−Rを計算すれば、下記の(20)式、
r−R= whold×{Σj(hold) j (0)×rj '(0) −R}
+wbuy ×{Σj(buy)j (*) ×rbj'(*) −R}
−wsell ×{Σj(sell) j (*) ×rsj'(*) −R}…(20)
を得ることができる。
ここで、wholdは、期中の資産平残(期中の資産の残高の平均値)に占める期初保有分(Vhold)の投資ウェイトを示しており、下式(21)、
hold=Vhold/(V0+Σtt×(1−t))…(21)
によって表される。
buy は、期中の資産平残に占める期中購入分(Vbuy )の投資ウェイトを示しており、下式(22)、
buy =Vbuy/(V0+Σtt×(1−t))…(22)
によって表される。
sellは、期中の資産平残に占める期中売却分の投資ウェイトを示しており、下式(23)、
sell=Vsell/(V0+Σtt×(1−t))…(23)
によって表される。
上式(21)、(22)、(23)のVhold、Vbuy 、Vsellは、さらに、下式(24)、(25)、(26)、
hold= Σj(hold) {mj (0)×〔pj (0)− dj (0') ×(1−0')〕}…(24)
buy = Σj(buy) Σt {mj (t)×〔pj (t)− dj (t') ×(1−t')/(1−t)〕
×(1−t)}…(25)
sellj(sell) Σt {mj (t)×〔pj (t)− dj (t') ×(1−t')/(1−t)〕
×(1−t)}…(26)
によってそれぞれ表される。
また、上記(20)式において、xj (0)は、期初保有銘柄jの期初投資ウェイトを示しており、下式(27)、
j(0)=mj (0)×{pj (0)−dj (0') ×(1−0')}/Vhold…(27)
によって表される。
j'(0)は、期初保有銘柄jを期末まで保有した場合の修正ディーツ法リターンを示しており、下式(28)、(29)、
j '(t) =rj (t)/(1−t)…(28)
j (t) ={pj(1)−pj (t)+dj (t' )}/{pj (t)−dj (t')×(1−t')/(1−t)}…(29)
によって表されるrj '(t) においてt=0としたものである。
なお、上記(28)、(29)式から、rj '(t)の分母は{pj (t)−dj (t')×(1−t')/(1−t)}/(1−t)であり、これに数量mj (t)を乗じた値が、時点tに購入した銘柄jの期中平残に相当する。これを、すべての期中購入分について集計したのが、(25)式のVbuy である。
j (*) は、期中購入部分をポートフォリオと見なしたときの期中購入銘柄jの投資ウェイトを示しており、下式(30)、(31)、
j (*)=Σt(buy)j (t) …(30)
j (t)={mj (t)×〔pj (t)−dj (t')×(1−t') /(1−t)〕
×(1−t)}/Vbuy …(31)
によって表される。なお、上記符号*の意味は、同一銘柄について期間中に複数回の投資行為を行った場合のそれらの合計を意味する。つまり、銘柄jの購入は期中1回とは限らないので、銘柄jについて期中に購入した分を集計したウェイトが、(30)式のyj (*)となる。
bj'(*)は、購入銘柄jの期中加重平均の修正ディーツ法リターンであって、下式(32)、
bj'(*) =Σt(buy)((yj (t)/yj (*))×rj '(t)…(32)
によって表される。なお、上記yj (*)と同様の考え方により、期中に購入したすべての銘柄jの期間換算リターンrj ' (t)をyj (t)をウェイトとして加重平均した銘柄jのリターンが、(32)式のrbj' (*)となる。
j (*) は、期中売却部分をポートフォリオと見なしたときの期中売却銘柄jの投資ウェイトであって、下式(33)、(34)、
j (*) =Σt(sell) j (t) …(33)
j (t)={mj (t)×〔pj (t)−dj (t')×(1−t') /(1−t)〕
×(1−t)}/Vsell…(34)
によって表される。
sj'(*) は、売却銘柄j の期中加重平均の修正ディーツ法リターンであって、下式(35)、
sj'(*) =Σt(sell) (zj (t)/zj (*))×rj '(t)…(35)
によって表される。
以上、(21)式ないし(35)式を用いれば、(20)式を計算することができる。
(20)式の第一項は資産運用の期初保有分の超過リターン、第二項は期中購入分の超過リターン、第三項は期中売却分の超過リターンをそれぞれ示しており、各超過リターンをセクターティルト効果と銘柄選択効果に要因分解できる重要な特徴を有している。
すなわち、(20)式によれば、第一項から第三項までの期初保有効果と期中購入効果と期中売却効果が、いずれもすでに説明した(12)式の資産別の修正ディーツ法によるリターンrと同じ形を有している。このため、超過リターン(r−R)をセクターティルト効果と銘柄選択効果に要因分解した(14)式のやり方と同様のやり方によって、期初保有分セクターティルト効果と、期初保有分銘柄選択効果と、期中購入分セクターティルト効果と、期中購入分銘柄選択効果と、期中売却分セクターティルト効果と、期中売却分銘柄選択効果を求めることができるのである。
具体的な要因分解の方法について以下に説明する。
(20)式の各超過リターンにおけるポートフォリオ部分のリターンは、銘柄別ウェイトと銘柄別リターンの積を合計したものであって、Σj j ×rj のような形になっているので、これをセクター別リターンに変形する。
ここで、セクターsについてxj を集計したものをxs とし、rj をxj で加重平均して算出したセクターリターンをrs とすると、下式(36)、(37)、
s =Σj j …(36)
s =Σj ((xj /xs )×rj ) …(37)
のようになる。ここで、Σj はセクターsに属するすべての銘柄jについての和を示している。
このとき、Σj j ×rj は、次の(38)式、
Σj j ×rj =Σs s ×Σj ((xj /xs )×rj
=Σs s ×rs …(38)
のように変形することができる。
この方法により、(20)式の第一項ないし第三項を、
期初保有効果=whold×{Σj(hold) j (0)×rj '(0) −R} …(1)
期中購入効果=wbuy ×{Σj(buy)j (*) ×rbj'(*) −R} …(2)
期中売却効果=wsell×{Σj(sell) j (*) ×rsj'(*) −R} …(3)
のようにおくと、上記(1)、(2)、(3)式を、下式(4)〜(9)、
期初保有分セクターティルト効果 =whold×{Σs (xs(hold) −ps )×(Rs −R)} …(4)
期初保有分銘柄選択効果 =whold×{Σs s(hold) ×(rs(hold) −Rs )} …(5)
期中購入分セクターティルト効果 =wbuy ×{Σs (xs(buy)−ps )×(Rs −R)}…(6)
期中購入分銘柄選択効果 =wbuy ×{Σs s(buy) ×(rs(buy)−Rs )}…(7)
期中売却分セクターティルト効果 =wsell×{Σs (xs(sell) −ps )×(Rs −R)}…(8)
期中売却分銘柄選択効果 =wsell×{Σs s(sell) ×(rs(sell) −Rs )}…(9)
に要因分解することができる。
ここで、xs(hold) =Σj,s(hold) j (0)と表すことができ、その式において、j,s(hold) は、セクターsの期初保有分中の銘柄jである。
また、Rsは、セクター・ベンチマーク・インデックス・リターンと呼ばれるものであって、セクターsのベンチマーク・インデックス・リターンである。
また、R=Σs (ps ×Rs )と表すことができ、その式において、ps は、ベンチマークにおけるセクターsのウェイトである。
また、rs(hold) =Σj,s(hold) ((xj(hold) /xs(hold) )×rj '(0))と表すことができる。
また、xs(buy)=Σj,s(buy)j (*)と表すことができる。その式において、j,s(buy) は、セクターsの期中購入分中の銘柄jである。
また、rs(buy)=Σj,s(buy)((yj (*) /xs(buy))×rbj'(*))と表すことができる。
また、xs(sell) =Σj,s(sell) j (*)と表すことができる。その式において、j,s(sell)は、セクターsの期中売却分中の銘柄jである。
また、rs(sell) =Σj,s(sell) ((zj (*) /xs(sell) )×rsj'(*))と表すことができる。
以上が、改良要因分解についてである。なお、改良要因分解についての理解を助けるために、期初保有、期中購入及び期中売却が生じる種々のケースの一例を図6に示す。例えば、ケース1によれば、10月末に株式を保有しているので、11月には期初保有があり、11月には、何も行動していないので、11月では期中購入も期中売却も無く、また、10月からの株式を引き続き11月末の時点でも保有しているので、12月にも期初保有が生じる。また、例えば、ケース4によれば、10月末に株式を保有しているので、11月には期初保有があり、11月には、株式の購入も売却も行ったので、11月には期中購入も期中売却もあり、その売却の結果、11月末の時点では株式が無くなったので、12月には期初保有が無い。また、例えば、ケース7によれば、10月末に株式を保有していないので、11月には期初保有が無く、11月には、株式を購入したが売却を行っていないので、11月では期中購入にあるが期中売却は無く、その結果、11月末の時点で株式を保有しているので、12月には期初保有が生じる。
さて、このような改良要因分解を行いその結果に基づく情報をユーザ(例えば、資産運用の成果を分析する人間)に提供するための資産運用成果分析支援システムとして、例えば、図1に例示するようなシステムが考えられる。
図1は、本実施形態に係る資産運用成果分析支援システムの構成例を示す。
ユーザが使用する端末であるユーザ端末(例えば、パーソナルコンピュータ等の計算機)300と、ユーザに対して資産運用成果分析を支援するためのサーバ313とが、通信ネットワーク351を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク351は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)或いはSAN(Storage Area Network等を採用することができる。
サーバ313は、例えば、複数のデータベース(以下、DB)361、363及び366と、コントローラ302とを備える。
各DBは、例えば、一以上のディスク型の記憶メディア(例えば、ハードディスク或いはDVD(Digital Versatile Disk))のドライブ(以下、単に「ディスクドライブ」と言う)により構築することができる。複数のDB361、363及び366のうちの少なくとも一つは、サーバ313の外に備えられ、サーバ313と通信可能に接続されていても良い。その場合、そのDBは、データベースサーバとすることができる。
DB361は、資産運用のための資産の異動の履歴を格納しているDB(以下、異動・残高DB)である。異動の履歴は、例えば、各異動の内容や結果等を表す各異動データと、各期末時点(例えば月末時点)の残高に関する情報を表す期末残高情報とで構成することができる。
異動・残高DB361には、多数の異動データが格納されている。各異動データは、期間別に(例えば月別に)、分けて記憶されても良い。図5Aには、例えば、2005年11月〜12月の資産運用に関する各異動データを示す。各異動データには、例えば、異動が行われた日付(異動日)と、異動の種類(例えば、月末残高、購入、売却、或いは利息・配当)と、異動された銘柄(例えば銘柄コード)と、異動内容(例えば、購入或いは売却された株式の数量、その株式の単価、及び、数量と単価とを乗算することにより求まる金額)とが含まれる。また、各異動データには、簿価残高と、時間加重金額(これは、例えば、異動データが格納される際に計算され記録される)と、月末時価と、月末残評価額とのうちの少なくとも一つが含まれてもよい。異動データには、Vhold及びVbuyのそれぞれに対応する銘柄別基礎情報を含めることもできる。ここで、Vholdの銘柄別基礎情報とは、(24)式の一番外の括弧内の値である。Vbuyの銘柄別基礎情報とは、(25)式のΣ以降の値である。
DB363は、評価用時価データを格納しているDB(以下、評価用時価DB)である。評価用時価データには、例えば、図5Bに例示するように、銘柄(例えば銘柄コード)、日付(年月日)、及び、その日付におけるその銘柄の1株当たりの評価用時価(例えば終値)が含まれている。銘柄及び日付を検索キーに評価用時価DB363を検索することで、その銘柄のその日付における評価用時価を取得することができる。また、DB363には、所定期間毎のR(ベンチマーク・インデックス・リターン)を格納することもできる。
DB366は、算出結果データを格納するためのDB(以下、算出結果DB)である。算出結果データとは、後述する方法で、指定期間に属する多数の異動データなどを基に算出された結果を表すデータである。算出結果データには、例えば、指定期間と、算出結果とが含まれる。算出結果は、例えば、期初保有効果、期中購入効果、期中売却効果及び全体収益率のうちの少なくとも一つである。
コントローラ302は、サーバ313の動作を制御するための装置である。コントローラ302には、通信ネットワークに対するインターフェース装置(以下、I/F)であるネットワークI/F307と、DBを構築している各ディスクドライブに対するI/FであるディスクI/F305と、メモリ311と、プロセッサ309とを備える。メモリ311は、一又は複数の揮発性及び/又は不揮発性のメモリである。メモリ311には、例えば、プロセッサ309のワーク領域や、プロセッサ309に読み込まれて実行されるコンピュータプログラムを記憶するための領域などがある。そのコンピュータプログラムとして、例えば、制御プログラム1がある。
図2は、制御プログラム1の構成例を示す。
制御プログラム1は、例えば、サーバ313のオペレーティングシステム(図示せず)上で動作するアプリケーションプログラムとすることができる。この制御プログラム1は、上述した改良要因分解を行うことができるプログラムであるが、単にその改良要因分解を行えるだけでなく、利息・配当データが無くても期中売却効果を算出することができ、以って、記憶資源の消費を抑えコストを大幅に節約することができるように工夫されている。
具体的には、例えば、制御プログラム1は、データ読出し部601と、全体収益率算出部30と、判別部602と、期初保有効果算出部2aと、期中購入効果算出部2bと、期中売却効果算出部2cとを備える。
データ読出し部601は、異動・残高DB361から、計算対象期間に関わるN個の異動データよりも少ないM個の異動データを読み出すことができる。Mの値は、固定値であっても可変値であっても良い。データ読出し部601は、異動データをM個ずつ読み出すことで、N個の異動データを読み出すことができる。
全体収益率算出部30は、逐次に読み出された異動データに記録されている所定種類の値を用いて、全体収益率(上記リターンr)を算出するために必要な種類の値を更新し、更新後の値を用いて全体収益率を算出することができるサブプログラムである。具体的には、例えば、全体収益率算出部30は、上記(10)式のΣt t及びΣt t ×(1−t)の値を更新し、更新後のそれらの値を用いて、(10)式により、全体収益率を算出することができる。
判別部602は、読み出された異動データ内の異動種類を用いて、複数の算出部2a、2bのうちのどの算出部を、その異動データの振分け先とするかを決定し、決定した振分け先に異動データを振分けることができる。
期初保有効果算出部2aは、振り分けられた異動データを用いて期初保有効果を算出することができるサブプログラムである。期初保有効果算出部2aは、例えば、各銘柄について、以下の処理、
・期末株価pj(1)の値、期初株価pj(0)及び期初の利息・配当金dj(0')を用いて、銘柄別期間リターンrj'(0)を算出すること、
・期初数量mj(0)、期初株価pj(0)及び期初の利息・配当金額dj(0')を用いて、期初部分の時価評価総額Vholdを算出し、Vholdと資産の総平残((V0 +Σt t ×(1−t))とを用いて、期初部分の投資ウェイト(寄与ウェイト)wholdを算出すること、
・期初数量mj(0)、期初株価pj(0)、期初の利息・配当金dj(0')及び上記算出されたVholdを用いて、銘柄別ウェイトxj(0)を算出すること、
・算出されたrj'(0)及びwhold、xj(0)と、ベンチマーク・インデックス・リターンRとを用いて、期初保有効果を算出すること、
を実行することができる。
期中購入効果算出部2bは、振り分けられた異動データを用いて期中購入効果を算出することができるサブプログラムである。期中購入効果算出部2bは、例えば、各銘柄について、以下の処理、
・期中の購入数量mj(t)、期中の購入時の株価pj(t)及び期中の利息・配当金dj(t')を用いて、期中購入部分の時価評価総額Vbuyを算出し、Vbuyと資産の総平残とを用いて、期中購入部分の投資ウェイト(寄与ウェイト)wbuyを算出すること、
・mj(t)、pj(t)、dj(t')及びVbuyを用いて、異動別のウェイトyj(t)を算出し、yj(t)及びVbuyを用いて、銘柄別の加重ウェイトyj(*)を算出すること、
・期末株価pj(1)の値、pj(t)及びdj(t')を用いて、異動別期間リターンrj'(t)を算出し、rj'(t)、yj(t)及びyj(*)を用いて、銘柄別の加重リターンrbj'(*)を算出すること、
・算出されたwbuy、yj(*)及びrbj'(*)と、ベンチマーク・インデックス・リターンRとを用いて、期中購入効果を算出すること、
を実行することができる。
期中売却効果算出部2cは、算出された全体収益率から、算出された期初保有効果と期中購入効果との和を引くことにより、期中売却効果を算出することができるサブプログラムである。
以上が、本実施形態に係るサーバ313についての説明である。
ところで、コントローラ302は、上述した異動・残高DB361を、各異動が行われる都度に更新することができる。例えば、或る銘柄についての異動が発生した場合、その銘柄の異動データが異動・残高DB361に追記される。その異動データの残高情報は、その銘柄について既に存在する異動データ(例えば、直前の異動に対応した異動データ)の残高情報と、今回の異動内容とに基づいて、生成することができる。より具体的には、例えば、各異動が行われる都度に、異動された銘柄に対応する銘柄別基礎情報(Vhold及びVbuyのそれぞれに対応する銘柄別基礎情報)を更新することができる。以下、或る銘柄について、計算対象期間(例えば或る月)の長さを1とし、計算対象期間の期初の株式数(すなわち、計算対象期間の直前までに保有していた株式数)をQ(Qは1以上の整数)として、具体例を説明する。
(A)Vholdの基礎情報の更新。
コントローラ302は、異動の種類が「利息・配当」の場合、計算対象期間1における異動日(利息・配当が入ってきた日)と、利息・配当金から、(1−0')及びdj(0')を求めることができる。また、mj(0)=Qであることを、計算対象期間の直前の期間の残高情報から求めることができる。また、pj(0)を、計算対象期間の直前日の終値として、評価用時価DB363から求めることができる。故に、(24)式を用いて、Vholdの基礎情報を求め、その直前までのVholdの基礎情報を、その求まった基礎情報に更新し、更新後の基礎情報を、今回の異動データに記録することができる。
(B)Vbuyの基礎情報の更新
コントローラ302は、異動の種類が「購入」の場合、今回の異動日、購入株式数及び買値から、mj(t)、pj(t)及び(1−t)を得ることができる。また、コントローラ302は、購入された銘柄について、計算対象期間に利息・配当が行われるかどうかを調べることができる。例えば、コントローラ302は、計算対象期間に属する複数の異動データの中に、異動の種類が「利息・配当」の異動データがあるかどうかを調べる。その結果、あれば、異動日と利息・配当金から、(1−t')及びdj(t')を得ることができる。コントローラ302は、(25)式により、今回の異動の直前までのVbuyの基礎情報、mj(t)、pj(t)及び(1−t)を用いて((1−t')及びdj(t')も得られたのであれば、それらをも用いて)、今回の異動後のVbuyの基礎情報を求めることができる。
以上のようにして、異動データを追記していく際に、残高情報内の暫定的なVhold及びVbuyのそれぞれの銘柄別基礎情報を更新していくことができる。そして、計算対象期間が過ぎた場合に、計算対象期間内における各銘柄の最終の異動データ内のVhold及びVbuyの基礎情報を、その計算対象期間におけるVhold及びVbuyの銘柄別基礎情報として、それぞれ確定することができる。また、コントローラ302は、その最終の異動データ内のVhold及びVbuyの銘柄別基礎情報を、それぞれ、期末残高情報内に含めることができる。
さて、以下、期中売却効果の算出に利息・配当データを不要にできるよう工夫された、制御プログラム1が行う処理の流れを説明する。
図3は、制御プログラム1を読み込んで実行するプロセッサ309によって行われる処理の流れの一例を示す。
制御プログラム1を実行するプロセッサ309(以下、便宜上、「制御プログラム1」と記載)は、例えば、資産運用成果の分析の支援の要求をユーザ端末300から受けた場合に、この図3の処理を開始することができる。
制御プログラム1は、異動・残高DB361から計算対象期間に関わる異動データを読み込む(ステップS1)。具体的には、例えば、制御プログラム1のデータ読出し部601は、異動・残高DB361内から、計算対象期間(例えば、ユーザから指定された期間)の直前の期間に対応する異動データ(異動種類が月末残高である異動データ)を読み出す。或いは、制御プログラム1のデータ読出し部601は、計算対象期間内の多数の異動データのうちの一つ以上の異動データを読み出し、メモリ311に蓄積する。
次に、制御プログラム1の全体収益率算出部30が、異動データに含まれている所定種類の値(例えば、異動日、異動内容及び時間加重金額のうちの少なくとも異動日及び異動内容)を用いて、上記(10)式のΣt t及びΣt t ×(1−t)の値をメモリ311上で更新する(S2)。
次に、制御プログラム1は、読み出した異動データの異動種類(月末残高、買い或いは売り)を判断し(S3)、判断結果に応じて、S4A及びS4Bのいずれを行うかを決める。具体的には、例えば、制御プログラム1の判別部602が、図5Aの一番目の異動データを読んだ場合、異動種類が月末残高であると判断し、その場合には、その異動データを期初保有効果算出部2aに振り分けることにより、S4A(期初保有効果に関わる値の更新)が行われるようにすることができる。また、判別部602は、図5Aの二番目の異動データを読んだ場合、異動種類が買いであると判断し、その場合には、その異動データを期中購入効果算出部2bに振り分けることにより、S4B(期中購入効果に関わる値の更新)が行われるようにすることができる。さらに、判別部602は、図5Aの三番目の異動データを読んだ場合、異動種類が売りであると判断し、その場合には、その異動データを読み捨てることができる。この異動データが無くても、後述の通り、期中売却効果を算出することができるからである。なお、制御プログラム1は、読み出された異動データを用いて必要な種類の値をメモリ311上で更新したら、メモリ311に蓄積した異動データをメモリ311から削除することができる。
制御プログラム1は、計算対象期間に関わる全ての異動データを読み出したか否かを判断し(S5)、読み出してなければ(S5でNO)、再びS1を行う。制御プログラム1は、異動データを読み出す毎に、上記の処理を繰り返す。
制御プログラム1は、計算対象期間に関わる全ての異動データを読み終えたと判断した場合(S5でYES)、更新後の各値を用いて、全体収益率算出部30により、全体収益率を算出し、期初保有効果算出部2aにより、期初保有効果を算出し、期中購入効果算出部2bにより、期中購入効果を算出する(S6)。そして、その後、期中売却効果算出部2cが、算出された全体収益率から、算出された期初保有効果と期中購入効果との和を引くことにより、期中売却効果を算出する(S7)。
その後、制御プログラム1は、算出された各種効果及び全体収益率を算出結果DB366に書き込んだり(S8)、印刷したりすることができる(S9)。
以上が、制御プログラム1が行うことのできる処理の流れの概要である。
さて、以下、全体収益率、期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の算出について詳細に説明する。なお、以下では、適宜、具体例を用いるが、その際には、図5A〜図5Bを参照するものとする。従って、計算対象期間を2005年11月とし、直前の期間を2005年10月とする。故に、その2005年11月には、銘柄コード1234しか取引されていないものとし、その直前の10月末までに、銘柄コード1234の株式が全て売却されてしまっており、銘柄コード1234の株式も保有していない状況(要はどの銘柄の株式も保有していない状況)とする。
(a)全体収益率の算出(S1、S2、S5、S6)。
全体収益率算出部30が、異動データに含まれている所定種類の値(例えば、異動日、異動内容及び時間加重金額のうちの少なくとも異動日及び異動内容)を用いて、上記(10)式のΣt t及びΣt t ×(1−t)の値をメモリ311上で更新する。具体的には、例えば、図5Aの1番目の異動データが読み出された場合、全体収益率算出部30が、メモリ311上に、V0=0を書込むことができる(10月の月末残高の月末評価額が0のため)。また、2番目の異動データが読み出された場合、Σt tとして2,000,000を書込み(一件目のCtが2,000,000のため)、且つ、Σt t ×(1−t)として1,266,667を書き込むことができる(時間加重金額がその額のため)。3番目の異動データが読み出された場合、Σt tとして900,000(=2,000,000−1,100,000)を書込み、且つ、Σt t ×(1−t)として1,083,334(=1,266,667−183,333)を書き込むことができる。4番目の異動データが読み出された場合、V1=1,120,000を書込むことができる(11月の月末残高の月末評価額が1,120,000のため)。
1〜4番目の異動データが読み出されたら、計算対象期間に関わる異動データの読出しが終えたということになるので、S6において、全体収益率を算出することができる。具体的には、上記例と(10)式によれば、V1−V0−Σt t=220,000となり、V0 +Σt t ×(1−t)=1,083,334となり、故に、r≒0.2(約20%)となる。なお、例えば、S2で、読まれた異動データが計算対象期間に関わる最後の異動データか否かを判断し、最後の異動データと判断された場合に、rが算出されても良い。
(b)期初保有効果の算出(S1、S2、S3、S4A、S5、S6)。
例えば、制御プログラム1は、計算対象期間の直前の期間に対応する残高データ(図5Aで言えば、異動日「2005/10/31」・異動種類「月末残高」の異動データ)を読み出した場合、所属は期初保有であると決定し、S4Aを行う。図4Aに、期初保有効果を算出するために必要な代表的な式を示している。
制御プログラム1は、読み出した残高データから、銘柄、保有株式数mj(0)及び株価pj(0)を取得し、取得した銘柄、保有株式数mj(0)及び株価pj(0)を、メモリ311に書く。図6Aの例によれば、銘柄コード1234、mj(0)=0、pj(0)=950であることが書かれる。
また、制御プログラム1は、その銘柄コードを有した利息・配当の異動データがあれば、その異動データ中の異動日(つまり利息・配当日)から、(1−0')を求め、メモリ311に書き、且つ、その異動データ中の異動内容から、単価(つまり利息・配当金)dj(0')を取得し、メモリ311に書く。図5Aの例によれば、銘柄コード1234の利息・配当は計算対象期間内には無いので、利息・配当日や利息配当金は書かれない。
また、制御プログラム1は、上記取得された残高データの銘柄コード及び異動日を検索キーに、2005年11月の期末の株価pj(1)を取得し、メモリ311に書く。図5Aの例によれば、評価用時価DB363に記録される月末時価が異動データとしても記録されているので、評価用時価DB363を参照する必要が無く、銘柄コード1234の株価pj(1)として、1120がメモリ311に記録される。
制御プログラム1は、メモリ311に書かれたmj(0)(=0)、pj(0)(=950)、(1−0')(=無し)、dj(0')(=無し)及びpj(1)(=1120)を用いて、(28)及び(29)式により、rj'(0)を算出し、算出されたrj'(0)をメモリ311に書く。具体的には、170/950≒0.18と算出され、rj'(0)=0.18がメモリ311に書かれる。
さらに、制御プログラム1は、メモリ311に書かれたmj(0)、pj(0)、(1−0')及びdj(0')を用いて、(24)式により、Vholdの基礎情報(以下、Vhold基礎情報)を求め、Vhold基礎情報を、メモリ311に書くこともできる。それに代えて、制御プログラム1は、この計算対象期間に対応するVhold基礎情報(例えば、この期間における最終の異動データに書かれている情報)を異動・残高DB361から取得し、取得したVhold基礎情報をメモリ311に書いても良い。ここでは、例えば、銘柄コード1234について言えば、mj(0)=0、pj(0)=950なので、Vhold基礎情報は、0となるが、もし、別例として、mj(0)=1,000であれば、1,000×950で、Vhold基礎情報は950,000となる。
制御プログラム1は、S1〜S5の繰り返しにより、別の銘柄についても、mj(0)、pj(0)、Vhold基礎情報、rj'(0)等を取得することになる。その場合、制御プログラム1は、銘柄別に、それらの情報をメモリ311に書くことができる。制御プログラム1は、S5でYESになった場合、(16)式により、Vを算出し(或いは、期末残高情報中の各銘柄別の保有数及び株価に基づいて、Vを取得し)、得られたVをメモリ311に書くことができる。また、制御プログラム1は、S5でYESになった場合、(24)式により、メモリ311に書かれている全ての銘柄のVhold基礎情報を加算して、Vholdを算出し、それをメモリ311に書くことができる。ここで、図5Aの例によれば、mj(0)=0であり、10月末の時点は何の株式も保有していないため、VもVholdも0となるが、何らかの株式を10月末の時点で保有していれば、VもVholdも0にはならない。
制御プログラム311は、各銘柄別のVhold基礎情報とVholdを用いて、(27)式により、各銘柄別に、xj(0)を求め、メモリ311に書くことができる。ここで、銘柄コード1234のVhold基礎情報もVholdも0であり、10月末の時点は何の株式も保有していないため、xj(0)も0となるが、もし、例えばmj(0)=1,000であれば、Vhold基礎情報は前述の通り950,000となり、銘柄コード1234のみ保有しているとなると、Vholdも950,000となるので、xj(0)は、950,000/950,000=1となる。
S1〜S5が、S5でYESになるまで繰り返された場合、S2で更新された後の資産の総平残(V0+Σtt×(1−t))がメモリ311に記録されている。制御プログラム1は、メモリ311に書かれている更新後の資産の総平残とVholdとを用いて、(21)式により、wholdを算出し、算出されたwholdをメモリ311に書くことができる。具体的には、資産の総平残は、前述した通り1,083,334であり、Vholdは0なので、wholdは、0/1,083,334=0となる。なお、例えば、Vholdが前述の別の例の通り950,000だとしたら、950,000/1,083,334≒0.877となり、whold=0.877がメモリ311に書かれる。
制御プログラム1は、メモリ311に書かれたwhold、xj(0)、rj'(0)及びRを用い、(1)式により、期初保有効果を算出することができる(なお、R(例えばR=4.000)は、任意のタイミングで、所定の記憶域(例えば評価用時価DB363)から読出し、メモリ311に記憶させておくことができる)。具体的には、例えば、whold=0であれば、期初保有効果も0となるが、別の例の通り、whold=0.877であれば、xj(0)=1となり、rj'(0)は0.18であるので、期初保有効果は、0.877×(1×0.18−4.000)=約−3.350となる。
(c)期中購入効果の算出(S1、S2、S3、S4B、S5、S6)。
制御プログラム1は、異動種類が購入である異動データ(図5Aで言えば、異動日「2005/11/11」・異動種類「買い」の異動データ)を読み出した場合、所属は期中購入であると決定し、S4Bを行う。図4Bに、期中購入効果を算出するために必要な代表的な式を示している。
制御プログラム1は、読み出した異動データから、銘柄、購入株式数mj(t)及び買値pj(t)を取得し、取得した銘柄、保有株式数mj(t)、株価pj(t)、及び、異動日に基づく(1−t)を、メモリ311に書く。図5Aの例によれば、銘柄コード1234、mj(t)=2,000、pj(t)=1,000、(1−t)≒0.633であることが書かれる。
また、制御プログラム1は、その銘柄コードを有した利息・配当の異動データがあれば、その異動データ中の異動日(つまり利息・配当日)から、(1−t')を求め、メモリ311に書き、且つ、その異動データ中の異動内容から、単価(つまり利息配当金)dj(t')を取得し、メモリ311に書く。図5Aの例によれば、銘柄コード1234の利息・配当は計算対象期間内には無いので、利息・配当日や利息配当金は書かれない。
また、制御プログラム1は、上記取得された異動データの銘柄コード及び異動日を検索キーに、2005年11月の期末の株価pj(1)を取得し、メモリ311に書く(S4Aの処理により、既にかかれていれば、この処理は行わなくても良い)。銘柄コード1234の株価pj(1)は、1120である。
制御プログラム1は、メモリ311に書かれたmj(t)(=2,000)、pj(t)(=1,000)、(1−t)(=0.633)、(1−t')(=無し)、dj(t')(=無し)及びpj(1)(=1120)を用いて、(28)及び(29)式により、rj'(t)を算出し、算出されたrj'(t)をメモリ311に書く。rj(t)=120/1000=0.12となるので、rj'(t)=0.12/0.633≒0.190となる。
さらに、制御プログラム1は、メモリ311に書かれたmj(t)(=2,000)、pj(t)(=1,000)、(1−t)(=0.633)、(1−t')(=無し)及びdj(t')(=無し)を用いて、(25)式により、Vbuyの暫定的な基礎情報を更新し、更新後のVbuyの暫定的な基礎情報を、メモリ311に書くこともできる。この情報は、一つの銘柄についての異動データが全て読み出された場合に、Vbuy基礎情報として確定する。また、S5でYESになった場合に、(25)式により、Vbuyそれ自体を算出し、メモリ311に書くことができる。なお、制御プログラム1は、この計算対象期間に対応する各銘柄別のVbuy基礎情報(例えば、この期間における最終の異動データに書かれている情報)を異動・残高DB361から取得し、取得したVbuy基礎情報をメモリ311に書いても良い。ここで、銘柄コード1234のVbuy基礎情報は、2,000×1,000×0.633=1,266,000となる。銘柄コード1234以外の株式は保有されていないため、Vbuyは、1,266,000となる。
制御プログラム311は、各銘柄別のVbuy基礎情報とVbuyを用いて、(31)式により、各銘柄別に、yj(t)を求め、メモリ311に書くことができる。また、制御プログラム311は、各銘柄のyj(t)を用いて、(30)式により、yj(*)を求め、それを、メモリ311に書くことができる。Vbuy基礎情報は前述の通り1,266,000となり、銘柄コード1234のみ保有しているため、Vbuyも1,266,000であるので、銘柄コード1234のyj(t)は、1,266,000/1,266,000=1となり、故に、yj(*)も1となる。
S1〜S5が、S5でYESになるまで繰り返された場合、S2で更新された後の資産の総平残(V0+Σtt×(1−t))がメモリ311に記録されている。制御プログラム1は、メモリ311に書かれている更新後の資産の総平残とVbuyとを用いて、(22)式により、wbuyを算出し、算出されたwbuyをメモリ311に書くことができる。ここで、前述した例によれば、資産の総平残は1,083,334であり、Vbuyは1,266,000なので、wbuyは、1,266,000/1,083,334≒1.169となる。
また、制御プログラム1は、メモリ311に書かれた各銘柄のyj(*)(=1)、rj'(t)(=0.190)及びyj(t)(=1)を用いて、(32)式により、rbj'(*)を算出し、メモリ311に書くことができる。rbj'(*)は、0.190となる。
制御プログラム1は、メモリ311に書かれたwbuy(=1.169)、yj(*)(=1)、rbj'(*)(=0.190)、R(=4.000)を用い、(2)式により、S6で、期中購入効果を算出し、メモリ311に書くことができる。上記の例によれば、期中購入効果は、1.169×(1×0.190−4.000)=約−4.454となる。
(d)期中売却効果の算出(S7)。
期中売却効果算出部2cが、前述した通り、算出された全体収益率から、算出された期初保有効果と期中購入効果との和を引くことにより、期中売却効果を算出する。上記の例で言えば、r≒0.2、期初保有効果=0、期中購入効果≒−4.454なので、期中売却効果=0.2−(0+−4.454)=4.654となる。別の例で言えば、r≒0.2、期初保有効果≒−3.350、期中購入効果≒−4.454なので、期中売却効果=0.2−(−3.350+−4.454)=8.004となる。
以上が、本実施形態についての説明である。
上述した実施形態によれば、期初保有効果の他に期中売買効果しか求めることのできない従来型の要因分解とは異なり、期中の効果を購入と売却とに更に分ける改良要因分解を実行することができる。
そして、この実施形態では、単にそれだけでなく、売却した銘柄の利息・配当データが無くても、期中売却効果を算出することができる。
すなわち、改良要因分解によれば、期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果を算出することができるが、各種効果の算出では、計算対象期間内に利息・配当があった場合には、保有している、購入した或いは売却した銘柄の利息・配当データ(利息・配当日及び利息・配当金を含んだデータ)が必要になる。
計算対象期間の前から保有している銘柄、或いは、計算対象期間中に購入したことによって保有することになった銘柄については、利息・配当が生じた場合、制御プログラム1は、利息・配当データを異動・残高DB361から取得することができる。なぜなら、保有する銘柄について利息・配当が生じれば、図5Aに例示するように、利息・配当日や利息・配当金を含んだ異動データが異動・残高DB361に追加されることになるからである。
しかし、売却することによって全く保有しなくなった銘柄については、利息・配当が生じなくなるので、異動・残高DB361にその銘柄の利息・配当データが格納されることがなく、故に、異動・残高DB361からは、売却した銘柄の利息・配当データを取得することはできない。従って、期中売却効果を算出する際、売却した銘柄の利息・配当が計算対象期間に属する日に生じた場合には、わざわざ収益率計算のためだけに、売り切ってしまった銘柄の利息・配当データを外部のベンダー等から購入し、システム的に利用可能なようにデータを加工したり蓄積したり等の管理をするためのコストが掛かる。
上述した実施形態によれば、まず、全体収益率、期初保有効果及び期中購入効果を算出し、その後で、全体収益率−(期初保有効果+期中購入効果)を計算することによって期中売却効果を得ることができるよう制御プログラム1や処理流れが工夫されている。これにより、売却することによって一切保有しなくなった銘柄の利息・配当データを収益率計算のためだけに購入、加工、蓄積する手間やコストを省くことができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
例えば、制御プログラム1は、S1〜S5のループでは、或る銘柄の異動データを連続して読み、その次に、別の銘柄の異動データを連続して読んでいくこともできる。具体的には、例えば、制御プログラム1は、或る銘柄に属する異動データの取得の要求を表すSQL(Structured Query Language)も異動・残高DB361に送ることができる。制御プログラム1は、同様にして、同一のセクターに属する銘柄の異動データを連続して読み、そのセクターに属する全ての異動データを読んだ後、別のセクターに属する銘柄の異動データを連続して読むことができる。
また、例えば、制御プログラム1は、S1〜S5のループにおいて、まず、計算対象期間に属する利息・配当の異動データ(自分が持っているファンドの利息・配当)を読み、その後で、他の異動データを読んでいっても良い。
本発明の一実施形態に係る資産運用成果分析支援システムの構成例を示す。 制御プログラム1の構成例を示す。 制御プログラム1を読み込んで実行するプロセッサ309によって行われる処理の流れの一例を示す。 図4Aは、期初保有効果を算出するために必要な代表的な式を示す。図4Bは、期中購入効果を算出するために必要な代表的な式を示す。 図5Aは、異動・残高DBに格納される各異動データの一例を示す。図5Bは、評価用時価DB363を構成する各評価用時価データの一例を示す。 期初保有、期中購入及び期中売却がそれぞれ発生するケースを説明するための図。
符号の説明
1…制御プログラム 2a…期初保有効果算出部 2b…期中購入効果算出部 2c…期中売却効果算出部 309…プロセッサ 311…メモリ 361…異動・残高DB 363…評価用時価DB whold…期中の資産平残に占める期初保有分の投資ウェイト wbuy…期中の資産平残に占める期中購入分の投資ウェイト wsell…期中の資産平残に占める期中売却分の投資ウェイト xj (0)…期初保有銘柄jの期初投資ウェイト rj '(0)…期初保有銘柄jを期末まで保有した場合の修正ディーツ法リターン R…ベンチマーク・インデックス・リターン yj (*)…期中購入部分をポートフォリオと見なしたときの期中購入銘柄jの投資ウェイト rbj'(*)…購入銘柄jの期中加重平均の修正ディーツ法リターン zj (*)…期中売却部分をポートフォリオと見なしたときの期中売却銘柄jの投資ウェイト rsj'(*)…売却銘柄j の期中加重平均の修正ディーツ法リターン xs(hold)…セクターごとの期初保有資産の期初投資ウェイト Rs…セクター・ベンチマーク・インデックス・リターン ps…ベンチマークにおけるセクターsのウェイト xs(buy)…セクターsの期中購入資産の投資ウェイト xs(sell)…セクターsの期中売却資産の投資ウェイト rs(hold) …セクターsの期初保有資産による修正ディーツ法リターン rs(buy) …セクターsの期中購入資産による修正ディーツ法リターン rs(sell) …セクターsの期中売却資産による修正ディーツ法リターン

Claims (5)

  1. 資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを記憶装置の中から読み出す読出し手段と、
    読み出された複数の異動データを用いて、全体収益率を算出する全体収益率算出手段と、
    読み出された各異動データが期初保有効果の算出及び期中購入効果の算出のいずれに用いられるかを判別する判別手段と、
    資産運用の成果を期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の3種類の効果に要因分解する要因分解手段と、
    前記要因分解の結果に基づく情報を出力する出力手段と
    を備え、
    前記要因分解手段が、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、前記判別の結果と該銘柄の利息・配当データを用いて前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出し、その後、前記算出された全体収益率から前記期初保有効果と前記期中購入効果を減じることにより前記期中売却効果を算出する、
    資産運用成果分析支援システム。
  2. 前記全体収益率算出手段が、読み出された各異動データを基に、前記計算対象期間の資産の総平残を所定の記憶領域上で更新し、
    前記要因分解手段が、前記全体収益率算出手段によって準備された資産の総平残を用いて前記要因分解を行う、
    請求項1記載の資産運用成果分析支援システム。
  3. 異動データが読み出される都度に、読み出された異動データを所定の記憶領域に書く手段と、
    前記所定の記憶領域に書かれた異動データを用いた、前記要因分解手段による更新が終了する都度に、その更新に用いられた異動データを該記憶領域から削除する手段と
    を更に備える請求項1記載の資産運用成果分析支援システム。
  4. 資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを記憶装置の中から読み出すステップと、
    読み出された複数の異動データを用いて全体収益率を算出するステップと、
    読み出された各異動データが期初保有の算出及び期中購入の算出のいずれに用いられるかを判別するステップと、
    資産運用の成果を期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の3種類の効果に要因分解するステップと、
    前記要因分解の結果に基づく情報を出力するステップと
    を有し、
    前記要因分解するステップでは、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、前記判別の結果と、該銘柄の利息・配当データとを用いて前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出し、その後、前記算出された全体収益率から前記期初保有効果と前記期中購入効果を減じることにより前記期中売却効果を算出する、
    資産運用成果分析支援方法。
  5. 資産の流入或いは流出に関する複数の異動データを記憶装置の中から読み出すステップと、
    読み出された複数の異動データを用いて全体収益率を算出するステップと、
    読み出された各異動データが期初保有の算出及び期中購入効果の算出のいずれに用いられるかを判別するステップと、
    資産運用の成果を期初保有効果、期中購入効果及び期中売却効果の3種類の効果に要因分解するステップと、
    前記要因分解の結果に基づく情報を出力するステップと
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであり、
    前記要因分解するステップでは、保有している或いは購入した銘柄の利息・配当日が計算対象期間に属する場合、前記判別の結果と該銘柄の利息・配当データを用いて前記期初保有効果及び前記期中購入効果を算出し、その後、前記算出された全体収益率から前記期初保有効果と前記期中購入効果を減じることにより前記期中売却効果を算出する、
    コンピュータプログラム。
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